JP7148280B2 - 湿式不織布 - Google Patents

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本発明は湿式不織布に関し、さらに詳しくは均一性に優れた高通気性の湿式不織布に関する。
ポリエステル系バインダー繊維を原料の一部に使用した抄紙法による湿式不織布は、近年になって優れた物性及びコスト優位性の面から、広く使用されてきている。特に低目付の湿式不織布においては顕著であって、従来から抄紙用バインダー繊維として用いられてきたポリエチレン繊維、ポリビニルアルコール繊維等に比較して、機械的特性、電気的特性、耐熱性、寸法安定性、疎水性等の物性において、ポリエステル繊維に優位性がある。
そのような従来技術としては、例えば特許文献1では、単繊維繊度が1.5dtex以下であり、乾燥時の熱収縮が小さく接着性に優れたポリエステルバインダー繊維が提案されている。また、特許文献2では、より接着力の高いバインダー繊維として、単繊維繊度が10dtex以下のポリエステル系未延伸バインダー繊維が提案されている。特許文献3では、繊維形成成分と熱接着性成分からなるポリエステル系複合繊維を用いた、目付が5~100g/mの剛性の高いポリエステル不織布が提案されている。
しかしこのような低目付の湿式不織布においては、熱カレンダー加工の際にバインダーがフィルム化し、通気度が低下するという問題があった。特に、フィルターやセパレータなどの用途においては、通気度を維持することが重要であり、また緻密かつ均一な通気度の湿式不織布が求められていた。
特許第4031435号公報 国際公開第2015/152082号パンフレット 特開2012-67408号公報
本発明は、上記背景のもとになされたものであり、高通気度でありながら緻密かつ均一性に優れた湿式不織布を提供することにある。
本発明の湿式不織布は、主にポリエステル系樹脂から構成されるポリエステル系の延伸繊維と、同じく主にポリエステル系樹脂から構成されるポリエステル系のバインダー繊維とからなる湿式不織布であって、バインダー繊維の結晶化温度が80~150℃の範囲であり、延伸繊維及びバインダー繊維が共にフロー延伸した繊維であり、カレンダー熱処理前のバインダー繊維の単繊維繊度が0.02dtex以上、0.2dtex未満であり、カレンダー熱処理後にバインダー繊維が接着しており、通気度が1.8~36cm/(cm・sec)の範囲内であることを特徴とする。
さらには、湿式不織布を構成する繊維の繊維長が20mm以下であることが好ましく、またポリエステル系樹脂がポリエチレンテレフタレート樹脂であることや、バインダー繊維の含有率が5重量%以上であることが好ましい。
また、不織布の厚さが20μm以下であることや貫通孔の平均孔径が0.1~5.0μmの範囲内であること、さらには湿式不織布の目付が1~30g/mの範囲であり、通気度が1.8~36cm/(cm・sec)の範囲内であることが好ましい。
本発明によれば、高通気度でありながら緻密かつ均一性に優れた湿式不織布が提供される。
本発明の湿式不織布は、主にポリエステル系樹脂から構成されるポリエステル系の延伸繊維とバインダー繊維とからなる湿式不織布である。そして、カレンダー熱処理前のバインダー繊維の単繊維繊度が0.2dtex未満であり、カレンダー工程の加圧、加熱処理によって、バインダー繊維が接着していることを必須とする。
このような本発明に用いるポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレートやポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリアルキレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリアルキレンナフタレートといった芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジオールのポリエステル、ポリアルキレンシクロヘキサンジカルボキシレート等の脂環族カルボン酸と脂肪族ジオールのポリエステル、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート等の芳香族カルボン酸と脂環族ジオールのポリエステル、ポリエチレンサクシネートやポリブチレンサクシネート、ポリエチレンアジペート等の脂肪族カルボン酸と脂肪族ジオールのポリエステル、ポリ乳酸やポリヒドロキシ安息香酸等のポリヒドロキシカルボン酸、等が例示される。また、目的に応じて、酸成分としてイソフタル酸、フタル酸、アジピン酸、セバシン酸、α、β―(4-カルボキシフェノキシ)エタン、4、4-ジカルボキシフェニル、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、1、4-シクロヘキサンジカルボン酸またはこれらのエステル類、ジオール成分としてジエチレングリコール、1、3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ポリアルキレングリコール、等を1成分以上共重合させてもよく、さらにペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、トリメリット酸、トリメシン酸等の3個以上のカルボン酸成分または水酸基をもつ成分を共重合して分岐をもたせてもよい。また、上記に例示されるような組成の異なるポリエステルの混合物も含まれる。なお、これらのポリエステルには、公知の添加剤、例えば、顔料、染料、艶消し剤、防汚剤、抗菌剤、消臭剤、蛍光増白剤、難燃剤、安定剤、紫外線吸収剤、滑剤等を含んでもよい。
またポリエステル繊維の形状としては、断面外周が丸断面であることが好ましく、中実繊維のみならず中空繊維でることも好ましい。また繊維断面形状が丸断面以外の、楕円断面、3~8葉断面等の多葉断面、3~8角の多角形断面などの各種異型断面であることも好ましい。
さて本発明の湿式不織布では、繊維として、主にポリエステル系樹脂から構成されるポリエステル系の延伸繊維と、同じく主にポリエステル系樹脂から構成されるバインダー繊維とからなるものである。さらに必要に応じ、その他の繊維を含んでも良い。
そして本発明にて用いられる細繊度のポリエステル系のバインダー繊維としては、フロー延伸した繊維であることが好ましい。
より具体的には例えば、まずポリエステル樹脂からなるペレットを常法で乾燥し、スクリュー式押出機を装備した溶融紡糸装置にて溶融し、常法で紡糸し、引き取り、未延伸ポリエステル繊維を得る。そしてその未延伸ポリエステル繊維をフロー延伸することによって、バインダー繊維が得られる。
ここでフロー延伸とは、ポリエステルをそのガラス転移温度(以下、Tgと記す)より高い温度で延伸する、フロー延伸現象を利用する延伸方法をいう。このようなフロー延伸では、高い倍率での延伸が可能であるため、本発明では単繊維繊度が細い未延伸繊維を得ることが可能となった。さらに、より安定したフロー延伸を起こさせるためには、使用するポリエステルのTgよりも10℃以上高い媒体中でフロー延伸することが望ましい。また、媒体としては水や水蒸気を用いることが好ましく、特には80~110℃の湿熱中で延伸することが好ましい。より具体的には80℃以上100℃未満の温水中や、110℃未満の水蒸気中にて行うことが好ましい。
またバインダーとなるポリエステル繊維を得るためのフロー延伸倍率としては、5.0倍以上、さらに好ましくは10倍以上、さらには15~140倍、特には20~90倍の範囲とすることが好ましい。このような条件にて高倍率延伸を行うことで、通常の延伸方法では得難い、細繊度のバインダー繊維を得ることが容易となる。
また、フロー延伸に際しては、繊維同士の膠着が起こり易いため、繊維表面に膠着防止効果のある活性剤等を存在させることが好ましい。
そしてこのフロー延伸されたポリエステル繊維は、未延伸繊維に近い物性であるため、フロー延伸に引き続いてわずかにネック延伸を行い、さらに細いポリエステルバインダー繊維とすることも好ましい。なお、このネック延伸もフロー延伸と同様に媒体中にて行うことが好ましく、特には60~80℃の温水中で行うことが好ましい。また、このようなバインダー繊維は必要に応じて、所定の機能を有する界面活性剤の付与、捲縮の付与、所定のカット長での切断等の処理を実施することが好ましい。
また本発明において用いられるバインダー繊維としては、上述したようにフロー延伸されたポリエステル繊維を用いることが好ましく、特にはバインダー繊維が示差熱測定において結晶化温度を有していることが好ましい。ここで結晶化温度とは、示差熱分析装置で測定した昇温時結晶化ピークの頂点の温度である。一般に延伸を施したポリエステル繊維は配向結晶化が進行し、結晶化ピークを示さないが、Tgより高温の媒体中で延伸を施した、いわゆるフロー延伸を行ったようなポリエステル繊維では、配向結晶化を抑制しながら伸長させるため、結晶化温度を示す。このような結晶化温度を有するポリエステル繊維は、加熱される過程において接着性を発現し、延伸ポリエステル繊維等の他の繊維やお互い同士で接合して繊維構造体を与えるため、バインダー繊維として特に有効である。なお十分に延伸、特に十分にネック延伸したポリエステル繊維は結晶化温度を有さず、バインダー繊維としては機能しない。
バインダー繊維の結晶化温度は、80~150℃の範囲内であることが好ましく、さらには90~130℃、特には100~120℃の範囲であることが好ましい。
本発明の湿式不織布では、好ましいバインダー繊維としては低い結晶化温度を持つ繊維をバインダー繊維として用いることが好ましい。この場合、その湿式不織布の製造工程の中でかかる熱によって結晶化が進み、カレンダー等の熱プレス工程の際においても、フィルム化しにくい、という効果が発現する。すると、本発明においては、バインダー繊維の混抄率を上げても、通気性を維持した湿式不織布を製造することが可能となる。
ただしこの結晶化温度が低すぎる場合には、特に70℃近辺の場合、ポリエステル延伸繊維のTgに近い温度で結晶化が進むことになり、バインダーとして好ましくない傾向にある。また、逆に結晶化温度が高すぎる場合、接着するために高温を要しコストが増加する傾向にある。
このようなバインダー繊維における結晶化温度の調整は、チップ粘度(固有粘度)、単繊維繊度、紡糸条件を変更することにより可能である。例えば、チップ粘度を下げる、重合度を下げる、紡糸時の工程温度を上げる、または単繊維繊度を大きくするなどの手段によって、結晶化温度を上げることができる。逆に、チップ粘度を上げる、重合度を上げる、紡糸時の工程温度を下げる、単繊維繊度を小さくするなどの手段によって、結晶化温度を下げることができる。
そして本発明の不織布においては、不織布を構成するバインダー繊維の単繊維繊度が0.2dtex未満であり、バインダー繊維が熱カレンダー処理によって接着している。バインダー繊維の繊度としては、0.2dtex未満、さらには0.02~0.15dtex、特には0.06~0.10dtexの範囲内にあることが好ましい。バインダー繊維の繊度が大きすぎる場合、繊維1本あたりの重量が高いため、特に低目付の湿式不織布を目的とする場合、不織布を構成する繊維の本数が極端に少なくなり、その結果、バインダー繊維としての接着点が減少し、均一な不織布を製造することが困難になる。また、ピンホールが発生し地合いが低下するなどの問題も生じやすい傾向にある。
本発明の湿式不織布はポリエステル系のバインダー繊維と延伸繊維を含有するものであるが、バインダー繊維とともに用いる延伸繊維としては、以下のような延伸繊維を主体繊維として含有することが好ましい。なお延伸繊維としては、通常の延伸を行った繊維であっても良いが、さらには、上記のようなフロー延伸した後に、さらに十分にネック延伸を行い、結晶化温度を示さないポリエステル延伸繊維であることが好ましい。
主体繊維ともなる延伸繊維としては、単繊維繊度は1.0dtex以下であることが好ましく、より好ましくは0.005~0.1dtexの範囲内、さらに好ましくは0.01~0.05dtexの範囲である。延伸繊維を得るためのネック延伸倍率としては、1.5~4倍の範囲であることが好ましく、特には2.0~3.5倍の範囲であることが好ましい。バインダー繊維と同じく、この延伸繊維もフロー延伸と同様に媒体中にて行うことが好ましく、特には60~80℃の温水中で行うことが好ましい。
さらに本発明に用いられる延伸繊維はネック延伸後、繊維の収縮特性を調節するために各種熱処理を行うことも好ましい。熱処理方法は特に限定されず、緊張熱処理、制限収縮処理、緩和熱処理等、いずれの熱処理も施すことができる。また、延伸処理後のポリエステル繊維は必要に応じて、所定の機能を有する界面活性剤の付与、捲縮の付与、所定のカット長での切断等の処理を実施することが好ましい。
そしてこのような本発明の湿式不織布に好適に用いられる繊維としては、その繊維長が20mm以下であることが好ましい。特には湿式不織布を構成する繊維が、ポリエステル系樹脂からなるバインダー繊維および延伸繊維であって、その繊維長が共に20mm以下であることが好ましい。さらにはその繊維長が、より好ましくは0.5~5mm、特には1~3mmの範囲であることが好ましい。本発明の湿式不織布を製造する場合において、繊維長が長すぎると、特に各繊維を水中にて分散させる際に繊維が絡み合って、その部分が紙の欠点となり、均一な湿式不織布(紙)を得にくい傾向にある。
また、本発明の湿式不織布はバインダー繊維に加え、ポリエステル延伸繊維などの主体繊維を混抄して製造することも好ましい。
湿式不織布を構成する繊維におけるバインダー繊維の混抄率(質量比率)としては5%以上、さらには30~50質量%の範囲にあることが好ましい。バインダー繊維の含量が少なすぎると、湿式不織布の形態を構成する繊維本数が極端に少なくなり、均一な不織布を製造できなくなったり、強度不足となる傾向にある。
一般に、主体繊維とバインダー繊維から成る湿式不織布は、バインダー繊維の混抄率が高いと、カレンダー加工の際にバインダー繊維がフィルム化し、不織布の特性である通気性を損なうおそれがあるが、本発明においてはより低い結晶化温度を持つ繊維をバインダー繊維として用いるために、それを防止することが可能となった。
このような本発明の湿式不織布は、抄紙工程によって製造することができる。より具体的には、パルパー中に繊維を分散させ、その後、長網抄紙方式、円網抄紙方式、短網抄紙方式、あるいはこれらを複数台組み合わせて多層抄きにすることも好ましい。より均一な湿式不織布とするためには、パルパー中に分散剤や消泡剤を添加することも好ましい。このような分散剤としては例えばポリエステル系の水分散物(例えば高松油脂株式会社製の「DT―100」)などが好ましく使用される。
抄紙後の乾燥工程は、常法にしたがい、ヤンキードライヤー、エアスルードライヤーなどを用いることができる。乾燥温度は、70~150℃の範囲であることが好ましい。さらに好ましくは80~120℃の範囲であることが好ましい。乾燥温度が低すぎる場合は、乾燥が不十分となり、最終的に湿式不織布の強度が不足する傾向にある。逆に、乾燥温度が高すぎる場合、バインダー繊維が結晶化し、最終的に湿式不織布の強度が低下する傾向にある。
本発明の湿式不織布の製造方法としては、上記のように常法にて抄紙された後、紙強度を向上させるためにカレンダー加工により熱プレスすることが好ましい。この時用いるカレンダーロールとしては、金属/金属ロール、金属/ペーパーロール、金属/弾性ロールなどを用いることが好ましい。
このようなカレンダーによる熱処理において、そのカレンダープレスの温度としては100~250℃の範囲内であることが好ましい。より好ましくは150~250℃、特に好ましくは170~230℃の範囲内である。温度が低すぎる場合には、繊維が潰れにくくなり湿式不織布の強度が発現しにくい傾向にある。逆に温度が高すぎると、繊維が融解しやすくなり不均一な湿式不織布となる傾向にある。カレンダー熱処理時のプレス圧力としては100~2500N/cm(10~255kgf/cm)の範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは300~2200N/cm(31~224kgf/cm)、特には400~2000N/cm(41~204kgf/cm)の範囲であることが好ましい。
そして上述のような製造方法によって得られる本発明の湿式不織布としては、その目付が1~30g/mの範囲であることが好ましい。さらに好ましくは2~15g/mの範囲であることが、特には3~12g/mの範囲であることが好ましい。目付が大きすぎると湿式不織布を構成する繊維の本数が多すぎて、通気度や孔径が極端に低下し、不織布の特性が低下する傾向にある。
また本発明の湿式不織布の厚さはとしては、20μm以下であることが好ましい。さらには5~17μmの範囲であることが、特には12~17μmの範囲であることが好ましい。厚すぎると、カレンダー加工時にバインダー繊維がフィルム化しやすく、通気度や孔径が低下し、性能が低下する傾向にある。
湿式不織布の密度としては1g/cm以下であることが好ましく、より好ましくは0.5~0.9g/cmの範囲であることが好ましい。密度が高すぎても、不織布が樹脂化してフィルムライクとなりやすい傾向にあり、不織布の特性を損なわれる傾向にある。
本発明の湿式不織布の通気度としては1.8~36cm/(cm・sec)の範囲であることが好ましい。さらに好ましくは20cm/(cm・sec)以下、特に好ましくは10cm/(cm・sec)以下、もっとも好ましくは1・8~5cm/(cm・sec)の範囲にあることが好ましい。通気度は不織布の特性を確保するためにも必要であるが、逆に通気度が大きすぎる場合には、湿式不織布の強度が低下する傾向にある。
このような本発明の湿式不織布は貫通孔を有することが好ましく、貫通孔の平均孔径としては0.1~5.0μmの範囲内であることが好ましい。さらに好ましくは0.5~3.0μm、より好ましくは0.8~2.0μmの範囲であることが好ましい。平均孔径が小さすぎるとフィルムライクとなり、不織布の特徴である多孔性を維持しにくい傾向にある。逆に、平均孔径が大きすぎると、不織布の地合いが悪くなり、均一性を損なう傾向にある。また、貫通孔の最小孔径としては0.01~1.5μmの範囲であることが好ましい。より好ましくは0.01~1.2μm、特に好ましくは0.05~1.0μmの範囲であることが好ましい。最小孔径が小さすぎると、フィルムライクとなり、不織布の特徴である多孔性を維持しにくい傾向にある。さらに、最大孔径/平均孔径の値が10以下、特には1~6の範囲であることが好ましい。最大孔径/平均孔径の値が小さいほど、不織布の地合い・均一性が向上する。
本発明の湿式不織布のたて方向の引張強さは1.0N/15mm巾以上あることが好ましく、特には1.0~7.5N/15mm巾の範囲内であることが好ましい。
そしてこのような本発明の湿式不織布は、機械的特性、電気的特性、耐熱性、寸法安定性、疎水性等の優れた物性に優れたものであって、熱カレンダー処理によってもフィルム化しにくく、高い通気性を維持する湿式不織布である。特に本発明の湿式不織布は均一性や多孔性に優れ、特にフィルターやセパレータなどの低目付の用途において、特に有用である。
本発明の実施例及び比較例を詳述するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例中の各測定項目は下記の方法で測定した。
(1)ポリエステル繊維の結晶化温度
TAインスツルメント・ジャパン(株)社製のサーマル・アナリスト2200を使用し、昇温速度20℃/分で測定し、JIS K7121-1987に記載の方法で測定を行った。
(2)ポリエステル繊維の繊度
JIS L1015:2010 8.5.1 B法に記載の方法により測定した。
(3)湿式不織布の目付
JIS P8124(紙及び板紙 坪量の測定方法)に基づいて実施し、小数点以下第二位を四捨五入して求めた。
(4)湿式不織布の厚さおよび密度
JIS P8118(紙及び板紙 厚さ、密度の試験方法)に基づいて実施した。
(5)湿式不織布の通気度
JIS L1913(一般不織布試験方法 通気性 フラジール形法)に基づいて測定した。
(6)湿式不織布の引張強さ
JIS P8113(紙及び板紙 引張特性の試験方法)に基づいてMD方向(縦方向)の引張強さを測定し、最大点荷重(N/15mm巾)を示した。
(7)湿式不織布の貫通孔の孔径
直径2.5cmの円形サンプルを不織布からランダムに2点採取し、パーム・ポロメーター(PMI社製、細孔径分布測定器)を用いて平均孔径、最大孔径、最小孔径を測定し、小数点以下第二位を四捨五入して求めた。最大孔径/平均孔径の値を計算し、孔径ばらつきとした。
[実施例1~3]
固有粘度0.47dL/gのポリエチレンテレフタレート(Tg70℃)を170℃で乾燥後、スクリュー式押出機を装備した溶融紡糸装置にて290℃で溶融し、2504個の吐出孔を穿設した紡糸口金を通して、340g/分で吐出し、500m/分の速度で引取り、未延伸ポリエステル繊維束を得た。該未延伸ポリエステル繊維束を、85℃温水中で、34倍の条件下でフロー延伸を行い、フロー延伸された繊度0.08dtexのポリエステル系のバインダー繊維を得た。さらに3mmの繊維長にカットして、抄紙用のバインダー繊維とした。このバインダー繊維の結晶化温度は109℃、融点は257℃であった。
一方、上記の過程で得られた34倍のフロー延伸後の部分延伸ポリエステル繊維束を、70℃の温水中で、さらに2.5倍の条件のネック延伸を行い、さらに95℃の温水中で5%の制限収縮処理を行って、繊度0.04dtexのポリエステル延伸繊維を得た。さらに3mmの繊維長にカットして、抄紙用の延伸繊維とした。この延伸繊維の結晶化温度は観察されず、融点は255℃であった。
得られたポリエステル系のバインダー繊維およびポリエステル系の延伸繊維を、表1に示す目付・混抄率となるように量りとり、水中に分散させミキサーで強撹拌してスラリーとした。その後、スラリーをタッピ抄紙機に移し、スラリーにポリエステル樹脂を主成分とする分散剤(高松油脂株式会社製、「DT-100」)を0.1%となるよう添加し、充分撹拌した。水を除去してメッシュ上にてシート化させ、ロータリードライヤーを用いて表1に示す温度で乾燥し、原紙を抄造した。得られた原紙を、加熱金属ロールと弾性ロールの組み合わせのカレンダー装置を用いて、表1に示す条件で熱カレンダー加工を施し、湿式不織布を得て、そのものの物性評価をした。評価結果を併せて、表1に示す。
[比較例1]
固有粘度間0.47dL/gのポリエチレンテレフタレート(Tg70℃)を170℃で乾燥後、スクリュー式押出機を装備した溶融紡糸装置にて290℃で溶融し、2504個の吐出孔を穿設した紡糸口金を通して、340g/分で吐出し、500m/分の速度で引取り、未延伸ポリエステル繊維束を得た。該未延伸ポリエステル繊維束を、85℃温水中で13倍の条件下でフロー延伸を行い、フロー延伸された繊度0.2dtexのポリエステル系のバインダー繊維を得た。さらに3mmの繊維長にカットして、抄紙用のバインダー繊維とした。このバインダー繊維の結晶化温度は132℃、融点は257℃であった。
一方、抄紙用のポリエステル系の延伸繊維としては、実施例1等と同じものを用いた。
その後、実施例1等と同様の方法にて、ただし表1記載の条件にて湿式不織布を得た後、物性評価をした。評価結果を表1に示す。
Figure 0007148280000001
表1から明らかな通り、0.2dtex未満の繊度のバインダー繊維を用いた本発明の湿式不織布は、貫通孔の孔径が小さく、かつ緻密であるにもかかわらず、通気度の高い不織布が得られている。これは、細繊度のバインダー繊維、さらには繊維長の短いバインダー繊維が、不織布製造工程中のカレンダー熱処理工程で結晶化し、そのカレンダー加工の際に繊維形状を維持したためであると考えられる。他方、比較例で用いている太繊度のバインダー繊維は、得られた湿式不織布の平均孔径が高いにもかかわらず通気度が低いことから、実施例に比べて均一性が劣り、部分的にフィルムライクとなっている、あるいは、湿式不織布の特性である多孔性が損なわれているもの、と考えられる。
以上に説明した本発明の湿式不織布は、種々の加工方法を適用することができ、幅広い生活資材、及び、産業資材用途に使用することできる。ろ過膜や、セパレータの基材、高性能フィルターに供することができる。

Claims (8)

  1. 主にポリエステル系樹脂から構成されるポリエステル系の延伸繊維と、同じく主にポリエステル系樹脂から構成されるポリエステル系のバインダー繊維とからなる湿式不織布であって、バインダー繊維の結晶化温度が80~150℃の範囲であり、延伸繊維及びバインダー繊維が共にフロー延伸した繊維であり、カレンダー熱処理前のバインダー繊維の単繊維繊度が0.02dtex以上、0.2dtex未満であり、カレンダー熱処理後にバインダー繊維が接着しており、通気度が1.8~36cm/(cm・sec)の範囲内であることを特徴とする湿式不織布。
  2. 湿式不織布を構成する繊維の繊維長が20mm以下である請求項1記載の湿式不織布。
  3. バインダー繊維の結晶化温度が90~130℃の範囲である請求項1または2記載の湿式不織布。
  4. ポリエステル系樹脂がポリエチレンテレフタレート樹脂である請求項1~3のいずれか1項記載の湿式不織布。
  5. バインダー繊維の含有率が5重量%以上である請求項1~4のいずれか1項記載の湿式不織布。
  6. 厚さが20μm以下である請求項1~5のいずれか1項記載の湿式不織布。
  7. 貫通孔の平均孔径が0.1~5.0μmの範囲内である請求項1~6のいずれか1項記載の湿式不織布。
  8. 湿式不織布の目付が1~30g/mの範囲であり、通気度が1.8~36cm/(cm・sec)の範囲内である請求項1~7のいずれか1項記載の湿式不織布。
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