JP2003127288A - 表層材および壁紙とその製造方法 - Google Patents

表層材および壁紙とその製造方法

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JP2003127288A
JP2003127288A JP2001322900A JP2001322900A JP2003127288A JP 2003127288 A JP2003127288 A JP 2003127288A JP 2001322900 A JP2001322900 A JP 2001322900A JP 2001322900 A JP2001322900 A JP 2001322900A JP 2003127288 A JP2003127288 A JP 2003127288A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ボリューム感を有すると同時に、防汚性に
優れた表層材に関し、深みのあるしぼを付与することが
でき意匠性に優れ、透気性を有した表面の風合が繊維調
でありながら防汚性にも優れた壁紙を得ることを目的と
する。 【解決手段】 湿式不織布2と、嵩高不織布4との間
に、融解状態の薄膜状熱可塑性樹脂3を繊維間隙に入り
込まながら接着させて積層一体化させることにより、前
記湿式不織布2と熱可塑性樹脂3とが一体化された防汚
層5と、前記防汚層5の裏面に嵩高層6を形成した表層
材1を得る。さらに、前記表層材1の裏面に裏打ち材を
接着剤により接合し、前記湿式不織布面がエンボスロー
ルに当接するようにエンボス処理して、不織布表面にエ
ンボス模様を形成させることにより、壁紙を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ボリューム感を有
すると同時に、防汚性に優れた衣料、テーブルクロス、
ランチョンマット、ヘッドレスト、内装材などの用途に
好適であり、特には壁紙に好適な表層材に関するもので
あって、さらに詳しくは、エンボス加工性に優れ、深み
のあるしぼを有し、透気性を有するとともに、表面が繊
維調の風合でありながら防汚性に優れた壁紙に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、建物、車両などの内装材に用いら
れる壁紙として、焼却時に有毒ガスやダイオキシンを発
生する可能性ある塩化ビニル系樹脂が敬遠される傾向に
ある。また、塩化ビニル系樹脂による壁紙はフィルム調
であるため、脱塩化ビニル系樹脂であり、繊維調の表面
を有する様々な壁紙が提案されている。例えば、実開平
4−74000号公報には、難燃紙と熱可塑性繊維より
なる不織布の間に発泡または非発泡ポリ塩化ビニル樹脂
層を層着し、表面にしぼ模様を形成した壁紙が提案され
ている。特開平3−294586号公報には、不織布か
らなる表層と難燃紙からなる基材との間に非発泡性合成
樹脂又は発泡性合成樹脂が形成され、表層が樹脂層の中
に一部分を埋め込まれている壁紙が提案されている。特
開平5−116255号公報には、非結晶ポリエステル
繊維を含有する不織布に非結晶ポリエステル樹脂をラミ
ネートした複合シートを表層材とした壁紙が提案されて
いる。特開2000−154499号公報には、通気性
シート基材(壁紙用原紙)の上部に、非有機溶剤系樹脂
層を設け、さらにその上部に不織布層を設けた壁紙が提
案されている。
【0003】また、壁紙には、施工時の汚れや、使用者
による手垢、食べ物などの付着汚れに対して、汚れが付
き難く、かつ汚れを容易に拭き取ることができるという
防汚性が求められている。一般には、表面にフィルム層
を設けて防汚性を高めているが、風合いがフィルム調と
なるため、繊維調を維持しつつ、防汚性を高めた壁紙と
しては、例えば、実開平5−30199号公報には、シ
ートの両面にフッ素系加工剤を付着させた疎水性繊維表
面シートと裏打ち紙を接着剤で一体化させた壁紙が提案
されている。実開平5−57000号公報には、表面に
平均繊維径1〜5μmの合成繊維からなる目付5〜10
0g/m2のメルトブロー不織布が積層一体化されている壁
紙が提案されている。特開2000−73269号公報
には、エチレン―酢酸ビニル共重合体鹸化物を主体とし
たメルトブローン不織布を表面層とする壁紙が提案され
ている。特開平11−217799号公報には、芯鞘型
複合繊維のカードウェブを表面層とし、セルロース系繊
維と熱可塑性繊維との混合ウェブを内部層とする不織布
の裏面に壁紙用原紙を接着し、エンボスローラーを用い
てエンボス模様を形成するとともに表面をフィルム化し
た壁紙が提案されている。さらに、特開2001−16
98号公報には、熱可塑性繊維を含む湿式不織布を表面
とし、中間層に水流絡合不織布とし、裏層に裏打ち紙と
して、糊剤で接着させた壁紙が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記壁
紙には以下の問題点が挙げられる。例えば、実開平4−
74000号公報、特開平3−294586号公報、特
開平5−116255号公報、及び特開2000−15
4499号公報では、表面不織布層と裏打ち紙とが直接
樹脂によって接着されているため、繊維調の表面を有す
る壁紙を得ることはできるが、エンボス処理を施して、
深いしぼを設けるためには、嵩高な不織布で表面を形成
させる必要があるので、繊維間隙が大きくなり過ぎ、汚
れの成分が繊維間隙を通して不織布内部に入り込んでし
まい、施工時に付着した糊剤や施工者の手垢、汚れ、あ
るいは使用者の手垢、食べ物、液状物などの付着汚れを
取り除くことができない。また、逆に樹脂成分で嵩高を
維持することも考えられるが、透気性が極端に減少し、
結露などの問題が生じる。
【0005】また、実開平5−30199号公報では、
フッ素系加工剤を付着させているので、耐水性(耐湿摩
擦性)には優れるものの、施工時に付着した糊剤や施工
者の手垢、汚れ、あるいは使用者の手垢、食べ物などの
付着汚れに対しては効果がなく、液状物に対しても水で
あればはじくことができるが、コーヒーや醤油などの液
状食品、あるいは洗剤などには効果がない。実開平5−
57000号公報や特開2000−73269号公報で
は、表面にメルトブロー不織布を用いているが、直接紡
糸法であるため、繊維自体延伸されておらず、単繊維強
力が極端に弱く、実用上の摩擦などに耐えることができ
ないだけでなく、繊維の結晶性が低いため、熱処理する
と収縮を引き起こしたり、フィルム化し易く加工温度が
極端に制限されたり、エンボス加工性に劣る。特開平1
1−217799号公報では、芯鞘型複合繊維をエンボ
スして融解させて表面をフィルム化させているが、エン
ボス加工における温度や圧力の調整が難しく、温度や圧
力が低いとほとんど繊維部分が残存してしまい防汚性に
劣り、温度や圧力が高すぎると完全にフィルム化して繊
維調の表面が得られない。さらに、うまく調整できたと
しても、表層部が不織布のみで形成されているため、汚
れの成分が繊維部分の内部に容易に入り込み、手垢、食
べ物、液体などの付着汚れを取り除くことができない。
特開2001−1698号公報では、前記構成とするこ
とにより、印刷斑、表面強力、撥水性や汚れ防止性、エ
ンボス性を改善しようとしているが、表面に湿式不織布
を配置しただけでは、汚れ防止性が不十分であるため、
フッ素系樹脂を含む撥水剤兼汚れ防止剤をコーティング
する必要があり、現状のコーティング剤では汚れ防止を
抑制するのには限界がある。さらに、水系や溶剤系の糊
剤であると、熱エンボス処理による深いしぼの形成性に
劣る。したがって、エンボス加工時における温度や圧力
などの加工領域が広く、品質が安定しており、深みのあ
るしぼを付与することができ意匠性に優れ、透気性を有
して結露などを発生させることなく、表面の風合が繊維
調でありながら防汚性にも優れた壁紙が得られていない
のが実情である。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、湿式不織布を表面とし、前記湿式不織布と熱可塑性
樹脂とが一体化された防汚層と、前記防汚層の裏面に防
汚層の見かけの厚みより厚みが大きい嵩高不織布で構成
された嵩高層とを積層一体化することにより、防汚性と
ボリューム感を兼ね備えた表層材が得られることが判
り、本発明に至った。すなわち、湿式不織布を表面と
し、前記湿式不織布と熱可塑性樹脂とが一体化された防
汚層を形成することにより、エンボス加工時において、
シビアな温度や圧力の管理を必要とせず、表面に繊維調
の風合を維持しつつ防汚性に優れた壁紙表面を得るのに
好適であり、安定した品質の壁紙を得るのに好適な表層
材を得ることができる。さらに、嵩高層を一体化させる
ことにより、透気性を損なうことなく、深みのあるしぼ
を付与することができ意匠性に優れた壁紙を得るのに好
適な表層材を得ることができる。
【0007】前記熱可塑性樹脂は、前記湿式不織布およ
び前記嵩高不織布の繊維間隙に入り込んで接着している
と、壁紙の貼り換え時に壁紙の表層部自体が剥離するこ
とを防止するとともに、防汚層において、表面の繊維調
の風合を維持しつつ汚れの侵入を表面近傍で抑えること
ができ、汚れの払拭性も向上し、好ましい。
【0008】前記防汚層の見かけの厚みは、0.02mm
以上、0.1mm以下の範囲であり、前記嵩高層の見かけ
の厚みは、0.15mm以上であり、嵩高層と防汚層との
見かけの厚み比(嵩高層/防汚層)は3以上であると、
透気性を損なうことがなく結露を防止することができ、
深みのあるしぼを付与することができ、好ましい。
【0009】前記湿式不織布および前記嵩高不織布のう
ち少なくとも一方の不織布を構成する繊維は、鞘成分を
低融解成分とし、芯成分を低融解成分の融解温度より1
5℃以上高い融解温度を有する高融解成分で構成された
鞘芯型熱融解性複合繊維を含有すると、壁紙表面の毛羽
立ちなど耐摩耗性が向上するだけでなく、表面の繊維露
出部分が緻密化されて、防汚性に優れるものであった
り、深みのあるしぼが固定化させることができたりし、
好ましい。
【0010】本発明の表層材は、目付が10g/m2以上、
30g/m2以下の範囲であり、2.94cN/cm2荷重におけ
る厚みが0.1mm以下からなる湿式不織布と、目付が3
0g/m2以上、80g/m2以下の範囲であり、2.94cN/c
m2荷重における厚みが0.25mm以上からなる嵩高不織
布とを、熱可塑性樹脂単独の固化状態における2.94
cN/cm2荷重での厚みが0.005mm以上、0.045mm
以下の範囲からなる融解状態の薄膜状熱可塑性樹脂で接
着させることにより、製造することができる。
【0011】本発明の壁紙は、湿式不織布を表面とし、
前記湿式不織布と透気性熱可塑性樹脂とが一体化された
防汚層と、前記防汚層の裏面に防汚層の見かけの厚みよ
り厚みが大きい嵩高不織布で構成された嵩高層が積層一
体化された表層部を有するものである。すなわち、湿式
不織布を表面とし、湿式不織布と透気性熱可塑性樹脂と
が一体化された防汚層を形成することにより、表面に繊
維調の風合を維持しつつ防汚性に優れた壁紙表面を得る
ことができる。また、防汚層が透気性を有するので、結
露を抑制することができる。さらに、嵩高層が一体化さ
れているので、深みのあるしぼを有し、意匠性に優れた
壁紙を得ることができる。
【0012】本発明の壁紙は、湿式不織布を表面とし、
前記湿式不織布と透気性熱可塑性樹脂とが一体化された
防汚層と、前記防汚層の裏面に防汚層の見かけの厚みよ
り厚みが大きい嵩高不織布で構成された嵩高層が積層一
体化された表層部と、裏打ち紙とが接着されてなる。
【0013】前記壁紙にはエンボス模様が付与されてい
ることが好ましい。
【0014】前記エンボス模様を構成するエンボス部分
と非エンボス部分のうち、非エンボス部分において、少
なくとも一部は繊維形態を維持しており、不織布の表面
近傍に熱可塑性樹脂が存在している、または一部の熱可
塑性樹脂が表面に露出していると、表面の風合が繊維調
を維持しつつ、防汚効果に特に優れ、好ましい。さら
に、前記防汚層における非エンボス部分の見かけの厚み
は、0.01mm以上、0.09mm以下の範囲であり、前
記嵩高層における非エンボス部分の見かけの厚みは、
0.1mm以上であり、非エンボス部分における嵩高層と
防汚層との見かけの厚み比(嵩高層/防汚層)が1.2
以上であることが好ましい。
【0015】前記壁紙は、湿式不織布と、嵩高不織布と
が、熱可塑性樹脂により接着された表層材を準備し、前
記嵩高不織布面に裏打ち材を接着剤により接合し、前記
湿式不織布面がエンボスロールに当接するようにエンボ
ス処理して、不織布表面にエンボス模様を形成させるこ
とにより、製造することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の表層材に用いられる湿式
不織布としては、表面に繊維調を維持しながら、汚れが
壁紙内部の奥深くに入り込まない目付、厚み、あるいは
繊維間隙を形成するものが好ましい。湿式不織布は、他
の乾式ウェブからなる不織布に比べ、厚みが小さく、緻
密な繊維構造であり、繊維自体が主として横たわってい
るので、汚れが入り込み難い不織布構造である点で優れ
ている。湿式不織布の2.94cN/cm2荷重における厚み
は、0.1mm以下であることが好ましい。より好ましい
厚みの下限は、0.03mm以上である。より好ましい厚
みの上限は、0.09mm以下である。湿式不織布の厚み
が小さすぎると、熱可塑性樹脂が湿式不織布の繊維間隙
を貫通して完全に表面に露出してしまい、繊維調の風合
が得られない恐れがある。湿式不織布の厚みが0.1mm
を超えると、湿式不織布の繊維間隙の奥深くに汚れなど
が入り込んでしまい、十分な防汚性が得られない恐れが
ある。
【0017】前記湿式不織布の目付は、10g/m2以上、
30g/m2以下の範囲であることが好ましい。より好まし
い湿式不織布の目付の下限は、13g/m2以上であり、さ
らに好ましくは15g/m2以上である。より好ましい湿式
不織布の目付の上限は、25g/m2以下であり、さらに好
ましくは、20g/m2以下である。湿式不織布の目付が1
0g/m2未満であると、不織布自体の地合が不均一となる
だけでなく、熱可塑性樹脂が湿式不織布の繊維間隙を貫
通して完全に表面に露出してしまう恐れがある。湿式不
織布の目付が30g/m2を超えると、繊維調の風合は有す
るものの、湿式不織布の繊維間隙の奥深くに汚れなどが
入り込んでしまい、十分な防汚性が得られない恐れがあ
る。
【0018】湿式不織布を構成する繊維としては、塩化
ビニル系樹脂などハロゲン系樹脂を除く非ハロゲン系樹
脂からなる繊維で構成することが好ましい。例えば、パ
ルプ、マニラ麻、レーヨン、アクリル系繊維、ポリエス
テル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリオレフィン系繊維
などを単独、あるいは混合、積層して用いられる。繊維
形状も断面において円形、異形、中空などいずれであっ
てもよい。
【0019】エンボス加工性および深いしぼの形成性を
考慮すると、熱可塑性合成繊維を含有することが好まし
く、例えば、三井化学(株)製SWPなどのフィブリル
化ポリエチレンなどに代表される低融解温度を有する単
一繊維、あるいは鞘芯型、並列型、分割型などの複合繊
維が挙げられる。なかでも、鞘成分を低融解成分とし、
芯成分を低融解成分の融解温度より15℃以上高い融解
温度を有する高融解成分で構成された鞘芯型熱融解性複
合繊維を含有することが好ましい。例えば、共重合ポリ
エステル/ポリエチレンテレフタレート、共重合ポリエ
ステル/ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン
/ポリエチレンテレフタレート、エチレン−プロピレン
共重合体/ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン
/ポリエチレンテレフタレート、エチレン−ビニルアル
コール共重合体/ポリエチレンテレフタレート、エチレ
ン―プロピレン共重合体/ポリプロピレン、ポリエチレ
ン/ポリプロピレンなどが挙げられ、特に芯成分にポリ
エチレンテレフタレートを用いると、繊維自体にコシが
あり、エンボス性および深いしぼの形成性に優れ、表面
の毛羽立ちを抑制し、耐摩耗性に優れ、好ましい。鞘芯
型熱融解性複合繊維の含有量としては、20mass%以上
であることが好ましい。より好ましい鞘芯型熱融解性複
合繊維の含有量の下限は、30mass%以上である。より
好ましい鞘芯型熱融解性複合繊維の含有量の上限は、8
0mass%以下である。含有量が20mass%未満である
と、表面の耐摩耗性に劣るだけでなく、壁紙作製時のエ
ンボス加工において明瞭なしぼが形成され難い恐れがあ
る。
【0020】また、表面の触感、あるいは印刷材料の選
択性を考慮すると、パルプやマニラ麻などのセルロース
系繊維を含有することが好ましい。例えば、前記繊維を
混合する場合、セルロース系繊維と熱可塑性合成繊維の
割合は20:80〜80:20であることが好ましい。
また、前記繊維を積層の場合、例えば、表面にセルロー
ス系繊維のみの層を設け、裏面に熱可塑性合成繊維のみ
の層を設ける、あるいは表面に熱可塑性合成繊維のみの
層を設け、裏面にセルロース系繊維のみの層を設けても
よく、積層体全体で、セルロース系繊維と熱可塑性合成
繊維の割合は20:80〜80:20であるとよい。
【0021】前記湿式不織布は、できるだけ緻密な繊維
構造であることが好ましく、パルプなど繊維長が短いも
のや、繊維繊度が3dtex以下の繊維を用いることが好ま
しい。繊維繊度が3dtexを超えると、繊維の集合形態が
疎となり、汚れなどの侵入を抑制することが困難となる
恐れがある。
【0022】前記湿式不織布は、円網式、短網式、長網
式など公知の抄紙機を用いて抄紙し、乾燥するとよい。
また、必要に応じて、シリンダードライヤーなどの熱処
理機を用いて、熱可塑性合成繊維を熱融解させてもよ
い。
【0023】次に、本発明の表層材に用いられる嵩高不
織布としては、前記湿式不織布及び後述する熱可塑性樹
脂とが一体化された防汚層の見かけ厚みよりも厚みの大
きい嵩高層を形成させることができる不織布で構成され
る。具体的には、嵩高不織布の2.94cN/cm2荷重にお
ける厚みは、0.25mm以上であることが好ましい。よ
り好ましい厚みの下限は0.3mm以上である。より好ま
しい厚みの上限は1.6mm以下である。嵩高不織布の厚
みが小さすぎると、不織布に十分な嵩が得られず、エン
ボス模様を付与したときに深いしぼが形成し難い傾向に
ある。
【0024】嵩高不織布の目付は、30g/m2以上、80
g/m2以下の範囲であることが好ましい。より好ましい嵩
高不織布の目付の下限は、35g/m2以上であり、さらに
好ましくは、40g/m2以上である。より好ましい嵩高不
織布の目付の上限は、70g/m2以下であり、さらに好ま
しくは、65g/m2以下である。嵩高不織布の目付が30
g/m2未満であると、不織布に十分な嵩が得られず、エン
ボス模様を付与したときに深いしぼが形成し難い傾向に
ある。嵩高不織布の目付が80g/m2を超えると、コスト
高となるからである。
【0025】前記嵩高不織布を構成する繊維としては、
塩化ビニル系樹脂などハロゲン系樹脂を除く非ハロゲン
系樹脂からなる繊維で構成することが好ましい。例え
ば、パルプ、マニラ麻、レーヨン、アクリル系繊維、ポ
リエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリオレフィン
系繊維などを単独、あるいは混合、積層して用いられ
る。繊維形状も断面において円形、異形、中空などいず
れであってもよい。
【0026】エンボス性および深いしぼの形成性、ある
いは後述する裏打ち紙との接着性を考慮すると、熱可塑
性合成繊維であることが好ましく、例えば、低融解温度
を有する単一繊維、あるいは鞘芯型、並列型、分割型な
どの複合繊維が挙げられる。なかでも、鞘成分を低融解
成分とし、芯成分を低融解成分の融解温度より15℃以
上高い融解温度を有する高融解成分で構成された鞘芯型
熱融解性複合繊維を含有することが好ましい。例えば、
共重合ポリエステル/ポリエチレンテレフタレート、共
重合ポリエステル/ポリブチレンテレフタレート、ポリ
プロピレン/ポリエチレンテレフタレート、エチレン−
プロピレン共重合体/ポリエチレンテレフタレート、ポ
リエチレン/ポリエチレンテレフタレート、エチレン−
ビニルアルコール共重合体/ポリエチレンテレフタレー
ト、エチレン―プロピレン共重合体/ポリプロピレン、
ポリエチレン/ポリプロピレンなどが挙げられ、特に芯
成分にポリエチレンテレフタレートを用いると、繊維自
体にコシがあり、エンボス性および深いしぼの形成性に
優れ、好ましい。鞘芯型熱融解性複合繊維の含有量とし
ては、20mass%以上であることが好ましい。より好ま
しい鞘芯型熱融解性複合繊維の含有量の下限は、30ma
ss%以上である。より好ましい鞘芯型熱融解性複合繊維
の含有量の上限は、80mass%以下である。含有量が2
0mass%未満であると、エンボス加工において明瞭なし
ぼが形成され難いだけでなく、後述する熱可塑性樹脂と
の層間接着性に劣る恐れがある。例えば、前記繊維を混
合する場合、セルロース系繊維と熱可塑性合成繊維の割
合は20:80〜80:20であることが好ましい。ま
た、前記繊維を積層する場合、積層体全体で、セルロー
ス系繊維と熱可塑性合成繊維の割合は20:80〜8
0:20であるとよい。
【0027】前記嵩高不織布の繊維ウェブ形態として
は、ステープル繊維からなるパラレルウェブ、セミラン
ダムウェブ、ランダムウェブ、クロスレイウェブ、クリ
スクロスウェブなどのカードウェブ、長繊維からなるス
パンボンドウェブ、短繊維からなるエアレイウェブなど
の乾式繊維ウェブが挙げられる。次いで、ケミカルボン
ド、サーマルボンド、ニードルパンチ、水流交絡などを
1または2以上組み合せて繊維同士を結合させる。特に、
ニードルパンチや水流交絡などの三次元交絡処理を用い
れば、繊維同士が厚み方向にも配列することとなり、前
記湿式不織布と熱可塑性樹脂による積層一体化処理やエ
ンボス模様付与処理など厚み方向に圧力が加わっても嵩
高性を維持することができ、好ましい。
【0028】次に、本発明の表層材に用いられる熱可塑
性樹脂としては、薄膜形成性を有し、前記湿式不織布及
び嵩高不織布とを接着する作用を有することが好まし
い。さらに、各々の不織布の内部に入り込み、特に湿式
不織布の表面近傍または表面の一部に露出するまで入り
込むことが可能である熱可塑性樹脂を選択することが好
ましい。
【0029】熱可塑性樹脂単独の固化状態における2.
94cN/cm2荷重での厚みは、0.005mm以上、0.0
45mm以下の範囲であることが好ましい。より好ましい
厚みの下限は0.007mm以上である。より好ましい厚
みの上限は0.03mm以下である。前記熱可塑性樹脂単
独の固化状態とは、樹脂の吐出量などを調整して熱可塑
性樹脂の単位面積あたりの質量や薄膜の厚みを決定する
ために、予め熱可塑性樹脂単独で押し出し、固化したと
きの厚みを測定し、溶融状態での厚みを管理するために
用いられるものである。熱可塑性樹脂の厚みが0.00
5mm未満であると、後述するエンボス処理時に多孔化が
進みすぎて、表層材内部への汚れの侵入を阻止すること
ができない恐れがあり、熱可塑性樹脂の厚みが0.04
5mmを超えると、透気性が損なわれ、結露を発生する恐
れがある。
【0030】熱可塑性樹脂を素材としては、塩化ビニル
系樹脂などハロゲン系樹脂を除く非ハロゲン系樹脂で構
成することが好ましい。例えば、低密度ポリエチレン、
中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピ
レン、エチレン−ビニルアルコール共重合体などの重合
体あるいは他のオレフィン成分との共重合体などのポリ
オレフィン系樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。後述
するエンボス処理による微多孔形成性からポリオレフィ
ン系樹脂が好ましく、特に、しぼ形成性及び風合の柔軟
さから低密度ポリエチレン樹脂を用いることがより好ま
しい。
【0031】次に、本発明の表層材において、前記湿式
不織布を表面とし、湿式不織布と前記熱可塑性樹脂とが
一体化されて防汚層を形成する。図1に、本発明の表層
材の断面の一例を示す。防汚層5は、熱可塑性樹脂3が
湿式不織布2の内部に入り込み、湿式不織布2の表面近
傍、または表面の一部に露出するまで入り込んでいる
と、表面の風合が繊維調でありながら汚れの侵入を最大
限に防止することができ、好ましい。
【0032】前記防汚層の見かけの厚みは、0.02mm
以上、0.1mm以下であることが好ましい。より好まし
い見掛けの厚みの下限は、0.03mm以上である。より
好ましい見かけの厚みの上限は、0.08mm以下であ
る。ここでいう見かけの厚みとは、不織布の断面を電子
顕微鏡で150〜500倍に拡大し、熱可塑性樹脂と嵩
高不織布とを境界とし、表面から境界までの長さをい
う。本発明においては、嵩高不織布内部にも熱可塑性樹
脂が入り込むことがあるが、この場合熱可塑性樹脂の入
り込んだ部分でも防汚作用を有していることから防汚層
とみなす。防汚層の見かけの厚みが0.02mm未満であ
ると、エンボス加工により明瞭なしぼが形成され難い恐
れがあるだけでなく、表面の耐摩耗性にも劣る。見かけ
の厚みが0.1mmを超えると、透気性が損なわれ、結露
を発生する恐れがある。
【0033】そして、図1に示すように、前記防汚層5
の裏面に防汚層5の見かけの厚みより厚みが大きい嵩高
不織布4で構成された嵩高層6が積層一体化されて表層
材1を構成する。嵩高層6の見かけの厚みとしては、
0.15mm以上であることが好ましい。より好ましい見
かけの厚みの下限は、0.2mm以上である。より好まし
い見かけ厚みの上限は、1mmである。見かけ厚みが0.
15mm未満であると、エンボス加工時において明瞭なし
ぼが形成し難い恐れがある。また、前記嵩高層6の見か
けの厚みは、防汚層5の見かけの厚みとの比(嵩高層/
防汚層)が3以上であるが好ましい。より好ましい厚み
比の下限は、5以上である。ここでいう嵩高層6の見か
けの厚みとは、前記防汚層5との境界からの厚みを指
し、防汚層5の熱可塑性樹脂3が嵩高不織布4の内部に
入り込んでいる場合は、熱可塑性樹脂3の境界までを防
汚層5とみなす。見かけ厚み比が3未満であると、表層
材自体に十分な嵩を有しないため、エンボス模様を付与
したときに深いしぼが形成し難い傾向にある。
【0034】また、前記表層材において、熱可塑性樹脂
は防汚効果を有すると同時に、表層材自体の透気性を損
なう恐れがあるので、「J.TAPPI 紙パルプ試験
方法No.5 B 王研式透気度試験機(加圧式)によ
る方法」に準ずる透気度が1000秒以下となるように
調整することが好ましい。より好ましい透気度は500
秒以下である。透気度が1000秒を超えると、後述す
るエンボス処理によって微多孔化されても、結露などを
抑制するのに十分な透気度が得られない恐れがあるから
である。
【0035】次いで、前記表層材は、以下のように製造
することができる。例えば、前記湿式不織布及び前記嵩
高不織布を前述した方法により準備し、一方で熱可塑性
樹脂を溶融して薄膜を形成しながら、貼り合わせる方
法、あるいは予め湿式不織布、熱可塑性樹脂薄膜、及び
嵩高不織布を準備し、各々を積層し、熱などの手段によ
り貼り合わせる方法などが挙げられる。なかでも、前記
湿式不織布及び前記嵩高不織布を準備し、一方で熱可塑
性樹脂を溶融し、Tダイで押出して、溶融状態の薄膜を
形成しながら、各々の不織布を巻き出し、ロール間で押
さえて貼り合わせる方法(押出ラミネート法)を用いる
と、湿式不織布及び嵩高不織布を効率よく接着すること
ができるとともに、繊維間隙に熱可塑性樹脂が入り込ま
せ、防汚作用を有する防汚層、及び深みのあるしぼを付
与する作用を有する嵩高層を得ることができ、好まし
い。
【0036】具体的には、目付が10g/m2以上、30g/
m2以下の範囲であり、2.94cN/cm2荷重における厚み
が0.1mm以下からなる湿式不織布を準備し、目付が3
0g/m2以上、80g/m2以下の範囲であり、2.94cN/c
m2荷重における厚みが0.25mm以上からなる嵩高不織
布を準備する。次いで、公知のTダイを用い、樹脂の粘
度、吐出量などを調整して、熱可塑性樹脂単独の固化状
態における2.94cN/cm2荷重での厚みが0.005mm
以上、0.045mm以下の範囲となるように溶融、押出
しする。そして、溶融状態を保持した薄膜状熱可塑性樹
脂の両側から各々の不織布を巻き出して、一対のロール
間で加圧しながら接着させることにより、製造すること
ができる。
【0037】このとき、湿式不織布の厚みと熱可塑性樹
脂の厚みの関係、あるいは熱可塑性樹脂の溶融状態と加
圧条件によって熱可塑性樹脂の各々の不織布内部への入
り込み量が決定され、例えば、湿式不織布の厚みに対し
て熱可塑性樹脂の厚みの方が大きくなると、熱可塑性樹
脂が不織布表面全体に露出する恐れがあるので、湿式不
織布の厚みの方が大きくなるように設定することが好ま
しい。特に、熱可塑性樹脂が湿式不織布の表面近傍また
は表面の一部に露出するまで入り込むように処理するこ
とが好ましい。ここでいう表面近傍とは、元の湿式不織
布の厚みに対して、表面から約50%の厚み部分位置ま
で熱可塑性樹脂が入り込んでいることを指す。より好ま
しくは、表面から約30%の厚み部分位置まで熱可塑性
樹脂を入り込ませることである。また、ここでいう表面
の一部に露出とは、湿式不織布表面において、繊維形態
を維持している部分を除いた薄膜状の部分のことを指
す。熱可塑性樹脂の入り込みの量が少ないと、湿式不織
布表面から熱可塑性樹脂までの厚み方向の距離が大きく
なり、湿式不織布の繊維間隙に汚れ等が侵入して、拭き
取っても汚れが残存する恐れがある。熱可塑性樹脂の表
面への露出度合いが多いと、繊維調の風合が得難くなる
恐れがある。前記露出度合いを以下のようにして定義し
たとき、露出繊維本数は15本/mm2以上、250本/m
m2以下であることが好ましい。ここでいう露出繊維本数
とは、図2に示すとおり、表層材1の表面を電子顕微鏡
で150〜500倍に拡大して撮影し、1mm2当たりに
占める繊維間隙7を形成する交点8a、交点8b、交点
8c、交点8dとしたとき、間隙を構成する交点から隣
り合う交点までの繊維をそれぞれ1本とみなし、露出繊
維a(7a)、露出繊維b(7b)、露出繊維c(7
c)、露出繊維d(7d)として露出繊維本数を測定す
る。露出繊維本数が前記範囲を満たすと、熱可塑性樹脂
の露出度合いが適正であるとみなす。なお、繊維同士が
束状に接着したものも1本の繊維とみなす。また、ここ
でいう繊維間隙とは、少なくとも繊維形態を有する繊維
1本により形成された空隙のことを指す。
【0038】前記熱可塑性樹脂の各々の不織布内部への
入り込み量の目安として、各々の不織布、及び固化状態
の熱可塑性樹脂のそれぞれ単独の2.94cN/cm2荷重に
おける厚みの合計と、表層材の2.94cN/cm2荷重にお
ける厚みとの比(ラミネート圧縮比)が、0.8以下と
なるように調整するとよい。
【0039】次に、本発明の壁紙について説明する。本
発明の壁紙は、湿式不織布を表面とし、前記湿式不織布
と透気性熱可塑性樹脂とが一体化された防汚層と、前記
防汚層の裏面に防汚層の見かけの厚みより厚みが大きい
嵩高不織布で構成された嵩高層が積層一体化された表層
部を有するものである。具体的には、前記表層材により
表層部を形成した壁紙である。
【0040】そして、前記壁紙は、図3に示すとおり、
通常、前記表層材1の裏面に難燃紙などの裏打ち紙13
と接着されて構成される。前記裏打ち紙としては、例え
ば、ビニル壁紙、紙壁紙、織物壁紙、あるいは不織布壁
紙など裏打ち紙として通常用いられている紙を使用する
ことができる。
【0041】前記表層材1と裏打ち紙13との接着は、
ビニル壁紙、紙壁紙、織物壁紙、あるいは不織布壁紙な
ど裏打ち紙の接着剤12として通常用いられている、例
えばエチレン−酢酸ビニル系樹脂などの接着剤を使用す
ることができる。
【0042】そして、前記壁紙の表面には、エンボスロ
ールにより、エンボス部分10と非エンボス部分11と
で形成されたエンボス模様が付与される。エンボスによ
る模様の形態や深さなどは特に限定されないが、本発明
の壁紙の特徴を最も発揮するには、できるだけ深いしぼ
を有するものであることが、壁紙としての立体感や意匠
性、繊維調の風合を得る点で好ましい。エンボス模様に
おけるしぼの深さは、0.05mm以上であることが好ま
しい。
【0043】また、前記エンボス処理によって、本発明
の壁紙表面において、エンボス部分は押圧されてしぼの
凹部を形成し、非エンボス部分はしぼの凸部を形成す
る。非エンボス部分は、少なくとも一部が繊維形態を維
持しており、不織布の表面近傍に熱可塑性樹脂が存在し
た構造を有するか、または一部の熱可塑性樹脂が表面に
露出した構造を有しており、特に、非エンボス部分は直
接、人が触れる部位であり、また人や物の接触により汚
れが付着しやすい部位であるため、上記構造を得ること
が重要である。非エンボス部分における繊維の露出度合
いは、図4に示すように前記表層材の露出繊維9の本数
から、エンボスによる熱圧着作用、熱可塑性樹脂の入り
込み作用によってさらに露出度合いが減少するため、1
mm2当たりに占める露出繊維本数は、4本以上であるこ
とが好まい。より好ましい露出繊維本数は、10本以上
である。露出繊維本数が4本未満であると、繊維調の風
合が失われフィルム調となるからである。
【0044】一方、前記エンボス処理により、壁紙の厚
み方向においても前記表層材から厚みがさらに減少する
ため、防汚層における非エンボス部分の見かけの厚みが
0.01mm以上、0.09mm以下の範囲であることが好
ましい。より好ましい防汚層における非エンボス部分の
見かけの厚みの下限は、0.02mm以上である。より好
ましい防汚層における非エンボス部分の見かけの厚みの
上限は、0.08mm以下である。また、嵩高層における
非エンボス部分の見かけ厚みは、0.1mm以上であるこ
とが好ましい。さらに、非エンボス部分における嵩高層
と防汚層との見かけの厚み比(嵩高層/防汚層)は、
1.2以上とすることが好ましい。好ましい見かけの厚
み比の下限は、1.5以上である。非エンボス部分にお
ける防汚層の見かけの厚み、嵩高層の見かけの厚み、お
よび見かけの厚み比が前記範囲外であると、前記表層材
と同様の問題を生じる恐れがある。なお、防汚層と嵩高
層との合計見かけの厚みが0.6mmを超えると、壁紙自
体の嵩が大きくなり過ぎる恐れがあるので、0.6mmの
範囲内で調整するとよい。
【0045】本発明の壁紙の透気度は、300秒以下で
あることが好ましい。より好ましい透気度の上限は、2
00秒以下である。より好ましい透気度の下限は、20
秒以上である。前記表層材の透気度に比べ、前記エンボ
ス処理後の透気度が低くなる傾向にある。これは、後述
するエンボス処理によって熱可塑性樹脂が微多孔化され
て透気性、透湿性が向上するからである。透気度が30
0秒を超えると、汚れや液体などが壁紙の内部に侵入す
ることを防止できるが、空気の透過性に劣り、結露など
を抑制することができない。透気度があまりに小さすぎ
ると、汚れや液体などが壁紙の内部に侵入し、防汚性に
劣る恐れがある。なお、透気度が小さくなり過ぎると、
透気性、透湿性は向上するが、汚れの侵入を防止するこ
とが困難となる恐れがあるので、適宜エンボス条件を調
整するとよい。
【0046】次に、本発明の壁紙の製造方法について説
明する。まず、前記表層材と、裏打ち紙を準備し、接着
剤を用いてラミネート処理して壁紙用基材を作製する。
このとき接着剤は、乾式でも湿式でもいずれであっても
よく、乾式であれば、熱処理により接着させて冷却固化
することができ、湿式であれば、ディッピング法、グラ
ビアコーティング法、ドット法などにより接着剤を塗布
して乾燥させて接着することができる。
【0047】次いで、壁紙用基材表面に、水性インキ、
アクリル系インキなどのインキを、例えば、グラビア印
刷、フレキソ印刷、ロータリースクリーン印刷、オフセ
ット印刷、転写印刷、活版印刷など一般的な印刷方法を
用いて、印刷が施される。また、必要に応じて、油性、
シリコーン系、フッ素系の撥水剤を塗布することができ
る。
【0048】そして、壁紙用基材にエンボス処理が施さ
れる。エンボスロールは、通常壁紙のエンボス処理に用
いられるものが使用される。例えば、エンボス率は、ロ
ール全面積に対して20〜60%のエンボス面積で付与
されていることが好ましい。エンボスの高さは、0.1
〜0.6mmであることが好ましい。エンボス処理におけ
る温度は、表層材を構成する繊維のうち、熱可塑性合成
繊維の少なくとも一部が融解する温度以上で処理するこ
とが好ましい。熱可塑性合成繊維が融解する温度未満で
あると、壁紙表面における防汚層の形成が困難となる恐
れがあるだけでなく、深いしぼの形成が困難となる恐れ
がある。例えば、熱可塑性合成繊維として、鞘成分を低
融解成分とし、芯成分を低融解成分の融解温度より15
℃以上高い融解温度を有する高融解成分で構成された鞘
芯型熱融解性複合繊維を用いた場合、鞘成分の融解温度
以上、芯成分の融解温度未満の温度でエンボス処理する
ことが好ましい。特に、芯成分の融解温度より20℃低
い温度以上、芯成分の融解温度未満の温度で処理する
と、鞘成分は完全に融解されて緻密な表面が得られ、芯
成分も変形されてエンボス模様が鮮明に形成され、好ま
しい。
【0049】一方、熱可塑性樹脂は、前記エンボス処理
により、エンボス模様を形成するとともに、微多孔化さ
れて、適度な透気性を有するが汚れの侵入を防止可能な
透気性熱可塑性樹脂が得られる。微多孔化される理由に
ついては、定かではないが、熱可塑性樹脂が軟化した
り、再融解されたときに、不織布を構成する繊維が突き
刺さったり、食い込んだりするなどによって微多孔化さ
れるものと推定される。エンボス処理温度が熱可塑性樹
脂が融解する温度より5℃低い温度未満であると、熱可
塑性樹脂の微多孔形成性に劣るだけでなく、エンボス模
様が鮮明に形成されないからである。
【0050】したがって、前記エンボス処理温度は、不
織布を構成する熱可塑性合成繊維が融解する温度以上
と、かつ熱可塑性樹脂が融解する温度より5℃低い温度
以上を同時に満たすことが好ましい。特に、芯成分の融
解温度より20℃低い温度以上、芯成分の融解温度未満
の温度で処理すると、表面が緻密であり、しぼが鮮明に
形成されるだけでなく、熱可塑性樹脂に微孔が多数得る
ことができるので、繊維調の風合、防汚性及び透気性と
いう相反する特性を同時に満たすことができ、好まし
い。また、しぼの鮮明性や加工性等からエンボス処理に
おける圧力は、70N/cm以上、500N/cm以下であるこ
とが好ましい。
【0051】そして、必要に応じて、エンボス処理の施
された壁紙用基材に油性、シリコーン系、フッ素系など
の撥水剤を塗布し、必要に応じてキュアリング処理を施
して、壁紙を得る。
【0052】
【実施例】以下、実施例を挙げて具体的に説明する。な
お、不織布の厚み、露出繊維本数、透気度、払拭性試験
は、以下のとおり測定した。
【0053】[厚み] (1)2.94cN/cm2荷重での厚み 厚み測定機(商品名:THICKNESS GAUGE モデル CR-60A
(株)大栄科学精器製作所製)を用い、試料1cm2 あた
り2.94cNの荷重を加えた状態で測定した。
【0054】(2)見かけの厚み 試料を3枚準備し、電子顕微鏡(日立サイエンスシステ
ムズ製、S−3500N)に装着し、200倍に拡大し
て3箇所撮影し、各々厚みを測定し、その平均値を見か
け厚みとした。
【0055】[露出繊維本数]試料表面を電子顕微鏡
で、湿式不織布および表層材の場合200倍に、壁紙の
非エンボス部分の場合30倍に拡大して3箇所撮影し、
1mm2当たりに占める繊維間隙を形成している露出繊維
の交点から隣り合う交点までの繊維を1本として露出繊
維本数を測定し、その平均値を露出繊維本数とした。
【0056】[透気度]J.TAPPI 紙パルプ試験
方法 No.5 B 王研式透気度試験機(加圧式)に
よる方法に準じて測定した。
【0057】[払拭性試験] (1)施工時の汚れ(自然付着) 澱粉系の施工糊(ヤヨイ化学工業(株)製、ユーアマイ
ルド)100g中に部屋の中にある設備に付着している
埃5gと、水性サインペン(ぺんてる(株)製)のイン
キを微量採取し、ヘラに付けて糊と混ぜ合わせて汚れた
施工糊を作製し、前記汚れ施工糊を壁紙表面に約4cm×
約15cm大きさで約0.5g付着させた。
【0058】(2)施工時の汚れ(擦り付け付着) 部屋の中にある設備に付着している埃を軍手にしみ込ま
せて汚れた軍手を作製し、これを壁紙表面に約4cm×約
15cm大きさで手で擦り付け付着させた。
【0059】(3)コーヒーの汚れ 日本ビニル工業会・ビニル建装部会制定の「汚れ防止商
品性能表示規定」(業界規定)に基づき、ネスカフェゴ
ールドブレンド(ネスレ(株)製)を用い、水100g
に対してコーヒー4gの濃度のものを常温で調製した。
次いで、45℃前後に傾斜した試験台にA4サイズの試
験片を貼付し、その上からビーカーに入れたコーヒーを
汚染範囲が約10cm巾になるように振りかけて、付着さ
せた。
【0060】(4)醤油の汚れ 日本ビニル工業会・ビニル建装部会制定の「汚れ防止商
品性能表示規定」(業界規定)に基づき、キッコーマン
(株)の濃い口醤油を用い、前記コーヒーの汚れと同様
の方法で振りかけて、付着させた。
【0061】(5)汚れ付着壁紙の払拭性試験 試験片に各種汚れを付着させた後、24時間放置し、そ
の後、白綿布に水を含ませて丁寧に拭き取り、試験終了
の1時間後にJIS−L−0805に準ずる汚染用グレ
ースケールを用いて汚れを拭き取った部分と、汚れが付
着していない部分(原片)と比較して判定した。判定表
示は、下記のように5級(良好)〜1級(不可)の5段
階としグレードが2段階にまたがる場合は3〜4級のよ
うに表示した。 1級:汚れが汚染用グレースケールの1号またはその程
度を越えるもの(汚れが濃く残る) 2級:汚れが汚染用グレースケールの2号程度のもの
(かなり汚れが残る) 3級:汚れが汚染用グレースケールの3号程度のもの
(やや汚れが残る) 4級:汚れが汚染用グレースケールの4号程度のもの
(殆ど汚れが残らない) 5級:汚れが汚染用グレースケールの5号程度のもの
(汚れが残らない)
【0062】[実施例1] (1)湿式不織布の準備 パルプ(NBKP)を50mass%と、繊度2.2dtex、
繊維長10mmの鞘成分が共重合ポリエステル、芯成分が
ポリエチレンテレフタレートからなるポリエステル系鞘
芯型複合繊維(東洋紡績(株)製、EE7)を50mass
%を準備し、湿式抄紙して目付20g/m2の湿式不織布を
得た。
【0063】(2)嵩高不織布の準備 繊度1.7dtex、繊維長40mmのレーヨン繊維(ダイワ
ボウレーヨン(株)製)を60mass%と、繊度2.2dte
x、繊維長51mmの鞘成分が共重合ポリエステル、芯成
分がポリエチレンテレフタレートからなるポリエステル
系鞘芯型複合繊維(東洋紡績(株)製、EE7)を40
mass%を準備した。なお、ポリエステル系鞘芯型複合繊
維の融点(JIS−L−7122(DSC法)による)
は、芯成分の約253℃しか確認できなかった。一方、
鞘成分における融解温度は約110℃であった。
【0064】前記2繊維を混綿し、セミランダムカード
機を用いて繊維ウェブとした後、繊維ウェブを経緯の線
径がそれぞれ0.132mm、90メッシュの平織りネッ
ト上に載置し、孔径0.1mmのオリフィスが0.6mm間
隔で設けられたノズルから表側を水圧2MPa、4MPa、7
MPaで水流を噴射し、裏側を7MPaで水流を2回噴射し、
構成繊維を交絡させた後、135℃で乾燥すると同時に
ポリエステル系鞘芯型複合繊維を融解して、目付50g/
m2の水流交絡不織布(嵩高不織布)を得た。
【0065】(3)表層材の作製(押出ラミネート処
理) 前記湿式不織布及び前記嵩高不織布を準備し、一方で融
点が約110℃の低密度ポリエチレン樹脂を120℃に
溶融してTダイのスリットから厚みが0.015mmと
なるように溶融状態の低密度ポリエチレン薄膜を押出
し、各々の不織布を巻き出して、駆動ロール間で加圧し
て積層一体化させて表層材を作製した。
【0066】(4)壁紙の作製 裏打ち紙として目付110g/m2の難燃紙を準備し、難燃
紙の上にコーターを用いてエチレン−酢酸ビニル系接着
剤を塗布量が25g/m2で塗布した後、前記表層材の嵩高
不織布面(裏面)と難燃紙を貼り合わせ、熱風ドラム乾
燥機を用いて、約150℃の温度の乾燥し、壁紙用基材
を得た。次いで、湿式不織布面を表面として、印刷処理
及びシリコーン系撥水剤を約10g/m2塗布して撥水処理
を施した後、エンボス率50%の砂目模様を付与したエ
ンボスロール/フラットロールを用いて、ロール温度2
50℃、線圧260N/cmの条件でエンボスロールが湿式
不織布面に当接するようにして、エンボス処理を施し
た。さらに、シリコーン系撥水剤を約10g/m2塗布して
撥水処理を施して壁紙を得た。
【0067】[実施例2]湿式不織布の構成繊維を、目
付10g/m2の実施例1のパルプ50mass%とポリエステ
ル系鞘芯型複合繊維50mass%の混抄と、目付10g/m2
の実施例1のポリエステル系複合繊維100mass%とを
抄き合わせて抄紙した以外は、実施例1と同様の方法で
表層材及び壁紙を得た。
【0068】[実施例3]湿式不織布の構成繊維を、ポ
リエステル系複合繊維の代わりに、鞘成分が融点約12
8℃の高密度ポリエチレン、芯成分が融点約162℃の
ポリプロピレンからなる繊度2.2dtex、繊維長6mmの
鞘芯型熱融解性複合繊維(大和紡績(株)製、NBF
(H))とした以外は、実施例1と同様の方法で表層材
及び壁紙を得た。
【0069】[実施例4]嵩高不織布の構成繊維を、繊
度1.7dtex、繊維長40mmのレーヨン繊維(ダイワボ
ウレーヨン(株)製)を80mass%と、繊度2.2dte
x、繊維長51mmの鞘成分が高密度ポリエチレン、芯成
分がポリエチレンテレフタレートからなる鞘芯型複合繊
維(大和紡績(株)製、NBF(SH))を20mass%
を用いた以外は、実施例1と同様の方法で表層材及び壁
紙を得た。なお、前記鞘芯型複合繊維の融点は、芯成分
が約253℃、鞘成分が約128℃であった。
【0070】[実施例5]低密度ポリエチレン樹脂の厚
みが0.04mmとなるようにTダイから低密度ポリエ
チレン薄膜を押出した以外は、実施例1と同様の方法で
表層材及び壁紙を得た。
【0071】[比較例1]表面側を実施例1のポリエス
テル系鞘芯型複合繊維100mass%からなる目付40g/
m2のセミランダムカードウェブとし、裏面側を実施例1
のレーヨン繊維80mass%と、実施例1のポリエステル
系鞘芯型複合繊維20mass%とを混綿した目付40g/m2
のセミランダムカードウェブとして、両ウェブを積層
し、実施例1と同様の条件で水流交絡処理及び熱処理を
施して、表層材とした以外は、実施例1と同様の方法で
壁紙を得た。実施例1〜5、および比較例1の表層材お
よび壁紙の性能を表1に示す。
【0072】
【表1】
【0073】実施例1〜4の壁紙は、露出繊維本数も多
く、繊維調を維持しており、湿式不織布と熱可塑性樹脂
が一体化された防汚層を有するので、汚れの入り込みが
少なく汚れ付着防止性に優れていた。また、いずれの汚
れに対して4級以上の優れた払拭性を有するものであっ
た。さらに、嵩高層を有しているので、紙壁紙のような
ペーパーライクな風合ではなくボリューム感があり、鮮
明なしぼを有するものであった。また、実施例5の壁紙
は、熱可塑性樹脂の厚みが大きいため、露出繊維本数が
少なく、若干フィルム調であり、若干透気性に劣るもの
の実用レベルであった。汚れ付着防止性および払拭性に
は優れていた。一方、比較例1の壁紙は、表層材が不織
布のみからなるので、繊維調の風合であり、鮮明なしぼ
を有するものであったが、各種汚れが繊維間隙を通して
内部にまで入り込み、実施例に比べて汚れの付着量が格
段に多くなった。さらに、払拭しても汚れを十分に拭き
取ることができなかった。
【0074】
【発明の効果】本発明の表層材は、湿式不織布を表面と
し、前記湿式不織布と熱可塑性樹脂とが一体化された防
汚層と、前記防汚層の裏面に防汚層の見かけの厚みより
厚みが大きい嵩高不織布で構成された嵩高層とを積層一
体化することにより、エンボス加工時において、シビア
な温度や圧力の管理を必要とせず、表面に繊維調の風合
を維持しつつ防汚性に優れた、特に壁紙表面を得ること
ができ、安定した品質の壁紙を得るのに好適である。さ
らに、透気性を損なうことなく、深みのあるしぼを付与
することができ意匠性に優れた壁紙を得るのに好適な表
層材を得ることができる。
【0075】特に、前記熱可塑性樹脂を前記湿式不織布
および前記嵩高不織布の繊維間隙に入り込んで接着させ
ることにより、壁紙の貼り換え時に壁紙の表層部自体が
剥離することを防止するとともに、防汚層において、表
面の繊維調の風合を維持しつつ汚れの侵入を表面近傍で
抑えることができ、汚れの払拭性も向上させることがで
きる。
【0076】本発明の壁紙は、前記表層材を表層部とし
て用いることにより、表面に繊維調の風合を維持しつつ
防汚性に優れた壁紙表面を得ることができ、防汚層が透
気性を有するので、結露を抑制することができ、嵩高層
を一体化されているので、深みのあるしぼを有し、意匠
性に優れた壁紙を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表層材における断面の一例を示す。
【図2】本発明の表層材における表面の一例を示す。
【図3】本発明の壁紙における断面の一例を示す。
【図4】本発明の壁紙における表面の一例を示す。
【符号の説明】
1.表層材 2.湿式不織布 3.熱可塑性樹脂 4.嵩高不織布 5.防汚層 6.嵩高層 7.繊維間隙 8.交点 9.露出繊維 10.エンボス部分 11.非エンボス部分 12.接着剤 13.裏打ち紙 14.壁紙
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D21H 27/30 D21H 27/30 A E04F 13/00 E04F 13/00 B (72)発明者 大槻 昌弘 大阪市中央区久太郎町3丁目6番8号 大 和紡績株式会社内 Fターム(参考) 4F055 AA17 BA11 CA16 DA02 EA02 EA04 EA24 EA25 EA27 EA36 FA05 GA18 GA34 HA06 4F100 AJ05 AK01A AK01B AK01C AK06 AK42 AL01 BA03 BA10A BA10C BA13 DG15A DG15C DG20A DG20C EH23 EJ40 GB08 GB33 HB21 JA04A JA04C JA13A JA13C JA20A JA20B JA20C JB16A JB16B JB16C JD02 JL06 JL06A JL06B YY00A YY00B YY00C 4L047 AA08 AA12 AA14 AA21 AA27 AA28 BA04 BA08 BA13 BA21 BA24 BC06 CA05 CA06 CA07 CA12 CA19 CB06 CB08 CB10 CC10 4L055 AA02 AC06 AF16 AF17 AF33 AF47 AJ01 AJ02 AJ07 BE13 BE14 BE15 EA08 EA20 FA20 FA30 GA23

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 湿式不織布を表面とし、前記湿式不織布
    と熱可塑性樹脂とが一体化された防汚層と、前記防汚層
    の裏面に防汚層の見かけの厚みより厚みが大きい嵩高不
    織布で構成された嵩高層とが積層一体化してなる表層
    材。
  2. 【請求項2】 熱可塑性樹脂が湿式不織布および嵩高不
    織布の繊維間隙に入り込んで接着している請求項1記載
    の表層材。
  3. 【請求項3】 防汚層の見かけの厚みが0.02mm以
    上、0.1mm以下の範囲であり、嵩高層の見かけの厚み
    が0.15mm以上であり、嵩高層と防汚層との見かけ
    の厚み比(嵩高層/防汚層)が3以上である請求項1ま
    たは2に記載の表層材。
  4. 【請求項4】 湿式不織布および嵩高不織布のうち少な
    くとも一方の不織布を構成する繊維が、鞘成分を低融解
    成分とし、芯成分を低融解成分の融解温度より15℃以
    上高い融解温度を有する高融解成分で構成された鞘芯型
    熱融解性複合繊維を含有する請求項1〜3のいずれかに
    記載の表層材。
  5. 【請求項5】 目付が10g/m2以上、30g/m2以下の範
    囲であり、2.94cN/cm2荷重における厚みが0.1mm
    以下からなる湿式不織布と、 目付が30g/m2以上、80g/m2以下の範囲であり、2.
    94cN/cm2荷重における厚みが0.25mm以上からなる
    嵩高不織布とを、 熱可塑性樹脂単独の固化状態における2.94cN/cm2
    重での厚みが0.005mm以上、0.045mm以下の範
    囲からなる融解状態の薄膜状熱可塑性樹脂で接着させる
    表層材の製造方法。
  6. 【請求項6】 湿式不織布を表面とし、前記湿式不織布
    と透気性熱可塑性樹脂とが一体化された防汚層と、前記
    防汚層の裏面に防汚層の見かけの厚みより厚みが大きい
    嵩高不織布で構成された嵩高層が積層一体化された表層
    部を有する壁紙。
  7. 【請求項7】 湿式不織布を表面とし、前記湿式不織布
    と透気性熱可塑性樹脂とが一体化された防汚層と、前記
    防汚層の裏面に防汚層の見かけの厚みより厚みが大きい
    嵩高不織布で構成された嵩高層が積層一体化された表層
    部と、裏打ち紙とが接着されてなる壁紙。
  8. 【請求項8】 エンボス模様が付与されてなる請求項6
    または7に記載の壁紙。
  9. 【請求項9】 非エンボス部分において、少なくとも一
    部が繊維形態を維持しており、不織布の表面近傍に熱可
    塑性樹脂が存在している、または一部の熱可塑性樹脂が
    表面に露出している請求項8記載の壁紙。
  10. 【請求項10】 防汚層における非エンボス部分の見か
    けの厚みが0.01mm以上、0.09mm以下の範囲であ
    り、嵩高層における非エンボス部分の見かけの厚みが
    0.1mm以上であり、非エンボス部分における嵩高層
    と防汚層との見かけの厚み比(嵩高層/防汚層)が1.
    2以上である請求項8または9に記載の壁紙。
  11. 【請求項11】 湿式不織布と、嵩高不織布とが、熱可
    塑性樹脂により接着された表層材を準備し、 前記嵩高不織布面に裏打ち材を接着剤により接合し、 前記湿式不織布面がエンボスロールに当接するようにエ
    ンボス処理して、不織布表面にエンボス模様を形成させ
    る壁紙の製造方法。
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