JP2019006423A - 薬剤包装体及び薬剤包装体の製造方法 - Google Patents

薬剤包装体及び薬剤包装体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 液体洗剤などの液体を包装してなる薬剤包装体であり、耐ブロッキンブ性に優れ、外観特性等にも優れる薬剤包装体を提供することを目的とする。【解決手段】 薬剤を内包し、ポリビニルアルコール系樹脂(A)を主成分とする水溶性フィルムからなる薬剤包装体であって、外面同士の静摩擦係数(X1)が0.2〜1.0であることを特徴とする薬剤包装体。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする水溶性フィルムからなる薬剤包装体に関し、更に詳しくは、耐ブロッキング性に優れた薬剤包装体に関するものである。
以下、ポリビニルアルコールをPVA、ポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする水溶性フィルムをPVA系水溶性フィルムと略記することがある。
PVA系フィルムは、熱可塑性樹脂でありながら水溶性を有するPVA系樹脂からなるフィルムであり、ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリオレフィンフィルム等の包装用フィルムなどにも通常よく用いられる疎水性フィルムとは、フィルムの諸物性や触感等が大きく異なるものである。
従来より、PVAの水溶性を生かして、農薬や洗浄剤等の各種薬剤をPVA系樹脂のフィルムからなる袋に入れた薬剤の分包が提案され、幅広い分野で用いられている。
かかる薬剤包装用途に用いる水溶性フィルムには、優れた溶解性に加えて、包装体とした際に、シール性が良好である、破袋しない、歪みが生じない、張りの低減が生じないといった、機械特性や外観特性など種々の特性を満足することが要求される。また、生産性、取扱性に優れること、さらにはフィルムロールとして輸送や保管する場合の形状安定性等の点から、フィルムロールが巻きずれしないことやフィルムロールからの繰り出し性が良好であること等も要求される。
薬剤の個包装体に用いる水溶性フィルムとして、例えば、PVA100重量部に対して、可塑剤5〜30重量部、澱粉1〜10重量部および界面活性剤0.01〜2重量部を配合してなる水溶性フィルム(特許文献1参照。)や、20℃における4重量%水溶液粘度が10〜35mPs・s、平均ケン化度80.0〜99.9モル%、アニオン性基変性量1〜10モル%のアニオン性基変性PVA系樹脂(A)100重量部に対して、可塑剤(B)20〜50重量部、フィラー(C)2〜30重量部、界面活性剤(D)0.01〜2.5重量部を含有してなる樹脂組成物からなる水溶性フィルム(特許文献2参照。)、PVAに可塑剤と澱粉を含有し、前記澱粉がフィルムの表面及び裏面に特定量塗布されてなる、接触角が20〜50°であることを特徴とする水溶性フィルム(特許文献3参照。)等を用いることができることが知られている。
特開2001−329130号公報 特開2004−161823号公報 国際公開第2016/043009号
しかしながら、上記特許文献1〜3に開示の水溶性フィルムはいずれも水溶性に優れるものであり、保管中のフィルムの耐ブロッキング性や、フィルムの繰り出し性に優れることが記載されているが、いずれも、包装体とした際の物性にまでは着目していないものであり、薬剤を内包して包装体とした個包装を積み重ねて静置状態で保管した際に、包装体同士が密着して取扱い性が悪かったり、密着した包装体同士を剥がす際に外観特性が低下したり、破袋するといった問題が生じたり、また、包装体用途に用いる際に要求される物性(例えば、包装体端部の外観状態等。)を充分満足しない場合があるなど、更なる改良が求められるものであった。
そこで、本発明ではこのような背景下において、液体洗剤などの液体を包装してなる薬剤包装体であり、耐ブロッキング性に優れ、外観特性等にも優れる薬剤包装体を提供することを目的とするものである。
しかるに、本発明者はかかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、PVA系樹脂を主成分とする水溶性フィルムからなる薬剤包装体においては、薬剤包装体の外面同士の静摩擦係数が重要であり、これが特定範囲であることにより、耐ブロッキング性に優れ、外観特性にも優れる薬剤包装体を得ることができることを見出し、本発明を完成した。
本発明では、薬剤包装体の個包装を積み重ねて静置状態で保管した場合の取扱い性について着目している点から、薬剤包装体の外面同士の静摩擦係数を特定の範囲にすることが重要である。
即ち、本発明の要旨は、薬剤を内包し、ポリビニルアルコール系樹脂(A)を主成分とする水溶性フィルムからなる薬剤包装体であって、外面同士の静摩擦係数(X1)が0.2〜1.0であることを特徴とする薬剤包装体に関するものである。
更に、本発明では、前記薬剤包装体の製造方法も提供するものである。
本発明の薬剤包装体は、包装体の耐ブロッキング性及び外観特性に優れたものであり、各種薬剤を内包する個包装体として有用である。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明の薬剤包装体は、PVA系樹脂(A)を主成分とする水溶性フィルムからなる薬剤包装体であり、水溶性フィルムで薬剤を内包し包装体となる。薬剤包装体は、通常は、2枚の水溶性フィルムを貼り合わせることにより製造される。
本発明においては、薬剤包装体の外面同士の静摩擦係数(X1)が0.2〜1.0であることを特徴とするものである。かかる静摩擦係数(X1)が大きすぎると、包装体同士の密着力が上がり、ブロッキングしやすくなり、小さすぎると、包装体同士が滑りやすくなりすぎることで落下による破袋を生じやすくなり、いずれも薬剤包装体の取扱い性が悪くなる。
静摩擦係数(X1)は、更に好ましくは0.3〜0.9であり、特に好ましくは0.4〜0.8である。
また、薬剤包装体の外面同士の動摩擦係数(X2)が0.2〜0.8であることが好ましく、更に好ましくは0.25〜0.65であり、特に好ましくは0.30〜0.50である。かかる動摩擦係数(X2)が大きすぎると、包装体同士の密着力が上がり、ブロッキングしやすくなる傾向があり、小さすぎると、包装体同士が滑りやすくなりすぎることで落下による破袋を生じやすくなることがあり、いずれも薬剤包装体の取扱い性が劣る傾向がある。
また、薬剤包装体の内面同士の静摩擦係数(X3)については、薬剤包装体の端部シール形状の点から外面同士の静摩擦係数(X1)より大きくすることが好ましく、好ましくは0.6〜1.7であり、更に好ましくは0.8〜1.6であり、特に好ましくは1.0〜1.5である。かかる静摩擦係数(X3)が大きすぎると、薬剤包装体のシール面の密着性が強すぎてシール部分に皺が入りやすくなり、小さすぎると、シール面の密着不足でフィルム同士がカールしやすく端部のシール不良を生じやすくなり、いずれも包装体端部の外観に劣る傾向がある。
ここで、本発明において、静摩擦係数(X1)、および動摩擦係数(X2)は、薬剤包装体に用いるPVA系水溶性フィルムを23℃、40%RHに調湿後、包装体を作製した際に外側となるフィルム面同士を接触させて、その静摩擦試験力(N1)、動摩擦試験力(N2)を、JIS K7125に準じて、島津製作所社製のオートグラフ「AG−X Plus」を用いて測定し、得られた静摩擦試験力(N1)、動摩擦試験力(N2)から算出した値とする。
また、静摩擦係数(X3)は、上記と同様にPVA系水溶性フィルム調湿後、包装体を作製した際に内側となるフィルム面同士を接触させて、その静摩擦試験力(N3)を測定し、得られた静摩擦試験力(N3)から算出した値とする。
本発明では、薬剤包装体の個包装を積み重ねて静置状態で保管した場合の取扱い性について着目している点から、薬剤包装体の外面同士の静摩擦係数(X1)を特定の範囲にすることが重要である。
したがって、外面同士の動摩擦係数(X2)、あるいは内面同士の静摩擦係数(X3)が上記の範囲内を満足する場合でも、外面同士の静摩擦係数(X1)が上記の範囲から外れる場合には本発明の効果は得られない。
即ち、外面同士の静摩擦係数(X1)を特定範囲にすることで薬剤包装体の静置保管特性を調整し、外面同士の動摩擦係数(X2)を特定範囲にすることで包装体製造時のフィルムロールからのフィルムの繰り出し性と、薬剤包装体の取扱い性を調整し、内面同士の静摩擦係数(X3)を特定範囲にすることで薬剤包装体端部の外観を良好な状態に調整することにより、それぞれの性能を両立させることができ、薬剤包装体として優れたものとなる。
本発明の薬剤包装体は、例えば、以下の通り製造されるPVA系水溶性フィルムを用いて得ることができる。
<PVA系水溶性フィルム>
〔フィルム材料〕
まず、本発明で用いられるPVA系水溶性フィルムを構成するPVA系樹脂(A)について説明する。本発明で用いられるPVA系樹脂(A)としては、未変性PVAや変性PVA系樹脂が挙げられる。
未変性PVAは、ビニルエステル系化合物を重合して得られるビニルエステル系重合体をケン化することにより製造することができる。
かかるビニルエステル系化合物としては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリル酸ビニル、バーサティック酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等が挙げられるが、酢酸ビニルを用いることが好ましい。上記ビニルエステル系化合物は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
変性PVAは、上記ビニルエステル系化合物と、ビニルエステル系化合物と共重合可能な不飽和単量体とを共重合させた後、ケン化することにより製造することができる。
上記ビニルエステル系化合物と共重合可能な不飽和単量体としては、例えば、エチレンやプロピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のオレフィン類、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール等のヒドロキシ基含有α−オレフィン類およびそのアシル化物などの誘導体、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、ウンデシレン酸等の不飽和酸類、その塩、モノエステル、あるいはジアルキルエステル、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸類あるいはその塩等が挙げられる。
また、変性PVAとして、側鎖に一級水酸基を有するもので、例えば、側鎖の一級水酸基の数が、通常1〜5個、好ましくは1〜2個、特に好ましくは1個であるものも挙げられ、さらには、側鎖に一級水酸基以外にも二級水酸基を有することが好ましい。かかる変性PVAとしては、例えば、側鎖にヒドロキシアルキル基を有するPVA系樹脂、側鎖に1,2−ジオール構造単位を有するPVA系樹脂等があげられる。側鎖に1,2−ジオール構造単位を有するPVA系樹脂は、例えば、(ア)酢酸ビニルと3,4−ジアセトキシ−1−ブテンとの共重合体をケン化する方法、(イ)酢酸ビニルとビニルエチレンカーボネートとの共重合体をケン化及び脱炭酸する方法、(ウ)酢酸ビニルと2,2−ジアルキル−4−ビニル−1,3−ジオキソランとの共重合体をケン化及び脱ケタール化する方法、(エ)酢酸ビニルとグリセリンモノアリルエーテルとの共重合体をケン化する方法、等により製造することができる。
上記、ビニルエステル系化合物と、ビニルエステル系化合物と共重合可能な不飽和単量体との共重合方法としては、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法等、公知の重合方法を任意に用いることができるが、通常、メタノール、エタノールあるいはイソプロピルアルコール等のアルコールを溶媒とする溶液重合法により行われる。
重合触媒としては、重合方法に応じて、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系触媒、過酸化アセチル、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等の過酸化物触媒等の公知の重合触媒を適宜選択することができる。又、重合の反応温度は50℃〜沸点程度の範囲から選択される。
ケン化は公知の方法で行うことができ、通常、得られた共重合体をアルコールに溶解してケン化触媒の存在下で行なわれる。アルコールとしてはメタノール、エタノール、ブタノール等が挙げられる。アルコール中の共重合体の濃度は、溶解率の観点から20〜50重量%の範囲から選択される。
ケン化触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート等のアルカリ金属の水酸化物やアルコラートの如きアルカリ触媒を用いることができ、酸触媒を用いることも可能である。ケン化触媒の使用量はビニルエステル系化合物に対して1〜100ミリモル当量にすることが好ましい。
本発明で用いる変性PVAとしては、アニオン性基変性PVA系樹脂、カチオン性基変性PVA系樹脂、ノニオン性基変性PVA系樹脂等が挙げられる。中でも、水に対する溶解性の点で、アニオン性基変性PVA系樹脂を用いることが好ましい。アニオン性基の種類としては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられるが、耐薬品性及び経時安定性の点で、カルボキシル基、スルホン酸基が好ましく、特にはカルボキシル基が好ましい。
上記カルボキシル基変性PVA系樹脂は、任意の方法で製造することができ、例えば、(I)カルボキシル基を有する不飽和単量体とビニルエステル系化合物を共重合した後にケン化する方法、(II)カルボキシル基を有するアルコールやアルデヒドあるいはチオール等を連鎖移動剤として共存させてビニルエステル系化合物を重合した後にケン化する方法等を挙げることができる。
(I)または(II)の方法におけるビニルエステル系化合物としては、前述のものを用いることができるが、酢酸ビニルを用いることが好ましい。
上記(I)の方法におけるカルボキシル基を有する不飽和単量体としては、エチレン性不飽和ジカルボン酸(マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等)、又はエチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル(マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル等)、又はエチレン性不飽和ジカルボン酸ジエステル(マレイン酸ジアルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル等)〔但し、これらのジエステルは共重合体のケン化時に加水分解によりカルボキシル基に変化することが必要である〕、又はエチレン性不飽和カルボン酸無水物(無水マレイン酸、無水イタコン酸等)、あるいはエチレン性不飽和モノカルボン酸((メタ)アクリル酸、クロトン酸等)等の単量体、及びそれらの塩が挙げられ、中でもマレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステル、マレイン酸塩、無水マレイン酸、イタコン酸、イタコン酸モノアルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル、(メタ)アクリル酸等を用いることが好ましく、更には、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステル、マレイン酸塩、無水マレイン酸を用いることが好ましく、特にはマレイン酸モノアルキルエステルを用いることが好ましい。
上記(II)の方法においては、特に連鎖移動効果の大きいチオールに由来する化合物が有効であり、以下の化合物が挙げられる。
Figure 2019006423
Figure 2019006423
[但し、上記一般式(1)、(2)において、nは0〜5の整数で、R1、R2、R3はそれぞれ水素原子又は低級アルキル基(置換基を含んでもよい)を示す。]
Figure 2019006423
[但し、上記一般式(3)において、nは0〜20の整数である。]
また、上記一般式(1)〜(3)で表される化合物の塩も挙げられる。具体的にはメルカプト酢酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、2−メルカプトステアリン酸等が挙げられる。
なお、上記カルボキシル基を有する不飽和単量体、ビニルエステル系化合物以外に、その他の一般の単量体を、水溶性を損なわない範囲で含有させて重合を行なってもよく、これらの単量体としては、例えば、エチレン性不飽和カルボン酸のアルキルエステル、飽和カルボン酸のアリルエステル、α−オレフィン、アルキルビニルエーテル、アルキルアリルエーテル、その他、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、塩化ビニル等を用いることができる。
また、上記カルボキシル基変性PVA系樹脂の製造方法としては、上記方法に限らず、例えばポリビニルアルコール(部分ケン化物又は完全ケン化物)にジカルボン酸、アルデヒドカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸等の水酸基と反応性のある官能基をもつカルボキシル基含有化合物を後反応させる方法等も実施可能である。
また、スルホン酸基で変性されたスルホン酸変性PVA系樹脂を用いる場合は、例えば、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等の共重合成分を、ビニルエステル系化合物と共重合した後、ケン化する方法、ビニルスルホン酸もしくはその塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸もしくはその塩等をPVAにマイケル付加させる方法等により製造することができる。
一方、上記未変性PVAを後変性する方法としては、未変性PVAをアセト酢酸エステル化、アセタール化、ウレタン化、エーテル化、グラフト化、リン酸エステル化、オキシアルキレン化する方法等が挙げられる。
本発明のPVA系樹脂(A)の平均ケン化度は、80モル%以上であることが好ましく、更に好ましくは82〜99.9モル%、特に好ましくは85〜99.5モル%、殊に好ましくは90〜99.0モル%である。かかる平均ケン化度が小さすぎると、包装対象の薬剤のpHによっては経時的にフィルムの溶解性が低下する傾向がある。
特に、本発明において、PVA系樹脂(A)として未変性PVAを用いる場合には、その平均ケン化度は、80モル%以上であることが好ましく、更に好ましくは82〜99モル%、特に好ましくは85〜90モル%である。かかる平均ケン化度が小さすぎると、水溶性が低下する傾向がある。なお、平均ケン化度が大きすぎても水溶性が低下する傾向が
ある。
一方、PVA系樹脂(A)として変性PVAを用いる場合には、その平均ケン化度は、80モル%以上であることが好ましく、更に好ましくは85〜99.9モル%、特に好ましくは90〜99.0モル%である。かかる平均ケン化度が小さすぎると、包装対象の薬剤のpHによっては経時的にフィルムの溶解性が低下する傾向がある。なお、平均ケン化度が大きすぎると製膜時の熱履歴により水への溶解性が大きく低下する傾向がある。
さらに、PVA系樹脂(A)として、アニオン性基変性PVA系樹脂を用いる場合には、その平均ケン化度は、85モル%以上であることが好ましく、更に好ましくは88〜99.9モル%、特に好ましくは90〜99.5モル%、殊に好ましくは90〜99.0モル%である。
本発明において、上記アニオン性基変性PVA系樹脂の変性量は、1〜10モル%であることが好ましく、更に好ましくは2〜9モル%、特に好ましくは2〜8モル%である。かかる変性量が少なすぎると、水に対する溶解性が低下する傾向があり、多すぎるとPVA樹脂の生産性が低下したり、生分解性が低下する傾向があり、また、ブロッキングを引き起こしやすくなる傾向がある。
また、上記PVA系樹脂(A)の重合度は一般的に水溶性粘度で示すことができ、本発明のPVA系樹脂(A)の20℃における4重量%水溶液粘度は5〜50mPa・sであることが好ましく、更に好ましくは13〜45mPa・s、特に好ましくは17〜40mPa・sである。かかる粘度が小さすぎると、包装材料としてのフィルムの機械的強度が低下する傾向があり、大きすぎると製膜時の水溶液粘度が高く生産性が低下する傾向がある。
PVA系樹脂(A)として未変性PVAを用いる場合には、未変性PVAの20℃における4重量%水溶液粘度は、5〜50mPa・sであることが好ましく、更に好ましくは13〜45mPa・s、特に好ましくは17〜40mPa・sである。
また、PVA系樹脂(A)として変性PVA系樹脂を用いる場合には、変性PVA系樹脂の20℃における4重量%水溶液粘度は、5〜50mPa・sであることが好ましく、更に好ましくは13〜40mPa・s、特に好ましくは17〜30mPa・sである。
本発明において、上記のPVA系樹脂(A)はそれぞれ単独で用いることもできるし、また、未変性PVA同士を併用すること、変性PVA同士を併用すること、未変性PVAと変性PVAを併用すること、更に、ケン化度、粘度、変性種、変性量等が異なる2種以上を併用することなどもできる。
本発明においては、PVA系樹脂(A)が、溶解性を長く保持できる点で、変性PVAであることが好ましく、更にはアニオン性基変性PVAであることが好ましく、特にはカルボキシル基変性PVAであることが好ましい。また、フィルム強度の点からは、アニオン性基変性PVAと未変性PVAを含有することが好ましく、特にはカルボキシル基変性PVAと未変性PVAを含有することが好ましい。
変性PVAと未変性PVAを併用する場合における含有割合(重量比)については、変性PVA/未変性PVA=95/5〜60/40であることが好ましく、更に好ましくは94/6〜70/30、特に好ましくは93/7〜80/20である。かかる含有割合が小さすぎると水溶解性が低下する傾向があり、大きすぎると酸性物質包装後の水溶解性が低下する傾向がある。
また、変性PVAと未変性PVAを併用する場合において、未変性PVAは、特に20℃における4重量%水溶液粘度が、5〜50mPa・sであることが好ましく、更に好ましくは10〜45mPa・s、特に好ましくは12〜40mPa・s、殊に好ましくは15〜35mPa・sである。かかる粘度が小さすぎると、包装材料としてのフィルムの機械的強度が低下する傾向があり、一方、大きすぎると製膜時の水溶液粘度が高く生産性が低下する傾向がある。
上記の平均ケン化度は、JIS K 6726 3.5に準拠して測定され、4重量%水溶液粘度は、JIS K 6726 3.11.2に準じて測定される。
本発明において、PVA系樹脂(A)に可塑剤(B)を含有させることが薬剤包装体とした際に水溶性フィルムに柔軟性を持たせる点で好ましい。可塑剤(B)は1種のみを用いたり、2種以上を併用したりすることができるが、特には、2種以上を併用することが、包装体とした場合のフィルム自身の強靭さ、液体洗剤用の包装体とした際の経時的な形状安定性、低温でのヒートシール性とフィルムのブロッキング性のバランス等の点で好ましい。
可塑剤(B)としては、脂肪族アルコール、糖アルコール、単糖類、多糖類の多くが適用可能であるが、例えば、エチレングリコール(−13℃)、ジエチレングリコール(−11℃)、トリエチレングリコール(−7℃)、プロピレングリコール(−59℃)、テトラエチレングリコール(−5.6℃)、1,3−プロパンジオール(−27℃)、1,4−ブタンジオール(20℃)、1,6−ヘキサンジオール(40℃)、トリプロピレングリコール、分子量2000以下のポリエチレングリコール、サリチルアルコール(83℃)、カテコール(105℃)、レゾルシノール(110℃)、ヒドロキノン(172℃)、ビスフェノールA(158℃)、ビスフェノールF(162℃)、ネオペンチルグリコール(127℃)等の2価アルコール、グリセリン(18℃)、トリエタノールアミン(21℃)、トリメチロールプロパン(58℃)、フロログルシノール(218℃)等の3価アルコール、ジグリセリン、エリスリトール(121℃)、トレイトール(88℃)、ペンタエリスリトール(260℃)等の4価アルコール、キシリトール(92℃)、アラビトール(103℃)、フシトール(153℃)、グルコース(146℃)、フルクトース(104℃)等の5価アルコール、マンニトール(166℃)、ソルビトール(95℃)、イノシトール(225℃)等の6価アルコール、ラクチトール(146℃)、スクロース(186℃)、トレハロース(97℃)等の8価アルコール、マルチトール(145℃)等の9価以上のアルコール、その他、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、カルビトール、ポリプロピレングリコール等のアルコール類等が挙げられる。
これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
なお、上記( )内は、各化合物の融点を示す。
上記の中でも、可塑効果が大きく、水溶性フィルムの柔軟性を制御しやすい点からは、分子量が100以下のものを用いることが好ましく、更に好ましくは50〜100、特に好ましくは60〜95であり、具体的には、グリセリン等が好適なものとして挙げられる。
一方、水溶性フィルムの強靭さの点からは、分子量が150以上であることが好ましく、更に好ましくは160〜500、特に好ましくは180〜400であり、具体的には、例えば、ソルビトール、スクロース等が好適なものとして挙げられる。
また、水溶性フィルムの引張強度の点から、融点が、80℃以上のものが好ましく、特には90℃以上のものが好ましい。なお、融点の上限は好ましくは300℃、特に好ましくは200℃である。
一方、水溶性フィルムの柔軟性の点からは、融点が30℃以下のものが好ましく、特には20℃以下のものが好ましい。なお、融点の下限は通常−80℃であり、好ましくは−10℃、特に好ましくは0℃である。
また、PVA系樹脂(A)との相溶性の点から、1分子中の水酸基の数が3個以上であるものが好ましく、更に好ましくは3〜8個、特に好ましくは3〜6個であり、具体的には、例えば、グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールプロパン、ソルビトール等が好適なものとして挙げられる。
中でも、可塑効果と、フィルムの柔軟性の経時安定性のバランスの点から、分子量の小さいものと大きいものを併用することが好ましく、更には、フィルムの柔軟性の経時安定性に加えて、フィルムの強度や伸度のバランスに優れ包装体に好適である点、液体洗剤用の包装体とした際の経時的な形状安定性、低温でのシール性、特には、低温でのヒートシール性とフィルムのブロッキング性のバランスに優れる点から、グリセリンとジグリセリンを併用することが好ましい。
本発明において、可塑剤(B)の含有量は、PVA系樹脂(A)100重量部に対して、5重量部以上であることが好ましく、特に好ましくは5〜70重量部、更に好ましくは8〜50重量部である。かかる可塑剤(B)の含有量が少なすぎると液体洗剤などの液体を包装して包装体とした場合に経時的な形状安定性が低下する傾向がある。なお、多すぎると機械強度が低下したり、ブロッキングが生じやすくなる傾向がある。
本発明においては、必要に応じて、更に、フィラー(C)や界面活性剤(D)等を含有させることができる。
フィラー(C)は、耐ブロッキング性の点で含有されることが好ましく、具体例としては、無機フィラーや有機フィラーが挙げられ、中でも有機フィラーが好ましい。また、平均粒子径としては、0.1〜20μmであることが好ましく、更には0.5〜15μmであることが好ましい。なお、上記平均粒子径は、例えば、レーザ回折式粒度分布測定装置等で測定することができる。
かかる無機フィラーとしては、その平均粒子径が1〜10μmのものであることが好ましく、かかる平均粒子径が小さすぎると耐ブロッキング効果が得られ難くなる傾向があり、大きすぎると水溶性フィルムを成形加工するときに引き伸ばされた際にピンホールとなったり、外観が低下したりする傾向がある。
無機フィラーの具体例としては、例えば、タルク、クレー、二酸化ケイ素、ケイ藻土、カオリン、雲母、アスベスト、石膏、グラファイト、ガラスバルーン、ガラスビーズ、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、ウィスカー状炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドーソナイト、ドロマイト、チタン酸カリウム、カーボンブラック、ガラス繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、加工鉱物繊維、炭素繊維、炭素中空球、ベントナイト、モンモリロナイト、銅粉、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸亜鉛、硫酸銅、硫酸鉄、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、硝酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸アルミニウム、塩化アンモニウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、リン酸ナトリウム、クロム酸カリウム等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
有機フィラーとしては、その平均粒子径が0.5〜20μmのものであることが好ましく、更に好ましくは0.5〜10μm、特に好ましくは0.5〜7μm、殊に好ましくは0.5〜5μmである。かかる平均粒子径が小さすぎると耐ブロッキング効果が得られ難くなる傾向があり、大きすぎると水溶性フィルムを成形加工するときに引き伸ばされた際にピンホールとなる傾向がある。
かかる有機フィラーとしては、例えば、澱粉、メラミン系樹脂、ポリメチル(メタ)アクリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂の他、ポリ乳酸等の生分解性樹脂等が挙げられる。中でも、有機フィラーとして、特にはポリメチル(メタ)アクリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、澱粉等の生分解性樹脂を用いることが好ましい。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
上記の澱粉としては、例えば、生澱粉(トウモロコシ澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、コムギ澱粉、キッサバ澱粉、サゴ澱粉、タピオカ澱粉、モロコシ澱粉、コメ澱粉、マメ澱粉、クズ澱粉、ワラビ澱粉、ハス澱粉、ヒシ澱粉等)、物理的変性澱粉(α−澱粉、分別アミロース、湿熱処理澱粉等)、酵素変性澱粉(加水分解デキストリン、酵素分解デキストリン、アミロース等)、化学分解変性澱粉(酸処理澱粉、次亜塩素酸酸化澱粉、ジアルデヒド澱粉等)、化学変性澱粉誘導体(エステル化澱粉、エーテル化澱粉、カチオン化澱粉、架橋澱粉等)等が挙げられる。中でも入手の容易さや経済性の点から、生澱粉、とりわけトウモロコシ澱粉、コメ澱粉を用いることが好ましい。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
上記フィラー(C)を含有する場合における含有量については、PVA系樹脂(A)100重量部に対して1〜30重量部であることが好ましく、更に好ましくは2〜25重量部、特に好ましくは2.5〜20重量部である。かかる含有量が少なすぎると耐ブロッキング性が低下する傾向があり、多すぎると水溶性フィルムを成形加工するときに引き伸ばされた際にピンホールとなる傾向がある。
本発明で用いられる界面活性剤(D)としては、水溶性フィルム製造時のキャスト面からの剥離性改善の目的で含有されるものであり、通常、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤が挙げられる。例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルノニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルモノエタノールアミン塩、ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル、ポリオキシエチレンステアリルアミノエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアミノエーテル等が挙げられ、これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。中でも、製造安定性の点でポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルモノエタノールアミン塩、ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテルが好適である。
かかる界面活性剤(D)の含有量については、PVA系樹脂(A)100重量部に対して0.01〜3重量部であることが好ましく、更に好ましくは0.1〜2.5重量部、特に好ましくは0.5〜2重量部である。かかる含有量が少なすぎると製膜装置のキャスト面と製膜した水溶性フィルムとの剥離性が低下して生産性が低下する傾向があり、多すぎると水溶性フィルムを包装体とする場合に実施するシール時の接着強度が低下する等の不都合を生じる傾向がある。
なお、本発明においては、発明の目的を阻害しない範囲で、更に他の水溶性高分子(例えば、ポリアクリル酸ソーダ、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、デキストリン、キトサン、キチン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等)や、香料、防錆剤、着色剤、増量剤、消泡剤、紫外線吸収剤、流動パラフィン類、蛍光増白剤、苦味成分(例えば、安息香酸デナトニウム等)等を含有させることも可能である。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
また、本発明においては、黄変抑制の点で酸化防止剤を配合することが好ましい。かかる酸化防止剤としては、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸カルシウム、亜硫酸アンモニウム等の亜硫酸塩、酒石酸、アスコルビン酸、チオ硫酸ナトリウム、カテコール、ロンガリット等が挙げられ、中でも亜硫酸塩、特には亜硫酸ナトリウムが好ましい。かかる配合量はPVA系樹脂(A)100重量部に対して0.1〜10重量部であるが好ましく、更に好ましくは0.2〜5重量部、特に好ましくは0.3〜3重量部である。
<PVA系水溶性フィルムの製造>
本発明においては、上記の通りPVA系樹脂(A)、好ましくは更に可塑剤(B)、必要に応じて更に、フィラー(C)及び界面活性剤(D)等を含有してなるPVA系樹脂組成物を得て、かかるPVA系樹脂組成物を、[I]溶解工程、[II]製膜工程、[III]巻取工程、の順序で製造してPVA系水溶性フィルムとする。
〔[I]溶解工程〕
溶解工程では、上記PVA系樹脂組成物を水で溶解または分散して、製膜原料となる水溶液または水分散液を調製する。
上記PVA系樹脂組成物を水に溶解する際の溶解方法としては、通常、常温溶解、高温溶解、加圧溶解等が採用され、中でも、未溶解物が少なく、生産性に優れる点から高温溶解、加圧溶解が好ましい。
溶解温度としては、高温溶解の場合には、通常80〜100℃、好ましくは90〜100℃であり、加圧溶解の場合には、通常80〜130℃、好ましくは90〜120℃である。
溶解時間としては、溶解温度、溶解時の圧力により適宜調整すればよいが、通常1〜20時間、好ましくは2〜15時間、更に好ましくは3〜10時間である。溶解時間が短すぎると未溶解物が残る傾向にあり、長すぎると生産性が低下する傾向にある。
また、溶解工程において、撹拌翼としては、例えば、パドル、フルゾーン、マックスブレンド、ツイスター、アンカー、リボン、プロペラ等が挙げられる。
更に、溶解した後、得られたPVA系樹脂水溶液に対して脱泡処理が行われるが、かかる脱泡方法としては、例えば、静置脱泡、真空脱泡、二軸押出脱泡等が挙げられる。中でも静置脱泡、二軸押出脱泡が好ましい。
静置脱泡の温度としては、通常50〜100℃、好ましくは70〜95℃であり、脱泡時間は、通常2〜30時間、好ましくは5〜20時間である。
かかる製膜原料の固形分濃度は、10〜50重量%であることが好ましく、更に好ましくは15〜40重量%、特に好ましくは20〜35重量%である。かかる濃度が低すぎるとフィルムの生産性が低下する傾向があり、高すぎると粘度が高くなりすぎ、製膜原料の脱泡に時間を要したり、フィルム製膜時にダイラインが発生したりする傾向がある。
〔[II]製膜工程〕
製膜工程では、溶解工程で調製した製膜原料を膜状に賦形し、必要に応じて乾燥処理を施すことで、含水率15%未満にしたPVA系水溶性フィルムに調整する。
製膜に当たっては、例えば、溶融押出法や流延法等の方法を採用することができ、膜厚の精度の点で流延法が好ましい。
流延法を行うに際しては、例えば、上記製膜原料を、T型スリットダイ等のスリットから吐出させ、エンドレスベルトやドラムロールの金属表面等のキャスト面に流延し、乾燥することにより本発明のPVA系水溶性フィルムを製造することができる。
T型スリットダイ等の製膜原料吐出部における製膜原料の温度は、60〜98℃であることが好ましく、特に好ましくは70〜95℃である。かかる温度が低すぎると製膜原料の粘度が増加してPVA系水溶性フィルムの生産性が低下する傾向があり、高すぎると発泡等が生じる傾向がある。
流延後、キャスト面上で製膜原料を乾燥させるのであるが、乾燥にあたっては、通常、エンドレスベルトやドラムロールの金属表面等のキャスト面を加熱することにより行う。上記キャスト面の表面温度は、50〜150℃であることが好ましく、特に好ましくは60〜140℃である。かかる表面温度が低すぎると、乾燥不足でフィルムの含水率が高くなり、ブロッキングしやすくなる傾向があり、高すぎると製膜原料が発泡し、製膜不良となる傾向がある。
また、製膜時の乾燥においては、熱ロールによる乾燥、フローティングドライヤーを用いてフィルムに熱風を吹き付ける乾燥や遠赤外線装置、誘電加熱装置による乾燥等を併用することもできる。
上記の乾燥処理で製膜原料を含水率15%以下になるまで乾燥した後、キャスト面から剥離すること(キャスト面から剥離後に更に熱ロールによる乾燥を行う場合は、乾燥熱ロールから剥離すること)でPVA系水溶性フィルムが得られる。キャスト面(または、乾燥熱ロール)から剥離されたPVA系水溶性フィルムは、10〜35℃の環境下で冷却されながら搬送される。
〔[III]巻取工程〕
巻取工程では、製膜工程でキャスト面等から剥離したPVA系水溶性フィルムを搬送して巻き取り、芯管(S1)に巻き取ることによりフィルムロールに調整する。
得られたフィルムロールは、そのまま製品として供給することもできるが、好ましくは所望サイズのPVA系水溶性フィルム幅に見合った長さの芯管(S2)に巻き取り直し、所望のサイズのフィルムロールとして供給することもできる。
PVA系水溶性フィルムを巻き取る芯管(S1)は円筒状のもので、その材質は金属、プラスチック等、適宜選択できるが、堅牢性、強度の点で金属であることが好ましい。
芯管(S1)の内径は、3〜30cmが好ましく、より好ましくは10〜20cmである。
芯管(S1)の肉厚は、1〜30mmが好ましく、より好ましくは2〜25mmである。
芯管(S1)の長さは、PVA系水溶性フィルムの幅より長くすることが必要で、フィルムロールの端部から1〜50cm突出するようにするのが好ましい。
また、芯管(S2)は円筒状のもので、その材質は紙や金属、プラスチック等、適宜選択できるが、軽量化及び取扱いの点で紙であることが好ましい。
芯管(S2)の内径は、3〜30cmが好ましく、より好ましくは10〜20cmである。
芯管(S2)の肉厚は、1〜30mmが好ましく、より好ましくは3〜25mmである。
芯管(S2)の長さは、製品のPVA系水溶性フィルム幅と同等或いはそれ以上の長さのものであればよく、好ましくは同等〜50cm長いものである。
芯管(S2)に巻き取る際には、PVA系水溶性フィルムは所望の幅にスリットされる。
かかるスリットに当たっては、シェア刃やレザー刃などを用いてスリットされるが、好ましくはシェア刃でスリットすることがスリット断面の平滑性の点で好ましい。
本発明においては、フィルムのカール防止の点から、フィルムの製造工程において、[I]製膜工程の後に、更に熱処理を行うことが好ましい。
熱処理については、通常熱ロールにて行うことができるが、その他、フローティングドライヤーを用いてフィルムに熱風を吹き付ける熱処理や遠赤外線装置、誘電加熱装置による熱処理等も挙げられる。本発明においては、熱ロールを用いて行うことが、生産性の点で好ましい。なお、熱ロールは、複数本用いることもできる。
具体的に、熱処理を行う際にフィルムを熱処理する温度(熱処理装置の温度)としては、50〜120℃が好ましく、更に好ましくは60〜115℃であり、特に好ましくは70〜110℃である。かかる温度が低すぎるとカール改善効果が得られ難い傾向があり、高すぎると溶解性が低下したり、包装体の成形時、シール性(特には水シール性)が低下する傾向がある。
熱処理時間としては、熱処理温度により適宜調整すればよいが、0.01〜30秒であることが好ましく、更に好ましくは0.05〜25秒、特に好ましくは0.1〜20秒である。短すぎるとカール抑制効果が低い傾向があり、長すぎるとカールは抑制されるがフィルムの溶解性が低下する傾向がある。
かかる熱処理温度と時間は、フィルム溶解性低下の抑制と生産性を向上させる観点から高温で短時間の熱処理を行うことが好ましく、好ましくは90〜120℃で0.01〜5秒、特に好ましくは100〜115℃で0.05〜3秒である。
本発明において、熱処理の際には、2面あるフィルム面のうち、キャスト面(エンドレスベルトやドラムロールの金属表面等)と接触するフィルム面側(以下、β面側と記載することがある。)とは反対のフィルム面側(以下、α面側と記載することがある。)に熱処理を施すことが好ましく、特に好ましくはフィルムのα面が熱ロール(熱処理装置部分)と接触することが、フィルム表裏の熱履歴が近似し、フィルムのカール抑制の点で好ましい。
また、PVA系水溶性フィルムの表面は平滑な状態であってもよいが、包装体を作製した際の製品同士の密着性の抑制及び外観の点、また、フィルム自身の耐ブロッキング性、加工時の滑り性の点から、PVA系フィルムの片面あるいは両面に絹目模様や梨地模様、特殊彫刻柄等の凹凸形状を付する凹凸加工を施しておくことが好ましい。
また、片面のみに凹凸加工を施す場合には、包装体を作製する際の水シール性の点からキャスト面と接触するフィルム面側(β面側)に凹凸加工を施すことが好ましい。
PVA系水溶性フィルム表面に凹凸形状を付する凹凸加工としては、エンドレスベルトやドラムロールの金属表面上に凹凸を施し、流延乾燥により製膜する時に凹凸形状を付する方法や、流延乾燥して製膜した後にエンボス加工により凹凸形状を付す方法などが挙げられる。
かかる凹凸加工の際の加工温度としては、通常60〜150℃であり、好ましくは80〜140℃である。
また、エンボス加工における加工圧力としては、通常2〜8MPa、好ましくは3〜7MPaである。加工時間は、上記加工圧力、製膜速度により適宜調整すればよいが、通常0.01〜5秒であり、好ましくは0.1〜3秒である。
また、必要に応じて、凹凸加工処理の後に、熱によるフィルムの意図しない延伸を防止するために、冷却処理を施してもよい。
なお、かかる方法の他にも、例えば、フィルムを製造した後にサンドブラスト加工や薬液処理などの表面処理をすることによっても、凹凸加工をすることができる。
本発明において、上記PVA系水溶性フィルムの製造は、10〜35℃、特には15〜30℃の環境下にて行うことが好ましく、湿度については、通常70%RH以下であることが好ましい。
このようにして、本発明のPVA系水溶性フィルムを製造することができる。
PVA系水溶性フィルムの厚みとしては、用途等により適宜選択されるものであるが、好ましくは10〜120μmであり、更に好ましくは15〜110μm、特に好ましくは20〜100μmである。かかる厚みが薄すぎるとフィルムの機械的強度が低下する傾向があり、厚すぎると水への溶解速度が遅くなる傾向があり、製膜効率も低下する傾向がある。
PVA系水溶性フィルムの幅としては、用途等により適宜選択されるものであるが、好ましくは300〜5000mmであり、更に好ましくは500〜4000mm、特に好ましくは600〜3000mmである。かかる幅が狭すぎると生産効率が低下する傾向があり、広すぎると弛みや膜厚の制御が困難になる傾向がある。
PVA系水溶性フィルムの長さとしては、用途等により適宜選択されるものであるが、好ましくは100〜20000mであり、更に好ましくは500〜15000m、特に好ましくは1000〜10000mである。かかる長さが短すぎるとフィルムの切り替えに手間を要する傾向があり、長すぎると巻き締まりによる外観不良や重量が重くなりすぎる傾向がある。
また、本発明においては、得られたPVA系水溶性フィルムの含水率は、機械強度やシール性の点で3〜15重量%であることが好ましく、更に好ましくは5〜14重量、特に好ましくは6〜13重量%である。かかる含水率が低すぎるとフィルムが硬くなりすぎる傾向があり、高すぎるとブロッキングが生じやすくなる傾向がある。かかる含水率に調整するに際しては、乾燥条件や調湿条件を適宜設定することにより達成することができる。
なお、上記含水率は、JIS K 6726 3.4に準拠して測定され、得られた揮発分の値を含水率とする。
本発明においては、得られたPVA系水溶性フィルムのβ面同士の静摩擦係数が0.2〜1.0であることが好ましく、更に好ましくは0.3〜0.9、特に好ましくは0.4〜0.8である。かかる静摩擦係数が大きすぎると、包装体とした際に、包装体同士の密着力が上がり、ブロッキングしやすくなり、小さすぎると、包装体の成型工程において、フィルムロールからフィルムを繰り出す際にフィルムが滑ってしまい、フィルムに皺が入りやすかったり、取扱い性が低下して、包装体の生産効率が低下する傾向がある。
かかる静摩擦係数を上記範囲に調整する方法としては、例えば、(1)PVA系水溶性フィルムのβ面にエンボス模様や梨地模様、特殊彫刻柄等の凹凸加工を施す方法、(2)フィラーの種類および含有量を適宜調整する方法等が挙げられる。中でも水溶性フィルムの諸物性を保持したまま上記物性をコントロールできる点で上記(1)の方法が好ましい。(1)の方法においては、ピンホールを抑える点から、エンボス加工により凹凸加工を施すことが好ましく、より好ましくは高い温度でエンボス加工をする方法、エンボスの目を粗くする方法、エンボス圧力を強くする方法、これらの方法の組み合わせ等により、上記静摩擦係数を調整することができる。
また、得られたPVA系水溶性フィルムのβ面同士の動摩擦係数が0.2〜0.8であることが好ましく、更に好ましくは0.25〜0.65、特に好ましくは0.30〜0.50である。かかる動摩擦係数が大きすぎると、フィルム同士の密着力が上がり、ブロッキングを起こしやすくなり、フィルムロールからの繰り出し性が低下する傾向があり、小さすぎると、フィルムロールからフィルムを繰り出す際にフィルムが滑ってしまい、フィルムに皺が入りやすかったり、取扱い性が低下する傾向がある。
また、得られたPVA系水溶性フィルムのα面同士の静摩擦係数は、薬剤包装体の端部形状の観点からβ面同士の静摩擦係数より大きくすることが好ましく、好ましくは0.6〜1.7であり、更に好ましくは0.8〜1.6であり、特に好ましくは1.0〜1.5である。かかる静摩擦係数が大きすぎると、シール面の密着性が強すぎてシール部分に皺が入りやすくなり、小さすぎると、シール面の密着不足でフィルム同士がカールしやすく端部のシール不良を生じやすくなることがある。
さらに、得られたPVA系水溶性フィルムのα面とβ面との動摩擦係数が0.2〜0.8であることが好ましく、更に好ましくは0.25〜0.65、特に好ましくは0.30〜0.50である。動摩擦係数が大きすぎると、フィルム同士の密着力が上がり、ブロッキングを起こしやすくなり、フィルムロールからの繰り出し性が低下する傾向があり、小さすぎると、フィルムロールからフィルムを繰り出す際にフィルムが滑ってしまい、フィルムに皺が入りやすかったり、取扱い性が低下する傾向がある。
本発明においては、得られたフィルムロールを水蒸気バリヤー性樹脂の包装フィルムで包装するのであるが、かかるフィルムとしては特に限定されないが、透湿度が10g/m2/日(JIS Z 0208に準じて測定)以下のものが使用可能である。具体例としては、例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニリデンコートポリブロピレン、ガラス蒸着ポリエステル、等の単層フィルム、あるいはこれらの積層フィルム、又は割布、紙、不織布との積層フィルム等が挙げられる。積層フィルムとしては、例えば、ガラス蒸着ポリエステルとポリエチレンの積層フィルム、ポリ塩化ビニリデンコートポリブロピレンとポリエチレンの積層フィルム等が例示される。
かかるフィルムは、帯電防止処理しておくことも異物の混入を防ぐ点で好ましく、帯電防止剤はフィルムに練り込まれていても、表面にコーティングされていても良い。練り込みの場合は樹脂に対して0.01〜5重量%程度、表面コーティングの場合は0.01〜1g/m2程度の帯電防止剤が使用される。
帯電防止剤としては、例えば、アルキルジエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、高級脂肪酸アルカノールアミド、ソルビタン脂肪酸エステル等が使用される。
次に、フィルムロールを水蒸気バリヤー性樹脂の包装フィルムで包装した上から、更にアルミニウム素材からなる包装フィルムを包装するのであるが、かかるフィルムとしては、アルミニウム箔、アルミニウム箔と耐湿性プラスチックフィルムの積層フィルム(例えばアルミニウム箔とポリエチレンフィルムの積層フィルム)、アルミニウム蒸着フィルムと耐湿性プラスチックフィルムの積層フィルム(例えばアルミニウム蒸着ポリエステルフィルムとポリエチレンフィルムの積層フィルム)、アルミナ蒸着フィルムと耐湿性プラスチックフィルムの積層フィルム(例えばアルミナ蒸着ポリエステルフィルムとポリエチレンフィルムの積層フィルム)等が挙げられ、本発明では特に、アルミニウム箔とポリオレフィンフィルムの積層フィルム、アルミニウム蒸着フィルムとポリオレフィンフィルムの積層フィルムが有用で、特には延伸ポリプロピレンフィルム/ポリエチレンフィルム/アルミニウム箔/ポリエチレンフィルムの構成よりなる積層フィルム、延伸ポリプロピレンフィルム/低密度ポリエチレンフィルム/アルミニウム箔の構成よりなる積層フィルム等が有用である。
包装に当たっては内側の水蒸気バリヤー性樹脂の包装フィルム、外側のアルミニウム素材からなる包装フィルムで順次包装を行い、幅方向に余った部分を芯管に押し込めばよい。
本発明のフィルムロールには、端部の傷付きやゴミ等の異物の付着を防止するため、直接、あるいは包装の後、フィルムロールの両端部に芯管貫通孔をもつ保護パットを装着させることができる。
保護パットの形状は、フィルムロールにあわせて、円盤状のシート、フィルムが実用的である。保護効果を顕著にするため発泡体、織物状、不織布状等の緩衝機能を付加させるのが良い。又、湿度からフィルムロールを守るため乾燥剤を別途封入したり、前記保護パットに積層又は混入したりしておくこともできる。
保護パットの素材はプラスチックが有利であり、その具体例としては、例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。
又、上記乾燥剤入りの保護パッドとしては、例えば、塩化カルシウム、シリカゲル、モレキュラーシーブス、糖類、特に浸透圧の高い糖類、吸水性樹脂等の乾燥剤または吸水剤を天然セルロース類、合成セルロース類、ガラスクロス、不織布等の成形可能な材料に分散、含浸、塗布乾燥した吸湿層としたもの、これらの吸湿剤または吸水剤を上記の成形可能な材料やポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、テフロン(登録商標)フィルム等の熱可塑性樹脂フィルムでサンドイッチ状に挟んだりしたものが挙げられる。
市販されているシート状乾燥剤の例としては、株式会社アイディ製の「アイディシート」や品川化成株式会社製の「アローシート」、「ゼオシート」、ハイシート工業株式会社製の「ハイシートドライ」等がある。
かかる手段によって包装されたフィルムロールは、芯管の両端突出部にブラケット(支持板)を設けたり、該両端突出部を架台に載置したりして支えられ、接地することなく、いわゆる宙に浮いた状態で保管や輸送が行われることが好ましい。フィルムの幅が比較的小さい場合はブラケットが、フィルムの幅が比較的大きい場合は架台が使用される。
ブラケットはベニヤ板やプラスチック板からなるものであり、その大きさはブラケットの4辺がフィルムロールの直径より大きいものであればよい。
そして、前記フィルムロールの両端の芯管突出部に一対のブラケットを互いに向かい合うように直立して配置、嵌合させフィルムロールに設けられる。嵌合は、ブラケットの中央部に芯管直径よりやや大きめのくりぬき穴を設けたり、芯管が挿入し易いようにブラケットの上部から中心部までU字型にくりぬかれていても良い。
ブラケットで支持されたフィルムロールは段ボール箱等のカートンに収納されて保管や輸送がされるが、収納時の作業を円滑にするため矩形のブラケットを使用するときはその四隅を切り落として置くことが好ましい。
また、上記一対のブラケットがぐらつかないように、両者を結束テープで固定するのが有利であり、そのときテープの移動や弛みが起こらないようにブラケットの側面(厚さ部分)にテープ幅と同程度のテープズレ防止溝を設けて置くのも実用的である。
包装したフィルムロールの保管または輸送にあたっては、極端な高温や低温、低湿度、高湿度条件を避けるのが望ましく、具体的には温度10〜30℃、湿度40〜75%RHであるのが良い。
かくして得られるPVA系水溶性フィルムは、各種の包装用途等に有用であり、中でも薬剤等の個包装用途に有用である。
<薬剤包装体>
本発明の薬剤包装体は、PVA系樹脂(A)を主成分とする水溶性フィルムからなる薬剤包装体であり、薬剤が水溶性フィルムで内包された包装体である。
内包される薬剤としては、特に制限はなく、アルカリ性、中性、酸性のいずれであっても良く、薬剤の形状も顆粒、錠剤、粉体、粉末、液状等いずれの形状でも良いが、特には、水に溶解又は分散させて用いる薬剤が好ましく、とりわけ液体洗剤を包装するのに有用である。
上記薬剤包装体は、その表面は、通常平滑であることがあげられるが、耐ブロッキング性、加工時の滑り性、製品(包装体)同士の密着性軽減、及び外観の点から、包装体の外表面に絹目模様や梨地模様、特殊彫刻柄等の凹凸形状を付する凹凸加工が施されたものであることが好ましい。
本発明の薬剤包装体は、外面同士の静摩擦係数(X1)が上記範囲を満足することが重要であり、かかる静摩擦係数(X1)を上記範囲に調整する方法としては、例えば、少なくとも一方の面に凹凸加工を施したPVA系水溶性フィルムの凹凸加工面が外側となるように貼り合せて包装体を作製することであり、特にはβ面にエンボス加工を施した水溶性フィルムのエンボス加工面が外側となるように貼り合せて包装体を作製することが、包装体の耐ブロッキング性と包装体を作製する際の水シール性の点で好ましい。
以下、本発明の薬剤包装体の一例である液体洗剤包装体について述べる。
液体洗剤包装体は、保存の際には液体洗剤を内包した形状が保持されている。そして、使用時(洗濯時)には、包装体(PVA系水溶性フィルム)が水と接触することにより、包装体が溶解して内包されている液体洗剤が包装体から流出することとなる。
液体洗剤包装体の大きさは、通常長さ10〜50mm、好ましくは20〜40mmである。
また、PVA系水溶性フィルムからなる包装体のフィルムの厚みは、通常10〜120μm、好ましくは15〜110μm、より好ましくは20〜100μmである。
内包される液体洗剤の量は、通常5〜50mL、好ましくは10〜40mLである。
液体洗剤としては、水に溶解又は分散させた時のpH値が6〜12であることが好ましく、特には7〜11が好ましい。また、液体洗剤の水分量が15重量%以下であることが好ましく、特には0.1〜10重量%、更には0.1〜7重量%であるものが好ましく、水溶性フィルムがゲル化したり不溶化することがなく水溶性に優れることとなる。
なお、上記pH値は、JIS K 3362 8.3に準拠して測定される。また、水分量は、JIS K 3362 7.21.3に準じて測定される。
本発明のPVA系水溶性フィルムを用いて、液体洗剤を包装して薬剤包装体とする方法としては、公知の方法を採用することができる。
通常は、2枚のPVA系水溶性フィルムを用いて貼り合わせることにより製造され、例えば、成型装置の下部にある金型の上に、フィルム(ボトムフィルム)を固定し、装置の上部にもフィルム(トップフィルム)を固定する。ボトムフィルムをドライヤーで加熱し、金型に真空成型し、その後、成型されたフィルムに液体洗剤を投入した後、トップフィルムとボトムフィルムを圧着する。圧着した後は真空を解放し、包装体を得ることができる。
フィルムの圧着方法としては、例えば、(1)熱シールする方法、(2)水シールする方法、(3)糊シールする方法などが挙げられ、中でも(2)水シールする方法が汎用的で有利である。
トップフィルムとボトムフィルムを貼り合せる際には、水溶性フィルムのα面側同士、β面側同士、またはα面とβ面の組合せが考えられるが、異なる面同士を貼り合せると、光沢などの外観が相違し、包装体の意匠性が損なわれたり、シール性の相違によりシール部分がカールしてしまうことがあるため、通常、同じ面同士を貼り合せることが好ましい。
また、フィルムに凹凸加工を施す場合には、それらの効果を発揮させるため、凹凸加工を施した面が包装体の外側となるように貼り合わせることが好ましい。
なかでも、水シール性の点からβ面に凹凸加工を施すことが好ましいことから、凹凸加工、特にはエンボス加工を施したβ面が包装体の外側となるように、α面同士を貼り合せることが好ましい。
かくして、本発明の薬剤包装体が得られる。
本発明の薬剤包装体は、包装体の耐ブロッキング性及び外観特性に優れたものであり、各種薬剤を内包する個包装体として有用である。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない
限り以下の実施例に限定されるものではない。
尚、例中「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。
<PVA系水溶性フィルムの作製>
PVA系樹脂(A)として、20℃における4%水溶液粘度30mPa・s、平均ケン化度96モル%、マレイン酸モノメチルエステルによる変性量2.0モル%のカルボキシル基変性PVA(A1)を85部、20℃における4%水溶液粘度5mPa・s、平均ケン化度88モル%の未変性PVA(A2)を15部、可塑剤(B)としてグリセリン(b2)を6部、ジグリセリン(b2)を4部、界面活性剤(D)としてポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルモノエタノールアミン塩を2部、及び水を混合して、固形分濃度25%の樹脂組成物の水分散液である製膜原料を得た。
そして、上記製膜原料を、ステンレス製のエンドレスベルトを備えたベルト製膜機のベルト上に流延し(ベルトの搬送速度10m/min)、ベルト温度95℃の条件で乾燥させ、PVA系水溶性フィルム(F0)を得た。
続いて、得られたPVA系水溶性フィルム(F0)にエンボスロールとバックアップロールを用いて以下の条件でエンボス加工を施した。まず100℃に加熱されたエンボスロールと65℃に加熱されたバックアップロールとの間を、押圧力50kg/cmで、10m/minの速度でPVA系水溶性フィルムを通過させてエンボス加工を施し、梨地模様がキャスト面と接する面(β面)に形成されたPVA系水溶性フィルム(F1)を得た(フィルム幅:1000mm、フィルム長さ:300m、フィルム膜厚:87μm、含水率7%)。
得られたPVA系水溶性フィルム(F1)について、以下の通り摩擦係数を測定した。結果を表1に示す。
〔摩擦係数〕
上記で得られたPVA系水溶性フィルム(F1)2枚を用意し、23℃、40%RHに調湿後、2枚のフィルムの各面を表1に示した組合せで接触させ、静摩擦試験力、動摩擦試験力をJIS K7125に準じて、島津製作所社製のオートグラフ「AG−X Plus」を用いて測定し、静摩擦係数および動摩擦係数をそれぞれ算出した。
Figure 2019006423
<実施例1>
〔薬剤包装体の作製〕
上記で得られたPVA系水溶性フィルムを用いて、β面(エンボス加工面)が外側になるように、フィルムのα面同士を貼り合せて、下記の通り液体洗剤包装体を作製した。
まず、Engel社製包装体製造機を用い、装置の下部にある金型(成型される包装体:縦45mm、横42mm、高さ30mm)の上に、フィルム(ボトムフィルム、160mm×120mm)を固定し、装置の上部にもフィルム(トップフィルム、120mm×80mm)を固定した。ボトムフィルムを10秒間、115℃の熱風を発生させるドライヤーで加熱し、ボトムフィルムを金型に真空成型した。その後、P&G社製パワージェルボールに包装された液体洗剤(含有成分の一部:グリセリン5.4%、プロピレングリコール22.6%、水分10.4%)を成型されたフィルムに20mL注入した。続いて、トップフィルム全面に水を1.5g塗布し、トップフィルムとボトムフィルムを圧着し、30秒間圧着した後に、真空を解放し、液体洗剤包装体を得た。
得られた液体洗剤包装体端部のシール面は、ほぼ水平になっており、カールしていなかった。
〔薬剤包装体の耐ブロッキング性〕
上記で得られた液体洗剤包装体について、耐ブロッキング性を評価した。結果を表2に示す。
プラスチック容器[幅150mm、奥行90mm、高さ90mm]の中に、得られた液体洗剤包装体を計35個充填して、23℃,50%RHの条件下で3日間放置した。その後、容器から取り出した包装体の密着状態について以下の基準で評価した。評価結果を表2に示す。
(評価基準)
○・・・包装体同士の密着が認められず、取扱い性が良好。
×・・・包装体同士の密着が認められ、取扱い性が悪い。
<比較例1>
薬剤包装体成型時に、α面(非エンボス面)が外側となるようにフィルムのβ面同士を貼り合せた以外は実施例1と同様にして液体洗剤包装体を作製し、評価した。
得られた液体洗剤包装体端部のシール面は、ほぼ水平になっており、カールしていなかった。
Figure 2019006423
上記結果より、薬剤包装体において、外面同士の静摩擦係数が特定範囲とすることにより、ブロッキング性と外観特性のいずれにも優れた薬剤包装体が得られることがわかる。
本発明の薬剤包装体は、各種の薬剤の包装用途に用いることができ、なかでも液体洗剤の個包装用途に有用である。

Claims (4)

  1. 薬剤を内包し、ポリビニルアルコール系樹脂(A)を主成分とする水溶性フィルムからなる薬剤包装体であって、薬剤包装体の外面同士の静摩擦係数(X1)が0.2〜1.0であることを特徴とする薬剤包装体。
  2. 外面が凹凸加工されていることを特徴とする請求項1記載の薬剤包装体。
  3. 薬剤が液体洗剤であることを特徴とする請求項1または2いずれか記載の薬剤包装体。
  4. ポリビニルアルコール系樹脂(A)を主成分とする水溶性フィルムからなる薬剤包装体の製造方法であって、水溶性フィルムを貼り合せて薬剤を内包する際に、薬剤包装体の外面となるフィルム面同士の静摩擦係数(X1)が0.2〜1.0である水溶性フィルムを貼り合せることを特徴とする薬剤包装体の製造方法。
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