JP2018189346A - 吸水気化材料 - Google Patents

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崎田 和義
Kazuyoshi Sakida
和義 崎田
三枝 神山
Mitsue Kamiyama
三枝 神山
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Abstract

【課題】吸水性および気化性に優れる吸水気化材料を提供する。
【解決手段】吸水気化材料に、繊維径が10〜1500nmの極細繊維を含ませる。その際、吸水気化材料が多層構造を有し、前記極細繊維の含有量が互いに異なる2層を含む構成とする。また、前記極細繊維の含有量が大きい層において、前記極細繊維の含有量が層重量に対して20重量%以上であり、かつ前記極細繊維の含有量が小さい層において、前記極細繊維の含有量が層重量に対して5重量%以下とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、吸水性および気化性に優れる吸水気化材料に関する。
近年、建物の空調設備などの発達や高気密化によって、建物内が乾燥状態になるという問題があり、加湿機が多く使用されている。加湿機には大きく分けて3種類がある。水を加熱・蒸発させて水蒸気を出すスチーム式と、超音波を使用して水を霧状に吹き出す超音波式と、水を含んだ濾材に風をあてて蒸発させる気化式である。スチーム式は加湿能力が高い反面、使用電力が大きいという欠点があり、大型建物には不向きである。超音波式は水蒸気の粒子が細かく加湿能力が高いうえ消費電力が小さいという特徴があるが、汚れた水でも全て水蒸気にしてしまうので、24時間自動で運転している大型建物には不向きである。気化式は消費電力が低く、水蒸気のみを蒸発させるため菌を建物内に拡散させるおそれがない。
気化式の加湿器用濾材として従来、親水性の濾材が使用されてきた(例えば、特許文献1)。かかる濾材において、加工性(プリーツ形成性など)が必要な点や濾材が水を吸水後、蒸発させるための気化性が必要なため、水分を持ち続けてしまうという理由でセルロースは不向きである。これを解決するため、ポリエステル繊維に親水性の高分子成分(アクリル樹脂やスチレン―アクリル共重合体)を使用する方法や濾材に吸水加工をする方法が提案されている(例えば、特許文献2、特許文献3)。しかしながら、これらの方法では、効果が小さく、また加工のばらつきが大きいなどという問題があった。
特開2004−250839号公報 特開2011−196601号公報 特開2009−225785号公報
本発明は上記の背景に鑑みなされたものであり、その目的は、吸水性および気化性に優れる吸水気化材料を提供することである。
本発明者は上記の課題を達成するため鋭意検討した結果、吸水気化材料において構成する繊維の繊維径等を巧みに工夫することにより吸水性および気化性に優れる吸水気化材料が得られることを見出し、さらに鋭意検討を重ねることにより本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば「繊維径が10〜1500nmの極細繊維を含むことを特徴とする吸水気化材料。」が提供される。
その際、吸水気化材料が多層構造を有し、前記極細繊維の含有量が互いに異なる2層を含むことが好ましい。また、前記極細繊維の含有量が大きい層において、前記極細繊維の含有量が層重量に対して20重量%以上であり、かつ前記極細繊維の含有量が小さい層において、前記極細繊維の含有量が層重量に対して5重量%以下であることが好ましい。また、前記極細繊維の含有量が小さい層の密度が、前記極細繊維の含有量が大きい層より小さいことが好ましい。また、前記極細繊維の含有量が小さい層において密度が0.20g/cm以下であることが好ましい。また、吸水気化材料が三層構造を有し、該三層構造において、中間層の前記極細繊維の含有量が両外層よりも小さいことが好ましい。また、吸水気化材料が湿式不織布からなることが好ましい。また、吸水気化材料が気化式加湿器用吸水気化濾材として用いられることが好ましい。
本発明によれば、吸水性および気化性に優れる吸水気化材料が得られる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。本発明の吸水気化材料は、繊維径が10〜1500nm(好ましくは100〜900nm)の極細繊維を含む。該繊維径が1500nmより大きいと吸水性が低下するおそれがある。逆に該繊維径が10nmより小さいと製造が困難になるおそれがある。
ここで、前記の繊維径は、透過型電子顕微鏡TEMで、倍率30000倍で単繊維断面写真を撮影し測定することができる。その際、測長機能を有するTEMでは、測長機能を活用して測定することができる。また、測長機能の無いTEMでは、撮った写真を拡大コピーして、縮尺を考慮した上で定規にて測定すればよい。単繊維の横断面形状が丸断面以外の異型断面である場合には、繊維径は、単繊維の横断面の外接円の直径を用いるものとする。
前記極細繊維において、アスペクト比(繊維径Dに対する繊維長Lの比L/D)としては、100〜2500の範囲内であることが好ましい。
前記極細繊維の繊維種類としては特に限定されないが、ポリエステル繊維またはポリフェニレンスルフィド(PPS)繊維またはポリオレフィン繊維またはナイロン(Ny)繊維が好ましい。
ポリエステル繊維を形成するポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート、これらを主たる繰返し単位とする、イソフタル酸や5−スルホイソフタル酸金属塩等の芳香族ジカルボン酸やアジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸やε−カプロラクトン等のヒドロキシカルボン酸縮合物、ジエチレングリコールやトリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール等のグリコール成分等との共重合体が好ましい。マテリアルリサイクルまたはケミカルリサイクルされたポリエステルや、特開2009−091694号公報に記載された、バイオマスすなわち生物由来の物質を原材料として得られたモノマー成分を使用してなるポリエチレンテレフタレートであってもよい。さらには、特開2004−270097号公報や特開2004−211268号公報に記載されているような、特定のリン化合物およびチタン化合物を含む触媒を用いて得られたポリエステルでもよい。
ポリフェニレンスルフィド(PPS)繊維を形成するポリアリーレンスルフィド樹脂としては、ポリアリーレンスルフィド樹脂と称される範疇に属するものであれば如何なるものを用いてもよい。ポリアリーレンスルフィド樹脂としては、その構成単位として、例えばp−フェニレンスルフィド単位、m−フェニレンスルフィド単位、o−フェニレンスルフィド単位、フェニレンスルフィドスルホン単位、フェニレンスルフィドケトン単位、フェニレンスルフィドエーテル単位、ジフェニレンスルフィド単位、置換基含有フェニレンスルフィド単位、分岐構造含有フェニレンスルフィド単位、等よりなるものを挙げることができる。その中でも、p−フェニレンスルフィド単位を70モル%以上、特に90モル%以上含有しているものが好ましく、さらにポリ(p−フェニレンスルフィド)がより好ましい。
また、ポリオレフィン繊維には、ポリプロピレン繊維とポリエチレン繊維が含まれる。
また、ナイロン繊維にはナイロン6繊維とナイロン66繊維が含まれる。
前記極細繊維の製造方法としては、特に限定されないが、国際公開第2005/095686号パンフレットに開示された方法が好ましい。すなわち、繊維径およびその均一性の点で、繊維形成性熱可塑性ポリマーからなる島成分と、前記の繊維形成性熱可塑性ポリマーよりもアルカリ水溶液に対して溶解し易いポリマー(以下、「易溶解性ポリマー」ということもある。)からなる海成分を有する複合繊維にアルカリ減量加工を施し、前記海成分を溶解除去したものであることが好ましい。
ここで、海成分を形成するアルカリ水溶液易溶解性ポリマーの、島成分を形成する繊維形成性熱可塑性ポリマーに対する溶解速度比が100以上(好ましくは300〜3000)であると、島分離性が良好となり好ましい。溶解速度が200倍未満の場合には、繊維断面中央部の海成分を溶解する間に、分離した繊維断面表層部の島成分が、繊径が小さいために溶解されるため、海相当分が減量されているにもかかわらず、繊維断面中央部の海成分を完全に溶解除去できず、島成分の太さ斑や島成分自体の溶剤侵食につながり、均一な繊維径の繊維が得られないおそれがある。
海成分を形成する易溶解性ポリマーとしては、特に繊維形成性の良いポリエステル類、脂肪族ポリアミド類、ポリエチレンやポリスチレン等のポリオレフィン類を好ましい例としてあげることができる。さらに具体例を挙げれば、ポリ乳酸、超高分子量ポリアルキレンオキサイド縮合系ポリマー、ポリアルキレングリコール系化合物と5−ナトリウムスルホイソフタル酸の共重合ポリエステルが、アルカリ水溶液に対して溶解しやすく好ましい。ここでアルカリ水溶液とは、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム水溶液などを言う。これ以外にも、海成分と、該海成分を溶解する溶液の組合せとしては、ナイロン6やナイロン66等の脂肪族ポリアミドに対するギ酸、ポリスチレンに対するトリクロロエチレン等やポリエチレン(特に高圧法低密度ポリエチレンや直鎖状低密度ポリエチレン)に対する熱トルエンやキシレン等の炭化水素系溶削、ポリビニルアルコールやエチレン変性ビニルアルコール系ポリマーに対する熱水を例として挙げることができる。
ポリエステル系ポリマーの中でも、5−ナトリウムスルホイソフタル酸6〜12モル%と分子量4000〜12000のポリエチレングリコールを3〜10重量%共重合させた固有粘度が0.4〜0.6のポリエチレンテレフタレート系共重合ポリエステルが好ましい。ここで、5−ナトリウムスルホイソフタル酸は親水性と溶融粘度向上に寄与し、ポリエチレングリコール(PEG)は親水性を向上させる。また、PEGは分子量が大きいほど、その高次構造に起因すると考えられる親水性増加作用があるが、反応性が悪くなってブレンド系になるため、耐熱性や紡糸安定性の面で問題が生じる可能性がある。また、共重合量が10重量%以上になると、溶融粘度が低下するおそれがある。
一方、島成分を形成する難溶解性ポリマーとしては、ポリアミド類、ポリエステル類、ポリフェニレンスルフィド類、ポリオレフィン類などが好適な例として挙げられる。具体的には、機械的強度や耐熱性を要求される用途では、ポリエステル類では、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、これらを主たる繰返し単位とする、イソフタル酸や5−スルホイソフタル酸金属塩等の芳香族ジカルボン酸やアジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸やε−カプロラクトン等のヒドロキシカルボン酸縮合物、ジエチレングリコールやトリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール等のグリコール成分等との共重合体が好ましい。また、ポリアミド類では、ナイロン6(Ny−6)、ナイロン66(Ny−66)等の脂肪族ポリアミド類が好ましい。また、ポリオレフィン類は酸やアルカリ等に侵され難いことや、比較的低い融点のために極細繊維として取り出した後のバインダー成分として使える等の特徴があり、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、アイソタクティックポリプロピレン、エチレンプロピレン共重合体、無水マレイン酸などのビニルモノマーのエチレン共重合体等を好ましい例としてあげることができる。特にポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、イソフタル酸共重合率が20モル%以下のポリエチレンテレフタレートイソフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類、あるいは、ナイロン6、ナイロン66等の脂肪族ポリアミド類が高い融点による耐熱性や力学的特性を備えているので、ポリビニルアルコール/ポリアクリロニトリル混合紡糸繊維からなる極細フィブリル化繊維に比べ、耐熱性や強度を要求される用途へ適用でき、好ましい。なお、島成分は丸断面に限らず、三角断面や扁平断面などの異型断面であってもよい。
前記の海成分を形成するポリマーおよび島成分を形成するポリマーについて、製糸性および抽出後の主体繊維の物性に影響を及ぼさない範囲で、必要に応じて、艶消し剤、有機充填剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、防錆剤、架橋剤、発泡剤、蛍光剤、表面平滑剤、表面光沢改良剤、フッ素樹脂等の離型改良剤、等の各種添加剤を含んでいても差しつかえない。
前記の海島型複合繊維において、溶融紡糸時における海成分の溶融粘度が島成分ポリマーの溶融粘度よりも大きいことが好ましい。かかる関係にある場合には、海成分の複合重量比率が40%未満と少なくなっても、島同士が接合したり、島成分の大部分が接合して海島型複合繊維とは異なるものになり難い。
好ましい溶融粘度比(海/島)は、1.1〜2.0、特に1.3〜1.5の範囲であるこの比が1.1倍未満の場合には溶融紡糸時に島成分が接合しやすくなり、一方2.0倍を越える場合には、粘度差が大きすぎるために紡糸調子が低下しやすい。
次に島数は、100以上(より好ましくは300〜1000)であることが好ましい。また、その海島複合重量比率(海:島)は、20:80〜80:20の範囲が好ましい。かかる範囲であれば、島間の海成分の厚みを薄くすることができ、海成分の溶解除去が容易となり、島成分の極細繊維への転換が容易になるので好ましい。ここで海成分の割合が80%を越える場合には海成分の厚みが厚くなりすぎ、一方、20%未満の場合には海成分の量が少なくなりすぎて、島間に接合が発生しやすくなる。
溶融紡糸に用いられる口金としては、島成分を形成するための中空ピン群や微細孔群を有するものなど任意のものを用いることができる。例えば、中空ピンや微細孔より押し出された島成分とその間を埋める形で流路を設計されている海成分流とを合流し、これを圧縮することにより海島断面が形成されるといった紡糸口金でもよい。吐出された海島型複合繊維は冷却風により固化され、所定の引き取り速度に設定した回転ローラーあるいはエジェクターにより引き取られ、未延伸糸を得る。この引き取り速度は特に限定されないが、200〜5000m/分であることが望ましい。200m/分以下では生産性が悪くなるおそれがある。また、5000m/分以上では紡糸安定性が悪くなるおそれがある。
得られた繊維は、海成分を抽出後に得られる極細繊維の用途・目的に応じて、そのままカット工程あるいはその後の抽出工程に供してもよいし、目的とする強度・伸度・熱収縮特性に合わせるために、延伸工程や熱処理工程を経由して、カット工程あるいはその後の抽出工程に供することができる。延伸工程は紡糸と延伸を別ステップで行う別延方式でもよいし、一工程内で紡糸後直ちに延伸を行う直延方式を用いてもよい。
次に、かかる複合繊維を、島径Dに対する繊維長Lの比L/Dが100〜2500の範囲内となるようにカットする。かかるカットは、数十本〜数百万本単位に束ねたトウにしてギロチンカッターやロータリーカッターなどでカットすることが好ましい。
前記の繊維径Dを有する繊維は、前記複合繊維にアルカリ減量加工を施すことにより得られる。その際、アルカリ減量加工において、繊維とアルカリ液の比率(浴比)は0.1〜5%であることが好ましく、さらには0.4〜3%であることが好ましい。0.1%未満では繊維とアルカリ液の接触は多いものの、排水等の工程性が困難となるおそれがある。一方、5%以上では繊維量が多過ぎるため、アルカリ減量加工時に繊維同士の絡み合いが発生するおそれがある。なお、浴比は下記式にて定義する。
浴比(%)=(繊維質量(gr)/アルカリ水溶液質量(gr)×100)
また、アルカリ減量加工の処理時間は5〜60分であることが好ましく、さらには10〜30分であることが好ましい。5分未満ではアルカリ減量が不十分となるおそれがある。一方、60分以上では島成分までも減量されるおそれがある。
また、アルカリ減量加工において、アルカリ濃度は2〜10%であることが好ましい。2%未満では、アルカリ不足となり、減量速度が極めて遅くなるおそれがある。一方、10%を越えるとアルカリ減量が進みすぎ、島部分まで減量されるおそれがある。
なお、前記のカット工程とアルカリ減量工程の順序を逆にして、まずアルカリ減量加工を行った後、カットを行ってもよい。
本発明の吸水気化材料において、前記の極細繊維だけで吸水気化材料を構成してもよいが、バインダー繊維を併用することは好ましいことである。
バインダー繊維としては、単繊維繊度が0.1dtex(繊径3μm)以上の、未延伸繊維(複屈折率(Δn)が0.05以下)または複合繊維を用いることができる。
ここで、未延伸繊維や複合繊維からなるバインダー繊維において、単繊維繊度は0.2〜3.3dtex(より好ましくは0.5〜1.7dtex)が好ましい。また、バインダー繊維の繊維長は1〜20mm(より好ましくは3〜10mm)であることが好ましい。なお、未延伸繊維からなるバインダー繊維を用いる場合、抄紙後のドライヤーの後、熱圧着工程が必要であるため、抄紙後、カレンダー/エンボス処理を施すことが好ましい。
上記のバインダー繊維のうち、未延伸繊維としては、紡糸速度が好ましくは800〜1200m/分、さらに好ましくは900〜1150m/分で紡糸された未延伸ポリエステル繊維が挙げられる。ここで、未延伸繊維に用いられるポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートが挙げられ、好ましくは生産性、水への分散性などの理由から、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートが好ましい。
一方、バインダー繊維のうち、複合繊維としては、抄紙後に施す80〜170℃の熱処理によって融着し接着効果を発現するポリマー成分(例えば、非晶性共重合ポリエステル)が鞘部に配され、これらのポリマーより融点が20℃以上高い他のポリマー(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどの通常のポリエステル)が芯部に配された芯鞘型複合繊維が好ましい。なお、バインダー繊維は、バインダー成分(低融点成分)が単繊維の表面の全部または一部を形成している、芯鞘型複合繊維、偏心芯鞘型複合繊維、サイドバイサイド型複合繊維などの公知のバインダー繊維でもよい。
ここで、上記非晶性共重合ポリエステルは、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの酸成分と、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどのジオール成分とのランダムまたはブロック共重合体として得られる。中でも、従来から広く用いられているテレフタル酸、イソフタル酸、エチレングリコールおよびジエチレングリコールを主成分として用いることがコストの面で好ましい。このような共重合ポリエステルは、ガラス転移点が50〜100℃の範囲となり、明確な結晶融点を示さない。
本発明の吸水気化材料において、前記の極細繊維およびバインダー繊維以外の繊維として、各種合成繊維(ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ナイロン、オレフィン系、アラミド系)、木材パルプやリンターパルプなどの天然パルプ、アラミドやポリエチレンを主成分とする合成パルプなどを用いることができる。特に、単繊維繊度0.05〜0.6dtex、繊維長3〜10mmの、延伸されたポリエチレンテレフタレートからなるポリエチレンテレフタレート短繊維が寸法安定性等の観点から好ましい。
本発明の吸水気化材料は湿式不織布からなることが好ましい。かかる湿式不織布を製造する方法としては、通常の長網抄紙機、短網抄紙機、丸網抄紙機、あるいはこれらを複数台組み合わせて多層抄きなどとして抄紙した後、熱処理する製造方法が好ましい。その際、熱処理工程としては、抄紙工程後、ヤンキードライヤー、エアースルードライヤーのどちらでも可能である。また、熱処理の後、金属/金属ローラー、金属/ペーパーローラー、金属/弾性ローラーなどのカレンダー/エンボスを施してもよい。
本発明の吸水気化材料において、優れた吸水性を得る上で、吸水気化材料が多層構造(好ましくは2〜5層)を有し、前記極細繊維の含有量が互いに異なる2層を含むことが好ましい。
ここで、前記極細繊維の含有量が大きい層において、前記極細繊維の含有量が層重量に対して20重量%以上(より好ましくは20〜50重量%)であり、かつ前記極細繊維の含有量が小さい層において、前記極細繊維の含有量が層重量に対して5重量%以下(より好ましくは0.1〜5重量)であることが好ましい。
また、優れた吸水性を得る上で、前記極細繊維の含有量が小さい層の密度が、前記極細繊維の含有量が大きい層より小さいことが好ましい。
その際、前記極細繊維の含有量が小さい層において密度が0.20g/cm以下(より好ましくは0.10〜0.20g/cm)であることが好ましい。一方、前記極細繊維の含有量が大きい層において密度が0.22g/cm以上(より好ましくは0.22〜0.50g/cm)であることが好ましい。
前記のような多層構造を有する吸水気化材料の製造方法としては、例えば、前記のような湿式不織布を得た後、ラミネート機などを用いて接着させるとよい。
かくして得られた吸水気化材料において、目付けが20〜500g/m(より好ましくは35〜500g/m、特に好ましくは50〜300g/m)の範囲内であることが好ましい。該目付けが20g/m未満では、強度が弱くなりすぎるおそれがある。また、該目付けが500g/mを越えると、剛性が高くなりすぎるおそれがある。
本発明の吸水気化材料は前記の構成を有するので、吸水性および気化性に優れ、特に気化式加湿器用吸水気化濾材として好適に用いられる。
(1)繊維径
透過型電子顕微鏡TEM(測長機能付)を使用し、倍率30000倍で繊維断面写真を撮影し測定した。ただし、繊維径は、単繊維横断面におけるその外接円の直径を用いた(n数5の平均値)。
(2)繊維長
走査型電子顕微鏡(SEM)により、海成分溶解除去前の極細短繊維(短繊維A)を基盤上に寝かせた状態とし、20〜500倍で繊維長Lを測定した(n数5の平均値)。その際、SEMの測長機能を活用して繊維長Lを測定した。
(3)目付け
JIS P8124(紙のメートル坪量測定方法)に基づいて目付を測定した。
(4)厚さ
JIS P8118(紙及び板紙の厚さと密度の測定方法)に基づいて厚みを測定した。測定荷重は75g/cmにて、n=5で測定し、平均値を求めた。
(5)空隙率
上記目付け、厚さ、繊維密度(g/cm)から下記式にて計算した。
空隙率(%)=100−((目付け)/(厚さ)/繊維密度× 100)
(6)バイレック吸水性
JIS L1907(繊維製品の吸水性試験方法)に基づいて実施した。
(7)気化性
吸水気化材料に水を0.3g滴下して、気化量が4mg/min以上を「○」、4mg/min未満を「×」とし2段階に評価した。
[実施例1]
島成分にポリエチレンテレフタレート(PET)、海成分に5−ナトリウムスルホイソフタル酸を共重合したポリエチレンテレフタレートを用い、紡糸、延伸後、ギロチンカッターで切断し、海:島=30:70、島数836、繊度5.6dtex、カット長0.5mmの海島型複合繊維を得た。これを3.5%NaOH水溶液で50℃にて30%減量し、本繊維を極細繊維とした(延伸されたポリエステル繊維、繊維径700nm、繊維長0.5mm)。
一方、ポリエチレンテレフタレートを常法により紡糸して得られた未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維を用意しバインダー繊維1とした(単繊維繊度1.7dtex、繊維長5.0mm)。
また、ポリエチレンテレフタレートを常法により紡糸して得られた未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維を用意しバインダー繊維2とした(単繊維繊度2.2dtex、繊維長5.0mm)。
次いで、前記極細繊維(30wt%)とバインダー繊維1(70wt%)とを混合撹拌した後、抄紙機で湿式抄紙を行いヤンキードライヤー120℃で乾燥し湿式不織布からなる濾材A(密度0.25g/cm)を得た。
また、前記極細繊維(1.3wt%)とバインダー繊維2(98.7wt%)とを混合撹拌した後、抄紙機で湿式抄紙を行いヤンキードライヤー120℃で乾燥し湿式不織布からなる濾材B(密度0.15g/cm)を得た。
次いで、前記濾材Aと前記濾材Bをラミネート機により接着し、さらに濾材B側に濾材Aを同様の方法で接着させて吸水気化材料を得た。評価結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1と同様の方法で、濾材Aと濾材Bを得た後、濾材Aと濾材Bをラミネート機により接着し、吸水気化材料を得た。評価結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例2において、濾材Bとしてポリエチレンテレフタレート(PET)からなるスパンボンド不織布(密度0.31g/cm)を用いること以外は実施例2と同様にした。評価結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例1において、濾材Bとしてポリエチレンテレフタレート(PET)からなるスパンボンド不織布(密度0.31g/cm)を用いること以外は実施例1と同様にした。評価結果を表1に示す。
[実施例5]
実施例3において、濾材Aの目付けと厚さを変更すること以外は実施例3と同様にした。評価結果を表1に示す。
Figure 2018189346
実施例1、2は、A側の吸い上げ高さが10cm以上と高い結果を示した。また実施例3〜5はA側の吸い上げ高さが低い結果となった。
本発明によれば、吸水性および気化性に優れる吸水気化材料が提供され、その工業的価値は極めて大である。

Claims (8)

  1. 繊維径が10〜1500nmの極細繊維を含むことを特徴とする吸水気化材料。
  2. 吸水気化材料が多層構造を有し、前記極細繊維の含有量が互いに異なる2層を含む、請求項1に記載の吸水気化材料。
  3. 前記極細繊維の含有量が大きい層において、前記極細繊維の含有量が層重量に対して20重量%以上であり、かつ前記極細繊維の含有量が小さい層において、前記極細繊維の含有量が層重量に対して5重量%以下である、請求項2に記載の吸水気化材料。
  4. 前記極細繊維の含有量が小さい層の密度が、前記極細繊維の含有量が大きい層より小さい、請求項2または請求項3に記載の吸水気化材料。
  5. 前記極細繊維の含有量が小さい層において密度が0.20g/cm以下である、請求項2〜4のいずれかに記載の吸水気化材料。
  6. 吸水気化材料が三層構造を有し、該三層構造において、中間層の前記極細繊維の含有量が両外層よりも小さい、請求項1〜5のいずれかに記載の吸水気化材料。
  7. 吸水気化材料が湿式不織布からなる、請求項1〜6のいずれかに記載の吸水気化材料。
  8. 気化式加湿器用吸水気化濾材として用いられる、請求項1〜7のいずれかに記載の吸水気化材料。












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