JP2019094490A - ポリビニルアルコール系水溶性フィルム及びその製造方法、ならびに薬剤包装体 - Google Patents
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Abstract
Description
かかる薬剤包装用途に用いる水溶性フィルムには、優れた溶解性に加えて、包装体とした際に、シール性が良好である、破袋しない、歪みが生じない、張りの低減が生じないといった、機械特性や外観特性など種々の特性を満足することが要求される。
更に、本発明では、前記水溶性フィルムを用いてなる薬剤包装体、および前記水溶性フィルムの製造方法も提供するものである。
本発明のポリビニルアルコール系水溶性フィルムは、フィルムの幅方向における水分率x(重量%)の最大値xmaxと最小値xminの差が0.2〜3であり、かつフィルムの幅方向の平均水分率Mが6〜15重量%であることを特徴とする。
以下、ポリビニルアルコールを「PVA」、ポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする水溶性フィルムを「PVA系水溶性フィルム」と略記することがある。
上記PVA系水溶性フィルムの水分率x(重量%)の最大値xmaxと最小値xminの差は、0.3〜2であることが特に好ましく、更に好ましくは0.5〜1.5である。
また、水分率の最大値xmaxと最小値xminを示す位置については、最大値xmaxは幅方向の中心側に存在することが好ましく、最小値xminは幅方向の端部側に存在することが好ましい。
上記PVA系水溶性フィルムの幅方向の平均水分率Mは、6.5〜12重量%であることが特に好ましく、更に好ましくは7〜10重量%である。
かかる幅方向における水分率の最大値と最小値の差および平均水分率が特定範囲のPVA系水溶性フィルムは、例えば、製造工程において特定の熱処理を施すことにより製造することができる。
フィルムを流れ方向の任意の位置で、フィルムの一方の端部から他方の端部に向けて50mm間隔で50mm×50mmサイズにして計n個切り出し、それぞれの区画の水分率xi(i=1、2、3、・・・、n)をカールフィッシャー水分計を用いて測定する。測定される水分率xi(i=1、2、3、・・・、n)全体における最大値をxmax、最小値をxminとして、最大値xmaxと最小値をxminの差を求めることができる。
xi: フィルム幅方向に沿って50mm×i区画ごとに測定したi区画目の
水分率(重量%)
かかる標準偏差Sが大きすぎるとフィルムのシール強度不足や溶解性低下によって包装体にした際に不良品が増加する傾向があり、小さすぎると包装体を製造する際にカールによる位置ずれが起こりやすくなることで包装体の生産効率が低下する傾向がある。
xi: フィルム幅方向に沿って50mm×i区画ごとに測定したi区画目の
水分率(重量%)
M: フィルム幅方向における平均水分率(重量%)
ここでPVA系樹脂を主成分とするとは、水溶性フィルム全体に対して、PVA樹脂系樹脂を通常、50重量%以上、好ましくは55重量%以上、特に好ましくは60重量%以上含有することを意味する。
まず、本発明で用いられるPVA系樹脂(A)について説明する。
本発明で用いられるPVA系樹脂(A)としては、未変性PVAや変性PVA系樹脂が挙げられる。
本発明においては、PVA系樹脂(A)が、溶解性を長く保持できる点で、変性PVA系樹脂であることが好ましく、更にはアニオン性基変性PVA系樹脂であることが好ましく、特にはカルボキシル基変性PVA系樹脂であることが好ましい。また、フィルム強度の点からは、アニオン性基変性PVA系樹脂と未変性PVAを含有することが好ましく、特にはカルボキシル基変性PVA系樹脂と未変性PVAを含有することが好ましい。
本発明のPVA系水溶性フィルムにおいては、さらに可塑剤(B)を含有させることがフィルムに柔軟性や、成形容易性を付与する点で好ましい。可塑剤(B)は1種のみを用いても、2種以上を併用してもよいが、2種以上を併用することが、包装体として用いる場合のフィルム自身の強靭さや、特に液体洗剤を包装した際の包装体の経時的な形状安定性の点で好ましい。
上記のなかでも、水溶性フィルムの引張強度の点で融点が85℃以上、特には90℃以上のものが好ましい。なお、融点の上限は通常300℃、特には200℃が好ましい。
耐カール性に優れる点や強度と柔軟性のバランスが良い点からは、可塑剤(B1)と(B2)に加えて、さらに可塑剤(B3)として融点が50℃により大きく80℃未満である多価アルコールの3種類の可塑剤を用いることが好ましく、特には可塑剤(B3)としてトリメチロールプロパンを用いることが好ましい。
かかる可塑剤(B1)が少なすぎると水溶性フィルムが硬くなりすぎる傾向があり、多すぎると水溶性フィルムが柔らかくなりすぎる傾向がある。また、可塑剤(B2)が少なすぎると水溶性フィルムが硬くなりすぎる傾向があり、低湿環境下で脆くなる傾向があり、多すぎると水溶性フィルムが柔らかくなり過ぎて、ブロッキングが生じやすくなる傾向がある。
かかる有機フィラー(C1)としては、主に高分子化合物の中から選択され、例えば、メラミン系樹脂、ポリメチル(メタ)アクリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂の他、澱粉、ポリ乳酸等の生分解性樹脂等が挙げられる。これらのなかでも、ポリメチル(メタ)アクリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、澱粉、等の生分解性樹脂が好ましく、特にはPVAに対する分散性の点から澱粉が好ましい。
無機フィラー(C2)としては、例えば、シリカ(二酸化ケイ素)、珪藻土、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化バリウム、酸化ゲルマニウム、酸化スズ、酸化亜鉛等の酸化物系無機化合物や、タルク、クレー、カオリン、雲母、アスベスト、石膏、グラファイト、ガラスバルーン、ガラスビーズ、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、ウイスカー状炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドーソナイト、ドロマイト、チタン酸カリウム、カーボンブラック、ガラス繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、加工鉱物繊維、炭素繊維、炭素中空球、ベントナイト、モンモリロナイト、銅粉、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸亜鉛、硫酸銅、硫酸鉄、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、硝酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸アルミニウム、塩化アンモニウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、リン酸ナトリウム、クロム酸カリウム等が挙げられる。これらは、単独で、もしくは2種以上併せて用いることができる。
本発明のPVA系水溶性フィルムは、例えば下記の方法で製造することができる。
まず、上記のPVA系樹脂(A)、好ましくは更に可塑剤(B)、必要に応じて更に、フィラー(C)及び界面活性剤(D)等を含有してなるPVA系樹脂組成物を得て、かかるPVA系樹脂組成物を、[I]溶解工程、[II]製膜工程、[III]巻取工程、の順序で製造してPVA系水溶性フィルムとする。
溶解工程では、上記PVA系樹脂組成物を水で溶解または分散して、PVA系樹脂水溶液(製膜原料)を調製する。
上記PVA系樹脂組成物を水に溶解する際の溶解方法としては、通常、常温溶解、高温溶解、加圧溶解等が採用され、なかでも、未溶解物が少なく、生産性に優れる点から高温溶解、加圧溶解が好ましい。
溶解温度としては、高温溶解の場合には、通常80〜100℃、好ましくは90〜100℃であり、加圧溶解の場合には、通常80〜130℃、好ましくは90〜120℃である。
溶解時間としては、溶解温度、溶解時の圧力により適宜調整すればよいが、通常1〜20時間、好ましくは2〜15時間、特に好ましくは3〜10時間である。溶解時間が短すぎると未溶解物が残る傾向にあり、長すぎると生産性が低下する傾向にある。
更に、溶解した後、得られたPVA系樹脂水溶液に対して脱泡処理が行われるが、かかる脱泡方法としては、例えば、静置脱泡、真空脱泡、二軸押出脱泡等が挙げられる。なかでも静置脱泡、二軸押出脱泡が好ましい。
静置脱泡の温度としては、通常50〜100℃、好ましくは70〜95℃であり、脱泡時間は、通常2〜30時間、好ましくは5〜20時間である。
製膜工程では、溶解工程で調製した製膜原料を膜状に賦形し、必要に応じて乾燥処理を施すことで、水分率を15重量%以下にしたPVA系水溶性フィルムに調整する。
製膜に当たっては、例えば、溶融押出法や流延法等の方法を採用することができ、膜厚の精度の点で流延法が好ましい。
流延法を行うに際しては、例えば、上記製膜原料を、(i)アプリケーター、バーコーター等を用いてギャップ間に通過させて金属表面等のキャスト面に流延する方法、(ii)T型スリットダイ等のスリットから吐出させ、エンドレスベルトやドラムロールの金属表面等のキャスト面に流延する方法、などにより製膜原料を流延し、乾燥することにより本発明のPVA系水溶性フィルムを製造することができる。
流延後、キャスト面上で製膜原料を乾燥させるのであるが、乾燥にあたっては、通常、エンドレスベルトやドラムロールの金属表面等のキャスト面を加熱することにより行う。上記キャスト面の表面温度は、50〜150℃であることが好ましく、特に好ましくは60〜140℃である。かかる表面温度が低すぎると、乾燥不足でフィルムの含水率が高くなり、ブロッキングしやすくなる傾向があり、高すぎると製膜原料が発泡し、製膜不良となる傾向がある。
また、製膜時の乾燥においては、熱ロールによる乾燥、フローティングドライヤーを用いてフィルムに熱風を吹き付ける乾燥や遠赤外線装置、誘電加熱装置による乾燥等を併用することもできる。
かかる凹凸加工に際しては、加工温度は、通常60〜150℃であり、好ましくは80〜140℃である。加工圧力は、通常2〜8MPa、好ましくは3〜7MPaである。加工時間は、上記加工圧力、製膜速度にもよるが、通常0.01〜5秒であり、好ましくは0.1〜3秒である。
また、必要に応じて、凹凸加工処理の後に、熱によるフィルムの意図しない延伸を防止するために、冷却処理を施してもよい。
巻取工程では、製膜工程でキャスト面等から剥離したPVA系水溶性フィルムを搬送して巻き取り、芯管(S1)に巻き取ることによりフィルムロールに調製する。
得られたフィルムロールは、そのまま製品として供給することもできるが、好ましくは巻き取ったPVA系水溶性フィルムを所望のサイズ幅にスリットした後、フィルム幅に見合った長さの芯管(S2)に巻き取り直し、所望のサイズのフィルムロールとして供給することもできる。
芯管(S1)の内径は、3〜30cmが好ましく、特に好ましくは10〜20cmである。
芯管(S1)の肉厚は、1〜30mmが好ましく、特に好ましくは2〜25mmである。
芯管(S1)の長さは、PVA系水溶性フィルムの幅より長くすることが必要で、フィルムロールの端部から1〜50cm突出するようにするのが好ましい。
芯管(S2)の内径は、3〜30cmが好ましく、特に好ましくは10〜20cmである。
芯管(S2)の肉厚は、1〜30mmが好ましく、特に好ましくは3〜25mmである。
芯管(S2)の長さは、製品のPVA系水溶性フィルム幅と同等或いはそれ以上の長さのものであればよく、好ましくは同等〜50cm長いものである。
かかるスリットに当たっては、シェア刃やレザー刃などを用いてスリットされるが、好ましくはシェア刃でスリットすることがスリット断面の平滑性の点で好ましい。
フィルムの幅方向における水分率x(重量%)の最大値xmaxと最小値xminの差を調整するに際しては、[III]巻取工程で所望の幅にフィルムをスリットした後で、フィルムの幅方向の両端部に対して、熱処理温度80〜130℃、熱処理幅を端部から10〜150mmとして、局部的に熱処理を行うことで調整される。
本発明におけるフィルム両端部への熱処理は、製膜時の乾燥とは別に[III]巻取工程で行うものであり、フィルム両端部から特定範囲にのみ適度な熱履歴を与えることによって、薬剤包装体に用いた際の製品得率を維持しつつ、かつ幅方向の残留応力を取り除くことでカール抑制効果を得ることが可能となる。
フィルム両端部の熱処理幅としては、端部から10〜150mmの範囲であることが好ましく、特に好ましくは30〜140mm、更に好ましくは60〜130mmである。フィルム両端部の熱処理幅が長すぎるとフィルム巻取時にシワやたるみが発生しやすくなる傾向があり、フィルム両端部の熱処理幅が短すぎるとフィルムへの熱処理範囲が少なくなり十分なカール抑制効果が得られない傾向にある。
このようにして、本発明のPVA系水溶性フィルムを製造することができる。
帯電防止剤としては、例えば、アルキルジエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、高級脂肪酸アルカノールアミド、ソルビタン脂肪酸エステル等が使用される。
保護パッドの形状は、フィルムロールにあわせて、円盤状のシート、フィルムが実用的である。保護効果を顕著にするため発泡体、織物状、不織布状等の緩衝機能を付加させるが好ましい。また、湿度からフィルムロールを守るため乾燥剤を別途封入したり、前記保護パッドに積層または混入したりしておくこともできる。
保護パッドの素材はプラスチックが好ましく、その具体例としては、例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。
市販されているシート状乾燥剤の例としては、アイディ社製の「アイディシート」や品川化成社製の「アローシート」、「ゼオシート」、ハイシート工業社製の「ハイシートドライ」等がある。
ブラケットはベニヤ板やプラスチック板からなるものであり、その大きさは通常ブラケットの4辺がフィルムロールの直径より大きいものである。
また、上記一対のブラケットがぐらつかないように、両者を結束テープで固定することが好ましく、そのときテープの移動や弛みが起こらないようにブラケットの側面(厚み部分)にテープ幅と同程度のテープズレ防止溝を設けて置くのも実用的である。
本発明の薬剤包装体は、本発明のPVA系水溶性フィルムで薬剤を内包してなる包装体である。水溶性のPVA系フィルムで包装されているため、包装体ごと水に投入し、PVA系水溶性フィルムが溶解した後に、薬剤が水に溶解または分散して、薬剤の効果を発現するため、1回分などの比較的少量の薬剤が包装されている薬剤包装体に好適である。
薬剤の形状は、液体であっても固体であってもよく、液体の場合は、液状であり、固体の場合は、顆粒状、錠剤状、粉状等が挙げられる。薬剤は、水に溶解または分散させて用いる薬剤が好ましく、本発明においては、とりわけ液体洗剤を内包することが好ましい。
また、薬剤のpHは、アルカリ性、中性、酸性のいずれであっても良い。
液体洗剤包装体は、保存の際には液体洗剤を内包した形状が保持されている。そして、使用時(洗濯時)には、包装体(水溶性フィルム)が水と接触することにより、包装体が溶解して内包されている液体洗剤が包装体から流出することとなる。
液体洗剤包装体の大きさは、通常長さ10〜50mm、好ましくは20〜40mmである。
また、PVA系水溶性フィルムからなる包装体のフィルムの厚みは、通常10〜120μm、好ましくは15〜110μm、特に好ましくは20〜100μmである。
内包される液体洗剤の量は、通常5〜50mL、好ましくは10〜40mLである。
例えば、2枚のPVA系水溶性フィルムを用いて貼り合わせることにより製造され、成型装置の下部にある金型の上に、フィルム(ボトムフィルム)を固定し、装置の上部にもフィルム(トップフィルム)を固定する。ボトムフィルムをドライヤーで加熱し、金型に真空成型し、その後、成型されたフィルムに液体洗剤を投入した後、トップフィルムとボトムフィルムを圧着する。圧着した後は真空を解放し、包装体を得ることができる。
また、液体洗剤の水分量が15重量%以下であることが好ましく、特には0.1〜10重量%、更には0.1〜7重量%であるものが好ましく、水溶性フィルムがゲル化したり不溶化することがなく水溶性に優れることとなる。
液体薬剤は、流動性で、容器に合わせて形を変える液状の薬剤であれば、その粘度は特に限定されないが、好ましくは10〜200mPa・sである。なお、かかる液体薬剤の粘度は、常温(20℃)下におけるB型回転粘度計にて測定される。
なお、例中、「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。
PVA系樹脂(A)として、20℃における4%水溶液粘度22mPa・s、平均ケン化度97モル%、マレイン酸モノメチルエステルによる変性量2.0モル%のカルボキシル基変性PVA(A1)を90部、20℃における4%水溶液粘度40mPa・s、平均ケン化度88モル%の未変性PVA(A2)を7部、20℃における4%水溶液粘度5mPa・s、平均ケン化度88モル%の未変性PVA(A3)を3部、可塑剤(B)としてソルビトール(b1)を20部及びグリセリン(b2)を20部、フィラー(C)として澱粉(平均粒子径20μm)を8部、界面活性剤(D)としてポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルモノエタノールアミン塩を2部、及び水を混合して、固形分濃度25%の樹脂組成物の水分散液である製膜原料を得た。
そして、上記製膜原料を、ステンレス製のエンドレスベルトを備えたベルト製膜機のベルト上に流延し、110℃で乾燥させて、厚み87μm、幅1400mmのPVA系水溶性フィルムを得た。その後、得られたPVA系水溶性フィルムを搬送して内径15.24cm、長さ1.5mの芯管S1に巻き取り、長さ500mのフィルムロールとした。
ついで、スリッター機を用いて、フィルム幅を650mmにスリット加工した後、スリット後のPVA系水溶性フィルムの両端部にのみ幅100mmの範囲で表面温度を100℃にした熱ロールを5秒間接触させた。そして、局部的に熱処理したフィルムを搬送して内径15.24cm、長さ650mmの芯管S2に巻き取り、長さ500mのフィルムロールとした。
芯管S2に巻き取って得られたPVA系水溶性フィルムについて、フィルムの一方の端部から他方の端部までの幅方向に50mm間隔で水分率xi(i=1〜13)を測定した結果、幅方向における水分率の最大値xmaxは9.5重量%、幅方向における水分率の最小値xminは8.6重量%、平均水分率Mは9.2重量%、標準偏差Sは0.44であった。
実施例1においてフィルム両端部の熱処理幅を50mm、熱ロールの表面温度を110℃に変えた以外は同様にして、PVA系水溶性フィルムを得た。
得られたPVA系水溶性フィルムの幅方向における水分率の最大値xmaxは9.5重量%、幅方向における水分率の最小値xminは7.9重量%、平均水分率Mは9.3重量%、標準偏差Sは0.57であった。
実施例1において、熱処理しなかった以外は同様にして、PVA系水溶性フィルムを得た。
得られたPVA系水溶性フィルムの幅方向における水分率の最大値xmaxは9.5重量%、幅方向における水分率の最小値xminは9.4重量%、平均水分率Mは9.5重量%、標準偏差Sは0.04であった。
実施例1において、熱ロールの接触時間を30秒に変えた以外は同様にして、PVA系水溶性フィルムを得た。
得られたPVA系水溶性フィルムの幅方向における水分率の最大値xmaxは9.5重量%、幅方向における水分率の最小値xminは5.7重量%、平均水分率Mは8.3重量%、標準偏差Sは1.77であった。
実施例1においてフィルム両端部の熱処理幅を5mmに変えた以外は同様にして、PVA系水溶性フィルムを得た。
得られたPVA系水溶性フィルムの幅方向における水分率の最大値xmaxは9.5重量%、幅方向における水分率の最小値xminは9.4重量%、平均水分率Mは9.5重量%、標準偏差Sは0.04であった。
実施例1において熱処理幅をフィルム幅650mm全面に対して表面温度を100℃にした熱ロールを10秒間接触させた以外は同様にして、PVA系水溶性フィルムを得た。
得られたPVA系水溶性フィルムの幅方向における水分率の最大値xmaxは7.9重量%、幅方向における水分率の最小値xminは7.8重量%、平均水分率Mは7.9重量%、標準偏差Sは0.04であった。
(評価方法)
得られたフィルム幅650mmのPVA系水溶性フィルムから、一方の端部から他方の端部まで幅方向に50mm間隔で50mm×50mmサイズにして水分率測定用の試料を計13個切り出した。切り出した各フィルム試料について、フィルム重量(W)を電子天秤で秤量したのち、フィルム試料を水分率0.03%以下の脱水メタノール15ml(S)内に浸漬させて室温,1時間の条件でフィルム内の水分を抽出した。カールフィッシャー水分計(京都電子工業社製、「MKA−610」)を用いて、容量滴定法によって抽出液10ml(E)の水分量を測定し、以下の式からフィルム水分率x(重量%)を算出した。
V: 抽出液10mlの滴定に用いたカールフィッシャー試薬量(ml)
B: 脱水メタノール10mlの滴定に用いたカールフィッシャー試薬量(ml)
W: 50mm×50mmサイズにしたフィルム試料の重量(g)
E: カールフィッシャー測定に使用した抽出液の量(ml)
S: フィルム試料の水分抽出に使用した脱水メタノールの量(ml)
(評価方法)
得られたフィルム幅650mmのPVA系水溶性フィルムを流れ方向300mmに切り出して、下(図1)のようにフィルムの幅方向の一辺を固定して、フィルムを23℃、50%RHの環境下に24時間ぶら下げた時に、下部から見たときのフィルムのカール径の長さ(A)を測定し、評価した。なお、両端でカール径が異なる場合は、数値の小さい方をカール径の長さ(A)として採用した。
カール形状が真円である場合には、真円の直径長さをカール径の長さ(A)とし、カール形状が楕円である場合には、楕円の長径長さ、短径長さを平均化した数値((長径長さ+短径長さ)/2で算出)をカール径の長さ(A)とした。
(評価基準)
○・・・カール径の長さ(A)が15mm以上であり、
カールに伴うフィルム曲線変形が緩い
×・・・カール径の長さ(A)が15mm未満であり、
カールに伴うフィルム曲線変形が強い
(評価方法)
得られたフィルム幅650mmのPVA系水溶性フィルムから、一方の端部から他方の端部まで幅方向に50mm間隔で50mm×50mmサイズに計13個切り出した。切り出したフィルムをそれぞれ治具に固定した。リットルビーカーに水(1リットル)を入れ、スターラーにより撹拌(回転子長3cm、回転数200〜300rpm)しながら水温を20℃に保ちつつ、治具に固定したフィルムを水中に浸漬し、フィルムが溶解するまでの時間(秒)を測定し、下記の基準で評価した。なお、「溶解」の基準としては直径1mm以上の不溶微粒子の分散が見られない場合を溶解とした。
そして、フィルムの幅方向の水溶解性の全評価結果に対し溶解遅延を示した検体数の割合を算出し、溶解不良率(%)を求めた。
(評価基準)
易溶解性 ・・・溶解時間≦90秒
溶解遅延 ・・・溶解時間>90秒
溶解不良率(%)= 溶解遅延を示した検体数 /13 ×100
(評価方法)
得られたフィルム幅650mmのPVA系水溶性フィルムから、一方の端部から他方の端部まで幅方向に50mm間隔で50mm×50mmサイズのPVA系水溶性フィルム(I)および、PVA系水溶性フィルム(I)と同一の区画から流れ方向と平行な一辺が70mm、幅方向と平行な一辺が15mmの長方形となるPVA系水溶性フィルム(II)をそれぞれ計13個づつ切り出した。
上記で水シールしたPVA系水溶性フィルムを5秒間放置したものについて、下部のPVA系水溶性フィルム(I)は基板ガラスに固定し、上部のPVA系水溶性フィルム(II)の端面に、ばねばかりを取り付け、上方に2mm/秒の速さで引っ張ることで、剥離強度(g/15mm)を測定し、下記の通り評価した。なお、測定は、23℃、40%RH環境下で行った。
そして、フィルムの幅方向の水シール性の全評価結果に対しシール性不良を示した検体数の割合を算出し、シール不良率(%)を求めた。
シール性良好・・・剥離強度(g/15mm)が120g/15mm以上
シール性不良・・・剥離強度(g/15mm)が120g/15mm未満
シール不良率(%)= シール性不良を示した検体数 /13 ×100
これに対して、フィルムの幅方向における水分率(重量%)の最大値xmaxと最小値xminの差が小さく、特定範囲を満足しない比較例1、3の水溶性フィルムにおいては、カールが大きく、包装体を成形する際に支障があり、生産性に劣るものであることがわかる。
また、フィルムの幅方向における水分率(重量%)の最大値xmaxと最小値xminの差が大きすぎる比較例2の水溶性フィルムにおいては、カールは抑制されているものの、シール不良率が大きくなり、また水溶解不良率も大きいため、包装体を形成する際に支障があり、生産性に劣るものであることがわかる。
また、フィルム幅方向全体に均質に熱処理してフィルムの幅方向における水分率(重量%)の最大値xmaxと最小値xminの差を小さくした比較例4の水溶性フィルムにおいては、カールは抑制されて水溶解性も良好であるが、シール不良率が高く包装体での破袋を起こしやすいことから、包装体を形成する際に支障があることがわかる。
Claims (8)
- フィルムの幅方向における水分率x(重量%)の最大値xmaxと最小値xminの差が0.2〜3であり、かつフィルムの幅方向の平均水分率Mが6〜15重量%であることを特徴とするポリビニルアルコール系水溶性フィルム。
- フィルムの幅方向における水分率(重量%)の標準偏差Sが0.05〜1.0であることを特徴とする請求項1記載のポリビニルアルコール系水溶性フィルム。
- 薬剤包装に用いることを特徴とする請求項1または2記載のポリビニルアルコール系水溶性フィルム。
- 請求項1〜3いずれか記載のポリビニルアルコール系水溶性フィルムを張り合わせてなる包装体と、前記包装体に内包された薬剤とを含有することを特徴とする薬剤包装体。
- 薬剤が洗剤であることを特徴とする請求項4記載の薬剤包装体。
- 薬剤が液体洗剤であることを特徴とする請求項4または5記載の薬剤包装体。
- ポリビニルアルコール系フィルムの幅方向の両端部を、温度80〜130℃、端部から10〜150mmの範囲で、局部的に熱処理することを特徴とする請求項1記載のポリビニルアルコール系水溶性フィルムの製造方法。
- 熱処理時間が1〜60秒であることを特徴とする請求項7記載のポリビニルアルコール系水溶性フィルムの製造方法。
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