JP4498872B2 - 溶液および積層体 - Google Patents
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[化1]
−〔CH2−C(R1)〕−
|
HO−C−R2 ・・・(1)
|
HO−C−R3
|
R4
(ここで、R1〜R4はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜8の炭化水素基、炭素数3〜8の環状炭化水素基又は芳香族炭化水素基のいずれかである。)
本発明においては、溶媒がアルコール系溶媒であること、さらにアルコールと水の混合溶媒であること、EVOHが上記の構造単位(1)を0.1〜30モル%主鎖に有していること等が好ましい実施態様である。
本発明に用いられるEVOHは、上記の構造単位(1)、すなわち側鎖に1,2−グリコール結合を有する構造単位を含有することを特徴とするEVOHで、その分子鎖と1,2−グリコール結合構造とに関しては、EVOHのガスバリア性能が良好となる点で、1,2−グリコール結合構造が直接、分子鎖に結合している構造である。また、R1〜R4に関しては任意の置換基であり、とくに限定されないが水素原子、アルキル基がモノマーの入手が容易である点で好ましく、さらには水素原子がEVOHのガスバリア性が良好である点で好ましい。
なお、上記の(2)式で示される化合物は、イーストマンケミカル社から、上記(3)式で示される化合物はイーストマンケミカル社やアクロス社から入手することができる。
溶媒の使用量は、目的とする共重合体の重合度に合わせて、溶媒の連鎖移動定数を考慮して適宜選択すればよく、例えば、溶媒がメタノールの時は、S(溶媒)/M(モノマー)=0.01〜10(重量比)、好ましくは0.05〜7(重量比)程度の範囲から選択される。
また、共重合反応の反応温度は、使用する溶媒や圧力により40℃〜沸点程度とすることが好ましい。
また、ケン化時の圧力は目的とするエチレン含有量により一概に言えないが、2〜7kg/cm2の範囲から選択され、このときの温度は80〜150℃、好ましくは100〜130℃から選択される。
酢酸の添加量としてはEVOH100重量部に対して0.001〜1重量部(さらには0.005〜0.2重量部、特には0.010〜0.1重量部)とすることが好ましく、かかる添加量が0.001重量部未満ではその添加効果が十分に得られないことがあり、逆に0.1重量部を越えると得られる積層体の外観が悪化する傾向にあり好ましくない。
かかる乾燥方法としては、種々の乾燥方法を採用することが可能である。例えば、実質的にペレット状のEVOHが、機械的にもしくは熱風により撹拌分散されながら行われる流動乾燥や、実質的にペレット状のEVOHが、撹拌、分散などの動的な作用を与えられずに行われる静置乾燥が挙げられ、流動乾燥を行うための乾燥器としては、円筒・溝型撹拌乾燥器、円管乾燥器、回転乾燥器、流動層乾燥器、振動流動層乾燥器、円錐回転型乾燥器等が挙げられ、また、静置乾燥を行うための乾燥器として、材料静置型としては回分式箱型乾燥器が、材料移送型としてはバンド乾燥器、トンネル乾燥器、竪型乾燥器等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。流動乾燥と静置乾燥を組み合わせて行うことも可能である。
下記の方法によりEVOH組成物(A1)を得た。
冷却コイルを持つ1m3の重合缶に酢酸ビニルを500kg、メタノール100kg、アセチルパーオキシド500ppm(対酢酸ビニル)、クエン酸20ppm、および3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを14kgを仕込み、系を窒素ガスで一旦置換した後、次いでエチレンで置換して、エチレン圧が35kg/cm2となるまで圧入して、攪拌した後、67℃まで昇温して、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを15g/分で全量4.5kgを添加しながら重合し、重合率が50%になるまで6時間重合した。その後、重合反応を停止してエチレン含有量29モル%のエチレン-酢酸ビニル共重合体を得た。
該多孔性ペレット100部に対して水100部で洗浄した後、0.032%のホウ酸及び0.007%のリン酸二水素カルシウムを含有する混合液中に投入し、30℃で5時間撹拌した。さらにかかる多孔性ペレットを回分式通気箱型乾燥器にて、温度70℃、水分含有率0.6%の窒素ガスを通過させて12時間乾燥を行って、含水率を30%とした後に、回分式塔型流動層乾燥器を用いて、温度120℃、水分含有率0.5%の窒素ガスで12時間乾燥を行って目的とするEVOH組成物のペレットを得た。かかるペレットは、EVOH100重量部に対して、ホウ酸およびリン酸二水素カルシウムをそれぞれ0.015重量部(ホウ素換算)および0.005重量部(リン酸根換算)含有していた。
また、このEVOH組成物のMFRは4.0g/10min(210℃、荷重2160g)であった。
1.0〜1.8ppm:メチレンプロトン(図1の積分値a)
1.87〜2.06ppm:メチルプロトン
3.95〜4.3ppm:構造(I)のメチレン側のプロトン+未反応の3,4−ジア セトキシ−1−ブテンのプロトン(図1の積分値b)
4.6〜5.1ppm:メチンプロトン+構造(I)のメチン側のプロトン(図1の積 分値c)
5.2〜5.9ppm:未反応の3,4−ジアセトキシ−1−ブテンのプロトン(図1 の積分値d)
5.2〜5.9ppmに4つのプロトンが存在するため、1つのプロトンの積分値はd/4、積分値bはジオールとモノマーのプロトンが含まれた積分値であるため、ジオールの1つのプロトンの積分値(A)は、A=(b−d/2)/2、積分値cは酢酸ビニル側とジオール側のプロトンが含まれた積分値であるため、酢酸ビニルの1つプロトンの積分値(B)は、B=1−(b−d/2)/2、積分値aはエチレンとメチレンが含まれた積分値であるため、エチレンの1つのプロトンの積分値(C)は、C=(a−2×A−2×B)/4=(a−2)/4と計算し、構造単位(1)の導入量は、100×{A/(A+B+C)}=100×(2×b−d)/(a+2)より算出した。
下記の方法によりEVOH組成物(A2)を得た。
重合例1において、重合缶に酢酸ビニルを500kg、メタノール35kg、クエン酸20ppm、および3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを14kgを仕込み、次いでエチレンで置換して、t−ブチルパーオキシネオデカノエートの代わりにアセチルパーオキシド500ppm(対酢酸ビニル)を5時間かけて添加し、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを15g/分として全量4.5kgを添加しながら重合し、ホウ酸を添加しなかった以外は同様に行い、側鎖に1,2−グリコール結合を有する構造単位の導入量が2.5モル%、エチレン含有量38モル%、リン酸二水素カルシウム含有量0.005重量部(リン酸根換算)、MFRが4.0g/10分(210℃、荷重2160g)のEVOH組成物(A2)を得た。
下記の方法によりEVOH組成(A3)を得た。
重合例2の3,4−ジアセトキシ−1−ブテンの代わりに3,4−ジアセトキシ−1−ブテンと3−アセトキシ−4−オール−1−ブテンと1,4−ジアセトキシ−1−ブテンの70:20:10の混合物を用いた以外は同様に行い、1,2−グリコール導入量2.0モル%、エチレン含有量38モル%、ホウ酸含有量0.015重量部(ホウ素換算)、リン酸二水素カルシウム含有量0.005重量部(リン酸根換算)、MFRが3.7g/10minのEVOH組成物(A3)を得た。
水50%、イソプロピルアルコール50%の混合溶媒にEVOH組成物(A1)を濃度が15%となるように添加し、還流管付きのセパラブルフラスコ内で70℃で攪拌しながら溶解し、本発明のEVOH溶液を得た。
<溶液安定性>
溶液を23℃の恒温下に放置し、溶液が白濁してくるまでの日数で評価した。
<消泡性>
高さ36cm、内径5cm、容量500ccのメスシリンダーにEVOH溶液を100cc入れ、上部にゴム栓をして密封し、半回転させてもとに戻す操作を1秒に1回の速度で50回行ったあと静置し、1分後の泡立ちの状況を目視で確認し評価した。
○・・・溶液面に泡は見られない
△・・・溶液面に少量の泡が見られる
×・・・溶液面全体に泡が見られる
厚み25μmのO−PPフィルムにポリエステル系AC剤(大日精化工業社製「セイカボンドE−263/C26」)1μmをコーティングして乾燥し、さらにEVOH溶液をバーコーターを用いて、EVOHのコーティング層(乾燥後)が3μmになるように塗工し、20℃、65%RHの条件下での酸素透過度をモコン社製「OXTRAN2−20」を用いて測定した。
実施例1において、EVOH組成物(A1)の代わりにEVOH組成物(A2)を用いて以外は同様にEVOH溶液を作製し、同様に評価を行った。
実施例1において、溶媒(B)を水50%、エチルアルコール50%の混合溶媒とした以外は同様にEVOH溶液を作製し、同様に評価を行った。
実施例1において、EVOH組成物(A1)の代わりにEVOH組成物(A3)を用いた以外は同様にEVOH溶液を作製し、同様に評価を行った。
実施例1において、EVOH組成物(A1)の代わりにEVOH組成物(A4)を用いた以外は同様にEVOH溶液を作製し、同様に評価を行った。
EVOH組成物(A4)を水50%、イソプロピルアルコール50%の混合溶媒に17%となるように溶解し、この溶液に100部に対して30%の濃度の過酸化水素水13部を添加し、80℃で20時間攪拌下で反応させた後、カタラーゼを3000ppmとなるように添加して、残存する過酸化水素を除去して15%のEVOH溶液を得た。溶液は淡黄色に着色していた。
得られたEVOH溶液について、実施例1と同様に評価を行った。
溶液安定性 消泡性 ガスバリア性*
実施例1 >30日 ○ 4.0
〃 2 >30日 ○ 6.0
〃 3 25日 ○ 4.0
〃 4 28日 ○ 5.5
比較例1 1日 × 4.0
〃 2 25日 × 12.3
*:cc/m2・day・atm
Claims (12)
- 下記の構造単位(1)を含有し、エチレン含有量が20〜60モル%であるエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)および溶媒(B)を含有してなることを特徴とする溶液。
[化1]
−〔CH2−C(R1)〕−
|
HO−C−R2 ・・・(1)
|
HO−C−R3
|
R4
(ここで、R1〜R4はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜8の炭化水素基、炭素数3〜8の環状炭化水素基又は芳香族炭化水素基のいずれかである。) - 構造単位(1)のR1〜R4がいずれも水素原子であることを特徴とする請求項1記載の溶液。
- 構造単位(1)が共重合によりエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)の分子鎖中に導入されたものであることを特徴とする請求項1または2いずれか記載の溶液。
- エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)の分子鎖中に構造単位(1)を0.1〜30モル% 含有することを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の溶液。
- エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)が3,4−ジアシロキシ−1−ブテン、ビニルエステル系モノマーおよびエチレンの共重合体をケン化して得られたものであることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の溶液。
- エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)が3,4−ジアセトキシ−1−ブテン、ビニルエステル系モノマーおよびエチレンの共重合体をケン化して得られたものであることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の溶液。
- 溶媒(B)がアルコール系溶媒であることを特徴とする請求項1〜6いずれか記載の溶液。
- 溶媒(B)が炭素数1〜4のアルコールと水の混合溶媒であることを特徴とする請求項1〜7いずれか記載の溶液。
- 溶媒(B)が炭素数1〜4のアルコールと水の混合溶媒であり、かつ該混合溶媒中の水の量が40〜60重量%であることを特徴とする請求項8記載の溶液。
- 溶液中のエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)の濃度が、5〜40重量%であることを特徴とする請求項1〜9いずれか記載の溶液。
- 請求項1〜10いずれか記載の溶液を基材にコーティングしてなることを特徴とする積層体。
- 請求項11記載の積層体におけるエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)層の膜厚が、0.05〜15μmであることを特徴とする積層体。
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