JP2011006571A - 接着剤、及びラミネートフィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】キトサン、又は特定の官能基を有するキトサン誘導体又はその塩を含む接着剤、該接着剤の硬化物を介して2層のプラスチックフィルム層が積層して得られるラミネートフィルム、該ラミネートフィルムを用いてなる食品用包装材又は医療用包装材を提供することにより上記課題を解決する。
【選択図】なし
Description
これまで、ラミネートフィルムにおいて使用される接着剤に対して、水性化或いは無溶媒化等の対応が試みられているが、十分な効果が得られているとは言い難い。
また、同非特許文献には無溶媒型ラミネート接着剤についても記載されており、具体的には、ポリエーテル系芳香族、ポリエステル系脂肪族、ポリエステル系芳香族配合の接着剤が記載されているが、本接着剤では、溶媒を用いないメリットを有するものの、塗工時のラミネート外観が悪くなったり、接着剤の分子量が小さいためにラミネート直後の接着剤層の凝集力が小さくなる等の問題点がある。
さらに、キトサン誘導体を接着剤の原料として用いた例としては、例えば、(特許文献3)に、紫外線硬化性官能基を有するN−アルキルキトサン誘導体及び該キトサン誘導体を含む医療用接着剤が記載されており、生体に使用される医療用接着剤としての利用が開示されている。
そこで、本発明は、環境対応型であって、安全性が高く、且つラミネートフィルム用接着剤として十分な性能を有する接着剤、及び硬化した該接着剤を介して2層のプラスチックフィルム層が積層して得られるラミネートフィルムを提供することを課題とする。
で表される基からなる群から選ばれる基であるが、R1が−NH2であり且つR2が−OHである場合を除く。〕
更に、本発明者らは、該接着剤の硬化物を介して2層のプラスチックフィルム層が積層して得られるラミネートフィルム、及び該ラミネートフィルムを用いてなる食品用包装材又は医療用包装材に関する発明をも完成させた。
R1における好ましい重合性官能基としては、式(2)〜(8)
これらの一般式(2)〜(16)で表される基の導入は、通常公知の方法によって行なうことができる。
これらの反応条件は、導入する基に応じて適宜選択して、通常公知の方法によって設定することができる。
好ましい構成単位の構造としては、具体的には、例えば以下の一般式(17)〜(20)で表される構造を有する構成単位が挙げられるが、これらに限るものではない。
置換された割合は、以下のようにプロトンNMR測定によってその値を求めることができる。即ち、プロトン核磁気共鳴チャートから、キトサンに置換したR1又はR2の二重結合の水素原子数と、キトサンの骨格を形成する炭素原子に結合した水素原子の内、酸素原子或いは窒素原子に隣接する炭素に置換した水素原子数6個(キトサン骨格の1位炭素に結合した水素:1個、同2位:1個、同3位:1個、同5位:1個、同6位2個、合計6個)との比率を求め、その数値からキトサン誘導体中に存在する二重結合の割合を算出する。
置換された割合(%)=((観測されるアクリロイル基の水素原子数)/6)/(100%置換された場合の水素原子数3/キトサンの有する水素原子数6)
上記の置換された割合(%)は、特に制限はないが、好ましくは5%以上200%以下であり、より好ましくは、20%以上150%以下の割合を挙げることができる。
前記キトサン誘導体の分子量に特に制限はないが、好ましくは500〜30,000の重量平均分子量を挙げることができる。
上記キトサンは、単一の重合度を持つものであっても、種々の重合度を持つキトサンの混合物であってもよいが、好ましくは溶媒分別法等により重合度分布を狭めたものが好ましく、例えば各種クロマト法等により一定の重合度を持つオリゴ糖に精製したものが好ましい。
また、キトサンにおいては、脱アセチル化度に特に限定はないが、40〜95%のものを好ましく用いることができる。脱アセチル化度の相違は、当該キトサンの溶解度に影響し、適宜選択して用いることができる。
これらの塩は、公知の方法によって得ることができ、毒性低減のため、塩は無毒性か低毒性であることが好ましい。
調整液中の本発明のキトサン誘導体、または該キトサン誘導体を含むキトサンの濃度に限定はないが、好ましくは、0.1〜5質量%の範囲を挙げることができる。
接着剤塗布後の接着剤からの水分の乾燥は、大気中で略20〜30℃で放置することにより行うことができるが、乾燥時間を短縮するために加熱しておこなってもよい。加熱温度は、使用するプラスチックフィルムの材質によって適宜選択して行うことができる。
光重合開始剤を使用する場合の配合量は、活性エネルギー線硬化性組成物の0.01〜10重量%の範囲が好ましい。
そのような光増感剤としては、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシルの如きアミン類が挙げられる。
生分解性フィルムとしは、通常公知のものを使用することが可能で、例えば、ポリ乳酸フィルムが挙げられる。
特に好ましい実施の形態としては、ポリプロピレンフィルムに接着剤を塗布し、ポリ乳酸フィルムをラミネートする場合が挙げられる。これは、ポリ乳酸フィルムは水蒸気透過性が大きいことから容易に水分を蒸発できるため、一般に水を含む接着剤は接着し難いにも関わらず、少量のキトサン接着剤の塗布量で十分な接着効果を発揮することができると考えられるからである。
温度計、還流冷却管を装着した4つ口丸底フラスコ中で、20〜30℃でキトサン10gをメタンスルホン酸150gに溶解し、11.3gのアクリル酸クロリドを添加し、5時間反応させた。アルコール/エーテルによって生成物を沈殿させ、下記構成単位(A1)〜(A3)を有するキトサン誘導体(A)を得た。
IR(cm−1):1732(エステル基のC=O伸縮振動)、1633(アミド基のC=O伸縮振動)、781(C=C伸縮振動)
NMR(d6−DMSO、ppm):6.2(H2−C=C)
(合成例2)キトサンと無水マレイン酸との反応
IR(cm−1):1733(エステル基のC=O伸縮振動)、1654(アミド基のC=O伸縮振動)、775(C=C伸縮振動)
NMR(d6−DMSO、ppm):6.8(トランス体:H−C=C)、6.2(シス体:H−C=C)
置換された割合(%):50%
10gのキトサンの替わりに10gの(実施例2)で得られた化合物(B)を用いた他は、実施例1と同様にして、下記構成単位(C1)〜(C4)を有するキトサン誘導体(C)を得た。
IR(cm−1):1739(エステル基のC=O伸縮振動)、1633(アミド基のC=O伸縮振動)、806(C=C伸縮振動)
NMR(d6−DMSO、ppm):6.8(トランス体:H−C=C)、6.3(H2−C=C)、6.2(シス体:H−C=C)
置換された割合(%):85%
11.3gのアクリル酸クロリドの替わりに15.1gのアリルブロマイドを用い、5時間反応させる替わりに2日間反応させる他は、実施例1と同様にして、下記構成単位(D1)〜(D2)を有するキトサン誘導体(D)を得た。
IR(cm−1):780(C=C伸縮振動)
NMR(d6−DMSO、ppm):6.0(H2−C=C)
11.3gのアクリル酸クロリドの替わりに20.8gのp−ビニルベンゾイルクロリドを用いた他は、実施例1と同様にして、下記構成単位(E1)〜(E2)を有するキトサン誘導体(E)を得た。
IR(cm−1):1740(エステル基のC=O伸縮振動)、1625(アミド基のC=O伸縮振動)、780(C=C伸縮振動)
NMR(d6−DMSO、ppm):6.2(H2−C=C)
100gのキトサンを40%水酸化ナトリウム水溶液1000mLとイソプロパノール400mLの混合溶媒に添加し、一夜攪拌した。280gのクロロ酢酸の100mLイソプロパノール溶液を添加し、50℃で8時間攪拌した。沈殿物をろ過後、エタノールで洗浄し、水に溶解した。溶液を塩酸で中和し、沈殿物を得た。
NMR(d6−DMSO、ppm):5.8(H2−CH=C)、5.2(H2−CH=C)
置換された割合(%):20%
(合成例7)
実施例6におけるアリルブロミドの替わりに、無水マレイン酸を用いて同様の反応を行い、下記構成単位(G1)〜(G3)を有するキトサン誘導体(G)を得た。
NMR(d6−DMSO、ppm):6.8(トランス体:H−C=C)、6.2(シス体:H−C=C)
(合成例8)
実施例6におけるアリルブロミドの替わりに、アクリル酸クロリドを用いて同様の反応を行い、下記構成単位(H1)〜(H3)を有するキトサン誘導体(H)を得た。
NMR(d6−DMSO、ppm):6.3(H2−C=C)
合成例1で得られたキトサン誘導体(A):キトサンPSH−80(分子量800000、焼津水産化学工業社製)=30:70(質量比率)のキトサン混合物10gを水1000mLに分散した後、接着剤1質量%キトサン水溶液(I)を調整した。得られた1質量%キトサン水溶液(I)を、表面エネルギーが44mN/mになるようにコロナ放電処理を行ったマレイン酸変性ポリプロピレンフィルム(MAh−PP)上に塗布し、更に42mN/mになるようにコロナ放電処理を行ったポリ乳酸フィルムを重ね、大気中で48時間放置して乾燥し、ラミネートフィルム(a)を得た。
実施例1で使用したキトサン誘導体(A)の替わりに、合成例2で得られたキトサン誘導体(B)を用いる他は、実施例1と同様にして、ラミネートフィルム(b)を得た。
実施例1で使用したキトサン誘導体(A)の替わりに、合成例3で得られたキトサン誘導体(C)を用いる他は、実施例1と同様にして、ラミネートフィルム(c)を得た。
実施例1で使用したキトサン誘導体(A)の替わりに、合成例4で得られたキトサン誘導体(D)を用いる他は、実施例1と同様にして、ラミネートフィルム(d)を得た。
実施例1で使用したキトサン誘導体(A)の替わりに、合成例5で得られたキトサン誘導体(E)を用いる他は、実施例1と同様にして、ラミネートフィルム(e)を得た。
実施例1で使用したキトサン誘導体(A)の替わりに、合成例6で得られたキトサン誘導体(F)を用いる他は、実施例1と同様にして、ラミネートフィルム(f)を得た。
実施例1で使用したキトサン誘導体(A)の替わりに、合成例7で得られたキトサン誘導体(G)を用いる他は、実施例1と同様にして、ラミネートフィルム(g)を得た。
実施例1で使用したキトサン誘導体(A)の替わりに、合成例8で得られたキトサン誘導体(H)を用いる他は、実施例1と同様にして、ラミネートフィルム(h)を得た。
実施例1における1質量%キトサン水溶液(I)の替わりに、キトサン誘導体(A):キトサンPSH−80(分子量800000、焼津水産化学工業社製)=30:70(質量比率)のキトサン混合物5gとポリビニルアルコール5gを水1000mLに分散して得られる0.5質量%キトサン水溶液(II)を用いる他は、実施例1と同様にして、ラミネートフィルム(i)を得た。
ポリビニルアルコールの替わりに、メチルセルロースを用いる他は、実施例9と同様にして、ラミネートフィルム(j)を得た。
ポリビニルアルコールの替わりに、ヒドロキシメチルセルロースを用いる他は、実施例9と同様にして、ラミネートフィルム(k)を得た。
合成例1で得られたキトサン誘導体(A):キトサンPSH−80(分子量800000、焼津水産化学工業社製)=30:70(質量比率)のキトサン混合物10gを水1000mLに分散した後、重合開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(市販名:UV−1173)0.2gを添加して接着剤を調整した。得られた調整液を、表面エネルギーが44mN/mになるようにコロナ放電処理を行ったマレイン酸変性ポリプロピレンフィルム(MAh−PP)上に塗布し、更に42mN/mになるようにコロナ放電処理を行ったポリ乳酸フィルムを重ね、紫外線を照射(140mW/cm2、紫外線照射量:220〜270mJ/cm2、波長域:350〜450nm、30秒間照射)後、大気中で20時間放置して乾燥して、ラミネートフィルム(l)を得た。
マレイン酸変性ポリプロピレンフィルム(MAh−PP)の替わりにポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリ乳酸フィルムの替わりに直鎖状低密度ポリエチレンフィルムを用いた他は、実施例12と同様にして、ラミネートフィルム(m)を得た。
実施例1で使用したキトサン誘導体(A)の替わりにキトサンPSH−80を用いる他は、実施例1と同様にして、ラミネートフィルム(n)を得た。
表面エネルギーが44mN/mになるようにコロナ放電処理を行ったマレイン酸変性ポリプロピレンフィルム(MAh−PP)、及び42mN/mになるようにコロナ放電処理を行ったポリ乳酸フィルムの替わりに、表面エネルギーが38mN/mになるようにコロナ放電処理を行ったマレイン酸変性ポリプロピレンフィルム(MAh−PP)、及び38mN/mになるようにコロナ放電処理をいったポリ乳酸フィルムを用いる他は、実施例1と同様にして、ラミネートフィルム(o)を得た。
実施例1で使用した合成例1で得られたキトサン誘導体(A):キトサンPSH−80(分子量800000、焼津水産化学工業社製)=30:70(質量比率)のキトサン混合物の替わりに、ポリビニルアルコールを用いる他は、実施例1と同様にして、ラミネートフィルム(p)を得た。
ポリビニルアルコールの替わりに、メチルセルロースを用いる他は、比較例3と同様にして、ラミネートフィルム(q)を得た。
上記実施例及び比較例により得られたラミネートフィルム(a)〜(q)を用いて、JIS K 6854−2(接着剤−はく離接着強さ試験方法−第2部:180度はく離)に基づきはく離試験を行った。
・試験片幅:25.4mm
尚、はく離力の評価は以下のように表示する。
・4〜5N/mm:○
・1〜4N/mm:△
・1N/mm以下:×
試験結果を表1に示す。
キトサン誘導体(A)〜(H)についての毒性試験を行った。
使用動物:雄性マウス(各化合物について5匹使用、体重20〜25g)
投与法:試験化合物500mg/水1mLの混合液を、0.4mL/体重20g(20mL/kg)経口投与
投与量:試験化合物10g/kg
その結果、いずれの試験化合物においても死亡が観察されず、本発明化合物は低毒性であることが確認された。
Claims (6)
- 前記接着剤が、さらにポリビニルアルコール、メチルセルロース、またはヒドロキシプロピルメチルセルロースを含むものである請求項1に記載の接着剤。
- 請求項1または2に記載の接着剤の硬化物を介して2層のプラスチックフィルム層が積層して得られるラミネートフィルム。
- 前記プラスチックフィルムが、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム、エチレン酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリカーボネートフィルム、及び生分解性フィルムからなる群から選ばれる1である請求項3に記載のラミネートフィルム。
- 前記プラスチックフィルムの表面が、コロナ放電処理されたものである請求項3または4に記載のラミネートフィルム。
- 請求項3〜5のいずれかに記載のラミネートフィルムを用いた食品用又は医療用包装材。
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