JPWO2017043512A1 - 水溶性フィルム及び薬剤包装体 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の水溶性フィルムは、PVA系樹脂(A)および可塑剤(B)を含有してなるものである。
まず、本発明で用いられるPVA系樹脂(A)について説明する。
即ち、(1)PVA系樹脂を製造する際に分散比(Mw/Mn)が3以上となるように調整して製造したり、(2)重量平均分子量の大きなPVA系樹脂と重量平均分子量の小さなPVA系樹脂の2種以上を併用することで調整して製造したりすることができる。
装置:島津製作所社製 Prominence
カラム:東ソーTSKgel α―M13μm 7.8mmI.D.x30cm
ガードカラム:東ソーTSKguardcolumn α 6.0mmI.D.x4cm
カラム温度:35℃
移動相:[0.2M NaNO3]水溶液:メタノール=1:1
注入量:50μl
流速:0.5ml/min
検出器:RI&UV/T−rEX(Wyatt)&SPD−M20A(島津製作所社製)
分析時間:30min
試料濃度:0.1w/v%
標準サンプル:Agilent社製 PEO/PEG
また平均ケン化度としては、溶解性の点から80〜99モル%であることが好ましく、特には85〜98モル%、更には87〜97モル%が好ましい。
また平均ケン化度としては、溶解性の点から80〜99モル%であることが好ましく、特には85〜98モル%、更には87〜97モル%が好ましい。
未変性PVAは、ビニルエステル系化合物を重合して得られるビニルエステル系重合体をケン化することにより製造することができる。
上記変性PVA系樹脂は、上記ビニルエステル系化合物と、ビニルエステル系化合物と共重合可能な不飽和単量体とを共重合させた後、ケン化する方法、または、未変性PVAを後変性する方法、等により製造することができる。
上記の中でも、水溶性フィルムの引張強度の点で融点が85℃以上、特には90℃以上のものが好ましい。なお、融点の上限は300℃、特には200℃が好ましい。
かかる可塑剤(b1)が少なすぎると水溶性フィルムが柔らかくなりすぎて、ブロッキングが生じやすくなる傾向があり、多すぎると水溶性フィルムが硬くなりすぎる傾向があり、低湿環境下でもろくなる傾向がある。また、可塑剤(b2)が少なすぎると水溶性フィルムが硬くなりすぎる傾向があり、低湿環境下でもろくなる傾向があり、多すぎると水溶性フィルムが柔らかくなりすぎて、ブロッキングが生じやすくなる傾向がある。
溶解方法としては、通常、常温溶解、高温溶解、加圧溶解等が採用され、中でも、未溶解物が少なく、生産性に優れる点から高温溶解、加圧溶解が好ましい。
溶解温度が、高温溶解の場合には、通常80〜100℃、好ましくは90〜100℃であり、加圧溶解の場合には、通常80〜130℃、好ましくは90〜120℃である。
溶解時間としては、通常1〜20時間、好ましくは2〜15時間、更に好ましくは3〜10時間である。溶解時間が短すぎると未溶解物が残る傾向にあり、長すぎると生産性が低下する傾向にある。
更に、溶解した後、得られたPVA系樹脂水溶液に対して脱泡処理が行われるが、かかる脱泡方法としては、例えば、静置脱泡、真空脱泡、二軸押出脱泡等が挙げられる。中でも静置脱泡、二軸押出脱泡が好ましい。
静置脱泡の温度としては、通常50〜100℃、好ましくは70〜95℃であり、脱泡時間は、通常2〜30時間、好ましくは5〜20時間である。
例えば、下記の製膜条件にて行うことができる。
また、熱処理においては、熱ロールにて行うこともできるが、その他、フローティングや遠赤外線処理等も挙げられる。とりわけ、熱ロールにて行うことが生産性の点で好ましい。熱処理温度としては、50〜150℃であることが好ましく、特には70〜130℃であることが好ましく、熱処理時間としては、1〜60秒であることが好ましく、特には3〜50秒、更には5〜40秒であることが好ましい。
かかる凹凸加工に際しては、加工温度は、通常60〜150℃であり、好ましくは80〜140℃である。加工圧力は、通常2〜8MPa、好ましくは3〜7MPaである。加工時間は、上記加工圧力、製膜速度にもよるが、通常0.01〜5秒であり、好ましくは0.1〜3秒である。
また、必要に応じて、凹凸加工処理の後に、熱によるPVA系フィルムの意図しない延伸を防止するために、冷却処理を施してもよい。
なお、上記含水率は、JIS K 6726 3.4に準拠して測定され、得られた揮発分の値を含水率とする。
芯管(S1)の内径は、3〜30cmが好ましく、より好ましくは10〜20cmである。
芯管(S1)の肉厚は、1〜30mmが好ましく、より好ましくは2〜25mmである。
芯管(S1)の長さは、PVA系フィルムの幅より長くすることが必要で、フィルムロールの端部から1〜50cm突出するようにするのが好ましい。
芯管(S2)の内径は、3〜30cmが好ましく、より好ましくは10〜20cmである。
芯管(S2)の肉厚は、1〜30mmが好ましく、より好ましくは3〜25mmである。
芯管(S2)の長さは、製品のPVA系フィルム幅と同等或いはそれ以上の長さのものであればよく、好ましくは同等〜50cm長いものである。
かかるスリットに当たっては、シェア刃やレザー刃などを用いてスリットされるが、好ましくはシェア刃でスリットすることがスリット断面の平滑性の点で好ましい。
帯電防止剤としては、例えば、アルキルジエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、高級脂肪酸アルカノールアミド、ソルビタン脂肪酸エステル等が使用される。
包装に当たっては内側の水蒸気バリヤー性樹脂の包装フィルム、外側のアルミニウム素材からなる包装フィルムで順次包装を行い、幅方向に余った部分を芯管に押し込めば良い。
保護パットの形状は、フィルムロールにあわせて、円盤状のシート、フィルムが実用的である。保護効果を顕著にするため発泡体、織物状、不織布状等の緩衝機能を付加させるのが良い。又、湿気からフィルムロールを守るため乾燥剤を別途封入したり、前記保護パットに積層又は混入したりしておくこともできる。
保護パットの素材はプラスチックが有利であり、その具体例としては、例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。
市販されているシート状乾燥剤の例としては、アイディ社製の「アイディシート」や品川化成社製の「アローシート」、「ゼオシート」、ハイシート工業社製の「ハイシートドライ」等がある。
ブラケットはベニヤ板やプラスチック板からなるものであり、その大きさはブラケットの4辺がフィルムロールの直径より大きいものであればよい。
また、上記一対のブラケットがぐらつかないように、両者を結束テープで固定するのが有利であり、そのときテープの移動や弛みが起こらないようにブラケットの側面(厚さ部分)にテープ幅と同程度のテープズレ防止溝を設けて置くのも実用的である。
なお、上記pH値は、JIS K 3362 8.3に準拠して測定される。また、水分量は、JIS K 3362 7.21.3に準じて測定される。
本発明の薬剤包装体の一例である液体洗剤包装体は、水溶性フィルムからなる包装体内に液体洗剤が内包されてなるものである。液体洗剤包装体の大きさは、通常長さ10〜50mm、好ましくは20〜40mmである。また、水溶性フィルムからなる包装体のフィルムの厚みは、通常10〜120μm、好ましくは15〜110μm、より好ましくは20〜100μmである。内包される液体洗剤の量は、通常5〜50mL、好ましくは10〜40mLである。
尚、例中「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。
・未変性PVA(A1):重量平均分子量80,000、分散比2.58、20℃における4%水溶液粘度22mPa・s、平均ケン化度88モル%
・未変性PVA(A2):重量平均分子量27,000、分散比2.25、20℃における4%水溶液粘度5mPa・s、平均ケン化度88モル%
PVA系樹脂(A)として、未変性PVA(A1)を65部、未変性PVA(A2)を35部(PVA系樹脂(A)としての重量平均分子量58,000、分散比3.3)、可塑剤(B)として、ソルビトール(b1)を10部及びグリセリン(b2)を30部、フィラー(C)として澱粉(平均粒子径20μm)を8部、界面活性剤(D)として、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルモノエタノールアミン塩を2部及び水を混合して溶解処理し、澱粉が分散したPVA水溶液(固形分濃度25%)を得た。
得られたPVA水溶液を80℃にて脱泡し、40℃まで冷やした。そのPVA水溶液をポリエチレンテレフタレートフィルム上に流延し、3mの乾燥室(105℃)の中を0.350m/minの速度で通過させ乾燥し、厚さ94μmのPVA系フィルム(水溶性フィルム)を得た。
上記で得られたPVA系フィルム(水溶性フィルム)について、冷水溶解性の評価を以下の通り行ったところ、5℃の水に対する完溶時間は、89秒であった。
〔完溶時間〕
水溶性フィルムサンプルを3cm×5cmのサイズにカットし、治具に固定した。次に、1リットルビーカーに水(1リットル)を入れ、スターラーにより撹拌(回転子長3cm、回転数750rpm)しながら水温を5℃に保ちつつ、治具に固定した水溶性フィルムをかかる水中に浸漬し、水溶性フィルムが溶解(完溶)するまでの時間(秒)を測定するとともに、下記の評価基準に従い評価した。なお、「溶解」の基準として直径1mm以上の不溶微粒子の分散が見られない場合を溶解(完溶)とした。
〇:完溶時間が95秒以下。
△:完溶時間が95秒を超え105秒以下。
×:完溶時間が105秒を超える。
実施例1において、表1に示す通りに変更した以外は同様に行い、PVA系フィルム(水溶性フィルム)を得た。
得られたPVA系フィルム(水溶性フィルム)について、実施例1と同様の評価を行った。
上記実施例1にて得られたPVA系フィルムを用い、Engel社製包装体製造機により、下記の手順にて包装体を作製した。
即ち、上記製造機の下部にある金型(成型される包装体:縦45mm、横42mm、高さ30mm)の上に、PVA系フィルム(ボトムフィルム)を固定し、装置の上部にもPVA系フィルム(トップフィルム)を固定した。ボトムフィルムを10秒間、90℃の熱風を発生させるドライヤーで加熱し、ボトムフィルムを金型に真空成型した。その後、P&G社製の「アリエールパワージェルボール」に包装された液体洗剤(グリセリン5.4%、プロピレングリコール22.6%、水分10.4%を含有(液体洗剤中の多価アルコールの含有割合:28%))を、成型されたPVA系フィルムに20mL投入した。トップフィルムに水を1.5g塗布し、トップフィルムとボトムフィルムを圧着した。30秒間圧着した後に、真空を解放し、包装体を得た。
得られた液体洗剤包装体は、外観に関して問題のない良好なものが得られた。
Claims (11)
- ポリビニルアルコール系樹脂(A)及び可塑剤(B)を含有してなる水溶性フィルムであって、ポリビニルアルコール系樹脂(A)の分散比(Mw/Mn)が3以上であることを特徴とする水溶性フィルム。
- ポリビニルアルコール系樹脂(A)の重量平均分子量が70,000以下であることを特徴とする請求項1記載の水溶性フィルム。
- ポリビニルアルコール系樹脂(A)が、重量平均分子量70,000以上のポリビニルアルコール系樹脂(A1)と重量平均分子量70,000未満のポリビニルアルコール系樹脂(A2)の2種以上を含有することを特徴とする請求項1または2記載の水溶性フィルム。
- ポリビニルアルコール系樹脂(A1)とポリビニルアルコール系樹脂(A2)の含有割合(重量比)が90/10〜10/90であることを特徴とする請求項3記載の水溶性フィルム。
- ポリビニルアルコール系樹脂(A1)及びポリビニルアルコール系樹脂(A2)が、ともに変性されていないポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項3または4記載の水溶性フィルム。
- 可塑剤(B)が、融点が80℃以上である多価アルコール(b1)と、融点が50℃以下である多価アルコール(b2)を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
- 可塑剤(B)の含有量が、ポリビニルアルコール系樹脂(A)100重量部に対して20重量部以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
- 水溶性フィルムの含水率が3〜15重量%であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
- 薬剤包装に用いることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
- 請求項1〜9のいずれか一項に記載の水溶性フィルムで、液体洗剤が包装されてなることを特徴とする薬剤包装体。
- 液体洗剤が、水に溶解又は分散させた時のpH値が6〜12で、水分量が15重量%以下であることを特徴とする請求項10記載の薬剤包装体。
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