JP6468775B2 - エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物及び高圧ガス用ホース又は貯蔵容器 - Google Patents
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Description
高圧水素ガスを貯蔵する貯蔵容器や高圧の水素ガスを移送又は充填するためのホースの実用化にあたっては、水素脆化に対する耐久性(耐水素性)や水素ガスバリア性の更なる向上が求められている。
また、本発明は、本発明のエチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物又はその組成物からなる層を少なくとも1層有する高圧ガス用ホース又は貯蔵容器である。
まず、本発明のエチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物について説明する。
本発明のエチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物(EVOH)は、エチレン由来の構造単位及び側鎖に一級水酸基を有する構造単位(A)を含むものである。
EVOHは、エチレン由来の構造単位を有するので、融点と分解温度の差が大きく、溶融成形が可能であり、耐水性が付与される。
EVOHにおけるエチレン構造単位の含有量は、通常10モル%以上20モル%未満であり、好ましくは12モル%〜19.9モル%、特に好ましくは15モル%〜19.9モル%、更に好ましくは16モル%〜19モル%である。エチレン構造単位の含有量が少なすぎると耐水性が低下する傾向があり、エチレン構造単位の含有量が多すぎると、超高圧下での耐水素性や水素ガスバリア性が低下する傾向がある。
例えば、アリルアルコール、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、6−ヘプテン−1−オール等のモノヒドロキシアルキル基含有モノマー;2−メチレン−1,3−プロパンジオール、2−メチレン−1,3−プロパンジオール、2−メチレン−1,3−プロパンジオール等の2置換ジオールモノマー;3,4−ジオール−1−ブテン、4,5−ジオール−1−ペンテン、4,5−ジオール−3−メチル−1−ペンテン、4,5−ジオール−3−メチル−1−ペンテン、5,6−ジオール−1−ヘキセン等の1,2−ジオール基含有モノマー;グリセリンモノアリルエーテルやヒドロキシメチルビニリデンジアセテートが挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を含んでいてもよい。
これらモノマーのうち側鎖1,2−ジオール構造が得られる1,2−ジオール基含有モノマーが特に好ましい。
該構造単位(A)の含有量を調整するに際しては、構造単位(A)の導入量が異なる少なくとも2種のEVOHをブレンドして調整することも可能である。その際のEVOHのエチレン含有量の差は2モル%未満であることが好ましく、また、そのうちの少なくとも1種が構造単位(A)を有していなくても構わない。
従来、EVOHは、エチレン含有量が減少するに従って融点が上昇するため、樹脂の熱分解温度と融点との差が小さくなる傾向があり、成形加工性が悪化するという問題がある。「POLYVINYL ALCOHOL-DEVELOPMENTS」C.A.FINCH著の第205頁のFigure8.4によると、エチレン含有量が20モル%未満の場合、融点が200℃以上になることが図示され、その領域では樹脂の熱分解温度との差が小さいことがわかる。本発明では、EVOHに該構造単位(A)を含有させることで、樹脂の結晶サイズが小さくなり、融点が低下し、樹脂の熱分解温度との差が大きくなる傾向があり、成形加工性が向上する。
(i)、(ii)、及び(iii)の方法については、例えば、特開2006−95825号公報に説明されている方法を採用できる。
上記一般式(1)中の結合鎖(X)が単結合である場合、即ち側鎖に1,2−グリコール結合を有する構造単位がEVOHの主鎖に直接結合した構造単位を例とすると、例えば、3,4−ジオール−1−ブテン、ビニルエステル系モノマー及びエチレンを共重合して得られた共重合体をケン化する方法、3,4−ジアシロキシ−1−ブテン、ビニルエステル系モノマー及びエチレンを共重合して得られた共重合体をケン化する方法、3−アシロキシ−4−オール−1−ブテン、ビニルエステル系モノマー及びエチレンを共重合して得られた共重合体をケン化する方法、4−アシロキシ−3−オール−1−ブテン、ビニルエステル系モノマー及びエチレンを共重合して得られた共重合体をケン化する方法、3,4−ジアシロキシ−2−メチル−1−ブテン、ビニルエステル系モノマー及びエチレンを共重合して得られた共重合体をケン化する方法が挙げられる。
また、上記一般式(1)中の結合鎖(X)としてアルキレン基を有するときの構造単位を例とすると、例えば、4,5−ジオール−1−ペンテンや4,5−ジアシロキシ−1−ペンテン、4,5−ジオール−3−メチル−1−ペンテン、4,5−ジオール−3−メチル−1−ペンテン、5,6−ジオール−1−ヘキセン、5,6−ジアシロキシ−1−ヘキセン等とビニルエステル系モノマー及びエチレンを共重合して得られた共重合体をケン化する方法が挙げられる。
これらのなかでも特に、3,4−ジアシロキシ−1−ブテン、ビニルエステル系モノマー及びエチレンを共重合して得られた共重合体をケン化する方法が共重合反応性に優れる点で好ましく、更には3,4−ジアシロキシ−1−ブテンとして、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを用いることが好ましい。
重合に際しては、これらのモノマーの混合物を用いてもよい。また、少量の不純物として3,4−ジアセトキシ−1−ブタンや1,4−ジアセトキシ−1−ブテン、1,4−ジアセトキシ−1−ブタン等を含んでいても良い。
かかる共重合方法について以下に説明するが、これに限定されるものではない。
溶媒の使用量は、目的とする共重合体の重合度に合わせて、溶媒の連鎖移動定数を考慮して適宜選択することができ、例えば、溶媒がメタノールのときは、S(溶媒)/M(モノマー)=0.01〜10(重量比)、好ましくは0.05〜7(重量比)程度の範囲から選択される。
重合触媒の使用量は、触媒の種類により異なり一概には決められないが、重合速度に応じて任意に選択される。例えば、アゾビスイソブチロニトリルや過酸化アセチルを用いる場合、ビニルエステル系モノマーに対して通常、10ppm〜2000ppmであり、好ましくは50ppm〜1000ppmである。
また、共重合反応の反応温度は、使用する溶媒やエチレン圧力等に応じて、40℃〜沸点程度の範囲から選択することが好ましい。
かかる単量体としては、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等のオレフィン類;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいは炭素数1〜18のモノまたはジアルキルエステル類;アクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩等のアクリルアミド類;メタクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、2−メタクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩等のメタクリルアミド類;N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等のN−ビニルアミド類;アクリルニトリル、メタクリルニトリル等のシアン化ビニル類;炭素数1〜18のアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、アルコキシアルキルビニルエーテル等のビニルエーテル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル類;ビニルシラン類;酢酸アリル、塩化アリル、アリルアルコール、ジメチルアリルアルコール、トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロリド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルエチレンカーボネート等が挙げられる。
アルコール中の共重合体の濃度は、系の粘度により適宜選択され、通常は10重量%〜60重量%の範囲から選ばれる。ケン化に使用される触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート、リチウムメチラート等のアルカリ金属の水酸化物やアルコラートの如きアルカリ触媒;硫酸、塩酸、硝酸、メタスルフォン酸、ゼオライト、カチオン交換樹脂等の酸触媒が挙げられる。
本発明の高圧ガス用ホース又は貯蔵容器においては、エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物のみならず、これを含有する組成物をも用いることができる。
エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物組成物(以下「EVOH組成物」と称することがある。)は、EVOHの他、必要に応じて、本発明の効果を損なわない限り、他の樹脂を含有していてもよい。例えば、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6・66等のポリアミド樹脂;上記一般式(1)の構造単位を有しない未変性ビニルアルコール系樹脂;他の熱可塑性樹脂などを含有していてもよい。
EVOHの他に配合可能な樹脂の含有量は、EVOHに対して、通常、50重量%以下、好ましくは40重量%以下であり、特には他の樹脂を含有しないことが好ましい。
これら添加剤の含有量は、EVOH組成物全体に対して通常、5重量%未満、好ましくは3重量%未満である。
かかる不可避的不純物としては、例えば、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン、3,4−ジオール−1−ブテン、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン、3−アセトキシ−4−オール−1−ブテン、4−アセトキシ−3−オール−1−ブテン等が挙げられる。
溶融混練には、押出機、バンパリーミキサー、ニーダールーダー、ミキシングロール、ブラストミル等の公知の混練機を用いることができる。例えば、押出機の場合、単軸又は二軸の押出機等が挙げられる。溶融混練後、EVOH組成物をストランド状に押出し、カットしてペレット化する方法が採用され得る。
かかる溶融混練は、EVOHと他の樹脂等とを一括投入して行ってもよいし、EVOHを二軸押出機で溶融混練しながら、他の樹脂等を溶融状態、あるいは固体状態でサイドフィードして行ってもよい。
上記の溶融混練温度は、通常100℃〜300℃の範囲から選ぶことができる。溶融混練温度は、通常190℃〜250℃であり、好ましくは190℃〜235℃、特に好ましくは200℃〜230℃、更に好ましくは200℃〜225℃℃である。
本発明のEVOHおよびEVOH組成物からなるフィルムや多層構造体等は、さらに公知の手法にて加工することも可能である、例えば、ドライラミネート法や、一軸延伸法、二軸延伸法、真空成型法、圧空成形法等の延伸法が採用可能である。
本発明の高圧ガス用ホース又は貯蔵容器(以下単に「ホース又は貯蔵容器」と称することがある。)は、上記EVOH又はその組成物からなる層(以下「ガスバリア層」と称することがある。)を少なくとも1層含むものである。
好ましくは多層構造からなるホース又は貯蔵容器のうち、内側層(すなわち高圧ガスと接する層)又は中間層、より好ましくは中間層として、ガスバリア層を含むものである。さらに、内側層及び/又は外側層(すなわち外気と接する層)に、耐水性、水分不透過性の熱可塑樹脂層を含むことが好ましい。なお、中間層とは、外側層と内側層の間にある層をいう。
また、外側層に、さらに補強層を設けることが好ましい。補強層が設けられている場合、補強層が外気と接する層(最外層)となる。さらにまた、これらの層間に、接着性樹脂からなる接着層が設けられていてもよい。
ガスバリア層が薄すぎる場合、得られるホース又は貯蔵容器の高度なガスバリア性が得られにくい傾向がある。厚すぎる場合、柔軟性や経済性が低下する傾向がある。
また水分不透過性熱可塑性樹脂層が薄すぎる場合、得られるホース又は貯蔵容器の強度が低下する傾向があり、厚すぎる場合は耐屈曲性や柔軟性が低下したり、内容積が減少する傾向がある。
経済性と性能のバランスの点から、カルボン酸変性ポリオレフィン系樹脂が好ましく、特に好ましくはカルボン酸変性ポリプロピレン系樹脂若しくはカルボン酸変性ポリエチレン系樹脂又はこれらの混合物である。
なお、上記水分不透過性熱可塑性樹脂層、接着層には、成形加工性や諸物性の向上のために、公知一般の各種添加剤や改質剤、充填材、他の樹脂等を本発明の効果を阻害しない範囲で配合してもよい。
尚、ホースの補強層の構造は、例えば、特開2010−31993号公報に記載の構造に準じて構成してもよい。ホースの補強層としては、ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール(PBO)繊維を用いることが好ましい。貯蔵容器の補強層としては、炭素繊維が好適に使用される。炭素繊維は、強度面からはPAN系が好ましく、熱伝導度の制御の面からは、熱伝導度が高いピッチ系が好ましい。
かかる平均線膨張係数の比は、同一条件で測定した平均線膨張係数を適用することが可能である。さらには、高圧ガス設備における実用的な温度範囲である、−60℃〜40℃における平均線膨張係数を用いることが好ましい。
また、ガスバリア層は、高圧の水素の曝露、脱圧が繰り返されてもブリスタの発生を抑制できるので、多層構造を有するホース又は貯蔵容器において、ガスバリア層と隣接する層(例えば、補強層、水分不透過性熱可塑性樹脂層)との界面での接着強度の低下やコラプスの生成も防止できる。
高圧ガス用ホースの常用圧力は、通常35MPa〜90MPa、好ましくは50MPa〜90MPa、特に好ましくは80〜90MPa、更に好ましくは82MPa〜87.5MPaである。
また、高圧ガス用貯蔵容器の常用圧力は、通常35〜70MPaである。
また、高圧ガス用ホースの設計圧力の例としては、圧力の低いものから例示すると、86MPa超、95MPa超、97MPa超、98.4MPa超などがある。
はじめに、以下の実施例及び比較例で採用した測定評価方法について説明する。
(1)下記式(1a)で示される側鎖1,2−ジオール構造単位の含有量
1H−NMR(400MHzプロトンNMR、d6−DMSO溶液)にて測定した積分値より算出した。
残存酢酸ビニル及び3,4−ジアセトキシ−1−ブテンの加水分解に要するアルカリ消費量より算出した。
220℃、せん断速度122sec−1での溶融粘度を、東洋精機社製の「キャピログラフ1B」を用いて測定した。
昇温および降温速度10℃/minにて、パーキンエルマー社製の「Diamond
DSC」を用いて測定した。
高圧水素ガス曝露−脱圧サイクル試験後のブリスタ発生の有無
図3に示すように構成された水素高圧ガス設備を用いて、「試験体」と記載された部分に、図2に示すダンベル状試験片(ISO 527−3に準拠し、b1=6、b2=25、L0=25、l1=33、L=80、l3=115、h=1、単位はいずれもmm)をセットして、0.5時間で水素ガスを82MPa又は98.4MPaまで昇圧し、かかる高圧水素環境下に20時間曝露し、30秒間で脱圧後0.5時間静置するという圧力パターンを1サイクルとして、20サイクル(82MPa下)、又は5サイクル(98.4MPa下)繰り返した。
高圧水素ガス曝露−脱圧サイクル試験後、試験片を取り出し、試験片におけるブリスタの発生の有無をX線CT及び目視で観察した。なお、通常、ブリスタはダンベル部分に発生する。
ダンベル部分にブリスタが発生しなかった場合(ブリスタ発生個数:0個)に「○」、ブリスタ発生個数が50個以上300個未満の場合に「△」、ブリスタ発生個数が300個以上の場合に「×」で表中に表記した。
厚み300μmのフィルム試験片を、図1に示す水素透過度測定装置のサンプル部分にセットし、41℃雰囲気下で、水素圧0.3MPa、0.5MPaの加圧水素をフィルムサンプルに向けて送り、透過した水素を回収し、透過係数(cc・20μm/m2・day・atm)を求めた。
図1中、TIは温度計(Temperature Indicator )、PIは圧力計(Pressure Indicator)、MFCは流量制御装置(Mass Flow Controller)を表す。
225ml容マヨネーズ瓶中で、厚さ100μmのサンプルフィルムをステンレス金網(材質SUS316、400メッシュ、線径0.03mm)で包み、水溶液に対してサンプルフィルムが1重量%となるように蒸留水を入れ調整した。その後、撹拌翼を取り付け、撹拌速度200rpm、3時間、25℃及び60℃にて撹拌を行った。その後、その溶液をアルミカップに量りとり、105℃、3時間、送風乾燥器中にて乾燥し、乾燥前後の重量変化から溶液中に含まれる樹脂分を計算し、以下の式よりサンプルフィルムの水への溶解度を算出した。
溶解度(重量%)={(溶液の重量(g)×溶液中の樹脂分(重量%)/100)/サンプルフィルムの重量(g)}×100
側鎖1,2−ジオール含有EVOH樹脂
反応容器に、酢酸ビニルを500部、メタノールを135部、t−ブチルペルオキシネオデカノエートを334ppm(対酢酸ビニル)、クエン酸を30ppm(対酢酸ビニル)、及び3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを45部仕込み、反応系を窒素ガスで一旦置換した。その後、エチレンで置換して、エチレン圧が2MPaとなるまで圧入して、攪拌しながら、67℃まで昇温して、重合率が61%になるまで7時間重合した。
一次ケン化:該共重合体中の残存酢酸基に対して150mmol当量の水酸化ナトリウムを45℃にてニーダーを用いて混練した。2時間経過後、100%酢酸を投入し、中和を行った。その後、ヌッチェを用いて固液分離後、メタノール洗浄を行なった。かかる樹脂のケン化度は98.4モル%〜98.7モル%程度であった。
二次ケン化:反応容器に、一次ケン化後の樹脂ペースト(樹脂分約40%)に対して、樹脂分20%になるようメタノールを投入し、50℃で、残存酢酸基に対して4000mmol当量の水酸化ナトリウムを投入した。2時間経過後、100%酢酸を投入した。中和を確認後、ヌッチェを用いて固液分離後、得られた樹脂をメタノールにて洗浄した。
次に、イナートオーブンを用い、N2雰囲気下で、40℃で1時間、40℃から120℃までの昇温を6時間、120℃で10時間、120℃から80℃までの冷却を1時間行ない、乾燥を行った。得られた側鎖1,2−ジオール含有EVOH樹脂のMFRは、4.1g/10分(210℃、荷重2160g)、溶融粘度は、1335(220℃、Pa・s)であり、DSC測定より算出した結晶化度は21.1%であった。
使用した樹脂は、二軸押出機(テクノベル社製)を用いて、下記条件でペレット化した。
スクリュー径:15mm
L/D=60mm
回転方向:同方向
スクリューパターン:3か所練り
スクリーンメッシュ:90/90メッシュ
スクリュー回転数 :200rpm
温度パターン:C1/C2/C3/C4/C5/C6/C7/C8/D=180/200/210/210/210/210/210/210/210℃
樹脂温度:210℃
吐出量:1.2kg/hr
比較例として、下記のPVOH、EVOH1、EVOH2、及び側鎖1,2−ジオール含有PVOHを用いた。
PVOH(日本合成化学工業(株)製PVOH 「NL−o5」エチレン含有量:0モル%、側鎖1,2−ジオール含有量:0モル%、4%水溶液粘度 5.5mPa・s)
EVOH1(エチレン含有量:25モル%、側鎖1,2−ジオール含有量:0モル%、MFR:4.0g/10分(210℃、荷重2160g))
EVOH2(エチレン含有量:44モル%、側鎖1,2−ジオール含有量:0モル%、MFR:3.5g/10分(210℃、荷重2160g))
側鎖1,2−ジオール含有PVOH(エチレン含有量:0モル%、側鎖1,2−ジオール含有量:6モル%、MFR:4.7g/10分(210℃、荷重2160g))
上記で調製した実施例1、側鎖1,2−ジオールを含有しない通常のPVOH、EVOH1及びEVOH2の融点を測定し、比較した。結果を表1に示す。
実施例1では、側鎖1,2−ジオールを含有することで、エチレン含有量が16.7モル%であるにもかかわらず、融点が173℃と低く、熱分解温度との差が大きいことで、成形加工性が向上していることが分かる。
実施例1、EVOH1、EVOH2、及び側鎖1,2−ジオール含有PVOHの各ペレットを用いて、二軸押出機(テクノベル社)にて下記条件で製膜し、厚さ30μmのフィルムを得た。
各フィルムについて、耐水素性、水素透過度係数、耐水性を測定し、比較した。結果を表2に示す。
直径(D):15mm
L/D=60
スクリュー:練り3か所
ベント:=C7オーブン
設定温度:C1/C2/C3/C4/C5/C6/C7/C8/D=180/200/210/210/215/215/220/220/220℃
スクリーンメッシュ:90/90メッシュ
スクリュー回転数:200rpm
樹脂温度:225℃
吐出量:1.5kg/hr
ダイ:幅300mm、コートハンガータイプ
引取速度:2.6m/min
ロール温度:50℃
エアーギャップ:1cm
比較例1〜3では、超高圧下の98.4MPaでの耐水素性に問題があることがわかった。また、41℃における水素透過度係数(cc・20μm/m2・day・atm)においても、実施例1と比較して高いことがわかる。
また、本発明のエチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物は、例えば、本発明の高圧ガス用ホースが有する層の構成材料として、又は高圧ガス用貯蔵容器が有する層の構成材料として好適に利用することができる。
Claims (6)
- 請求項1に記載のエチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物又はその組成物からなる層を少なくとも1層有する高圧ガス用ホース又は貯蔵容器。
- 請求項1に記載のエチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物又はその組成物からなる層が、他の樹脂を含有しないことを特徴とする請求項2に記載の高圧ガス用ホース又は貯蔵容器。
- 高圧ガスの常用圧力が35MPa〜90MPaであることを特徴とする請求項2又は3に記載の高圧ガス用ホース又は貯蔵容器。
- 高圧ガスの設計圧力が86MPa超であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の高圧ガス用ホース又は貯蔵容器。
- 高圧ガスのガス成分の分子量が10未満であることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の高圧ガス用ホース又は貯蔵容器。
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