JP2018104563A - 水溶性フィルム及び薬剤包装体 - Google Patents

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Abstract

【課題】液体薬剤などの液体を包装して包装体とした状態であっても、シール部分の剥離強度が高く、そのために液体の液漏れもない包装体に有用な水溶性フィルムを提供する。【解決手段】ポリビニルアルコール系樹脂(A)を含有する水溶性フィルムであって、ポリビニルアルコール系樹脂(A)が、アニオン性基変性ポリビニルアルコール系樹脂(A1)、20℃における4重量%水溶液粘度(α)が21〜80mPa・sの未変性ポリビニルアルコール(A2)及び20℃における4重量%水溶液粘度(β)が1〜20mPa・sの未変性ポリビニルアルコール(A3)を含有することを特徴とする水溶性フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリビニルアルコール系樹脂(以下、ポリビニルアルコールを「PVA」と略記することがある。)を主体として含有してなる水溶性フィルム(以下、「PVA系フィルム」と記載することがある。)に関する。更に詳しくは、水シールした際のシール部分の剥離強度が高くシール性に優れ、そのために液体薬剤などの液体を包装して包装体とした状態であっても、液体の液漏れもない包装体に有用な水溶性フィルム及びそれを用いた薬剤包装体に関するものである。
PVA系フィルムは、熱可塑性樹脂でありながら水溶性を有するPVA系樹脂からなるフィルムであり、ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリオレフィンフィルム等の包装用フィルム等にも通常よく用いられる疎水性フィルムとは、フィルムの諸物性や手触り感等が大きく異なるものである。
そして、従来、PVA系樹脂の水溶性を活かして、農薬や洗剤等の各種薬剤をPVA系樹脂のフィルムからなる袋に入れた薬剤の分包(ユニット包装)が提案され、幅広い用途に用いられている。
かかる用途に用いる水溶性ユニット包装袋として、例えば、PVA100重量部に対して、可塑剤5〜30重量部、澱粉1〜10重量部及び界面活性剤0.01〜2重量部を配合してなる水溶性フィルム(例えば、特許文献1参照。)や、20℃における4重量%水溶液粘度が10〜35mPs・s、平均ケン化度80.0〜99.9モル%、アニオン性基変性量1〜10モル%のアニオン性基変性PVA系樹脂(A)100重量部に対して、可塑剤(B)20〜50重量部、フィラー(C)2〜30重量部、界面活性剤(D)0.01〜2.5重量部を含有してなる樹脂組成物からなる水溶性フィルム(例えば、特許文献2参照。)等が知られている。
特開2001−329130号公報 特開2004−161823号公報
しかしながら、上記特許文献1及び2に開示の水溶性フィルムは、液体洗剤などの液体を包装して包装体とした場合に、水シール部分の剥離強度が充分ではなく、液漏れなどが懸念されるものであり、更なる改良が求められるものであった。
そこで、本発明ではこのような背景下において、液体薬剤などの液体を包装して包装体とした状態であっても、水シール部分の剥離強度が高くシール性に優れ、そのために液体の液漏れがない包装体に有用な水溶性フィルム及び、前記水溶性フィルムで各種薬剤が包装されてなる薬剤包装体を提供する。
しかるに、本発明者はかかる事情に鑑み鋭意研究した結果、PVA系樹脂を主体とする水溶性フィルムにおいて、上記PVA系樹脂にアニオン性基変性PVA系樹脂と、20℃における4重量%水溶液粘度が異なる2種類の未変性PVA樹脂とを含有させることにより、液体薬剤等の液体を包装して薬剤包装体を作製する際の水シール性に優れることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、PVA系樹脂(A)を含有してなる水溶性フィルムであって、PVA系樹脂(A)が、アニオン性基変性PVA系樹脂(A1)、20℃における4重量%水溶液粘度(α)が21〜80mPa・sの未変性PVA(A2)及び20℃における4重量%水溶液粘度(β)が1〜20mPa・sの未変性PVA(A3)を含有する水溶性フィルムを第1の要旨とする。
更に、本発明では、前記水溶性フィルムを用いてなる薬剤包装体を第2の要旨とする。
本発明の水溶性フィルムは、PVA系樹脂(A)を含有してなる水溶性フィルムであって、PVA系樹脂(A)が、アニオン性基変性PVA系樹脂(A1)、20℃における4重量%水溶液粘度(α)が21〜80mPa・sの未変性PVA(A2)及び20℃における4重量%水溶液粘度(β)が1〜20mPa・sの未変性PVA(A3)を含有するため、液体薬剤などの液体を包装して薬剤包装体を作製する際の水シール性に優れる水溶性フィルムとすることができる。
そして、未変性PVA(A2)の20℃における4重量%水溶液粘度(α)と未変性PVA(A3)の20℃における4重量%水溶液粘度(β)の差(α−β)が10〜50mPa・sであると、より水シール性に優れる水溶性フィルムとすることができる。
また、未変性PVA(A2)と未変性PVA(A3)の含有割合(A2/A3)が1/9〜9/1(重量比)であると、一層水シール性に優れる水溶性フィルムとすることができる。
そして、アニオン性基変性PVA系樹脂(A1)100重量部に対して、未変性PVA(A2)の含有量が1〜20重量部であり、未変性PVA(A3)の含有量が0.5〜10重量部であると、一層水シール性に優れる水溶性フィルムとすることができる。
更に、可塑剤(B)を含有してなると、薬剤包装体とする場合に水溶性フィルムに柔軟性を持たせることができる。
また、可塑剤(B)の含有量が、PVA系樹脂(A)100重量部に対して20重量部以上であると、液体薬剤等の液体を包装して包装体とした状態であっても経時での水溶性フィルムの強靭さを損なわず、また、機械強度に優れるようになる。
そして、上記水溶性フィルムの含水率が3〜15重量%であると、より機械強度及びシール性により優れるようになる。
また、上記水溶性フィルムで、液体薬剤が包装されてなることを特徴とする薬剤包装体であると、水シール部分の剥離強度が高く、液体の液漏れがない薬剤包装体とすることができる。
さらに、上記液体薬剤が、水に溶解または分散させた時のpH値が6〜12で、水分量が15重量%以下であると、水溶性フィルムがゲル化したり不溶化することがなく水溶性に優れる。
以下、本発明の構成につき詳細に説明するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものであり、これらの内容に特定されるものではない。
なお、本発明において、(メタ)アクリルとはアクリルあるいはメタクリルを意味するものである。
<PVA系樹脂(A)>
本発明の水溶性フィルムは、通常PVA系樹脂(A)からなる。そのPVA系樹脂組成物(A)としては、アニオン性基変性PVA系樹脂(A1)を主成分とし、これに2種の特定水溶液粘度を有する未変性PVAを配合したものである。以下、PVA系樹脂(A)が含有するアニオン性基変性PVA系樹脂(A1)、未変性PVA(A2)及び未変性PVA(A3)について説明する。
〔アニオン性基変性PVA系樹脂(A1)〕
アニオン性基変性PVA系樹脂(A1)のアニオン性基の種類としては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられるが、耐薬品性及び経時安定性の点で、カルボキシル基、スルホン酸基が好ましく、特にはカルボキシル基が好ましい。
上記アニオン性基変性PVA系樹脂(A1)の変性量は、通常1〜10モル%、好ましくは2〜9モル%、特に好ましくは2〜8モル%、殊に好ましくは3〜7モル%である。かかる変性量が少なすぎると、水に対する溶解性が低下する傾向があり、多すぎるとPVA系樹脂の生産性が低下したり、生分解性が低下したりする傾向があり、また、ブロッキングを引き起こしやすくなる傾向がある。
上記アニオン性基変性PVA系樹脂(A1)の平均ケン化度は、通常85モル%以上、好ましくは88〜99モル%、特に好ましくは90〜97モル%である。かかる平均ケン化度が小さすぎると、包装対象である薬剤のpHによっては経時的に水溶性フィルムの水への溶解性が低下する傾向があり、平均ケン化度が大きすぎると製膜時の熱履歴により水への溶解性が大きく低下する傾向がある。なお、本発明において平均ケン化度は、JIS K 6726 3.5に準拠して測定される値である。
また、PVA系樹脂の重合度は一般的には、水溶性粘度で示すことができ、上記アニオン性基変性PVA系樹脂(A1)の20℃における4重量%水溶液粘度は、通常5〜50mPa・s、好ましくは13〜40mPa・s、特に好ましくは17〜30mPa・sである。かかる粘度が小さすぎると、包装材料としての水溶性フィルムの機械的強度が低下する傾向があり、大きすぎると製膜時の水溶液粘度が高く生産性が低下する傾向がある。なお、本発明において4重量%水溶液粘度は、JIS K 6726 3.11.2に準拠して測定される値である。
上記アニオン性基変性PVA系樹脂(A1)は、例えば、ビニルエステル系化合物と、ビニルエステル系化合物と共重合可能なアニオン性基を有する不飽和単量体とを共重合させた後、ケン化すること等により製造することができる。以下、好ましい変性種であるカルボキシ基変性PVA系樹脂について説明する。
上記カルボキシル基変性PVA系樹脂は、任意の方法で製造することができ、例えば、(i)カルボキシル基を有する不飽和単量体とビニルエステル系化合物を共重合した後にケン化する方法、(ii)カルボキシル基を有するアルコールやアルデヒドあるいはチオール等を連鎖移動剤として共存させてビニルエステル系化合物を重合した後にケン化する方法等が挙げられる。
上記(i)または(ii)の方法におけるビニルエステル系化合物としては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリル酸ビニル、バーサティック酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等があげられるが、酢酸ビニルを用いることが好ましい。上記ビニルエステル系化合物は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
上記(i)の方法におけるカルボキシル基を有する不飽和単量体としては、例えば、エチレン性不飽和ジカルボン酸(マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等)、またはエチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル(マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル等)、またはエチレン性不飽和ジカルボン酸ジエステル(マレイン酸ジアルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル等)〔但し、これらのジエステルは共重合体のケン化時に加水分解によりカルボキシル基に変化することが必要である。〕、またはエチレン性不飽和カルボン酸無水物(無水マレイン酸、無水イタコン酸等)、あるいはエチレン性不飽和モノカルボン酸((メタ)アクリル酸、クロトン酸等)等の単量体、及びそれらの塩が挙げられ、なかでもマレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステル、マレイン酸塩、無水マレイン酸、イタコン酸、イタコン酸モノアルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル、(メタ)アクリル酸等を用いることが好ましく、更には、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステル、マレイン酸塩、無水マレイン酸、特にはマレイン酸モノアルキルエステルを用いることが好ましい。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
上記(ii)の方法においては、特に連鎖移動効果の大きいチオールに由来する化合物が有効であり、例えば、以下の化合物があげられる。
Figure 2018104563
Figure 2018104563
Figure 2018104563
また、上記一般式(1)〜(3)で表される化合物の塩も挙げられる。具体的には、例えば、メルカプト酢酸塩、2−メルカプトプロピオン酸塩、3−メルカプトプロピオン酸塩、2−メルカプトステアリン酸塩等が挙げられる。これらの化合物は、単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
上記重合方法としては、例えば、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法等、公知の重合方法を任意に用いることができるが、通常、メタノール、エタノールあるいはイソプロピルアルコール等の低級アルコールを溶媒とする溶液重合法により行われる。かかる溶液重合において単量体の仕込み方法としては、まず、ビニルエステル系化合物の全量と、例えば上記のカルボキシル基を有する不飽和単量体の一部を仕込み、重合を開始し、残りの不飽和単量体を重合期間中に連続的にまたは分割的に添加する方法、上記のカルボキシル基を有する不飽和単量体を一括仕込みする方法等任意の方法を用いることができる。
重合触媒としては、重合方法に応じて、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系触媒、過酸化アセチル、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等の過酸化物触媒等の公知の重合触媒を適宜選択することができる。また、重合の反応温度は50℃〜重合触媒の沸点程度の範囲から選択される。
ケン化にあたっては、得られた共重合体をアルコールに溶解してケン化触媒の存在下に行なわれる。アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール等の炭素数1〜5のアルコールが挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。また、アルコール中の共重合体の濃度は、20〜50重量%の範囲から選択される。
ケン化触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート等のアルカリ金属の水酸化物やアルコラートの如きアルカリ触媒を用いることができ、また、酸触媒を用いることも可能である。ケン化触媒の使用量はビニルエステル系化合物に対して1〜100ミリモル当量にすることが好ましい。これらのケン化触媒は、単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
上記カルボキシル基変性PVA系樹脂の製造方法としては、上記方法に限らず、例えば、PVA系樹脂(部分ケン化物または完全ケン化物)にジカルボン酸、アルデヒドカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸等の水酸基と反応性のある官能基をもつカルボキシル基含有化合物を後反応させる方法等も実施可能である。
また、スルホン酸基で変性されたスルホン酸変性PVA系樹脂を用いる場合は、例えば、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホン酸またはその塩の共重合成分を、ビニルエステル系化合物と共重合した後、ケン化する方法、ビニルスルホン酸もしくはその塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸もしくはその塩等をPVA系樹脂にマイケル付加させる方法等により製造することができる。
なお、上記カルボキシル基を有する不飽和単量体、ビニルエステル系化合物以外に、その他の一般の単量体を、水溶性を損なわない範囲で含有させて重合を行なってもよく、これらの単量体としては、例えば、エチレン性不飽和カルボン酸のアルキルエステル、飽和カルボン酸のアリルエステル、α−オレフィン、アルキルビニルエーテル、アルキルアリルエーテル、その他に(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、塩化ビニル等を用いることができる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
〔未変性PVA(A2)及び未変性PVA(A3)〕
未変性PVAは、通常ビニルエステル系化合物を重合して得られるビニルエステル系重合体をケン化することにより製造することができる。本発明で用いる未変性PVA(A2)及び未変性PVA(A3)も同様に製造することができる。かかるビニルエステル系化合物としては、前記アニオン性基変性PVA系樹脂(A1)と同様のものを用いることができ、また、重合方法及びケン化もアニオン性基変性PVA系樹脂(A1)と同様の方法で行うことができる。
本発明において、上記未変性PVA(A2)と未変性PVA(A3)は、互いに粘度の異なる未変性PVAである。
上記未変性PVA(A2)の20℃における4重量%水溶液粘度(α)は、21〜80mPa・sであり、好ましくは25〜70mPa・s、特に好ましくは30〜60mPa・s、更に好ましくは35〜50mPa・sである。かかる粘度が小さすぎると、水シール時のシール強度が低下したり、フィルムの機械強度が低下したりする傾向があり、大きすぎると製膜時の水溶液粘度が高く生産性が低下する傾向がある。
また、未変性PVA(A3)の20℃における4重量%水溶液粘度(β)は、1〜20mPa・sであり、好ましくは2〜18mPa・s、特に好ましくは3〜15mPa・s、更に好ましくは4〜13mPa・sである。かかる粘度が小さすぎると、水シール時のシール強度が低下したり、フィルムの機械強度が低下したりする傾向があり、大きすぎると製膜時の水溶液粘度が高く生産性が低下する傾向がある。
更に、未変性PVA(A2)の20℃における4重量%水溶液粘度(α)と未変性PVA(A3)の20℃における4重量%水溶液粘度(β)の差(α−β)は、10〜50mPa・sであることが好ましく、更に好ましくは15〜45mPa・s、特に好ましくは20〜40mPa・sである。4重量%水溶液粘度の差が小さすぎると、水シール強度が低下する傾向があり、大きすぎると水溶性が低下する傾向がある。
上記未変性PVA(A2)及び未変性PVA(A3)の平均ケン化度は、通常80モル%以上、好ましくは82〜99モル%、特に好ましくは85〜90モル%である。かかる平均ケン化度が小さすぎると、包装対象である薬剤のpHによっては経時的に水溶性フィルムの水への溶解性が低下する傾向があり、平均ケン化度が大きすぎると製膜時の熱履歴により水への溶解性が大きく低下する傾向がある。
また、未変性PVA(A2)と未変性PVA(A3)の平均ケン化度は、同程度のものを用いることが好ましい。未変性PVA(A2)と未変性PVA(A3)との平均ケン化度の差は、好ましくは5モル%以内であり、特に好ましくは3モル%以内である。かかる平均ケン化度の差が大きすぎると、水への溶解性が低下する傾向がある。
本発明のPVA系樹脂(A)は、上記アニオン性基変性PVA系樹脂(A1)を主成分として未変性PVA(A2)及び未変性PVA(A3)を含有するものである。ここで、主成分とは、全体の過半を占める成分のことをいい、アニオン性基変性PVA系樹脂(A1)の含有量はPVA系樹脂(A)の70重量%以上が好ましく、80重量%以上含有させることがより好ましい。
PVA系樹脂(A)における未変性PVA(A2)の含有量は、アニオン性基変性PVA系樹脂(A1)100重量部に対して、1〜20重量部であることが好ましく、更に好ましくは3〜15重量部、特に好ましくは5〜13重量部、殊に好ましくは6〜10重量部である。また、PVA系樹脂(A)における未変性PVA(A3)の含有量は、アニオン性基変性PVA系樹脂(A1)100重量部に対して、0.5〜10重量部であることが好ましく、更に好ましくは1〜7重量部、特に好ましくは1.5〜5重量部、殊に好ましくは2〜4重量部である。かかる含有量が少なすぎると水シール強度が低下する傾向があり、含有量が多すぎると水溶性が低下する傾向がある。
また、未変性PVA(A2)と未変性PVA(A3)の含有割合(A2/A3)は、重量比で、通常1/9〜9/1、好ましくは5/5〜9/1、特に好ましくは6/4〜8/2である。未変性PVA(A3)に対して未変性PVA(A2)の含有割合が少なすぎると水シール強度が低下したり、機械強度が低下したりする傾向があり、多すぎると水溶性が低下する傾向がある。
上記PVA系樹脂(A)の20℃における4重量%水溶液粘度は、通常5〜50mPa・s、好ましくは13〜45mPa・s、特に好ましくは17〜40mPa・sである。かかる粘度が小さすぎると、水シール時のシール強度が低下する傾向があり、大きすぎると製膜時の水溶液粘度が高く生産性が低下する傾向がある。
なお、本発明において4重量%水溶液粘度は、JIS K 6726 3.11.2に準拠して測定される値である。
本発明においては、上記アニオン性基変性PVA系樹脂(A1)、未変性PVA(A2)及び未変性PVA(A3)以外の樹脂、例えば、ケン化度、粘度、変性種、変性量等が異なるPVA系樹脂を、本発明の効果を阻害しない範囲内でPVA系樹脂(A)に含有させてもよい。
〔可塑剤(B)〕
本発明においては、水溶性フィルムに可塑剤(B)を含有させることが水溶性フィルムに柔軟性を持たせる点で好ましく、下記の2種の可塑剤(B)を併用することがより好ましい。
かかる可塑剤(B)の1種は、融点が80℃以上である多価アルコール(b1)(以下、可塑剤(b1)と略記することがある。)であり、もう1種は、融点が50℃以下である多価アルコール(b2)(以下、可塑剤(b2)と略記することがある。)であることが水溶性フィルム製造時や包装体製造時の強靭さ及び液体薬剤用の包装体とした際の経時的な形状安定性の点で好ましい。
上記の融点が80℃以上である多価アルコール(b1)としては、糖アルコール、単糖類、多糖類の多くが適用可能であるが、なかでも、例えば、サリチルアルコール(83℃)、カテコール(105℃)、レゾルシノール(110℃)、ヒドロキノン(172℃)、ビスフェノールA(158℃)、ビスフェノールF(162℃)、ネオペンチルグリコール(127℃)等の2価アルコール、フロログルシノール(218℃)等の3価アルコール、エリスリトール(121℃)、トレイトール(88℃)、ペンタエリスリトール(260℃)等の4価アルコール、キシリトール(92℃)、アラビトール(103℃)、フシトール(153℃)、グルコース(146℃)、フルクトース(104℃)等の5価アルコール、マンニトール(166℃)、ソルビトール(95℃)、イノシトール(225℃)等の6価アルコール、ラクチトール(146℃)、スクロース(186℃)、トレハロース(97℃)等の8価アルコール、マルチトール(145℃)等の9価以上のアルコールが挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。なお、上記( )内は、各化合物の融点を示す。
上記のなかでも、水溶性フィルムの引張強度の点で融点が85℃以上、特には90℃以上のものが好ましい。なお、融点の上限は300℃、特には200℃が好ましい。
更に、本発明では、可塑剤(b1)のなかでも1分子中の水酸基の数が4個以上であることがPVA系樹脂との相溶性の点で好ましく、更に好ましくは5〜10個、特に好ましくは6〜8個であり、具体的には、例えば、ソルビトール、スクロース、トレハロース等が好適なものとして挙げられる。
また、本発明においては、可塑剤(b1)として、水溶性フィルムの強靭さの点で、分子量が150以上であることが好ましく、更には160〜500、特には180〜400であることが好ましく、具体的には、例えば、ソルビトール、スクロース等が好適なものとして挙げられる。
一方、融点が50℃以下である多価アルコール(b2)としては、脂肪族系アルコールの多くが適用可能であり、例えば、好ましくは、エチレングリコール(−13℃)、ジエチレングリコール(−11℃)、トリエチレングリコール(−7℃)、プロピレングリコール(−59℃)、テトラエチレングリコール(−5.6℃)、1,3−プロパンジオール(−27℃)、1,4−ブタンジオール(20℃)、1,6−ヘキサンジオール(40℃)、トリプロピレングリコール、分子量2000以下のポリエチレングリコール等の2価アルコール、グリセリン(18℃)、ジグリセリン、トリエタノールアミン(21℃)等の3価以上のアルコールが挙げられる。そして、水溶性フィルムの柔軟性の点で融点が30℃以下、特には20℃以下のものが好ましい。なお、融点の下限は通常−80℃であり、好ましくは−10℃、特に好ましくは0℃である。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。なお、上記( )内は、各化合物の融点を示す。
更に、本発明では、可塑剤(b2)のなかでも1分子中の水酸基の数が4個以下、特には3個以下であることが室温(25℃)近傍での柔軟性を制御しやすい点で好ましく、具体的には、例えば、グリセリン等が好適である。
また、本発明においては、可塑剤(b2)として、柔軟性を制御しやすい点で、分子量が100以下であることが好ましく、更には50〜100、特には60〜95であることが好ましく、具体的には、例えば、グリセリン等が挙げられる。
本発明においては、上記の可塑剤(b1)や(b2)以外の可塑剤(b3)を併用することもでき、かかる可塑剤(b3)としては、例えば、トリメチロールプロパン(58℃)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、カルビトール、ポリプロピレングリコール等のアルコール類、ジブチルエーテル等のエーテル類、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ソルビン酸、クエン酸、アジピン酸等のカルボン酸類、シクロヘキサノン等のケトン類、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、イミダゾール化合物等のアミン類、アラニン、グリシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ヒスチジン、リシン、システイン等のアミノ酸類等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
本発明では、可塑剤(B)の含有量は、PVA系樹脂(A)100重量部に対して、20重量部以上であることが好ましく、特には25〜70重量部、更には30〜60重量部、殊には35〜50重量部であることが好ましい。かかる可塑剤(B)の含有量が少なすぎると液体薬剤などの液体を包装して包装体とした場合に経時で水溶性フィルムの強靭さを損なう傾向がある。なお、多すぎると機械強度が低下する傾向にある。
上記の可塑剤(b1)と可塑剤(b2)について、その含有重量割合(b1/b2)が0.1〜5であることが好ましく、より好ましくは0.35〜4.5、特に好ましくは0.4〜4、更に好ましくは0.5〜3.5、殊に好ましくは0.7〜3である。かかる含有重量割合が小さすぎると水溶性フィルムが柔らかくなりすぎる傾向があり、低温でのシール強度が低下する傾向があり、また、ブロッキングが生じやすくなる傾向があり、大きすぎると水溶性フィルムが硬くなりすぎる傾向があり、低湿環境下でもろくなる傾向がある。
また、上記の可塑剤(b1)と可塑剤(b2)の含有量としては、PVA系樹脂(A)100重量部に対して、可塑剤(b1)が5〜40重量部、更には8〜30重量部、特には10〜25重量部であることが好ましく、可塑剤(b2)が5〜40重量部、更には10〜35重量部、特には15〜30重量部であることが好ましい。
かかる可塑剤(b1)が少なすぎると水溶性フィルムが柔らかくなりすぎて、ブロッキングが生じやすくなる傾向があり、多すぎると水溶性フィルムが硬くなりすぎる傾向があり、低湿環境下でもろくなる傾向がある。また、可塑剤(b2)が少なすぎると水溶性フィルムが硬くなりすぎる傾向があり、低湿環境下でもろくなる傾向があり、多すぎると水溶性フィルムが柔らかくなりすぎて、ブロッキングが生じやすくなる傾向がある。
更に、可塑剤(B)全体に対して、可塑剤(b1)及び可塑剤(b2)の合計量が70重量%以上であることが好ましく、更には80重量%以上、特には87重量%以上、殊には90重量%以上、更には95重量%以上であることが好ましい。殊に好ましくは可塑剤(B)全体が上記可塑剤(b1)及び可塑剤(b2)のみからなる場合である。かかる可塑剤(b1)と(b2)の合計量が少なすぎると機械強度が低下する傾向がある。
更に本発明においては、通常、更に、フィラー(C)や界面活性剤(D)等を含有させることが好ましい。
〔フィラー(C)〕
本発明で用いられるフィラー(C)は、耐ブロッキング性の目的で含有されるものであり、具体例としては、無機フィラーや有機フィラーが挙げられ、中でも有機フィラーが好ましい。また、平均粒子径としては、0.1〜50μmであることが好ましく、更には0.5〜40μmであることが好ましい。なお、上記平均粒子径は、例えば、レーザ回折式粒度分布測定装置等で測定することができる。
かかる無機フィラーとしては、その平均粒子径が1〜10μmのものであることが好ましく、かかる平均粒子径が小さすぎると水溶性フィルムの水中への分散性の効果が少ない傾向があり、大きすぎると水溶性フィルムを成型加工するときに引き伸ばされた際にピンホールとなったり、外観が低下したりする傾向がある。
無機フィラーの具体例としては、例えば、タルク、クレー、二酸化ケイ素、ケイ藻土、カオリン、雲母、アスベスト、石膏、グラファイト、ガラスバルーン、ガラスビーズ、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、ウィスカー状炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドーソナイト、ドロマイト、チタン酸カリウム、カーボンブラック、ガラス繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、加工鉱物繊維、炭素繊維、炭素中空球、ベントナイト、モンモリロナイト、銅粉、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸亜鉛、硫酸銅、硫酸鉄、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、硝酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸アルミニウム、塩化アンモニウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、リン酸ナトリウム、クロム酸カリウム、クエン酸カルシウム等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
有機フィラーとしては、その平均粒子径が0.5〜50μmのものであることが好ましく、より好ましくは1〜40μm、特に好ましくは2〜30μm、更に好ましくは3〜25μmである。かかる平均粒子径が小さすぎるとコストが高くなる傾向があり、大きすぎると水溶性フィルムが成型加工で引き伸ばされた際にピンホールとなる傾向がある。
かかる有機フィラーとしては、例えば、澱粉、メラミン系樹脂、ポリメチル(メタ)アクリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂の他、ポリ乳酸等の生分解性樹脂等が挙げられる。有機フィラーとして、特にはポリメチル(メタ)アクリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、澱粉等の生分解性樹脂が好適に用いられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
上記の澱粉としては、例えば、生澱粉(トウモロコシ澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、コムギ澱粉、キッサバ澱粉、サゴ澱粉、タピオカ澱粉、モロコシ澱粉、コメ澱粉、マメ澱粉、クズ澱粉、ワラビ澱粉、ハス澱粉、ヒシ澱粉等)、物理的変性澱粉(α−澱粉、分別アミロース、湿熱処理澱粉等)、酵素変性澱粉(加水分解デキストリン、酵素分解デキストリン、アミロース等)、化学分解変性澱粉(酸処理澱粉、次亜塩素酸酸化澱粉、ジアルデヒド澱粉等)、化学変性澱粉誘導体(エステル化澱粉、エーテル化澱粉、カチオン化澱粉、架橋澱粉等)等が挙げられる。なかでも入手の容易さや経済性の点から、生澱粉、とりわけトウモロコシ澱粉、コメ澱粉を用いることが好ましい。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
上記フィラー(C)の含有量については、PVA系樹脂(A)100重量部に対して1〜30重量部であることが好ましく、更には2〜25重量部、特には2.5〜20重量部であることが好ましい。かかる含有量が少なすぎると耐ブロッキング性が低下する傾向があり、多すぎると水溶性フィルムが成型加工で引き伸ばされた際にピンホールとなる傾向がある。
〔界面活性剤(D)〕
本発明で用いられる界面活性剤(D)としては、水溶性フィルム製造時のキャスト面からの剥離性改善の目的で含有されるものであり、通常、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤が挙げられる。ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルノニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルモノエタノールアミン塩、ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル、ポリオキシエチレンステアリルアミノエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアミノエーテル等が挙げられ、1種または2種以上併用して用いられる。なかでも、製造安定性の点でポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルモノエタノールアミン塩、ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテルが好適である。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
かかる界面活性剤(D)の含有量については、PVA系樹脂(A)100重量部に対して0.01〜3重量部であることが好ましく、更には0.1〜2.5重量部、特には0.5〜2重量部であることが好ましい。かかる含有量が少なすぎると製膜装置のキャスト面と製膜した水溶性フィルムとの剥離性が低下して生産性が低下する傾向があり、多すぎると水溶性フィルムを包装体とする場合に実施するシール時の接着強度が低下する等の不都合を生じる傾向がある。
なお、本発明においては、発明の目的を阻害しない範囲で、更に他の水溶性高分子(例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、デキストリン、キトサン、キチン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等)や、香料、防錆剤、着色剤、増量剤、消泡剤、紫外線吸収剤、流動パラフィン類、蛍光増白剤、苦味成分(例えば、安息香酸デナトニウム等)等を含有させることも可能である。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
また、本発明においては、黄変抑制の点で酸化防止剤を配合することが好ましい。かかる酸化防止剤としては、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸カルシウム、亜硫酸アンモニウム等の亜硫酸塩、酒石酸、アスコルビン酸、チオ硫酸ナトリウム、カテコール、ロンガリット等が挙げられ、なかでも亜硫酸塩、特には亜硫酸ナトリウムが好ましい。かかる配合量はPVA系樹脂(A)100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましく、更には0.2〜5重量部、特には0.3〜3重量部が好ましい。
<水溶性フィルム>
本発明の水溶性フィルムの厚みとしては、用途等により適宜選択されるものであるが、好ましくは10〜120μm、更には30〜110μm、特には45〜100μmであることが好ましい。かかる厚みが薄すぎるとPVA系フィルムの機械的強度が低下する傾向があり、厚すぎると水への溶解速度が遅くなる傾向があり、製膜効率も低下する傾向がある。
また、本発明においては、得られたPVA系フィルム(水溶性フィルム)の含水率は、機械強度やシール性の点で3〜15重量%であることが好ましく、特には5〜14重量%、更には6〜13重量%であることが好ましい。かかる含水率が低すぎるとフィルムが硬くなりすぎる傾向があり、高すぎるとブロッキングが生じやすくなる傾向がある。かかる含水率に調整するに際しては、乾燥条件や調湿条件を適宜設定することにより達成することができる。
なお、上記含水率は、JIS K 6726 3.4に準拠して測定され、得られた揮発分の値を含水率とする。
本発明の水溶性フィルムは、PVA系樹脂(A)を主体とし、好ましくは更に可塑剤(B)、必要に応じて更に、フィラー(C)及び界面活性剤(D)等を、水を用いて溶解または分散して製膜原料を調製し、製膜することにより得られる。かかる製膜に当たっては、例えば、溶融押出法や流延法等の方法を採用することができ、膜厚の精度の点で流延法が好ましい。ここで、主体とは、本発明の水溶性フィルムの特性に大きな影響を与える成分の意味であり、その成分の含有量は、通常、水を除いた製膜原料全体の30重量%以上、好ましくは50重量%以上である。
上記流延法においては、例えば、PVA系樹脂(A)(粉末)に上記の水を加えてPVA系樹脂を溶解させ、PVA系樹脂水溶液とし、好ましくは更に可塑剤(B)及びその他の配合物を加え、製膜原料を得る。或いは、PVA系樹脂(A)、好ましくは更に可塑剤(B)及び各種配合物を含有した樹脂組成物に水を加えて溶解させ、製膜原料を得る。かかる製膜原料の固形分濃度は、10〜50重量%であることが好ましく、特には15〜40重量%、更には20〜35重量%であることが好ましい。かかる濃度が低すぎると水溶性フィルムの生産性が低下する傾向があり、高すぎると粘度が高くなりすぎ、ドープの脱泡に時間を要したり、水溶性フィルム製膜時にダイラインが発生したりする傾向がある。
溶解方法としては、通常、常温溶解、高温溶解、加圧溶解等が採用され、なかでも、未溶解物が少なく、生産性に優れる点から高温溶解、加圧溶解が好ましい。
溶解温度が、高温溶解の場合には、通常80〜100℃、好ましくは90〜100℃であり、加圧溶解の場合には、通常80〜130℃、好ましくは90〜120℃である。
溶解時間としては、通常1〜20時間、好ましくは2〜15時間、更に好ましくは3〜10時間である。溶解時間が短すぎると未溶解物が残る傾向にあり、長すぎると生産性が低下する傾向にある。
また、溶解工程において、撹拌翼としては、例えば、パドル、フルゾーン、マックスブレンド、ツイスター、アンカー、リボン、プロペラ等が挙げられる。
更に、溶解した後、得られた製膜原料に対して脱泡処理が行われるが、かかる脱泡方法としては、例えば、静置脱泡、真空脱泡、二軸押出脱泡等が挙げられる。なかでも静置脱泡、二軸押出脱泡が好ましい。
静置脱泡の温度としては、通常50〜100℃、好ましくは70〜95℃であり、脱泡時間は、通常2〜30時間、好ましくは5〜20時間である。
上記製膜原料をT−ダイ等のスリットを通過させ、エンドレスベルトやドラムロールの金属表面やポリエチレンテレフタレートフィルム等のプラスチック基材表面等のキャスト面に流延し、乾燥し、必要に応じて更に熱処理して本発明のPVA系フィルムを得ることができる。
例えば、下記の製膜条件にて行うことができる。
製膜時における製膜原料の吐出部の温度は、60〜98℃であることが好ましく、特には70〜95℃である。かかる温度が低すぎると乾燥時間が長くなり生産性が低下する傾向があり、高すぎると発泡等が生じる傾向がある。
製膜に際して、製膜速度は3〜80m/分であることが好ましく、特には5〜60m/分、更には8〜50m/分であることが好ましい。
また、熱処理においては、熱ロールにて行うこともできるが、その他、フローティングや遠赤処理等も挙げられる。とりわけ、熱ロールにて行うことが生産性の点で好ましい。熱処理温度としては、50〜150℃であることが好ましく、特には70〜130℃であることが好ましく、熱処理時間としては、1〜60秒であることが好ましく、特には3〜50秒、更には5〜40秒であることが好ましい。
また、アプリケーターを用いて、製膜原料をポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンフィルム等のプラスチック基材あるいは金属基材上にキャストして、乾燥させてPVA系フィルムを得ることもできる。
本発明において、上記製膜は、例えば、10〜35℃、特には15〜30℃の環境下にて行うことが好ましい。なお、湿度については、通常70%RH以下である。
また、該PVA系フィルムの表面はプレーンであってもよいが、耐ブロッキング性、加工時の滑り性、製品同士の密着性軽減、及び外観の点から、PVA系フィルムの片面或いは両面にエンボス模様や微細凹凸模様、特殊彫刻柄等の凹凸加工を施しておくことも好ましい。
かかる凹凸加工に際しては、加工温度は、通常60〜150℃であり、好ましくは80〜140℃である。加工圧力は、通常2〜8MPa、好ましくは3〜7MPaである。加工時間は、上記加工圧力、製膜速度にもよるが、通常0.01〜5秒であり、好ましくは0.1〜3秒である。
また、必要に応じて、凹凸加工処理の後に、熱によるフィルムの意図しない延伸を防止するために、冷却処理を施してもよい。
本発明において、得られたPVA系フィルムは、芯管(S1)に巻き取ることによりフィルムロールとすることができる。得られたフィルムロールは、そのまま製品として供給することもできるが、好ましくは所望サイズのフィルム幅に見合った長さの芯管(S2)に巻き取り、フィルムロールとして供給する。
フィルムを巻き取る芯管(S1)は円筒状のもので、その材質は金属、プラスチック等、適宜選択できるが、堅牢性、強度の点で金属であることが好ましい。
芯管(S1)の内径は、3〜30cmが好ましく、より好ましくは10〜20cmである。
芯管(S1)の肉厚は、1〜30mmが好ましく、より好ましくは2〜25mmである。
芯管(S1)の長さは、フィルムの幅より長くすることが必要で、フィルムロールの端部から1〜50cm突出するようにするのが好ましい。
また、芯管(S2)は円筒状のもので、その材質は紙や金属、プラスチック等、適宜選択できるが、軽量化及び取扱いの点で紙であることが好ましい。
芯管(S2)の内径は、3〜30cmが好ましく、より好ましくは10〜20cmである。
芯管(S2)の肉厚は、1〜30mmが好ましく、より好ましくは3〜25mmである。
芯管(S2)の長さは、製品のPVA系フィルム幅と同等或いはそれ以上の長さのものであればよく、好ましくは同等〜50cm長いものである。
芯管(S2)に巻き取る際には、PVA系フィルムは所望の幅にスリットされる。
かかるスリットに当たっては、シェア刃やレザー刃などを用いてスリットされるが、好ましくはシェア刃でスリットすることがスリット断面の平滑性の点で好ましい。
本発明においては、得られたフィルムロールを水蒸気バリヤー性樹脂の包装フィルムで包装するのであるが、かかるフィルムとしては特に限定されないが、透湿度が10g/m2/日(JIS Z 0208に準じて測定)以下のものが使用可能である。具体例としては、例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニリデンコートポリブロピレン、ガラス蒸着ポリエステル、等の単層フィルム、あるいはこれらの積層フィルム、又は割布、紙、不織布との積層フィルム等が挙げられる。積層フィルムとしては、例えば、ガラス蒸着ポリエステルとポリエチレンの積層フィルム、ポリ塩化ビニリデンコートポリブロピレンとポリエチレンの積層フィルム等が挙げられる。
かかるフィルムは、帯電防止処理しておくことも異物の混入を防ぐ点で好ましく、帯電防止剤はフィルムに練り込まれていても、表面にコーティングされていてもよい。練り込みの場合は樹脂に対して0.01〜5重量%程度、表面コーティングの場合は0.01〜1g/m2程度の帯電防止剤が使用される。
帯電防止剤としては、例えば、アルキルジエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、高級脂肪酸アルカノールアミド、ソルビタン脂肪酸エステル等が使用される。
次に、フィルムロールを水蒸気バリヤー性樹脂の包装フィルムで包装した上から、更にアルミニウム素材からなる包装フィルムを包装するのであるが、かかるフィルムとしては、アルミニウム箔、アルミニウム箔と耐湿性プラスチックフィルムの積層フィルム(例えばアルミニウム箔とポリエチレンフィルムの積層フィルム)、アルミニウム蒸着フィルムと耐湿性プラスチックフィルムの積層フィルム(例えば、アルミニウム蒸着ポリエステルフィルムとポリエチレンフィルムの積層フィルム)、アルミナ蒸着フィルムと耐湿性プラスチックフィルムの積層フィルム(例えば、アルミナ蒸着ポリエステルフィルムとポリエチレンフィルムの積層フィルム)等が挙げられ、本発明では特に、アルミニウム箔とポリオレフィンフィルムの積層フィルム、アルミニウム蒸着フィルムとポリオレフィンフィルムの積層フィルムが有用で、特には延伸ポリプロピレンフィルム/ポリエチレンフィルム/アルミニウム箔/ポリエチレンフィルムの構成よりなる積層フィルム、延伸ポリプロピレンフィルム/低密度ポリエチレンフィルム/アルミニウム箔の構成よりなる積層フィルム等が有用である。
包装に当たっては内側の水蒸気バリヤー性樹脂の包装フィルム、外側のアルミニウム素材からなる包装フィルムで順次包装を行い、幅方向に余った部分を芯管に押し込めばよい。
本発明のフィルムロールには、端部の傷付きやゴミ等の異物の付着を防止するため、直接、あるいは包装の後、フィルムロールの両端部に芯管貫通孔をもつ保護パットを装着させることができる。
保護パットの形状は、フィルムロールにあわせて、円盤状のシート、フィルムが実用的である。保護効果を顕著にするため発泡体、織物状、不織布状等の緩衝機能を付加させるのがよい。また、湿度からフィルムロールを守るため乾燥剤を別途封入したり、前記保護パットに積層または混入したりしておくこともできる。
保護パットの素材はプラスチックが有利であり、その具体例としては、例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。
また、上記乾燥剤入りの保護パッドとしては、例えば、塩化カルシウム、シリカゲル、モレキュラーシーブス、糖類、特に浸透圧の高い糖類、吸水性樹脂等の乾燥剤または吸水剤を天然セルロース類、合成セルロース類、ガラスクロス、不織布等の成形可能な材料に分散、含浸、塗布乾燥した吸湿層としたもの、これらの吸湿剤または吸水剤を上記の成形可能な材料やポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、テフロン(登録商標)フィルム等の熱可塑性樹脂フィルムでサンドイッチ状に挟んだりしたものが挙げられる。
市販されているシート状乾燥剤の例としては、株式会社アイディ製の「アイディシート」や品川化成株式会社製の「アローシート」、「ゼオシート」、ハイシート工業株式会社製の「ハイシートドライ」等がある。
かかる手段によって包装されたフィルムロールは、芯管の両端突出部にブラケット(支持板)を設けたり、該両端突出部を架台に載置したりして支えられ、接地することなく、いわゆる宙に浮いた状態で保管や輸送が行われることが好ましい。フィルムの幅が比較的小さい場合はブラケットが、フィルムの幅が比較的大きい場合は架台が使用される。
ブラケットはベニヤ板やプラスチック板からなるものであり、その大きさはブラケットの四辺がフィルムロールの直径より大きいものであればよい。
そして、前記フィルムロールの両端の芯管突出部に一対のブラケットを互いに向かい合うように直立して配置、嵌合させフィルムロールに設けられる。嵌合は、ブラケットの中央部に芯管直径よりやや大きめのくりぬき穴を設けたり、芯管が挿入し易いようにブラケットの上部から中心部までU字型にくりぬかれていてもよい。
ブラケットで支持されたフィルムロールは段ボール箱等のカートンに収納されて保管や輸送がされるが、収納時の作業を円滑にするため矩形のブラケットを使用するときはその四隅を切り落として置くことが好ましい。
また、上記一対のブラケットがぐらつかないように、両者を結束テープで固定するのが有利であり、そのときテープの移動や弛みが起こらないようにブラケットの側面(厚さ部分)にテープ幅と同程度のテープズレ防止溝を設けて置くのも実用的である。
包装したフィルムロールの保管または輸送にあたっては、極端な高温や低温、低湿度、高湿度条件を避けるのが望ましく、具体的には温度10〜30℃、湿度40〜75%RHであるのがよい。
かくして得られた本発明の水溶性フィルムは、各種の包装用途等に有用であり、中でも薬剤等のユニット包装用途に有用である。薬剤としては、特に制限はなく、アルカリ性、中性、酸性のいずれであってもよく、薬剤の形状も顆粒、錠剤、粉体、粉末、液状等いずれの形状でもよいが、特には、水に溶解または分散させて用いる薬剤が好ましく、とりわけ液体薬剤を包装するのに有用である。
<薬剤包装体>
本発明の薬剤包装体としては、水溶性フィルムからなる包装体内に液体薬剤が内包されてなるものである。薬剤包装体の大きさは、通常長さ10〜50mm、好ましくは20〜40mmである。また、水溶性フィルムからなる包装体のフィルムの厚みは、通常10〜120μm、好ましくは15〜110μm、より好ましくは20〜100μmである。内包される液体薬剤の量は、通常5〜50mL、好ましくは10〜40mLである。
上記液体薬剤としては、水に溶解または分散させた時のpH値が6〜12であることが好ましく、特には7〜11が好ましく、水分量が15重量%以下であることが好ましく、特には0.1〜10重量%、更には0.1〜7重量%であるものが好ましく、フィルムがゲル化したり不溶化することがなく水溶性に優れることとなる。
なお、上記pH値は、JIS K 3362 8.3に準拠して測定される。また、水分量は、JIS K 3362 7.21.3に準じて測定される。
また、液体薬剤としては、衣類等の洗濯や食器等の洗剤等、各種の洗浄や殺菌、表面仕上げ等に用いられる液状の薬剤が挙げられる。具体的には、例えば、液体洗剤、柔軟仕上げ剤、芳香仕上げ剤、漂白・殺菌剤等が挙げられ、なかでも、液体洗剤が好適である。
本発明の薬剤包装体は、その表面が、耐ブロッキング性、加工時の滑り性、製品(包装体)同士の密着性軽減、及び外観の点から、包装体(水溶性フィルム)の外表面にエンボス模様や微細凹凸模様、特殊彫刻柄、等の凹凸加工が施されたものであることが好ましいが、平滑であってもよい。
また、液体薬剤を包装した本発明の薬剤包装体は、保存の際には液体薬剤を内包した形状が保持されている。そして、使用時(洗濯時)には、包装体(水溶性フィルム)が水と接触することにより、包装体が溶解して内包されている液体薬剤が包装体から流出することとなる。
本発明の水溶性フィルムを用いて、液体薬剤を包装して包装体とするに際しては、公知の方法を採用することができる。例えば、(1)熱シールする方法、(2)水シールする方法、(3)糊シールする方法などが挙げられ、中でも(2)水シールの方法が汎用的で有用である。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
なお、例中「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。
実施例に先立って、以下のカルボキシル基変性PVA並びに20℃における4%水溶液粘度の異なる未変性PVA2種類を用意した。
・カルボキシル基変性PVA(A1−1):
20℃における4%水溶液粘度22mPa・s、平均ケン化度94モル%、
マレイン酸モノメチルエステルによる変性量2.0モル%
・未変性PVA(A2−1):
20℃における4%水溶液粘度40mPa・s、平均ケン化度88モル%
・未変性PVA(A3−1):
20℃における4%水溶液粘度5mPa・s、平均ケン化度88モル%
<実施例1>
PVA系樹脂(A)として、カルボキシル基変性PVA(A1−1)を90部、未変性PVA(A2−1)を8部、未変性PVA(A3−1)を2部、可塑剤(B)として、ソルビトールを20部、グリセリンを20部、フィラー(C)として澱粉(平均粒子径20μm)を8部、界面活性剤(D)として、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルモノエタノールアミン塩を1.4部及び水を混合して、溶解処理をし、澱粉が分散した製膜原料(固形分濃度25%)を得た。
得られた製膜原料を80℃にて脱泡し、40℃まで冷やした。そのPVA水溶液をポリエチレンテレフタレートフィルム上に流延し、3mの乾燥室(105℃)の中を0.350m/分の速度で通過させ乾燥し、厚さ89μmのPVA系フィルム(水溶性フィルム)を得た。
得られたPVA系フィルム(水溶性フィルム)について、以下の通り測定を行った。
〔水シール部分の剥離強度〕
(測定試験片の調製)
上記PVA系フィルムを23℃、40%RHに24時間調湿を行った後、PVA系フィルムの幅方向における中央部から、PVA系フィルムを一辺がMD方向(流れ方向)と平行となるように50mm×50mmの正方形状にフィルムを切り出し、PVA系フィルム(1)とした。また、PVA系フィルムの幅方向における中央部から、MD方向(流れ方向)と平行な一辺が70mm、TD方向(幅方向)と平行な一辺が15mmの長方形となるようにフィルムを切り出し、PVA系フィルム(2)とした。
(剥離強度の測定)
30cm角のガラス板上に、50mm×50mmに切り出した上記PVA系フィルム(1)をキャスト面を上側にして載せ、水を充分に含ませた綿棒(ジャストネオ社製:抗菌綿棒)でPVA系フィルム(1)に直径1cmの円形に水を塗布した。その後、もう1枚の15mm×70mmに切り出した上記PVA系フィルム(2)のキャスト面側を、水で濡らしてから5秒後のPVA系フィルム(1)の上に載せ、85gの重りをゆっくりのせてPVA系フィルム2枚を接着させた。
これを10秒間放置した後、下部のPVA系フィルム(1)は基板ガラスに固定し、上部のPVA系フィルム(2)の端面に、ばねばかりを取り付け、上方に2mm/秒の速さで引っ張ることで、剥離強度(g/15mm)を測定した。なお、測定は、23℃、40%RH環境下で行った。
得られた実施例1のPVA系フィルムの水シール部分の剥離強度は、130g/15mmであり、良好なシール性を有するものであった。
<実施例2、比較例1,2>
実施例1において、表1に示す通りに変更した以外は同様に行い、PVA系フィルム(水溶性フィルム)を得た。
得られたPVA系フィルム(水溶性フィルム)について、実施例1と同様の評価を行った。
実施例及び比較例の評価結果を下記表1に示す。
Figure 2018104563
上記実施例においては、水シール部分の剥離強度が高くシール性に優れたフィルムとなっており、そのため液体薬剤等の液体を包装して薬剤剤包装体とした状態であっても、液体の液漏れの心配がないものであった。これに対して、比較例においては、水シール部分の剥離強度が低くシール性に劣るものであるため液漏れの懸念が残るものであった。
〔薬剤包装体の作製〕
上記で得られた実施例1のPVA系フィルムについて、Engel社製包装体製造機を用いて、下記の手順にて薬剤包装体を作製した。
即ち、装置の下部にある金型(成型される包装体:縦45mm、横42mm、高さ30mm)の上に、PVA系フィルム(ボトムフィルム)を固定し、装置の上部にもPVA系フィルム(トップフィルム)を固定した。ボトムフィルムを10秒間、90℃の熱風を発生させるドライヤーで加熱し、ボトムフィルムを金型に真空成型した。その後、P&G社製の「アリエールパワージェルボール」に用いられている液体洗剤(グリセリン5.4%、プロピレングリコール22.6%、水分10.4%を含有)を成型されたPVA系フィルムに20mL投入した。トップフィルムに水を1.5g塗布し、トップフィルムとボトムフィルムを圧着した。30秒間圧着した後に、真空を解放し、薬剤包装体を得た。この得られた包装体の外観は、問題の無いものであった。
本発明の水溶性フィルムは、水シールした際のシール部分の剥離強度が高くシール性に優れ、そのために液体薬剤などの液体を包装して包装体とした状態であっても、液体の液漏れもない包装体に有用な水溶性フィルムであり、特に薬剤等、とりわけ液体薬剤のユニット包装用途に有用である。

Claims (10)

  1. ポリビニルアルコール系樹脂(A)を含有する水溶性フィルムであって、ポリビニルアルコール系樹脂(A)が、アニオン性基変性ポリビニルアルコール系樹脂(A1)、20℃における4重量%水溶液粘度(α)が21〜80mPa・sの未変性ポリビニルアルコール(A2)及び20℃における4重量%水溶液粘度(β)が1〜20mPa・sの未変性ポリビニルアルコール(A3)を含有することを特徴とする水溶性フィルム。
  2. 未変性ポリビニルアルコール(A2)の20℃における4重量%水溶液粘度(α)と未変性ポリビニルアルコール(A3)の20℃における4重量%水溶液粘度(β)の差(α−β)が10〜50mPa・sであることを特徴とする水溶性フィルム。
  3. 未変性ポリビニルアルコール(A2)と未変性ポリビニルアルコール(A3)の含有割合(A2/A3)が1/9〜9/1(重量比)であることを特徴とする請求項1または2記載の水溶性フィルム。
  4. アニオン性基変性ポリビニルアルコール系樹脂(A1)100重量部に対して、未変性ポリビニルアルコール(A2)の含有量が1〜20重量部であり、未変性ポリビニルアルコール(A3)の含有量が0.5〜10重量部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
  5. 更に、可塑剤(B)を含有してなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
  6. 可塑剤(B)の含有量が、ポリビニルアルコール系樹脂(A)100重量部に対して20重量部以上であることを特徴とする請求項5記載の水溶性フィルム。
  7. 水溶性フィルムの含水率が3〜15重量%であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
  8. 薬剤包装に用いることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の水溶性フィルムで、液体薬剤が包装されてなることを特徴とする薬剤包装体。
  10. 液体薬剤が、水に溶解または分散させた時のpH値が6〜12で、水分量が15重量%以下であることを特徴とする請求項9記載の薬剤包装体。
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