JP2010125799A - 印刷性機能紙 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】繊維径が1〜30μmおよび目付けが30〜100g/m2のポリエステル系不織布に、水溶性樹脂からなる第一層および第二層が設けられ、印刷面が第二層である印刷性機能紙であって、第一層および第二層の樹脂塗布量の合計が5〜150g/m2であり、厚みが0.06〜0.25mm、平均みかけ密度が0.3〜0.8g/cm3、通気性が1cc/cm2/sec以上、剛軟度が50mm以上および200℃の熱収縮率が5%未満であることを特徴とする印刷性機能紙。
【選択図】なし
Description
特許文献1には、片面または両面にアンダーコート層を介し、合成樹脂を3〜20g/m2塗布された印刷用媒体が提案されている。しかし、塗工時の樹脂の染み込み、表面の凹凸などに問題がある。
特許文献3には、ポリエチレン樹脂をフラッシュ紡糸した不織布、及び表面粗さが0.3〜0.9のポリエステル不織布不織布が記載されている。表面の凹凸は満足するが、110℃以上の温度での耐熱性がないこと、穴あけ加工性が低いこと、およびインキの馴染み性が不十分なことなどに問題がある。
特許文献5には、レーザープリンターおよび熱溶融転写プリンター用の印字適性および通過適性の好適なフィルム塗被シートが開示されているが、この塗被シートはフィルムライクとなり、通気性および柔軟性に欠け、また、布ライクの触感が無いなどの問題がある。
(1)繊維径が1〜30μmおよび目付けが30〜100g/m2のポリエステル系不織布に、水溶性樹脂からなる第一層および第二層が設けられ、印刷面が第二層である印刷性機能紙であって、第一層および第二層の樹脂塗布量の合計が5〜150g/m2であり、厚みが0.06〜0.25mm、平均みかけ密度が0.3〜0.8g/cm3、通気性が1cc/cm2/sec以上、剛軟度が50mm以上および200℃の熱収縮率が5%未満であることを特徴とする印刷性機能紙。
(2)ポリエステル系不織布が、カレンダー加工および/または部分熱圧着率が15〜35%のエンボス加工されている上記1項に記載の印刷性機能紙。
(3)第一層および第二層の樹脂塗布量の合計が10〜120g/m2である上記1または2項に記載の印刷性機能紙。
(4)第一層の水溶性樹脂が、アクリル酸エステル系樹脂、ポリビニールアルコール系樹脂、ウレタン系樹脂およびポリエステル系樹脂の1種または2種以上の混合物である上記1〜3項のいずれか一項に記載の印刷性機能紙。
(5)繊維径が1〜30μmおよび目付けが30〜100g/m2のポリエステル系不織布に、3〜140g/m2の水溶性樹脂からなる第一層を含浸処理で設け、次いで2〜120g/m2の水溶性樹脂からなる第二層を塗布処理で設けることからなる上記1項に記載の印刷性機能紙の製造方法。
さらに、ポリエステル系不織布の繊維径および目付けを特定範囲にし、樹脂の塗布量および被覆方法を最適化することで、ポリエステル系不織布の繊維同士の接着を強固にすると共に、繊維間隙を小さくでき、且つ表面にインキの受容層を設ける事で鮮明な印刷が可能となる。
従って、各種ラベル、各種包装資材、看板、旗および感圧紙などの印刷基材に広く用いられる。特に屋外で使用される印刷基材に好ましく利用できる。
本発明に用いられるポリエステル系不織布は、厚み、見掛け密度および平担性が特定範囲に入っているものが好ましく、且つ不織布の構成繊維間隙に樹脂が浸透し易い構造を有するものが好ましい。本発明に用いる不織布は、スパンボンド法、サーマルボンド法、スパンレース法および抄造方法などにより得られる。
不織布の部分熱圧着において、部分熱圧着率は10〜50%が好ましく、さらに好ましくは15〜35%である。部分熱圧着は、一対のエンボス凹凸ロールと金属性平滑ロールとの間で、熱と圧力を加え、部分的に軟化または融着することにより行なわれる。熱圧着条件、例えば、エンボスロールのエンボス模様の1個当たりの大きさ、間隔、深さおよび形状等によって、不織布の特性が大きく変わる。従って、本発明の目的を満足する嵩高性と強力を得る為には、熱圧着条件を最適化することが必要である。
エンボスロール温度は、用いたポリエステル系樹脂の融点(例えば、ポリエチレンテレフタレートの場合265℃)より20〜60℃低い温度が好ましく、さらに好ましくは35〜55℃低い温度である。圧力は10〜700kPa/cmが好ましく、さらに好ましくは50〜500kPa/cmである。
上述のエンボス模様が本発明に用いられる不織布の見かけ密度および繊維間隙を特定範囲にし、好適な繊維間の接着力および表面摩擦強度を得るに好ましい。
カレンダー加工に際し、不織布の厚みを前述の如く0.06mm以上0.25mm以下に保持する事が好ましい。従って、ロールの組み合わせ、温度および圧力は不織布の厚みがこの範囲になるように選定する事が重要である。
従って、1段目および2段目でそれぞれ効率的な塗布を行うことが重要である。例えば、1段目で不織布の構成繊維の接着及び不織布の白度向上を主に行い、2段目でインキ受理性を向上させる。または、1段目で不織布の構成繊維の接着を主に行い、2段目で白度向上とインキ受理性の向上を行なうなどの2段階に分けて行われる。
尚、不織布への浸透性を向上させる浸透剤、熱硬化型の樹脂および架橋剤、顔料、熱安定剤、静電防止剤および難燃剤などを、本発明の目的を損ねない程度で添加することができる。
従って、水溶性樹脂としては、水溶性アクリル酸エステル共重合樹脂、カルボン酸、スルホン酸、スルホン酸塩およびリン酸エステル塩などの親水性成分を有する水溶性ポリエステル樹脂、および水溶性ウレタン樹脂などが好ましく用いられる。
加工方法としては、例えば、粘度50〜10000mPa/s/25℃、温度15〜30℃に上記樹脂を調整し、バーコーター、ロールコーター、グラビアコーター、ナイフコーター、エアーナイフコーター、コンマコーターなどの塗工機を用いて塗布して、温度100〜200℃のピンテンター、クリップテンターなどの乾燥機で乾燥する。
尚、上記樹脂調整の際に目的に応じて下記の添加物が用いられる。酸化チタン、シリカ、クレーおよびタルクなどの無機系または有機系の粉体が、白度、及び、インキ吸着性向上の目的で添加できる。さらに、樹脂水溶液の増粘を目的とする増粘剤、顔料、浸透剤、平滑剤および架橋剤などを、本発明の目的を損ねない程度で添加することができる。
1段目および2段目の樹脂塗布量の合計は5〜150g/m2が好ましく、さらに好ましくは10〜120g/m2である。樹脂塗布量の合計が5g/m2未満の場合は、不織布の柔軟性が保持されたままで、剛性および印刷性などが向上しない。一方、120g/m2を越えると、表面の平滑性が良く、高い剛性が得られるが、折れシワが生じ易くなり、価格が高いなどの問題が生じる。
本発明における樹脂加工は、できるだけ少ない樹脂量で印刷適性の向上ができることであり、2段の工程に分けることで効率的に行なうことができる。
本発明における各特性値の測定方法は以下のとおりである。
(1)目付(g/m2):縦20cm×横25cmの試料を3カ所切り取り、重量を測定し、その平均値を単位当たりの質量に換算して求めた(JIS−L−1906)。
(3)通気性:JIS−L−1906(フラジュール法)に準じて、測定した。
(4)厚み(mm):荷重10kPa下で任意に10箇所測定し、その平均で示した。
(5)平均見掛け密度(g/cm3):上記の目付と厚みから単位容積当たりの重量を計算で求めた。
○:変色がない。
△:変色が僅かにあるが目立たない。
×:変色が甚だしい。
(8)引張強力(N/5cm):定長引張試験機を用いて測定した。幅5cm長さ30cmの試料を縦方向および横方向3本ずつ切り取り、つかみ間隔20cmおよび引張速度10cm/minで、引張強度を測定し、3本平均して縦方向の破断強度および横方向の破断強度を求め、(縦方向の破断強度+横方向の破断強度)/2で示した。尚、本明細書では生産機械の流れ方向を縦方向とし、それに直角の方向を横方向とした。
5級:表面に繊維の浮きがない。
4級:表面の繊維の浮き、毛羽立ちがほとんどない。
3級:表面の繊維の浮き、毛羽立ちが少しあるが目立たない
2級:表面の繊維の浮き、毛羽立ちがやや目立つ。
1級:表面の繊維の浮き、毛羽立ちがはなはだしい。
○:見えにくく、鮮明でない。
△:見えて、やや鮮明である。
×:鮮明で良く見える。
○:滲み、かすれ、飛びがなく、読み取りできる。
△:滲み、かすれ、飛びがあるが、読み取りできる。
×:滲み、かすれ、飛びがあり、読み取りできない。
○:寸法変化が1%未満であり、カール、湾曲などがない。
△:寸法変化が3%未満であり、カール、湾曲などあるが目立たない。
×:寸法変化が5%以上で、カール、湾曲など目立つ。
ポリエチレンテレフタレート(PET、融点265℃)をスパンボンド用紡糸口金から紡糸温度300℃で紡糸し、平均繊径が12μm、目付けが45g/m2の熱可塑性繊維ウェブを得た。得られたウェブを、一対の凹凸エンボスロールと平滑金属ロール間で、線圧が350N/cm、上下温度が225℃/220℃の条件下で熱圧着し、部分熱圧着率が25%のポリエステル不織布を得た。
得られた印刷性機能紙の特性を表1に示した。本発明の印刷性機能紙は、剛性、印刷性、抜き加工性、隠蔽性、耐熱性および強度などに優れている。
ポリエチレンテレフタレート(PET、融点265℃)をスパンボンド用紡糸口金から紡糸温度300℃で紡糸し、平均繊径が17μm、目付けが60g/m2の熱可塑性繊維ウェブを得た。得られたウェブを、一対の凹凸エンボスロールと平滑金属ロール間で、線圧が350N/cm、上下温度が225℃/220℃の条件下で熱圧着し、部分熱圧着率が25%のポリエステル不織布を得た。得られた不織布を、更に平坦化させる目的で、平滑金属ロールとペーパーロール間で、線圧が150N/cm、温度が20℃の条件下でカレンダー加工した。
次いで、実施例1と同様に樹脂加工を行って、本発明の印刷性機能紙を得た。
得られた印刷性機能紙の特性を表1に示した。剛性、印刷性、抜き加工性、隠蔽性、耐熱性および強度などに優れていた。
実施例1で得られたポリエステル不織布用いて、2段階の樹脂加工を行った。
1段目の加工は、ポリエステル樹脂(高松油脂(株)製ベスレジンA−610)40重量部、白顔料20重量部、浸透剤3重量部および水37重量部を混合した溶液(粘度500mPa・s/25℃)を用いて、浸漬処理、脱水、温度160℃の乾燥の各工程を経て、塗布量が30g/m2になるように処理した。2段目の加工は、変性アクリル樹脂20重量部および水80重量部を混合した溶液(粘度250mPa・s/25℃)をグラビアコーター機で塗布加工してから、温度130℃で乾燥し、塗布量が5g/m2の印刷性機能紙を得た。
得られた印刷性機能紙の特性を表1に示した。剛性、印刷性、抜き加工性、隠蔽性、耐熱性および強度などに優れている。
実施例2で得られたポリエステル不織布を用いて、実施例3と同様に2段階の樹脂加工を行った。得られた印刷性機能紙の特性を表1に示した。剛性、印刷性、抜き加工性、隠蔽性、耐熱性および強度などに優れている。
実施例2で得られたポリエステル不織布を用いて、下記の2段階の樹脂加工を行った。
1段目の加工は、ポリエステル樹脂(高松油脂(株)製ベスレジンA−610)30重量部、白顔料10重量部、浸透剤3重量部および水57重量部を混合し(粘度600mPa・s/25℃)、温度15℃に調整した混合溶液を用いて、浸漬処理、脱水、温度160℃の乾燥の各工程を経て、塗布量が15g/m2になるように処理した。2段目の加工は、変性アクリル樹脂20重量部および水80重量部を混合した溶液(粘度250mPa・s/25℃)をグラビアコーター機で塗布加工してから、温度130℃で乾燥し、塗布量が6g/m2の印刷性機能紙を得た。
得られた印刷性機能紙の特性を表1に示した。剛性、印刷性、抜き加工性、隠蔽性、耐熱性および強度などに優れている。
ポリエチレンテレフタレート(PET、融点265℃)をスパンボンド用紡糸口金から紡糸温度300℃で紡糸し、平均繊径が17μm、目付けが25g/m2の熱可塑性繊維ウェブを作成した。次いで、その上に、ポリエチレンテレフタレート(溶液粘度(ηsp/c)0.50)をメルトブロー用噴射口金から紡糸温度300℃で320℃、1000Nm3/hrの加熱エアを用いて紡糸し、平均繊径が2μm、目付けが10g/m2の極細繊維ウエブを積層した。更に、その上、ポリエチレンテレフタレート(PET、融点265℃)をスパンボンド用紡糸口金から紡糸温度300℃で紡糸し、平均繊径が17μm、目付けが25g/m2の熱可塑性繊維ウェブを積層し、3層構成の繊維ウエブを得た。得られた積層ウェブを、一対の凹凸エンボスロールと平滑金属ロール間で、線圧が350N/cm、上下温度が215℃/210℃の条件下で熱圧着し、部分熱圧着率が25%のポリエステル不織布を得た。
次いで、実施例1と同様の2段階樹脂加工を行った。
得られた印刷性機能紙の特性を表2に示した。剛性、印刷性、抜き加工性、隠蔽性、耐熱性および強度などに優れている。
ポリエチレンテレフタレート(PET、融点265℃)をスパンボンド用紡糸口金から紡糸温度300℃で紡糸し、平均繊径が17μm、目付けが20g/m2の熱可塑性繊維ウェブを作成した。その上に、ポリエチレンテレフタレート(溶液粘度(ηsp/c)0.50)をメルトブロー用噴射口金から紡糸温度300℃で320℃、1000Nm3/hrの加熱エアを用いて紡糸し、平均繊径が2μm、目付けが5g/m2の極細繊維ウエブを積層した。更に、その上に、ポリエチレンテレフタレート(PET、融点265℃)をスパンボンド用紡糸口金から紡糸温度300℃で紡糸し、平均繊径が17μm、目付けが20g/m2の熱可塑性繊維ウェブを積層し、3層構成の繊維ウエブを得た。得られた積層ウェブを、一対の凹凸エンボスロールと平滑金属ロール間で、線圧が350N/cm、上下温度が210℃/205℃の条件下で熱圧着し、部分熱圧着率が25%のポリエステル不織布を得た。
次いで、実施例5と同様の2段階樹脂加工を行った。
得られた印刷性機能紙の特性を表2に示した。剛性、印刷性、抜き加工性、隠蔽性、耐熱性および強度などに優れている。
実施例1で得られたポリエステル不織布だけの特性を測定し、表2に示した。剛性、印刷性、抜き加工性、隠蔽性および表面摩擦強度などの特性が不十分であった。
(比較例2)
実施例1で得られた1段目の樹脂加工品の特性を測定し、表2に示した。剛性、印刷性、抜き加工性、隠蔽性および表面摩擦強度などの特性が不十分であった。
(比較例3)
実施例2で得られた1段目の樹脂加工品の特性を測定し、表2に示した。剛性、印刷性、抜き加工性、隠蔽性および表面摩擦強度などの特性が不十分であった。
Claims (5)
- 繊維径が1〜30μmおよび目付けが30〜100g/m2のポリエステル系不織布に、水溶性樹脂からなる第一層および第二層が設けられ、印刷面が第二層である印刷性機能紙であって、第一層および第二層の樹脂塗布量の合計が5〜150g/m2であり、厚みが0.06〜0.25mm、平均みかけ密度が0.3〜0.8g/cm3、通気性が1cc/cm2/sec以上、剛軟度が50mm以上および200℃の熱収縮率が5%未満であることを特徴とする印刷性機能紙。
- ポリエステル系不織布が、カレンダー加工および/または部分熱圧着率が15〜35%のエンボス加工されている請求項1に記載の印刷性機能紙。
- 第一層および第二層の樹脂塗布量の合計が10〜120g/m2である請求項1または2に記載の印刷性機能紙。
- 第一層の水溶性樹脂が、アクリル酸エステル系樹脂、ポリビニールアルコール系樹脂、ウレタン系樹脂およびポリエステル系樹脂の1種または2種以上の混合物である請求項1〜3のいずれか一項に記載の印刷性機能紙。
- 繊維径が1〜30μmおよび目付けが30〜100g/m2のポリエステル系不織布に、3〜140g/m2の水溶性樹脂からなる第一層を含浸処理で設け、次いで2〜120g/m2の水溶性樹脂からなる第二層を塗布処理で設けることからなる請求項1に記載の印刷性機能紙の製造方法。
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