JP6292838B2 - 変性エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物組成物及びその製造方法 - Google Patents

変性エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物組成物及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、脂肪族ポリエステルがグラフトされた変性エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物(以下、「変性EVOH樹脂」と称することがある)とアルカリ金属を含有する変性EVOH樹脂組成物に関し、更に詳しくは、溶融押出成形性に優れる変性EVOH樹脂組成物に関するものである。
エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物(以下、「EVOH樹脂」と称することがある)は、高分子側鎖に存在する水酸基同士の水素結合のため、非常に強い分子間力を有する。それゆえに、結晶性が高く、非晶部分においても分子間力が高いため、気体分子等はEVOH樹脂を用いたフィルムを通過しにくく、EVOH樹脂を用いたフィルムは優れたガスバリア性を示す。
しかしながら、EVOH樹脂は硬くて脆い樹脂であり、柔軟性に欠けるという欠点を有している。そのため、包装材料、成形材料に使用したときに、繰り返し折り曲げて使用すると屈曲疲労等によりクラックやピンホールを生じ、その優れた性能を保持することができなくなるなどの問題があった。
かかる問題点を解決する手段として、EVOH樹脂の存在下におけるラクトン類の開環重合反応による、EVOH樹脂の水酸基にエステル結合によって脂肪族ポリエステルがグラフトされた変性EVOH樹脂が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平9−208638
一般的な未変性EVOH樹脂を用いたフィルムは、通常、溶融押出成形して得られるものであり、溶融押出成形時の樹脂粘度を特に配慮されずとも、問題なく成形可能であった。
しかしながら、特許文献1の変性EVOH樹脂を、未変性EVOH樹脂と同様に溶融押出成形した場合、溶融粘度が高く、成形性にも乏しいといった問題が生じた。また、溶融粘度が高いために、押出成形機に負担がかかるといった問題が生じた。
したがって、本発明は、変性EVOH樹脂を用いて溶融押出成形する場合でも、押出成形容易な変性EVOH樹脂組成物の提供を目的とするものである。
本発明者は上記実情に鑑み鋭意検討した結果、アルカリ金属を、変性EVOH樹脂に対して、重量基準にて10〜2000ppm含有させることにより、溶融押出成形性に優れることを見出し、本発明を完成した。
本発明の変性EVOH樹脂組成物は、溶融押出成形時の成形性が優れるという効果を有する。
以下、本発明の構成につき詳細に説明するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものであり、これらの内容に特定されるものではない。
本発明の変性EVOH樹脂組成物は、変性EVOH樹脂(A)に対して、重量基準にて10〜2000ppmのアルカリ金属(B)を含有することを特徴とする。
<変性EVOH樹脂(A)の説明>
本発明の変性EVOH樹脂(A)は、EVOH樹脂の水酸基にラクトン類を開環重合させて、脂肪族ポリエステルがグラフトしてなる樹脂である。
[EVOH樹脂]
まず、本発明の変性EVOH樹脂(A)の原料であるEVOH樹脂について説明する。
本発明で用いるEVOH樹脂は、通常、エチレンとビニルエステル系モノマーを共重合させた後にケン化させることにより得られる樹脂であり、非水溶性の熱可塑性樹脂である。上記ビニルエステル系モノマーは、経済的な面から、一般的には酢酸ビニルが用いられる。重合法も公知の任意の重合法、例えば、溶液重合、懸濁重合、エマルジョン重合を用いることができるが、一般的にはメタノールを溶媒とする溶液重合が用いられる。得られたエチレン−ビニルエステル共重合体のケン化も公知の方法で行い得る。
すなわち、EVOH樹脂は、エチレン構造単位とビニルアルコール構造単位を主とし、ケン化されずに残存した若干量のビニルエステル構造単位を含むものである。
本発明で用いるEVOH樹脂におけるエチレン構造単位の含有量は、通常20〜60モル%、好ましくは25〜50モル%、特に好ましくは29〜45モル%である。かかる含有量が低すぎる場合は、柔軟性が悪化する傾向があり、逆に高すぎる場合は、ガスバリア性が不足する傾向がある。
かかるエチレン構造単位の含有量は、例えば、ISO14663に準じて計測することができる。
EVOH樹脂におけるビニルエステル成分のケン化度は、通常80〜100モル%、好ましくは90〜99.99モル%、特に好ましくは99〜99.99モル%である。かかるケン化度が低すぎる場合には柔軟性が悪化する傾向がある。
かかるビニルエステル成分のケン化度は、例えば、JIS K6726(ただし、EVOH樹脂は水/メタノール溶媒に均一に溶解した溶液にて)に準じて計測することができる。
EVOH樹脂のメルトフローレート(MFR)(210℃、荷重2,160g)は、通常1〜50g/10分であり、好ましくは1.5〜25g/10分、特に好ましくは2〜20g/10分である。MFRが大きすぎる場合には、バリア性が悪化する傾向があり、小さすぎる場合には柔軟性が悪化する傾向がある。
EVOH樹脂としては、その平均値が、上記要件を充足する組合せであれば、エチレン含有率、ケン化度、MFRが異なる2種以上のEVOH樹脂を混合して用いてもよい。
また、本発明に用いられるEVOH樹脂には、以下に示すコモノマーに由来する構造単位が、さらに含まれていてもよい。前記コモノマーは、プロピレン、イソブテン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のα−オレフィン、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、3−ブテン−1、2−ジオール等のヒドロキシ基含有α−オレフィン類やそのエステル化物、アシル化物などのヒドロキシ基含有α−オレフィン誘導体、不飽和カルボン酸又はその塩・部分アルキルエステル・完全アルキルエステル・ニトリル・アミド・無水物、不飽和スルホン酸又はその塩、ビニルシラン化合物、塩化ビニル、スチレン等のコモノマーである。
さらに、ウレタン化、アセタール化、シアノエチル化、オキシアルキレン化等の「後変性」されたEVOH系樹脂を用いることもできる。
以上のような変性物の中でも、共重合によって一級水酸基が側鎖に導入されたEVOH樹脂は、延伸処理や真空・圧空成形などの二次成形性が良好になる点で好ましく、中でも1,2−ジオール構造を側鎖に有するEVOH樹脂が好ましい。
[脂肪族ポリエステル]
本発明の脂肪族ポリエステルがグラフトされた変性EVOH樹脂(A)は、EVOH樹脂の存在下でラクトン類を開環重合し、脂肪族ポリエステルを形成させる方法によって製造することができる。
かかるグラフト反応による脂肪族ポリエステルの形成は、EVOH樹脂の水酸基を開始末端とするものである。
以下、EVOH樹脂の存在下におけるラクトン類のグラフト反応について詳しく説明する。
ラクトン類としては、開環重合により脂肪族ポリエステルを形成する環を構成する炭素原子の数が3〜10であるラクトン類であれば特に制限されない。このようなラクトン類は、置換基を有さない場合には下記一般式で表され、nは2〜9の整数である。好ましくは、nが4〜5である。又、上記式中のアルキレン鎖−(CH2 )n −のいずれかの炭素原子が、少なくとも1個の、炭素数が1〜8程度の低級アルキル基及び低級アルコキシ基、シクロアルキル基、フェニル基、アラルキル基等の置換基を有するものであってもよい。
具体的には、β−プロピオラクトン類、γ―ブチロラクトン類、ε−カプロラクトン類、δ−バレロラクトン類等を挙げることができる。
β−プロピオラクトン類としては、β−プロピオラクトン、ジメチルプロピオンラクトン等が挙げられる。
γ−ブチロラクトン類としては、ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、γ−カプリロラクトン、γ−ラウロラクトン、γ−パルミトラクトン、γ−ステアロラクトン、クロトノラクトン、α−アンゲリカラクトン、β−アンゲリカラクトン等を挙げられる。
ε−カプロラクトン類としては、ε−カプロラクトン、モノメチル−ε−カプロラクトン、モノエチル−ε−カプロラクトン、モノデシル−ε−カプロラクトン、モノプロピル−ε−カプロラクトン、モノデシル−ε−カプロラクトン等のモノアルキル−ε−カプロラクトン;2個のアルキル基がε位置以外の炭素原子にそれぞれ置換しているジアルキル−ε−カプロラクトン;3個のアルキル基がε位置以外の炭素原子にそれぞれ置換しているトリアルキル−ε−カプロラクトン;エトキシ−ε−カプロラクトン等のアルコキシ−ε−カプロラクトン;シクロヘキシル−ε−カプロラクトン等のシクロアルキル−ラクトン;ベンジル−ε−カプロラクトン等のアラルキル−ε−カプロラクトン;フェニル−ε−カプロラクトン等のアリール−ε−カプロラクトン等が挙げられる。
δ−バレロラクトン類としては、5−バレロラクトン、3−メチル−5−バレロラクトン、3,3−ジメチル−5−バレロラクトン、2−メチル−5−バレロラクトン、3−エチル−5−バレロラクトン等が挙げられる。
これらのラクトン類は、1種又は2種以上組み合わせて使用することができる。
これらの中でも、本発明で使用するラクトン類としては、特に限定されないが、反応性の点から、ε−カプロラクトン類およびδ−バレロラクトン類が好ましく、さらに安価かつ容易に入手できる点から、ε−カプロラクトン類がより好ましい。
<変性EVOH樹脂(A)の製造方法>
EVOH樹脂の存在下におけるラクトン類の開環重合反応およびグラフト反応は、通常、例えば、EVOH樹脂の溶融状態で行われ、例えば、攪拌翼を有する攪拌槽型製造装置中で、加熱、攪拌しながら、あるいは押出機等で行うことができるが、反応時間の制御が容易な攪拌槽型製造装置を用いる方法が好ましく用いられる。
各材料の仕込みは、各々順次行ってもよいし、予め混合して行ってもよい。中でも、先ずEVOH樹脂を仕込み、これに触媒を溶解させたラクトン類を仕込む方法が最も好ましい。かかるラクトン類と触媒の仕込みは、EVOH樹脂を攪拌しながら行う方法が好ましく用いられる。
EVOH樹脂に対するラクトン類の使用量は、所望のグラフトした脂肪族ポリエステル単位の含有量が得られるように適宜選択すればよいが、EVOH樹脂100重量部に対して、ラクトン類を、通常は1〜200重量部、好ましくは10〜150重量部、特に好ましくは20〜100重量部である。使用量が少なすぎると、柔軟性が不足する傾向があり、一方で、使用量が多すぎると、ガスバリア性が低下する傾向がある。
触媒としては、ラクトン類の開環重合触媒として従来公知のものを用いることができる。例えば、チタン系化合物、錫系化合物等をあげることができる。具体的には、テトラ−n−ブトキシチタン、テトライソブトキシチタン、テトライソプロポキシチタンなどのチタニウムアルコキシド、ジブチルジブトキシスズなどのスズアルコキシド、ジブチルスズジアセテートなどのスズエステル化合物などがあげられるが、これらの中でも安価かつ容易に入手できる点からテトラ−n−ブトキシチタンが好ましい。
触媒の使用量は、ラクトン類100重量部に対して、通常は0.01〜1重量部、好ましくは0.03〜0.5重量部、特に好ましくは0.05〜0.3重量部である。使用量が少なすぎると、変性率が低下する傾向があり、一方で、使用量が多すぎると、変性率が低下する傾向がある。
グラフト反応における反応温度としては、通常50〜250℃であり、好ましくは100〜240℃であり、さらに好ましくは溶融状態となる150〜230℃である。反応温度が高すぎると、変性EVOH樹脂(A)が熱劣化する傾向になる。一方で、反応温度が低すぎると、EVOH樹脂のグラフト反応が進行せず、未変性の傾向になる。
グラフト反応における各材料の仕込み時の温度としては、通常、室温であり、例えば、10〜40℃である。
また、EVOH樹脂にラクトン類および触媒を加えた後の昇温速度としては、通常0.1〜50℃/minであり、好ましくは0.15〜10℃/min℃であり、さらに好ましくは0.2〜5℃/minである。昇温速度が高すぎると、EVOH樹脂のグラフト反応が進行せず、未変性の傾向になる。一方で、昇温速度が低すぎると、変性EVOH樹脂(A)が熱劣化する傾向になる。
グラフト反応における反応時間としては、通常10秒〜24時間であり、好ましくは1分〜15時間であり、さらに好ましくは30分〜6時間である。反応時間が長すぎると、変性EVOH樹脂(A)が熱劣化する傾向になる。一方で、反応時間が短すぎると、EVOH樹脂のグラフト反応が進行せず、未変性の傾向になる。
製造装置としては、特に限定されず、例えば、攪拌翼を備えた縦型攪拌製造装置、1軸または2軸の攪拌翼を有した横型攪拌製造装置、押出機などを用いることができる。
攪拌翼としては、特に限定されず、例えば、ダブルヘリカルリボン翼、シングルヘリカルリボン翼、スクリュー翼、V字翼、プロペラ翼、タービン翼、アンカー翼などが挙げられる。中でも、攪拌効率の観点から、ダブルヘリカルリボン翼が好ましい。
攪拌翼の回転数としては、通常1〜200rpmであり、好ましくは3〜100rpmであり、さらに好ましくは5〜80rpmである。回転数が早すぎると、グラフト反応が不均一となる傾向になる。一方で、回転数が遅すぎると、グラフト反応が不均一となる傾向になる。
なお、グラフト反応は、EVOH樹脂の劣化防止の為に、窒素気流下で行うことが好ましい。
グラフト反応後、臭気防止の為に、未反応モノマーを除去することが好ましい。未反応モノマーを除去する方法としては、未反応モノマーが溶解する溶液に浸す方法や減圧除去する方法が挙げられるが、生産効率の観点から、減圧除去する方法が好ましい。
例えば、減圧除去の条件としては、反応温度と同じ設定温度で、1秒〜10時間行い、100〜101200Paで行う。
グラフト反応後の製造装置から変性EVOHを取り出す方法としては、例えば、製造装置の内部を加圧することにより搬送する方法、変性EVOH樹脂(A)の自重により搬送する方法、及びポンプを用いて搬送する方法が挙げられるが、生産効率の観点から、製造装置の内部を加圧する方法が好ましい。
かくして変性EVOH樹脂(A)が得られるのであるが、得られた変性EVOH樹脂(A)における幹を形成するEVOH樹脂単位の含有量としては、通常40〜99重量%であり、好ましくは45〜95重量%であり、特に好ましくは50〜90重量%であり、この幹にグラフトした脂肪族ポリエステル単位の含有量としては、通常1〜60重量%であり、好ましくは5〜55重量%であり、特に好ましくは10〜50重量%である。EVOH樹脂の単位量が高すぎると、柔軟性悪化の傾向があり、一方で、EVOH樹脂の単位量が低すぎるとガスバリア性悪化の傾向がある。
なお、上記の変性EVOH樹脂(A)中のEVOH樹脂単位の含有量、およびグラフトした脂肪族ポリエステル単位の含有量は、H−NMR測定結果から算出することができる。
得られた変性EVOH樹脂(A)中の変性率としては、通常は0.1〜30モル%であり、さらに好ましくは1〜20モル%、特に好ましくは5〜15モル%である。かかる変性率は、EVOH樹脂構造単位のうち、脂肪族ポリエステルがグラフトされた割合を意味する。変性EVOH樹脂(A)中の変性率が低すぎると、柔軟性が悪化する傾向があり、一方で、変性EVOH樹脂(A)中の変性率が高すぎると、ガスバリア性が悪化する傾向がある。
なお、上記の変性EVOH樹脂(A)中の変性率は、H−NMR測定結果から算出することができる。
得られた変性EVOH樹脂(A)中の脂肪族ポリエステル単位の平均鎖長としては、通常1.0〜3.0個であり、好ましくは1.0〜2.5個であり、特に好ましくは1.0〜2.0個である。脂肪族ポリエステル単位の平均鎖長が長すぎると、ガスバリア性が低下する傾向になる。
なお、上記の変性EVOH樹脂(A)中の脂肪族ポリエステル単位の平均鎖長は、H−NMR測定結果から算出することができる。
得られた変性EVOH樹脂(A)の数平均分子量(GPCで測定した標準ポリスチレン換算)としては、通常10000〜300000であり、好ましくは12500〜200000であり、特に好ましくは15000〜100000である。変性EVOH樹脂(A)の数平均分子量が高すぎると、バリア性低下の傾向があり、一方で、変性EVOH樹脂(A)の数平均分子量が低すぎると柔軟性低下の傾向がある。
なお、上記の変性EVOH樹脂(A)中の数平均分子量は、GPC測定結果から算出することができる。
得られた変性EVOH樹脂(A)の融点としては、通常50〜190℃であり、好ましくは60〜160℃であり、特に好ましくは70〜120℃である。変性EVOH樹脂(A)の融点が高すぎると、柔軟性低下の傾向があり、一方で、変性EVOH樹脂(A)の融点が低すぎるとバリア性低下の傾向がある。
一般に、脂肪族ポリエステルがグラフトされることにより、骨格のEVOH樹脂における水酸基同士の水素結合等の分子間力が弱くなるため、変性EVOH樹脂(A)中の変性率が高くなると、変性EVOH樹脂(A)の融点が低くなる傾向がある。
なお、上記の変性EVOH樹脂(A)の融点は、示差走査熱量計を用いて測定することができる。
本発明で用いられる変性EVOH樹脂(A)には、本発明の効果を阻害しない範囲において(例えば樹脂組成物の5重量%以下)、一般にEVOH樹脂に配合する配合剤、例えば、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、滑剤、可塑剤、光安定剤、界面活性剤、抗菌剤、乾燥剤、アンチブロッキング剤、難燃剤、架橋剤、硬化剤、発泡剤、結晶核剤、防曇剤、生分解用添加剤、シランカップリング剤、酸素吸収剤などが含有されていてもよい。
上記熱安定剤としては、溶融成形時の熱安定性等の各種物性を向上させる目的で、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ラウリル酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸等の有機酸類またはこれらのアルカリ金属塩(ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム、マグネシウム等)、亜鉛塩などの塩;または、硫酸、亜硫酸、炭酸、リン酸、ホウ酸等の無機酸類、またはこれらのアルカリ金属塩(ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム、マグネシウム等)、亜鉛塩などの塩等の添加剤を添加してもよい。
これらのうち、特に、酢酸、ホウ酸およびその塩を含むホウ素化合物、酢酸塩、リン酸塩を添加することが好ましい。
酢酸を添加する場合、その添加量は、変性EVOH樹脂(A)100重量部に対して通常0.001〜1重量部、好ましくは0.005〜0.2重量部、特に好ましくは0.01〜0.1重量部である。酢酸の添加量が少なすぎると、酢酸の含有効果が十分に得られない傾向があり、逆に多すぎると均一なフィルムを得ることが難しくなる傾向がある。
また、ホウ素化合物を添加する場合、その添加量は、変性EVOH樹脂(A)100重量部に対してホウ素換算(灰化後、ICP発光分析法にて分析)で通常0.001〜1重量部であり、好ましくは0.002〜0.2重量部であり、特に好ましくは0.005〜0.1重量部である。ホウ素化合物の添加量が少なすぎると、ホウ素化合物の添加効果が十分に得られないことがあり、逆に多すぎると均一なフィルムを得るのが困難となる傾向がある。
また、酢酸塩、リン酸塩(リン酸水素塩を含む)の添加量としては、変性EVOH樹脂(A)100重量部に対して金属換算(灰化後、ICP発光分析法にて分析)で通常0.0005〜0.1重量部、好ましくは0.001〜0.05重量部、特に好ましくは0.002〜0.03重量部である。かかる添加量が少なすぎるとその含有効果が十分に得られないことがあり、逆に多すぎると均一なフィルムを得るのが困難となる傾向がある。尚、変性EVOH樹脂(A)に2種以上の塩を添加する場合は、その総量が上記の添加量の範囲にあることが好ましい。
変性EVOH樹脂(A)に酢酸、ホウ素化合物、酢酸塩、リン酸塩を添加する方法については、特に限定されず、例えば、下記i)〜iv)の方法で得られたEVOH樹脂とラクトン類をグラフト反応する方法や、変性EVOH樹脂を下記v)〜vi)の方法で処理する方法が挙げられる。
例えば、EVOH樹脂に酢酸、ホウ素化合物、酢酸塩、リン酸塩等の添加剤を添加する方法としては、i)含水率20〜80重量%のEVOH樹脂の多孔性析出物を、添加物の水溶液と接触させて、前記多孔性EVOH樹脂に添加物を含有させてから乾燥する方法;ii)EVOH樹脂の均一溶液(水/アルコール溶液等)に添加物を含有させた後、凝固液中にストランド状に押し出し、次いで得られたストランドを切断してペレットとして、さらに乾燥処理をする方法;iii)EVOH樹脂と添加物を一括して混合してから押出機等で溶融混練する方法;iv)EVOH樹脂の製造時において、ケン化工程で使用したアルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)を酢酸等の有機酸類で中和して、残存する酢酸等の有機酸類や副生成する塩の量を水洗処理により調整したりする方法等を挙げることができる。
本発明の効果をより顕著に得るためには、添加物の分散性に優れるi)、ii)の方法、有機酸およびその塩を含有させる場合はiv)の方法が好ましい。
また、例えば、変性EVOH樹脂に酢酸、ホウ素化合物、酢酸塩、リン酸塩等の添加物を添加する方法としては、v)変性EVOH樹脂を、添加物の水溶液と接触させて、前記変性EVOH樹脂に添加物を含有させてから乾燥する方法;vi)変性EVOH樹脂と添加物を一括して混合してから押出機等で溶融混練する方法等を挙げることができる。
また、異なる2種以上の変性EVOH樹脂(A)をブレンドすることや、変性EVOH樹脂(A)と通常のEVOH樹脂をブレンドすることも可能である。
<アルカリ金属(B)>
次に、本発明において用いられるアルカリ金属(B)について説明する。
アルカリ金属(B)とは、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムをいい、これらは1種または2種以上混合して用いることができる。これらのうち、層間接着性やロングラン性の観点から、ナトリウムおよびカリウムが好ましく、特にナトリウムが好ましい。
アルカリ金属(B)は、通常、低分子化合物(具体的には、塩、水酸化物等)として含有される。変性EVOH樹脂中における分散性の点から、好ましくは塩として含有される。
塩の場合、炭酸塩、炭酸水素塩等、リン酸塩、ホウ酸塩、硫酸塩、塩化物等の無機塩であってもよいし、炭素数2〜11のモノカルボン酸塩(酢酸塩、酪酸塩、プロピオン酸塩、エナント酸塩、カプリン酸塩など)、炭素数2〜11のジカルボン酸塩(シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、アジピン酸塩、スベリン酸塩、セバチン酸塩など)、炭素数12以上のモノカルボン酸塩(ラウリン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、12ヒドロキシステアリン酸塩、ベヘン酸塩、モンタン酸塩)等の有機酸塩であってもよい。また、これらの混合物であってもよい。
好ましくは有機酸塩であり、さらに好ましくは水溶性の低分子量化合物である炭素数2〜4のモノカルボン酸塩であり、特に好ましくは酢酸塩、プロピオン酸塩であり、最も好ましくは酢酸塩である。
アルカリ金属(B)の配合量は、変性EVOH樹脂に対して、通常、10〜2000ppmであり、好ましくは25〜1000ppmであり、特に好ましくは50〜500ppmである。アルカリ金属(B)の配合量が多すぎると、着色不良の傾向があり、一方で、滑剤(B)の配合量が少なすぎると、層間接着性が低下する傾向がある。
なお、アルカリ金属の含有率(ppm)は、乾燥状態のEVOH樹脂組成物ペレットを灰化後、塩酸水溶液に溶解して、原子吸光分析法によって測定を行い、標準液との吸光度の比率からアルカリ金属の含有率を定量することができる。
<樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物は、前述の変性EVOH樹脂(A)に、特定量のアルカリ金属(B)を含有させるものである。
その製造方法としては、例えば、I)変性EVOH樹脂にアルカリ金属を配合する方法、II)アルカリ金属の存在下、EVOH樹脂とラクトン類をグラフト反応させ、そのアルカリ金属を使用する方法などが挙げられる。中でも、均一な配合の観点から、アルカリ金属の存在下で、EVOH樹脂とラクトン類を反応させる方法が好ましい。
<樹脂組成物の調整方法>
上記I)変性EVOH樹脂にアルカリ金属を配合する方法として、例えば、変性EVOH樹脂を、アルカリ金属の水溶液と接触させて、前記変性EVOH樹脂にアルカリ金属を含有させてから乾燥する方法や、変性EVOH樹脂とアルカリ金属を一括して混合してから押出機等で溶融混練する方法等を挙げることができる。
また、上記II)アルカリ金属の存在下、EVOH樹脂とラクトン類をグラフト反応させ、そのアルカリ金属を使用する方法において、アルカリ金属の由来としては、例えば、アルカリ金属を含有するEVOH樹脂を使用する方法や、アルカリ金属を含有しないEVOH樹脂とラクトン類とアルカリ金属を一括して混合してからグラフト反応する方法が挙げられる。中でも、変性容易の観点から、アルカリ金属を含有するEVOH樹脂を用いることが好ましい。
かかるアルカリ金属を含有するEVOH樹脂を得る方法としては、特に限定されない。
EVOH樹脂は、一般に、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムといった、アルカリ金属の水酸化物をケン化触媒に用いて製造されている。このような触媒中のアルカリ金属は、ケン化時に副生する酢酸ナトリウムとして、あるいはEVOHポリマー鎖末端に微量発生するカルボキシル基と塩を構成することにより、EVOH樹脂中に必然的に存在する。
このような事情の下、EVOH樹脂中に存在するアルカリ金属量は、未洗浄の状態では、EVOH樹脂に対して3000ppm程度である。
ここで、アルカリ金属を上述の範囲内で含有させる場合、EVOH樹脂中にアルカリ金属が所定量以上に残存しているときには、通常時よりもさらにEVOH樹脂を洗浄することにより、アルカリ金属の含有率を上記特定微量に調節する。
具体的に説明すると、水洗のみでは、上記特定微量濃度にまでアルカリ金属を除去することは困難である。
従って、ケン化により製造されるEVOH樹脂を用いる場合、酢酸等の酸で洗浄した後、水洗したEVOH樹脂を用いることが好ましい。特に、ポリマー鎖末端のカルボキシル基と結合しているアルカリ金属については、酸で洗浄することにより効率よく除去することができる。
洗浄液に用いる酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸等の水溶性の弱酸が挙げられ、これらのうち酢酸が好ましく用いられる。
また、洗浄液に使用する水としては、イオン交換水、蒸留水、濾過水など、不純物としての金属イオンを除去した水が好ましい。
但し、洗浄精度の向上、あるいは酸触媒存在下でケン化したEVOH樹脂のように、アルカリ金属がほとんど含有されていないEVOH樹脂を用いる場合、または洗浄後にアルカリ金属含有量を調整したい場合等には、別途、アルカリ金属を添加することも差し支えない。
EVOH樹脂に、アルカリ金属成分を添加するにあたっては、アルカリ金属成分の水溶液にEVOHを接触させることで生産上好適に含有させることができ、このときの該水溶液中のアルカリ金属成分の濃度は、金属換算でその合計量が0.001〜1重量%(更には0.005〜0.8重量%、特には0.01〜0.5重量部)であることが好ましく、アルカリ金属成分の濃度が低すぎると所定量のアルカリ金属成分を含有させることが困難となり、逆にアルカリ金属成分の濃度が高すぎると最終的に得られる成形物の外観性が悪化することがあり好ましくない。
かかる水溶液にEVOHを接触させる方法としては特に限定されないが、通常は該水溶液にペレット状に成形されたEVOHを投入して撹拌しながら、上記のアルカリ金属成分を含有させることが好ましい。
尚、上記のEVOHペレットの調製(成形)にあたっては、公知の方法を採用することができ、例えば、EVOHの水とアルコールの混合溶液等を凝固液中にストランド状若しくはシート状に押出した後、得られるストランドやシートをカットしてペレット状にすればよい。
かかるペレット状のEVOHの形状としては、円柱状、球状等のものが好ましく、円柱状の場合は直径が1〜10mm、長さが1〜10mmが好ましく、球状の場合は直径が1〜10mmが好ましい。
また、かかるEVOHは、直径が0.1〜10μm程度の細孔が均一に分布したミクロポーラスな内部構造をもつものが、アルカリ金属成分を均一に含有させ得る点で好ましく、通常EVOHの溶液(水/アルコール混合溶媒等)を凝固浴中に押し出すときに、EVOH溶液の濃度(20〜80重量%)、押し出し温度(45〜70℃)、溶媒の種類(水/アルコール混合重量比=80/20〜5/95等)、凝固浴の温度(1〜20℃)、滞留時間(0.25〜30時間)、凝固浴中でのEVOH量(0.02〜2重量%)などを任意に調節することで、該構造のEVOHを得ることが可能となる。
更には含水率20〜80重量%のものが、上記の化合物等を均一にかつ迅速に含有させることができて好ましい。また、アルカリ金属成分の含有量の調整にあたっては、特に限定されないが、前述の水溶液との接触処理において、アルカリ金属成分の水溶液濃度、接触処理時間、接触処理温度、接触処理時の撹拌速度や処理されるEVOHの含水率等をコントロールすることで可能である。
かくしてアルカリ金属成分を含有したペレット状の含水EVOH組成物が得られるのであるが、通常は、上記の接触処理後に乾燥が行われる。
かかる乾燥方法としては、種々の乾燥方法を採用することが可能である。例えば、実質的にペレット状等のEVOH組成物が、機械的にもしくは熱風により撹拌分散されながら行われる流動乾燥や、実質的にペレット状等のEVOH組成物が、攪拌、分散などの動的な作用を与えられずに行われる静置乾燥が挙げられ、流動乾燥を行うための乾燥器としては、円筒・溝型撹拌乾燥器、円筒乾燥器、回転乾燥器、流動層乾燥器、振動流動層乾燥器、円錐回転型乾燥器等が挙げられ、また、静置乾燥を行うための乾燥器として、材料静置型としては回分式箱型乾燥器が、材料移送型としてはバンド乾燥器、トンネル乾燥器、竪型乾燥器等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。流動乾燥と静置乾燥を組み合わせて行うことも可能である。
該乾燥処理時に用いられる加熱ガスとしては空気または不活性ガス(窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等)が用いられ、該加熱ガスの温度としては、40〜150℃が、生産性とEVOH組成物の熱劣化防止の点で好ましい。該乾燥処理の時間としては、EVOH組成物の含水量やその処理量にもよるが、通常は15分〜72時間程度が、生産性とEVOH組成物の熱劣化防止の点で好ましい。
上記の条件でEVOH組成物が乾燥処理されて、EVOH樹脂及びアルカリ金属成分からなる組成物が得られるのであるが、該乾燥処理後の組成物の含水率は0.001〜5重量%(更には0.01〜2重量%、特には0.1〜1重量部)になるようにするのが好ましく、該含水率が低すぎると最終的に得られる樹脂組成物のロングラン成形性が低下する傾向があり、逆に高すぎると成形する際の溶融混練時に発泡が発生しやすくなり好ましくない。)
<樹脂組成物の用途>
かくして得られた本発明のアルカリ金属(B)を含有する変性EVOH樹脂組成物は、溶融成形により例えばフィルム、シート、カップやボトルなどに成形することができる。かかる溶融成形方法としては、押出成形法(T−ダイ押出、インフレーション押出、ブロー成形、溶融紡糸、異型押出等)、射出成形法が主として採用される。溶融成形温度は、通常150〜300℃の範囲から選ぶことが多い。
成形物はそのまま各種用途に用いてもよいが、通常はさらに強度を上げたり他の機能を付与したりするために他の基材と積層して積層体とする。
かかる他の基材としては熱可塑性樹脂が有用である。熱可塑性樹脂としては例えば、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のポリエチレン類、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン(ブロックおよびランダム)共重合体、プロピレン−α−オレフィン(炭素数4〜20のα−オレフィン)共重合体、ポリブテン、ポリペンテン等のポリオレフィン類、これらポリオレフィン類を不飽和カルボン酸又はそのエステルでグラフト変性したグラフト化ポリオレフィン類、アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂(共重合ポリアミドも含む)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹脂、ポリスチレン、ビニルエステル系樹脂、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等のハロゲン化ポリオレフィン、芳香族または脂肪族ポリケトン、更にこれらを還元して得られるポリアルコール類等が挙げられるが、積層体の物性(特に強度)等の実用性の点から、ポリオレフィン系樹脂やポリアミド系樹脂が好ましく、特にはポリエチレン、ポリプロピレンが好ましく用いられる。
これら基材樹脂には、本発明の趣旨を阻害しない範囲において、従来知られているような酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、核材、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、ワックス等を含んでいても良い。
本発明の樹脂組成物を他の基材と積層するときの積層方法は公知の方法にて行うことができる。例えば、本発明の樹脂組成物のフィルム、シート等に他の基材を溶融押出ラミネートする方法、逆に他の基材に該樹脂を溶融押出ラミネートする方法、該樹脂と他の基材とを共押出する方法、該樹脂(層)と他の基材(層)とを有機チタン化合物、イソシアネート化合物、ポリエステル系化合物、ポリウレタン化合物等の公知の接着剤を用いてドライラミネートする方法、他の基材上に該樹脂の溶液を塗工してから溶媒を除去する方法等が挙げられる。
これらの中でも、コストや環境の観点から考慮して共押出しする方法が好ましい。
積層体の層構成は、本発明の樹脂組成物含有層をa(a1、a2、・・・)、熱可塑性樹脂含有層をb(b1、b2、・・・)とするとき、a/bの二層構造のみならず、b/a/b、a/b/a、a1/a2/b、a/b1/b2、b2/b1/a/b1/b2、b2/b1/a/b1/a/b1/b2等任意の組み合わせが可能である。また、該積層体を製造する過程で発生する端部や不良品当等を再溶融成形して得られる、該EVOH樹脂組成物と熱可塑性樹脂の混合物を含むリサイクル層をRとするとき、b/R/a、b/R/a/b、b/R/a/R/b、b/a/R/a/b、b/R/a/R/a/R/b等とすることも可能である。
なお、上記の層構成において、それぞれの層間には、必要に応じて接着性樹脂層を設けることができ、かかる接着性樹脂としては、公知ものを使用すればよい。かかる接着性樹脂はbの樹脂の種類によって異なるため、適宜選択すればよいが、代表的には不飽和カルボン酸またはその無水物をポリオレフィン系樹脂に付加反応やグラフト反応等により化学的に結合させて得られるカルボキシル基を含有する変性オレフィン系重合体を挙げることができる。例えば、無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン、無水マレイン酸グラフト変性ポリプロピレン、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−プロピレン(ブロックおよびランダム)共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−エチルアクリレート共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−酢酸ビニル共重合体等であり、これらから選ばれた1種または2種以上の混合物が好ましい。またこれらの接着性樹脂には、EVOH組成物や他のEVOH、ポリイソブチレン、エチレン−プロピレンゴム等のゴム・エラストマー成分、さらにはb層の樹脂等をブレンドすることも可能である。特に、接着性樹脂の母体のポリオレフィン系樹脂と異なるポリオレフィン系樹脂をブレンドすることにより、接着性が向上することがあり有用である。
上記の如き積層体は、次いで必要に応じて(加熱)延伸処理が施されるわけであるが、かかる(加熱)延伸処理とは熱的に均一に加熱されたフィルム、シート状の積層体をチャック、プラグ、真空力、圧空力、ブローなどにより、チューブ、フィルム状に均一に成形する操作を意味する。前記延伸は、一軸延伸、二軸延伸のいずれであってもよく、二軸延伸の場合は同時延伸であっても逐次延伸であってもよい。
延伸方法としてはロール延伸法、テンター延伸法、チューブラー延伸法、延伸ブロー法、真空圧空成形等のうち延伸倍率の高いものも採用できる。二軸延伸の場合は同時二軸延伸方式、逐次二軸延伸方式のいずれの方式も採用できる。延伸温度は通常40〜170℃、好ましくは60〜160℃程度の範囲から選ばれる。延伸温度が低すぎた場合は延伸性が不良となり、高すぎた場合は安定した延伸状態を維持することが困難となる。
なお、延伸後に寸法安定性を付与することを目的として、次いで熱固定を行ってもよい。熱固定は周知の手段で実施可能であり、例えば上記延伸フィルムを、緊張状態を保ちながら通常80〜180℃、好ましくは100〜165℃で通常2〜600秒間程度熱処理を行う。
また、本発明の樹脂組成物から得られた多層延伸フィルムをシュリンク用フィルムとして用いる場合には、熱収縮性を付与するために、上記の熱固定を行わず、例えば延伸後のフィルムに冷風を当てて冷却固定するなどの処理を行う。
積層体の熱可塑性樹脂層および接着性樹脂層の厚みは、層構成、熱可塑性樹脂の種類、接着性樹脂の種類、用途や包装形態、要求される物性などにより一概に言えないが、熱可塑性樹脂層は通常10〜1000μm、好ましくは50〜500μm、接着性樹脂層は5〜500μm、好ましくは10〜250μm程度の範囲から選択される。
また、本発明の樹脂組成物含有層の厚みは要求されるガスバリア性などによって異なるが、通常は5〜500μmであり、好ましくは10〜250μm、特に好ましくは20〜100μmであり、かかる厚みが薄すぎると十分なガスバリア性が得られない傾向があり、逆に厚すぎるとフィルムの柔軟性が不足する傾向にある。
得られた積層体に、さらに他の基材を押出コートしたり、他の基材のフィルム、シート等を接着剤を用いてラミネートする場合、かかる基材としては前記の熱可塑性樹脂以外にも任意の基材(紙、金属箔、一軸又は二軸延伸プラスチックフィルム又はシートおよびその無機化合物蒸着物、織布、不織布、金属綿状、木質等)が使用可能である。
上記の如く得られたフィルム、シート、延伸フィルムからなる袋およびカップ、トレイ、チューブ、ボトル等からなる容器や蓋材は、一般的な食品の他、マヨネーズ、ドレッシング等の調味料、味噌等の発酵食品、サラダ油等の油脂食品、飲料、化粧品、医薬品等の各種の包装材料容器として有用である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、実施例の記載に限定されるものではない。
尚、例中「部」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
<実施例1>
[アルカリ金属含有EVOH樹脂の製造]
EVOH[エチレン含有量44モル%、ケン化度99.7モル%、MFR12g/10分(210℃、荷重2160g)、融点164℃](A)の水/メタノール(水/メタノール=20/80混合重量比)混合溶液(60℃、EVOH濃度46%)を6℃に維持された水槽にストランド状に押し出して凝固させた後、カッターで切断して多孔性ペレット状(直径4mm、長さ4mm)のEVOHを得た。
次いで、得られた多孔性ペレット状のEVOHを水洗後、酢酸と0.1%の酢酸ナトリウムを含有する水溶液に投入し、30℃で約4時間攪拌して、更に回分式塔型流動層乾燥器により75℃で3時間および回分式通気流箱型乾燥器により125℃で18時間乾燥を行って、酢酸ナトリウムをナトリウム換算で150ppm含有したEVOH組成物(ペレット状)を得た。
〔変性EVOH樹脂の製造〕
得られたEVOH樹脂(エチレン含有量44モル%、酢酸ビニル部分のケン化度99.7モル%、ナトリウムをEVOH樹脂に対して150ppm)100重量部、ε−カプロラクトン30重量部、テトラ−n−ブトキシチタン0.03重量部を縦型攪拌槽型製造装置に仕込み、窒素気流下にて、回転数:10rpmで撹拌しながら、昇温速度:1.5℃/minで25℃から200℃まで昇温し、この温度で3時間グラフト反応させ、アルカリ金属を含有する脂肪族ポリエステルがグラフトされた変性EVOH樹脂(EVOH樹脂/ε−カプロラクトン=77/23、ナトリウム含有量:変性EVOH樹脂に対して116ppm)を得た。
〔成形性の評価〕
得られた変性EVOH樹脂55gを、温度230℃に設定されたトルク検出型レオメータ(ブラベンダー社製、「プラストグラフ」)に投入し、5分間予熱した後、回転数50rpmで溶融混練した時のトルク値(Nm)を測定し、溶融混練開始から3分後のトルク値を比較した。トルク値が小さいほど、成形性に優れることを意味し、大きいほど成形性に乏しいことを意味する。
<比較例1>
実施例1において、アルカリ金属含有EVOH樹脂の代わりに、アルカリ金属を含有しないEVOH樹脂を用いた以外は、実施例1と同様に変性EVOH樹脂を作製し、同様に評価した。
成形性の評価結果を表1に示す。
[表1]
表1からわかるように、アルカリ金属含有変性EVOH樹脂組成物は、溶融混練開始から3分後のトルク値が小さいことから、成形性に優れることが分かる。
本発明のアルカリ金属を含有する変性EVOH樹脂組成物は、溶融押出成形性に優れていることから、工業的に極めて有用である。

Claims (2)

  1. 脂肪族ポリエステルがグラフトされた変性エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物(A)とアルカリ金属(B)を含有する樹脂組成物であって、アルカリ金属(B)の含有量が変性エチレンービニルエステル共重合体ケン化物(A)に対して10〜2000ppmである変性エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物樹脂組成物。
  2. 脂肪族ポリエステルが、ε―カプロラクトン類の開環重合物であることを特徴とする請求項1記載の変性エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物組成物。

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