JP2018104563A - 水溶性フィルム及び薬剤包装体 - Google Patents
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Abstract
Description
更に、本発明では、前記水溶性フィルムを用いてなる薬剤包装体を第2の要旨とする。
なお、本発明において、(メタ)アクリルとはアクリルあるいはメタクリルを意味するものである。
本発明の水溶性フィルムは、通常PVA系樹脂(A)からなる。そのPVA系樹脂組成物(A)としては、アニオン性基変性PVA系樹脂(A1)を主成分とし、これに2種の特定水溶液粘度を有する未変性PVAを配合したものである。以下、PVA系樹脂(A)が含有するアニオン性基変性PVA系樹脂(A1)、未変性PVA(A2)及び未変性PVA(A3)について説明する。
アニオン性基変性PVA系樹脂(A1)のアニオン性基の種類としては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられるが、耐薬品性及び経時安定性の点で、カルボキシル基、スルホン酸基が好ましく、特にはカルボキシル基が好ましい。
未変性PVAは、通常ビニルエステル系化合物を重合して得られるビニルエステル系重合体をケン化することにより製造することができる。本発明で用いる未変性PVA(A2)及び未変性PVA(A3)も同様に製造することができる。かかるビニルエステル系化合物としては、前記アニオン性基変性PVA系樹脂(A1)と同様のものを用いることができ、また、重合方法及びケン化もアニオン性基変性PVA系樹脂(A1)と同様の方法で行うことができる。
なお、本発明において4重量%水溶液粘度は、JIS K 6726 3.11.2に準拠して測定される値である。
本発明においては、水溶性フィルムに可塑剤(B)を含有させることが水溶性フィルムに柔軟性を持たせる点で好ましく、下記の2種の可塑剤(B)を併用することがより好ましい。
上記のなかでも、水溶性フィルムの引張強度の点で融点が85℃以上、特には90℃以上のものが好ましい。なお、融点の上限は300℃、特には200℃が好ましい。
かかる可塑剤(b1)が少なすぎると水溶性フィルムが柔らかくなりすぎて、ブロッキングが生じやすくなる傾向があり、多すぎると水溶性フィルムが硬くなりすぎる傾向があり、低湿環境下でもろくなる傾向がある。また、可塑剤(b2)が少なすぎると水溶性フィルムが硬くなりすぎる傾向があり、低湿環境下でもろくなる傾向があり、多すぎると水溶性フィルムが柔らかくなりすぎて、ブロッキングが生じやすくなる傾向がある。
本発明で用いられるフィラー(C)は、耐ブロッキング性の目的で含有されるものであり、具体例としては、無機フィラーや有機フィラーが挙げられ、中でも有機フィラーが好ましい。また、平均粒子径としては、0.1〜50μmであることが好ましく、更には0.5〜40μmであることが好ましい。なお、上記平均粒子径は、例えば、レーザ回折式粒度分布測定装置等で測定することができる。
本発明で用いられる界面活性剤(D)としては、水溶性フィルム製造時のキャスト面からの剥離性改善の目的で含有されるものであり、通常、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤が挙げられる。ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルノニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルモノエタノールアミン塩、ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル、ポリオキシエチレンステアリルアミノエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアミノエーテル等が挙げられ、1種または2種以上併用して用いられる。なかでも、製造安定性の点でポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルモノエタノールアミン塩、ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテルが好適である。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
本発明の水溶性フィルムの厚みとしては、用途等により適宜選択されるものであるが、好ましくは10〜120μm、更には30〜110μm、特には45〜100μmであることが好ましい。かかる厚みが薄すぎるとPVA系フィルムの機械的強度が低下する傾向があり、厚すぎると水への溶解速度が遅くなる傾向があり、製膜効率も低下する傾向がある。
なお、上記含水率は、JIS K 6726 3.4に準拠して測定され、得られた揮発分の値を含水率とする。
溶解温度が、高温溶解の場合には、通常80〜100℃、好ましくは90〜100℃であり、加圧溶解の場合には、通常80〜130℃、好ましくは90〜120℃である。
溶解時間としては、通常1〜20時間、好ましくは2〜15時間、更に好ましくは3〜10時間である。溶解時間が短すぎると未溶解物が残る傾向にあり、長すぎると生産性が低下する傾向にある。
更に、溶解した後、得られた製膜原料に対して脱泡処理が行われるが、かかる脱泡方法としては、例えば、静置脱泡、真空脱泡、二軸押出脱泡等が挙げられる。なかでも静置脱泡、二軸押出脱泡が好ましい。
静置脱泡の温度としては、通常50〜100℃、好ましくは70〜95℃であり、脱泡時間は、通常2〜30時間、好ましくは5〜20時間である。
例えば、下記の製膜条件にて行うことができる。
また、熱処理においては、熱ロールにて行うこともできるが、その他、フローティングや遠赤処理等も挙げられる。とりわけ、熱ロールにて行うことが生産性の点で好ましい。熱処理温度としては、50〜150℃であることが好ましく、特には70〜130℃であることが好ましく、熱処理時間としては、1〜60秒であることが好ましく、特には3〜50秒、更には5〜40秒であることが好ましい。
かかる凹凸加工に際しては、加工温度は、通常60〜150℃であり、好ましくは80〜140℃である。加工圧力は、通常2〜8MPa、好ましくは3〜7MPaである。加工時間は、上記加工圧力、製膜速度にもよるが、通常0.01〜5秒であり、好ましくは0.1〜3秒である。
また、必要に応じて、凹凸加工処理の後に、熱によるフィルムの意図しない延伸を防止するために、冷却処理を施してもよい。
芯管(S1)の内径は、3〜30cmが好ましく、より好ましくは10〜20cmである。
芯管(S1)の肉厚は、1〜30mmが好ましく、より好ましくは2〜25mmである。
芯管(S1)の長さは、フィルムの幅より長くすることが必要で、フィルムロールの端部から1〜50cm突出するようにするのが好ましい。
芯管(S2)の内径は、3〜30cmが好ましく、より好ましくは10〜20cmである。
芯管(S2)の肉厚は、1〜30mmが好ましく、より好ましくは3〜25mmである。
芯管(S2)の長さは、製品のPVA系フィルム幅と同等或いはそれ以上の長さのものであればよく、好ましくは同等〜50cm長いものである。
かかるスリットに当たっては、シェア刃やレザー刃などを用いてスリットされるが、好ましくはシェア刃でスリットすることがスリット断面の平滑性の点で好ましい。
帯電防止剤としては、例えば、アルキルジエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、高級脂肪酸アルカノールアミド、ソルビタン脂肪酸エステル等が使用される。
保護パットの形状は、フィルムロールにあわせて、円盤状のシート、フィルムが実用的である。保護効果を顕著にするため発泡体、織物状、不織布状等の緩衝機能を付加させるのがよい。また、湿度からフィルムロールを守るため乾燥剤を別途封入したり、前記保護パットに積層または混入したりしておくこともできる。
保護パットの素材はプラスチックが有利であり、その具体例としては、例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。
市販されているシート状乾燥剤の例としては、株式会社アイディ製の「アイディシート」や品川化成株式会社製の「アローシート」、「ゼオシート」、ハイシート工業株式会社製の「ハイシートドライ」等がある。
ブラケットはベニヤ板やプラスチック板からなるものであり、その大きさはブラケットの四辺がフィルムロールの直径より大きいものであればよい。
また、上記一対のブラケットがぐらつかないように、両者を結束テープで固定するのが有利であり、そのときテープの移動や弛みが起こらないようにブラケットの側面(厚さ部分)にテープ幅と同程度のテープズレ防止溝を設けて置くのも実用的である。
本発明の薬剤包装体としては、水溶性フィルムからなる包装体内に液体薬剤が内包されてなるものである。薬剤包装体の大きさは、通常長さ10〜50mm、好ましくは20〜40mmである。また、水溶性フィルムからなる包装体のフィルムの厚みは、通常10〜120μm、好ましくは15〜110μm、より好ましくは20〜100μmである。内包される液体薬剤の量は、通常5〜50mL、好ましくは10〜40mLである。
なお、上記pH値は、JIS K 3362 8.3に準拠して測定される。また、水分量は、JIS K 3362 7.21.3に準じて測定される。
なお、例中「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。
・カルボキシル基変性PVA(A1−1):
20℃における4%水溶液粘度22mPa・s、平均ケン化度94モル%、
マレイン酸モノメチルエステルによる変性量2.0モル%
・未変性PVA(A2−1):
20℃における4%水溶液粘度40mPa・s、平均ケン化度88モル%
・未変性PVA(A3−1):
20℃における4%水溶液粘度5mPa・s、平均ケン化度88モル%
PVA系樹脂(A)として、カルボキシル基変性PVA(A1−1)を90部、未変性PVA(A2−1)を8部、未変性PVA(A3−1)を2部、可塑剤(B)として、ソルビトールを20部、グリセリンを20部、フィラー(C)として澱粉(平均粒子径20μm)を8部、界面活性剤(D)として、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルモノエタノールアミン塩を1.4部及び水を混合して、溶解処理をし、澱粉が分散した製膜原料(固形分濃度25%)を得た。
得られた製膜原料を80℃にて脱泡し、40℃まで冷やした。そのPVA水溶液をポリエチレンテレフタレートフィルム上に流延し、3mの乾燥室(105℃)の中を0.350m/分の速度で通過させ乾燥し、厚さ89μmのPVA系フィルム(水溶性フィルム)を得た。
得られたPVA系フィルム(水溶性フィルム)について、以下の通り測定を行った。
(測定試験片の調製)
上記PVA系フィルムを23℃、40%RHに24時間調湿を行った後、PVA系フィルムの幅方向における中央部から、PVA系フィルムを一辺がMD方向(流れ方向)と平行となるように50mm×50mmの正方形状にフィルムを切り出し、PVA系フィルム(1)とした。また、PVA系フィルムの幅方向における中央部から、MD方向(流れ方向)と平行な一辺が70mm、TD方向(幅方向)と平行な一辺が15mmの長方形となるようにフィルムを切り出し、PVA系フィルム(2)とした。
30cm角のガラス板上に、50mm×50mmに切り出した上記PVA系フィルム(1)をキャスト面を上側にして載せ、水を充分に含ませた綿棒(ジャストネオ社製:抗菌綿棒)でPVA系フィルム(1)に直径1cmの円形に水を塗布した。その後、もう1枚の15mm×70mmに切り出した上記PVA系フィルム(2)のキャスト面側を、水で濡らしてから5秒後のPVA系フィルム(1)の上に載せ、85gの重りをゆっくりのせてPVA系フィルム2枚を接着させた。
これを10秒間放置した後、下部のPVA系フィルム(1)は基板ガラスに固定し、上部のPVA系フィルム(2)の端面に、ばねばかりを取り付け、上方に2mm/秒の速さで引っ張ることで、剥離強度(g/15mm)を測定した。なお、測定は、23℃、40%RH環境下で行った。
実施例1において、表1に示す通りに変更した以外は同様に行い、PVA系フィルム(水溶性フィルム)を得た。
得られたPVA系フィルム(水溶性フィルム)について、実施例1と同様の評価を行った。
上記で得られた実施例1のPVA系フィルムについて、Engel社製包装体製造機を用いて、下記の手順にて薬剤包装体を作製した。
即ち、装置の下部にある金型(成型される包装体:縦45mm、横42mm、高さ30mm)の上に、PVA系フィルム(ボトムフィルム)を固定し、装置の上部にもPVA系フィルム(トップフィルム)を固定した。ボトムフィルムを10秒間、90℃の熱風を発生させるドライヤーで加熱し、ボトムフィルムを金型に真空成型した。その後、P&G社製の「アリエールパワージェルボール」に用いられている液体洗剤(グリセリン5.4%、プロピレングリコール22.6%、水分10.4%を含有)を成型されたPVA系フィルムに20mL投入した。トップフィルムに水を1.5g塗布し、トップフィルムとボトムフィルムを圧着した。30秒間圧着した後に、真空を解放し、薬剤包装体を得た。この得られた包装体の外観は、問題の無いものであった。
Claims (10)
- ポリビニルアルコール系樹脂(A)を含有する水溶性フィルムであって、ポリビニルアルコール系樹脂(A)が、アニオン性基変性ポリビニルアルコール系樹脂(A1)、20℃における4重量%水溶液粘度(α)が21〜80mPa・sの未変性ポリビニルアルコール(A2)及び20℃における4重量%水溶液粘度(β)が1〜20mPa・sの未変性ポリビニルアルコール(A3)を含有することを特徴とする水溶性フィルム。
- 未変性ポリビニルアルコール(A2)の20℃における4重量%水溶液粘度(α)と未変性ポリビニルアルコール(A3)の20℃における4重量%水溶液粘度(β)の差(α−β)が10〜50mPa・sであることを特徴とする水溶性フィルム。
- 未変性ポリビニルアルコール(A2)と未変性ポリビニルアルコール(A3)の含有割合(A2/A3)が1/9〜9/1(重量比)であることを特徴とする請求項1または2記載の水溶性フィルム。
- アニオン性基変性ポリビニルアルコール系樹脂(A1)100重量部に対して、未変性ポリビニルアルコール(A2)の含有量が1〜20重量部であり、未変性ポリビニルアルコール(A3)の含有量が0.5〜10重量部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
- 更に、可塑剤(B)を含有してなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
- 可塑剤(B)の含有量が、ポリビニルアルコール系樹脂(A)100重量部に対して20重量部以上であることを特徴とする請求項5記載の水溶性フィルム。
- 水溶性フィルムの含水率が3〜15重量%であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
- 薬剤包装に用いることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載の水溶性フィルムで、液体薬剤が包装されてなることを特徴とする薬剤包装体。
- 液体薬剤が、水に溶解または分散させた時のpH値が6〜12で、水分量が15重量%以下であることを特徴とする請求項9記載の薬剤包装体。
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