JP4627469B2 - 多層延伸フィルム - Google Patents
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を延伸してなる多層延伸フィルムが上記の目的に合致することを見出して本発明を完成す
るに至った。
[化1]
−〔CH2−C(R1)〕−
|
(X)n
|
HO−C−R2 ・・・(1)
|
HO−C−R3
|
R4
(ここで、Xは結合鎖であってエーテル結合を除く任意の結合鎖で、R1〜R4はそれぞれ独立して任意の置換基であり、nは0または1を表す。)
本発明の多層延伸フィルムに使用されるEVOHは、上記の構造単位(1)、すなわち側鎖に1,2−グリコール結合を有する構造単位を含有することを特徴とするEVOHで、その分子鎖と1,2−グリコール結合構造とを結合する結合鎖(X)に関しては、エーテル結合を除くいずれの結合鎖を適応することも可能で、その結合鎖としては特に限定されないが、アルキレン、アルケニレン、アルキニレンの他、フェニレン、ナフチレン等の炭化水素(これらの炭化水素はフッ素、塩素、臭素等のハロゲン等で置換されていても良い)の他、−CO−、−COCO−、−CO(CH2)mCO−、−CO(C6H4)CO−、−S−、−CS−、−SO−、−SO2−、−NR−、−CONR−、−NRCO−、−CSNR−、−NRCS−、−NRNR−、−HPO4−、−Si(OR)2−、−OSi(OR)2−、−OSi(OR)2O−、−Ti(OR)2−、−OTi(OR)2−、−OTi(OR)2O−、−Al(OR)−、−OAl(OR)−、−OAl(OR)O−、等が挙げられるが(Rは各々独立して任意の置換基であり、水素原子、アルキル基が好ましく、またmは自然数である)、エーテル結合は溶融成形時に分解し、EVOHの熱溶融安定性が低下する点で好ましくない。その中でも熱溶融安定性の点では結合種としてはアルキレンが好ましく、さらには炭素数が6以下のアルキレンが好ましい。また、EVOHのガスバリア性能が良好となる点で、炭素数はより少ないものが好ましく、n=0である1,2−グリコール結合構造が直接、分子鎖に結合している構造が最も好ましい。また、R1〜R4に関しては任意の置換基であり、とくに限定されないが水素原子、アルキル基がモノマーの入手が容易である点で好ましく、さらには水素原子がEVOHのガスバリア性が良好である点で好ましい。
なお、上記の(2)式で示される化合物は、イーストマンケミカル社から、上記(3)式で示される化合物はイーストマンケミカル社やアクロス社から入手することができる。
また、共重合体中にエチレンを導入する方法としては通常のエチレン加圧重合を行えばよく、その導入量はエチレンの圧力によって制御することが可能であり、目的とするエチレン含有量により一概にはいえないが、通常は25〜80kg/cm2の範囲から選択される。
溶媒の使用量は、目的とする共重合体の重合度に合わせて、溶媒の連鎖移動定数を考慮して適宜選択すればよく、例えば、溶媒がメタノールの時は、S(溶媒)/M(モノマー)=0.01〜10(重量比)、好ましくは0.05〜7(重量比)程度の範囲から選択される。
また、共重合反応の反応温度は、使用する溶媒や圧力により40℃〜沸点程度の範囲から選択することが好ましい。
また、ケン化時の圧力は目的とするエチレン含有量により一概に言えないが、2〜7kg/cm2の範囲から選択され、このときの温度は80〜150℃、好ましくは100〜130℃から選択される。
ホウ酸金属塩としてはホウ酸カルシウム、ホウ酸コバルト、ホウ酸亜鉛(四ホウ酸亜鉛,メタホウ酸亜鉛等)、ホウ酸アルミニウム・カリウム、ホウ酸アンモニウム(メタホウ酸アンモニウム、四ホウ酸アンモニウム、五ホウ酸アンモニウム、八ホウ酸アンモニウム等)、ホウ酸カドミウム(オルトホウ酸カドミウム、四ホウ酸カドミウム等)、ホウ酸カリウム(メタホウ酸カリウム、四ホウ酸カリウム、五ホウ酸カリウム、六ホウ酸カリウム、八ホウ酸カリウム等)、ホウ酸銀(メタホウ酸銀、四ホウ酸銀等)、ホウ酸銅(ホウ酸第2銅、メタホウ酸銅、四ホウ酸銅等)、ホウ酸ナトリウム(メタホウ酸ナトリウム、二ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、五ホウ酸ナトリウム、六ホウ酸ナトリウム、八ホウ酸ナトリウム等)、ホウ酸鉛(メタホウ酸鉛、六ホウ酸鉛等)、ホウ酸ニッケル(オルトホウ酸ニッケル、二ホウ酸ニッケル、四ホウ酸ニッケル、八ホウ酸ニッケル等)、ホウ酸バリウム(オルトホウ酸バリウム、メタホウ酸バリウム、二ホウ酸バリウム、四ホウ酸バリウム等)、ホウ酸ビスマス、ホウ酸マグネシウム(オルトホウ酸マグネシウム、二ホウ酸マグネシウム、メタホウ酸マグネシウム、四ホウ酸三マグネシウム、四ホウ酸五マグネシウム等)、ホウ酸マンガン(ホウ酸第1マンガン、メタホウ酸マンガン、四ホウ酸マンガン等)、ホウ酸リチウム(メタホウ酸リチウム、四ホウ酸リチウム、五ホウ酸リチウム等)などの他、ホウ砂、カーナイト、インヨーアイト、コトウ石、スイアン石、ザイベリ石等のホウ酸塩鉱物などが挙げられ、好適にはホウ砂、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム(メタホウ酸ナトリウム、二ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、五ホウ酸ナトリウム、六ホウ酸ナトリウム、八ホウ酸ナトリウム等)があげられる。
またホウ素化合物の添加量としては、組成物中の全EVOH100重量部に対してホウ素換算で0.001〜1重量部(さらには0.002〜0.2重量部、特には0.005〜0.1重量部)とすることが好ましく、かかる添加量が0.001重量部未満ではその含有効果が十分に得られないことがあり、逆に1重量部を越えると得られる成形物の外観が悪化する傾向にあり好ましくない。
かかる乾燥方法としては、種々の乾燥方法を採用することが可能である。例えば、実質的にペレット状のEVOHが、機械的にもしくは熱風により撹拌分散されながら行われる流動乾燥や、実質的にペレット状のEVOHが、撹拌、分散などの動的な作用を与えられずに行われる静置乾燥が挙げられ、流動乾燥を行うための乾燥器としては、円筒・溝型撹拌乾燥器、円管乾燥器、回転乾燥器、流動層乾燥器、振動流動層乾燥器、円錐回転型乾燥器等が挙げられ、また、静置乾燥を行うための乾燥器として、材料静置型としては回分式箱型乾燥器が、材料移送型としてはバンド乾燥器、トンネル乾燥器、竪型乾燥器等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。流動乾燥と静置乾燥を組み合わせて行うことも可能である。
構造単位(1)を有するEVOHと構造単位が異なるEVOHとしては、例えばエチレン構造単位とビニルアルコール構造単位のみからなるEVOHや、EVOHの側鎖に2−ヒドロキシエトキシ基などの官能基を有する変性EVOHを挙げることができる。
また、エチレン含有量が異なるものを用いる場合、その構造単位は同じであっても異なっていても良いが、そのエチレン含有量差は1モル%以上(さらには2モル%以上、特には2〜20モル%)であることが好ましい。かかるエチレン含有量差が大きすぎると透明性が不良となる場合があり、好ましくない。
また、得られた多層延伸フィルムの23℃、80%RHにおける酸素透過度は5cc/m2・day・atm以下であることが好ましく、さらに屈曲テスト後の酸素透過度は10cc/m2・day・atm以下、さらには5cc/m2・day・atm以下であることが好ましい。
下記の方法によりEVOH組成物(A1)を得た。
冷却コイルを持つ1m3の重合缶に酢酸ビニルを500kg、メタノール35kg、アセチルパーオキシド500ppm(対酢酸ビニル)、クエン酸20ppm、および3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを14kgを仕込み、系を窒素ガスで一旦置換した後、次いでエチレンで置換して、エチレン圧が45kg/cm2となるまで圧入して、攪拌した後、67℃まで昇温して、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを15g/分で全量4.5kgを添加しながら重合し、重合率が50%になるまで6時間重合した。その後、重合反応を停止してエチレン含有量38モル%のエチレン−酢酸ビニル共重合体を得た。
1.0〜1.8ppm:メチレンプロトン(図1の積分値a)
1.87〜2.06ppm:メチルプロトン
3.95〜4.3ppm:構造(I)のメチレン側のプロトン+未反応の3,4−ジア セトキシ−1−ブテンのプロトン(図1の積分値b)
4.6〜5.1ppm:メチンプロトン+構造(I)のメチン側のプロトン(図1の積 分値c)
5.2〜5.9ppm:未反応の3,4−ジアセトキシ−1−ブテンのプロトン(図1 の積分値d)
5.2〜5.9ppmに4つのプロトンが存在するため、1つのプロトンの積分値はd/4、積分値bはジオールとモノマーのプロトンが含まれた積分値であるため、ジオールの1つのプロトンの積分値(A)は、A=(b−d/2)/2、積分値cは酢酸ビニル側とジオール側のプロトンが含まれた積分値であるため、酢酸ビニルの1つプロトンの積分値(B)は、B=1−(b−d/2)/2、積分値aはエチレンとメチレンが含まれた積分値であるため、エチレンの1つのプロトンの積分値(C)は、C=(a−2×A−2×B)/4=(a−2)/4と計算し、構造単位(1)の導入量は、100×{A/(A+B+C)} =100×(2×b−d)/(a+2)より算出した。
下記の方法によりEVOH組成物(A2)を得た。
重合例1において、メタノールの仕込み量を20kgとし、ホウ酸を添加しなかった以外は同様に行い、エチレン含有量38モル% ケン化度99.5モル%、リン酸二水素カルシウム含有量0.005重量部(リン酸根換算)、側鎖に1,2−グリコール結合を有する構造単位の導入量が2.5モル%、MFR=5.2g/10分のEVOH組成物(A2)を得た。
下記の方法によりEVOH組成物(A3)を得た。
重合例1の3,4−ジアセトキシ−1−ブテンの代わりに3,4−ジアセトキシ−1−ブテンと3−アセトキシ−4−オール−1−ブテンと1,4−ジアセトキシ−1−ブテンの70:20:10の混合物を用いた以外は同様に行い、エチレン含有量38モル%、1,2−グリコール結合を有する構造単位の導入量2.0モル%、ホウ酸の含有量(ホウ素換算)0.015重量部、リン酸二水素カルシウム含有量0.005重量部(リン酸根換算)、MFRが3.7g/10分のEVOH組成物(A3)を得た。
下記の方法によりEVOH組成物(A4)を得た。
重合例1のメタノールの仕込量を100kgとしエチレン圧を35kg/cm2として、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンの添加速度を63g/分で全量19kgを添加した以外は同様に行い、エチレン含有量29モル%、1,2−グリコール結合を有する構造単位の導入量4.5モル%、ホウ酸の含有量(ホウ素換算)0.015重量部、リン酸二水素カルシウム含有量0.005重量部(リン酸根換算)、MFRが4.0g/10分のEVOH組成物(A4)を得た。
EVOH組成物(A5):エチレン含有量38モル%、ケン化度99.5モル%、ホウ酸の含有量(ホウ素換算)0.015重量部、リン酸二水素カルシウム含有量0.005重量部(リン酸根換算)、MFRが3.2g/10分
上記で得られたEVOH組成物(A1)とポリアミド系樹脂[三菱エンジニアリングプラスチック社製『ノバミッド 1030CA4』、ナイロン6]をフィードブロック2種3層の多層Tダイを備えた多層押出装置に供給して、ポリアミド系樹脂層/EVOH層/ポリアミド系樹脂層の層構成(厚み55/30/55μm)の多層フィルムを得て、100℃で1分間予熱し、同じ温度で100mm/秒の延伸速度で、縦方向に3倍、横方向に3倍の順(延伸倍率:9倍)で逐次二軸延伸を行い、延伸の後、115℃で2分間の熱処理を行って、本発明の多層延伸フィルムを得た。各層の厚みは6/3/6μmであった。この多層延伸フィルムのガスバリア性、耐ピンホール性、耐摩耗性を以下の要領で評価した。
延伸後の多層フィルムの酸素透過度についてMOCON社製「OXTRAN2/21」を用いて23℃、80%RHの条件下で測定した。
また、かかる多層延伸フィルムをゲルボフレックステスター(理学工業社製)を用いて、23℃、50%RHの雰囲気中で、440°捻り(3.5インチ)+直進(2.5インチ)の繰り返し往復運動を、500回行うことにより屈曲テストを行った後、酸素透過度測定装置(MOCON社製「OXTRAN2/21」)を用いて、23℃、80%RHの条件下で該多層延伸フィルムの酸素透過度(cc/m2・day・atm)を測定した。
多層延伸フィルムをA4サイズにカットし、フィルムを長手方向に半分に折り、さらに蛇腹状に15mm間隔で折っていき、片側に8カ所の折り目の頂点を作成し、その折り目の頂点をK5・Aフルートの段ボール片に50gの荷重をかけながら1cm幅で往復100回(1往復/秒)、擦り合わせ、8カ所の頂点のうち、摩耗して貫通孔が空いた頂点の個数を確認し耐摩耗性として評価した。荷重は段ボール片の下に上皿電子天秤を設置して、天秤の表示が50g中心となるようにして擦り合わせた。
実施例1において、EVOH組成物(A1)の代わりにEVOH組成物(A2)を使用した以外は同様に多層延伸フィルムを作成し、同様に評価を行った。
実施例1において、EVOH組成物(A1)の代わりにEVOH組成物(A3)を使用した以外は同様に多層延伸フィルムを作成し、同様に評価を行った。
実施例1において、EVOH組成物(A1)の代わりにEVOH組成物(A4)を使用した以外は同様に多層延伸フィルムを作成し、同様に評価を行った。
実施例1において、EVOH組成物(A1)に変えて、EVOH組成物(A5)を用いた以外は同様にして多層延伸フィルムを作成し、同様に評価を行った。
Claims (14)
- エチレン含有量が20〜60モル%であり、下記の構造単位(1)を含有するエチレン−ビニルアルコール共重合体を中間層に含有し、その両外層にポリアミド系樹脂を含有し、かつ延伸してなることを特徴とする多層延伸フィルム。
[化1]
−〔CH2−C(R1)〕−
|
(X)n
|
HO−C−R2 ・・・(1)
|
HO−C−R3
|
R4
(ここで、Xは結合鎖であってエーテル結合を除く任意の結合鎖で、R1〜R4はそれぞれ独立して任意の置換基であり、nは0または1を表す。) - ポリアミド系樹脂がナイロン6であることを特徴とする請求項1記載の多層延伸フィルム。
- 構造単位(1)のR1〜R4がそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜8の炭化水素基、炭素数3〜8の環状炭化水素基又は芳香族炭化水素基のいずれかであることを特徴とする請求項1または2記載の多層延伸フィルム。
- 構造単位(1)のR1〜R4がいずれも水素原子であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の多層延伸フィルム。
- 構造単位(1)のXが炭素数6以下のアルキレン基であることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の多層延伸フィルム。
- 構造単位(1)のnが0であることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の多層延伸
フィルム。 - 構造単位(1)が共重合によりエチレン−ビニルアルコール共重合体の分子鎖中に導入されたものであることを特徴とする請求項1〜6いずれか記載の多層延伸フィルム。
- エチレン−ビニルアルコール共重合体の分子鎖中に構造単位(1)を0.1〜30モル%含有することを特徴とする請求項1〜7いずれか記載の多層延伸フィルム。
- エチレン−ビニルアルコール共重合体が3,4−ジアシロキシ−1−ブテン、ビニルエステル系モノマーおよびエチレンの共重合体をケン化して得られたものであることを特徴とする請求項1〜8いずれか記載の多層延伸フィルム。
- エチレン−ビニルアルコール共重合体が3,4−ジアセトキシ−1−ブテン、ビニルエステル系モノマーおよびエチレンの共重合体をケン化して得られたものであることを特徴とする請求項1〜9いずれか記載の多層延伸フィルム。
- エチレン−ビニルアルコール共重合体がホウ素化合物をエチレン−ビニルアルコール共重合体100重量部に対してホウ素換算で0.001〜1重量部含有することを特徴とする請求項1〜10いずれか記載の多層延伸フィルム。
- 構造単位(1)を含有するエチレン−ビニルアルコール共重合体の中間層の厚さが1〜100μmであることを特徴とする請求項1〜11いずれか記載の多層延伸フィルム。
- 構造単位(1)を含有するエチレン−ビニルアルコール共重合体とポリアミド系樹脂とからなる多層延伸フィルムであって、屈曲試験後の23℃、80%RHにおける酸素透過度が10cc/m2・day・atm以下であることを特徴とする請求項1〜12いずれか記載の多層延伸フィルム。
- 層構成が、ポリアミド系樹脂層/構造単位(1)を含有するエチレン−ビニルアルコール共重合体層/ポリアミド系樹脂層であることを特徴とする請求項1〜13いずれか記載の多層延伸フィルム。
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