JP2002240207A - ガスバリア性フィルム - Google Patents

ガスバリア性フィルム

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JP2002240207A
JP2002240207A JP2001037792A JP2001037792A JP2002240207A JP 2002240207 A JP2002240207 A JP 2002240207A JP 2001037792 A JP2001037792 A JP 2001037792A JP 2001037792 A JP2001037792 A JP 2001037792A JP 2002240207 A JP2002240207 A JP 2002240207A
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gas barrier
film
polyacrylic acid
coating layer
barrier film
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JP2001037792A
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Yoshito Shiba
賢人 志波
Masashi Okamoto
昌司 岡本
Arihiro Anada
有弘 穴田
Hayami Onishi
早美 大西
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Unitika Ltd
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Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高湿度雰囲気下でも高いガスバリア性を有
し、かつ着色の無い透明なガスバリア性フィルムを提供
する。 【解決手段】 熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面
にガスバリア性の被膜層を形成してなるフィルムであっ
て、この被膜層が1分子当たり3個以上のエポキシ基を
有するエポキシ化合物を含む架橋剤によって架橋された
ポリアクリル酸から形成され、上記ポリアクリル酸10
0質量部に対して上記架橋剤を1〜100質量部含有す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高湿度雰囲気下で
も優れたガスバリア性を有する食品などの包装材料とし
て好適なガスバリア性フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリアミド、ポリエステル等の熱
可塑性樹脂フィルムは強度、透明性、成形性、ガスバリ
ア性に優れていることから、包装材料として幅広い用途
に使用されている。しかしながら、レトルト処理食品等
の長期間の保存性が求められる用途に用いる場合には、
さらに高度なガスバリア性が要求される。
【0003】熱可塑性樹脂フィルムのガスバリア性を改
良するために、これらの熱可塑性樹脂フィルムの表面に
ポリ塩化ビニリデン(PVDC)を積層したフィルムが
食品包装等に幅広く使用されてきたが、PVDCは焼却
時に酸性ガス等の有害物質を発生するため、近年環境保
全への関心が高まるにつれて他の材料への移行が強く望
まれている。
【0004】このような要望に応えるため、PVDCに
代わる材料の一つとして、ガスバリア性を有していて有
毒ガスが発生することがないポリビニルアルコール(P
VA)フィルムが挙げられるが、PVAフィルムは低湿
度雰囲気下でのガスバリア性が高いが、湿度が高くなる
につれて急激にガスバリア性が低下するので、水分を含
む食品等の包装には用いることができない場合が多い。
【0005】このPVAフィルムの高湿度雰囲気下での
ガスバリア性の低下を改善したフィルムとして、ビニル
アルコールとエチレンの共重合体(EVOH)からなる
フィルムが知られているが、高湿度雰囲気下でのガスバ
リア性を実用レベルに維持するためにはエチレンの含有
量をある程度高くする必要があり、エチレンの含有量を
高くすると、EVOHが水に難溶になるので、フィルム
の製膜時に有機溶媒を併用せざるを得なくなる。また、
上記EVOHをコート材料としてフィルムの表面に被膜
層を形成する場合には、有機溶媒又はそれと水との混合
溶媒を用いて溶解させることが必要である。したがっ
て、上記EVOHをガスバリア性フィルム又はフィルム
のコート材料として用いると、環境問題の観点からも望
ましくなく、また有機溶媒の回収工程などを必要とする
ため、コスト高になるという問題がある。
【0006】さらに、水溶性のポリマーからなる液状組
成物をフィルムにコートし、高湿度雰囲気下でも高いガ
スバリア性を発現させる方法として、PVAとポリアク
リル酸又はポリメタクリル酸の部分中和物とからなる水
溶液をフィルムにコーティングし、これを熱処理するこ
とにより、両ポリマーをエステル結合によって架橋する
方法が提案されているが(特開平10−237180号
公報)、この方法ではエステル化を十分に進行させて、
フィルムのガスバリア性を高めるためには高温で長時間
の熱処理が必要であり、生産性に問題があり、そのうえ
PVAを用いて高温で長時間熱処理するため、フィルム
が著しく着色するという問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、上
記課題を解決するものであって、高湿度雰囲気下でも高
いガスバリア性を有し、かつ着色の無い透明なガスバリ
ア性フィルムを提供することを課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究の結果、特定の樹脂組成物を
含有するコート剤をフィルムの表面に塗布してガスバリ
ア性の被膜層を形成することにより、上記課題が解決で
きることを見出し、それに基づいて本発明に到達した。
【0009】すなわち、本発明の要旨は次の通りであ
る。 (1)熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面にガスバ
リア性の被膜層を形成してなるフィルムであって、この
被膜層が1分子当たり3個以上のエポキシ基を有するエ
ポキシ化合物を含む架橋剤によって架橋されたポリアク
リル酸から形成され、上記ポリアクリル酸100質量部
に対して上記架橋剤を1〜100質量部含有することを
特徴とするガスバリア性フィルム。 (2)上記被膜層が温度20℃、相対湿度90%の雰囲
気下において500ml・μm/m2・day・MPa
以下の酸素ガス透過係数を有することを特徴とするガス
バリア性フィルム。 (3)上記エポキシ化合物の温度20℃における水溶率
が80〜100%であることを特徴とするガスバリア性
フィルム。 (4)上記ポリアクリル酸中のカルボキシル基に対して
0.1〜20当量%のアルカリ化合物を含有することを
特徴とするガスバリア性フィルム。 (5)上記熱可塑性樹脂フィルムがナイロン6からなる
ことを特徴とするガスバリア性フィルム。 (6)上記熱可塑性樹脂フィルムがポリエチレンテレフ
タレートからなることを特徴とするガスバリア性フィル
ム。
【0010】本発明のガスバリア性フィルムによれば、
ポリアクリル酸を特定のエポキシ化合物を含む架橋剤で
架橋して熱可塑性樹脂フィルムの表面にガスバリア性の
被膜層を形成したので、ポリアクリル酸がエポキシ化合
物によって架橋されて高いガスバリア性が付与され、高
湿度雰囲気下でも高いガスバリア性を示し、かつポリア
クリル酸は短時間の熱処理によって上記エポキシ化合物
により架橋されるので、着色がない透明なガスバリア性
フィルムが提供される。したがって、高湿度雰囲気下に
おいても食品などの包装材料として好適に利用すること
ができる。
【0011】また、請求項2に記載の発明によれば、上
記被膜層が温度20℃、相対湿度90%の雰囲気下にお
いて500ml・μm/m2・day・MPa以下と低
い酸素ガス透過係数を有するので、酸素ガスの透過を低
く抑えることができ、酸素ガスバリア性に優れたガスバ
リア性フィルムが提供される。
【0012】また、請求項3に記載の発明によれば、上
記エポキシ化合物の水溶率が高いので、上記被膜層を形
成する際に、ポリアクリル酸の水溶液に上記エポキシ化
合物を十分に溶解することができ、その結果ポリアクリ
ル酸がエポキシ化合物によって十分に架橋して高いガス
バリア性を有する被膜層が形成される。
【0013】また、請求項4に記載の発明によれば、ア
ルカリ化合物を含有するので、ポリアクリル酸中のカル
ボキシル基が中和されて、被膜層のガスバリア性が向上
する。
【0014】さらに、請求項5又は請求項6に記載の発
明によれば、ナイロンフィルム又はポリエチレンテレフ
タレートからなるフィルムのガスバリア性を向上させる
ことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において用いられる熱可塑性樹脂フィルムは、そ
の素材は特に限定されないが、かかるフィルムとして
は、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46
等のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート(P
ET)、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレン
テレフタレート、ポリトリメチレンナフタレート、ポリ
ブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等
の芳香族ポリエステル樹脂、ポリ乳酸などの脂肪族ポリ
エステル樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポ
リオレフィン樹脂よりなるフィルム、又はそれらの混合
物よりなるフィルム、又はそれらのフィルムの積層体が
挙げられ、これらのフィルムは未延伸フィルムでも延伸
フィルムでもよい。
【0016】上記未延伸フィルムを製造する方法は、例
えば、熱可塑性樹脂を押出機で加熱、溶融してTダイよ
り押し出し、冷却ロールなどにより冷却固化して未延伸
フィルムを得る方法、又は円形ダイより押し出して水冷
又は空冷により固化させて未延伸フィルムを得る方法が
挙げられる。
【0017】また、延伸フィルムを製造する方法は、未
延伸フィルムを一旦巻き取った後、又は連続して同時2
軸延伸法、又は逐次2軸延伸法により延伸する方法が好
ましい。
【0018】フィルムの機械的特性や厚みの均一性の観
点からは、Tダイによるフラット式製膜法とテンター延
伸法を組み合わせる方法が好ましい。本発明においてガ
スバリア性の被膜層を形成するためのポリアクリル酸
は、アクリル酸モノマーを溶液ラジカル重合などの公知
の方法で重合することにより得られる。ポリアクリル酸
の数平均分子量は特に限定されないが、2000〜20
0000の範囲が好ましい。
【0019】上記ポリアクリル酸には、本発明の効果を
損なわない範囲で他のビニル化合物を少量共重合するこ
ともできる。共重する他のビニル化合物としては、例え
ば、メタクリル酸、(無水)マレイン酸、アクリル酸メ
チル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリ
ル酸メチル等のアクリル酸エステル類、ギ酸ビニル、酢
酸ビニルなどのビニルエステル類、スチレン、p−スチ
レンスルホン酸、エチレン、プロピレン、イソブチレン
などの炭素数2〜30のオレフィン類などを挙げること
ができる。
【0020】本発明においては、熱可塑性樹脂フィルム
の表面にガスバリア性の被膜層を形成するためのポリア
クリル酸は、通常、その水溶液として用いられる。ポリ
アクリル酸の水溶液を調製する際には、ポリアクリル酸
中のカルボキシル基に対して0.1〜20当量%、好ま
しくは0.2〜15当量%のアルカリ化合物を添加する
ことが好ましい。
【0021】ポリアクリル酸はそれ自身の親水性が高い
ので、アルカリ化合物を添加しなくても水溶液にするこ
とができるが、アルカリ化合物を添加することにより、
ポリアクリル酸中のカルボキシル基が部分的に中和さ
れ、それによって形成される被膜層のガスバリア性が格
段に向上する。
【0022】そのようなアルカリ化合物としては、ポリ
アクリル酸中のカルボキシル基を中和できるものであれ
ばよく、アルカリ金属、アルカリ土類金属の水酸化物、
水酸化アンモニウム、有機アミン化合物等が挙げられ
る。これらのうち、特にNaOH、LiOH、KOH、
Ca(OH)2、Cu(OH)2、Al(OH)3が好ま
しい。
【0023】本発明においては、ガスバリア性の被膜層
を形成するための上記ポリアクリル酸を架橋するため
に、1分子当たり3個以上のエポキシ基を有するエポキ
シ化合物を含む架橋剤を用いる。ポリアクリル酸に対す
る上記エポキシ化合物の割合は、ポリアクリル酸100
質量部に対して上記エポキシ化合物を含む架橋剤を1〜
100質量部とすることが必要である。この割合は、好
ましくは3〜90質量部、より好ましくは5〜80質量
部である。上記エポキシ化合物を含む架橋剤を用いる
と、より短時間の熱処理によりポリアクリル酸が架橋剤
によって架橋され、優れたガスバリア性が発現される。
上記架橋剤の添加量が1質量部未満のときはポリアクリ
ル酸を十分に架橋させることができないことがあり、一
方、100質量部を超えると、逆に架橋剤がガスバリア
性の発現を阻害するおそれがある。
【0024】なお、1分子当たり2個以下のエポキシ基
を有するエポキシ化合物を架橋剤として用いると、ポリ
アクリル酸を十分に架橋することができないので、十分
なガスバリア性を発現させることができない。
【0025】上記エポキシ化合物は、上記ポリアクリル
酸の水溶液を調製するときに添加して溶解させて両者の
混合溶液とするので、その20℃における水溶率が80
〜100%であることが好ましく、90〜100%であ
ることがより好ましく、95〜100%であることがさ
らに好ましい。
【0026】ここで、エポキシ化合物の水溶率とは、水
90質量部に対してエポキシ化合物10質量部を添加し
たときの溶解率を示す。上記エポキシ化合物の水溶率が
80%未満では、ポリアクリル酸又はその部分中和物と
エポキシ化合物との反応すなわち架橋反応が十分進行し
ないことがあるので、高湿度雰囲気下で高いガスバリア
性を発現しにくい傾向がある。
【0027】上記1分子当たり3個以上のエポキシ基を
有するエポキシ化合物としては、例えば、グリセロール
ポリグリシジルエーテル化合物、ポリグリセロールポリ
グリシジルエーテル化合物、ソルビトールポリグリシジ
ルエーテル化合物、ペンタエリスリトールポリグリシジ
ルエーテル化合物、ジグリセロールポリグリシジルエー
テル化合物等を挙げることができる。
【0028】上記架橋剤には、上記エポキシ化合物以外
の架橋剤を含有していてもよい。そのような架橋剤は、
自己架橋性を有する架橋剤でもよく、また、カルボキシ
ル基や水酸基と反応する官能基を分子内に複数個有する
化合物又は多価の配位座を持つ金属錯体等でもよい。こ
のうち、2官能エポキシ化合物、イソシアネート化合
物、メラミン化合物、尿素化合物、カルボジイミド化合
物、ジルコニウム塩化合物等が好ましい。
【0029】本発明において、被膜層を形成するための
ポリアクリル酸と上記エポキシ化合物を含む混合溶液中
に、架橋反応を促進するために少量の触媒を添加するこ
とができる。例えば、少量の3級アミンを触媒として添
加すると、ポリアクリル酸とエポキシ化合物との架橋反
応が促進される。
【0030】上記ポリアクリル酸と上記エポキシ化合物
を含む混合溶液は、撹拌機を備えた溶解釜等を用いて公
知の方法で行えばよい。このとき、上記アルカリ化合物
を予めポリアクリル酸の水溶液に加えておくことが好ま
しい。
【0031】また、上記ポリアクリル酸と上記架橋剤と
の混合物中に、バーミキュライトやモンモリロナイト、
ヘクトライトなどの水膨潤性の層状無機化合物を少量添
加することによって、得られるフィルムのガスバリア性
をさらに向上させることができる。
【0032】また、ポリアクリル酸と上記エポキシ化合
物を含む架橋剤との相溶性を高める目的や乾燥工程の短
縮、溶液の安定性改善などの目的で、アルコール、有機
溶媒を少量添加することもできる。
【0033】本発明において、ポリアクリル酸と架橋剤
とからなる被膜層の厚みは、フィルムのガスバリア性を
十分高めるためには、少なくとも0.1μmより厚くす
ることが望ましい。
【0034】また、ポリアクリル酸と架橋剤とからなる
混合溶液をフィルムの表面にコートする際のポリマー濃
度すなわちポリアクリル酸の固形分濃度は、溶液の粘度
やポリアクリル酸と架橋剤との反応性、用いる装置の仕
様によって適宜変更されるが、あまりに希薄な溶液では
ガスバリア性を発現するのに十分な厚みの被膜層をコー
トすることが困難になり、また、その後の乾燥工程にお
いて長時間を要することがある。一方、溶液の濃度が高
すぎると、混合操作や溶液の保存性などに問題を生じる
ことがある。この様な観点から、ポリマー濃度は1〜8
0質量%、好ましくは5〜60質量%、より好ましくは
10〜50質量%の範囲にするのがよい。
【0035】上記混合溶液をフィルムの表面にコーティ
ングする方法は特に限定されないが、グラビアロールコ
ーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバ
ーコーティング等の通常の方法を用いることができる。
【0036】例えば、延伸に先だって上記混合溶液をコ
ーティングするには、まず未延伸フィルムに上記混合溶
液をコーティングして乾燥した後、テンター式延伸機に
供給してフィルムを走行方向と幅方向に同時に延伸(同
時2軸延伸)し、熱処理するか、あるいは、多段熱ロー
ル等を用いてフィルムの走行方向に延伸を行った後に上
記混合溶液をコーティングし、乾燥後、テンター式延伸
機によって幅方向に延伸(逐次2軸延伸)してもよい。
また、走行方向への延伸とテンターでの同時2軸延伸を
組み合わせることも可能である。
【0037】本発明においては、被膜層を架橋反応させ
るために、温度120℃以上、好ましくは150℃以上
の雰囲気で熱処理することが望ましい。この熱処理温度
が低いと架橋反応を充分に進行させることができず、十
分なガスバリア性を有するフィルムを得ることが困難に
なる。また、熱処理時間は、あまり短すぎると上記架橋
反応を十分に進行させることができず、十分なガスバリ
ア性を有するフィルムを得ることが困難になることがあ
る。通常、1秒間以上、好ましくは3秒間以上がよい。
【0038】本発明においては、ガスバリア性を酸素ガ
スバリア性として評価する。また、フィルムの酸素ガス
バリア性は、基材フィルムの種類や厚み、及び被膜層の
厚みにより変化するため、被膜層自体の酸素ガス透過係
数を評価する。
【0039】上記酸素ガス透過係数は、下記式より求め
るものである。 1/QF=1/QB+L/Pc、すなわち Pc=〔(QF×QB/(QB−QF)〕×L ただし、 QF:被膜層形成フィルムの酸素ガス透過度(ml/m2
・day・MPa) QB:基材フィルムの酸素ガス透過度(ml/m2・da
y・MPa) PC:被膜層の酸素ガス透過係数(ml・μm/m2・d
ay・MPa) L :被膜層の厚み(μm) したがって、被膜層の酸素ガス透過係数PCは、上記
F、QB及びLが分かれば、上記式より見積もることが
できる。 (実施例)次に、本発明を実施例により具体的に説明す
る。
【0040】以下の実施例において、酸素ガスバリア性
は、モコン社製酸素バリア測定器を用いて、温度20
℃、相対湿度90%の雰囲気下における酸素ガス透過度
を測定した。すなわち、上記測定器によって被膜層形成
フィルムの酸素ガス透過度QFと基材フィルムの酸素透
過度QBとをそれぞれ測定し、基材フィルムと被膜層形
成フィルムとの平均厚みの差から被膜層の厚みLを求め
た。そして、これらの数値から上記式を用いて被膜層の
酸素ガス透過係数Pcを算出した。
【0041】なお、基材フィルムとして用いた厚み12
μmのPETフィルム及び厚み15μmのナイロン6フ
ィルムの温度20℃、相対湿度90%の雰囲気下におけ
る酸素ガス透過度は、それぞれ900ml/m2・da
y・MPa、520ml/m2・day・MPaであっ
た。
【0042】また、被膜層形成フィルムの着色の程度は
目視で評価した。 ○:着色がなく透明 ×:着色あり 実施例1 ポリアクリル酸(和光純薬工業社製、ポリアクリル酸2
5質量%水溶液、数平均分子量150000)をポリア
クリル酸のカルボキシル基に対して10モル%の水酸化
ナトリウムを含む水溶液で希釈し、10質量%の水溶液
とした。
【0043】次いで、上記ポリアクリル酸の固形分10
0質量部に対して、3官能エポキシ化合物と2官能性エ
ポキシ化合物であるグリセロールポリグリシジルエーテ
ル(ナガセ化成工業社製、デナコールEX−313:水
溶率99%)を15質量部になるように添加し、室温で
30分間、攪拌してコート液を得た。
【0044】このコート液を2軸延伸PETフィルム
(ユニチカ社製エンブレットPET12,厚み12μ
m)上に乾燥後の塗膜層の厚みが約2μmになるように
メイヤーバーでコートし、100℃で2分間乾燥した
後、200℃で5分間熱処理した。
【0045】得られた被膜層形成フィルムの性能を表1
に示す。なお、表1においては、ポリアクリル酸をPP
Aと表示した。得られた被膜層形成フィルムの酸素ガス
透過度は100ml/m2・day・MPaであり、こ
のフィルムの被膜層の酸素ガス透過係数は225ml・
μm/m2・day・MPaであった。また、被膜層形
成フィルムには着色がなく、無色透明であった。 実施例2、3 実施例1におけるグリセロールポリグリシジルエーテル
の添加量を表2に示した添加量に変更した以外はそれぞ
れ実施例1と同様の操作を行った。得られた被膜層形成
フィルムの性能を表1に示す。 実施例4 4官能性エポキシ化合物であるソルビトールポリグリシ
ジルエーテル(ナガセ化成工業社製、デナコールEX−
614B:水溶率94%)を用いた以外は実施例1と同
様の操作を行った。得られた被膜層形成フィルムの性能
を表2に示す。 実施例5、6 ポリアクリル酸(和光純薬工業社製、ポリアクリル酸2
5質量%水溶液、数平均分子量150000)をポリア
クリル酸のカルボキシル基に対して10モル%の水酸化
ナトリウムを含む水溶液で希釈し、10質量%の水溶液
とした。
【0046】次いで、ポリアクリル酸の固形分100質
量部に対して、実施例1と同様のエポキシ化合物を15
質量部及びメラミン化合物(三井サイテック社製、サイ
メル327)を5質量部(実施例5)又は15質量部
(実施例6)添加し、それぞれ室温で30分間、攪拌し
てコート液を得た。
【0047】このコート液を2軸延伸PETフィルム
(ユニチカ社製エンブレットPET12,厚み12μ
m)上に乾燥後の塗膜厚みが約2μmになるようにメイ
ヤーバーでコートし、100℃で2分間乾燥した後、2
00℃で5分間熱処理した。得られた被膜層形成フィル
ムの性能を表1に示す。 実施例7 実施例2で用いたコート液を2軸延伸ナイロンフィルム
(ユニチカ社製エンブレム、厚み15μm)上に乾燥後
の塗膜厚みが約2μmになるようにメイヤーバーでコー
トし、100℃で2分間乾燥した後、200℃で5分間
熱処理した。得られたコートフィルムの性能を表1に示
す。 比較例1 ポリアクリル酸(和光純薬工業社製、ポリアクリル酸2
5質量%水溶液、数平均分子量150000)をポリア
クリル酸のカルボキシル基に対して10モル%の水酸化
ナトリウムを含む水溶液で希釈し、10質量%の水溶液
とした。
【0048】これをコート液として2軸延伸PETフィ
ルム(ユニチカ社製エンブレットPET12,厚み12
μm)上に乾燥後の塗膜厚みが約2μmになるようにメ
イヤーバーでコートし、100℃で2分間乾燥した後、
200℃で5分間熱処理した。得られた被膜層形成フィ
ルムの性能を表1に示す。 比較例2 実施例1におけるグリセロールポリグリシジルエーテル
に代えて2官能のエポキシ化合物であるブタンジオール
ジグリシジルエーテル(東京化成社製、以下BDDG)
を用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。得られ
た被膜層形成フィルムの性能を表1に示す。 比較例3 実施例1におけるグリセロールポリグリシジルエーテル
に代えてメラミン化合物(三井サイテック社製、サイメ
ル327)を5質量部用いた以外は実施例1と同様の操
作を行った。得られたコートフィルムの性能を表1に示
す。
【0049】
【表1】 上記実施例から明らかように、フィルムの表面にポリア
クリル酸を3官能以上のエポキシ化合物からなる架橋剤
によって架橋した被膜層を形成すると、低い酸素ガス透
過係数を示す被膜層を形成することができることが分か
る。また、架橋剤として、3官能以上のエポキシ化合物
からなる架橋剤を用いると、短時間の熱処理で架橋反応
が進行し、フィルムが着色しないことが分かる。
【0050】
【発明の効果】以上述べたように、本発明のガスバリア
性フィルムによれば、ポリアクリル酸を特定のエポキシ
化合物を含む架橋剤で架橋して熱可塑性樹脂フィルムの
表面にガスバリア性の被膜層を形成したので、高湿度雰
囲気下でも高いガスバリア性をを示し、かつ着色がない
透明なガスバリア性フィルムが提供される。したがっ
て、本発明のガスバリア性フィルムは、高湿度雰囲気下
においても食品などの包装材料として好適に利用するこ
とができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C08L 101:00 C08L 101:00 (72)発明者 穴田 有弘 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株 式会社中央研究所内 (72)発明者 大西 早美 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株 式会社中央研究所内 Fターム(参考) 4F006 AA12 AA35 AA38 AB24 BA05 CA07 DA04 4F100 AH02B AH02H AK01A AK25B AK42A AK48A AT00A BA02 CA02B CA02H EH46 EJ05B EJ38 GB15 JB16A JD02 JD02B JN01 YY00B

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面
    にガスバリア性の被膜層を形成してなるフィルムであっ
    て、この被膜層が1分子当たり3個以上のエポキシ基を
    有するエポキシ化合物を含む架橋剤によって架橋された
    ポリアクリル酸から形成され、上記ポリアクリル酸10
    0質量部に対して上記架橋剤を1〜100質量部含有す
    ることを特徴とするガスバリア性フィルム。
  2. 【請求項2】 上記被膜層が温度20℃、相対湿度90
    %の雰囲気下において500ml・μm/m2・day
    ・MPa以下の酸素ガス透過係数を有することを特徴と
    する請求項1記載のガスバリア性フィルム。
  3. 【請求項3】 上記エポキシ化合物の温度20℃におけ
    る水溶率が80〜100%であることを特徴とする請求
    項1又は2記載のガスバリア性フィルム。
  4. 【請求項4】 上記ポリアクリル酸中のカルボキシル基
    に対して0.1〜20当量%のアルカリ化合物を含有す
    ることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記
    載のガスバリア性フィルム。
  5. 【請求項5】 上記熱可塑性樹脂フィルムがナイロン6
    からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記
    載のガスバリア性フィルム。
  6. 【請求項6】 上記熱可塑性樹脂フィルムがポリエチレ
    ンテレフタレートからなることを特徴とする請求項1〜
    4のいずれかに記載のガスバリア性フィルム。
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