JP2018070248A - 菌茸類入り包装体および菌茸類の鮮度保持方法 - Google Patents
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Abstract
Description
当該菌茸類入り包装体の23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの酸素透過量が、55cc/100g・day・atm以上426cc/100g・day・atm以下であり、
菌茸類入り包装体の23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの酸素透過量をToとし、菌茸類入り包装体の23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの二酸化炭素透過量をTcとしたとき、Tc≧Toの関係が成り立つ、菌茸類入り包装体が提供される。
前記包装袋を脱気しながら密封することにより菌茸類入り包装体を得る工程と、
を含み、
前記菌茸類入り包装体の23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの酸素透過量が、55cc/100g・day・atm以上426cc/100g・day・atm以下であり、
前記菌茸類入り包装体の23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの酸素透過量をToとし、前記菌茸類入り包装体の23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの二酸化炭素透過量をTcとしたとき、Tc≧Toの関係が成り立つことを特徴とする菌茸類の鮮度保持方法が提供される。
本実施形態に係る菌茸類入り包装体(以下、本包装体ともいう。)は、脱気状態にある合成樹脂フィルムからなる包装袋の内部空間に菌茸類が収容されているものである。すなわち、本包装体は、菌茸類入り脱気包装体である。本包装体は、以下の2つの条件を満たす構成を採用したものである。これにより、包装体の外観を保持しつつ、菌茸類の鮮度を長期間維持することが可能となる。
第1の条件は、本包装体の23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの酸素透過量が、55cc/100g・day・atm以上426cc/100g・day・atm以下となることである。
第2の条件は、本包装体の23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの酸素透過量をToとし、本包装体の23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの二酸化炭素透過量をTcとしたとき、Tc≧Toの関係が成り立つことである。
具体的には、本包装体は、上述したように、本包装体の23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの酸素透過量Toが所定の値を示し、かつ本包装体の23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの二酸化炭素透過量Tcが、上記本包装体の23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの酸素透過量To以上の値となるように、そのガス透過性能を制御したものである。このため、本包装体によれば、以下の効果が得られる。
第1に、本包装体によれば、菌茸類が酸素欠乏症(酸欠状態)となることや、包装体内のガス濃度条件が酸素過多となることを防ぐことができる。これにより、結果として、菌茸類の鮮度を長期間安定的に維持することが可能となる。
第2に、本包装体によれば、菌茸類を包装してからの時間経過に伴って、該包装体内の酸素濃度が増大することを抑制することができるため、該菌茸類の呼吸量が増大することを抑制することができる。これにより、結果として、菌茸類を包装してからの時間経過に伴って包装体が膨らむことを抑制できるという点において、該包装体の外観(見栄え)を良好な状態に長期間保持することができる。
次に、上述した合成樹脂フィルムの23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの酸素透過量T1[cc/100g・m2・day・atm]の値に、包装体の内表面積[m2]を乗ずることにより、本包装体の23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの酸素透過量To[cc/100g・day・atm]を算出することができる。
次に、上述した合成樹脂フィルムの23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの二酸化炭素透過量T2[cc/100g・m2・day・atm]の値に、包装体の内表面積[m2]を乗ずることにより、本包装体の23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの二酸化炭素透過量Tc[cc/100g・day・atm]を算出することができる。
なお、水の接触角の測定方法としては、たとえば、協和界面科学社製、DROPMASTER−501等の市販の接触角計を使用し、測定対象表面に精製水2μLを着滴して7秒後の接触角を液適法にて測定する手法がある。
本実施形態において、合成樹脂フィルムが防曇剤を含む上記樹脂層を有している場合、樹脂層全量に対する上記防曇剤の含有量は、包装体の外観と、菌茸類の鮮度とをバランスよく保持する観点から、好ましくは、0.1重量%以上5重量%以下であり、さらに好ましくは、0.3重量%以上2.5重量%以下である。
(1)合成樹脂フィルムを形成するために用いる樹脂材料の組み合わせ
(2)合成樹脂フィルムの層構成と製膜方法の組み合わせ
(3)合成樹脂フィルムのヒートシール加工条件
本包装体の製造方法としては、たとえば、以下の方法がある。
まず、上述した方法で作製した合成樹脂フィルムを準備する。次に、合成樹脂フィルムを所望のサイズに切り出した後、2枚のフィルムを重ね合わせ、シーラーを用いて3方にヒートシール加工を施して10mm幅の熱シール部分を形成することにより、包装袋を作製する。次いで、包装袋の内部空間に所定量の菌茸類を収容する。その後、脱気シーラーを用いて、包装袋の内部空間に存在する空気を脱気しながら、該包装袋において未だ熱シール部分が形成されていない1方にヒートシール加工を施して10mm幅の熱シール部分を形成し、本包装体を得る。また、本実施形態において、包装袋の内部空間の脱気方法は、上述した脱気シーラーを用いる手法に限定されず、公知の手法を採用することができる。
本実施形態に係る菌茸類の鮮度保持方法は、上述した本包装体を用いて菌茸類を保存する方法である。具体的には、本実施形態に係る菌茸類の鮮度保持方法は、合成樹脂フィルムからなる包装袋の内部空間に菌茸類を収容する工程と、上記包装袋を脱気しながら密封することにより上述した本実施形態に係る菌茸類入り包装体(本包装体)を得る工程と、を含む。こうすることで、得られた包装体の外観を保持しつつ、菌茸類の鮮度を長期間維持することができる。
まず、線状低密度ポリエチレン樹脂(プライムポリマー社製、エボリューSP3010、融点:124℃)と、防曇剤マスターバッチ(理研ビタミン社製、リケマスターEAR−5、防曇剤を12重量%の割合で含む)とを混合することにより、合成樹脂フィルムを作製するために用いる樹脂組成物を準備した。このとき、樹脂組成物全量に対する線状低密度ポリエチレン樹脂の含有量が、90重量%となり、樹脂組成物全量に対する防曇剤マスターバッチの含有量が10重量%となるように、両者を混合した。
次に、準備した上記樹脂組成物を空冷インフレーション共押出機(北進産業社製、HM55H型)に投入し、空冷インフレーション法により、厚さ30μmの合成樹脂フィルムを作製した。得られたフィルムは、継目を有しない無端状のフィルムであった。
次に、得られた合成樹脂フィルムを所定のサイズに切り出した後、インパルスシーラー(富士インパルス社製、FI−400Y−10PK)を用いて三方にヒートシール加工を施して10mm幅の熱シール部分を形成することにより実施例1の包装袋を得た。
次に、得られた包装袋(内寸:180mm×210mm)の内部空間にシメジ180gを収容した。次いで、脱気シール機(富士インパルス社製、V−301)を用いて、包装袋の内部空間が脱気状態となるように目視で確認しながら、該包装袋における残りの一方に10mm幅の熱シール部分を形成することにより、実施例1のシメジ入り包装体を得た。得られたシメジ入り包装体の内表面積は、7.2×10−2m2であった。
線状低密度ポリエチレン樹脂に代えて低密度ポリエチレン樹脂(住友化学社製、スミカセンF−218−0、融点:108℃)を用い、該低密度ポリエチレン樹脂と防曇剤マスターバッチ(理研ビタミン社製、リケマスターEAR−5、防曇剤を12重量%の割合で含む)とを混合して得られた樹脂組成物を用いて合成樹脂フィルムを作製した点、厚さが40μmとなるように合成樹脂フィルムを製膜した点以外は、実施例1と同様の方法で、実施例2のシメジ入り包装体を得た。なお、実施例2のシメジ入り包装体についても、その内表面積は、7.2×10−2m2であった。また、合成樹脂フィルムを作製するために用いた上記樹脂組成物全量に対する低密度ポリエチレン樹脂の含有量は、90重量%であり、該樹脂組成物全量に対する防曇剤マスターバッチの含有量は10重量%であった。
線状低密度ポリエチレン樹脂に代えて高密度ポリエチレン樹脂(プライムポリマー社製、ハイゼックス3300F、融点:132℃)を用い、該高密度ポリエチレン樹脂と防曇剤マスターバッチ(理研ビタミン社製、リケマスターEAR−5、防曇剤を12重量%の割合で含む)とを混合して得られた樹脂組成物を用いて合成樹脂フィルムを作製した点以外は、実施例1と同様の方法で、実施例3のシメジ入り包装体を得た。なお、実施例3のシメジ入り包装体についても、その内表面積は、7.2×10−2m2であった。また、合成樹脂フィルムを作製するために用いた上記樹脂組成物全量に対する高密度ポリエチレン樹脂の含有量は、90重量%であり、該樹脂組成物全量に対する防曇剤マスターバッチの含有量は10重量%であった。
まず、ポリプロピレン樹脂(住友化学社製、ノーブレンFS2011DG3、融点1:58℃)と、防曇剤マスターバッチ(理研ビタミン社製、リケマスターPAR−380、防曇剤を10重量%の割合で含む)とを混合することにより、合成樹脂フィルムを作製するために用いる樹脂組成物を準備した。このとき、樹脂組成物全量に対するポリプロピレン樹脂の含有量が、88重量%となり、樹脂組成物全量に対する防曇剤マスターバッチの含有量が12重量%となるように、両者を混合した。次に、準備した上記樹脂組成物をTダイ押出機に投入し、マルチマニホールドTダイ法により、厚さ25μmの合成樹脂フィルムを作製した。
次に、得られた合成樹脂フィルムを所定のサイズに切り出した後、2枚のフィルムを重ね合わせ、インパルスシーラー(富士インパルス社製、FI−400Y−10PK)を用いて3方にヒートシール加工を施して10mm幅の熱シール部分を形成することにより、実施例4の包装袋を作製した。
次に、得られた包装袋(内寸:180mm×210mm)の内部空間にシメジ180gを収容した。次いで、脱気シール機(富士インパルス社製、V−301)を用いて、包装袋の内部空間が脱気状態となるように目視で確認しながら、該包装袋における残りの一方に10mm幅の熱シール部分を形成することにより、実施例4のシメジ入り包装体を得た。得られたシメジ入り包装体の内表面積は、7.2×10−2m2であった。
以下の方法で、樹脂層と、中間層と、樹脂層とが、厚み方向にこの順で積層された3層構造を有する厚さ25μmの合成樹脂フィルムを作製した。
まず、ポリプロピレン樹脂(住友化学社製、ノーブレンFS2011DG3、融点1:58℃)と、防曇剤マスターバッチ(理研ビタミン社製、リケマスターPAR−380、防曇剤を10重量%の割合で含む)と、プロピレン−1−ブテン共重合体(三井化学社製、タフマー(登録商標)XM7070)を混合することにより、上記樹脂層を作製するために用いる樹脂組成物を準備した。このとき、樹脂組成物全量に対するポリプロピレン樹脂の含有量が、78重量%となり、樹脂組成物全量に対する防曇剤マスターバッチの含有量が12重量%となり、樹脂組成物全量に対するプロピレン−1−ブテン共重合体の含有量が10重量%となるように、各原料成分を混合した。
また、上記中間層を形成するために用いる材料としては、低密度ポリエチレン樹脂(住友化学社製、スミカセンF−218−0)を準備した。
次に、得られた合成樹脂フィルムを所定のサイズに切り出した後、2枚のフィルムを重ね合わせ、インパルスシーラー(富士インパルス社製、FI−400Y−10PK)を用いて3方にヒートシール加工を施して10mm幅の熱シール部分を形成することにより、実施例5の包装袋を作製した。
次に、得られた包装袋(内寸:180mm×210mm)の内部空間にシメジ180gを収容した。次いで、脱気シール機(富士インパルス社製、V−301)を用いて、包装袋の内部空間が脱気状態となるように目視で確認しながら、該包装袋における残りの一方に10mm幅の熱シール部分を形成することにより、実施例5のシメジ入り包装体を得た。得られたシメジ入り包装体の内表面積は、7.2×10−2m2であった。
厚さ25μmの防曇2軸延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡社製、パイレンフィルム−OT:P5562)を合成樹脂フィルムとして準備した。次に、かかる合成樹脂フィルムを所定のサイズに切り出した後、2枚のフィルムを重ね合わせ、インパルスシーラー(富士インパルス社製、FI−400Y−10PK)を用いて3方にヒートシール加工を施して10mm幅の熱シール部分を形成することにより、比較例1の包装袋を作製した。
次に、得られた包装袋(内寸:180mm×210mm)の内部空間にシメジ180gを収容した。次いで、脱気シール機(富士インパルス社製、V−301)を用いて、包装袋の内部空間が脱気状態となるように目視で確認しながら、該包装袋における残りの一方に10mm幅の熱シール部分を形成することにより、比較例1のシメジ入り包装体を得た。得られたシメジ入り包装体の内表面積は、7.2×10−2m2であった。
また、以下の評価に用いる各シメジ入り包装体は、30℃で3時間保存した後、10℃で4日間保存したものを使用した。後述においては、上述した条件で保存した後の状態にあるシメジ入り包装体を、保存後のシメジ入り包装体と称して説明する。
○:10°以上30°以下であった。
△:30°よりも高い値であり、60°以下であった。
×:60°よりも高い値であった。
◎:包装体は膨らんでいなかった。
○:包装体はやや膨らんでいるものの、実用上問題ないレベルであった。
×:包装体が膨らんでいた。
◎:異臭はなかった。
○:極わずかに異臭が発生していたが、実用上問題の無いレベルであった。
×:異臭が発生していた。
◎:シメジに変色(褐変)は生じていなかった。
○:シメジに僅かな変色(褐変)が生じていたものの、実用上問題の無いレベルであった。
×:シメジが変色(褐変)していた。
◎:包装体の内表面に結露は生じていなかった、または小粒状或いは膜状の結露が包装体の内表面に発生しているものの、該包装体の内部に収容したシメジを外部から鮮明に視認することができた。
○:包装体における一部の内表面に霧状或いは微粒子状の結露が発生しており、部分的に該包装体の内部に収容したシメジを外部から視認しづらい箇所があるものの、大部分においてはシメジを外部から鮮明に視認することができた(実用上問題ないレベルであった。)。
×:包装体の内表面における大部分に霧状の結露が発生しており、該包装体の内部に収容したシメジを外部から鮮明に視認することが困難であった。
Claims (8)
- 脱気状態にある合成樹脂フィルムからなる包装袋の内部空間に菌茸類が収容されている菌茸類入り包装体であって、
当該菌茸類入り包装体の23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの酸素透過量が、55cc/100g・day・atm以上426cc/100g・day・atm以下であり、
菌茸類入り包装体の23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの酸素透過量をToとし、菌茸類入り包装体の23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの二酸化炭素透過量をTcとしたとき、Tc≧Toの関係が成り立つ、菌茸類入り包装体。 - 菌茸類入り包装体の23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの二酸化炭素透過量が、91cc/100g・day・atm以上2131cc/100g・day・atm以下である、請求項1に記載の菌茸類入り包装体。
- 前記包装袋の内表面に対する水の接触角が、3°以上60°以下である、請求項1または2に記載の菌茸類入り包装体。
- 前記合成樹脂フィルムが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン及びエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂からなる群より選択される1種以上の樹脂を含む樹脂層を有する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の菌茸類入り包装体。
- 前記樹脂層が防曇剤をさらに含む、請求項4に記載の菌茸類入り包装体。
- 前記樹脂の融点が75℃以上170℃以下である、請求項4または5に記載の菌茸類入り包装体。
- 前記合成樹脂フィルムが無延伸フィルムである、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の菌茸類入り包装体。
- 合成樹脂フィルムからなる包装袋の内部空間に菌茸類を収容する工程と、
前記包装袋を脱気しながら密封することにより菌茸類入り包装体を得る工程と、
を含み、
前記菌茸類入り包装体の23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの酸素透過量が、55cc/100g・day・atm以上426cc/100g・day・atm以下であり、
前記菌茸類入り包装体の23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの酸素透過量をToとし、前記菌茸類入り包装体の23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの二酸化炭素透過量をTcとしたとき、Tc≧Toの関係が成り立つことを特徴とする菌茸類の鮮度保持方法。
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