JP2017115128A - 水溶性フィルム及び薬剤包装体 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の水溶性フィルムは、PVA系樹脂(A)を含有してなる水溶性フィルムである。
そして、本発明の水溶性フィルムは、JIS K2246−2007規定の人工指紋液に水溶性フィルムを20℃で30秒間浸漬した後のフィルムのヘイズ(H2%)と浸漬する前のフィルムのヘイズ(H1%)の差(H2−H1)が25(%)以下の水溶性フィルムである。かかるヘイズの差は、好ましくは22(%)以下、特に好ましくは20(%)以下である。
即ち、精製水500mL、メタノール 500mL、塩化ナトリウム7g、尿素1g、乳酸4gを撹拌混合して、JIS K2246−2007規定の人工指紋液を作製する。一方、PVA系フィルム(水溶性フィルム)を縦5cm、横5cmに切り出し、ヘイズ測定用の治具(縦3cm、横3cmの正方形の穴が空き、4辺が固定されるもの)に固定し、浸漬前のヘイズ(H1%)を測定する。これを治具に固定したまま、上記人工指紋液に20℃で30秒間浸漬した後、取り出し、表面の水分をキムワイプで拭き取った後、20℃、50%RH環境下に2分放置し、その後、ヘイズ(H2%)を測定する。そして、浸漬前後のヘイズの差(H2−H1)を算出する。
まず、本発明で用いられるPVA系樹脂(A)について説明する。
本発明で用いられるPVA系樹脂(A)としては、未変性PVAや変性PVA系樹脂が挙げられる。
上記の中でも、水溶性フィルムの引張強度の点で融点が85℃以上、特には90℃以上のものが好ましい。なお、融点の上限は300℃、特には200℃が好ましい。
かかる可塑剤(b1)が少なすぎると水溶性フィルムが柔らかくなりすぎて、ブロッキングが生じやすくなる傾向があり、多すぎると水溶性フィルムが硬くなりすぎる傾向があり、低湿環境下でもろくなる傾向がある。また、可塑剤(b2)が少なすぎると水溶性フィルムが硬くなりすぎる傾向があり、低湿環境下でもろくなる傾向があり、多すぎると水溶性フィルムが柔らかくなりすぎて、ブロッキングが生じやすくなる傾向がある。
溶解方法としては、通常、常温溶解、高温溶解、加圧溶解等が採用され、中でも、未溶解物が少なく、生産性に優れる点から高温溶解、加圧溶解が好ましい。
溶解温度が、高温溶解の場合には、通常80〜100℃、好ましくは90〜100℃であり、加圧溶解の場合には、通常80〜130℃、好ましくは90〜120℃である。
溶解時間としては、通常1〜20時間、好ましくは2〜15時間、更に好ましくは3〜10時間である。溶解時間が短すぎると未溶解物が残る傾向にあり、長すぎると生産性が低下する傾向にある。
更に、溶解した後、得られたPVA系樹脂水溶液に対して脱泡処理が行われるが、かかる脱泡方法としては、例えば、静置脱泡、真空脱泡、二軸押出脱泡等が挙げられる。中でも静置脱泡、二軸押出脱泡が好ましい。
静置脱泡の温度としては、通常50〜100℃、好ましくは70〜95℃であり、脱泡時間は、通常2〜30時間、好ましくは5〜20時間である。
例えば、下記の製膜条件にて行うことができる。
また、熱処理においては、熱ロールにて行うこともできるが、その他、フローティングや遠赤処理等も挙げられる。とりわけ、熱ロールにて行うことが生産性の点で好ましい。熱処理温度としては、50〜150℃であることが好ましく、特には70〜130℃であることが好ましく、熱処理時間としては、1〜60秒であることが好ましく、特には3〜50秒、更には5〜40秒であることが好ましい。
かかる凹凸加工に際しては、加工温度は、通常60〜150℃であり、好ましくは80〜140℃である。加工圧力は、通常2〜8MPa、好ましくは3〜7MPaである。加工時間は、上記加工圧力、製膜速度にもよるが、通常0.01〜5秒であり、好ましくは0.1〜3秒である。
また、必要に応じて、凹凸加工処理の後に、熱によるフィルムの意図しない延伸を防止するために、冷却処理を施してもよい。
なお、上記含水率は、JIS K 6726 3.4に準拠して測定され、得られた揮発分の値を含水率とする。
芯管(S1)の内径は、3〜30cmが好ましく、より好ましくは10〜20cmである。
芯管(S1)の肉厚は、1〜30mmが好ましく、より好ましくは2〜25mmである。
芯管(S1)の長さは、フィルムの幅より長くすることが必要で、フィルムロールの端部から1〜50cm突出するようにするのが好ましい。
芯管(S2)の内径は、3〜30cmが好ましく、より好ましくは10〜20cmである。
芯管(S2)の肉厚は、1〜30mmが好ましく、より好ましくは3〜25mmである。
芯管(S2)の長さは、製品のPVA系フィルム幅と同等或いはそれ以上の長さのものであればよく、好ましくは同等〜50cm長いものである。
かかるスリットに当たっては、シェア刃やレザー刃などを用いてスリットされるが、好ましくはシェア刃でスリットすることがスリット断面の平滑性の点で好ましい。
帯電防止剤としては、例えば、アルキルジエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、高級脂肪酸アルカノールアミド、ソルビタン脂肪酸エステル等が使用される。
包装に当たっては内側の水蒸気バリヤー性樹脂の包装フィルム、外側のアルミニウム素材からなる包装フィルムで順次包装を行い、幅方向に余った部分を芯管に押し込めばよい。
保護パットの形状は、フィルムロールにあわせて、円盤状のシート、フィルムが実用的である。保護効果を顕著にするため発泡体、織物状、不織布状等の緩衝機能を付加させるのが良い。又、湿度からフィルムロールを守るため乾燥剤を別途封入したり、前記保護パットに積層又は混入したりしておくこともできる。
保護パットの素材はプラスチックが有利であり、その具体例としては、例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。
市販されているシート状乾燥剤の例としては、株式会社アイディ製の「アイディシート」や品川化成株式会社製の「アローシート」、「ゼオシート」、ハイシート工業株式会社製の「ハイシートドライ」等がある。
ブラケットはベニヤ板やプラスチック板からなるものであり、その大きさはブラケットの4辺がフィルムロールの直径より大きいものであればよい。
また、上記一対のブラケットがぐらつかないように、両者を結束テープで固定するのが有利であり、そのときテープの移動や弛みが起こらないようにブラケットの側面(厚さ部分)にテープ幅と同程度のテープズレ防止溝を設けて置くのも実用的である。
なお、上記pH値は、JIS K 3362 8.3に準拠して測定される。また、水分量は、JIS K 3362 7.21.3に準じて測定される。
本発明の薬剤包装体としては、水溶性フィルムからなる包装体内に薬剤、とりわけ液体洗剤が内包されてなるものである。薬剤包装体の大きさは、通常長さ10〜50mm、好ましくは20〜40mmである。また、水溶性フィルムからなる包装体のフィルムの厚みは、通常10〜120μm、好ましくは15〜110μm、より好ましくは20〜100μmである。内包される薬剤、とりわけ液体洗剤の量は、通常5〜50mL、好ましくは10〜40mLである。
尚、例中「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。
・カルボキシル基変性PVA(A1):20℃における4%水溶液粘度22mPa・s、平均ケン化度94モル%、マレイン酸モノメチルエステルによる変性量2.0モル%
・カルボキシル基変性PVA(A2):20℃における4%水溶液粘度22mPa・s、平均ケン化度96モル%、マレイン酸モノメチルエステルによる変性量4.0モル%
・未変性PVA(A3):20℃における4%水溶液粘度18mPa・s、平均ケン化度88モル%
・未変性PVA(A4):20℃における4%水溶液粘度22mPa・s、平均ケン化度88モル%
・未変性PVA(A5):20℃における4%水溶液粘度5mPa・s、平均ケン化度88モル%
・ソルビトール(b1)
・グリセリン(b2)
・トリメチロールプロパン(b3)
PVA系樹脂(A)として、20℃における4%水溶液粘度22mPa・s、平均ケン化度94モル%、マレイン酸モノメチルエステルによる変性量2.0モル%のカルボキシル基変性PVA(A1)を90部、20℃における4%水溶液粘度18mPa・s、平均ケン化度88モル%の未変性PVA(A3)を10部、可塑剤(B)として、ソルビトール(b1)を20部及びグリセリン(b2)を20部、フィラー(C)として澱粉(平均粒子径20μm)を8部、界面活性剤(D)として、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルモノエタノールアミン塩を2部及び水を混合して、溶解処理をし、澱粉が分散したPVA水溶液(固形分濃度25%)を得た。
得られたPVA水溶液を80℃にて脱泡し、40℃まで冷やした。そのPVA水溶液をポリエチレンテレフタレートフィルム上に流延し、3mの乾燥室(105℃)の中を0.350m/分の速度で通過させ乾燥し、厚さ89μmのPVA系フィルム(水溶性フィルム)を得た。
上記で得られたPVA系フィルム(水溶性フィルム)について、以下の測定を行った。
精製水500mL、メタノール 500mL、塩化ナトリウム7g、尿素1g、乳酸4gを撹拌混合して、JIS K2246−2007規定の人工指紋液を作製した。一方、PVA系フィルム(水溶性フィルム)を縦5cm、横5cmに切り出し、ヘイズ測定用の治具(縦3cm、横3cmの正方形の穴が空き、4辺が固定されるもの)に固定し、浸漬前のヘイズ(H1%)を、日本電色製ヘイズメーター「NDH−4000」にて測定した。これを治具に固定したまま、上記人工指紋液に20℃で30秒間浸漬した後、取り出し、表面の水分をキムワイプで拭き取った後、20℃、50%RH環境下に2分放置し、その後、ヘイズ(H2%)を同様に測定した。そして、浸漬前後のヘイズの差(H2−H1)を算出した。
実施例1において、表1に示す通りに変更した以外は同様に行い、PVA系フィルム(水溶性フィルム)を得た。
得られた実施例2〜3および比較例1のPVA系フィルム(水溶性フィルム)について、実施例1と同様の評価を行った。
かかる結果より、実施例の水溶性フィルムを用いて、例えば、液体洗剤を包装して包装体とした場合でも、汗や皮脂、指紋などの汚染に対する耐性を有し、良好な包装体となることがわかる。
Claims (9)
- ポリビニルアルコール系樹脂(A)を含有してなる水溶性フィルムであって、JIS K2246−2007規定の人工指紋液に水溶性フィルムを20℃で30秒間浸漬した後のフィルムのヘイズ(H2%)と浸漬する前のフィルムのヘイズ(H1%)の差(H2−H1)が25(%)以下であることを特徴とする水溶性フィルム。
- ポリビニルアルコール系樹脂(A)が、アニオン性基変性ポリビニルアルコール系樹脂(a1)及び未変性ポリビニルアルコール(a2)を含有してなることを特徴とする請求項1記載の水溶性フィルム。
- 可塑剤(B)を含有してなることを特徴とする請求項1または2記載の水溶性フィルム。
- 可塑剤(B)が、融点が80℃以上である多価アルコール(b1)と、融点が50℃以下である多価アルコール(b2)を含有してなることを特徴とする請求項3記載の水溶性フィルム。
- 可塑剤(B)の含有量が、ポリビニルアルコール系樹脂(A)100重量部に対して20重量部以上であることを特徴とする請求項3または4記載の水溶性フィルム。
- 水溶性フィルムの含水率が3〜15重量%であることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の水溶性フィルム。
- 薬剤包装に用いることを特徴とする請求項1〜6いずれか記載の水溶性フィルム。
- 請求項1〜7いずれか記載の水溶性フィルムで、液体洗剤が包装されてなることを特徴とする薬剤包装体。
- 液体洗剤が、水に溶解又は分散させた時のpH値が6〜12で、水分量が15重量%以下であることを特徴とする請求項8記載の薬剤包装体。
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