JP2023094153A - 印刷基材用長繊維不織布およびこれを用いてなる印刷基材 - Google Patents

印刷基材用長繊維不織布およびこれを用いてなる印刷基材 Download PDF

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Abstract

【課題】 表面が平滑であり、印刷加工性に優れた長繊維不織布を提供すること。【解決手段】 熱可塑性樹脂を主成分とする繊維からなる印刷基材用長繊維不織布であって、該印刷基材用長繊維不織布の見かけ密度が0.40g/cm3以上0.90g/cm3以下であって、前記長繊維不織布の断面において、一方の表面の最大凸部から該一方の表面における最大凹部までの最大高さZa(μm)と、他方の表面における最大凸部から該他方の表面における最大凹部までの最大高さZb(μm)の比(Za/Zb、ただし、Za<Zbとする)が下記の式(1)で表される関係にあり、前記Zaの範囲が9μm以上30μm以下である、印刷基材用長繊維不織布。0.50≦Za/Zb≦1.00 ・・・(1)【選択図】 図1

Description

本発明は、印刷基材に好適な、印刷基材用長繊維不織布に関する。
従来の印刷用媒体のうち最も多く使用されているものは、パルプ製の紙や、パルプとポリエステル系樹脂からなる抄紙不織布である。これらの印刷用媒体は、価格、印刷特性などの点で優れた材料であるが、強度、防水性および耐候性などから使用できない用途も多くある。そのため、例えば、ポリエステル系樹脂のみからなる基材の表面に樹脂塗工を施し、屋外の看板、ポスターとして使用することができる印刷用媒体が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。一方で、ポリエステル系樹脂からなる長繊維不織布に逆印刷を施し、印刷面にフィルムを積層することで、機械的強度に優れた包装材が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
特開2011-230499号公報 特開2003-183970号公報
しかしながら、特許文献1が開示するような技術の場合、樹脂塗工が施されているものの、表面凹凸度が5~150μmと小さいながらも凹凸があるため、印刷加工時のインク塗布にムラが出てしまうという課題がある。
また、特許文献2が開示するような技術の場合、熱エンボス装置による部分的熱圧着部が形成された不織布を一対の平坦ロールで熱圧着して平滑面を形成し、逆印刷を施すこととしているが、部分的熱圧着部とそれ以外の部分とでは逆印刷後のインクの見え方が異なるという課題がある。
そこで、本発明の目的は、表面が平滑であり、印刷加工性に優れた印刷基材用長繊維不織布を提供することにある。
本発明者は、上記の目的を達成するべく鋭意検討した結果、表面がフラットな熱ロールで熱接着することで、不織布の表面が平滑で印刷加工性に優れたものとなり、印刷基材に好適な印刷基材用長繊維不織布を得られることを見出した。さらに、この印刷基材用長繊維不織布が、表面が平滑であるだけではなく、毛羽立ちや繊維の脱落が少なく、そして、機械的強度やハンドリング性に優れた印刷基材用長繊維不織布となることも見出した。
本発明は、この知見に基づいて完成に至ったものであり、本発明によれば、以下の発明が提供される。
本発明の印刷基材用長繊維不織布は、熱可塑性樹脂を主成分とする繊維からなる印刷基材用長繊維不織布であって、該印刷基材用長繊維不織布の見かけ密度が0.40g/cm以上0.90g/cm以下であって、前記の印刷基材用長繊維不織布の断面において、一方の表面の最大凸部から該一方の表面における最大凹部までの最大高さZa(μm)と、他方の表面における最大凸部から該他方の表面における最大凹部までの最大高さZb(μm)の比(Za/Zb、ただし、Za<Zbとする)が下記の式(1)で表される関係にあり、前記のZaの範囲が9μm以上30μm以下である
0.50≦Za/Zb≦1.00 ・・・(1)。
本発明の印刷基材用長繊維不織布の好ましい態様によれば、前記のZb(μm)の範囲が10μm以上50μm以下である。
本発明の印刷基材用長繊維不織布の好ましい態様によれば、前記の繊維が高融点重合体の周りに当該高融点重合体の融点よりも低い融点を有する低融点重合体を配した複合繊維である。
本発明の印刷基材用長繊維不織布の好ましい態様によれば、前記の印刷基材用長繊維不織布の目付が30g/m以上120g/m以下である。
本発明の印刷基材用長繊維不織布の好ましい態様によれば、前記の印刷基材用長繊維不織布のMD方向のヤング率が1200MPa以上2200MPa以下である。
本発明の印刷基材用長繊維不織布の好ましい態様によれば、前記の印刷基材用長繊維不織布のCD方向のヤング率が300MPa以上1000MPa以下である。
また、本発明の印刷基材は、好ましくは、前記の印刷基材用長繊維不織布を用いてなる印刷基材であって、前記の印刷基材用長繊維不織布の少なくとも片側の表面に樹脂層を設けてなり、該樹脂層の厚さが5μm以上80μm以下である。
本発明の印刷基材用長繊維不織布は、硬さと適度な通気性を保持しており、ハンドリング性において優位である。また、毛羽立ちが少なく表面が平滑な不織布であるため、印刷時のインクの発色ムラがなく、印刷加工性に優れる。
図1は、本発明の一実施の形態にかかる印刷基材用長繊維不織布の断面の一例を示す、断面概念図である。
本発明の印刷基材用長繊維不織布は、熱可塑性樹脂を主成分とする繊維からなる印刷基材用長繊維不織布であって、該印刷基材用長繊維不織布の見かけ密度が0.40g/cm以上0.90g/cm以下であって、前記の印刷基材用長繊維不織布の断面において、一方の表面の最大凸部から該一方の表面における最大凹部までの最大高さZa(μm)と、他方の表面における最大凸部の表面から該他方の表面における最大凹部までの最大高さZb(μm)の比(Za/Zb、ただし、Za<Zbとする)が下記の式(1)で表される関係にあり、前記のZaの範囲が9μm以上30μm以下である
0.50≦Za/Zb≦1.00 ・・・(1)
以下に、その構成要素について詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下に説明する範囲に何ら限定されるものではない。
[熱可塑性樹脂を主成分とする繊維]
まず、本発明の印刷基材用長繊維不織布に係る熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、あるいはこれらの混合物や共重合体等を挙げることができる。なかでも、ポリエステルが機械的強度や耐熱性、耐水性、耐薬品性等の耐久性に優れることから好ましく用いられる。
ポリエステルは、酸成分とアルコール成分とをモノマーとする高分子重合体である。本発明において、酸成分としては、フタル酸(オルト体)、イソフタル酸およびテレフタル酸等の芳香族カルボン酸、アジピン酸やセバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、およびシクロヘキサンカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸等を用いることができる。また、アルコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびポリエチレングリコール等を用いることができる。
前記のポリエステルの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸およびポリブチレンサクシネート等が挙げられる。後述する高融点重合体として用いられるポリエステルとしては、より融点が高く耐熱性に優れ、かつ、剛性にも優れた、ポリエチレンテレフタレート(PET)が最も好ましく用いられる。
これらのポリエステル原料には、本発明の効果を損なわない範囲で、結晶核剤、艶消し剤、顔料、防カビ剤、抗菌剤、難燃剤、金属酸化物、脂肪族ビスアミドおよび/またはアルキル置換型の脂肪族モノアミド、そして、親水剤等の添加剤を添加することができる。なかでも、酸化チタン等の金属酸化物は、繊維の表面摩擦を低減し繊維同士の融着を防ぐことにより紡糸性を向上し、また長繊維不織布の熱ロールによる融着成形の際、熱伝導性を増すことにより印刷基材用長繊維不織布の融着性を向上させる効果がある。また、エチレンビスステアリン酸アミド等の脂肪族ビスアミドおよび/またはアルキル置換型の脂肪族モノアミドは、熱ロールと不織布ウェブとの間の離型性を高め、搬送性を向上させる効果がある。
本発明の印刷基材用長繊維不織布は、前記の熱可塑性樹脂を主成分とする繊維からなる。ここで言う「主成分」とは、繊維の成分のうち、50質量%以上を占める成分のことである。
本発明に係る繊維としては、高融点重合体の周りに当該高融点重合体の融点よりも低い融点を有する低融点重合体を配した複合繊維であることが好ましい。このような形態の複合繊維とすることにより、繊維が長繊維不織布内において強固に融着されやすくなり、その結果、印刷基材用長繊維不織布の表面の毛羽立ちを抑え、容易に平滑な表面を得ることができる。さらに、印刷基材用長繊維不織布を構成する繊維同士が、互いに強固に融着されることに加え、融点の異なる繊維同士を混繊させたものに比べて印刷基材用長繊維不織布における繊維同士の融着点の数も多くすることができるため、機械的強度をも向上することができる。
上記の高融点重合体の融点と低融点重合体の融点との間の差(以降、単に融点の差と略記することがある)としては、10℃以上140℃以下が好ましい。換言すれば、高融点重合体の融点よりも、10℃以上140℃以下の範囲で低い融点を有する低融点重合体であることが好ましい。融点の差を10℃以上、より好ましくは20℃以上、さらに好ましくは30℃以上とすることで、各繊維間の融着性を高めることができる。また、140℃以下、より好ましくは120℃以下、さらに好ましくは100℃以下とすることで、融着させる時に、熱ロールに低融点重合体成分が融着してしまい、生産性が低下してしまうことを抑制できる。
本発明における高融点重合体の融点は、160℃以上320℃以下の範囲であることが好ましい。好ましくは160℃以上、より好ましくは170℃以上、さらに好ましくは180℃以上とすることにより、例えば、印刷基材として用いた場合において、熱が加わるような加工を行ったとしてもその形態が維持できるような、形態安定性に優れた印刷基材用長繊維不織布とすることができる。また、320℃以下、より好ましくは300℃以下、さらに好ましくは280℃以下とすることにより、印刷基材用長繊維不織布製造時に溶融するための熱エネルギーを多大に消費し生産性が低下することを抑制することができる。
一方、上記複合繊維における低融点重合体の融点は、前記の融点の差を確保した上で、150℃以上310℃以下の範囲であることが好ましい。150℃以上、より好ましくは160℃以上、さらに好ましくは170℃以上とすることにより、印刷基材用長繊維不織布を印刷基材として使用する際、熱が加わるような加工を行ったとしてもその形態が維持できるような、形態安定性に優れた印刷基材用長繊維不織布とすることができる。また、310℃以下、より好ましくは290℃以下、さらに好ましくは270℃以下とすることにより、印刷基材用長繊維不織布を製造する際の融着性に優れ、機械的強度に優れる印刷基材用長繊維不織布を容易に得ることができる。
なお、本発明において、熱可塑性樹脂の融点は、示差走査型熱量計(例えば、パーキンエルマー社製「DSC-2」型)を用い、昇温速度20℃/分、測定温度範囲30℃から350℃の条件で測定し、得られた融解吸熱曲線において極値を与える温度を当該熱可塑性樹脂の融点とする。また、示差走査型熱量計において融解吸熱曲線が極値を示さない樹脂については、ホットプレート上で加熱し、顕微鏡観察により樹脂が溶融した温度を融点とする。
熱可塑性樹脂がポリエステルの場合、対となるポリエステル系高融点重合体とポリエステル系低融点重合体の組み合わせ(以下、ポリエステル系高融点重合体/ポリエステル系低融点重合体の順に記載することがある)としては、例えば、PET/PBT、PET/PTT、PET/ポリ乳酸、およびPET/共重合PET等の組み合わせを挙げることができ、これらの中でも、紡糸性に優れることからPET/共重合PETの組み合わせが好ましく用いられる。また、共重合PETの共重合成分としては、特に紡糸性に優れることから、イソフタル酸共重合PETが好ましく用いられる。
複合繊維の複合形態については、例えば、同心芯鞘型、偏心芯鞘型および海島型等が挙げられ、なかでも、繊維同士を均一かつ強固に融着させることができることから同心芯鞘型のものが好ましい。さらにその複合繊維の断面形状としては、円形断面、扁平断面、多角形断面、多葉断面および中空断面等の形状が挙げられる。なかでも、複合繊維の断面形状としては円形断面の形状のものを用いることが好ましい態様である。
また、熱可塑性樹脂を主成分とする繊維におけるポリエステル系高融点重合体とポリエステル系低融点重合体との含有比率は、質量比で90:10~60:40の範囲であることが好ましく、85:15~70:30の範囲がより好ましい態様である。ポリエステル系高融点重合体を60質量%以上90質量%以下とすることにより、印刷基材用長繊維不織布の耐久性を優れたものとすることができる。一方、ポリエステル系低融点重合体を10質量%以上40質量%以下とすることにより、印刷基材用長繊維不織布を構成する繊維同士が強固に融着され、機械的強度に優れた印刷基材用長繊維不織布とすることができる。
本発明に係る繊維の平均単繊維直径は、10.0μm以上26.0μm以下の範囲であることが好ましい。平均単繊維直径を10.0μm以上、好ましくは10.5μm以上、より好ましくは11.0μm以上とすることで、機械的強度に優れた印刷基材用長繊維不織布とすることができる。一方、平均単繊維直径が26.0μm以下、好ましくは25.0μm以下、より好ましくは24.0μm以下とすることで印刷基材用長繊維不織布の均一性を向上させ、緻密な表面を有する印刷基材用長繊維不織布とすることができ、例えば、印刷基材として使用した場合には、表面ムラを少なくすることができる。
なお、本発明において、印刷基材用長繊維不織布の平均単繊維直径(μm)は、以下の方法によって求められる値を採用することとする。
(i)印刷基材用長繊維不織布からランダムに小片サンプル10個を採取する。
(ii)採取した小片サンプルの表面を走査型電子顕微鏡等で500~2000倍の範囲で繊維の太さを計測することが可能な写真を撮影する。
(iii)各小片サンプルの撮影した写真から10本ずつ、計100本の繊維を任意に選び出して、その太さを測定する。繊維は断面が円形と仮定し、太さを繊維直径とする。
(iv)それらの算術平均値の小数点以下第二位を四捨五入して算出した値を平均単繊維直径とする。
[印刷基材用長繊維不織布]
本発明の印刷基材用長繊維不織布は、前記の熱可塑性樹脂を主成分とする繊維からなる。ここで、本発明でいう「長繊維不織布」とは、後述する製造方法によって製造されるような、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布などの不織布のことを指すものであり、一定長(例えば、100mm)にカットされた繊維のみから構成されてなる不織布(短繊維不織布)は除かれるものである。
本発明の印刷基材用長繊維不織布の見かけ密度は、0.40g/cm以上0.90g/cm以下である。見かけ密度を0.40g/cm以上、好ましくは0.42g/cm以上、より好ましくは0.45g/cm以上とすることで、機械的強度に優れ、耐久性に優れた印刷基材用長繊維不織布とすることができる。また、見かけ密度を0.90g/cm以下、好ましくは0.80g/cm以下、より好ましくは0.70g/cm以下とすることで、一定の通気性を有させることができ、例えば、印刷基材として用いた場合、インクが不織布内部まで染み込みやすくなる。
なお、本発明において、印刷基材用長繊維不織布の見かけ密度(g/cm)は、後述する方法によって測定される印刷基材用長繊維不織布の目付、厚さの値から、以下の式によって求められる値を採用することとする
見かけ密度(g/cm)=目付(g/m)/厚さ(mm)/1000。
本発明の印刷基材用長繊維不織布は、その印刷基材用長繊維不織布の断面において、一方の表面の最大凸部から該一方の表面における最大凹部までの最大高さZa(μm)と、他方の表面における最大凸部から該他方の表面における最大凹部までの最大高さZb(μm)の比(Za/Zb、ただし、Za<Zbとする)が下記の式(1)で表される関係にある
0.50≦Za/Zb≦1.00 ・・・(1)
すなわち、前記の比(Za/Zb)が0.50以上1.00以下である。Za/Zbが0.50以上、好ましくは0.53以上、より好ましくは0.55以上とすることで、表裏での表面差がなく、例えば印刷基材として用いる場合、両面どちらも印刷可能となり、ハンドリング性に優れた印刷基材用長繊維不織布となる。また、Za/Zbが1.00以下、好ましくは0.98以下、より好ましくは0.95以下とすることで、繊維表面がフィルムのようなシート形態になってしまうことが抑制され、適度な通気性を有する印刷基材用長繊維不織布とすることができる。
さらに、本発明の印刷基材用長繊維不織布は、その印刷基材用長繊維不織布の断面において、前記の式(1)で表される関係にありつつ、さらに、一方の表面の最大凸部から該一方の表面における最大凹部までの最大高さZa(μm)の範囲が9.0μm以上30.0μm以下である。Zaが9.0μm以上、好ましくは9.5μm以上、より好ましくは10.0μm以上とすることで、印刷基材用長繊維不織布が、構成する繊維がその繊維の形態をより保ち、繊維が溶融しきってフィルムのようなシート形態になってしまうことが抑制される。一方、前記のZaを30.0μm以下、好ましくは28.0μm以下、より好ましくは25.0μm以下とすることで、不織布表面の繊維の毛羽立ちを抑えることができ、ハンドリング性、印刷加工性に優れた印刷基材用長繊維不織布となる。
他方、本発明の印刷基材用長繊維不織布は、その断面において、他方の表面における最大凸部から該他方の表面における最大凹部までの最大高さZb(μm)の範囲が10.0μm以上50.0μm以下であることが好ましい。Zbが10.0μm以上、好ましくは12.0μm以上、より好ましくは15.0μm以上とすることで、印刷基材用長繊維不織布が、構成する繊維がその繊維の形態をより保ち、繊維が溶融しきってフィルムのようなシート形態になってしまうことが抑制され、適度な通気性を有する印刷基材用長繊維不織布とすることができる。一方、前記のZbを50.0μm以下、好ましくは48.0μm以下、より好ましくは45.0μm以下とすることで、不織布表面の繊維の毛羽立ちを抑えることができ、ハンドリング性、印刷加工性に優れた印刷基材用長繊維不織布となる。
ここで、本発明における、前記の最大高さZa(μm)と、最大高さZb(μm)の値とは以下のようにして求めた値を採用することとする。
(i)印刷基材用長繊維不織布の任意の表面において、MD方向の中心線(印刷基材用長繊維不織布の両端から等距離にある点を結ぶ線)とCD方向の中心線との交点を中心点とする。
(ii)前記の中心点を通り、CD方向と平行な直線を引く。
(iii)前記の中心点から0.5cm離れた当該直線上の2点を起点として、MD方向に沿って直線を1.0cm引き、その端点同士を結ぶ直線を引く。
(iv)(i)~(iii)で形成された1.0cm×1.0cmの正方形によって囲まれた領域をカミソリ刃で切り取る。
(v)同様にして、印刷基材用長繊維不織布内の任意の場所から1.0cm×1.0cmの測定サンプルを、当該印刷基材用長繊維不織布のCD方向等間隔に5個採取する。
(vi)走査型電子顕微鏡(SEM)(例えば、株式会社キーエンス製「VHX-D500」)を用いて、測定サンプルの断面を倍率700倍に調節して観察し撮影する。
(vii)図1に例示するように、まず、撮影した断面画像の中の長繊維不織布(1)の断面の最頂部(2、4)を通るように、印刷基材用長繊維不織布の断面の中心線(8)と平行な直線A(6a、6b)を引き、また、当該断面画像の中の印刷基材用長繊維不織布の断面の最底部(3、5)を通るように、直線Aと平行な直線B(7a、7b)を引く。
(viii)直線A(6a、6b)と直線B(7a、7b)との間の距離から、それぞれ最大高さZa(μm)と、最大高さZb(μm)を測定し、さらに、その測定結果から、Za/Zbの比率を算出する。
(ix)各測定サンプルから得られる最大高さZa(μm)と、最大高さZb(μm)、Za/Zbの算術平均値を算出し、最大高さZa(μm)と、最大高さZb(μm)は、小数点以下第二位を四捨五入して得られた値、Za/Zbは、小数点以下第三位を四捨五入して得られた値を採用する。
なお、本発明において、MD方向とは印刷基材用長繊維不織布を製造する際のシート搬送方向、すなわち、不織布ロールにおける巻き取り方向を指すものであり、CD方向は、シート搬送方向、すなわち、不織布ロールにおける巻き取り方向に対して垂直に交差する方向を指すものである。また、印刷基材用長繊維不織布が切断された場合などでロール状態にない場合は、以下の手順によってMD方向、CD方向を決定することとする。
(a) 印刷基材用長繊維不織布の面内において、任意の1方向を定め、その方向に沿って、長さ25cm、幅1.5cmの試験片を採取する。
(b) 採取した方向から30度、60度、90度回転させた方向においても、同様に長さ25cm、幅1.5cmの試験片を採取する。
(c) 各方向の試験片について後述する印刷基材用長繊維不織布のヤング率の測定方法に基づいて、各試験片のヤング率を測定する。
(d) 測定により得られた値が最も高い方向をその印刷基材用長繊維不織布のMD方向とし、これに直交する方向をCD方向とする。最も高い方向が2方向以上ある場合には、それらの方向と直交する方向のヤング率がより低くなる方向をその印刷基材用長繊維不織布のMD方向とし、最も高い方向が2方向以上ある場合において、それらの方向と直交する方向のヤング率も等しい場合、例えば、4方向のヤング率が全て等しい場合には、その4方向のいずれかの方向をMD方向であるとし、これに直交する方向をCD方向とする。
本発明における印刷基材用長繊維不織布の目付は、30g/m以上120g/m以下であることが好ましい。印刷基材用長繊維不織布の目付を30g/m以上、好ましくは40g/m以上、より好ましくは50g/m以上とすることで、機械的強度に優れた不織布を得ることができる。一方、不織布の目付を120g/m以下、好ましくは115g/m以下、より好ましくは110g/m以下とすることで、軽量化されハンドリング性に優れた印刷基材用長繊維不織布となる。
なお、本発明において、印刷基材用長繊維不織布の目付は、JIS L1913:2010「6.2 単位面積当たりの質量」に準拠して、以下の手順によって測定される値を採用するものとする。
(i) 25cm×25cmの試験片を、試料の幅1m当たり3枚採取する。
(ii) 標準状態におけるそれぞれの質量(g)を量る。
(iii) その平均値を1m当たりの質量(g/m)で表す。
本発明における印刷基材用長繊維不織布の厚さは、0.05mm以上0.30mm以下であることが好ましい。厚さを上記の範囲とすることで、ハンドリング性に優れた印刷基材用長繊維不織布となる。
なお、本発明において、印刷基材用長繊維不織布の厚さは、以下の手順によって測定される値を採用するものとする。
(i) 厚さ計(例えば、株式会社テクロック製“TECLOCK”(登録商標)SM-114等)を使用して、印刷基材用長繊維不織布の厚さをCD方向に10cm間隔で測定する。
(ii) 上記算術平均値から小数点以下第3位を四捨五入し、印刷基材用長繊維不織布の厚さ(mm)とする。
本発明において、前記の印刷基材用長繊維不織布のMD方向のヤング率は、1200MPa以上2200MPa以下であることが好ましい。MD方向のヤング率が好ましくは1200MPa以上、より好ましくは1250MPa以上、さらに好ましくは1300MPa以上であることにより、適度な剛性を保持した印刷基材用長繊維不織布となり、ハンドリング性に優れた印刷基材用長繊維不織布とすることができる。また、MD方向のヤング率が好ましくは2200MPa以下、より好ましくは2150MPa以下、さらに好ましくは2100MPa以下であることで、追従性のある印刷基材用長繊維不織布となる。
一方、本発明において、前記の印刷基材用長繊維不織布のCD方向のヤング率は300MPa以上1000MPa以下であることが好ましい。CD方向のヤング率が300MPa以上、より好ましくは350MPa以上、さらに好ましくは400MPa以上であることにより、適度な剛性を有した印刷基材用長繊維不織布となり、ハンドリング性に優れたものとなる。また、CD方向のヤング率が好ましくは1000MPa以下、より好ましくは950MPa以下、さらに好ましくは900MPa以下であることにより、追従性のある印刷基材用長繊維不織布となる。
なお、本発明において、印刷基材用長繊維不織布のMD方向のヤング率、あるいは、CD方向のヤング率は、JIS L1906:2000「一般長繊維不織布試験方法」の5.3.1に基づいて、以下の手順によって測定される値を採用するものとする。
(i) 不織布から25cm×1.5cm幅のサンプルを、CD方向に等間隔(CD方向のヤング率を求める際は、MD方向に等間隔)で5枚採取する。
(ii) つかみ間隔18cm、引張速度10cm/minの条件で、MD方向およびCD方向それぞれ測定する。
(iii) 得られた強伸度曲線から初期引張抵抗度(初期の傾きで100%伸長時の値)を読み取り、小数点以下第一位を四捨五入した値を、サンプル幅(5cm)と上記で求めた不織布の厚さで除し、小数点第一位を四捨五入した値を、印刷基材用長繊維不織布のMD方向とCD方向のヤング率とした。
本発明の印刷基材用長繊維不織布の通気量は、3cm/(cm・秒)以上50cm/(cm・秒)以下とすることが好ましい。このようにすることにより、印刷基材用長繊維不織布が部分的にフィルムライクとなり、印刷基材として用いた場合、インク樹脂の含浸性の低下を防ぐことができ、また、機械的強度に優れた印刷基材用長繊維不織布を得ることができる。
なお、印刷基材用長繊維不織布の通気量は、JIS L1913:2010「一般不織布試験方法」6.8「通気性(JIS法)」の6.8.1「フラジール形法」に基づいて、以下のように測定される値を採用することとする。
(i)印刷基材用長繊維不織布のCD方向に等間隔で縦150mm×横150mmの試験片を10枚採取する。
(ii)試験機の円筒の一端に試験片を取り付けた後、下限抵抗器によって傾斜型気圧計が125Paの圧力を示すように、吸込みファン及び空気孔を調整し、その時の垂直型気圧計の示す圧力を測る。
(iii)測定した圧力と使用した空気孔の種類とから、試験機に付属の換算表によって試験片を通過する空気量(cm/(cm・秒))を求める。
(iv)10点の試験片の通気量から得られた値の平均値の小数点以下第一位を四捨五入した値を印刷基材用長繊維不織布の通気量(cm/(cm・秒))とする。
本発明の印刷基材用長繊維不織布は、表面が平坦であり、毛羽立ちが少なく、かつ適度な密度を有し機械的強度に優れ、樹脂層を塗布した際に裏抜けしたり、塗布ムラが生じたりすることのない優れた加工性を有することから、後述するような印刷基材として好適に用いられる。
[印刷基材用長繊維不織布の製造方法]
次に、本発明の印刷基材用長繊維不織布、およびその製造方法について説明する。本発明の長繊維不織布は、下記(a)~(c)の工程を順次施すことによって製造されることが好ましい。
(a)熱可塑性樹脂を紡糸口金から溶融押出した後、これをエジェクターにより牽引、延伸して繊維を形成する工程。
(b)開繊板により繊維の配列を規制し、移動するネットコンベアー上に堆積させ、繊維ウェブを形成する工程。
(c)得られた繊維ウェブを熱接着する工程。
以下に、上記の各工程について、さらに詳細を説明する。
(a)繊維を形成する工程
まず、熱可塑性樹脂を紡糸口金から溶融押出する。特に、印刷基材用長繊維不織布を構成する繊維を、高融点重合体の周りに当該高融点重合体の融点よりも低い融点を有する低融点重合体を配した複合繊維とする場合には、高融点重合体と、低融点重合体を、それぞれ融点以上、(融点+70℃)以下で溶融し、高融点重合体の周りに、その高融点重合体の融点に対して、10℃以上140℃以下の低い融点を有する低融点重合体を配した複合繊維として、口金温度が融点以上、(融点+70℃)以下の紡糸口金で細孔から紡出した後、エジェクターにより紡糸速度3000m/分以上6000m/分以下で牽引、延伸して円形断面形状の繊維を紡糸することが好ましい。
(b)繊維ウェブを形成する工程
上記の工程により紡糸した繊維については、引き続いて、エジェクターにて吸引させ、エジェクターの下部にスリット状を有する開繊板から噴射させ、移動するネットコンベアー上に堆積させることで繊維ウェブを形成することが好ましい。
(c)繊維ウェブを熱接着する工程
本発明の印刷基材用長繊維不織布の製造方法では、ネットコンベアー上に捕集した繊維ウェブを、仮接着した上で、さらに熱接着することも好ましい態様である。
まず、仮接着は、捕集した繊維ウェブを上下一対のフラットロールにより融着したり、ネットコンベアー上にフラットロールを設置し、ネットコンベアーと当該フラットロールとの間で融着したりする方法が好ましく用いられる。
仮接着するための上下一対のフラットロールや、ネットコンベアー上のフラットロールとは、ロールの表面に凹凸のない金属製ロールや弾性ロールのことであり、さらに、上下一対のフラットロールとは、該金属製ロールや弾性ロールを用いて、金属製ロールと金属製ロールを対にしたり、金属製ロールと弾性ロールを対にしたりして用いることができる。ここで、弾性ロールとは、金属製ロールと比較して弾性を有する材質からなるロールのことである。弾性ロールとしては、ペーパー、コットン、アラミドペーパー等のいわゆるペーパーロール、およびウレタン系樹脂、エポキシ樹脂、シリコン系樹脂、ポリエステル系樹脂および硬質ゴム等や、これらの混合物からなる樹脂製ロール等が挙げられる。
仮接着するための温度は、熱可塑性樹脂の融点(繊維が高融点重合体の周りに当該高融点重合体の融点よりも低い融点を有する低融点重合体を配した複合繊維の場合は、その低融点重合体の融点)に対して65℃以上120℃以下低い温度であることが好ましい。このように温度設定することにより、繊維同士を過度に融着させることなく、搬送性を改善することができる。
また、仮接着するための線圧は45N/cm以上1960N/cm以下であることが好ましい。仮接着するための線圧を45N/cm以上とすることで、繊維ウェブを次工程に搬送する上で必要な機械的強度を付与することができる。一方、仮接着するための線圧を1960N/cm以下とすることで、繊維同士の過度な融着を防ぐことができる。
続いて、仮接着を施した繊維ウェブに、上下一対のフラットロールにより二回目の熱接着を施す。上下一対のフラットロールとは、ロールの表面に凹凸のない金属製ロールや弾性ロールのことであり、金属製ロールと金属製ロールを対にしたり、金属製ロールと弾性ロールを対にしたりして用いることができる。中でも、平滑製に優れ、幅方向の厚さのバラつきの小さい長繊維不織布とすることができることから、金属製ロールと金属製ロールによる組み合わせが好ましい。金属製ロールと金属製ロールによる組み合わせであれば、印刷基材用長繊維不織布の表面を毛羽立ちのない均一性のたかいものにすることができる。
二回目の熱接着するための温度は、熱可塑性樹脂の融点(繊維が高融点重合体の周りに当該高融点重合体の融点よりも低い融点を有する低融点重合体を配した複合繊維の場合は、その低融点重合体の融点)に対して5℃以上60℃以下低い温度であることが好ましい。このように温度設定することで、繊維同士が過度に融着し、印刷基材用長繊維不織布が部分的にフィルムのようなシート形態となることを抑制できる。また、熱接着時に用いられるロールに低融点重合体成分が融着して生産性が低下することを抑制することができる。
二回目の熱接着における線圧は、98N/cm以上1960N/cm以下であることが好ましい。熱接着するための線圧を98N/cm以上とすることにより、機械的強度に優れた印刷基材用長繊維不織布とすることができる。熱接着するための線圧を1960N/cm以下とすることにより、繊維同士の過度な融着を防ぐことができる。
本発明の印刷基材用長繊維不織布の製造方法において、上記の仮接着と二回目の熱接着とは一つの製造ライン上で連続して行ってもよく、仮接着を施した後に一度巻き取り、再度巻き出して二回目の熱接着を施すこともできる。なかでも、生産性に優れることから、仮接着と二回目の熱接着とは一つの製造ライン上で連続して行われることが好ましい態様である。
[印刷基材]
本発明の印刷基材は、前記の印刷基材用長繊維不織布を用いてなる印刷基材であって、前記の印刷基材用長繊維不織布の少なくとも片側の表面に樹脂層を設けてなるものであることが好ましい。樹脂層を設けることによって、より隠蔽性の高い印刷基材とすることができる。
本発明の印刷基材用長繊維不織布に樹脂層を塗布する際、該樹脂層の厚さは5μm以上80μm以下であることが好ましい。樹脂層の厚さを5μm以上、好ましくは8μm以上とすることにより、適度な隠蔽性を有する印刷基材とすることができる。また、樹脂層の厚さを80μm以下、好ましくは70μm以下とすることで、印刷基材としての重量が軽くなり、ハンドリング性に優れたものとなる。
本発明の印刷基材用長繊維不織布に樹脂層を塗布する際、該樹脂層の単位目付あたりの塗布量は20g/m以上60g/m以下であることが好ましい。樹脂層の塗布量を20g/m以上、好ましくは25g/m以上とすることにより、適度な隠蔽性を有する印刷基材とすることができる。また、樹脂層の塗布量を60g/m以下、好ましくは55g/m以下とすることで、印刷基材としての重量が軽くなり、ハンドリング性に優れたものとなる。
本発明の印刷基材用長繊維不織布に樹脂層を塗布する際に用いられる樹脂溶液は、印刷基材用長繊維不織布に隠蔽性を付与させることが必要であり、例えば、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、クレーなどの白色微粉末が添加された溶剤系あるいは水溶性の白色顔料樹脂が好ましく用いられる。
本発明の印刷基材用長繊維不織布に樹脂層を塗布する加工方法としては、グラビア方式、グラビアオフセット方式、フレキソ方式、ロールコーティング方式、コンマコーティング方式、ナイフコーティング方式などの塗布方法で塗布される。
また、本発明の目的を損ねない範囲で、他の添加剤を用いることができる。例えば、撥水剤、帯電防止剤、浸透剤などである。これらの加工剤は上記樹脂溶液に混合させることで印刷基材用長繊維不織布に塗布する。
次に、実施例に基づき本発明の印刷基材用長繊維不織布について具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、各物性の測定において、特段の記載がないものは、前記の方法に基づいて測定を行ったものである。
[測定方法]
(1)ポリエステルの融点(℃)
パーキンエルマー社製の示差走査型熱量計「DSC-2型」を用い、昇温速度20℃/分の条件で測定し、得られた融解吸熱曲線において極値を与える温度を融点とした。
(2)ポリエステルの固有粘度(IV)
ポリエステルの固有粘度(IV)は、オルソクロロフェノール100mLに対し試料8gを溶解し、温度25℃においてオストワルド粘度計を用いて相対粘度ηを、下記式により求めた
η=η/η=(t×d)/(t×d
(ここで、ηはポリマー溶液の粘度、ηはオルソクロロフェノールの粘度、tは溶液の落下時間(秒)、dは溶液の密度(g/cm)、tはオルソクロロフェノールの落下時間(秒)、dはオルソクロロフェノールの密度(g/cm)をそれぞれ表す。)
次いで、相対粘度ηから、下記式により固有粘度(IV)を算出した
固有粘度(IV)=0.0242η+0.2634。
(3)平均単繊維直径(μm)
本発明に係る繊維の平均単繊維直径は、株式会社キーエンス製「VHX-D500」の走査型電子顕微鏡を用いて前記の方法で算出した。
(4)印刷基材用長繊維不織布の目付(g/m
印刷基材用長繊維不織布の目付は前記の方法で算出した。
(5)印刷基材用長繊維不織布の厚さ(mm)
印刷基材用長繊維不織布の厚さは、厚さ計として、株式会社テクロック製“TECLOCK”(登録商標)SM-114を使用し、前記の方法で評価した。
(6)印刷基材用長繊維不織布の通気量(cm/(cm・秒))
印刷基材用長繊維不織布の通気量は、試験機として、スイス・テクステスト社製「FX3300-III」を使用し、前記の方法で評価した。
(7)印刷基材用長繊維不織布の密度(g/cm
印刷基材用長繊維不織布の密度は前記の方法で算出した。
(8)印刷基材用長繊維不織布の断面における最大高さZa、Zb、ならびにZa/Zb
印刷基材用長繊維不織布の断面における最大高さZa、Zb,ならびにZa/Zbは前記の方法で算出した。
(9)印刷基材用長繊維不織布のヤング率
印刷基材用長繊維不織布のヤング率は前記の方法で算出した。
(10)印刷基材の発色性
印刷機として、ヒューレット・パッカード社製ラテックスプリンターの「Latex570」を、インクには同機対応の純正品「Lxインク」を用いて印刷基材に印刷加工を施し、その際のインクの発色性を、健康な男女20人の目視確認により4段階で評価し、最も多い評価をその印刷基材の発色性とした。なお、評価が同数になった場合には、より高い評価をその印刷基材の発色性とした。
・A: ムラもなく、鮮やかに発色している。
・B: ムラが多少観察されるが、鮮やかに発色している。
・C: ムラが多少観察され、発色も所々白み(基材の地)が観察される。
・D: ムラが観察され、発色具合も薄く、基材の白地が観察される。
(11)印刷基材の印刷加工性
(10)の印刷基材の発色性の評価において、印刷基材に印刷加工を施す際の印刷加工性を、健康な男女20人の目視確認により4段階で評価し、最も多い評価をその印刷基材の印刷加工性とした。なお、評価が同数になった場合には、より高い評価をその印刷基材の印刷加工性とした。
・A: 端部のカールがなく、しわも観察されない。
・B: 端部のカールはないが、しわが1~5箇所観察される。
・C: 端部のカールが観察され、しわが6箇所以上観察される。
・D: しわが6箇所以上観察され、かつ端部に大きなカールが観察される。
[使用した樹脂]
次に、実施例・比較例において使用した樹脂について、その詳細を記載する。
・高融点重合体:水分率50質量ppm以下に乾燥した、固有粘度(IV)が0.65で融点が260℃の、ポリエチレンテレフタレート(表1において、PETと表記した。)
・低融点重合体:水分率50質量ppm以下に乾燥した、固有粘度(IV)が0.64、イソフタル酸共重合率が11mol%で融点が230℃の、共重合ポリエチレンテレフタレート(表1において、cо-PETと表記した。)。
[実施例1]
前記の高融点重合体と低融点重合体とを、それぞれ295℃と280℃の温度で溶融させた。その後、高融点重合体を芯成分とし、低融点重合体を鞘成分として、口金温度が295℃で、芯:鞘=80:20の質量比率で細孔から紡出した後、エジェクターにより紡糸速度4900m/分で円形断面形状の繊維を紡糸し、移動するネットコンベアー上に開繊板により繊維配列を規制し堆積させ、平均単繊維直径が10.6μmの繊維からなる繊維ウェブを捕集した。捕集した繊維ウェブに、一対の金属製フラットロールからなるカレンダーロールによって、両方のフラットロールの温度が150℃で、線圧が455N/cmの条件で仮接着した。引き続いて、一対の金属製フラットロールからなるカレンダーロールによって、両方のフラットロールの温度が195℃で、線圧が455N/cmの条件で熱接着し、印刷基材用長繊維不織布を得た。この印刷基材用長繊維不織布の目付は90g/m、厚さは0.20mm、密度は0.45g/cm、通気量は10cm/(cm・秒)、MD方向のヤング率は2040MPa、CD方向のヤング率は781MPaであり、Zaは14.5μm、Zbは15.1μm、Za/Zbは0.96であった。結果を表1に示す。
[実施例2]
仮接着後の熱接着時のカレンダーロール温度を195℃から200℃にし、印刷基材用長繊維不織布の目付を90g/mから100g/mにしたこと以外は、実施例1と同様にして、印刷基材用長繊維不織布を得た。この印刷基材用長繊維不織布の目付は100g/m、厚さは0.23mm、密度は0.43g/cm、通気量は6cm/(cm・秒)、MD方向のヤング率は2090MPa、CD方向のヤング率は862MPa、Zaは17.1μm、Zbは20.7μm、Za/Zbは0.83であった。結果を表1に示す。
[実施例3]
仮接着を実施せず、熱接着時の一対の金属製フラットロールからなるカレンダーロールの温度を上側のフラットロールが200℃、下側のフラットロールが170℃(表1では、「200/170」と表記した。)、線圧を490N/cmの条件とし、さらに、印刷基材用長繊維不織布の目付を90g/mから110g/mにしたこと以外は、実施例1と同様にして、印刷基材用長繊維不織布を得た。この印刷基材用長繊維不織布の目付は110g/m、厚さは0.26mm、密度は0.42g/cm、通気量は21cm/(cm・秒)、MD方向のヤング率は1253MPa、CD方向のヤング率は804MPa、Zaは27.1μm、Zbは48.5μm、Za/Zbは0.56であった。結果を表1に示す。
[実施例4]
仮接着時の線圧を455N/cmから45N/cmに、両方のフラットロールの温度を150℃から130℃に変え、熱接着時の両方のフラットロールの温度を195℃から180℃の条件にし、印刷基材用長繊維不織布の目付を50g/mにしたこと以外は、実施例1と同様にして、印刷基材用長繊維不織布を得た。この印刷基材用長繊維不織布の目付は50g/m、厚さは0.08mm、密度は0.63g/cm、通気量25cm/(cm・秒)、MD方向のヤング率は1435MPa、CD方向のヤング率は492MPa、Zaは10.2μm、Zbは15.3μm、Za/Zbは0.67であった。結果を表1に示す。
[実施例5]
印刷基材用長繊維不織布の目付を50g/mから70g/mにしたこと以外は、実施例4と同様にして印刷基材用長繊維不織布を得た。この印刷基材用長繊維不織布の目付は70g/m、厚さは0.11mm、密度は0.64g/cm、通気量は11cm/(cm・秒)、MD方向のヤング率は2036MPa、CD方向のヤング率は939MPa、Zaは16.3μm、Zbは20.6μm、Za/Zbは0.79であった。結果を表1に示す。
[実施例6]
印刷基材用長繊維不織布の目付を50g/mから35g/mにしたこと以外は、実施例4と同様にして、印刷基材用長繊維不織布を得た。この印刷基材用長繊維不織布の目付は35g/m、厚さは0.06mm、密度は0.58g/cm、通気量は40cm/(cm・秒)、MD方向のヤング率は1216MPa、CD方向のヤング率は361MPa、Zaは9.1μm、Zbは10.2μm、Za/Zbは0.89であった。結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1の製造工程において、以下の点を変更した以外は、実施例1と同様にして長繊維不織布を得た。
・平均単繊維直径が10.6μmの繊維からなる繊維ウェブを捕集していたところ、18.6μmの繊維からなる繊維ウェブを捕集することとした点。
・仮接着する工程に引き続いて、接着する工程を連続的に行っていたところ、仮接着する工程と熱接着する工程との間に、仮接着する工程で得られたシートを一度巻き取った後に室温まで冷却させ、このシートを熱接着する一対の金属製フラットロールからなるカレンダーロールに送る工程を設けるように変えた点。
・熱接着工程において、両方のフラットロールの温度が195℃で、線圧が455N/cmの条件であったところ、両方のフラットロールの温度が190℃で、線圧が500N/cmの条件に変えた点。
・印刷基材用長繊維不織布の目付を90g/mから130g/mに変えた点。
得られた印刷基材用長繊維不織布の目付は130g/m、厚さは0.33mm、密度は0.39g/cm、通気量は2cm/(cm・秒)、MD方向のヤング率は1701MPa、CD方向のヤング率は710MPa、Zaは32.4μm、Zbは81.5μm、Za/Zbは0.40であった。結果を表1に示す。
[比較例2]
仮接着を実施しないこととした点、熱接着工程において、両方のフラットロールの温度が195℃で、線圧が455N/cmの条件であったところ、両方のフラットロールの温度が190℃、線圧を455N/cmの条件とした点、さらに、印刷基材用長繊維不織布の目付を90g/mから80g/mにしたこと以外は、実施例1と同様にして、印刷基材用長繊維不織布を得た。この印刷基材用長繊維不織布の目付は80g/m、厚さは0.10mm、密度は0.80g/cm、通気量は2cm/(cm・秒)、MD方向のヤング率は2455MPa、CD方向のヤング率は962MPa、Zaは7.2μm、Zbは9.3μm、Za/Zbは0.77であった。結果を表1に示す。
Figure 2023094153000002
得られた不織布の特性は表1に示したとおりであり、実施例1~6の印刷基材用長繊維不織布はいずれも、密度は0.40g/cm以上0.90g/cm以下、Zaが9μm以上30μm以下、Za/Zbは0.50以上1.00以下であり、硬さと適度な通気性を保持し、また毛羽立ちが少なく表面が平滑な印刷基材用長繊維不織布の特性を示したものであった。一方、比較例1はシートが厚く、また表面の毛羽立ちも目立ち劣位であった。比較例2では表面がフィルムのようなシート形態となっており、通気性が低く、剛性が高く、劣位であった。
[実施例7]
実施例1の印刷基材用長繊維不織布に白色系樹脂層を27g/m塗布して、樹脂層の厚さが8μmとなるように印刷基材を製造した。得られた印刷基材の発色性は問題なくAであり、印刷加工性もAであった。結果を表2に示す。
[実施例8]
実施例3の印刷基材用長繊維不織布に白色系樹脂層を47g/m塗布して、樹脂層の厚さが78μmとなるように印刷基材を製造した。得られた印刷基材の発色性は、一部ムラが観察されたためBであり、印刷加工性については問題なくAであった。結果を表2に示す。
[比較例3]
比較例1の印刷基材用長繊維不織布に白色系樹脂層を72g/m塗布して、樹脂層の厚さが102μmとなるように印刷基材を製造した。得られた印刷基材の発色性は一部ムラが観察されたためBであり、印刷加工性については、端部がカールしており、さらにしわが7箇所確認されたためCであった。結果を表2に示す。
Figure 2023094153000003
得られた印刷基材、印刷物の特性は表2に示したとおりであり、実施例7、8では樹脂層の厚さが5μm以上80μm以下であり、印刷加工性も問題なく、好適な印刷基材、印刷物であった。一方、比較例3では樹脂層の厚さが81μm以上であることから基材として重く、ハンドリング性について劣位であった。また、印刷時の発色性、加工性についても十分とは言えず、劣位であった。
1: 印刷基材用長繊維不織布
2、4: 印刷基材用長繊維不織布の断面の最頂部
3、5: 印刷基材用長繊維不織布の断面の最底部
6: 直線A
7: 直線B
8: 印刷基材用長繊維不織布の断面の中心線

Claims (7)

  1. 熱可塑性樹脂を主成分とする繊維からなる印刷基材用長繊維不織布であって、該印刷基材用長繊維不織布の見かけ密度が0.40g/cm以上0.90g/cm以下であって、前記印刷基材用長繊維不織布の断面において、一方の表面の最大凸部から該一方の表面における最大凹部までの最大高さZa(μm)と、他方の表面における最大凸部から該他方の表面における最大凹部までの最大高さZb(μm)の比(Za/Zb、ただし、Za<Zbとする)が下記の式(1)で表される関係にあり、前記Zaの範囲が9μm以上30μm以下である、印刷基材用長繊維不織布。
    0.50≦Za/Zb≦1.00 ・・・(1)
  2. 前記Zb(μm)の範囲が10μm以上50μm以下である、請求項1に記載の印刷基材用長繊維不織布。
  3. 前記繊維が高融点重合体の周りに当該高融点重合体の融点よりも低い融点を有する低融点重合体を配した複合繊維である、請求項1または2に記載の印刷基材用長繊維不織布。
  4. 前記印刷基材用長繊維不織布の目付が30g/m以上120g/m以下である、請求項1~3のいずれかに記載の印刷基材用長繊維不織布。
  5. 前記印刷基材用長繊維不織布のMD方向のヤング率が1200MPa以上2200MPa以下である、請求項1~4のいずれかに記載の印刷基材用長繊維不織布。
  6. 前記印刷基材用長繊維不織布のCD方向のヤング率が300MPa以上1000MPa以下である、請求項1~5のいずれかに記載の印刷基材用長繊維不織布。
  7. 請求項1~6のいずれかに記載の印刷基材用長繊維不織布を用いてなる印刷基材であって、前記印刷基材用長繊維不織布の少なくとも片側の表面に樹脂層を設けてなり、該樹脂層の厚さが5μm以上80μm以下である印刷基材。
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