JP2018070248A - 菌茸類入り包装体および菌茸類の鮮度保持方法 - Google Patents

菌茸類入り包装体および菌茸類の鮮度保持方法 Download PDF

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Abstract

【課題】包装体の外観を保持しつつ、シメジの鮮度を長期間保持することが可能な包装技術を提供する。【解決手段】脱気状態にある合成樹脂フィルムからなる包装袋の内部空間に菌茸類が収容されている菌茸類入り包装体であって、当該菌茸類入り包装体の23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの酸素透過量が、55cc/100g・day・atm以上426cc/100g・day・atm以下であり、菌茸類入り包装体の23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの酸素透過量をToとし、菌茸類入り包装体の23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの二酸化炭素透過量をTcとしたとき、Tc≧Toの関係が成り立つ。【選択図】なし

Description

本発明は、菌茸類入り包装体および菌茸類の鮮度保持方法に関する。
収穫後の菌茸類は、合成樹脂フィルムからなる包装袋内に脱気包装された状態で市場に流通されることもある。上述した包装袋を構成する合成樹脂フィルムについては、菌茸類の鮮度を長期間保持する観点から、これまでに種々の報告がなされている。
たとえば、特許文献1には、フィルム材の通気量を所要値に設定する未貫通の通気穴を設けた合成樹脂フィルムを用いて、きのこを包装する技術が開示されている。
特開平6−329162号公報
しかしながら、従来の手法で菌茸類を脱気包装してなる包装体を保存した場合、該菌茸類を包装してからの時間経過に伴って、包装体が僅かに膨らむ、包装した菌茸類が変色(褐変)してしまう、包装した菌茸類から異臭が発生する等の不都合が生じることがあった。
以上を踏まえ、本発明は、包装体の外観を保持しつつ、菌茸類の鮮度を長期間維持することが可能な包装技術を提供する。
本発明によれば、脱気状態にある合成樹脂フィルムからなる包装袋の内部空間に菌茸類が収容されている菌茸類入り包装体であって、
当該菌茸類入り包装体の23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの酸素透過量が、55cc/100g・day・atm以上426cc/100g・day・atm以下であり、
菌茸類入り包装体の23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの酸素透過量をToとし、菌茸類入り包装体の23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの二酸化炭素透過量をTcとしたとき、Tc≧Toの関係が成り立つ、菌茸類入り包装体が提供される。
さらに、本発明によれば、合成樹脂フィルムからなる包装袋の内部空間に菌茸類を収容する工程と、
前記包装袋を脱気しながら密封することにより菌茸類入り包装体を得る工程と、
を含み、
前記菌茸類入り包装体の23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの酸素透過量が、55cc/100g・day・atm以上426cc/100g・day・atm以下であり、
前記菌茸類入り包装体の23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの酸素透過量をToとし、前記菌茸類入り包装体の23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの二酸化炭素透過量をTcとしたとき、Tc≧Toの関係が成り立つことを特徴とする菌茸類の鮮度保持方法が提供される。
本発明によれば、包装体の外観を保持しつつ、菌茸類の鮮度を長期間維持することが可能な包装技術を提供することができる。
<菌茸類入り包装体>
本実施形態に係る菌茸類入り包装体(以下、本包装体ともいう。)は、脱気状態にある合成樹脂フィルムからなる包装袋の内部空間に菌茸類が収容されているものである。すなわち、本包装体は、菌茸類入り脱気包装体である。本包装体は、以下の2つの条件を満たす構成を採用したものである。これにより、包装体の外観を保持しつつ、菌茸類の鮮度を長期間維持することが可能となる。
第1の条件は、本包装体の23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの酸素透過量が、55cc/100g・day・atm以上426cc/100g・day・atm以下となることである。
第2の条件は、本包装体の23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの酸素透過量をToとし、本包装体の23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの二酸化炭素透過量をTcとしたとき、Tc≧Toの関係が成り立つことである。
ここで、菌茸類は、収穫後も呼吸を持続している。そのため、収穫後の貯蔵、流通または保存中に、菌茸類自身の呼吸によりエネルギーを消費し鮮度の劣化を引き起こす。一般に、菌茸類の鮮度を保持するためには、該菌茸類の呼吸量と、たとえば、合成樹脂フィルムなどの該菌茸類を包装するために用いる包装資材のガス透過量のバランスによって包装体内を低酸素濃度、高二酸化炭素濃度状態とすることが有効であるとされている。
本実施形態における菌茸類としては、エノキタケ、エリンギ、キクラゲ、キヌガサタケ、シイタケ、シメジ、シロキクラゲ、タモギタケ、チチタケ、ナメコ、ナラタケ、ハタケシメジ、ヒラタケ、ブナシメジ、ポルチーニ、ホンシメジ、マイタケ、マッシュルーム、マツタケ、ヤマブシタケ等が挙げられる。中でも、汎用性の観点から、エノキタケ、エリンギ、シイタケ、シメジおよびマイタケが好ましい。また、上述した菌茸類は、カットした状態、すなわち、いわゆるカット野菜の形態であってもよい。
本包装体は、菌茸類の呼吸量と、該包装体単位でのガス透過性能のバランスを制御したものである。これにより、本包装体によれば、該包装体内に存在する各種ガス濃度条件を従来の手法と比べて高いレベルで制御することができる。
具体的には、本包装体は、上述したように、本包装体の23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの酸素透過量Toが所定の値を示し、かつ本包装体の23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの二酸化炭素透過量Tcが、上記本包装体の23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの酸素透過量To以上の値となるように、そのガス透過性能を制御したものである。このため、本包装体によれば、以下の効果が得られる。
第1に、本包装体によれば、菌茸類が酸素欠乏症(酸欠状態)となることや、包装体内のガス濃度条件が酸素過多となることを防ぐことができる。これにより、結果として、菌茸類の鮮度を長期間安定的に維持することが可能となる。
第2に、本包装体によれば、菌茸類を包装してからの時間経過に伴って、該包装体内の酸素濃度が増大することを抑制することができるため、該菌茸類の呼吸量が増大することを抑制することができる。これにより、結果として、菌茸類を包装してからの時間経過に伴って包装体が膨らむことを抑制できるという点において、該包装体の外観(見栄え)を良好な状態に長期間保持することができる。
本実施形態において、本包装体の23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの酸素透過量Toの下限値は、55cc/100g・day・atm以上であるが、好ましくは、菌茸類に異臭が発生することを抑制する観点から、67cc/100g・day・atm以上であり、より好ましくは、包装体の外観が変化することを抑制する観点から、73cc/100g・day・atm以上であり、さらに好ましくは、包装体の外観と、菌茸類の鮮度とをバランスよく保持する観点から、最も好ましくは、80cc/100g・day・atm以上である。このように、本包装体の菌茸類100gあたりの酸素透過量Toが上記下限値以上となるように制御した場合、菌茸類が酸素欠乏症(酸欠状態)になることなく、包装体内に収容された菌茸類の呼吸量が、該菌茸類を包装してからの時間経過に伴って増大することを抑制することができる。そのため、本包装体の菌茸類100gあたりの酸素透過量Toが上記下限値以上となるように制御した場合、結果として、包装体の外観を保持しつつ、菌茸類の鮮度を長期間安定的に維持することができる。
一方、本実施形態において、本包装体の23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの酸素透過量Toの上限値は、426cc/100g・day・atm以下であるが、好ましくは、包装体の外観が変化することを抑制する観点から、414cc/100g・day・atm以下であり、より好ましくは、菌茸類に変色(褐変)が生じることを抑制する観点から、396cc/100g・day・atm以下であり、さらに好ましくは、包装体の外観と、菌茸類の鮮度とをバランスよく保持する観点から、304cc/100g・day・atm以下である。このように、本包装体の菌茸類100gあたりの酸素透過量Toが上記上限値以下となるように制御した場合、結果として、包装体の外観を保持しつつ、菌茸類の鮮度を長期間安定的に維持することが可能となる。
また、本包装体において、合成樹脂フィルムの23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの酸素透過量T1の下限値は、好ましくは、702cc/100g・m・day・atm以上であり、より好ましくは、843cc/100g・m・day・atm以上であり、さらに好ましくは、1030cc/100g・m・day・atm以上であり、最も好ましくは、1124cc/100g・m・day・atm以上である。このように、合成樹脂フィルムの菌茸類100gあたりの酸素透過量T1が上記下限値以上となるように制御した場合、包装体の外観と、菌茸類の鮮度と、をバランスよく保持することができる。
一方、合成樹脂フィルムの23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの酸素透過量T1の上限値は、好ましくは、4098cc/100g・m・day・atm以下であり、より好ましくは、3980cc/100g・m・day・atm以下であり、さらに好ましくは、3805cc/100g・m・day・atm以下であり、最も好ましくは、2927cc/100g・m・day・atm以下である。このように、合成樹脂フィルムの菌茸類100gあたりの酸素透過量T1が上記上限値以下となるように制御した場合、結果として、包装体の外観を保持しつつ、菌茸類の鮮度を長期間安定的に維持することができる。
また、本実施形態において、合成樹脂フィルムの23℃、60%RHにおける酸素透過量Txの下限値は、好ましくは、1500cc/m・day・atm以上であり、より好ましくは、1800cc/m・day・atm以上であり、さらに好ましくは、2200cc/m・day・atm以上であり、特に好ましくは、2400cc/m・day・atm以上であり、最も好ましくは、2500cc/m・day・atm以上である。このように、合成樹脂フィルムの酸素透過量Txが上記下限値以上となるように制御した場合、包装体内の菌茸類が酸素欠乏症(酸欠状態)となることを防ぐことができるため、結果として、菌茸類の鮮度を長期間安定的に維持することができる。
一方、本実施形態において、合成樹脂フィルムの23℃、60%RHにおける酸素透過量Txの上限値は、好ましくは、7000cc/m・day・atm以下であり、より好ましくは、6800cc/m・day・atm以下であり、さらに好ましくは、6500cc/m・day・atm以下であり、最も好ましくは、5000cc/m・day・atm以下である。このように、合成樹脂フィルムの酸素透過量Txが上記上限値以下となるように制御した場合、包装体内のガス濃度条件が酸素過多になることを防ぐことができるため、結果として、包装体の外観を保持しつつ、菌茸類の鮮度を長期間安定的に維持することが可能となる。
上述した合成樹脂フィルムの23℃、60%RHにおける酸素透過量Txと、合成樹脂フィルムの23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの酸素透過量T1と、本包装体の23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの酸素透過量Toは、それぞれ以下の方法で算出することができる。まず、合成樹脂フィルムの23℃、60%RHにおける酸素透過量Tx[cc/m・day・atm]を、モコン(MOCON)社製の酸素透過率測定装置(オキシトラン(登録商標)OX−TRAN 2/21)を使用し、JIS K7126−2における付属書Bに準拠した方法で測定する。次に、上述した方法で得られた合成樹脂フィルムの酸素透過量Tx[cc/m・day・atm]に関する測定値を、包装袋内に収容する菌茸類の重量で除し、算出された値に、100を乗ずる。こうすることで、本実施形態に係る合成樹脂フィルムの23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの酸素透過量T1[cc/100g・m・day・atm]を算出することができる。
次に、上述した合成樹脂フィルムの23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの酸素透過量T1[cc/100g・m・day・atm]の値に、包装体の内表面積[m]を乗ずることにより、本包装体の23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの酸素透過量To[cc/100g・day・atm]を算出することができる。
本実施形態において、本包装体の23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの二酸化炭素透過量Tcの下限値は、好ましくは、91cc/100g・day・atm以上であり、より好ましくは、152cc/100g・day・atm以上であり、さらに好ましくは、182cc/100g・day・atm以上である。こうすることで、本包装体を保存している際に、該包装体が膨らむことを抑制できる。具体的には、本包装体の23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの二酸化炭素透過量Tcが上記下限値以上となるように制御した場合、包装体内のガス濃度条件が二酸化炭素過多となり、菌茸類の呼吸量が制限され、菌茸類の鮮度が保持されることによって、菌茸類に異臭が発生することや、包装体が膨らんでしまうことを抑制することができる。これにより、結果として、見栄えよく、菌茸類の鮮度を長期間安定的に保持することができる。
一方、本包装体の23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの二酸化炭素透過量Tcの上限値は、好ましくは、2131cc/100g・day・atm以下であり、より好ましくは、1826cc/100g・day・atm以下であり、さらに好ましくは、1674cc/100g・day・atm以下であり、最も好ましくは、1592cc/100g・day・atm以下である。こうすることで、包装体内に収容された菌茸類に変色(褐変)が生じることを抑制することができる。そのため、本包装体の23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの二酸化炭素透過量Tcが上記上限値以下となるように制御した場合、包装体内のガス濃度条件が酸素過多となることを防ぎつつ、菌茸類に変色(褐変)が生じることを抑制することができるため、結果として、菌茸類の鮮度を長期間安定的に保持することが可能となる。
また、本包装体において、合成樹脂フィルムの23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの二酸化炭素透過量T2の下限値は、好ましくは、1405cc/100g・m・day・atm以上であり、より好ましくは、1459cc/100g・m・day・atm以上であり、さらに好ましくは、2810cc/100g・m・day・atm以上である。このように、合成樹脂フィルムの菌茸類100gあたりの二酸化炭素透過量T2が上記下限値以上となるように制御した場合、包装体の外観と、菌茸類の鮮度とをバランスよく保持することができる。
一方、合成樹脂フィルムの23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの二酸化炭素透過量T2の上限値は、好ましくは、20488cc/100g・m・day・atm以下であり、より好ましくは、17561cc/100g・m・day・atm以下であり、さらに好ましくは、16098cc/100g・m・day・atm以下であり、最も好ましくは、14634cc/100g・m・day・atm以下である。このように、合成樹脂フィルムの菌茸類100gあたりの二酸化炭素透過量T2が上記上限値以下となるように制御した場合、結果として、包装体の外観を保持しつつ、菌茸類の鮮度を長期間安定的に維持することができる。
また、本実施形態において、合成樹脂フィルムの23℃、60%RHにおける二酸化炭素透過量Tyの下限値は、好ましくは、3000cc/m・day・atm以上であり、より好ましくは、5000cc/m・day・atm以上であり、さらに好ましくは、6000cc/m・day・atm以上である。このように、合成樹脂フィルムの二酸化炭素透過量Tyが上記下限値以上となるように制御した場合、包装体内のガス濃度条件が二酸化炭素過多になることを防ぐことができるため、結果として、包装体の外観を保持しつつ、菌茸類の鮮度を長期間安定的に維持することが可能となる。
一方、合成樹脂フィルムの23℃、60%RHにおける二酸化炭素透過量Tyの上限値は、好ましくは、35000cc/m・day・atm以下であり、より好ましくは、30000cc/m・day・atm以下であり、さらに好ましくは、27500cc/m・day・atm以下であり、最も好ましくは、25000cc/m・day・atm以下である。このように、合成樹脂フィルムの二酸化炭素透過量Tyが上記上限値以下となるように制御した場合、包装体内の酸素濃度が増大することを防ぐことができるため、結果として、菌茸類の鮮度を長期間安定的に維持することができる。
上述した合成樹脂フィルムの23℃、60%RHにおける二酸化炭素透過量Tyと、合成樹脂フィルムの23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの二酸化炭素透過量T2と、本包装体の23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの二酸化炭素透過量Tcは、それぞれ以下の方法で算出することができる。まず、合成樹脂フィルムの23℃、60%RHにおける二酸化炭素透過量Ty[cc/m・day・atm]を、モコン(MOCON)社製の二酸化炭素透過率測定装置(PERMATRAN−C 4/41)を使用し、JIS K7126−2における付属書Bに準拠した方法で測定する。次に、上述した方法で得られた合成樹脂フィルムの23℃、60%RHにおける二酸化炭素透過量Ty[cc/m・day・atm]に関する測定値を、包装袋内に収容する菌茸類の重量で除し、算出された値に、100を乗ずる。こうすることで、本実施形態に係る合成樹脂フィルムの23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの二酸化炭素透過量T2[cc/100g・m・day・atm]を算出することができる。
次に、上述した合成樹脂フィルムの23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの二酸化炭素透過量T2[cc/100g・m・day・atm]の値に、包装体の内表面積[m]を乗ずることにより、本包装体の23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの二酸化炭素透過量Tc[cc/100g・day・atm]を算出することができる。
また、本包装体は、上述したとおり、本包装体の23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの酸素透過量Toと、本包装体の23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの二酸化炭素透過量をTcとの間に、Tc≧Toの関係が成り立つ構成を採用したものであるが、好ましくは、7To≧Tc>Toの関係が成り立つことであり、さらに好ましくは、5To≧Tc≧2Toの関係が成り立つことである。これにより、結果として、包装体の外観と、菌茸類の鮮度とをバランスよく保持することができる。
そして、本実施形態においては、上述した合成樹脂フィルムの23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの酸素透過量T1と、上述した合成樹脂フィルムの23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの二酸化炭素透過量T2との間に、T2≧T1の関係が成り立つことが好ましい。こうすることで、本包装体について、該包装体の外部から内部へ侵入する空気量と、該包装体の内部から外部へ放出されるガス量とのバランスを制御することができる。そのため、上記T2≧T1の関係が成り立つ場合には、結果として、包装体の外観と、菌茸類の鮮度とをバランスよく保持することができる。また、本実施形態において、上記酸素透過量T1と、上記二酸化炭素透過量T2との間には、7T1≧T2>T1の関係が成り立つとより好ましく、5T1≧T2≧2T1の関係が成り立つとさらに好ましい。
また、本包装体における菌茸類が収容されている側の面に対する水の接触角、すなわち、本包装体を構成する包装袋の内表面に対する水の接触角は、好ましくは、3°以上60°以下であり、より好ましくは、5°以上55°以下であり、さらに好ましくは、10°以上50°以下であり、最も好ましくは、10°以上30°以下である。こうすることで、包装体内の菌茸類から放出される微量の水蒸気により、該包装体の内表面に結露が発生することを抑制できる。
なお、水の接触角の測定方法としては、たとえば、協和界面科学社製、DROPMASTER−501等の市販の接触角計を使用し、測定対象表面に精製水2μLを着滴して7秒後の接触角を液適法にて測定する手法がある。
また、本包装体において、菌茸類を包装するために用いる合成樹脂フィルムのHaze値は、好ましくは、20%以下であり、より好ましくは、10%以下であり、さらに好ましくは、6%以下である。こうすることで、内部視認性に優れるという観点において、見栄えに優れた包装体とすることができる。一方、上記Haze値の下限値は、特に限定されず、0%に近いほど好ましい。なお、上記Haze値は、JIS−K−7136に準拠した方法で測定することができる。
また、本包装体内に収容する菌茸類の量は、消費者の需要や、製造コストのバランスを向上させる観点から、たとえば、120g以上350g以下であることが好ましい。
次に、菌茸類を包装するために用いる合成樹脂フィルムについて説明する。
合成樹脂フィルムを構成する材料は、菌茸類の包装に用いることのできるものであり、かつ、かかる合成樹脂フィルムのガス透過量について、上述した2つの条件を満たすように制御することができるものであれば限定されない。合成樹脂フィルムを構成する材料の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン及びエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂等が挙げられる。これらはホモポリマーであってもかまわないし、コポリマーであってもよく、これらホモポリマーやコポリマーを2種類以上含むブレンド物であってもよい。つまり、本実施形態における合成樹脂フィルムは、各種樹脂材料の中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン及びエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂からなる群より選択される1種以上の樹脂を含む樹脂層を有したものであることが好ましい。また、本実施形態において、かかる樹脂層は、防曇剤を含むものであることが好ましい。こうすることで、包装体内の菌茸類から放出される微量の水蒸気により、該包装体の内表面に結露が発生することを抑制できる。
本実施形態において、合成樹脂フィルムが防曇剤を含む上記樹脂層を有している場合、樹脂層全量に対する上記防曇剤の含有量は、包装体の外観と、菌茸類の鮮度とをバランスよく保持する観点から、好ましくは、0.1重量%以上5重量%以下であり、さらに好ましくは、0.3重量%以上2.5重量%以下である。
本実施形態において、上記防曇剤としては、多価アルコールの脂肪酸エステル、高級脂肪族アミンのエチレンオキサイド付加物など公知の防曇剤であれば使用することができる。その具体例としては、グリセリンモノステアレート、ジグリセリンラウレート、デカグリセリンラウレート及びソルビタンステアレート等が挙げられる。
また、本実施形態において、合成樹脂フィルムを構成する上述に例示した樹脂材料の融点は、包装体の製造効率を向上させる観点から、好ましくは、75℃以上170℃以下であり、より好ましくは、75℃以上165℃以下であり、さらに好ましくは、85℃以上160℃以下である。
また、本実施形態に係る合成樹脂フィルムは、延伸フィルムであっても、無延伸フィルムであってもよいが、菌茸類の呼吸量と、合成樹脂フィルムのガス透過量とのバランスを高度に制御する観点から、無延伸フィルムであることが好ましい。また、合成樹脂フィルムが延伸フィルムである場合、菌茸類の呼吸量と、合成樹脂フィルムのガス透過量とのバランスを高度に制御する観点から、該フィルムの長手方向(MD方向)と幅方向(TD方向)の両方向に対して5倍以下の延伸処理が施されたものであることが好ましい。
また、本実施形態に係る合成樹脂フィルムは、上述した材料により形成された単層フィルムであってもよいし、厚み方向に複数の層が積層された多層フィルムであってもよい。ここで、本実施形態に係る合成樹脂フィルムが上記多層フィルムである場合、かかるフィルムは、包装体内の菌茸類から放出される微量の水蒸気により、該包装体の内表面に結露が発生することを抑制する観点から、少なくとも一方の面に防曇剤を含む上記樹脂層を有していることが好ましく、包装体の製造効率を向上させる観点から、両面に防曇剤を含む上記樹脂層を有しているとさらに好ましい。また、本実施形態に係る合成樹脂フィルムが厚み方向に3層以上の層が積層された積層構造を有する多層フィルムである場合、包装袋の防曇特性を安定させる目的で、該多層フィルムの両面を構成する2つの最外層以外の層に対して防曇剤を含有させてもよい。
また、本実施形態に係る合成樹脂フィルムの層構造は、たとえば、該フィルムの厚み方向において、防曇剤を含む上記樹脂層と、中間層と、防曇剤を含む上記樹脂層とがこの順で積層した3層以上の積層構造を有していてもよい。この場合、上記中間層は、単層構造に限定されず、厚み方向に2以上の層が積層された多層構造であってもよい。また、フィルムの最外層は、防曇剤を含む上記樹脂層に限定されない。
本実施形態に係る合成樹脂フィルムの厚さは、たとえば20μm以上40μm以下とすればよい。フィルムが薄すぎると、強度が不足する懸念がある。一方、フィルムが厚すぎると、製造コストが高くなるため実用性が低下する。
また、本実施形態に係る合成樹脂フィルムには、そのガス透過量を調整するために、微細孔が穿孔されていてもよい。ただし、本実施形態に係る合成樹脂フィルムは、菌茸類を包装してからの時間経過に伴って、包装体が僅かに膨らむことにより、その外観に変化が生じることを抑制する観点から、微細孔が穿孔されていないものであることが好ましい。
上記合成樹脂フィルムの成型方法としては、押出法(Tダイ法、インフレーション法)、カレンダーリング法等の手法を採用することができる。フィルムを成型する際、必要に応じて防曇剤等の添加物を混練してもかまわないし、2種類以上の樹脂をブレンドしてもかまわない。また、フィルムに延伸処理やアニーリングなどを施してもかまわない。これらのフィルム表面にシーラント層を設けたものでも、何らかの機能を付与するためにコーティングしたフィルムであってもよい。
ここで、本包装体において、菌茸類を包装するために用いる合成樹脂フィルムの製造方法は、以下の3つの条件に係る各種因子を高度に制御することが特に重要である。すなわち、以下の3つの条件に係る各種因子を高度に制御する製造方法によって得られた合成樹脂フィルムを用いることで、初めて、本包装体を作製することができる。なお、本包装体において、菌茸類を包装するために用いる合成樹脂フィルムは、以下の3つの条件に係る各種因子を高度に制御しさえすれば、その他の公知の製造条件を組み合わせることにより、作製することができる。
(1)合成樹脂フィルムを形成するために用いる樹脂材料の組み合わせ
(2)合成樹脂フィルムの層構成と製膜方法の組み合わせ
(3)合成樹脂フィルムのヒートシール加工条件
次に、本包装体の製造方法を説明する。
本包装体の製造方法としては、たとえば、以下の方法がある。
まず、上述した方法で作製した合成樹脂フィルムを準備する。次に、合成樹脂フィルムを所望のサイズに切り出した後、2枚のフィルムを重ね合わせ、シーラーを用いて3方にヒートシール加工を施して10mm幅の熱シール部分を形成することにより、包装袋を作製する。次いで、包装袋の内部空間に所定量の菌茸類を収容する。その後、脱気シーラーを用いて、包装袋の内部空間に存在する空気を脱気しながら、該包装袋において未だ熱シール部分が形成されていない1方にヒートシール加工を施して10mm幅の熱シール部分を形成し、本包装体を得る。また、本実施形態において、包装袋の内部空間の脱気方法は、上述した脱気シーラーを用いる手法に限定されず、公知の手法を採用することができる。
<菌茸類の鮮度保持方法>
本実施形態に係る菌茸類の鮮度保持方法は、上述した本包装体を用いて菌茸類を保存する方法である。具体的には、本実施形態に係る菌茸類の鮮度保持方法は、合成樹脂フィルムからなる包装袋の内部空間に菌茸類を収容する工程と、上記包装袋を脱気しながら密封することにより上述した本実施形態に係る菌茸類入り包装体(本包装体)を得る工程と、を含む。こうすることで、得られた包装体の外観を保持しつつ、菌茸類の鮮度を長期間維持することができる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
まず、線状低密度ポリエチレン樹脂(プライムポリマー社製、エボリューSP3010、融点:124℃)と、防曇剤マスターバッチ(理研ビタミン社製、リケマスターEAR−5、防曇剤を12重量%の割合で含む)とを混合することにより、合成樹脂フィルムを作製するために用いる樹脂組成物を準備した。このとき、樹脂組成物全量に対する線状低密度ポリエチレン樹脂の含有量が、90重量%となり、樹脂組成物全量に対する防曇剤マスターバッチの含有量が10重量%となるように、両者を混合した。
次に、準備した上記樹脂組成物を空冷インフレーション共押出機(北進産業社製、HM55H型)に投入し、空冷インフレーション法により、厚さ30μmの合成樹脂フィルムを作製した。得られたフィルムは、継目を有しない無端状のフィルムであった。
次に、得られた合成樹脂フィルムを所定のサイズに切り出した後、インパルスシーラー(富士インパルス社製、FI−400Y−10PK)を用いて三方にヒートシール加工を施して10mm幅の熱シール部分を形成することにより実施例1の包装袋を得た。
次に、得られた包装袋(内寸:180mm×210mm)の内部空間にシメジ180gを収容した。次いで、脱気シール機(富士インパルス社製、V−301)を用いて、包装袋の内部空間が脱気状態となるように目視で確認しながら、該包装袋における残りの一方に10mm幅の熱シール部分を形成することにより、実施例1のシメジ入り包装体を得た。得られたシメジ入り包装体の内表面積は、7.2×10−2であった。
(実施例2)
線状低密度ポリエチレン樹脂に代えて低密度ポリエチレン樹脂(住友化学社製、スミカセンF−218−0、融点:108℃)を用い、該低密度ポリエチレン樹脂と防曇剤マスターバッチ(理研ビタミン社製、リケマスターEAR−5、防曇剤を12重量%の割合で含む)とを混合して得られた樹脂組成物を用いて合成樹脂フィルムを作製した点、厚さが40μmとなるように合成樹脂フィルムを製膜した点以外は、実施例1と同様の方法で、実施例2のシメジ入り包装体を得た。なお、実施例2のシメジ入り包装体についても、その内表面積は、7.2×10−2であった。また、合成樹脂フィルムを作製するために用いた上記樹脂組成物全量に対する低密度ポリエチレン樹脂の含有量は、90重量%であり、該樹脂組成物全量に対する防曇剤マスターバッチの含有量は10重量%であった。
(実施例3)
線状低密度ポリエチレン樹脂に代えて高密度ポリエチレン樹脂(プライムポリマー社製、ハイゼックス3300F、融点:132℃)を用い、該高密度ポリエチレン樹脂と防曇剤マスターバッチ(理研ビタミン社製、リケマスターEAR−5、防曇剤を12重量%の割合で含む)とを混合して得られた樹脂組成物を用いて合成樹脂フィルムを作製した点以外は、実施例1と同様の方法で、実施例3のシメジ入り包装体を得た。なお、実施例3のシメジ入り包装体についても、その内表面積は、7.2×10−2であった。また、合成樹脂フィルムを作製するために用いた上記樹脂組成物全量に対する高密度ポリエチレン樹脂の含有量は、90重量%であり、該樹脂組成物全量に対する防曇剤マスターバッチの含有量は10重量%であった。
(実施例4)
まず、ポリプロピレン樹脂(住友化学社製、ノーブレンFS2011DG3、融点1:58℃)と、防曇剤マスターバッチ(理研ビタミン社製、リケマスターPAR−380、防曇剤を10重量%の割合で含む)とを混合することにより、合成樹脂フィルムを作製するために用いる樹脂組成物を準備した。このとき、樹脂組成物全量に対するポリプロピレン樹脂の含有量が、88重量%となり、樹脂組成物全量に対する防曇剤マスターバッチの含有量が12重量%となるように、両者を混合した。次に、準備した上記樹脂組成物をTダイ押出機に投入し、マルチマニホールドTダイ法により、厚さ25μmの合成樹脂フィルムを作製した。
次に、得られた合成樹脂フィルムを所定のサイズに切り出した後、2枚のフィルムを重ね合わせ、インパルスシーラー(富士インパルス社製、FI−400Y−10PK)を用いて3方にヒートシール加工を施して10mm幅の熱シール部分を形成することにより、実施例4の包装袋を作製した。
次に、得られた包装袋(内寸:180mm×210mm)の内部空間にシメジ180gを収容した。次いで、脱気シール機(富士インパルス社製、V−301)を用いて、包装袋の内部空間が脱気状態となるように目視で確認しながら、該包装袋における残りの一方に10mm幅の熱シール部分を形成することにより、実施例4のシメジ入り包装体を得た。得られたシメジ入り包装体の内表面積は、7.2×10−2であった。
(実施例5)
以下の方法で、樹脂層と、中間層と、樹脂層とが、厚み方向にこの順で積層された3層構造を有する厚さ25μmの合成樹脂フィルムを作製した。
まず、ポリプロピレン樹脂(住友化学社製、ノーブレンFS2011DG3、融点1:58℃)と、防曇剤マスターバッチ(理研ビタミン社製、リケマスターPAR−380、防曇剤を10重量%の割合で含む)と、プロピレン−1−ブテン共重合体(三井化学社製、タフマー(登録商標)XM7070)を混合することにより、上記樹脂層を作製するために用いる樹脂組成物を準備した。このとき、樹脂組成物全量に対するポリプロピレン樹脂の含有量が、78重量%となり、樹脂組成物全量に対する防曇剤マスターバッチの含有量が12重量%となり、樹脂組成物全量に対するプロピレン−1−ブテン共重合体の含有量が10重量%となるように、各原料成分を混合した。
また、上記中間層を形成するために用いる材料としては、低密度ポリエチレン樹脂(住友化学社製、スミカセンF−218−0)を準備した。
次に、樹脂層を作製するために用いる上記樹脂組成物と、中間層を形成するために用いる上記材料を、Tダイ押出機に投入し、マルチマニホールドTダイ法(共押出Tダイ法)により、厚さ5μmの樹脂層と、厚さ15μmの中間層と、厚さ5μmの樹脂層とが、厚み方向にこの順で積層された3層構造を有する厚さ25μmの合成樹脂フィルムを作製した。
次に、得られた合成樹脂フィルムを所定のサイズに切り出した後、2枚のフィルムを重ね合わせ、インパルスシーラー(富士インパルス社製、FI−400Y−10PK)を用いて3方にヒートシール加工を施して10mm幅の熱シール部分を形成することにより、実施例5の包装袋を作製した。
次に、得られた包装袋(内寸:180mm×210mm)の内部空間にシメジ180gを収容した。次いで、脱気シール機(富士インパルス社製、V−301)を用いて、包装袋の内部空間が脱気状態となるように目視で確認しながら、該包装袋における残りの一方に10mm幅の熱シール部分を形成することにより、実施例5のシメジ入り包装体を得た。得られたシメジ入り包装体の内表面積は、7.2×10−2であった。
(比較例1)
厚さ25μmの防曇2軸延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡社製、パイレンフィルム−OT:P5562)を合成樹脂フィルムとして準備した。次に、かかる合成樹脂フィルムを所定のサイズに切り出した後、2枚のフィルムを重ね合わせ、インパルスシーラー(富士インパルス社製、FI−400Y−10PK)を用いて3方にヒートシール加工を施して10mm幅の熱シール部分を形成することにより、比較例1の包装袋を作製した。
次に、得られた包装袋(内寸:180mm×210mm)の内部空間にシメジ180gを収容した。次いで、脱気シール機(富士インパルス社製、V−301)を用いて、包装袋の内部空間が脱気状態となるように目視で確認しながら、該包装袋における残りの一方に10mm幅の熱シール部分を形成することにより、比較例1のシメジ入り包装体を得た。得られたシメジ入り包装体の内表面積は、7.2×10−2であった。
得られた実施例1〜5および比較例1の合成樹脂フィルム、および実施例1〜5および比較例1のシメジ入り包装体について、下記に示す測定及び評価を行った。
また、以下の評価に用いる各シメジ入り包装体は、30℃で3時間保存した後、10℃で4日間保存したものを使用した。後述においては、上述した条件で保存した後の状態にあるシメジ入り包装体を、保存後のシメジ入り包装体と称して説明する。
・合成樹脂フィルムの23℃、60%RHにおける酸素透過量:合成樹脂フィルムの酸素透過量は、モコン(MOCON)社製の酸素透過率測定装置(オキシトラン(登録商標)OX−TRAN 1/50)を使用して、JIS K7126−2における付属書Bに準拠した方法で測定した。測定条件は、23℃、60%RHに設定した。なお、単位は、cc/m・day・atmである。
・合成樹脂フィルムの23℃、60%RHにおける二酸化炭素透過量:合成樹脂フィルムの二酸化炭素透過量は、モコン(MOCON)社製の二酸化炭素透過率測定装置(PERMATRAN−C 4/41)を使用し、JIS K7126−2における付属書Bに準拠した方法で測定した。測定条件は、23℃、60%RHに設定した。なお、単位は、cc/m・day・atmである。
・水の接触角:得られた各包装袋の内表面について、接触角計(協和界面科学社製、DROPMASTER−501)を用い、測定面に精製水2μLを着滴してから7秒後の接触角を液滴法にて測定し、得られた測定値について以下の基準で評価した。なお、単位は、°である。
○:10°以上30°以下であった。
△:30°よりも高い値であり、60°以下であった。
×:60°よりも高い値であった。
得られた保存後のシメジ入り包装体については、下記に示す評価を行った。その結果を、下記表1に示す。
・外観(膨らみ):保存後のシメジ入り包装体の外観を目視にて観察し、その外観について以下の基準で評価した。
◎:包装体は膨らんでいなかった。
○:包装体はやや膨らんでいるものの、実用上問題ないレベルであった。
×:包装体が膨らんでいた。
・臭気:保存後のシメジ入り包装体内に収容したシメジの臭いを熟練したパネラーが以下の基準で評価した。
◎:異臭はなかった。
○:極わずかに異臭が発生していたが、実用上問題の無いレベルであった。
×:異臭が発生していた。
・シメジの色:保存後のシメジ入り包装体内に収容したシメジの色を目視にて観察し、以下の基準で評価した。
◎:シメジに変色(褐変)は生じていなかった。
○:シメジに僅かな変色(褐変)が生じていたものの、実用上問題の無いレベルであった。
×:シメジが変色(褐変)していた。
・結露:保存後のシメジ入り包装体を目視にて観察し、以下の基準で評価した。
◎:包装体の内表面に結露は生じていなかった、または小粒状或いは膜状の結露が包装体の内表面に発生しているものの、該包装体の内部に収容したシメジを外部から鮮明に視認することができた。
○:包装体における一部の内表面に霧状或いは微粒子状の結露が発生しており、部分的に該包装体の内部に収容したシメジを外部から視認しづらい箇所があるものの、大部分においてはシメジを外部から鮮明に視認することができた(実用上問題ないレベルであった。)。
×:包装体の内表面における大部分に霧状の結露が発生しており、該包装体の内部に収容したシメジを外部から鮮明に視認することが困難であった。
Figure 2018070248
実施例1〜5のシメジ入り包装体は、いずれも、その外観を保持しつつ、収容したシメジの鮮度を長期間保持することができるものであった。一方、比較例1のシメジ入り包装体は、その外観が変化した点、異臭が生じた点において、要求水準を満たすものではなかった。

Claims (8)

  1. 脱気状態にある合成樹脂フィルムからなる包装袋の内部空間に菌茸類が収容されている菌茸類入り包装体であって、
    当該菌茸類入り包装体の23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの酸素透過量が、55cc/100g・day・atm以上426cc/100g・day・atm以下であり、
    菌茸類入り包装体の23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの酸素透過量をToとし、菌茸類入り包装体の23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの二酸化炭素透過量をTcとしたとき、Tc≧Toの関係が成り立つ、菌茸類入り包装体。
  2. 菌茸類入り包装体の23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの二酸化炭素透過量が、91cc/100g・day・atm以上2131cc/100g・day・atm以下である、請求項1に記載の菌茸類入り包装体。
  3. 前記包装袋の内表面に対する水の接触角が、3°以上60°以下である、請求項1または2に記載の菌茸類入り包装体。
  4. 前記合成樹脂フィルムが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン及びエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂からなる群より選択される1種以上の樹脂を含む樹脂層を有する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の菌茸類入り包装体。
  5. 前記樹脂層が防曇剤をさらに含む、請求項4に記載の菌茸類入り包装体。
  6. 前記樹脂の融点が75℃以上170℃以下である、請求項4または5に記載の菌茸類入り包装体。
  7. 前記合成樹脂フィルムが無延伸フィルムである、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の菌茸類入り包装体。
  8. 合成樹脂フィルムからなる包装袋の内部空間に菌茸類を収容する工程と、
    前記包装袋を脱気しながら密封することにより菌茸類入り包装体を得る工程と、
    を含み、
    前記菌茸類入り包装体の23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの酸素透過量が、55cc/100g・day・atm以上426cc/100g・day・atm以下であり、
    前記菌茸類入り包装体の23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの酸素透過量をToとし、前記菌茸類入り包装体の23℃、60%RHにおける菌茸類100gあたりの二酸化炭素透過量をTcとしたとき、Tc≧Toの関係が成り立つことを特徴とする菌茸類の鮮度保持方法。
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