JP2022154115A - 熱接着性分割型複合短繊維、湿式不織布及びその製造方法 - Google Patents

熱接着性分割型複合短繊維、湿式不織布及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】繊維同士の融着が少なく、分散性に優れ、微細粒子の捕集に優れた熱接着性分割型複合短繊維、湿式不織布およびその製造方法を提供すること。【解決手段】繊維成形性合成樹脂からなる成分Aと、融点が20℃以上低い成分Bから構成され、成分が8以上のセグメントに分かれて配列されており、0.01dtex~1dtexの繊度かつアスペクト比が100~3000である熱接着性分割型複合短繊維。さらには、各成分が放射状に交互配列したものであることや、中心部が中実または中空構造であることが好ましい。または極細繊維Aが不織布表面に露出している部分の太さが5μm以下であり、繊維束形状にて存在している極細繊維Aが凸部を、熱接着性の成分Bが凹部を形成している湿式不織布および湿式抄紙とカレンダー処理を特徴とする、その製造方法。。【選択図】図1

Description

本発明は、湿式不織布に適した熱接着性分割型複合短繊維、湿式不織布及びその製造方法に関するものである。
従来、不織布製造用に適した熱接着性短繊維として、共重合ポリエステル系の複合繊維が広く用いられている。たとえば、特許文献1や特許文献2では、融点が130~230℃の範囲でポリオレフィンが熱接着性成分の重量を基準として0.5~15重量%含まれているポリエステルを熱接着性成分として鞘部に、その熱接着性成分の融点より20℃以上高いポリアルキレンテレフタレートを繊維成形性成分として芯部に存在し、熱接着性成分が表面に露出するように両成分が複合化された熱接着性複合繊維が提供されている。
また特許文献3では、芯部となる繊維成形性成分が融点220℃以上で、固有粘度0.30~0.55dL/gのポリアルキレンテレフタレートからなり、鞘部となるポリオレフィンからなる熱接着性成分が表面に露出するように複合化された、単糸繊度が0.01~1.5dtexの複合繊維が提案されている。
上記に挙げられる熱接着性複合繊維においては、熱接着性成分の露出面積が大きく、複数本同時に加熱延伸する際に、隣り合う繊維同士の熱接着性成分が融着し、得られた繊維の分散性・開繊性が著しく低下するという問題があった。特に細繊度の熱接着性繊維を製造する場合、加熱延伸温度がより高温であるため融着が発生しやすく、たとえば細繊度の熱接着性繊維を用いて湿式不織布を製造する際、繊維を解離させるパルパー中で融着繊維が十分に分散せず、地合いが不均一かつ多数の未分散欠点が存在する湿式不織布になってしまうという問題があった。またこの問題は、低目付・低密度の乾式不織布においても、同様であった。
特開2011-74506号公報 特開2011-195978号公報 特開2014-201855号公報
本発明は、上記背景技術の有する問題に鑑みなされたもので、その目的は、繊維同士の融着が少なく、分散性に優れ、微細粒子の捕集に優れた熱接着性分割型複合短繊維、湿式不織布およびその製造方法を提供することにある。
本発明の熱接着性分割型複合短繊維は、繊維成形性合成樹脂からなる成分Aと、成分Aより融点が20℃以上低い成分Bから構成された熱接着性分割型複合短繊維であって、成分Aと成分Bとが合計8以上のセグメントに分かれて配列されており、繊維全体の繊度が0.01dtex~1dtexの範囲かつ繊維全体のアスペクト比が100~3000の範囲であることを特徴とする。
さらには、成分Bの融点が220℃以下であることや、成分Aの融点が180℃以上であって、固有粘度が0.35~0.70dL/gの範囲であること、繊維表面に占める成
分Bの比率が80%以下であることが好ましい。また、成分Aと成分Bが繊維の中心から放射状に交互配列したものであることや、繊維の中心部が中実または中空構造であることが好ましい。
またもう一つの本発明の湿式不織布は、極細繊維Aと溶融した熱接着性の成分Bからなる湿式不織布であって、極細繊維Aが不織布表面に露出している部分の太さが5μm以下であり、複数の極細繊維Aが熱接着性の成分Bにより繊維束形状にて存在している部分では、極細繊維Aが凸部を、成分Bが凹部を形成しており、当該繊維束は他の繊維束と熱接着性の成分Bによって接着されていることを特徴とする。
さらには、湿式不織布の製造方法としては、本発明の熱接着性分割型複合短繊維を湿式抄紙し、次いでカレンダー処理することを特徴とする。
本発明によれば、繊維同士の融着が少なく、分散性に優れ、微細粒子の捕集に優れた熱接着性分割型複合短繊維、湿式不織布および熱接着性分割型複合短繊維を用いた湿式不織布の製造方法を提供される。
本発明の熱接着性分割型複合短繊維の断面構造(中空タイプ)の1例を例示した模式図である。 本発明の熱接着性分割型複合短繊維の断面構造(中心が成分Bの中実タイプ)の1例を例示した模式図である。 本発明の熱接着性分割型複合短繊維を製造する際に用いられる紡糸口金装置の一例を示す断面図である。 本発明の熱接着性分割型複合短繊維を用いた湿式不織布表面のSEM写真である。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の熱接着性分割型複合短繊維は、繊維成形性合成樹脂からなる成分Aと、成分Aより融点が20℃以上低い成分Bから構成された熱接着性分割型複合短繊維である。さらに、成分Aと成分Bとが合計8以上のセグメントに分かれて配列されており、繊維全体の繊度が0.01dtex~1dtexの範囲かつ繊維全体のアスペクト比が100~3000の範囲であることを特徴とする。
本発明の熱接着性分割型複合短繊維を構成する成分Aは、繊維成形性の合成樹脂であればよく、さらにはポリエステルを構成成分とするものであることが好ましい。より具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネートおよびその共重合体等のポリエステル系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン(高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等を含む)、ポリブテン-1、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、およびエチレン-酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ナイロン6、ナイロン12およびナイロン66のようなポリアミド系樹脂等から任意に選択される。中でも、糸成形性の観点から、ポリエステルであることが特に好ましい。
好ましく本発明に用いるポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレートやポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリアルキレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリアルキレンナフタレートといった芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジオールのポリエステル、ポリアルキレンシクロヘキサンジカルボキシレート等の脂環族カルボン酸と脂肪族ジオールのポリエステル、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート等の芳香族カルボン酸と脂環族ジオールのポリエステル、ポリエチレンサクシネートやポリブチレンサクシネート、ポリエチレンアジペート等の脂肪族カルボン酸と脂肪族ジオールのポリエステル、ポリ乳酸やポリヒドロキシ安息香酸等のポリヒドロキシカルボン酸、等が例示される。また、目的に応じて、酸成分としてイソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、α、β-(4-カルボキシフェノキシ)エタン、4、4-ジカルボキシフェニル、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、1、4-シクロヘキサンジカルボン酸またはこれらのエステル類、ジオール成分としてジエチレングリコール、1、3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ポリアルキレングリコール、等を1成分以上共重合させてもよく、さらにペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、トリメリット酸、トリメシン酸等の3個以上のカルボン酸成分または水酸基をもつ成分を共重合して分岐をもたせてもよい。また、上記に例示されるような組成の異なるポリエステルの混合物も好ましく用いられる。なお、これらのポリエステルには、公知の添加剤、例えば、顔料、染料、艶消し剤、防汚剤、抗菌剤、消臭剤、蛍光増白剤、難燃剤、安定剤、紫外線吸収剤、滑剤等を含んでもよい。
また、繊維成形性成分である成分Aは、その成分Aの融点としては180℃以上であることが好ましく、特には205~275℃であることが好ましい。また、固有粘度が0.35~0.70dl/gの範囲であることが好ましく、特には0.40~0.65dl/gの範囲であることが好ましい。固有粘度が低すぎると、融点も180℃未満等の低い値となり、溶融粘度が下がりすぎて製造工程にて安定吐出できないため好ましくない。逆に高すぎても、分子同士の絡みが強く配向しやすいため、高倍率延伸ができなくなり好ましくない。
本発明の熱接着性分割型複合短繊維を構成する成分Bとしては、上記の成分Aより融点が20℃以上低いことを必須とし、さらには成分Aより融点が30~130℃低いことが好ましい。また成分Bの融点としては230℃以下であることが好ましく、特には120~220℃であることが好ましい。成分Aと成分Bの融点差が20℃未満であると、熱接着させる際に繊維成形性の主体成分である成分Aも軟化・変形するため、複合繊維として好ましくない。さらに不織布製造時に繊維全体がフィルム化して、不織布の通気性が低下しやすい傾向にある。さらに融点が230℃以下等の低い成分を用いることで、バインダー性能が向上し不織布強度が高くなるとともに、高倍率延伸が可能で1dtex以下の分割型複合繊維を得やすくなる。
このような成分Bとしては、共重合ポリエステルであることが好ましく、ポリエステル成分に第三成分としてジカルボン酸あるいはジオールを共重合したポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート及びその共重合体、ポリブチレンテレフタレート及びその共重合体、ポリヘキサメチレンテレフタレート及びその共重合体又はポリ乳酸などが挙げられる。上記熱接着性成分の中でもジカルボン酸あるいはジオールを共重合したポリエチレンテレフタレート、ジカルボン酸あるいはジオールを共重合したポリブチレンテレフタレートが好適である。
さらに本発明の熱接着性分割型複合短繊維においては、その複合短繊維中の成分Aと成分Bとが合計8以上のセグメントに分かれて配列されており、繊維全体の繊度が0.01dtex~1dtexの範囲かつ繊維全体のアスペクト比が100~3000の範囲であることを必須とする。さらには繊維表面に占める成分Bの比率が80%以下の範囲内であることが好ましく、0~80%、特には20~70%の範囲であることが好ましい。繊維表面に占める成分Bの比率が大きすぎると分割前の短繊維同士が融着するばかりではなく、不織布にした場合に表面に成分Aからなる極細繊維が存在しにくくなる。さらには表面に露出するバインダー成分Bの表面積が大きすぎると、温水延伸中で単糸同士が融着するため、好ましくない。また0%の場合には、たとえば成分Aが外周薄皮形状であることが好ましく、そのような場合、後の不織布製造過程、特にカレンダー工程での熱圧着時等に、成分Aからなる薄皮が破れて内部のバインダー成分Bが露出するものであることが好ましい。
そして本発明ではバインダーとなる成分Bと主体繊維となる成分Aとが合計8以上のセグメントに分かれて配列されていれば良く、さらには交互配列されているもの好ましい。繊維の形状としては、扁平型や、十字異型、外周薄皮形状などであることも好ましい。さらには本発明の分割型複合短繊維は、図1や図2に示すように、成分Aおよび成分Bが、繊維横断面方向において放射状に交互配列されていることが好ましい。
本発明の分割型複合短繊維では、8以上のセグメントに分かれて配列されており、繊維表面に露出する熱接着性成分Bの表面積が制限され、特に温水中での延伸中に発生する単糸同士の融着をより有効に防ぐことができる。さらに成分Aと成分Bとを交互配列させることや、それらを放射状に配置した場合、より紡糸性や加工性に優れた短繊維となる。セグメントは8個以上に分割されていることが、さらに好ましくは12個以上、より好ましくは16個から48個に分割されていることが好ましい。分割個数を増加させることによって、熱接着性の成分Bの表面露出面積がより小さくなり、紡糸性や加工性に優れた短繊維となる。また、図1に示すように中心が中空であることや、図2に示すように、中心に成分Bから構成される芯が存在することも好ましい。得られた分割型複合短繊維が分割しやすく、極細繊維からなる不織布になりやすい。逆に中心部に成分Aから構成される芯となっている中実繊維や、中心部分も成分AとBの分割構造となっている場合、主体成分Aがその他の場合に比べ、短繊維が分割しにくい傾向にある。
またこの本発明の分割型複合短繊維を、後の不織布製造工程にて熱圧着するときには、バインダーとなる成分Bと主体繊維となる成分Aとが交互に配置されている形態である場合、熱圧着時にバインダー成分Bが不織布内空間に融け広がることが制限され、より通気性の高い不織布を得ることができる。また、得られた不織布の表面は図4に示されるように、熱圧着時にバインダー成分が融けて主体成分Aが凸部を形成した表面凹凸を有する扁平な形状に変形し、従来型の芯鞘複合繊維型バインダー繊維を用いた不織布に比べ、厚みの薄いより均一な不織布を得ることが可能となる。
さらに分割前の本発明の熱接着性分割型複合短繊維の、繊維全体の繊度は0.01dtex~1dtexの範囲であるが、さらには0.1dtex~0.6dtexの範囲であることが好ましい。繊度が小さすぎると、得られた短繊維を不織布や紡績糸などに加工する際に、十分に繊維同士を開繊しにくく、不均一になりやすい傾向にある。逆に、繊度が大きすぎる場合、繊維表面の熱接着性の各成分Bの表面積が大きくなり、温水延伸中に繊維同士が融着しやすくなる傾向にある。
本発明の分割型複合繊維の繊維長としては、0.1~30mmの範囲であることが好ましい。さらには0.5~5mmの範囲であることが好ましい。繊維長が短すぎ、アスペクト比(繊維長/繊維径)が小さすぎると、後に湿式不織布を製造する際、抄紙用メッシュから繊維が脱落し、目付変動や排水工程異常が発生しやすい傾向にある。逆に、繊維長が長すぎると、繊維のアスペクト比(繊維長/繊維径)が高くなりやすく、後の不織布製造工程等にて繊維が絡みやすく、また水分散性も低下しやすい傾向にある。
また分割前の繊維全体のアスペクト比は100~3000の範囲であるが、さらには分割前のアスペクト比が200~1000の範囲であることが好ましい。このように細く、かつ高アスペクト比であることによって、繊維成形性成分の成分Aが分割後により極細繊
維化されることに加えて、熱接着成分である成分Bが細分化され、余分な融着を発生させず、均一な不織布を得ることが可能となる。
またこのような本発明の熱接着性分割型複合短繊維は、こののちの処理にて分割することによって、分割後は極細繊維となる成分Aのアスペクト比がさらに向上し、最終的に得られる紙や、不織布などの強度が向上する。最初からアスペクト比が高い繊維の場合、工程途中にて均一なものが得られにくく、本発明の複合繊維を用いた時のような、優れた地合いや高い機械物性を得ることは困難な傾向にある。
本発明の熱接着性分割型複合短繊維は、特に不織布用途に用いることが好ましく、湿式不織布、乾式不織布など、従来公知の方法で製造される不織布に使用することが可能である。しかし特には後述する湿式不織布に用いることが好ましく、熱圧着によりより薄い不織布として用いることがさらに好ましい。
このような本発明の熱接着性分割型複合短繊維は例えば以下のような製造方法で得ることが可能である。
具体的には、たとえは図1や図2にあるような分割型複合繊維は、前述した主体となる成分Aおよびバインダーとなる成分Bのポリマーをチップ状とし、それぞれ乾燥した後、溶融して公知の複合紡糸口金に導入し糸状に押し出し、口金下10~100mmの位置で冷却固化し、紡糸速度300~1500m/分で巻き取り、未延伸糸とすることができる。このとき、未延伸糸にポリエーテル・ポリエステル共重合体を付与することが好ましい。さらに得られた未延伸糸を、バインダー成分Bのガラス転移温度をTgとして、Tg~Tg+30℃の温水中で、5.0~120.0倍に延伸し、25~130℃で定長熱処理もしくはオーバーフィード熱処理または弛緩熱処理を行った後、所定の繊維長にカットして、熱接着性分割型複合繊維を得ることが好ましい。ここで、成分Aと成分Bが交互配列した繊維とするには、公知の方法を用いることができ、たとえば特開昭52-88620号公報や特開平5-239717号公報に記載されている複合繊維の製造方法に準じて得ることが可能である。
さらには、ポリエーテル・ポリエステル共重合体を繊維表面に付着させることが好ましい。このような成分を付着させることによって、得られた繊維を用いて、抄紙法にて湿式不織布を得る際に、繊維の水中分散性が良好になり、均一な不織布を得ることが可能となる。なお、ポリエーテル・ポリエステル共重合体を未延伸糸に付与する方法としては、未延伸糸が紡糸された直後にオイリング装置によって付与したり、または、フロー延伸工程の温水浴中に含ませて付与することが好ましい。
繊維を構成する成分Aや成分Bは前述のものが用いられるが、特には成分Bの融点が220℃以下のポリエステルであることが好ましい。低い融点の成分Bを用いることで、バインダー性能が向上し不織布とした時の強度が高くなるとともに、高倍率延伸が可能で1dtex以下の分割型複合繊維を得ることが可能になる。たとえば、イソフタル酸共重合体、ポリトリメチレングリコール酸共重合体などであることも好ましい。
また分割型複合短繊維の成分のうち、成分Aとしては固有粘度が0.35~0.70dL/gのポリエステルであることが好ましい。固有粘度が0.35dL/g未満であると、融点が低くなり、溶融粘度が下がりすぎ、安定吐出が困難となる傾向にある。逆に0.70dL/gを超えると、分子同士の絡みが強く配向しやすいため、高倍率延伸が困難となり、細い繊維が得られにくい傾向にある。
またもう一つの本発明である湿式不織布は、極細繊維Aと溶融した熱接着性の成分Bか
らなる湿式不織布であって、極細繊維Aが不織布表面に露出している部分の太さが5μm以下であり、複数の極細繊維Aが熱接着性の成分Bにより繊維束形状にて存在している部分では、極細繊維Aが凸部を、熱接着性の成分Bが凹部を形成しており、当該繊維束は他の繊維束と熱接着性の成分Bによって接着されていることを特徴とする。
ここで不織布の表面に存在する極細繊維Aは、上述の分割型複合短繊維の繊維成形性合成樹脂からなる成分Aに由来する極細繊維であって、例えば成分Aと、成分Aより融点が低い成分Bから構成された熱接着性分割型複合短繊維の成分Bを溶融するなどして表面に露出させることが可能となる。極細繊維Aが不織布表面に存在している部分の太さとしては、5μm以下であることが必要であるが、さらには0.5~4μmの範囲であることが好ましい。
また、この極細繊維Aは複数のセグメントを有する複合繊維の各セグメントから構成されるため、通常扁平な形状である。そこでこの極細繊維の断面を円換算した時の太さとしては、極細繊維Aが不織布表面にて単独で存在している部分の太さが3μm以下であることが好ましく、さらには0.1~2μmの範囲であることが好ましい。この円換算径は、繊維の断面を測定するばかりではなく、繊度と繊維を構成する樹脂の密度から計算することも可能である。
また本発明の湿式不織布は、複数の極細繊維Aが熱接着性の成分Bにより繊維束形状にて存在している部分があり、かつその部分では、極細繊維Aが凸部を、熱接着性の成分Bが凹部を形成しており、さらには当該繊維束は他の繊維束と熱接着性の成分Bによって接着されている。
このような本発明の湿式不織布は、本願発明の熱接着性分割型複合短繊維を湿式抄紙し、次いでカレンダー処理する湿式不織布の製造方法によって得ることが可能である。
湿式不織布を製造するための湿式抄紙の工程としては常法にしたがい特に制限はない。例えば、パルパー中に繊維を分散させ、その後、長網抄紙方式、円網抄紙方式、短網抄紙方式、あるいはこれらを複数台組み合わせて多層抄きにすることが好ましい。より均一な湿式不織布とするためには、パルパー中に分散剤や消泡剤を添加することも好ましい。分散剤の例としては、「DT-100」(高松油脂株式会社製)などが挙げられる。
湿式不織布中の熱接着性複合繊維の重量比率としては25%以上であることが好ましい。さらに熱接着性複合繊維のうち、湿式不織布中のバインダー成分となる成分Bの重量比率としては20%~80%であることが好ましい。より好ましくは熱接着性複合繊維中の成分Bの比率は10~80%、さらに好ましくは30~50%である。バインダー成分Bの比率が小さすぎる場合、接着が不十分となり、湿式不織布の強度が低下する傾向にある。逆に、成分Bの比率が大きすぎる場合、不織布内でバインダー成分がフィルム化しやすく、通気性が低下する傾向にある。
さらに本発明の湿式不織布には、上記の熱接着性複合繊維由来の繊維成形性合成樹脂からなる成分Aに加えて、他の主体繊維を含んでいてもよい。用いられる主体繊維としては0.1~10μmの繊維径であることが好ましい。さらにポリエステル繊維、中でもポリエチレンテレフタレート繊維であることが好ましい。より具体的には例えば、帝人フロンティア株式会社製の「テピルス」(より具体的には、TA04PN SD 0.06×3(繊度0.08dtex、繊維径2.8μm、繊維長3mm)、TA04PN SD 0.1× 3(繊度0.17dtex、繊維径4.1μm、繊維長3mm))などが挙げられる。繊維径が小さすぎる場合、湿式不織布製造時の濾水が悪くなるため、好ましくない。また、繊維径が大きすぎる場合、不織布の緻密性が低下し、厚みも低下する傾向にある。
抄紙後の乾燥工程としては、常法にしたがい、ヤンキードライヤー、エアスルードライヤーなどを用いることが好ましい。乾燥温度は、70~200℃の範囲であることが好ましく、より好ましくは80~170℃、特に好ましくは100~160℃の範囲である。乾燥温度が低すぎる場合、乾燥が不十分となり、最終的に湿式不織布の強度が不足する場合がある。逆に、乾燥温度が高すぎると、バインダー成分Bが流動しすぎて、工程途中のドライヤーやエアスルードライヤーなどの金属面に融着し、工程通過性が悪化する、不織布の地合いが低下する、不織布内でフィルム化領域が増え不織布の通気性が低下する、などの問題が発生しやすくなる。
本発明の湿式不織布は、常法にて抄紙された後、カレンダー処理を行うことを必須とする。カレンダー加工により不織布が熱圧着され、紙強度が向上する。カレンダー処理に用いるカレンダーロールとしては、金属/金属ロール、金属/ペーパーロール、金属/弾性ロールなどが用いられる。カレンダー時のプレス温度としては100~250℃の範囲内が好ましく、さらには130~220℃、より好ましくは150~210℃の範囲内であることが好ましい。温度が低すぎると、接着不良により不織布の強度が十分に発現しない傾向にある。逆に、カレンダー温度が高すぎると、熱接着性成分がロール表面に融着し工程通過性が悪化する、不織布の地合いが低下するなどの問題が発生する傾向にある。カレンダー時のプレス圧力としては5~250kgf/cmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは10~220kgf/cm、特に好ましくは40~200kgf/cmの範囲内である。
本発明の湿式不織布の不織布表面において、1本の分割型複合繊維中の成分Aに由来する繊維の太さとしては、上述したように表面観察した場合に5μm以下であることが好ましく、さらには0.5~4μmの範囲であることが好ましい。また、この極細繊維Aは通常扁平な形状であるが、この極細繊維の断面を円換算した時の太さとしては、3μm以下であることが好ましく、さらには0.1~2μmの範囲であることが好ましい。この円換算径は、繊維の断面を測定するばかりではなく、繊度と繊維を構成する樹脂の密度から計算することも可能である。
さらには1本の分割型複合繊維中の表面から観察される極細繊維の数として3本以上、特には4~24本存在することが好ましい。そして複数の極細繊維Aは熱接着性の成分Bにより繊維束形状にて存在しているのであるが、その不織布表面においては、成分Aによって形成された凸部と、成分Bによって形成された凹部とが存在することが好ましい。
本発明の湿式不織布の製造方法では、上述のとおりカレンダー加工することによって、分割型複合繊維中の成分B(熱接着性成分)が軟化して変形し、成分Aからなる極細繊維が不織布表面に露出する。そしてその表面に複合繊維が分割して得た極細繊維を有する不織布を得ることができるのである。このように不織布の表面及び内部を構成する繊維が細くなることで、不織布中の孔径が小さくなり、より微細な粒子を捕集することができるようになる。
本発明の湿式不織布の目付としては、1~300g/mの範囲内であることが好ましい。目付が大きすぎる場合、不織布中の繊維本数が多くなり、濾水が悪く製造しにくくなる傾向にある。目付としてはさらには10~200g/m、より好ましくは15~150g/mであることが好ましい。
また、湿式不織布の厚さとしては1000μm以下であることが好ましい。厚すぎると、セパレータやフィルターなどの薄葉湿式不織布に加工した際にコンパクト性が低下する傾向にある。より好ましくは1~500μm、さらに好ましく30~300μmの範囲であることが好ましい。
湿式不織布の密度としては、100~600kg/mの範囲内であることが、さらには300~500kg/mの範囲であることが好ましい。
本発明の不織布の通気度は15~100cm/cm/secであることが好ましく、さらには20~80cm/cm/sec、より好ましくは30~70cm/cm/secであることが好ましい。通気度が小さすぎる場合は、不織布内で熱接着成分がフィルム化して空隙率が低下していることを反映しており、フィルターやセパレータに必要な空気や液体の透過性が低下するため好ましくない。逆に、通気度が大きすぎると、繊維の構成本数が少なすぎて地合いが悪くなる、強度が低下するなどの問題が生じる傾向にある。
本発明の不織布の貫通孔の平均孔径は0.1~10μmであることが好ましく、さらには3~9μmの範囲であることが好ましい。この平均孔径が大きすぎると、不織布の地合いが悪くなり均一性を損なう傾向にある。逆に小さすぎると、不織布内の貫通孔が小さすぎて、フィルターやセパレータでの透過性が低下する傾向にある。
本発明の不織布の縦方向の比引張強さは10N・m/g以上あることが好ましく、より好ましくは15~50N・m/g、さらに好ましくは20~40N・m/gの範囲内であることが好ましい。比引張強さが小さすぎると、実用的な不織布の強度が不足しがちである。
このような本発明の熱接着性分割型複合短繊維を用いて得た不織布は、繊維同士の融着が少なく、分散性に優れ、微細粒子の捕集に優れた、湿式不織布となる。
以下に本発明の構成及び効果を具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明は、これら実施例になんら限定を受けるものではない。なお、実施例中の各値は、以下の方法に従って求めた。
(1)固有粘度[η]
ポリマーサンプル0.12gを10mLのテトラクロロエタン/フェノール混合溶媒(容量比1/1)に溶解し、35℃における固有粘度(dL/g)を測定した。
(2)融点
TAインストルメント・ジャパン社製、「サーマルアナリスト-2200示差走査熱量測定計DSC」を用いた。測定は、試料10mgを窒素雰囲気下、昇温速度20℃/分で室温から300℃まで昇温し、JIS K7121(1987)に記載の方法で測定を行った。
(3)単糸繊度
延伸後の繊維束1,800mmを採取し、120℃の熱風乾燥機で40分間乾燥させた後、測定した絶乾質量を5,000倍し、繊維束の総繊度(単位:denier)を測定した。得られた総繊度を構成される単糸繊維本数で除して、単糸繊度(単位:denier)とし、さらに1.111倍することで、単糸繊度(単位:dtex)を算出した。
(4)強伸度
延伸後の繊維束から、約2,000deの繊維束を採取し、1,800mmを採取し、120℃の熱風乾燥機で40分間乾燥させた後、測定した絶乾質量を5000倍し、繊維束の総繊度(単位:denier)を測定した。
同じ繊維束を用いて、JIS L 1013 8.5.1に準拠し、つかみ距離20cm、引張速度20cm/分で強力(g)、及び、伸度(%)を測定した。得られた強力を、上記繊維束の総繊度で除した後、0.826倍して、強度(cN/dtex)とした。
(5)乾熱収縮率
JIS L 1015 7.15(2)に準拠し、180℃にて実施した。
(6)繊維長
短繊維側面を顕微鏡で拡大して、その長さをN=10で測定し、その平均値を算出した。
(7)水中分散性
1000mLのメスシリンダーに500mLの水道水を入れ、この中に正味0.1gの短繊維を投入する。繊維がメスシリンダーの底に達したならば、メスシリンダーの開口部に蓋をし、上下を両手で持ち、メスシリンダーを1回反転させて繊維を分散させ、次の基準で水中分散性の良否を判定した。
良好:未分散の繊維束がなく、単繊維1本1本が水中にきれいに広がっている状態
不良:未分散の繊維束が数本以上あり、単繊維同士の絡みも多い状態。
(8)目付
JIS L1906の単位面積当たりの重量試験方法に準じて測定を行い、目付(g/m)を求めた。
(9)厚み
株式会社小野測器製「ディジタルリニアゲージDG-925」(測定端子部の直径1cm)を用い、任意に選択した20箇所において厚さを測定し、平均値を求め、厚み(μm)とした。
得られた目付(g/m)と厚み(μm)から、密度(目付/厚み)を算出した(kg/m)。
(10)通気度
JIS L 1913フラジール法に準じて測定を行った。
(11)引張強さ
JIS P8113(紙及び板紙 引張特性の試験方法)に基づいて引張強さを測定した。
(12)孔径
直径2.5cmの円形サンプルを不織布からランダムに2点採取し、パーム・ポロメーター(PMI社製)を用いて平均孔径を測定した。
(13)不織布表面の極細繊維の分割数、繊維径
得られた不織布の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて1500倍に拡大し、1本の複合繊維に由来する1本の繊維束中の、表面から観察される極細繊維の数を、「不織布表面の極細繊維の分割数」とした。繊維径は直接表面写真から計測される繊維径(直接観察繊維径)と、繊度とその密度から計算される円換算繊維径の両方を求めた。
(14)大気中粒子の捕集率
風速5.1cm/secとなるように調整し、試料前後の大気塵をパーティクルカウンター(リオン株式会社製 KC-03B)でカウントし、その比によって捕集率を算出し
た。
大気塵捕集率(%)=(1-(試料通過後大気塵数/試料通過前大気塵数))×100
(15)圧力損失
大気塵捕集率測定時(風速5.1cm/sec)の試験片通過前後の圧力を測定し、その圧力差を圧力損失として求めた。
[実施例1]
固有粘度0.47dL/g、融点255℃のポリエステルA(成分A;ポリエチレンテレフタレート)と、固有粘度0.63dL/g、融点157℃のポリエステルB(成分B;イソフタル酸20mol%-ブタンジオール65mol%共重合エチレンテレフタレート)とをそれぞれエクストルーダーで溶融し、ポリエステルAは16.5g/分、ポリエステルBは13.5g/分の割合で吐出した。このとき、複合繊維断面当たりの成分Bの数は8個となるよう、分配孔(7)あたり0.3mm径の成分Bの吐出孔を8個穿設し、一方成分Aと成分Bが混合される紡糸孔(11)の数は20孔有する口金を使用した。紡糸温度は280℃、巻き取り速度は900m/分とし、その下部でポリエーテル・ポリエステル共重合体水系エマルジョンを固形分付着量で0.5質量%付与し、未延伸糸を得た。未延伸糸を83℃温水中で20倍に延伸し、さらに70℃温水中で2倍に延伸し、繊維表面にポリエーテル・ポリエステル共重合体水系エマルジョンを固形分付着量で0.3質量%付与して3mmの繊維長にカットし、繊度0.40dtexの合計16個のセグメントからなる熱接着性分割型複合短繊維を得た。得られた繊維の構成及び物性を表1及び表2に示す。
上記の熱接着性分割型複合繊維を目付100g/mとなるよう量りとり、水中に分散させミキサーで強撹拌してスラリーとした。その後、スラリーを手すき抄紙機に移し、分散剤(DT-100)を0.1質量%となるよう添加し充分撹拌した。水を除去してメッシュ上にてシート化し、110℃のロータリードライヤーで乾燥させ、原紙を抄造した。原紙の目付、厚さ、密度は、それぞれ100g/m、530μm、189kg/mであった。得られた原紙を、加熱金属ロールと弾性ロールの組み合わせのカレンダー装置を用いて、温度160℃、線圧29kN/m、速度2m/分の条件にて熱圧着して、湿式不織布を得た。湿式不織布の製造条件を表3に、得られた湿式不織布の物性を表4に示す。
[実施例2]
実施例1と同じ成分Aと成分Bを用い、ただし吐出量を成分A(ポリエステルA)を15.0g/分、成分B(ポリエステルB)を15.0g/分に変えて、エクストルーダーで溶融し吐出して複合繊維を得た。複合繊維断面当たりの成分Bの数は8個、かつ成分Bからなる芯が形成されるように、分配孔(7)には、0.3mm径の成分Bの吐出孔8個と0.15mm径の中実部分の吐出孔1個を穿設し、一方成分Aと成分Bが混合される紡糸孔(11)の数は20孔有する口金を使用した。紡糸温度は275℃、巻き取り速度は900m/分とし、その下部でポリエーテル・ポリエステル共重合体水系エマルジョンを固形分付着量で0.5質量%付与し、未延伸糸を得た。未延伸糸を82℃温水中で17倍に延伸した後、さらに70℃温水中で2倍に延伸し、繊維表面にポリエーテル・ポリエステル共重合体水系エマルジョンを固形分付着量で0.3質量%付与して3mmの繊維長にカットし、繊度0.49dtexの熱接着性分割型複合短繊維を得た。得られた繊維の構成及び物性を表1及び表2に示す。
ロータリードライヤーの温度を110℃から140℃にした以外は、実施例1と同様の方法で湿式不織布を得た。乾燥後、プレス処理前の原紙の目付、厚さ、密度は、それぞれ100g/m、550μm、182kg/mであった。湿式不織布の製造条件を表3に、プレス処理後の最終的に得られた湿式不織布の物性を表4に示す。
[実施例3]
実施例1と同様の成分A(ポリエステルA)を用い、ただし成分Bとして固有粘度0.64dL/g、融点202℃(DSCでの融点の吸熱ピーク小)のポリエステルB(成分B;イソフタル酸20mol%共重合エチレンテレフタレート)を用いて、吐出量を成分A(ポリエステルA)を7.0g/分、成分B(ポリエステルB)を11.0g/分としエクストルーダーで溶融し吐出した。ただし口金は実施例2と同様の成分Bが中実となる口金を使用し、紡糸温度は275℃、巻き取り速度は500m/分とし、その下部でポリエーテル・ポリエステル共重合体水系エマルジョンを固形分付着量で0.5質量%付与し、未延伸糸を得た。82℃温水中で40倍に延伸した後、さらに70℃温水中で2倍に延伸し、繊維表面にポリエーテル・ポリエステル共重合体水系エマルジョンを固形分付着量で0.3質量%付与して3mmの繊維長にカットし、繊度0.23dtexの熱接着性分割型複合短繊維を得た。得られた繊維の構成及び物性を表1及び表2に示す。
ロータリードライヤーの温度を140℃、カレンダー温度を190℃、カレンダー線圧を98kN/mとした以外は、実施例2と同様の方法で湿式不織布を得た。乾燥後、プレス処理前の原紙の目付、厚さ、密度は、それぞれ100g/m、550μm、182kg/mであった。湿式不織布の製造条件を表3に、プレス処理後の最終的に得られた湿式不織布の物性を表4に示す。
[実施例4]
実施例3に記載の分割型複合短繊維と帝人フロンティア株式会社製「テピルス(TA04PN SD 0.06×3、0.08dtex×3mm)」とを40:60の質量比で混合し、目付100g/mとなるよう量りとり、ロータリードライヤーの温度を110℃、カレンダー温度を210℃とした以外は、実施例1と同様の方法で湿式不織布を得た。乾燥後、プレス処理前の原紙の目付、厚さ、密度は、それぞれ100g/m、546μm、174kg/mであった。得られた繊維の構成及び物性を表1及び表2に、湿式不織布の製造条件を表3に、プレス処理後の最終的に得られた湿式不織布の物性を表4に示す。
[実施例5]
実施例1と同様の成分A(ポリエステルA)を用い、ただし成分Bとして固有粘度0.55dL/g)のポリエステルB(成分B;イソフタル酸40mol%-ジエチレングリコール4mol%共重合エチレンテレフタレート、融点110℃)とを用いて、吐出量を成分A(ポリエステルA)を7.0g/分、成分B(ポリエステルB)を11.0g/分としそれぞれエクストルーダーで溶融し吐出した。口金は実施例2と同様の成分Bが中実部となる口金を使用し、紡糸温度は275℃、巻き取り速度は500m/分とし、その下部でポリエーテル・ポリエステル共重合体水系エマルジョンを固形分付着量で0.5質量%付与し、未延伸糸を得た。未延伸糸を82℃温水中で17倍に延伸した後、さらに70℃温水中で2倍に延伸し、繊維表面にポリエーテル・ポリエステル共重合体水系エマルジョンを固形分付着量で0.3質量%付与して3mmの繊維長にカットし、繊度0.23dtexの熱接着性分割型複合短繊維を得た。得られた繊維の構成及び物性を表1及び表2に示す。
カレンダー温度を190℃、カレンダー線圧を98kN/mとした以外は、実施例1と同様の方法で湿式不織布を得た。乾燥後、プレス処理前の原紙の目付、厚さ、密度は、それぞれ100g/m、550μm、182kg/mであった。湿式不織布の製造条件を表3に、プレス処理後の最終的に得られた湿式不織布の物性を表4に示す。
[比較例1]
実施例3の成分Bとして用いた固有粘度0.64dL/g、融点202℃(DSCでの融点の吸熱ピーク小)のポリエステル(イソフタル酸を20mol%共重合のポリエチレンテレフタレート)をエクストルーダーで溶融し、0.18mm孔径を2504個有する口金から吐出し、紡糸温度は260℃、巻き取り速度は500m/分とし、その下部でポリエーテル・ポリエステル共重合体水系エマルジョンを固形分付着量で0.5質量%付与し、単一成分からなる未延伸糸を得た。未延伸糸を83℃温水中で62倍に延伸し、さらに70℃温水中で2倍に延伸し、繊維表面にポリエーテル・ポリエステル共重合体水系エマルジョンを固形分付着量で0.3質量%付与して3mmの繊維長にカットし、繊度0.03dtexの熱接着性短繊維を得た。得られた繊維の構成及び物性を表1及び表2に示す。
上記の熱接着性短繊維と帝人フロンティア株式会社製「テピルス(TA04PN SD
0.06×3、0.08dtex×3mm)」とを40:60の質量比で混合し、目付100g/mとなるよう量りとり、ロータリードライヤーの温度を120℃、カレンダー温度を190℃とした以外は、実施例1と同様の方法で湿式不織布を得た。原紙の目付、厚さ、密度は、それぞれ100g/m、290μm、340kg/mであった。湿式不織布の製造条件を表3に、得られた湿式不織布の物性を表4に示す。
[比較例2]
芯鞘繊維の中心部分となる繊維形成成分を固有粘度0.47dL/g、融点255℃のポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)とし、鞘部分となる熱接着性成分が固有粘度0.55dL/g、融点110℃、(DSCでの融点の吸熱ピーク小)のイソフタル酸を40mol%共重合-ジエチレングリコール4mol%共重合エチレンテレフタレートのポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)とし、それぞれを別々のベント式二軸エクストルーダーで溶融した。繊維形成成分を芯、熱接着性成分を鞘とし、質量比が芯:鞘=60:40となるように孔径0.3mmのキャピラリーを1336孔有する芯鞘型複合紡糸口金で複合して、糸状に溶融吐出させた。紡糸温度は285℃とし、口金下の位置で25℃冷却風により冷却固化し、その下部でポリエーテル・ポリエステル共重合体水系エマルジョンを固形分付着量で0.5質量%付与し、巻き取り速度は500m/分で未延伸糸を得た。未延伸糸を83℃温水中で62倍に延伸し、さらに70℃温水中で2倍に延伸し、繊維表面にポリエーテル・ポリエステル共重合体水系エマルジョンを固形分付着量で0.3質量%付与して3mmの繊維長にカットし、繊度0.05dtexの熱接着性芯鞘型短繊維を得た。得られた繊維の構成及び物性を表1及び表2に示す。
上記の熱接着性芯鞘型短繊維と帝人フロンティア株式会社製「テピルス(TA04PN
SD 0.06×3、0.08dtex×3mm)」とを40:60の質量比で混合し、目付100g/mとなるよう量りとり、ロータリードライヤーの温度を120℃とし、カレンダー処理を行わなかったた以外は、実施例1と同様の方法で湿式不織布を得た。湿式不織布の製造条件を表3に、得られた湿式不織布の物性を表4に示す。
Figure 2022154115000002
Figure 2022154115000003
Figure 2022154115000004
Figure 2022154115000005
A 成分A
B 成分B
C 中空部
1 パックケース
2 上口金板
3 下口金板
4 ノックピン
5 隔板
6 成分Bの吐出小孔
7 成分Bの分配孔
8 成分Aの分配孔
9 成分Aの通路
10 不連続点を有する円周状吐出孔
11 紡糸孔

Claims (8)

  1. 繊維成形性合成樹脂からなる成分Aと、成分Aより融点が20℃以上低い成分Bから構成された熱接着性分割型複合短繊維であって、成分Aと成分Bとが合計8以上のセグメントに分かれて配列されており、繊維全体の繊度が0.01dtex~1dtexの範囲かつ繊維全体のアスペクト比が100~3000の範囲であることを特徴とする熱接着性分割型複合短繊維。
  2. 成分Bの融点が220℃以下である請求項1に記載の熱接着性分割型複合短繊維。
  3. 成分Aの融点が180℃以上であって、固有粘度が0.35~0.70dL/gの範囲である請求項1または2に記載の熱接着性分割型複合短繊維。
  4. 繊維表面に占める成分Bの比率が80%以下の範囲である請求項1~3のいずれか1項に記載の熱接着性分割型複合短繊維。
  5. 成分Aと成分Bが繊維の中心から放射状に交互配列したものである請求項1~4のいずれか1項に記載の熱接着性分割型複合短繊維。
  6. 繊維の中心部が中実または中空構造である請求項5記載の熱接着性分割型複合短繊維。
  7. 極細繊維Aと熱接着性の成分Bからなる湿式不織布であって、極細繊維Aが不織布表面に露出している部分の太さが5μm以下であり、複数の極細繊維Aが熱接着性の成分Bにより繊維束形状にて存在している部分では、極細繊維Aが凸部を、成分Bが凹部を形成しており、当該繊維束は他の繊維束と成分Bによって接着されていることを特徴とする湿式不織布。
  8. 請求項1~6のいずれか1項記載の熱接着性分割型複合短繊維を湿式抄紙し、次いでカレンダー処理することを特徴とする湿式不織布の製造方法。
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