JPH06212549A - 印刷基材およびその製造方法 - Google Patents

印刷基材およびその製造方法

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JPH06212549A
JPH06212549A JP5007164A JP716493A JPH06212549A JP H06212549 A JPH06212549 A JP H06212549A JP 5007164 A JP5007164 A JP 5007164A JP 716493 A JP716493 A JP 716493A JP H06212549 A JPH06212549 A JP H06212549A
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JP
Japan
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ink
fixing layer
woven fabric
polyethylene terephthalate
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JP5007164A
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Seiichi Amano
整一 天野
Masahiro Hiroshima
政広 広島
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 表面平滑性を有するポリエチレンテレフタレ
ート長繊維不織布の少なくとも片面にインキ定着層を儲
け、上記インキ定着層の表面粗さを0.2〜0.7にし
た印刷基材。 【効果】 コート紙並の印刷品位と高引裂強力を有する
印刷基材でありポリエチレンテレフタレートから成るの
で耐熱性にも優れ、油性インキ溶剤で膨潤を生じること
もない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は印刷用に優れた不織布か
らなる印刷基材に関し、さらに詳しくはバーコード印刷
や油性オフセット印刷等に最適の印刷基材に関する。
【0002】
【従来の技術】紙への印刷技術は15世紀中頃発明され
た凸版印刷に始り、グラビア印刷を経てオフセット印刷
時代となっており、その印刷基材には紙のほか、延伸フ
ィルムからなる合成紙や、布帛等が用いられている。印
刷基材としての紙では、パルプからなるコート紙やアー
ト紙の技術革新が進み、ある程度満足できる印刷性が得
られているが、紙の持つ欠点、例えば耐水性不良や引裂
強力不足による破れ易さが問題となる場合がある。
【0003】耐水性を改良した印刷基材として、無機充
填剤を含有させて延伸したポリプロピレンフィルム、ポ
リエステルフィルム等からなる合成紙が提案させている
が、これらの合成紙は耐水性に優れるものの延伸フィル
ム特有の引裂強力が小さいことから破れ易く、特にビジ
ネスフォーム等のパンチ穴を有する用途においてはその
部分から裂けてくるという欠点があり、問題となってい
る。
【0004】また、ポレオレフィン系を原料とする合成
紙では、油性オフセット印刷する際、一般紙用インキで
印刷するとインキ溶剤で膨潤してしまう為特殊インキを
用いる必要性があり、印刷コストの点で好ましくなく改
良を望まれている。近年耐水性を有し且つ引裂強力の大
きな各種不織布が上市されてきている。不織布は特にス
パンボンド法による長繊維不織布は引裂強力が大きいた
め、この用途に用いられようとしている。
【0005】しかしながら、スパンボンド法による不織
布は表面にある一定の繊維径を有するため表面はかなら
ず凹凸を有するのが常である。そのためこれら不織布を
印刷用途に用いる場合、どうしても繊維による凹凸の影
響を解消できずバーコードや油性オフセット印刷時に表
面凹凸によるインキの付着斑が発生するためきれいに印
刷できない問題点を有している。
【0006】その解決手段としてクレー顔料を主成分と
する塗料を不織布に設けることが検討されているが、不
織布の地合の不均一性や多孔性表面および毛羽の発生の
ため塗料が均一に付着せず、平滑なインキ定着層が得ら
れない。そこで、不織布の片面あるいは両面にアンダー
コート(目止め)層を介してインキ定着層を設けている
不織布塗工物(特開平1−49639号公報)が開示さ
れているが、アンダーコート層を設けても不織布の地合
の影響を受け平滑性は向上しない為、インキ定着層の表
面粗さは大きな値になってしまい、紙と同等な鮮明印刷
ができない問題点があった。
【0007】その原因と推定されているのは、スパンボ
ンド不織布には、液体が浸透するのに十分な孔が存在し
ており、アンダーコート層を付与するとアンダーコート
剤の落込みや浸透が起こり、その為アンダーコート層自
体の平滑性が向上しないため、インキ定着層に不織布の
地合の影響による凹凸が発現することが避けられず、印
刷を行うとインキの付着斑あるいは不織布の地合が目立
ち、そのため印刷基材としての商品価値が認められてい
ない欠点を有するのが実状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
技術での問題点であったインキ定着層の表面平滑性を改
良し、油性オフセット印刷時において良好なインキ受理
性を有するのみならず、従来の紙と同等な印刷品位を有
した優れた印刷基材を提供する事にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記問題に
鑑み種々検討した結果、ポリエチレンテレフタレート長
繊維不織布の表面を平滑かつフィルム状にし、インキ定
着層を設けた印刷基材にし、該印刷基材の表面粗さを従
来技術ではなし得なかった特定の値とする事により良好
な印刷品位が得られる事を見い出し、本発明に到達し
た。
【0010】すなわち、本発明の一つは、ポリエチレン
テレフタレート長繊維不織布の少なくとも片面にインキ
定着層が設けられており、上記インキ定着層の表面粗さ
(KES表面試験機にて測定したSMD値)が0.2〜
0.7であることを特徴とする印刷基材、であり、もう
一つの本発明は、ポリエチレンテレフタレート長繊維不
織布からなる印刷基材であって、上記不織布として複屈
折率が0.02〜0.07の未延伸ポリエチレンテレフ
タレート長繊維からなる不織布を用い、全面に熱圧着を
施し、次いで、上記熱圧着面にインキ定着層を付与する
ことを特徴とする印刷基材の製造方法、である。
【0011】本発明で用いられる不織布は、ポリエチレ
ンテレフタレート長繊維不織布であり、通常のスパンボ
ンド紡糸技術を用いて製造することができる。ただし、
平滑なインキ定着層を得るためには該不織布を平滑にす
る必要性および毛羽の発生を抑制する必要性がある。平
滑性の付与および毛羽の発生を抑制する手段としては熱
圧着加工、樹脂等を表面に付与する方法等が挙げられる
が、不織布表面をフィルムに近い平滑な状態にすること
でのみ、インキ定着層の表面粗さを0.7以下にするこ
とができる。
【0012】本発明の印刷基材の製造方法は、不織布と
しては複屈折率0.02〜0.07の未延伸ポリエチレ
ンテレフタレート長繊維を用い、全面熱圧着を施し、得
られた不織布の全面熱圧着面にインキ定着層を付与する
方法である。本発明に用いる不織布の製造法の一例を説
明する。溶融紡糸した連続フィラメントを高速気流によ
り延伸した後、移動コンベヤ上で一挙にウェーブを形成
させるスパンボンド法に於て紡糸速度を適宜変化させる
ことにより、上記範囲の複屈折率を有するフィラメント
からなるウェブを形成させる。
【0013】このウェブを一対の平滑な熱ロールの間で
熱圧着させる。一方のロール温度は100℃〜230℃
にすることが好ましく、さらに好ましくは120℃〜2
20℃にし、他方のロール温度は20℃〜150℃にす
ることが好ましく、さらに好ましくは60℃〜120℃
にし、少なくも50℃以上の温度差を設けて熱圧着させ
ることが好ましい。この場合、ロール線圧は5〜500
kg/cmで行うことが好ましい、さらに好ましくは5
0〜300kg/cmである。前記処理条件はウェブの
目付、複屈折率、ロール硬度等で適宜選択される。
【0014】ロール温度が230℃以上では、収縮が小
さく、表面に波打ち状態が生じやすく、平滑な表面を得
ることはできない。この方法により得られた不織布は、
少なくとも一方の面はフィルム状の平滑な表面が得ら
れ、毛羽の発生が殆どなく、引裂強力に於いても優れて
いる。複屈折率が0.08以上になると軟化し難く、繊
維を押しつぶして平滑化することは困難で満足すべき平
滑な面を得ることはできず、毛羽の発生も抑制できな
い。一方、0.02以下の場合は融着の際に熱劣化し
て、引裂強力等低下してしまう。
【0015】つまり、本発明に用いる不織布は表面のみ
がフィルム状になっており、内部は繊維形状を保持して
いることから、塗工液が浸透しにくく、平滑に付与する
ことができ、また、引裂強力(JIS−L−1096
エルメンドルフ式引裂法)は、50g/m2 の不織布で
300g以上になり、フィルムや紙と比較すると10倍
程度の引裂強力があるという特徴を有する。さらに、不
織布の繊維径および繊維形状については、表面をフィル
ム化させるので、未延伸ポリエチレンテレフタレート長
繊維で有るかぎりは、特に限定されない。
【0016】また、本発明に用いる不織布は、本発明の
目的を損なわない範囲で他の繊維およびバインダー等の
成分を含むことも可能である。本発明の印刷基材の目付
は、30〜200g/m2 が好ましい。不織布としての
目付は30g/m2 未満では不織布の分散性不良のため
インキ定着層が均一に設ける事が困難であり、目付が2
00g/m2 を超えると全体的な厚みが大きくなりすぎ
て印刷基材としては好ましくない。
【0017】本発明において表面粗さは、KES表面試
験機によって測定する。KES表面試験機とは布の風合
計測を目的として設計されたKESーFBシリーズの一
部であり、布の表面特性を計測する装置である。この装
置は布表面の幾何学的な粗さと摩擦係数及びその変動を
計測できる計算回路を有している。本発明において表面
粗さは、KES表面試験機で測定できる値のうちの接触
子を用いた表面粗さの測定値を用いる。本発明では表面
粗さは経緯の3回平均値である。
【0018】本発明に用いるインキ定着層は、一般に紙
業界で用いられている公知の技術を用いて設ける事が出
来る。インキ定着層は通常合成共重合体ラテックスと顔
料とから主としてなる塗工液をブレードコーター、ロー
ルコーター、エアナイフコーター等で塗工する事により
得られる。表面平滑とするためには特にゲートロールコ
ーターやバーコーターを用いるのが好ましい。また不織
布表面とインキ定着層との接着性を向上させるため、不
織布にコロナ処理等を行うのが好ましい。
【0019】ここで用いる合成共重合体ラテックスとし
てはカルボキシル化スチレン・ブタジエン系ラテック
ス、アクリル系合成共重合体ラテックス、酢酸ビニル系
共重合体ラテックス及びサラン系共重合体ラテックスな
どが挙げられ、いずれも使用可能である。特に接着強度
と耐水性を必要とする場合にはカルボキシル化スチレン
・ブタジエン系ラテックスの使用が好ましい。
【0020】合成共重合体ラテックスは、顔料100重
量部に対し10〜40重量部使用するのが好ましい。1
0重量部未満では定着層の接着強度が低くなる。40重
量部を超えると特に印刷時のインキセット性が明らかに
低下し、油性オフセット印刷機での印刷時に裏写り現象
が起きる。本発明に用いる顔料は通常の紙塗工分野で用
いる原料がすべて使用可能である。顔料としては例えば
クレー、炭酸カルシウム、酸化チタン、タルク等の無機
顔料がある。また同時に水溶性バインダーを用いる事が
塗工工程上好ましい。水溶性バインダーとしては通常紙
塗工で用いるスターチ、カゼイン、ポリビニルアルコー
ル等が使用可能である。その他、例えば分散剤、消泡
剤、潤滑剤、耐水化剤、着色剤等が併用可能であり、必
要で応じ使用できる。
【0021】本発明のインキ定着層が設けられた不織布
の印刷基材は、通常のバーコード印刷、油性オフセット
印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン
印刷等に使用可能であり、いずれも一般の紙と同等に取
り扱う事が可能である。また、ポリエチレンテレフタレ
ート不織布は、インキ溶剤で殆んど膨潤はしないことか
ら油性オフセット印刷時には特別なインキ溶剤の少ない
合成紙用インキを用いる必要はなく、紙用(コート紙
用)インキで印刷できる。
【0022】また、インキ定着層は少なくとも片面に設
ける必要があり、好ましくは両面にインキ定着層を設け
るのがよい。インキ定着層が片面の場合、印刷上は問題
ないが、塗工表面が片面のため、二層構造となり印刷基
材としての平坦性に欠け、カールし易くなる。インキ定
着層を両面に設けた場合カールが発生しにくい利点があ
り好ましい。
【0023】また、必要に応じ片面二層以上の多層塗工
層を設ける事も可能である。一般的には多層塗工を行う
ほど平滑性には好ましく、本発明に於いても表面粗さは
低下し好ましい。またこの場合、同組成あるいは異組成
のものを重ねても特に塗工できる限りはかまわない。一
般的なスパンボンド紡糸法による不織布にインキ定着層
を設けることは、塗工液の落込み現象や毛羽による表面
の荒れのため困難であり、通常のスパンボンド紡糸法に
よる(複屈折率が0.08以上のポリエチレンテレフト
レート長繊維を用いた)不織布を熱圧着し、あるいは樹
脂を用いて目止めを行い、インキ定着層を付与した場
合、KES表面試験機による表面粗さは1以上になり、
このレベルでは特に油性オフセット印刷後に表面に基材
の表面凹凸が浮きでてきて好ましくない。
【0024】本発明に用いるインキ定着層の坪量は、片
側当たり10〜30g/m2 が好ましい。10g/m2
未満ではインキ定着層が均一に形成できず、またインキ
受理性が不良となる場合もある。30g/m2 を超えて
もインキ受理性には問題は生じないが、インキ定着層を
形成する際、乾燥しにくくなるため、塗工速度が低下
し、生産性が落ちる。
【0025】本発明の印刷基材は、KES表面試験機に
よる表面粗さが0.2〜0.7であることが必要であ
る。表面粗さが0.8を超えると、油性オフセット印刷
後の表面凹凸が目立つようになり、インキ斑が生じたり
し、印刷品位が悪くなってしまう、あるいはバーコード
印刷時に線が鮮明に印刷されない現象が生じる問題が現
れ、好ましくない。
【0026】また、インキ定着性を有した塗工層を有す
る限り、表面粗度の値は0.2以上になり、ラテックス
量を増やしたり、あるいは粒径の著しく小さい顔料を使
用することで表面粗度は小さくできるがインキの吸収性
が低下してしまう為、インキセットやインキ受理の点で
表面粗度の値は0.2より小さくすることは好ましくな
い。
【0027】本発明の印刷基材は、平滑性を向上させる
ために、インキ定着層を付与した後、カレンダー加工や
シュナイダー加工等を行ってもかまわない。また、本発
明による印刷基材は繊維よりなる不織布を基材として用
いるため、引裂強力が一般のコート紙や延伸フィルムよ
りなる合成紙と比較して大きい特徴がある。引裂強力は
熱接合条件により変わるが、少なくとも200g以上有
るのが好ましい。特にバーコード印刷やビジネスフォー
ムに用いる場合、パンチ穴をあける場合が多く、パンチ
穴よりの破れにくい特徴を有する。
【0028】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明す
る。実施例の説明に先立ち、本発明の不織シートの諸物
性の測定方法を説明する。 (1)表面粗さ 基材から20cm×20cmの大き
さに試料として準備する。試験機はカトーテック(株)
製 商品名 KESーFB4表面試験機(自動計算機能
付き)を用いる。試料を試験機に400gの荷重をかけ
てセットし、10gの荷重をかけた表面粗さ検出用接触
子を試料に接触させ、機器をスタートさせる。試料の経
緯をそれぞれ3回測定し、それらの平均をもって表面粗
さとする。
【0029】(2)複屈折率 白色光下で、偏光顕微
鏡ベレッコ式コンペンセーターを用いて測定する。 (3)印刷後表面品位 RI試験機を用いて、コート
紙用インキ(タック10)で,べた印刷を行い表面の凹
凸の状態を目視で判定し、5段階に格付けする。
【0030】 コート紙並の表面状態 ・・・5(良) 凹凸が著しく目立つ表面状態 ・・・1(不良) (4)引裂強力 JIS−L−1096 ペンジュラ
ム法に準じ、エレメンドルフ引裂試験機を用いて、経緯
各々3回測定し、その平均を引裂強力とする。 (5)毛羽 試験片20cm×30cmをとり、学振
型摩擦試験機をもちいて、荷重500gで100回往復
摩擦させた後、試験片の外観を目視で判定する。
【0031】
【実施例1〜3、比較例1】孔径0.25mm、孔数1
000個、の矩形紡糸口金を用いて、吐出量850g/
minで固有粘度0.75のポリエチレンテレフタレー
トを溶融温度290℃でエアーサッカーにより紡糸速度
を変えて目付100g/m2 のウェブを形成した。この
ウェブを一対の平滑なロールを用いて上部ロールの温度
190℃、下部ロールの温度50℃に設定し、線圧70
kg/cmで熱圧着を行った。
【0032】この不織布に、以下に示す組成の塗工液を
用いてマイヤーバーにて片面に20g/m2 塗工し、直
ちに130℃、20秒の条件で熱風乾燥させた。 塗工液組成 SBRラテックス(旭化成(株)商品名 L−1622) 20部 クレ−(EMC(株)商品名 UW−90) 70部 炭酸カルシウム(白石工業(株)商品名 ブリリアント#1500)15部 酸化チタン(サカイ工業(株)商品名 A−110) 15部 カゼイン(アンモニア水溶液) 5部 耐水化剤(日本軽金属(株)商品名 ベイコート20) 1部 分散剤、消泡剤等 2部 合計 127部 次に印刷性を評価するため、RI試験機を用い、タック
10の油性インキを用い、ベタ印刷し表面状態を観察し
た。結果を表1に示すが、本発明の印刷基材は表面が印
刷後も平滑であり印刷面に凹凸が発生しないのに対し、
比較例1のものは、表面に繊維集合体による地合、塗工
液の落込みと思われる凹凸が発生し、品位が低下してい
た。 なお、表1の複屈折率の値は、熱圧着を施す前の
ウェブ中の単繊維の特性を示すものである。また、表1
の引裂強力は印刷基材の物性を示すものである。
【0033】
【表1】
【0034】
【実施例4〜5、比較例2〜3】実施例2と同じく紡糸
速度3500m/minでポリエチレンテレフタレート
のウェブを形成した。熱圧着工程を線圧100kg/c
m、下ロール温度50℃にし、上ロール温度を変えるこ
とにより表面粗さの異なった不織布を得た。実施例1〜
3と同様の塗工液を用い、両側15g/m2 の塗工をマ
イヤーバーを用いて行い、熱風乾燥機にて乾燥した。比
較例2および3においては、塗工液の落込みや毛羽によ
る塗工層の凹凸がみられ、ベタ印刷においてもインキの
付着斑がみられた。評価結果を表2に示す。
【0035】
【表2】
【0036】
【実施例6、比較例4】実施例2と同じく紡糸速度35
00m/minでポリエチレンテレフタレートのウェブ
を形成し熱圧着を線圧100kg/cm、下ロール温度
を50℃にし、上ロール温度を180℃で行い、不織布
を得た(実施例6)。また、比較例4として、熱圧着を
行わない不織布を用いた。次に目止め(アンダーコー
ト)層として、以下の組成のアンダーコート剤を10g
/m2 、マイヤーバーを用いて塗布し乾燥させた後、実
施例1〜3と同様の塗工液を用い、両側15g/m2
塗工をマイヤーバーを用いて行い、熱風乾燥機にて乾燥
した。
【0037】 アンダーコート剤の組成 ニカゾールAC−102(日本カーバイト(株)製 商品名) 50部 ポリマロン351(荒川化学(株)製 商品名) 20部 ミリベンSM850(昭和高分子(株)製 商品名) 30部 比較例4においては、アンダーコート層を付与した際に
アンダーコート剤の落込み等が見られ、平滑な層を得る
ことができなかった。その為、インキ定着層の凹凸がみ
られ、ベタ印刷においてもインキの付着斑がみられた。
評価結果を表3に示す。
【0038】
【表3】
【0039】
【発明の効果】本発明の、特定の表面粗さを有するポリ
エチレンテレフタレート長繊維不織布からなる印刷基材
は、油性オフセット印刷時において良好なインキ受理性
を有し、印刷品位の優れた印刷用シートである。また、
ポリエチレンテレフタレートから成る為に、耐熱性に優
れ、油性インキ溶剤による膨潤も生じない特性も有して
いる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエチレンテレフタレート長繊維不織
    布の少なくとも片面にインキ定着層が設けられており、
    該インキ定着層の表面粗さが0.2〜0.7であること
    を特徴とする印刷基材。
  2. 【請求項2】 ポリエチレンテレフタレート長繊維不織
    布からなる印刷基材であって、上記不織布として複屈折
    率が0.02〜0.07の未延伸ポリエチレンテレフタ
    レート長繊維からなる不織布を用い、全面に熱圧着を施
    し、次いで、上記熱圧着面にインキ定着層を付与するこ
    とを特徴とする印刷基材の製造方法。
JP5007164A 1993-01-20 1993-01-20 印刷基材およびその製造方法 Withdrawn JPH06212549A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010521592A (ja) * 2007-03-12 2010-06-24 イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー 不織印刷媒体
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JP2016505414A (ja) * 2012-12-28 2016-02-25 サーフェス テクノロジーズ ゲーエムベーハー アンド カンパニー,カーゲーSurface Technologies Gmbh & Co.Kg 印刷材料及び直接印刷された装飾的パネルを製造する方法
EP3148299B1 (en) * 2015-09-28 2022-03-16 Simoldes Plásticos, SA A textile multi-layered injection-moulded article comprising conductive circuit traces

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