JP4217198B2 - エチレン−ビニルアルコール共重合体およびその組成物、その用途および製造方法 - Google Patents

エチレン−ビニルアルコール共重合体およびその組成物、その用途および製造方法 Download PDF

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本発明は、新規のエチレン−ビニルアルコール共重合体およびその組成物、その用途および製造方法に関し、さらに詳しくは、延伸性が向上し、ガスバリア性、外観性及び強度に優れた容器を得ることができる新規のエチレン−ビニルアルコール共重合体およびその組成物、その用途および製造方法に関する。
一般に、エチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、EVOHと略記する)はその透明性、ガスバリア性、保香性、耐溶剤性、耐油性などに優れており、かかる特性を生かして、食品包装材料、医薬品包装材料、工業薬品包装材料、農薬包装材料等の各種包装材料に用いられており、かかるEVOHは、実用容器への変形や、その機械的強度等の向上を目的として、加熱延伸処理されることも多く、また、近年においてはEVOHを含む多層シートから容器に成形する際に、容器形状の多様性や意匠性から、底の深い容器も製造されるようになり、そのような底の深い容器を成形した場合においても、成形後の容器の外観性、バリア性、および強度が良好となるような成形性に優れたEVOHが求められている。
しかしながら、EVOHはポリプロピレンやポリスチレンに比べ、加熱延伸性に劣るため、その対策として、1)EVOHに可塑剤を添加する方法(例えば、特許文献1、2参照。)や2)ポリアミド系樹脂をブレンドする方法(例えば、特許文献3、4参照。)などが提案されており、また一方では、3)比較的延伸性能のよい低ガラス転移温度のEVOHを併用した樹脂組成物を用いる方法(例えば、特許文献5〜10参照。)、さらに4)3種のEVOHをブレンドする方法(例えば、特許文献11、12参照。)なども提案されており、また5)EVOHにエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体を添加してその低温での加熱延伸性を改善する検討も行われている(例えば、特許文献13参照。)。また6)EVOHに溶融反応でエポキシ化合物をグラフトさせ、容器への熱成形性や延伸性を改善する検討も行われている(例えば、特許文献14、15参照。)
特開昭53−88067号公報 特開昭59−20345号公報 特開昭52−141785号公報 特開昭58−36412号公報 特開昭61−4752号公報 特開昭60−173038号公報 特開昭63−196645号公報 特開昭63−230757号公報 特開昭63−264656号公報 特開平2−261847号公報 特開2001−031821号公報 特開2001−031823号公報 特開平11−099594号公報 WO02/092643号公報 特開平2003−327619号公報
しかしながら、上記の方法について本発明者が詳細に検討したところ、上記の1)の方法ではガスバリア性が低下すること、2)の方法ではロングラン溶融成形性が低下すること、3)の方法では加熱延伸成形性の向上はある程度認められるものの、組成や構造の異なるEVOHのブレンドであるためその相溶性は完全に均一なものではなく、押出条件や加熱延伸成形条件の振れによって影響を受けやすく、フィルムやカップ、トレイ、ボトル等を連続で延伸成形する場合、不良品の発生が避けられないこと、4)の方法では連続成形性は改善されるものの、高延伸性が必要となる絞り比の大きい容器を形成する際には、不良品の発生が避けられないこと、5)の方法では比較的低温での成形性が改善されるものの、ロングラン溶融成形性の低下が懸念され、また、絞り比が2.5以上の底の深い容器を加工した際の外観性やバリア性、容器の強度に関しては全く検討されていない事が判明し、6)の方法ではEVOHとエポキシ化合物を溶融状態で反応させるため、雑多な副反応生成物の発生を避けることができず、ロングラン成形性の低下や、安全衛生上の懸念が生じる可能性があり、また、絞り比が2.5以上の底の深い容器を加工した際の外観性やバリア性、容器の強度に関しても全く検討されていない事が判明した。そこで底の深い容器を成形した場合においても、成形後の容器の外観性、バリア性、および強度が良好となるような成形性に優れたEVOHが求められるところである。
そこで、本発明者は、かかる現況に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、エチレン含有量が20〜60モル%であり、下記(1)の構造単位を含有するEVOHが上記の目的に合致することを見出して本発明を完成するに至った。
Figure 0004217198
(ここで、R1〜R4はそれぞれ独立して任意の置換基である
本発明においては、上記(1)の構造単位を0.1〜30モル%含有すること、等が好ましい実施態様である。

本発明のEVOHは、特定の構造単位を含有しているため、底の深い容器を成形した場合においても、外観性、ガスバリア性および強度に優れた容器を得ることができるものである。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明のEVOHは、上記の(1)の構造単位、すなわち側鎖に1,2−グリコール結合を有する構造単位を含有することを特徴とするEVOHで、1,2−グリコール結合構造が直接、分子鎖に結合している構造である。また、R1〜R4に関しては任意の置換基であり、とくに限定されないが水素原子、アルキル基がモノマーの入手が容易である点で好ましく、さらには水素原子がEVOHのガスバリア性が良好である点で好ましい。
本発明のEVOHの製造方法については特に限定されないが、最も好ましい構造である主鎖に直接1,2−グリコール結合構造を結合した構造単位を例とすると、3,4−ジオール−1−ブテン、ビニルエステル系モノマーおよびエチレンを共重合して得られた共重合体をケン化する方法、3,4−ジアシロキシ−1−ブテン、ビニルエステル系モノマーおよびエチレンを共重合して得られた共重合体をケン化する方法、3−アシロキシ−4−オール−1−ブテン、ビニルエステル系モノマーおよびエチレンを共重合して得られた共重合体をケン化する方法、4−アシロキシ−3−オール−1−ブテン、ビニルエステル系モノマーおよびエチレンを共重合して得られた共重合体をケン化する方法、3,4−ジアシロキシ−2−メチル−1−ブテン、ビニルエステル系モノマーおよびエチレンを共重合して得られた共重合体をケン化する方法があげられ、3,4−ジアシロキシ−1−ブテン、ビニルエステル系モノマーおよびエチレンを共重合して得られた共重合体をケン化する方法が共重合反応性に優れる点で好ましく、さらには3,4−ジアシロキシ−1−ブテンとして、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを用いることが好ましい。また、これらのモノマーの混合物を用いてもよい。また、少量の不純物として3,4−ジアセトキシ−1−ブタンや1,4−ジアセトキシ−1−ブテン、1,4−ジアセトキシ−1−ブタン等を含んでいても良い。また、かかる共重合方法について以下に説明するが、これに限定されるものではない。

なお、かかる3,4−ジオール−1−ブテンとは、下記(2)式、3,4−ジアシロキシ−1−ブテンとは、下記(3)式、3−アシロキシ−4−オール−1−ブテンは下記(4)式、4−アシロキシ−3−オール−1−ブテンは下記(5)式で示されるものである。
Figure 0004217198
Figure 0004217198
(ここで、Rはアルキル基であり、好ましくはメチル基である。)
Figure 0004217198
(ここで、Rはアルキル基であり、好ましくはメチル基である。)
Figure 0004217198
(ここで、Rはアルキル基であり、好ましくはメチル基である。)
なお、上記の(2)式で示される化合物は、イーストマンケミカル社から、上記(3)式で示される化合物はイーストマンケミカル社やアクロス社から入手することができる。
又、ビニルエステル系モノマーとしては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサチック酸ビニル等が挙げられるが、経済的にみて中でも酢酸ビニルが好ましく用いられる。
3,4−ジアシロキシ−1−ブテン等と、ビニルエステル系モノマー及びエチレン単量体を共重合するに当たっては、特に制限はなく、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、分散重合、またはエマルジョン重合等の公知の方法を採用することができるが、通常は溶液重合が行われる。
共重合時のモノマー成分の仕込み方法としては特に制限されず、一括仕込み、分割仕込み、連続仕込み等任意の方法が採用される。
なお、3,4−ジアシロキシ−1−ブテン等の共重合割合は特に限定されないが、前述の構造単位(1)の導入量に合わせて共重合割合を決定すればよい。
かかる共重合で用いられる溶媒としては、通常、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の低級アルコールやアセトン、メチルエチルケトン等のケトン類等が挙げられ、工業的には、メタノールが好適に使用される。
溶媒の使用量は、目的とする共重合体の重合度に合わせて、溶媒の連鎖移動定数を考慮して適宜選択すればよく、例えば、溶媒がメタノールの時は、S(溶媒)/M(モノマー)=0.01〜10(重量比)、好ましくは0.05〜7(重量比)程度の範囲から選択される。
共重合に当たっては重合触媒が用いられ、かかる重合触媒としては、例えばアゾビスイソブチロニトリル、過酸化アセチル、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウリル等の公知のラジカル重合触媒やt−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、α,α’ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3,−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート等のパーオキシエステル類、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−iso−プロピルパーオキシジカーボネート]、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジメトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネート等のパーオキシジカーボネート類、3,3,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシド、ジイソブチリルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド類などの低温活性ラジカル重合触媒等が挙げられ、重合触媒の使用量は、触媒の種類により異なり一概には決められないが、重合速度に応じて任意に選択される。例えば、アゾビスイソブチロニトリルや過酸化アセチルを用いる場合、ビニルエステル系モノマーに対して10〜2000ppmが好ましく、特には50〜1000ppmが好ましい。
また、共重合反応の反応温度は、使用する溶媒や圧力により40℃〜沸点程度の範囲から選択することが好ましい。
本発明では、上記触媒とともにヒドロキシラクトン系化合物またはヒドロキシカルボン酸を共存させることが得られるEVOHの色調を良好(無色に近づける)にする点で好ましく、該ヒドロキシラクトン系化合物としては、分子内にラクトン環と水酸基を有する化合物であれば特に限定されず、例えば、L−アスコルビン酸、エリソルビン酸、グルコノデルタラクトン等を挙げることができ、好適にはL−アスコルビン酸、エリソルビン酸が用いられ、また、ヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、乳酸、グリセリン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、サリチル酸等を挙げることができ、好適にはクエン酸が用いられる。
かかるヒドロキシラクトン系化合物またはヒドロキシカルボン酸の使用量は、回分式及び連続式いずれの場合でも、酢酸ビニル100重量部に対して0.0001〜0.1重量部(さらには0.0005〜0.05重量部、特には0.001〜0.03重量部)が好ましく、かかる使用量が0.0001重量部未満ではこれらの添加効果が得られないことがあり、逆に0.1重量部を越えると酢酸ビニルの重合を阻害する結果となって好ましくない。かかる化合物を重合系に仕込むにあたっては、特に限定はされないが、通常は低級脂肪族アルコールや酢酸ビニルを含む脂肪族エステルや水等の溶媒又はこれらの混合溶媒で希釈されて重合反応系に仕込まれる。
また、本発明では、上記の共重合時に本発明の効果を阻害しない範囲で共重合可能なエチレン性不飽和単量体を共重合していてもよく、かかる単量体としては、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等のオレフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいは炭素数1〜18のモノまたはジアルキルエステル類、アクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩等のアクリルアミド類、メタクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、2−メタクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩等のメタクリルアミド類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等のN−ビニルアミド類、アクリルニトリル、メタクリルニトリル等のシアン化ビニル類、炭素数1〜18のアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、アルコキシアルキルビニルエーテル等のビニルエーテル類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル類、ビニルシラン類、酢酸アリル、塩化アリル、アリルアルコール、ジメチルアリルアルコール、トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロリド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルエチレンカーボネート、エチレンカーボネート等が挙げられる。
さらに、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドエチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、2−アクリロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、2−メタクリロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、メタアリルトリメチルアンモニウムクロライド、3−ブテントリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、ジエチルジアリルアンモニウムクロライド等のカチオン基含有単量体、アセトアセチル基含有単量体等も挙げられる。
さらにビニルシラン類としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルイソブチルジメトキシシラン、ビニルエチルジメトキシシラン、ビニルメトキシジブトキシシラン、ビニルジメトキシブトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルメトキシジヘキシロキシシラン、ビニルジメトキシヘキシロキシシラン、ビニルトリヘキシロキシシラン、ビニルメトキシジオクチロキシシラン、ビニルジメトキシオクチロキシシラン、ビニルトリオクチロキシシラン、ビニルメトキシジラウリロキシシラン、ビニルジメトキシラウリロキシシラン、ビニルメトキシジオレイロキシシラン、ビニルジメトキシオレイロキシシラン等を挙げることができる。
得られた共重合体は、次いでケン化されるのであるが、かかるケン化にあたっては、上記で得られた共重合体をアルコール又は含水アルコールに溶解された状態で、アルカリ触媒又は酸触媒を用いて行われる。アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、tert−ブタノール等が挙げられるが、メタノールが特に好ましく用いられる。アルコール中の共重合体の濃度は系の粘度により適宜選択されるが、通常は10〜60重量%の範囲から選ばれる。ケン化に使用される触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート、リチウムメチラート等のアルカリ金属の水酸化物やアルコラートの如きアルカリ触媒、硫酸、塩酸、硝酸、メタスルフォン酸、ゼオライト、カチオン交換樹脂等の酸触媒が挙げられる。
かかるケン化触媒の使用量については、ケン化方法、目標とするケン化度等により適宜選択されるが、アルカリ触媒を使用する場合は通常、ビニルエステル系モノマー及び3,4−ジアシロキシ−1−ブテン等のモノマーの合計量に対して0.001〜0.1当量、好ましくは0.005〜0.05当量が適当である。かかるケン化方法に関しては目標とする鹸化度等に応じて、バッチ鹸化、ベルト上の連続鹸化、塔式の連続鹸化の何れも可能で、鹸化時のアルカリ触媒量の低減できることや鹸化反応が高効率で進み易い等の理由より、好ましくは、一定加圧下での塔式鹸化が用いられる。また、ケン化時の圧力は目的とするエチレン含有量により一概に言えないが、2〜7kg/cmの範囲から選択され、このときの温度は80〜150℃、好ましくは100〜130℃から選択される。
かくして、本発明のEVOHが得られるのであるが、本発明においては、得られたEVOHのケン化度は、特に限定されないが、エチレン含有量は20〜60モル%(さらには20〜50モル%、特には25〜48モル%)であり、ケン化度は90モル%以上(さらには95モル%以上、特には99モル%以上)のものが好適に用いられ、該エチレン含有量が10モル%未満では加熱延伸成形多層容器に用いたときの高湿時のガスバリア性や外観性が低下する傾向にあり、逆に60モル% を越えると加熱延伸成形多層容器に用いたときのガスバリア性が低下する傾向にあり、さらにケン化度が90モル%未満では加熱延伸成形多層容器に用いたときのガスバリア性や耐湿性等が低下する傾向にあり好ましくない。

また、該EVOHのメルトフローレート(MFR)(210℃、荷重2160g)についても特に限定はされないが、0.1〜100g/10分(さらには0.5〜50g/10分、特には1〜30g/10分)が好ましく、該メルトフローレートが該範囲よりも小さい場合には、成形時に押出機内が高トルク状態となって押出加工が困難となる傾向にあり、また該範囲よりも大きい場合には、加熱延伸成形多層容器に用いたときの外観性やガスバリア性が低下する傾向にあり好ましくない。
さらに、得られたEVOH中に導入される上記(1)の構造単位(1,2−グリコール結合を有する構造単位)量としては特に制限はされないが、0.1〜30モル%(さらには0.5〜20モル%、特には1〜10モル%)が好ましく、かかる導入量が0.1モル%未満では本発明の効果が十分に発現されず、逆に30モル%を越えるとガスバリア性が低下する傾向にあり好ましくない。また、1,2−グリコール結合を有する構造単位量を調整するにあたっては、1,2−グリコール結合を有する構造単位の導入量の異なる少なくとも2種のEVOHをブレンドして調整することも可能であるがその際のEVOHのエチレン含有量の差は2モル%未満であることが好ましく、また、そのうちの少なくとも1種が1,2−グリコール結合を有する構造単位を有していなくても構わない。
かくして得られた本発明のEVOHは、このままで溶融成形等に供することもできるが、本発明においては、かかるEVOHに本発明の目的を阻害しない範囲において、飽和脂肪族アミド(例えばステアリン酸アミド等)、不飽和脂肪酸アミド(例えばオレイン酸アミド等)、ビス脂肪酸アミド(例えばエチレンビスステアリン酸アミド等)、脂肪酸金属塩(例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等)、低分子量ポリオレフィン(例えば分子量500〜10,000程度の低分子量ポリエチレン、又は低分子量ポリプロピレン等)などの滑剤、無機塩(例えばハイドロタルサイト等)、可塑剤(例えばエチレングリコール、グリセリン、ヘキサンジオール等の脂肪族多価アルコールなど)、酸素吸収剤(例えば無機系酸素吸収剤として、還元鉄粉類、さらにこれに吸水性物質や電解質等を加えたもの、アルミニウム粉、亜硫酸カリウム、光触媒酸化チタン等が、有機化合物系酸素吸収剤として、アスコルビン酸、さらにその脂肪酸エステルや金属塩等、ハイドロキノン、没食子酸、水酸基含有フェノールアルデヒド樹脂等の多価フェノール類、ビス−サリチルアルデヒド−イミンコバルト、テトラエチレンペンタミンコバルト、コバルト−シッフ塩基錯体、ポルフィリン類、大環状ポリアミン錯体、ポリエチレンイミン−コバルト錯体等の含窒素化合物と遷移金属との配位結合体、テルペン化合物、アミノ酸類とヒドロキシル基含有還元性物質の反応物、トリフェニルメチル化合物等が、高分子系酸素吸収剤として、窒素含有樹脂と遷移金属との配位結合体(例:MXDナイロンとコバルトの組合せ)、三級水素含有樹脂と遷移金属とのブレンド物(例:ポリプロピレンとコバルトの組合せ)、炭素−炭素不飽和結合含有樹脂と遷移金属とのブレンド物(例:ポリブタジエンとコバルトの組合せ)、光酸化崩壊性樹脂(例:ポリケトン)、アントラキノン重合体(例:ポリビニルアントラキノン)等や、さらにこれらの配合物に光開始剤(ベンゾフェノン等)や過酸化物補足剤(市販の酸化防止剤等)や消臭剤(活性炭等)を添加したものなど)、熱安定剤、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、帯電防止剤、界面活性剤、抗菌剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、充填材(例えば無機フィラー等)、他樹脂(例えばポリオレフィン、ポリアミド等)等を配合しても良い。
さらには、本発明の目的を阻害しない範囲において、本発明のEVOHに酢酸、リン酸等の酸類やそのアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属等の金属塩を添加させることが、ホウ素化合物としてホウ酸またはその金属塩を添加させることが樹脂の熱安定性を向上させる点で好ましい。
酢酸の添加量としてはEVOH100重量部に対して0.001〜1重量部(さらには0.005〜0.2重量部、特には0.010〜0.1重量部)とすることが好ましく、かかる添加量が0.001重量部未満ではその含有効果が十分に得られないことがあり、逆に1重量部を越えると得られる成形物の外観が悪化する傾向にあり好ましくない。
ホウ酸金属塩としてはホウ酸カルシウム、ホウ酸コバルト、ホウ酸亜鉛(四ホウ酸亜鉛,メタホウ酸亜鉛等)、ホウ酸アルミニウム・カリウム、ホウ酸アンモニウム(メタホウ酸アンモニウム、四ホウ酸アンモニウム、五ホウ酸アンモニウム、八ホウ酸アンモニウム等)、ホウ酸カドミウム(オルトホウ酸カドミウム、四ホウ酸カドミウム等)、ホウ酸カリウム(メタホウ酸カリウム、四ホウ酸カリウム、五ホウ酸カリウム、六ホウ酸カリウム、八ホウ酸カリウム等)、ホウ酸銀(メタホウ酸銀、四ホウ酸銀等)、ホウ酸銅(ホウ酸第2銅、メタホウ酸銅、四ホウ酸銅等)、ホウ酸ナトリウム(メタホウ酸ナトリウム、二ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、五ホウ酸ナトリウム、六ホウ酸ナトリウム、八ホウ酸ナトリウム等)、ホウ酸鉛(メタホウ酸鉛、六ホウ酸鉛等)、ホウ酸ニッケル(オルトホウ酸ニッケル、二ホウ酸ニッケル、四ホウ酸ニッケル、八ホウ酸ニッケル等)、ホウ酸バリウム(オルトホウ酸バリウム、メタホウ酸バリウム、二ホウ酸バリウム、四ホウ酸バリウム等)、ホウ酸ビスマス、ホウ酸マグネシウム(オルトホウ酸マグネシウム、二ホウ酸マグネシウム、メタホウ酸マグネシウム、四ホウ酸三マグネシウム、四ホウ酸五マグネシウム等)、ホウ酸マンガン(ホウ酸第1マンガン、メタホウ酸マンガン、四ホウ酸マンガン等)、ホウ酸リチウム(メタホウ酸リチウム、四ホウ酸リチウム、五ホウ酸リチウム等)などの他、ホウ砂、カーナイト、インヨーアイト、コトウ石、スイアン石、ザイベリ石等のホウ酸塩鉱物などが挙げられ、好適にはホウ砂、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム(メタホウ酸ナトリウム、二ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、五ホウ酸ナトリウム、六ホウ酸ナトリウム、八ホウ酸ナトリウム等)があげられる。またホウ素化合物の添加量としては、組成物中の全EVOH100重量部に対してホウ素換算で0.001〜1重量部(さらには0.002〜0.2重量部、特には0.005〜0.1重量部)とすることが好ましく、かかる添加量が0.001重量部未満ではその含有効果が十分に得られないことがあり、逆に1重量部を越えると得られる成形物の外観が悪化する傾向にあり好ましくない。
また、かかる金属塩としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等の、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ラウリル酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸等の有機酸や、硫酸、亜硫酸、炭酸、リン酸等の無機酸の金属塩が挙げられ、好適には酢酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩である。また、該金属塩の添加量としては、EVOH100重量部に対して金属換算で0.0005〜0.01重量部(さらには0.001〜0.05重量部、特には0.002〜0.03重量部)とすることが好ましく、かかる添加量が0.0005重量部未満ではその含有効果が十分に得られないことがあり、逆に0.01重量部を越えると得られる成形物の外観が悪化する傾向にあり好ましくない。尚、EVOHに2種以上のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の塩を添加する場合は、その総計が上記の添加量の範囲にあることが好ましい。
EVOHに酸類やその金属塩を添加する方法については、特に限定されず、ア)含水率20〜80重量%のEVOHの多孔性析出物を、酸類やその金属塩の水溶液と接触させて、酸類やその金属塩を含有させてから乾燥する方法、イ)EVOHの均一溶液(水/アルコール溶液等)に酸類やその金属塩を含有させた後、凝固液中にストランド状に押し出し、次いで得られたストランドを切断してペレットとして、さらに乾燥処理をする方法、ウ)EVOHと酸類やその金属塩を一括して混合してから押出機等で溶融混練する方法、エ)EVOHの製造時において、ケン化工程で使用したアルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)を酢酸等の酸類で中和して、残存する酢酸等の酸類や副生成する酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等のアルカリ金属塩の量を水洗処理により調整したりする方法等を挙げることができる。本発明の効果をより顕著に得るためには、酸類やその金属塩の分散性に優れるア)、イ)またはエ)の方法が好ましい。
上記ア)、イ)またはエ)の方法で得られたEVOH組成物は、塩類や金属塩が添加された後、乾燥が行われる。
かかる乾燥方法としては、種々の乾燥方法を採用することが可能である。例えば、実質的にペレット状のEVOH組成物が、機械的にもしくは熱風により撹拌分散されながら行われる流動乾燥や、実質的にペレット状のEVOH組成物が、撹拌、分散などの動的な作用を与えられずに行われる静置乾燥が挙げられ、流動乾燥を行うための乾燥器としては、円筒・溝型撹拌乾燥器、円管乾燥器、回転乾燥器、流動層乾燥器、振動流動層乾燥器、円錐回転型乾燥器等が挙げられ、また、静置乾燥を行うための乾燥器として、材料静置型としては回分式箱型乾燥器が、材料移送型としてはバンド乾燥器、トンネル乾燥器、竪型乾燥器等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。流動乾燥と静置乾燥を組み合わせて行うことも可能である。
該乾燥処理時に用いられる加熱ガスとしては空気または不活性ガス(窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等)が用いられ、該加熱ガスの温度としては、40〜150℃が、生産性とEVOHの熱劣化防止の点で好ましい。該乾燥処理の時間としては、EVOH組成物の含水量やその処理量にもよるが、通常は15分〜72時間程度が、生産性とEVOHの熱劣化防止の点で好ましい。
上記の条件でEVOH組成物が乾燥処理されるのであるが、該乾燥処理後のEVOH組成物の含水率は0.001〜5重量%(さらには0.01〜2重量%、特には0.1〜1重量%)になるようにするのが好ましく、該含水率が0.001重量%未満では、ロングラン成形性が低下する傾向にあり、逆に5重量%を越えると、押出成形時時に発泡が発生する虞があり好ましくない。
かくして本発明のEVOHあるいはその組成物(以下、まとめてEVOH組成物と記す)が得られるわけであるが、かかるEVOH組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲において、多少のモノマー残査(3,4−ジオール−1−ブテン、3,4−ジアシロキシ−1−ブテン、3−アシロキシ−4−オール−1−ブテン、4−アシロキシ−3−オール−1−ブテン、4,5−ジオール−1−ペンテン、4,5−ジアシロキシ−1−ペンテン、4,5−ジオール−3−メチル−1−ペンテン、4,5−ジオール−3−メチル−1−ペンテン、5,6−ジオール−1−ヘキセン、5,6−ジアシロキシ−1−ヘキセン、4,5−ジアシロキシ−2−メチル−1−ブテン等)やモノマーのケン化物(3,4−ジオール−1−ブテン、4,5−ジオール−1−ペンテン、4,5−ジオール−3−メチル−1−ペンテン、4,5−ジオール−3−メチル−1−ペンテン、5,6−ジオール−1−ヘキセン等)を含んでいてもよい。
かかるEVOH組成物は、成形物に有用で、特に溶融成形に有用でかかる溶融成形について以下に説明する。
成形物としては単層あるいは複層(積層)のフィルムやシート、容器、ボトル、チューブ等を挙げることができ、他の基材と積層するときの積層方法としては、例えば本発明のEVOH組成物のフィルム、シート等に他の基材を溶融押出ラミネートする方法、逆に他の基材に該樹脂を溶融押出ラミネートする方法、該樹脂と他の基材とを共押出する方法、該樹脂(層)と他の基材(層)とを有機チタン化合物、イソシアネート化合物、ポリエステル系化合物、ポリウレタン化合物等の公知の接着剤を用いてドライラミネートする方法等が挙げられる。上記の溶融押出時の溶融成形温度は、100〜300℃の範囲から選ぶことが多い。
かかる他の基材としては、熱可塑性樹脂が有用で、具体的には、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、エチレン−プロピレン(ブロックおよびランダム)共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン(炭素数4〜20のα―オレフィン)共重合体、ポリブテン、ポリペンテン等のオレフィンの単独又は共重合体、或いはこれらのオレフィンの単独又は共重合体を不飽和カルボン酸又はそのエステルでグラフト変性したものなどの広義のポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂(共重合ポリアミドも含む)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹脂、ポリスチレン、ビニルエステル系樹脂、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、芳香族または脂肪族ポリケトン、更にこれらを還元して得られるポリアルコール類、更には他のEVOH等が挙げられるが、積層体の物性(特に強度)等の実用性の点から、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン(ブロック又はランダム)共重合体、ポリアミド、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)が好ましく用いられる。
さらに、本発明のEVOH組成物のフィルムやシート等の成形物に他の基材を押出コートしたり、他の基材のフィルム、シート等を接着剤を用いてラミネートする場合、かかる基材としては、前記の熱可塑性樹脂以外に任意の基材(紙、金属箔、一軸又は二軸延伸プラスチックフィルム又はシートおよびその無機物蒸着物、織布、不織布、金属綿状、木質等)が使用可能である。
積層体の層構成は、本発明のEVOH組成物の層をa(a、a、・・・)、他の基材、例えば熱可塑性樹脂層をb(b、b、・・・)とするとき、フィルム、シート、ボトル状であれば、a/bの二層構造のみならず、b/a/b、a/b/a、a/a/b、a/b/b、b/b/a/b/b、b/b/a/b/a/b/b等任意の組合せが可能であり、さらには、少なくとも該EVOH組成物と熱可塑性樹脂の混合物からなるリグラインド層をRとするとき、b/R/a、b/R/a/b、b/R/a/R/b、b/a/R/a/b、b/R/a/R/a/R/b等とすることも可能であり、フィラメント状ではa、bがバイメタル型、芯(a)−鞘(b)型、芯(b)−鞘(a)型、或いは偏心芯鞘型等任意の組合せが可能である。なお、上記の層構成において、それぞれの層間には、必要に応じて接着性樹脂層を設けることができ、かかる接着性樹脂としては、種々のものを使用することもでき、延伸性に優れた積層体が得られる点で好ましく、bの樹脂の種類によって異なり一概に言えないが、不飽和カルボン酸またはその無水物をオレフィン系重合体(上述の広義のポリオレフィン系樹脂)に付加反応やグラフト反応等により化学的に結合させて得られるカルボキシル基を含有する変性オレフィン系重合体を挙げることができ、具体的には、無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン、無水マレイン酸グラフト変性ポリプロピレン、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−プロピレン(ブロックおよびランダム)共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−エチルアクリレート共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−酢酸ビニル共重合体等から選ばれた1種または2種以上の混合物が好適なものとして挙げられる。このときの、熱可塑性樹脂に含有される不飽和カルボン酸又はその無水物の量は、0.001〜3重量%が好ましく、さらに好ましくは0.01〜1重量%、特に好ましくは0.03〜0.5重量%である。該変性物中の変性量が少ないと、接着性が不充分となることがあり、逆に多いと架橋反応を起こし、成形性が悪くなることがあり好ましくない。またこれらの接着性樹脂には、本発明のEVOH組成物や他のEVOH樹脂、ポリイソブチレン、エチレン−プロピレンゴム等のゴム・エラストマー成分、さらにはb層の樹脂等をブレンドすることも可能である。特に、接着性樹脂の母体のポリオレフィン系樹脂と異なるポリオレフィン系樹脂をブレンドすることにより、接着性が向上することがあり有用である。
積層体の各層の厚みは、層構成、bの種類、用途や容器形態、要求される物性などにより一概に言えないが、通常は、a層は2〜500μm(さらには3〜200μm)、b層は10〜5000μm(さらには30〜1000μm)、接着性樹脂層は1〜400μm(さらには2〜150μm)程度の範囲から選択される。
また、基材樹脂層に従来知られているような酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、核材、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、ワックス等を含んでいても良い。
かくして得られた積層体を容器に成形する際において本発明の効果が発現されるわけであるが、その成形方法に関しては真空、圧空もしくは真空圧空成形により必要によりさらにプラグを併せて用いて金型形状に成形する方法(ストレート法、ドレープ法、エアスリップ法、スナップバック法、プラグアシスト法など)等が挙げられる。成形温度、真空度、圧空の圧力または成形速度等の各種成形条件は、プラグ形状や金型形状または原料シートの性質等により適当に設定される。特に本発明のEVOH共重合体組成物を用いることにより、絞り比が2.5以上といった底の深い容器の成形においても良好な外観性、ガスバリア性、強度を持った容器が得られる。ここで言う絞り比とは絞り深さをカップの上面の平均径で割った値で示されるものである。
以下に、実施例を挙げて本発明の方法を具体的に説明する。なお、以下「%」「部」とあるのは、特にことわりのない限り、重量基準を意味する。
実施例1
冷却コイルを持つ1mの重合缶に酢酸ビニルを500kg、メタノール100kg、アセチルパーオキシド500ppm(対酢酸ビニル)、クエン酸20ppm(対酢酸ビニル)、および3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを14kgを仕込み、系を窒素ガスで一旦置換した後、次いでエチレンで置換して、エチレン圧が35kg/cm2となるまで圧入して、攪拌しながら、67℃まで昇温して、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを15g/分で全量4.5kgを添加しながら重合し、重合率が50%になるまで6時間重合した。その後、重合反応を停止してエチレン含有量29モル%のエチレン-酢酸ビニル共重合体を得た。
該エチレン−酢酸ビニル共重合体のメタノール溶液を棚段塔(ケン化塔)の塔上部より10kg/時の速度で供給し、同時に該共重合体中の残存酢酸基に対して、0.012当量の水酸化ナトリウムを含むメタノール溶液を塔上部より供給した。一方、塔下部から15kg/時でメタノールを供給した。塔内温度は100〜110℃、塔圧は3kg/cmGであった。仕込み開始後30分から、1,2−グリコール結合を有する構造単位を含有するEVOHのメタノール溶液(EVOH30%、メタノール70%)が取出された。かかるEVOHの酢酸ビニル成分のケン化度は99.5モル%であった。
次いで、得られた該EVOHのメタノール溶液をメタノール/水溶液調整塔の塔上部から10kg/時で供給し、120℃のメタノール蒸気を4kg/時、水蒸気を2.5kg/時の速度で塔下部から仕込み、塔頂部よりメタノールを8kg/時で留出させると同時に、ケン化で用いた水酸化ナトリウム量に対して6当量の酢酸メチルを塔内温95〜110℃塔の塔中部から仕込んで塔底部からEVOHの水/アルコール溶液(樹脂濃度35%)を得た。
得られたEVOHの水/アルコール溶液を、孔径4mmのノズルより、メタノール5%、水95%よりなる5℃に維持された凝固液槽にストランド状に押し出して、凝固終了後、ストランド状物をカッターで切断し、直径3.8mm、長さ4mmの含水率45%のEVOHの多孔性ペレットを得た。
該多孔性ペレット100部に対して水100部で洗浄した後、0.032%のホウ酸及び0.007%のリン酸二水素カルシウムを含有する混合液中に投入し、30℃で5時間撹拌した。さらにかかる多孔性ペレットを回分式通気箱型乾燥器にて、温度70℃、水分含有率0.6%の窒素ガスを通過させて12時間乾燥を行って、含水率を30%とした後に、回分式塔型流動層乾燥器を用いて、温度120℃、水分含有率0.5%の窒素ガスで12時間乾燥の処理を行って目的とするEVOH組成物のペレットを得た。かかるペレットは、EVOH100部に対して、ホウ酸およびをそれぞれ0.015部(ホウ素換算)および0.005部(リン酸根換算)含有していた。また、このEVOHのMFRは3.5g/10分(210℃ 2160gで測定)であった。
なお、上記のEVOH中の構造単位(1)の導入量は、ケン化前のエチレン−酢酸ビニル共重合体をH−NMR(内部標準物質:テトラメチルシラン、溶媒:d6−DMSO)で測定して算出した。ケン化前のエチレン−酢酸ビニル共重合体は下記構造となっており、測定結果から算出された導入量は、2.5モル%であった。なお、NMR測定には日本ブルカー社製「ΑVΑNCE DPX400」を用いた。
Figure 0004217198
H−NMR](図1参照)
1.0〜1.8ppm:メチレンプロトン(図1の積分値a)
1.87〜2.06ppm:メチルプロトン
3.95〜4.3ppm:構造(I)のメチレン側のプロトン+未反応の3,4−ジアセトキシ−1−ブテンのプロトン(図1の積分値b)
4.6〜5.1ppm:メチンプロトン+構造(I)のメチン側のプロトン(図1の積分値c)
5.2〜5.9ppm:未反応の3,4−ジアセトキシ−1−ブテンのプロトン(図1の積分値d)
[算出法]
5.2〜5.9ppmに4つのプロトンが存在するため、1つのプロトンの積分値はd/4、積分値bはジオールとモノマーのプロトンが含まれた積分値であるため、ジオールの1つのプロトンの積分値(Α)は、Α=(b−d/2)/2、積分値cは酢酸ビニル側とジオール側のプロトンが含まれた積分値であるため、酢酸ビニルの1つプロトンの積分値(B)は、B=1−(b−d/2)/2、積分値aはエチレンとメチレンが含まれた積分値であるため、エチレンの1つのプロトンの積分値(C)は、C=(a−2×Α−2×B)/4=(a−2)/4と計算し、構造単位(1)の導入量は、100×{Α/(Α+B+C)} =100×(2×b−d)/(a+2)より算出した。
また、ケン化後のEVOHに関しても同様にH−NMR測定を行った結果を図2に示す。1.87〜2.06ppmのメチルプロトンに相当するピークが大幅に減少していることから、共重合された3,4−ジアセトキシ−1−ブテンもケン化され、1,2−グリコール構造となっていることは明らかである。
上記で得られたペレット(EVOH組成物)をフィードブロック3種5層の多層Tダイを備えた多層押出装置に供給して、ポリスチレン(エーアンドエムスチレン社製『ダイアレックス HT516』)層/接着樹脂(三菱化学社製『モディックΑP F502』)層/EVOH層/接着樹脂層(同左)/ポリスチレン層(同左)の層構成(厚み450/90/120/90/450μm)の多層シートを得て、次にプラグアシスト型真空圧空成形機(浅野研究所製)にて、ヒーター温度が500℃で加熱時間28秒でカップ(上面60mmΦ、底面55mmΦ、深さ150mm 絞り比約2.5)の加熱延伸成形加工を行って多層容器を作製し、外観性、バリア性、強度について、以下の要領で評価した。
(外観性)
上記で得られたカップについて目視で観察して下記の基準により評価した。
○・・・容器側面にスジやモヤが観察されず、均一に延伸されている
△・・・容器側面にモヤが観察され、延伸が不均一となっている
×・・・容器側面にスジが観察されEVOH層に割れが発生している
(ガスバリア性)
温度23℃、容器内湿度100%RH、容器外湿度50%、100%酸素下の条件で、容器1個当たりの酸素透過度(cc/day)を酸素透過度測定装置(MOCON社製『OXTRΑN10/50』)を用いて測定した。
(強度)
水平な台の上に容器を立て、容器の上部に板を置き、板の上から圧縮試験装置で序々に荷重をかけていき、容器が大きく変形する荷重(座屈荷重)を測定した。測定値は5つのサンプルの平均値を取った。
実施例2
実施例1において、アセチルパーオキシドの代わりにt−ブチルパーオキシネオデカノエート210ppm(対酢酸ビニル)を5時間かけて添加しながら、又3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを26g/分で全量8kgを添加しながら重合した以外は同様に行い、側鎖に1,2−グリコール結合を有する構造単位の導入量が3.0モル%のEVOHを得て、同様に処理を行ってEVOH組成物を得て評価を行った。なお、EVOH組成物のMFRは3.7g/10分であった。
実施例3
実施例2において、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンの添加速度を63g/分として全量19kg添加した以外は同様に行い、側鎖に1,2−グリコール結合を有する構造単位の導入量が4.5モル%のEVOHを得て、同様に処理を行ってEVOH組成物を得て評価を行った。なお、EVOH組成物のMFRは4.0g/10分であった。
実施例4
実施例1と同様の方法で、初期仕込みを酢酸ビニル400kg、メタノール120kg、アセチルパーオキシド150ppm(対酢酸ビニル)、クエン酸20ppm(対酢酸ビニル)、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン15kgとし、エチレン圧を30kg/cm2とし、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを15g/分で全量5.0kgを添加しながら重合して、エチレン含有量26モル%のエチレン-酢酸ビニル共重合体を得た。これを実施例1と同様にケン化してケン化度99.5モル%のEVOHを得た。さらに実施例1と同様の方法で、このEVOHの多孔性ペレットを得て、洗浄後、0.032%のホウ酸及び0.007%のリン酸二水素カルシウムを含有する混合水溶液中で攪拌した後、乾燥し、側鎖に1,2−グリコール結合を有する構造単位の導入量が2.5モル%で、MFR3.2g/10分で、ホウ酸0.013部(ホウ素換算)、リン酸二水素カルシウム0.006部(リン酸根換算)含有のEVOH組成物ペレットを得た。このEVOH組成物について実施例1と同様に評価した。
実施例5
実施例1において、初期仕込みのメタノール量を35kgとし、エチレン圧を45kg/cm2とした以外は同様に行って、エチレン含有量が38モル%で側鎖に1,2−グリコール結合を有する構造単位の導入量が2.5モル%のEVOHを得て、同様に評価を行った。なお、EVOH組成物のMFRは4.0g/10分で、EVOH100部に対して、ホウ酸0.015部(ホウ素換算)、リン酸二水素カルシウム0.005部(リン酸根換算)をそれぞれ含有するように処理を行った。
実施例6
実施例5において、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンの替わりに3,4−ジアセトキシ−1−ブテンと3−アセトキシ−4−オール−1−ブテンと1,4−ジアセトキシ−1−ブテンの70:20:10の混合物を用いた以外は同様に行い、エチレン含有量が38モル%で側鎖に1,2−グリコール結合を有する構造単位の導入量が2.0モル%のEVOHを得て、同様に評価を行った。なお、EVOH組成物のMFRは3.7g/10分で、EVOH100部に対して、ホウ酸0.015部(ホウ素換算)、リン酸二水素カルシウム0.005部(リン酸根換算)をそれぞれ含有するように処理を行った。
実施例7
実施例1と同様の方法で、初期仕込みを酢酸ビニル500kg、メタノール20kg、アセチルパーオキシド500ppm(対酢酸ビニル)、クエン酸20ppm(対酢酸ビニル)、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン30kgとし、エチレン圧を60g/cm2とし、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを15g/分で全量10.0kgを添加しながら重合して、エチレン含有量48モル%のエチレン-酢酸ビニル共重合体を得た。これを実施例1と同様にケン化してケン化度99.5モル%のEVOHを得た。さらに実施例1と同様の方法で、このEVOHの多孔性ペレットを得て、洗浄後、0.032%のホウ酸及び0.007%のリン酸二水素カルシウムを含有する混合水溶液中で攪拌した後、乾燥し、側鎖に1,2−グリコール結合を有する構造単位の導入量が2.5モル%で、MFR3.8g/10分で、ホウ酸含有量0.015部(ホウ素換算)、リン酸0.005部(リン酸根換算)含有のEVOH組成物ペレットを得た。このEVOH組成物について実施例1と同様に評価した。
実施例8
実施例1と同様の方法で、初期仕込みを酢酸ビニル400kg、メタノール120kg、アセチルパーオキシド155ppm(対酢酸ビニル)、クエン酸20ppm(対酢酸ビニル)、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン45kgとし、エチレン圧を30g/cm2とし、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを45g/分で全量15.0kgを添加しながら重合して、エチレン含有量29モル%のエチレン-酢酸ビニル共重合体を得た。これを実施例1と同様にケン化してケン化度99.5モル%のEVOHを得た。さらに実施例1と同様の方法で、このEVOHの多孔性ペレットを得て、洗浄後、0.030%のホウ酸及び0.010%のリン酸二水素カルシウムを含有する混合水溶液中で攪拌した後、乾燥し、側鎖に1,2−グリコール結合を有する構造単位の導入量が10.1モル%で、MFR4.2g/10分で、ホウ酸含有量0.014部(ホウ素換算)、リン酸0.007部(リン酸根換算)含有のEVOH組成物ペレットを得た。さらにこのペレットと別途得られた29モル%の側鎖に1,2−グリコール結合を持たないMFRが3.2g/10分のEVOHを得て、重量比1/4で溶融混合したEVOH組成物を得て、同様に評価を行った。このときの1,2−グリコール結合を有する構造単位の平均導入量は2.0モル%であった。
実施例9
実施例1と同様の方法で、初期仕込みを酢酸ビニル500kg、メタノール80kg、アセチルパーオキシド155ppm(対酢酸ビニル)、クエン酸20ppm(対酢酸ビニル)、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン45kgとし、エチレン圧を30g/cm2とし、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを15g/分で全量5.0kgを添加しながら重合して、エチレン含有量29モル%のエチレン-酢酸ビニル共重合体を得た。これを実施例1と同様にケン化してケン化度99.5モル%のEVOHを得た。さらに実施例1と同様の方法で、このEVOHの多孔性ペレットを得て、洗浄後、ホウ酸を含まない0.010%のリン酸二水素カルシウムを含有する水溶液中で攪拌した後、乾燥し、1,2−グリコール結合を有する構造単位の導入量が2.5モル%で、MFR3.5g/10分で、リン酸0.007部(リン酸根換算)含有のEVOH組成物ペレットを得た。このEVOH組成物について実施例1と同様に評価した。
実施例10
実施例5と同様の条件で重合反応を行い、エチレン含有量38モル%のエチレン-酢酸ビニル共重合体を得た。該エチレン−酢酸ビニル共重合体のメタノール溶液を棚段塔(ケン化塔)の塔上部より7kg/時の速度で供給し、同時に該共重合体中の残存酢酸基に対して、0.008当量の水酸化ナトリウムを含むメタノール溶液を塔上部より供給した。一方、塔下部から15kg/時でメタノールを供給した。塔内温度は100〜110℃、塔圧は3kg/cmGであった。仕込み開始後30分から、1,2−グリコール結合を有する構造単位を含有するEVOH共重合体のメタノール溶液(EVOH30%、メタノール70%)が取出された。かかるEVOHの酢酸ビニル成分のケン化度は98.0モル%であった。これ以降の操作は実施例1と同様に行い、1,2−グリコール結合を有する構造単位の導入量が2.5モル%で、MFR3.7g/10分で、ホウ酸0.015部(ホウ素換算)、リン酸0.007部(リン酸根換算)含有のEVOH組成物ペレットを得た。なお、EVOHのH―NMR測定から、未ケン化部分の残存アセチル基は全て酢酸ビニルモノマーを基とするものであり、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを基とするものは存在していないことが確認された。このEVOH組成物について実施例1と同様に評価した。
比較例1
実施例1において、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを添加せずに、1,2−グリコール結合を有しない、エチレン含有量29モル%、MFRが3.7g/10分、ホウ酸0.015部(ホウ素換算)リン酸二水素カルシウム0.005部(リン酸根換算)含有のEVOH組成物を得て、同様に評価を行った。
実施例及び比較例の評価結果を表1にまとめて示す。
〔表1〕
外観性 ガスバリア性* 強度(kg)
実施例1 ○ 0.062 22
〃 2 ○ 0.089 20
〃 3 ○ 0.180 19
〃 4 ○ 0.040 20
〃 5 ○ 0.113 22
〃 6 ○ 0.110 21
〃 7 ○ 0.312 26
〃 8 ○ 0.071 20
〃 9 ○ 0.060 20
〃 10 ○ 0.254 26
比較例1 × ** 2
*:cc/Cup・day **:測定上限を超えたため測定不可
本発明の1,2−グリコール結合を含有する構造単位を有するEVOHあるいはその組成物は、溶融成形に有用な樹脂であり、得られる成形物は外観性、ガスバリア性、強度等に優れ、食品や医療品の包装材料として有用で、フィルム、シート、カップ、トレイ、ボトル、チューブ、パイプ等に用いることができ、特にカップやトレイ容器等に有用である。
実施例1で得られたEVOHのケン化前のH−NMRチャートである。 実施例1で得られたEVOHのH−NMRチャートである。

Claims (12)

  1. エチレン含有量が20〜60モル%であり、下記(1)の構造単位を含有することを特徴とするエチレン−ビニルアルコール共重合体。
    Figure 0004217198
    (ここで、R1〜R4はそれぞれ独立して任意の置換基である
  2. 上記(1)の構造単位において、R1〜R4がそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜8の炭化水素基、炭素数3〜8の環状炭化水素基又は芳香族炭化水素基のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体。
  3. R1〜R4がいずれも水素原子であることを特徴とする請求項2記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体。
  4. 上記(1)の構造単位がエチレン−ビニルアルコール共重合体の主鎖中に含有されてなることを特徴とする請求項1〜いずれか記載のエチレン− ビニルアルコール共重合体。
  5. 上記(1)の構造単位を0.1〜30モル%含有することを特徴とする請求項1〜いずれか記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体。
  6. 3,4−ジアシロキシ−1−ブテン、ビニルエステル系モノマーおよびエチレンを共重合して得られた共重合体をケン化して得られたものであることを特徴とする請求項1〜いずれか記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体。
  7. 3,4−ジアシロキシ−1−ブテンが3,4−ジアセトキシ−1−ブテンであることを特徴とする請求項記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体。
  8. 請求項1〜いずれか記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体100重量部に対してホウ素化合物をホウ素換算で0.001〜0.1重量部含有することを特徴とするエチレン− ビニルアルコール共重合体組成物。
  9. 請求項1〜いずれか記載のエチレンビニルアルコール共重合体またはその組成物を用いたことを特徴とする成形物。
  10. 溶融成形して得られたことを特徴とする請求項記載の成形物。
  11. フィルムまたは容器に用いることを特徴とする請求項または10記載の成形物。
  12. 3,4−ジアシロキシ−1−ブテン、ビニルエステル系モノマーおよびエチレンを共重合して得られた共重合体をケン化することを特徴とする請求項記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体の製造方法。
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