JP6462368B2 - 湿式不織布および障子紙および製品 - Google Patents

湿式不織布および障子紙および製品 Download PDF

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Description

本発明は、和紙の肌触りを有しながら気密性および遮熱性にも優れた、湿式不織布および障子紙および製品に関する。
従来、和式家屋などで、自然の整光や調湿機能を得るため和紙からなる障子紙が使用されている。また、和紙は破れやすいため、近年では障子紙に強力や耐水性を付与することも提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
一方、障子紙に要求される特性として、和紙の肌触りや破れにくさだけでなく、気密性、遮熱性などもあげられる。
しかしながら、従来の障子紙では、気密性および遮熱性の点で十分とはいえなかった。
特開2006−283194号公報 特開2013−119210号公報
本発明は上記の背景に鑑みなされたものであり、その目的は、和紙の肌触りを有しながら気密性および遮熱性にも優れた、湿式不織布および障子紙および製品を提供することにある。
本発明者らは上記の課題を達成するため鋭意検討した結果、パルプと超極細繊維とを用いることにより和紙の肌触りを有しながら気密性および遮熱性にも優れた障子紙が得られることを見出し、さらに鋭意検討を重ねることにより本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば「パルプおよび単繊維径(D)が10〜1000nmのナノファイバー繊維を含み、かつ400〜760nmの可視光線の透過率が20%以上であることを特徴とする湿式不織布。」が提供される。
その際、前記ナノファイバー繊維において、単繊維径(D)に対する繊維長(L)の比L/Dが100〜3000の範囲内であることが好ましい。また、前記ナノファイバー繊維がポリエステル繊維であることが好ましい。また、前記ナノファイバー繊維が、易溶解成分を海成分とし難溶解成分を島成分とする海島型複合繊維から海成分を溶出除去することにより得られた繊維であることが好ましい。
また、本発明の湿式不織布において、前記パルプが湿式不織布重量対比30重量%以上含まれることが好ましい。また、前記ナノファイバー繊維が湿式不織布重量対比1重量%以上含まれることが好ましい。また、目付けが40〜80g/mの範囲内であることが好ましい。また、760〜2000nmの近赤外線の反射率が65%以上であることが好ましい。また、空気透過の所要時間が5秒/cm(100cc)以上であることが好ましい。
また、本発明によれば、パルプおよび単繊維径(D)が10〜1000nmのナノファイバー繊維を含むことを特徴とする湿式不織布を用いてなる障子紙が提供される。また、本発明によれば、前記の湿式不織布を用いてなる壁紙、結露防止シート、および遮熱シートからなる群より選択されるいずれかの製品が提供される。
本発明によれば、和紙の肌触りを有しながら気密性および遮熱性にも優れた、湿式不織布および障子紙および製品が得られる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明においてナノファイバー繊維は単繊維径(D)が10〜1000nm(好ましくは50〜800nm、特に好ましくは520〜780nm)の超極細繊維である。
ここで、前記単繊維径が10nmよりも小さいと、擬似膠着しやすく均一分散しにくいため気密性や遮熱性が低下するおそれがある。逆に、前記単繊維径が1000nmよりも大きいと、ナノファイバー繊維としての効果が低下し、気密性や遮熱性が低下するおそれがある。前記単繊維の断面形状が丸断面以外の異形断面である場合には外接円の直径を単繊維径とする。なお、単繊維径は、透過型電子顕微鏡で繊維の横断面を撮影することにより測定が可能である。
前記ナノファイバー繊維において、単繊維径(D)nmに対する繊維長(L)nmの比L/Dが100〜3000(より好ましくは800〜1500)の範囲内であることが好ましい。該比(L/D)が100未満では繊維長が短くなり過ぎるため、他の繊維との絡みが小さくなり、湿式不織布を製造する工程において繊維が脱落するおそれがある。逆に、該該比(L/D)が3000を超える場合、繊維長が長くなりすぎ、ナノファイバー繊維自身の絡みが大きくなり、均一分散が阻害され、気密性や遮熱性が低下するおそれがある。
前記ナノファイバー繊維の繊維種類としてポリエステル繊維が好ましい。かかるポリエステルの種類としては、ポリエチレンテレフタレートやポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ステレオコンプレックスポリ乳酸、ポリ乳酸、第3成分を共重合させたポリエステルなどが好ましく例示される。さらには、マテリアルリサイクルまたはケミカルリサイクルされたポリエステル、特開2004−270097号公報や特開2004−211268号公報に記載されているような、特定のリン化合物およびチタン化合物を含む触媒を用いて得られたポリエステル、これらに第3成分(例えば、ナトリウムスルホイソフタル酸などのカチオン染料可染性アニオン成分)を含んだものなども好ましく例示される。
前記ナノファイバー繊維の製造方法としては特に限定されないが、国際公開第2005/095686号パンフレットに開示された方法が好ましい。すなわち、単繊維径およびその均一性の点で、ポリエステルポリマーからなりかつその島径(D)が10〜1000nmである島成分と前記のポリエステルポリマーよりもアルカリ水溶液易溶解性ポリマー(以下「易溶解性ポリマー」ということもある。)からなる海成分とを有する複合繊維にアルカリ減量加工を施し、前記海成分を溶解除去したものであることが好ましい。
ここで、海成分を形成するアルカリ水溶液易溶解性ポリマーの島成分を形成するポリエステルポリマーに対する溶解速度比が200以上(好ましくは300〜3000)であると、島分離性が良好となり好ましい。溶解速度が200倍未満の場合には、繊維断面中央部の海成分を溶解する間に、分離した繊維断面表層部の島成分が繊維径が小さいために溶解されるため、海相当分が減量されているにもかかわらず、繊維断面中央部の海成分を完全に溶解除去できず、島成分の太さ斑や島成分自体の溶剤侵食につながり、均一な繊維径のナノファイバー繊維を得ることができないおそれがある。
海成分を形成する易溶解性ポリマーとしては、特に繊維形成性の良いポリエステル類、脂肪族ポリアミド類、ポリエチレンやポリスチレン等のポリオレフィン類を好ましい例としてあげることができる。更に具体例を挙げれば、アルカリ水溶液易溶解性ポリマーとして、ポリ乳酸、超高分子量ポリアルレンオキサイド縮合系ポリマー、ポリアルキレングリコール系化合物と5−ナトリウムスルホイソフタル酸の共重合ポリエステルが最適である。ここでアルカリ水溶液とは、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム水溶液などをいう。これ以外にも、ナイロン6やナイロン66等の脂肪族ポリアミドに対するギ酸、ポリスチレンに対するトリクロロエチレン等やポリエチレン(特に高圧法低密度ポリエチレンや直鎖状低密度ポリエチレン)に対する熱トルエンやキシレン等の炭化水素系溶剤、ポリビニルアルコールやエチレン変性ビニルアルコール性ポリマーに対する熱水を例として挙げることができる。
ポリエステル系ポリマーの中でも、5−ナトリウムスルホイソフタル酸6〜12モル%と分子量4000〜12000のポリエチレングリコールを3〜10重量%共重合させた固有粘度が0.4〜0.6のポリエチレンテレフタレート系共重合ポリエステルが好ましい。ここで、5−ナトリウムスルホイソフタル酸は親水性と溶融粘度向上に寄与し、ポリエチレングリコール(PEG)は親水性を向上させる。また、PEGは分子量が大きいほど、その高次構造に起因すると考えられる親水性増加作用があるが、反応性が悪くなってブレンド系になるため、耐熱性や紡糸安定性の面で問題が生じる可能性がある。また、共重合量が10重量%以上になると、溶融粘度低下作用があるので、好ましくない。
一方、島成分を形成するポリエステルポリマーとしては、前述の通りである。尚、海成分を形成するポリマー及び島成分を形成するポリマーについて、製紙性および抽出後の超極細繊維の物性に影響を及ぼさない範囲で、必要に応じて、有機充填剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、防錆剤、架橋剤、発泡剤、蛍光剤、表面平滑剤、表面光沢改良剤、フッ素樹脂等の離型改良剤、等の各種添加剤を含んでも差し支えない。
前記の海島型複合繊維において、溶融紡糸時における海成分の溶融粘度が海成分ポリマーの溶融粘度より大きいことが好ましい。かかる関係にあたる場合には、海成分の複合重量比率が小さくなっても、島同士が接合したり、島成分の大部分が接合して海島型複合繊維とは異なるものになり難い。
好ましい溶融粘度比(海/島)は1.1〜2.0、特に1.3〜1.5の範囲である。この比が1.1倍未満の場合には溶融紡糸時に島成分が接合しやすくなり、一方2.0倍を超える場合には粘度差が大きすぎるために紡糸調子が低下しやすい。
次に島数は100以上(より好ましくは300〜1000)であることが好ましい。また、その海島複合重量比率(海:島)は20:80〜80:20の範囲が好ましい。かかる範囲であれば、島間の海成分の厚みを薄くすることができ、海成分の溶解除去が容易となり、島成分の微細繊維への転換が容易になるので好ましい。ここで海成分の割合が80%を越える場合には海成分の厚みが厚くなりすぎ、一方20%未満の場合には海成分の量が少なくなりすぎて、島間に接合が発生しやすくなるおそれがある。
溶融紡糸に用いられる口金としては、島成分を形成するための中空ピン群や微細孔群を有するものなど任意のものを用いることができる。例えば、中空ピンや微細孔より押し出された島成分とその間を埋める形で流路を設計されている海成分流とを合流し、これを圧縮することにより海島断面が形成されるといった紡糸口金でもよい。吐出された海島型複合繊維は冷却風により固化され、所定の引き取り速度に設定した回転ローラーあるいはエジェクターにより引き取られ、未延伸糸を得る。この引取り速度は特に限定されないが、200〜5000m/分であることが好ましい。200m/分未満では生産性が悪くなるおそれがある。また、5000m/分より大では紡糸安定性が悪くなるおそれがある。
得られた未延伸糸は、海成分を抽出後、そのままカット工程あるいはその後の抽出工程に供してもよいし、目的とする強度・伸度・熱収縮特性に合わせるために、延伸工程や熱処理工程を経由して、カット工程あるいはその後の抽出工程に供することができる。延伸工程は紡糸と延伸を別ステップで行う別延方式でもよいし、一工程で紡糸後直ちに延伸を行う直延方式を用いてもよい。
次に、必要に応じて、島(D)に対する繊維長(L)の比(L/D)が前記の範囲内となるようにカットした後、アルカリ減量加工を施すことにより、前記海成分を溶融除去してもよいし、先に複合繊維にアルカリ減量を施し前記海成分を溶融除去した後、その減量された原糸を島(D)に対する繊維長(L)の比(L/D)が前記の範囲内となるようにカットしてもよい。カットする場合、未延伸糸または延伸糸、減量された原糸をそのまま、または数十本〜数百万本単位に束ねたトウにしてギロチンカッターやロータリーカッターなどでカットすることが好ましい。
本発明の湿式不織布において、前記ナノファイバー繊維が湿式不織布重量対比1重量%以上(好ましくは1〜16重量%、特に好ましくは1〜12重量%)含まれることが好ましい。ナノファイバー繊維の含有量が1重量%未満の場合、気密性や遮熱性が低下するおそれがある。
本発明の湿式不織布には、前記のナノファイバー繊維だけでなくパルプも含まれる。特にパルプが障子紙対比30重量%以上(好ましくは30〜60重量%)含まれることが好ましい。パルプの含有量が30重量%未満の場合、和紙の肌触りが得られないおそれがある。なお、かかるパルプは公知のものでよい。
また、本発明の湿式不織布には、さらにバインダー繊維や他の繊維が含まれていてもよい。特に、バインダー繊維が湿式不織布重量対比10〜50重量%含まれることが好ましい。
前記バインダー繊維としては、単繊維繊度が0.1dtex(繊径3μm)以上の、未延伸繊維(複屈折率(Δn)が0.05以下)または複合繊維を用いることができる。
ここで、未延伸繊維や複合繊維からなるバインダー繊維において、単繊維繊度は0.2〜3.3dtex(より好ましくは0.5〜1.7dtex)が好ましい。また、バインダー繊維の繊維長は1〜20mm(より好ましくは3〜10mm)であることが好ましい。なお、未延伸繊維からなるバインダー繊維を用いる場合、抄紙後のドライヤーの後、熱圧着工程が必要であるため、抄紙後、カレンダー処理および/またはエンボス処理を施すことが好ましい。
上記のバインダー繊維のうち、未延伸繊維としては、紡糸速度が好ましくは800〜1200m/分、さらに好ましくは900〜1150m/分で紡糸された未延伸ポリエステル繊維が挙げられる。ここで、未延伸繊維に用いられるポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートが挙げられ、好ましくは生産性、水への分散性などの理由から、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートが好ましい。
一方、バインダー繊維のうち、複合繊維としては、抄紙後に施す80〜170℃の熱処理によって融着し接着効果を発現するポリマー成分(例えば、共重合ポリエステル)が鞘部に配され、これらのポリマーより融点が20℃以上高い他のポリマー(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどの通常のポリエステル)が芯部に配された芯鞘型複合繊維が好ましい。なお、バインダー繊維は、バインダー成分(低融点成分)が単繊維の表面の全部または一部を形成している、芯鞘型複合繊維、偏心芯鞘型複合繊維、サイドバイサイド型複合繊維などの公知のバインダー繊維でもよい。
ここで、上記共重合ポリエステルは、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの酸成分と、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどのジオール成分とのランダムまたはブロック共重合体として得られる。中でも、従来から広く用いられているテレフタル酸、イソフタル酸、エチレングリコールおよびジエチレングリコールを主成分として用いることがコストの面で好ましい。このような共重合ポリエステルは、ガラス転移点が50〜100℃の範囲となり、明確な結晶融点を示さない。
本発明の湿式不織布を製造する方法としては、通常の長網抄紙機、短網抄紙機、丸網抄紙機、あるいはこれらを複数台組み合わせて多層抄きなどとして、抄紙した後、熱処理する製造方法が好ましい。その際、熱処理工程としては、抄紙工程後、ヤンキードライヤー、エアースルードライヤーのどちらでも可能である。また、熱処理の後、金属/金属ローラー、金属/ペーパーローラー、金属/弾性ローラーなどのカレンダー/エンボスを施してもよい。 特に、本発明の薄葉紙にカレンダー加工またはエンボス加工を施すと、表面平滑性の向上(厚みの均一化)、接着点を形成することによる強度アップという効果を奏する。また、未延伸繊維からなるバインダー繊維を用いる場合は、熱圧着工程が必要であるため、かかるカレンダー加工またはエンボス加工が必要である。必要に応じて、常圧の染色加工、親水加工、撥水加工など便宜施してもよい。
かくして得られた湿式不織布において、目付けが40〜80g/mの範囲内であることが好ましい。該目付けが40g/m未満では、気密性や遮熱性が低下するおそれがある。逆に該目付けが80g/mよりも大きいと、可視光の透過率が低下するおそれがある。
本発明の湿式不織布は、パルプおよび単繊維径(D)が10〜1000nmのナノファイバー繊維を含むので、和紙の肌触りを有しながら和紙よりも強力(引裂き強力や引張り強力)に優れ、気密性および遮熱性に優れる。
ここで、400〜760nmの可視光線の透過率としては20%以上(より好ましくは20〜30%)であることが好ましい。
また、760〜2000nmの近赤外線の反射率としては65%以上(より好ましくは65〜89%)であることが好ましい。
また、空気透過の所要時間が5秒/cm(100cc)以上(より好ましくは、5〜10秒/cm(100cc))であることが好ましい。
本発明の障子紙は前記の湿式不織布を用いてなる障子紙である。かかる障子紙は前記の湿式不織布を用いているので、和紙の肌触りを有しながら和紙よりも強力(引裂き強力や引張り強力)に優れ、気密性および遮熱性に優れる。
次に、本発明の製品は、前記の湿式不織布を用いてなる、壁紙、結露防止シート、および遮熱シートからなる群より選択されるいずれかの製品である。かかる製品は前記の湿式不織布を用いているので、和紙の肌触りを有しながら和紙よりも強力(引裂き強力や引張り強力)に優れ、気密性および遮熱性に優れる。
次に本発明の実施例及び比較例を詳述するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。尚、実施例中の各測定値は下記方法で測定した。
(1)溶融粘度
乾燥処理後のポリマーを紡糸時のルーダー溶融温度に設定したオリフィスによって5分間溶融保持したのち、数水準の荷重をかけて押し出し、そのときのせん断速度と溶融粘度をプロットする。そのプロットをなだらかにつないで、せん断速度―溶解温度で浴比100として、溶解時間と溶解量から減量速度を算出した。
(2)溶解速度測定
海成分および島成分のポリマーを各々、径0.3mm、長さ0.6mmのキャピラリーを24孔もつ口金から吐出し、1000〜2000m/分の紡糸速度で引き取って得た未延伸糸を残留伸度が30〜60%の範囲になるように延伸して、83dtex/24フィラメントのマルチフィラメントを作製した。これを所定の溶剤および溶解温度で浴比100として、溶解時間と溶解量から減量速度を算出した。
(3)島径との測定
透過型電子顕微鏡TEMで、倍率30000倍で繊維断面写真を撮影し、測定した。TEMの機械によっては測長機能を活用して測定し、また無いTEMについては、撮った写真を拡大コピーして、縮尺を考慮した上で定規にて測定すればよい。ただし、繊維径は、繊維断面におけるその外接円の直径を用いた。(n数5の平均値)
(4)繊維長
走査型電子顕微鏡(SEM)により、海成分溶解除去前の極細短繊維を基盤上に寝かせた状態とし、20〜500倍で測定した。SEMの測長機能を活用して測定した(n数5の平均値)
(5)目付け
JIS P8124(紙及び板紙―坪量測定方法)に基づいて測定した。
(6)厚み
JIS P8118(紙及び板紙−厚さ及び密度の試験方法)に基づいて測定した。
(7)密度
JIS P8118(紙及び板紙−厚さ及び密度の試験方法)に基づいて測定した。
(8)空気透過の所要時間
気密性の代用特性としてJIS L1096 6.27.2 B法によって空気透過の所要時間(秒)を測定した。
(9)可視光透過率
島津MPC−3100を用いて測定した。
(10)近赤外反射率
島津MPC−3100を用いて測定した。
[実施例1]
島成分に285℃での溶融粘度が120Pa・secのポリエチレンテレフタレート、海成分に285℃での溶融粘度が135Pa・secである平均分子量4000のポリエチレングリコールを4重量%、5−ナトリウムスルホイソフタル酸を9mol%共重合した改質ポリエチレンテレフタレートを使用し、海:島=10:90の重量比率で島数400の口金を用いて紡糸し、紡糸速度1500m/分で引き取った。海成分と島成分とのアルカリ減量速度比は1000倍であった。これを3.9倍に延伸した後、4%NaOH水溶液で75℃にて25%減量したところ、繊維径が比較的均一な極細繊維が生成していることを確認、該繊維をギロチンカッターにて1000μmにカットして極細短繊維を得た。本繊維をナノファイバー繊維とした(単繊維径700nm、繊維長1mm、L/D=1429)。
また、バインダー繊維として、芯部がポリエチレンテレフタレートからなり、鞘部が低融点の共重合ポリエステルからなる複合繊維(単繊維繊度1.7dtex、繊維長5mm)を用意した。
次いで、前記ナノファイバー繊維を10重量%、前記バインダー繊維を30重量%、パルプを40重量%、ビニロンを5重量%、ポリエチレンテレフタレート短繊維(単繊維繊度1.7dtex、繊維長5mm)を15重量%用いて混合攪拌した後、TAPPI(熊谷理工業製角型シートマシン、以下同じ)により抄紙し、ドライヤーで乾燥処理を施し湿式不織布(目付け40g/m)を得た。得られた障子紙の物性を表1に示す。
次いで、該障子紙を得たところ、和紙の肌触りを有しながら和紙よりも強力に優れ、かつ気密性および遮熱性にも優れたものであった。
[実施例2]
実施例1において、混合比率を、ナノファイバー繊維を5重量%、バインダー繊維を30重量%、パルプを40重量%、ビニロンを5重量%、ポリエチレンテレフタレート短繊維(単繊維繊度1.7dtex、繊維長5mm)を20重量%に変更し、目付けを60g/mにした以外は同様の方法を施し、障子紙を得た。得られた障子紙の物性を表1に示す。
[実施例3]
実施例1において、混合比率を、ナノファイバー繊維を1重量%、バインダー繊維を30重量%、パルプを40重量%、ビニロンを5重量%、ポリエチレンテレフタレート短繊維(単繊維繊度1.7dtex、繊維長5mm)を24重量%に変更し、目付けを80g/mにした以外は同様の方法を施し、湿式不織布シートを得た。得られた障子紙の物性を表1に示す。
[実施例4]
実施例1において、混合比率を、ナノファイバー繊維を15重量%、バインダー繊維を30重量%、パルプを40重量%、ビニロンを5重量%、ポリエチレンテレフタレート短繊維(単繊維繊度1.7dtex、繊維長5mm)を10重量%に変更した以外は同様の方法を施し、障子紙を得た。得られた障子紙の物性を表1に示す。
[比較例1]
実施例3において、混合比率を、ナノファイバー繊維を0重量%、バインダー繊維を30重量%、パルプを40重量%、ビニロンを5重量%、ポリエチレンテレフタレート短繊維(単繊維繊度1.7dtex、繊維長5mm)を25重量%に変更した以外は同様の方法を施し、障子紙を得た。得られた障子紙の物性を表1に示す。
[実施例5]
実施例3において目付を100g/mに変更した以外は同様の方法を施し、湿式不織布を得た。得られた障子紙の物性を表1に示す。
Figure 0006462368
本発明によれば、和紙の肌触りを有しながら気密性および遮熱性にも優れた、湿式不織布および障子紙および製品が提供され、その工業的価値は極めて大である。

Claims (11)

  1. パルプおよび単繊維径(D)が10〜1000nmのナノファイバー繊維を含み、かつ400〜760nmの可視光線の透過率が20%以上であることを特徴とする湿式不織布。
  2. 前記ナノファイバー繊維において、単繊維径(D)に対する繊維長(L)の比L/Dが100〜3000の範囲内である、請求項1に記載の湿式不織布。
  3. 前記ナノファイバー繊維がポリエステル繊維である、請求項1または請求項2に記載の湿式不織布。
  4. 前記ナノファイバー繊維が、易溶解成分を海成分とし難溶解成分を島成分とする海島型複合繊維から海成分を溶出除去することにより得られた繊維である、請求項1〜3のいずれかに記載の湿式不織布。
  5. 前記パルプが湿式不織布重量対比30重量%以上含まれる、請求項1〜4のいずれかに記載の湿式不織布。
  6. 前記ナノファイバー繊維が湿式不織布重量対比1重量%以上含まれる、請求項1〜5のいずれかに記載の湿式不織布。
  7. 目付けが40〜80g/mの範囲内である、請求項1〜6のいずれかに記載の湿式不織布。
  8. 760〜2000nmの近赤外線の反射率が65%以上である、請求項1〜のいずれかに記載の湿式不織布。
  9. 空気透過の所要時間が5秒/cm(100cc)以上である、請求項1〜のいずれかに記載の湿式不織布。
  10. パルプおよび単繊維径(D)が10〜1000nmのナノファイバー繊維を含むことを特徴とする湿式不織布を用いてなる障子紙。
  11. 請求項1〜のいずれかに記載の湿式不織布を用いてなる壁紙、結露防止シート、および遮熱シートからなる群より選択されるいずれかの製品。
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