JP4859360B2 - 粉体塗料 - Google Patents
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Description
このようなEVOHを用いた粉体塗料としては、1)EVOHとポリアミド系樹脂及びオレフィン−不飽和カルボン酸共重合体からなる粉体塗装用樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、さらに耐アルカリ接着性、耐衝撃性に優れた塗膜の得られる粉体塗料として、2)EVOHと融点が160℃以下のポリアミド系樹脂からなる粉体塗料用樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
本発明の粉体塗料は、上記の構造単位(1)、すなわち側鎖に1,2−グリコール結合を有する構造単位を含有することを特徴とするEVOHからなり、その分子鎖と1,2−グリコール結合構造とを結合する結合鎖(X)に関しては、熱溶融安定性の点で炭素数が6以下のアルキレンである。また、EVOHのガスバリア性能が良好となる点で、炭素数はより少ないものが好ましく、n=0である1,2−グリコール結合構造が直接、分子鎖に結合している構造が最も好ましい。また、R1〜R4に関しては任意の置換基であり、とくに限定されないが水素原子、アルキル基がモノマーの入手が容易である点で好ましく、さらには水素原子がEVOHのガスバリア性が良好である点で好ましい。
本発明に用いるEVOHの製造方法については特に限定されないが、最も好ましい構造である主鎖に直接1,2−グリコール結合構造を結合した構造単位を例とすると、3,4−ジオール−1−ブテン、ビニルエステル系モノマーおよびエチレンを共重合して得られた共重合体をケン化する方法、3,4−ジアシロキシ−1−ブテン、ビニルエステル系モノマーおよびエチレンを共重合して得られた共重合体をケン化する方法、3−アシロキシ−4−オール−1−ブテン、ビニルエステル系モノマーおよびエチレンを共重合して得られた共重合体をケン化する方法、4−アシロキシ−3−オール−1−ブテン、ビニルエステル系モノマーおよびエチレンを共重合して得られた共重合体をケン化する方法、3,4−ジアシロキシ−2−メチル−1−ブテン、ビニルエステル系モノマーおよびエチレンを共重合して得られた共重合体をケン化する方法があげられ、また、結合鎖(X)としてアルキレンを有するものとしては4,5−ジオール−1−ペンテンや4,5−ジアシロキシ−1−ペンテン、4,5−ジオール−3−メチル−1−ペンテン、4,5 −ジオール−3−メチル−1−ペンテン、5,6−ジオール−1−ヘキセン、5,6−ジアシロキシ−1−ヘキセン等とビニルエステル系モノマーおよびエチレンを共重合して得られた共重合体をケン化する方法が挙げられるが、3,4−ジアシロキシ−1−ブテン、ビニルエステル系モノマーおよびエチレンを共重合して得られた共重合体をケン化する方法が共重合反応性に優れる点で好ましく、さらには3,4−ジアシロキシ−1−ブテンとして、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを用いることが好ましい。また、これらのモノマーの混合物を用いてもよい。また、少量の不純物として3,4−ジアセトキシ−1−ブタンや1,4−ジアセトキシ−1−ブテン、1,4−ジアセトキシ−1−ブタン等を含んでいても良い。また、かかる共重合方法について以下に説明するが、これに限定されるものではない。
なお、上記の(2)式で示される化合物は、イーストマンケミカル社から、上記(3)式で示される化合物はイーストマンケミカル社やアクロス社から入手することができる。
溶媒の使用量は、目的とする共重合体の重合度に合わせて、溶媒の連鎖移動定数を考慮して適宜選択すればよく、例えば、溶媒がメタノールの時は、S(溶媒)/M(モノマー)=0.01〜10(重量比)、好ましくは0.05〜7(重量比)程度の範囲から選択される。
また、共重合反応の反応温度は、使用する溶媒や圧力により40℃〜沸点程度の範囲から選択することが好ましい。
酢酸の添加量としてはEVOH100重量部に対して0.001〜1重量部(さらには0.005〜0.2重量部、特には0.010〜0.1重量部)とすることが好ましく、かかる添加量が0.001重量部未満ではその含有効果が十分に得られないことがあり、逆に1重量部を越えると得られる成形物の外観が悪化する傾向にあり好ましくない。
ホウ酸金属塩としてはホウ酸カルシウム、ホウ酸コバルト、ホウ酸亜鉛(四ホウ酸亜鉛,メタホウ酸亜鉛等)、ホウ酸アルミニウム・カリウム、ホウ酸アンモニウム(メタホウ酸アンモニウム、四ホウ酸アンモニウム、五ホウ酸アンモニウム、八ホウ酸アンモニウム等)、ホウ酸カドミウム(オルトホウ酸カドミウム、四ホウ酸カドミウム等)、ホウ酸カリウム(メタホウ酸カリウム、四ホウ酸カリウム、五ホウ酸カリウム、六ホウ酸カリウム、八ホウ酸カリウム等)、ホウ酸銀(メタホウ酸銀、四ホウ酸銀等)、ホウ酸銅(ホウ酸第2銅、メタホウ酸銅、四ホウ酸銅等)、ホウ酸ナトリウム(メタホウ酸ナトリウム、二ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、五ホウ酸ナトリウム、六ホウ酸ナトリウム、八ホウ酸ナトリウム等)、ホウ酸鉛(メタホウ酸鉛、六ホウ酸鉛等)、ホウ酸ニッケル(オルトホウ酸ニッケル、二ホウ酸ニッケル、四ホウ酸ニッケル、八ホウ酸ニッケル等)、ホウ酸バリウム(オルトホウ酸バリウム、メタホウ酸バリウム、二ホウ酸バリウム、四ホウ酸バリウム等)、ホウ酸ビスマス、ホウ酸マグネシウム(オルトホウ酸マグネシウム、二ホウ酸マグネシウム、メタホウ酸マグネシウム、四ホウ酸三マグネシウム、四ホウ酸五マグネシウム等)、ホウ酸マンガン(ホウ酸第1マンガン、メタホウ酸マンガン、四ホウ酸マンガン等)、ホウ酸リチウム(メタホウ酸リチウム、四ホウ酸リチウム、五ホウ酸リチウム等)などの他、ホウ砂、カーナイト、インヨーアイト、コトウ石、スイアン石、ザイベリ石等のホウ酸塩鉱物などが挙げられ、好適にはホウ砂、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム(メタホウ酸ナトリウム、二ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、五ホウ酸ナトリウム、六ホウ酸ナトリウム、八ホウ酸ナトリウム等)があげられる。またホウ素化合物の添加量としては、組成物中の全EVOH100重量部に対してホウ素換算で0.001〜1重量部(さらには0.002〜0.2重量部、特には0.005〜0.1重量部)とすることが好ましく、かかる添加量が0.001重量部未満ではその含有効果が十分に得られないことがあり、逆に1重量部を越えると得られる成形物の外観が悪化する傾向にあり好ましくない。
かかる乾燥方法としては、種々の乾燥方法を採用することが可能である。例えば、実質的にペレット状のEVOH組成物が、機械的にもしくは熱風により撹拌分散されながら行われる流動乾燥や、実質的にペレット状のEVOH組成物が、撹拌、分散などの動的な作用を与えられずに行われる静置乾燥が挙げられ、流動乾燥を行うための乾燥器としては、円筒・溝型撹拌乾燥器、円管乾燥器、回転乾燥器、流動層乾燥器、振動流動層乾燥器、円錐回転型乾燥器等が挙げられ、また、静置乾燥を行うための乾燥器として、材料静置型としては回分式箱型乾燥器が、材料移送型としてはバンド乾燥器、トンネル乾燥器、竪型乾燥器等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。流動乾燥と静置乾燥を組み合わせて行うことも可能である。
また、本発明の粉体塗料には、上述以外の一般的な紛体塗料に添加される添加物を配合することも可能である。
塗装基材としては、金属が一般的であるが、セラミックス、ガラス、プラスチックス等で上記の溶融温度に耐えうるものも基材とすることが可能である。
下記の方法によりEVOH(A1)組成物を得た。
冷却コイルを持つ1m3の重合缶に酢酸ビニルを500kg、メタノール100kg、アセチルパーオキシド500ppm(対酢酸ビニル)、クエン酸20ppm、および3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを14kgを仕込み、系を窒素ガスで一旦置換した後、次いでエチレンで置換して、エチレン圧が35kg/cm2となるまで圧入して、攪拌した後、67℃まで昇温して、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを15g/分で全量4.5kgを添加しながら重合し、重合率が50%になるまで6時間重合した。その後、重合反応を停止してエチレン含有量29モル%のエチレン-酢酸ビニル共重合体を得た。
1.0〜1.8ppm:メチレンプロトン(図1の積分値a)
1.87〜2.06ppm:メチルプロトン
3.95〜4.3ppm:構造(I)のメチレン側のプロトン+未反応の3,4−ジア セトキシ−1−ブテンのプロトン(図1の積分値b)
4.6〜5.1ppm:メチンプロトン+構造(I)のメチン側のプロトン(図1の積 分値c)
5.2〜5.9ppm:未反応の3,4−ジアセトキシ−1−ブテンのプロトン(図1 の積分値d)
5.2〜5.9ppmに4つのプロトンが存在するため、1つのプロトンの積分値はd/4、積分値bはジオールとモノマーのプロトンが含まれた積分値であるため、ジオールの1つのプロトンの積分値(A)は、A=(b−d/2)/2、積分値cは酢酸ビニル側とジオール側のプロトンが含まれた積分値であるため、酢酸ビニルの1つプロトンの積分値(B)は、B=1−(b−d/2)/2、積分値aはエチレンとメチレンが含まれた積分値であるため、エチレンの1つのプロトンの積分値(C)は、C=(a−2×A−2×B)/4=(a−2)/4と計算し、構造単位(1)の導入量は、100×{A/(A+B+C)} =100×(2×b−d)/(a+2)より算出した。
重合例1において、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンの替わりに3,4−ジアセトキシ−1−ブテンと3−アセトキシ−4−オール−1−ブテンと1,4−ジアセトキシ−1−ブテンの70:20:10の混合物を用いた以外は同様に行い、で側鎖に1,2−グリコール結合を有する構造単位の導入量が2.0モル%のEVOH組成物(A2)を得た。このEVOH共重合体のMFRは3.7g/10分で、のEVOH組成物であった。
ホウ酸含0.015重量部(ホウ素換算)リン酸二水素カルシウム0.005重量部(リン酸根換算)含有のMFRが3.2g/10分のEVOH組成物(A3)を準備した。
重合例1で得られたEVOH組成物(A1)を低温粉砕器にて、粉砕して80meshの篩を通過する粉体塗料[ホウ素300ppm含有、ナトリウム95ppm含有]を得た。
(熱衝撃後の耐衝撃性)
得られた塗装鋼板をタバイエスペック社製ヒートショック試験器「TSA−100L(A/W))」にて−40℃で1時間放置した後、75℃まで昇温して1時間放置した後、−40℃まで降温するというサイクルを5サイクル繰り返した後、塗装鋼板上に、−40℃雰囲気中で、2mの高さから、1.2kgの鋼球を自然落下させ、塗装表面を目視観察して、以下のように評価した。
◎・・・塗膜表面にクラックは全くみられなかった
○・・・塗膜表面にクラックが若干見られるが塗膜の剥離はなかった
×・・・塗膜の剥離が見られた
実施例1において、EVOH組成物(A1)の代わりにEVOH組成物(A2)を使用した以外は同様に粉体塗料を得て、評価を行った。
実施例1において、EVOH組成物(A1)の代わりにEVOH組成物(A3)を使用した以外は同様に粉体塗料を得て、評価を行った。
実施例1において、EVOH(A1)組成物の代わりにEVOH(A3)と融点が124℃のエムスジャパン社製『グリロンCF6S』(ナイロン6/12の共重合体)の重量比90/10の溶融混合物をEVOH組成物(A1)の代わりに使用した以外は同様に粉体塗料を得て、評価を行った。
熱衝撃後の耐衝撃性
実施例1 ○
〃 2 ○
比較例1 ×
〃 2 ×
Claims (9)
- 構造単位(1)のR1〜R4がいずれも水素原子であることを特徴とする請求項1記載の粉体塗料。
- 構造単位(1)のnが0であることを特徴とする請求項1または2いずれか記載の粉体塗料。
- 構造単位(1)が共重合によりエチレン−ビニルアルコール共重合体の分子鎖中に導入されたものであることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の粉体塗料。
- エチレン−ビニルアルコール共重合体のエチレン含有量が10〜60モル%であることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の粉体塗料。
- エチレン−ビニルアルコール共重合体の分子鎖中に構造単位(1)を0.1〜30モル%含有することを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の粉体塗料。
- エチレン−ビニルアルコール共重合体が3,4−ジアシロキシ−1−ブテン、ビニルエステル系モノマーおよびエチレンの共重合体をケン化して得られたものであることを特徴とする請求項1〜6いずれか記載の粉体塗料。
- エチレン−ビニルアルコール共重合体が3,4−ジアセトキシ−1−ブテン、ビニルエステル系モノマーおよびエチレンの共重合体をケン化して得られたものであることを特徴とする請求項1〜7いずれか記載の粉体塗料。
- エチレン−ビニルアルコール共重合体がホウ素化合物をエチレン− ビニルアルコール共重合体100重量部に対してホウ素換算で0.001〜1重量部含有することを特徴とする請求項1〜8いずれか記載の粉体塗料。
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