JP2001261745A - エチレン−ビニルアルコール共重合体の製造方法 - Google Patents
エチレン−ビニルアルコール共重合体の製造方法Info
- Publication number
- JP2001261745A JP2001261745A JP2000073754A JP2000073754A JP2001261745A JP 2001261745 A JP2001261745 A JP 2001261745A JP 2000073754 A JP2000073754 A JP 2000073754A JP 2000073754 A JP2000073754 A JP 2000073754A JP 2001261745 A JP2001261745 A JP 2001261745A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- ethylene
- pva
- polymerization
- vinyl
- water
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 皮膜の耐水性及び溶液の粘度安定性を損なう
ことなく、水への溶解時の作業性に優れたエチレン−ビ
ニルアルコール系重合体を得ること。 【解決手段】 65℃〜150℃の温度でエチレンの加
圧下にエチレンとビニルエステルを共重合し、次いで得
られた共重合体をけん化して、エチレン単位を2〜19
モル%含有するエチレン−ビニルアルコール共重合体を
製造する方法。
ことなく、水への溶解時の作業性に優れたエチレン−ビ
ニルアルコール系重合体を得ること。 【解決手段】 65℃〜150℃の温度でエチレンの加
圧下にエチレンとビニルエステルを共重合し、次いで得
られた共重合体をけん化して、エチレン単位を2〜19
モル%含有するエチレン−ビニルアルコール共重合体を
製造する方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水への溶解時の作
業性に優れた、エチレン−ビニルアルコール共重合体の
製造方法に関する。
業性に優れた、エチレン−ビニルアルコール共重合体の
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ビニルアルコール系重合体(以下PVA
と略することがある)は数少ない結晶性の水溶性高分子
として優れた界面特性および強度特性を有する事から、
紙加工、繊維加工およびエマルジョン用の安定剤に利用
されているほか、PVA系フィルムおよびPVA系繊維
等の原料として重要な地位を占めている。一方で結晶性
を制御したり、官能基を導入して特定の性能を向上させ
た高機能化の追求も行われており、いわゆる変性PVA
も種々開発されている。
と略することがある)は数少ない結晶性の水溶性高分子
として優れた界面特性および強度特性を有する事から、
紙加工、繊維加工およびエマルジョン用の安定剤に利用
されているほか、PVA系フィルムおよびPVA系繊維
等の原料として重要な地位を占めている。一方で結晶性
を制御したり、官能基を導入して特定の性能を向上させ
た高機能化の追求も行われており、いわゆる変性PVA
も種々開発されている。
【0003】エチレン変性を有する変性PVAは、耐水
性に優れる、水溶液を低温に放置した際の粘度安定性が
良好である、高い生分解性を有する、界面活性が高い等
といった特長を有することから、さまざまなPVAの用
途において効果的に用いられている。しかし一方では、
その耐水性が非常に高いために結晶性が極めて高いた
め、多くの場合PVAを水に溶解して水溶液の状態で使
用するのであるが、この時に95℃以上の高温で数時間
攪拌を行う必要があり、またそれより穏和な条件で溶解
を行った場合PVAの微結晶が溶液中に残り、これが結
晶核となってPVAの結晶化が進行し、結果として溶液
の粘度安定性が悪化するようなことがあるなど、実作業
での取り扱いに注意を要するものであった。
性に優れる、水溶液を低温に放置した際の粘度安定性が
良好である、高い生分解性を有する、界面活性が高い等
といった特長を有することから、さまざまなPVAの用
途において効果的に用いられている。しかし一方では、
その耐水性が非常に高いために結晶性が極めて高いた
め、多くの場合PVAを水に溶解して水溶液の状態で使
用するのであるが、この時に95℃以上の高温で数時間
攪拌を行う必要があり、またそれより穏和な条件で溶解
を行った場合PVAの微結晶が溶液中に残り、これが結
晶核となってPVAの結晶化が進行し、結果として溶液
の粘度安定性が悪化するようなことがあるなど、実作業
での取り扱いに注意を要するものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、優れ
た皮膜の耐水性及び溶液の粘度安定性といった特長を著
しく損なうことなく、しかも水への溶解時の作業性に優
れたエチレン−ビニルアルコール共重合体(エチレン変
性PVA)の製造方法を提供することにある。
た皮膜の耐水性及び溶液の粘度安定性といった特長を著
しく損なうことなく、しかも水への溶解時の作業性に優
れたエチレン−ビニルアルコール共重合体(エチレン変
性PVA)の製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を鑑み検討を行った結果、65℃〜150℃の温度でエ
チレンの加圧下にエチレンとビニルエステルの共重合
し、次いで得られた共重合体をけん化して、エチレン単
位を2〜19モル%含有するエテレン変性PVAを得る
ことで、溶解時に従来より穏和な条件で完全に溶解する
ことが可能であり、かつエチレン変性PVAの特長であ
る被膜の耐水性や溶液の粘度安定性等を大きく損なわな
いものが得られることを見いだし、本発明を完成させる
に至った。
を鑑み検討を行った結果、65℃〜150℃の温度でエ
チレンの加圧下にエチレンとビニルエステルの共重合
し、次いで得られた共重合体をけん化して、エチレン単
位を2〜19モル%含有するエテレン変性PVAを得る
ことで、溶解時に従来より穏和な条件で完全に溶解する
ことが可能であり、かつエチレン変性PVAの特長であ
る被膜の耐水性や溶液の粘度安定性等を大きく損なわな
いものが得られることを見いだし、本発明を完成させる
に至った。
【0006】
【0007】本発明においてエチレンとビニルエステル
の共重合を行う温度は65℃〜150℃であることが必
要であり、好ましくは75℃〜145℃であり、より好
ましくは90℃〜140℃である。共重合を行う温度が
65℃より低い場合は、本発明の効果である水への溶解
性の向上効果が小さく、150℃より高い場合は水への
溶解性は大きく向上するものの、エチレン変性PVAの
特徴である耐水性が大きく低下するため好ましくない。
の共重合を行う温度は65℃〜150℃であることが必
要であり、好ましくは75℃〜145℃であり、より好
ましくは90℃〜140℃である。共重合を行う温度が
65℃より低い場合は、本発明の効果である水への溶解
性の向上効果が小さく、150℃より高い場合は水への
溶解性は大きく向上するものの、エチレン変性PVAの
特徴である耐水性が大きく低下するため好ましくない。
【0008】本発明において、重合温度を65℃〜15
0℃に制御する方法としては、例えば重合速度を制御す
ることで重合により生成する発熱と反応器の表面からの
放熱のバランスをとる方法や、適当な熱媒を用いた外部
ジャケットによる制御等があげられるが、安全性の面か
らは後者が好ましい。
0℃に制御する方法としては、例えば重合速度を制御す
ることで重合により生成する発熱と反応器の表面からの
放熱のバランスをとる方法や、適当な熱媒を用いた外部
ジャケットによる制御等があげられるが、安全性の面か
らは後者が好ましい。
【0009】本発明において、重合は加圧下で行うこと
が必要であり、ここで加圧(重合エチレン圧)は0.0
5MPa以上であることが好ましく、さらに好適には
0.1MPa以上であり、最適には0.15MPa以上
である。また、上限については5MPa以下が好まし
く、さらに好適には4MPa以下であり、最適には3M
Pa以下である。
が必要であり、ここで加圧(重合エチレン圧)は0.0
5MPa以上であることが好ましく、さらに好適には
0.1MPa以上であり、最適には0.15MPa以上
である。また、上限については5MPa以下が好まし
く、さらに好適には4MPa以下であり、最適には3M
Pa以下である。
【0010】本発明においてエチレンの加圧下にエチレ
ンとビニルエステルの共重合を行う反応器としては、エ
チレンの圧力を保つことの出来る加圧系の反応器であれ
ば、その形式は問題ではなく、攪拌機等についても公知
のものを用いることが可能である。重合方式としては、
回分重合、半回分重合、半連続重合、連続重合のいずれ
でも良い。重合方法としては、塊状重合法、溶液重合
法、懸濁重合法、乳化重合法など公知の任意の方法を用
いることが出来る。その中でも、無溶媒あるいはアルコ
ールなどの溶媒中で重合する塊状重合法や溶液重合法が
通常採用され、高重合度のものを得る場合には、乳化重
合法が採用される。溶液重合時に溶媒を用いる場合は、
アルコールとしてはメチルアルコール、エチルアルコー
ル、プロピルアルコールなどが、その他の有機溶媒とし
てはジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン等が用
いられるが、これらに限定されるものではない。またこ
れらの溶媒の2種あるいはそれ以上を混合して重合溶媒
として用いることができる。共重合に使用される開始剤
としては、α,α’−アゾビス(イソブチロニトリ
ル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニ
トリル)、過酸化ベンゾイル、n−プロピルパーオキシ
カーボネートなどのアゾ系開始剤または過酸化物系開始
剤など公知の開始剤を用いることが可能であるが、回分
重合方式が採用される場合には2,2’−アゾビス(N
−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)といった半減
期の長い開始剤を用いることがより好ましい。また、本
発明では高い重合温度で重合を行うので、ビニルエステ
ルの分解に起因するPVAの着色等が見られることがあ
るため、このような場合には着色防止の目的で重合系に
酒石酸のような酸化防止剤を1〜100ppm(ビニル
エステルに対して)程度添加することは何ら問題はな
い。
ンとビニルエステルの共重合を行う反応器としては、エ
チレンの圧力を保つことの出来る加圧系の反応器であれ
ば、その形式は問題ではなく、攪拌機等についても公知
のものを用いることが可能である。重合方式としては、
回分重合、半回分重合、半連続重合、連続重合のいずれ
でも良い。重合方法としては、塊状重合法、溶液重合
法、懸濁重合法、乳化重合法など公知の任意の方法を用
いることが出来る。その中でも、無溶媒あるいはアルコ
ールなどの溶媒中で重合する塊状重合法や溶液重合法が
通常採用され、高重合度のものを得る場合には、乳化重
合法が採用される。溶液重合時に溶媒を用いる場合は、
アルコールとしてはメチルアルコール、エチルアルコー
ル、プロピルアルコールなどが、その他の有機溶媒とし
てはジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン等が用
いられるが、これらに限定されるものではない。またこ
れらの溶媒の2種あるいはそれ以上を混合して重合溶媒
として用いることができる。共重合に使用される開始剤
としては、α,α’−アゾビス(イソブチロニトリ
ル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニ
トリル)、過酸化ベンゾイル、n−プロピルパーオキシ
カーボネートなどのアゾ系開始剤または過酸化物系開始
剤など公知の開始剤を用いることが可能であるが、回分
重合方式が採用される場合には2,2’−アゾビス(N
−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)といった半減
期の長い開始剤を用いることがより好ましい。また、本
発明では高い重合温度で重合を行うので、ビニルエステ
ルの分解に起因するPVAの着色等が見られることがあ
るため、このような場合には着色防止の目的で重合系に
酒石酸のような酸化防止剤を1〜100ppm(ビニル
エステルに対して)程度添加することは何ら問題はな
い。
【0011】共重合に引き続くけん化には、通常のエチ
レン−ビニルエステル共重合体のけん化で用いられるア
ルカリけん化又は酸けん化の手法がそのまま適用でき
る。すなわち、アルカリけん化の場合は水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート等の塩基性
触媒を、酸けん化の場合は鉱酸やp−トルエンスルホン
酸等の酸性触媒を用いてメタノール、エタノール、プロ
パノール、ブタノール、エチレングリコール等のアルコ
ールやグリコール類、酢酸メチル等のエステル類、ジメ
チルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエー
テル等を溶媒として反応が行われる。エチレン−ビニル
エステル系重合体やけん化触媒の溶解性を向上するため
にテトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、アセト
ンなどの溶剤を適宜混合して使用しても何ら問題はな
い。また、ヒドロキノンやp−メトキシフェノール等の
ラジカル重合禁止剤等を添加する場合もある。けん化反
応の条件は、使用するエチレン−ビニルエステル系重合
体の構造や目的とするビニルアルコール系重合体のけん
化度によって適宜調整されるが、通常、けん化は触媒濃
度/ビニルエステル単位濃度(モル比)=0.001〜
5.0、反応温度:20〜180℃、反応時間:0.1
〜20時間の範囲で実施される。
レン−ビニルエステル共重合体のけん化で用いられるア
ルカリけん化又は酸けん化の手法がそのまま適用でき
る。すなわち、アルカリけん化の場合は水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート等の塩基性
触媒を、酸けん化の場合は鉱酸やp−トルエンスルホン
酸等の酸性触媒を用いてメタノール、エタノール、プロ
パノール、ブタノール、エチレングリコール等のアルコ
ールやグリコール類、酢酸メチル等のエステル類、ジメ
チルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエー
テル等を溶媒として反応が行われる。エチレン−ビニル
エステル系重合体やけん化触媒の溶解性を向上するため
にテトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、アセト
ンなどの溶剤を適宜混合して使用しても何ら問題はな
い。また、ヒドロキノンやp−メトキシフェノール等の
ラジカル重合禁止剤等を添加する場合もある。けん化反
応の条件は、使用するエチレン−ビニルエステル系重合
体の構造や目的とするビニルアルコール系重合体のけん
化度によって適宜調整されるが、通常、けん化は触媒濃
度/ビニルエステル単位濃度(モル比)=0.001〜
5.0、反応温度:20〜180℃、反応時間:0.1
〜20時間の範囲で実施される。
【0012】本発明において得られるエチレン変性PV
A中のエチレン変性の含有量は、通常2〜19モル%で
あり、好ましくは2.5〜18モル%であり、さらに好
ましくは3〜15モル%である。エチレン変性の含有量
が2モル%より少ない場合はエチレン変性に基づく物性
や機能などが十分に発現されず、また19モル%より多
い場合には、ビニルアルコール系重合体の最大の特徴で
ある水溶性が低下するため好ましくない。
A中のエチレン変性の含有量は、通常2〜19モル%で
あり、好ましくは2.5〜18モル%であり、さらに好
ましくは3〜15モル%である。エチレン変性の含有量
が2モル%より少ない場合はエチレン変性に基づく物性
や機能などが十分に発現されず、また19モル%より多
い場合には、ビニルアルコール系重合体の最大の特徴で
ある水溶性が低下するため好ましくない。
【0013】エチレン変性PVAのエチレン変性量は、
該PVAの前駆体であるエチレン−ビニルエステル共重
合体のプロトンNMRから求めた。すなわち、得られた
ポリビニルエステルをn−ヘキサン/アセトンで再沈精
製を3回以上十分に行った後、80℃減圧乾燥を3日間
実施して分析用のポリビニルエステルを作成した。該ポ
リマーをDMSO−D6に溶解し、500MHzのプロ
トンNMR(JEOLGX−500)を用いて80℃で
測定し、ビニルエステルの主鎖メチンに由来するピーク
(4.7〜5.2ppm)とエチレン、ビニルエステル
および第3成分の主鎖メチレンに由来するピーク(0.
8〜1.6ppm)を用いてエチレンの含有量を算出し
た。
該PVAの前駆体であるエチレン−ビニルエステル共重
合体のプロトンNMRから求めた。すなわち、得られた
ポリビニルエステルをn−ヘキサン/アセトンで再沈精
製を3回以上十分に行った後、80℃減圧乾燥を3日間
実施して分析用のポリビニルエステルを作成した。該ポ
リマーをDMSO−D6に溶解し、500MHzのプロ
トンNMR(JEOLGX−500)を用いて80℃で
測定し、ビニルエステルの主鎖メチンに由来するピーク
(4.7〜5.2ppm)とエチレン、ビニルエステル
および第3成分の主鎖メチレンに由来するピーク(0.
8〜1.6ppm)を用いてエチレンの含有量を算出し
た。
【0014】本発明において得られるエチレン変性PV
Aの重合度については特に制限はないが、JIS−K6
726に準じて該PVAの30℃における極限粘度測定
(オストワルド粘度管にて測定)から算出した粘度平均
重合度(以下単に重合度と表すことがある)で表して、
100〜2000の範囲が好ましく、150〜1800
の範囲がより好ましく、200〜1600の範囲が特に
好ましい。重合度が2000を越えるようなエチレン変
性PVAは工業的な生産性が低下し、また重合度が10
0より低い場合はPVAを皮膜化した時の皮膜強度が低
下するなど好ましくない。
Aの重合度については特に制限はないが、JIS−K6
726に準じて該PVAの30℃における極限粘度測定
(オストワルド粘度管にて測定)から算出した粘度平均
重合度(以下単に重合度と表すことがある)で表して、
100〜2000の範囲が好ましく、150〜1800
の範囲がより好ましく、200〜1600の範囲が特に
好ましい。重合度が2000を越えるようなエチレン変
性PVAは工業的な生産性が低下し、また重合度が10
0より低い場合はPVAを皮膜化した時の皮膜強度が低
下するなど好ましくない。
【0015】本発明において得られるエチレン変性PV
Aのけん化度は、水溶性であれば特に制限はないが、通
常は70モル%以上99.99モル%未満であり、80
モル%以上99.9モル%未満がより好ましく、85モ
ル%以上99.7モル%未満が更に好ましく、90モル
%以上99.5モル%未満が特に好ましい。けん化度が
70モル%より低いようなものは、エチレン変性PVA
の特長である耐水性が損なわれるため好ましくない。け
ん化度が99.99モル%より高いものは、生産が難し
く実用的ではない。
Aのけん化度は、水溶性であれば特に制限はないが、通
常は70モル%以上99.99モル%未満であり、80
モル%以上99.9モル%未満がより好ましく、85モ
ル%以上99.7モル%未満が更に好ましく、90モル
%以上99.5モル%未満が特に好ましい。けん化度が
70モル%より低いようなものは、エチレン変性PVA
の特長である耐水性が損なわれるため好ましくない。け
ん化度が99.99モル%より高いものは、生産が難し
く実用的ではない。
【0016】本発明において得られるエチレン変性PV
Aは、エチレン単位を除くと、実質的にビニルアルコー
ル単位またはビニルアルコール単位とビニルエステル単
位からなる。ビニルエステル単位としては、蟻酸ビニ
ル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニ
ル、トリフルオロ酢酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビ
ニル等が挙げられ、通常酢酸ビニルが用いられる。
Aは、エチレン単位を除くと、実質的にビニルアルコー
ル単位またはビニルアルコール単位とビニルエステル単
位からなる。ビニルエステル単位としては、蟻酸ビニ
ル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニ
ル、トリフルオロ酢酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビ
ニル等が挙げられ、通常酢酸ビニルが用いられる。
【0017】また、本発明の主旨を損なわない範囲でこ
れら以外のモノマー単位を含有する事は差し支えない。
このような単位を例示するとプロピレン、1−ブテン、
イソブテンなどのオレフィン類;アクリル酸、メタクリ
ル酸、クロトン酸、フマル酸、(無水)マレイン酸、イ
タコン酸などの不飽和酸類及びこれらの塩あるいは炭素
数1〜18のモノまたはジアルキルエステル類;アクリ
ルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルアクリルアミ
ド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−(N−アク
リルアミド)−2−メチルプロパンスルホン酸及びその
塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはそ
の酸塩あるいはその4級塩などのアクリルアミド類;メ
タクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルメタク
リルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、2−
メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及び
その塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンある
いはその酸塩あるいはその4級塩などのメタクリルアミ
ド類;N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミ
ド、N−ビニルアセトアミドなどのN−ビニルアミド
類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシア
ン化ビニル類;炭素数1〜18のアルキルビニルエーテ
ル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、アルコキシア
ルキルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;塩化ビ
ニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデ
ン、臭化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;トリメトキ
シビニルシランなどのビニルシラン類、酢酸アリル、塩
化アリル、アリルアルコール、ジメチルアリルアルコー
ル等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
また、これら単量体単位の含有量については特に制限は
なくいが、エチレン変性によって実現される特長を損な
わないために、通常これら成分の含有量は10モル%以
下とし、5モル%以下がより好ましい。
れら以外のモノマー単位を含有する事は差し支えない。
このような単位を例示するとプロピレン、1−ブテン、
イソブテンなどのオレフィン類;アクリル酸、メタクリ
ル酸、クロトン酸、フマル酸、(無水)マレイン酸、イ
タコン酸などの不飽和酸類及びこれらの塩あるいは炭素
数1〜18のモノまたはジアルキルエステル類;アクリ
ルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルアクリルアミ
ド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−(N−アク
リルアミド)−2−メチルプロパンスルホン酸及びその
塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはそ
の酸塩あるいはその4級塩などのアクリルアミド類;メ
タクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルメタク
リルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、2−
メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及び
その塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンある
いはその酸塩あるいはその4級塩などのメタクリルアミ
ド類;N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミ
ド、N−ビニルアセトアミドなどのN−ビニルアミド
類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシア
ン化ビニル類;炭素数1〜18のアルキルビニルエーテ
ル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、アルコキシア
ルキルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;塩化ビ
ニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデ
ン、臭化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;トリメトキ
シビニルシランなどのビニルシラン類、酢酸アリル、塩
化アリル、アリルアルコール、ジメチルアリルアルコー
ル等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
また、これら単量体単位の含有量については特に制限は
なくいが、エチレン変性によって実現される特長を損な
わないために、通常これら成分の含有量は10モル%以
下とし、5モル%以下がより好ましい。
【0018】本発明において得られるエチレン変性PV
Aは水への溶解時の作業性に優れているため、水溶液と
して用いる用途に特に好適に用いることが可能である。
また、エチレン変性PVAの特長である耐水性や低温で
の溶液粘度安定性に優れるといった性質も維持している
ことから、各種の従来のエチレン変性PVAの用途への
適用が可能である。このような用途としては、フィル
ム、シート、パイプ、分離膜、繊維、繊維用糊剤、繊維
処理剤、繊維加工剤、繊維製品用サイズ剤、紙のクリア
ーコーテイング、紙の顔料コーティング剤、紙の内添サ
イズ剤、感熱紙のオーバーコート用バインダー等の紙加
工剤、有機および無機顔料の分散剤、エマルジョン用重
合分散安定剤、塩ビ用重合分散安定剤、モルタルやセメ
ントの添加剤、感圧接着剤、防曇剤、塗料、紙や木材お
よびプラスチックなどの接着剤、不織布用バインダー、
繊維用バインダー、セラミックス用バインダー、石膏ボ
ードや繊維板などの各種建材用バインダー、ホットメル
ト接着剤、画像形成材料、感光性樹脂、ゲル用基材、ホ
ルマール樹脂やブチラール樹脂等のポリビニルアセター
ル用原料、成形物(フィルム、繊維、シート、チュー
ブ、不織布など)、土壌改良剤などが挙げられる。
Aは水への溶解時の作業性に優れているため、水溶液と
して用いる用途に特に好適に用いることが可能である。
また、エチレン変性PVAの特長である耐水性や低温で
の溶液粘度安定性に優れるといった性質も維持している
ことから、各種の従来のエチレン変性PVAの用途への
適用が可能である。このような用途としては、フィル
ム、シート、パイプ、分離膜、繊維、繊維用糊剤、繊維
処理剤、繊維加工剤、繊維製品用サイズ剤、紙のクリア
ーコーテイング、紙の顔料コーティング剤、紙の内添サ
イズ剤、感熱紙のオーバーコート用バインダー等の紙加
工剤、有機および無機顔料の分散剤、エマルジョン用重
合分散安定剤、塩ビ用重合分散安定剤、モルタルやセメ
ントの添加剤、感圧接着剤、防曇剤、塗料、紙や木材お
よびプラスチックなどの接着剤、不織布用バインダー、
繊維用バインダー、セラミックス用バインダー、石膏ボ
ードや繊維板などの各種建材用バインダー、ホットメル
ト接着剤、画像形成材料、感光性樹脂、ゲル用基材、ホ
ルマール樹脂やブチラール樹脂等のポリビニルアセター
ル用原料、成形物(フィルム、繊維、シート、チュー
ブ、不織布など)、土壌改良剤などが挙げられる。
【0019】
【実施例】以下、実施例および比較例により本発明を詳
細に説明する。以下の実施例および比較例において
「部」および「%」は、特に断りのない限り重量基準を
意味する。
細に説明する。以下の実施例および比較例において
「部」および「%」は、特に断りのない限り重量基準を
意味する。
【0020】[エチレン変性PVAの水溶性評価]攪拌
下の50℃の水100gに対して、分級して粒径0.8
mm〜1.5mm(16〜30メッシュ)に粒度を揃え
たエチレン変性PVAの粉末5gを投じ、10分間攪拌
を行った後に攪拌を停止して水中に未溶解物の有無を目
視にて観察した。未溶解物が観察されたものについて
は、攪拌を再開した後1℃/min.の速度で溶液を昇
温し、目視で未溶解物が確認されなくなった時の溶液温
度を測定した。
下の50℃の水100gに対して、分級して粒径0.8
mm〜1.5mm(16〜30メッシュ)に粒度を揃え
たエチレン変性PVAの粉末5gを投じ、10分間攪拌
を行った後に攪拌を停止して水中に未溶解物の有無を目
視にて観察した。未溶解物が観察されたものについて
は、攪拌を再開した後1℃/min.の速度で溶液を昇
温し、目視で未溶解物が確認されなくなった時の溶液温
度を測定した。
【0021】[エチレン変性PVAの耐水性評価]エチ
レン変性PVAの水溶液をPETフィルム上に流延した
後、室温で1週間放置乾燥を行って厚み50μのキャス
トフィルムを作成した。概フィルムを熱風乾燥機を用い
て120℃で10分間熱処理を行った後、10cm×1
0cm大に切り出したものを20℃の水中に24時間浸
漬し、引き上げたフィルムの乾燥前後の重量変化から水
中への溶出率及び膨潤度を以下の計算式に従って算出し
た。
レン変性PVAの水溶液をPETフィルム上に流延した
後、室温で1週間放置乾燥を行って厚み50μのキャス
トフィルムを作成した。概フィルムを熱風乾燥機を用い
て120℃で10分間熱処理を行った後、10cm×1
0cm大に切り出したものを20℃の水中に24時間浸
漬し、引き上げたフィルムの乾燥前後の重量変化から水
中への溶出率及び膨潤度を以下の計算式に従って算出し
た。
【0022】
【数1】
【0023】[エチレン変性PVAの低温での水溶液粘
度安定性評価]10%に調製したPVA水溶液を300
mlのガラス製ビーカーにいれ、5℃で1日間放置し、
5℃放置後粘度(η1日)と5℃の初期粘度(η初期)
との比(低温増粘倍率=η1日/η初期)を求めた。測定
は、B型粘度計(回転数12rpm)を用い5℃で行っ
た。
度安定性評価]10%に調製したPVA水溶液を300
mlのガラス製ビーカーにいれ、5℃で1日間放置し、
5℃放置後粘度(η1日)と5℃の初期粘度(η初期)
との比(低温増粘倍率=η1日/η初期)を求めた。測定
は、B型粘度計(回転数12rpm)を用い5℃で行っ
た。
【0024】実施例1 撹拌機、窒素導入口、エチレン導入口、開始剤添加口お
よびディレー溶液添加口を備えた50L加圧反応槽に酢
酸ビニル28.5kg、メタノール1.5kg、酒石酸
0.88gを仕込み、60℃に昇温した後30分間窒素
バブリングにより系中を窒素置換した。次いで反応槽圧
力が0.9MPaとなるようにエチレンを導入仕込みし
た。開始剤として2,2’−アゾビス(シクロヘキサン
−2−カルボニトリル)(和光純薬製 V−40)をメ
タノールに溶解した濃度0.1g/L溶液を調整し、窒
素ガスによるバブリングを行って窒素置換した。上記の
重合槽内温を100℃に調整した後、上記の開始剤溶液
685mlを注入し重合を開始した。重合中はエチレン
を導入して反応槽圧力を0.9MPaに、重合温度を1
00℃に維持し、上記の開始剤溶液を用いて245ml
/hrでV−40を連続添加して重合を実施した。3時
間後に重合率が20%となったところで冷却して重合を
停止した。反応槽を開放して脱エチレンした後、窒素ガ
スをバブリングして脱エチレンを完全に行った。次いで
減圧下に未反応酢酸ビニルモノマーを除去しポリ酢酸ビ
ニルのメタノール溶液とした。得られた該ポリ酢酸ビニ
ル溶液にメタノールを加えて濃度が25%となるように
調整したポリ酢酸ビニルのメタノール溶液400g(溶
液中のポリ酢酸ビニル100g)に、46.5g(ポリ
酢酸ビニル中の酢酸ビニルユニットに対してモル比(M
R)0.10)のアルカリ溶液(NaOHの10%メタ
ノール溶液)を添加してけん化を行った。アルカリ添加
後約2分で系がゲル化したものを粉砕器にて粉砕し、6
0℃で5時間放置してけん化を進行させた後、酢酸メチ
ル1000gを加えて残存するアルカリを中和した。フ
ェノールフタレイン指示薬を用いて中和の終了を確認
後、濾別して得られた白色固体のPVAにメタノール1
000gを加えて室温で3時間放置洗浄した。上記洗浄
操作を3回繰り返した後、遠心脱液して得られたPVA
を乾燥機中70℃で2日間放置して乾燥PVA(PVA
−1)を得た。得られたエチレン変性PVAについて前
述の分析を行ったところ、PVA−1の重合度は150
0、けん化度は99.5モル%、エチレン変性量は5モ
ル%であった。上記で得られた乾燥後のPVA−1につ
いて、JISふるいにより16〜30メッシュに分級さ
れたものを用いて前述の方法により水溶性を評価したと
ころ、PVA−1は完全に溶解しており未溶解物は観測
されなかった。また前述の方法により耐水性を評価した
ところ、引き上げ後のフィルムは、水浸漬前の乾燥時の
フィルムと同一のしっかりした感触であり、その溶出率
は4%、膨潤度は2.2倍であった。さらに前述の方法
により水溶液濃度10%のPVA水溶液の5℃での粘度
安定性を評価したところ、5℃に浸漬した直後のPVA
水溶液粘度は1250mPa・s、5℃に1日浸漬した
後のPVA水溶液粘度は3120mPa・sであり、低
温増粘倍率は2.5倍であった。
よびディレー溶液添加口を備えた50L加圧反応槽に酢
酸ビニル28.5kg、メタノール1.5kg、酒石酸
0.88gを仕込み、60℃に昇温した後30分間窒素
バブリングにより系中を窒素置換した。次いで反応槽圧
力が0.9MPaとなるようにエチレンを導入仕込みし
た。開始剤として2,2’−アゾビス(シクロヘキサン
−2−カルボニトリル)(和光純薬製 V−40)をメ
タノールに溶解した濃度0.1g/L溶液を調整し、窒
素ガスによるバブリングを行って窒素置換した。上記の
重合槽内温を100℃に調整した後、上記の開始剤溶液
685mlを注入し重合を開始した。重合中はエチレン
を導入して反応槽圧力を0.9MPaに、重合温度を1
00℃に維持し、上記の開始剤溶液を用いて245ml
/hrでV−40を連続添加して重合を実施した。3時
間後に重合率が20%となったところで冷却して重合を
停止した。反応槽を開放して脱エチレンした後、窒素ガ
スをバブリングして脱エチレンを完全に行った。次いで
減圧下に未反応酢酸ビニルモノマーを除去しポリ酢酸ビ
ニルのメタノール溶液とした。得られた該ポリ酢酸ビニ
ル溶液にメタノールを加えて濃度が25%となるように
調整したポリ酢酸ビニルのメタノール溶液400g(溶
液中のポリ酢酸ビニル100g)に、46.5g(ポリ
酢酸ビニル中の酢酸ビニルユニットに対してモル比(M
R)0.10)のアルカリ溶液(NaOHの10%メタ
ノール溶液)を添加してけん化を行った。アルカリ添加
後約2分で系がゲル化したものを粉砕器にて粉砕し、6
0℃で5時間放置してけん化を進行させた後、酢酸メチ
ル1000gを加えて残存するアルカリを中和した。フ
ェノールフタレイン指示薬を用いて中和の終了を確認
後、濾別して得られた白色固体のPVAにメタノール1
000gを加えて室温で3時間放置洗浄した。上記洗浄
操作を3回繰り返した後、遠心脱液して得られたPVA
を乾燥機中70℃で2日間放置して乾燥PVA(PVA
−1)を得た。得られたエチレン変性PVAについて前
述の分析を行ったところ、PVA−1の重合度は150
0、けん化度は99.5モル%、エチレン変性量は5モ
ル%であった。上記で得られた乾燥後のPVA−1につ
いて、JISふるいにより16〜30メッシュに分級さ
れたものを用いて前述の方法により水溶性を評価したと
ころ、PVA−1は完全に溶解しており未溶解物は観測
されなかった。また前述の方法により耐水性を評価した
ところ、引き上げ後のフィルムは、水浸漬前の乾燥時の
フィルムと同一のしっかりした感触であり、その溶出率
は4%、膨潤度は2.2倍であった。さらに前述の方法
により水溶液濃度10%のPVA水溶液の5℃での粘度
安定性を評価したところ、5℃に浸漬した直後のPVA
水溶液粘度は1250mPa・s、5℃に1日浸漬した
後のPVA水溶液粘度は3120mPa・sであり、低
温増粘倍率は2.5倍であった。
【0025】実施例2〜8 重合の仕込み組成やエチレン加圧の圧力、重合温度等の
条件を表1及び表2に示すように変更した以外は実施例
1と同様にして重合、けん化を行いエチレン変性PVA
2〜8をそれぞれ得た。得られたPVA2〜8について
分析及び物性評価結果を表3に示した。
条件を表1及び表2に示すように変更した以外は実施例
1と同様にして重合、けん化を行いエチレン変性PVA
2〜8をそれぞれ得た。得られたPVA2〜8について
分析及び物性評価結果を表3に示した。
【0026】比較例1〜6 重合の仕込み組成やエチレン加圧の圧力、重合温度等の
条件を表1及び表2に示すように変更した以外は実施例
1と同様にして重合、けん化を行いエチレン変性PVA
9〜14をそれぞれ得た。得られたPVA9〜14につ
いて分析及び物性評価結果を表3に示した。
条件を表1及び表2に示すように変更した以外は実施例
1と同様にして重合、けん化を行いエチレン変性PVA
9〜14をそれぞれ得た。得られたPVA9〜14につ
いて分析及び物性評価結果を表3に示した。
【0027】比較例7 重合時に窒素置換したのみでエチレンを用いないなどの
表1に示す重合条件の変更以外は実施例1と同様にして
重合、けん化を行い、100℃で重合した無変性PVA
(PVA−15)を得た。PVA−15について上記の
水溶性等の評価結果を表3に示した。
表1に示す重合条件の変更以外は実施例1と同様にして
重合、けん化を行い、100℃で重合した無変性PVA
(PVA−15)を得た。PVA−15について上記の
水溶性等の評価結果を表3に示した。
【0028】実施例1と比較例1、2及び7 実施例1で得られたPVA−1は水溶性評価において5
0℃温水中での未溶解物は確認されず完全に溶解してい
たが、比較例1で得られたPVA−9は同評価において
未溶解物が確認され、またこの未溶解物については水温
を80℃まで昇温しなければ完全に溶解しなかった。比
較例2で得られたPVA−10においてはエチレン変性
量を少なくしたが同様に未溶解物が確認され、70℃ま
で昇温しなければ完全に溶解しなかった。さらにエチレ
ン変性量が低下したことにより、若干フィルムの耐水性
が低下した。比較例7で得られたエチレン変性を有さな
いPVA−15では、水溶性評価においては未溶解物は
確認されず完全に溶解していたが、フィルムの耐水性試
験ではフィルムは形状を留めないまでに崩解しており、
極めて耐水性が低い結果となった。
0℃温水中での未溶解物は確認されず完全に溶解してい
たが、比較例1で得られたPVA−9は同評価において
未溶解物が確認され、またこの未溶解物については水温
を80℃まで昇温しなければ完全に溶解しなかった。比
較例2で得られたPVA−10においてはエチレン変性
量を少なくしたが同様に未溶解物が確認され、70℃ま
で昇温しなければ完全に溶解しなかった。さらにエチレ
ン変性量が低下したことにより、若干フィルムの耐水性
が低下した。比較例7で得られたエチレン変性を有さな
いPVA−15では、水溶性評価においては未溶解物は
確認されず完全に溶解していたが、フィルムの耐水性試
験ではフィルムは形状を留めないまでに崩解しており、
極めて耐水性が低い結果となった。
【0029】実施例2と比較例3、実施例3と比較例4 実施例2で得られたPVA−2は水溶性評価において未
溶解物が確認されず完全に溶解していたが、比較例3で
得られたPVA−11では未溶解物が確認され、この未
溶解物は90℃以上まで昇温しなければ完全に溶解しな
かった。実施例3で得られたPVA−3は水溶性評価に
おいて50℃では少量の未溶解物が確認されたが、60
℃まで昇温した時点で完全に溶解した。一方比較例4で
得られたPVA−12では同様に未溶解物が確認された
がその量はPVA−3と比べると極めて多く、またこの
未溶解物については90℃以上まで昇温しなければ完全
には溶解しなかった。
溶解物が確認されず完全に溶解していたが、比較例3で
得られたPVA−11では未溶解物が確認され、この未
溶解物は90℃以上まで昇温しなければ完全に溶解しな
かった。実施例3で得られたPVA−3は水溶性評価に
おいて50℃では少量の未溶解物が確認されたが、60
℃まで昇温した時点で完全に溶解した。一方比較例4で
得られたPVA−12では同様に未溶解物が確認された
がその量はPVA−3と比べると極めて多く、またこの
未溶解物については90℃以上まで昇温しなければ完全
には溶解しなかった。
【0030】実施例7と比較例6 実施例7で得られたPVA−7及び比較例6で得られた
PVA−14のいずれも、水溶性評価においては50℃
で完全に溶解していたが、PVA−14は160℃とい
った本発明の範囲内から外れた温度で重合を行っている
ため、フィルムの耐水性試験においてフィルムが形状を
留めないまでに崩解しており、極めて耐水性が低い結果
となった。
PVA−14のいずれも、水溶性評価においては50℃
で完全に溶解していたが、PVA−14は160℃とい
った本発明の範囲内から外れた温度で重合を行っている
ため、フィルムの耐水性試験においてフィルムが形状を
留めないまでに崩解しており、極めて耐水性が低い結果
となった。
【0031】実施例8と比較例5 実施例8で得られたPVA−8は水溶性評価において未
溶解物が確認されず完全に溶解していたが、比較例5で
得られたPVA−13は未溶解物が確認され、この未溶
解物は80℃まで昇温しなければ溶解しなかった。
溶解物が確認されず完全に溶解していたが、比較例5で
得られたPVA−13は未溶解物が確認され、この未溶
解物は80℃まで昇温しなければ溶解しなかった。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】
【発明の効果】以上から明かなように、本発明によっ
て、皮膜の耐水性及び溶液の粘度安定性を損なうことな
く、水への溶解時の作業性に優れたエチレン変性PVA
を得ることが可能である。
て、皮膜の耐水性及び溶液の粘度安定性を損なうことな
く、水への溶解時の作業性に優れたエチレン変性PVA
を得ることが可能である。
Claims (1)
- 【請求項1】 65℃〜150℃の温度でエチレン加圧
下にエチレンとビニルエステルを共重合し、次いで得ら
れた共重合体をけん化して、エチレン単位を2〜19モ
ル%含有するエチレン−ビニルアルコール共重合体を製
造する方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000073754A JP2001261745A (ja) | 2000-03-16 | 2000-03-16 | エチレン−ビニルアルコール共重合体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000073754A JP2001261745A (ja) | 2000-03-16 | 2000-03-16 | エチレン−ビニルアルコール共重合体の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001261745A true JP2001261745A (ja) | 2001-09-26 |
Family
ID=18591949
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000073754A Pending JP2001261745A (ja) | 2000-03-16 | 2000-03-16 | エチレン−ビニルアルコール共重合体の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001261745A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012124746A1 (ja) * | 2011-03-17 | 2012-09-20 | 株式会社クラレ | 変性ビニルアルコール系重合体溶液及びこの製造方法 |
JP2016069481A (ja) * | 2014-09-29 | 2016-05-09 | 日本合成化学工業株式会社 | エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物及び高圧ガス用ホース又は貯蔵容器 |
CN105628597A (zh) * | 2015-12-22 | 2016-06-01 | 三棵树涂料股份有限公司 | 外用面漆保色性的测试方法 |
WO2021235507A1 (ja) * | 2020-05-21 | 2021-11-25 | 三菱ケミカル株式会社 | 変性エチレン-ビニルアルコール系樹脂、およびガスバリア材 |
WO2023127701A1 (ja) * | 2021-12-27 | 2023-07-06 | 株式会社クラレ | ビニルアルコール共重合体、ならびにそれを含む樹脂組成物、および樹脂成形体 |
-
2000
- 2000-03-16 JP JP2000073754A patent/JP2001261745A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012124746A1 (ja) * | 2011-03-17 | 2012-09-20 | 株式会社クラレ | 変性ビニルアルコール系重合体溶液及びこの製造方法 |
JP5788969B2 (ja) * | 2011-03-17 | 2015-10-07 | 株式会社クラレ | 変性ビニルアルコール系重合体溶液及びこの製造方法 |
JP2016069481A (ja) * | 2014-09-29 | 2016-05-09 | 日本合成化学工業株式会社 | エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物及び高圧ガス用ホース又は貯蔵容器 |
CN105628597A (zh) * | 2015-12-22 | 2016-06-01 | 三棵树涂料股份有限公司 | 外用面漆保色性的测试方法 |
WO2021235507A1 (ja) * | 2020-05-21 | 2021-11-25 | 三菱ケミカル株式会社 | 変性エチレン-ビニルアルコール系樹脂、およびガスバリア材 |
WO2023127701A1 (ja) * | 2021-12-27 | 2023-07-06 | 株式会社クラレ | ビニルアルコール共重合体、ならびにそれを含む樹脂組成物、および樹脂成形体 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6110678B2 (ja) | ヒドロキシメチル基含有ビニルアルコール系重合体 | |
JP7375808B2 (ja) | ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂の製造方法、分散剤及び懸濁重合用分散剤 | |
JP6403019B2 (ja) | 変性ポリビニルアルコールを含む水性組成物及び変性ポリビニルアルコールの成形体 | |
JP2015034262A (ja) | 変性ビニルアルコール系重合体 | |
US6495623B1 (en) | Aqueous emulsion and dispersant for suspension polymerization of vinyl compounds | |
US20230227595A1 (en) | Modified polyvinyl alcohol resin with improved solubility in alcohol mixtures | |
JPWO2019159757A1 (ja) | 変性ビニルアルコール系重合体とその製造方法 | |
JP5525110B2 (ja) | アルキル変性ビニルアルコール系重合体溶液 | |
JP2001261745A (ja) | エチレン−ビニルアルコール共重合体の製造方法 | |
JP4132467B2 (ja) | ビニルアルコール系重合体の製法 | |
JP4619520B2 (ja) | ビニル系化合物の懸濁重合用分散安定剤 | |
JP3618440B2 (ja) | ビニルアルコール系重合体 | |
WO2019198764A1 (ja) | ポリビニルアルコール組成物及びその用途、並びにビニル系樹脂の製造方法 | |
JP4607285B2 (ja) | ビニルアルコール系重合体の製造方法 | |
JP2001019720A (ja) | ビニルアルコール系重合体 | |
CN111868103B (zh) | 悬浮聚合用分散稳定剂 | |
JP6027419B2 (ja) | アルケニル変性ビニルアルコール系重合体及びこれを含む増粘剤 | |
JP2020200460A (ja) | ポリビニルアルコール、その製造方法及びその用途 | |
JP5501913B2 (ja) | ブロック共重合体の製法 | |
JP6340287B2 (ja) | ビニルアルコール系共重合体および成形物 | |
JP3883425B2 (ja) | 耐水性ポリビニルアルコール系共重合体およびそれを用いて得られる合成樹脂エマルジョン | |
JP3905815B2 (ja) | ビニル系化合物の懸濁重合用分散安定剤 | |
WO2022065358A1 (ja) | アセトアセチル基含有ポリビニルアルコール系樹脂、アセトアセチル基含有ポリビニルアルコール系樹脂の製造方法 | |
WO2022004636A1 (ja) | 変性ビニルアルコール系重合体、水溶液、及び変性ビニルアルコール系重合体の製造方法 | |
WO2023127700A1 (ja) | ビニルアルコール共重合体、ならびにそれを含む樹脂組成物、および樹脂成形体 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20060725 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20080804 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20090203 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20090609 |