JP3198198U - 遮熱シートおよび繊維製品 - Google Patents

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Abstract

【課題】遮熱性だけでなく軽量性にも優れた遮熱シートおよび繊維製品を提供する。【解決手段】目付け290g/m2以下の基布1と、該基布1に積層してなりかつ単繊維径(D)が10〜1000nmのナノファイバー繊維を含む目付け5〜90g/m2の不織布3とを用いて遮熱シートを得た後、必要に応じて該遮熱シートを用いて繊維製品を得る。遮熱シートの層数は、前記の基布1と前記の不織布3とからなる2層でもよいし、前記基布1、前記不織布3、及び前記基布1がこの順に積層した3層でもよい。【選択図】図1

Description

本考案は、遮熱性だけでなく軽量性にも優れた遮熱シートおよび繊維製品に関する。
遮熱シートとは、太陽光をさえぎり建物や物体の内部にその影響がでないようにするシートのことであり、夏場ではエアコン等の電力節減にもつながり、地球環境の点でも注目されている。
かかる遮熱シートとしては、アルミニウム箔や石膏ボードなどの無機材料を用いたものが提案されている。しかしながら、無機材料を用いた遮熱シートでは、シートが硬いため成形性に劣るという問題があった。
また近年では、繊維を用いた遮熱シートが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)が、特殊な加工を必要としたり、軽量性の点で十分とはいえないという問題があった。
特開2013−167100号公報 特開2013−91876号公報
本考案は上記の背景に鑑みなされたものであり、その目的は、遮熱性だけでなく軽量性にも優れた遮熱シートおよび繊維製品を提供することにある。
本考案者は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、軽量の基布に、超極細繊維を含む不織布を積層することにより、遮熱性だけでなく軽量性にも優れた遮熱シートが得られることを見出し、さらに鋭意検討を重ねることにより本考案に到達した。
かくして、本考案によれば「目付け290g/m以下の基布と、該基布に積層してなりかつ単繊維径(D)が10〜1000nmのナノファイバー繊維を含む目付け5〜90g/mの不織布とを含むことを特徴とする遮熱シート。」が提供される。
その際、前記基布、前記不織布、および前記基布がこの順に積層していることが好ましい。また、前記基布の目付けが100〜200g/mの範囲内であることが好ましい。また、前記基布が織物または編物であることが好ましい。また、前記ナノファイバー繊維において、単繊維径(D)に対する繊維長(L)の比L/Dが600〜3000の範囲内であることが好ましい。また、前記不織布において、前記ナノファイバー繊維が不織布重量対比5〜60重量%含まれることが好ましい。また、前記不織布にさらにレーヨンが含まれることが好ましい。また、前記不織布が湿式不織布であることが好ましい。その際、前記不織布にウォーターニードルにより絡合処理が施されていることが好ましい。また、760〜2000nmの近赤外線の反射率が78%以上であることが好ましい。
また、本考案によれば、前記の遮熱シートを用いてなる、帽子、傘、衣服、自動車用遮蔽シート、建物の屋外または屋内用遮熱シート、および各種物体用遮蔽シートからなる群より選択される繊維製品が提供される。
本考案によれば、遮熱性だけでなく軽量性にも優れた遮熱シートおよび繊維製品が得られる。
本考案の遮熱シートの一例を示す図である。 本考案の遮熱シートの一例を示す図である。 本考案の遮熱シートの一例を示す図である。 本考案の遮熱シートの一例を示す図である。 本考案の遮熱シートの一例を示す図である。
以下に本考案の実施するための形態を詳述するが、本考案はこれらによって限定されるものではない。
まず、本考案の遮熱シートは、目付け290g/m以下の基布と、該基布に積層してなりかつ単繊維径(D)が10〜1000nmのナノファイバー繊維を含む目付け5〜90g/mの不織布とを含むことを特徴とする遮熱シートである。
ここで、遮熱シートの層数は特に限定されず、前記の基布と前記の不織布とからなる2層でもよいし、前記基布、前記不織布、および前記基布がこの順に積層した3層でもよい。さらに他の層を積層してもよい。
各層を貼り合わせる方法は特に限定されず、接着剤を用いる方法、熱融着シートを用いた熱融着させる方法、縫製糸を用いる方法などいずれでもよい。
例えば、図1に示すように、前記の基布と前記の不織布とを接着剤または熱融着シートを用いて貼り合わせてもよい。また、図2に示すように、前記の基布と前記の不織布とを縫製糸を用いて貼り合わせてもよい。また、図3に示すように、前記の不織布の両面に、前記の基布を接着剤または熱融着シートを用いて貼り合わせてもよい。また、図4に示すように、前記の不織布の一方の面には前記の基布を接着剤または熱融着シートを用いて貼り合わせ、他方の面には前記の不織布を縫製糸を用いて貼り合わせてもよい。また、図5に示すように、縫製糸を用いて前記の不織布の両面に前記の基布を貼り合わせてもよい。
前記の基布において、目付けが290g/m以下(好ましくは100〜200g/m)であることが肝要である。該目付けが290g/mより大きいと遮熱シートの軽量性が損なわれるおそれがある。
前記の基布において、基布の布帛組織は限定されないが、ソフトな風合いを得る上で織物または編物が好ましい。
一方の不織布に含まれるナノファイバー繊維は単繊維径(D)が10〜1000nmの超極細繊維である。
ここで、前記単繊維径が10nmよりも小さいと、擬似膠着しやすく均一分散しにくいため遮熱性が低下するおそれがある。逆に、前記単繊維径が1000nmよりも大きいと、ナノファイバー繊維としての効果が低下し、遮熱性が低下するおそれがある。前記単繊維の断面形状が丸断面以外の異形断面である場合には外接円の直径を単繊維径とする。なお、単繊維径は、透過型電子顕微鏡で繊維の横断面を撮影することにより測定が可能である。
前記ナノファイバー繊維において、単繊維径(D)nmに対する繊維長(L)nmの比L/Dが600〜3000(より好ましくは800〜1500)の範囲内であることが好ましい。該比(L/D)が600未満では繊維長が短くなり過ぎるため、他の繊維との絡みが小さくなり、不織布を製造する工程において繊維が脱落するおそれがある。逆に、該該比(L/D)が3000を超える場合、繊維長が長くなりすぎ、ナノファイバー繊維自身の絡みが大きくなり、均一分散が阻害されるおそれがある。
前記ナノファイバー繊維の繊維種類としてポリエステル繊維が好ましい。かかるポリエステルの種類としては、ポリエチレンテレフタレートやポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ステレオコンプレックスポリ乳酸、ポリ乳酸、第3成分を共重合させたポリエステルなどが好ましく例示される。さらには、マテリアルリサイクルまたはケミカルリサイクルされたポリエステル、特開2004−270097号公報や特開2004−211268号公報に記載されているような、特定のリン化合物およびチタン化合物を含む触媒を用いて得られたポリエステル、これらに第3成分(例えば、ナトリウムスルホイソフタル酸などのカチオン染料可染性アニオン成分)を含んだものなども好ましく例示される。
前記ナノファイバー繊維の製造方法としては特に限定されないが、国際公開第2005/095686号パンフレットに開示された方法が好ましい。すなわち、単繊維径およびその均一性の点で、ポリエステルポリマーからなりかつその島径(D)が10〜1000nmである島成分と前記のポリエステルポリマーよりもアルカリ水溶液易溶解性ポリマー(以下「易溶解性ポリマー」ということもある。)からなる海成分とを有する複合繊維にアルカリ減量加工を施し、前記海成分を溶解除去したものであることが好ましい。
ここで、海成分を形成するアルカリ水溶液易溶解性ポリマーの島成分を形成するポリエステルポリマーに対する溶解速度比が200以上(好ましくは300〜3000)であると、島分離性が良好となり好ましい。溶解速度が200倍未満の場合には、繊維断面中央部の海成分を溶解する間に、分離した繊維断面表層部の島成分が繊維径が小さいために溶解されるため、海相当分が減量されているにもかかわらず、繊維断面中央部の海成分を完全に溶解除去できず、島成分の太さ斑や島成分自体の溶剤侵食につながり、均一な繊維径のナノファイバー繊維を得ることができないおそれがある。
海成分を形成する易溶解性ポリマーとしては、特に繊維形成性の良いポリエステル類、脂肪族ポリアミド類、ポリエチレンやポリスチレン等のポリオレフィン類を好ましい例としてあげることができる。更に具体例を挙げれば、アルカリ水溶液易溶解性ポリマーとして、ポリ乳酸、超高分子量ポリアルレンオキサイド縮合系ポリマー、ポリアルキレングリコール系化合物と5−ナトリウムスルホイソフタル酸の共重合ポリエステルが最適である。ここでアルカリ水溶液とは、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム水溶液などをいう。これ以外にも、ナイロン6やナイロン66等の脂肪族ポリアミドに対するギ酸、ポリスチレンに対するトリクロロエチレン等やポリエチレン(特に高圧法低密度ポリエチレンや直鎖状低密度ポリエチレン)に対する熱トルエンやキシレン等の炭化水素系溶剤、ポリビニルアルコールやエチレン変性ビニルアルコール性ポリマーに対する熱水を例として挙げることができる。
ポリエステル系ポリマーの中でも、5−ナトリウムスルホイソフタル酸6〜12モル%と分子量4000〜12000のポリエチレングリコールを3〜10重量%共重合させた固有粘度が0.4〜0.6のポリエチレンテレフタレート系共重合ポリエステルが好ましい。ここで、5−ナトリウムスルホイソフタル酸は親水性と溶融粘度向上に寄与し、ポリエチレングリコール(PEG)は親水性を向上させる。また、PEGは分子量が大きいほど、その高次構造に起因すると考えられる親水性増加作用があるが、反応性が悪くなってブレンド系になるため、耐熱性や紡糸安定性の面で問題が生じる可能性がある。また、共重合量が10重量%以上になると、溶融粘度低下作用があるので、好ましくない。
一方、島成分を形成するポリエステルポリマーとしては、前述の通りである。尚、海成分を形成するポリマー及び島成分を形成するポリマーについて、製紙性および抽出後の超極細繊維の物性に影響を及ぼさない範囲で、必要に応じて、有機充填剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、防錆剤、架橋剤、発泡剤、蛍光剤、表面平滑剤、表面光沢改良剤、フッ素樹脂等の離型改良剤、等の各種添加剤を含んでも差し支えない。
前記の海島型複合繊維において、溶融紡糸時における海成分の溶融粘度が海成分ポリマーの溶融粘度より大きいことが好ましい。かかる関係にあたる場合には、海成分の複合重量比率が小さくなっても、島同士が接合したり、島成分の大部分が接合して海島型複合繊維とは異なるものになり難い。
好ましい溶融粘度比(海/島)は1.1〜2.0、特に1.3〜1.5の範囲である。この比が1.1倍未満の場合には溶融紡糸時に島成分が接合しやすくなり、一方2.0倍を超える場合には粘度差が大きすぎるために紡糸調子が低下しやすい。
次に島数は100以上(より好ましくは300〜1000)であることが好ましい。また、その海島複合重量比率(海:島)は20:80〜80:20の範囲が好ましい。かかる範囲であれば、島間の海成分の厚みを薄くすることができ、海成分の溶解除去が容易となり、島成分の微細繊維への転換が容易になるので好ましい。ここで海成分の割合が80%を越える場合には海成分の厚みが厚くなりすぎ、一方20%未満の場合には海成分の量が少なくなりすぎて、島間に接合が発生しやすくなるおそれがある。
溶融紡糸に用いられる口金としては、島成分を形成するための中空ピン群や微細孔群を有するものなど任意のものを用いることができる。例えば、中空ピンや微細孔より押し出された島成分とその間を埋める形で流路を設計されている海成分流とを合流し、これを圧縮することにより海島断面が形成されるといった紡糸口金でもよい。吐出された海島型複合繊維は冷却風により固化され、所定の引き取り速度に設定した回転ローラーあるいはエジェクターにより引き取られ、未延伸糸を得る。この引取り速度は特に限定されないが、200〜5000m/分であることが好ましい。200m/分以下では生産性が悪くなるおそれがある。また、5000m/分以上では紡糸安定性が悪くなるおそれがある。
得られた未延伸糸は、海成分を抽出後、そのままカット工程あるいはその後の抽出工程に供してもよいし、目的とする強度・伸度・熱収縮特性に合わせるために、延伸工程や熱処理工程を経由して、カット工程あるいはその後の抽出工程に供することができる。延伸工程は紡糸と延伸を別ステップで行う別延方式でもよいし、一工程で紡糸後直ちに延伸を行う直延方式を用いてもよい。
次に、必要に応じて、島(D)に対する繊維長(L)の比(L/D)が前記の範囲内となるようにカットした後、アルカリ減量加工を施すことにより、前記海成分を溶融除去してもよいし、先に複合繊維にアルカリ減量を施し前記海成分を溶融除去した後、その減量された原糸を島(D)に対する繊維長(L)の比(L/D)が前記の範囲内となるようにカットしてもよい。カットする場合、未延伸糸または延伸糸、減量された原糸をそのまま、または数十本〜数百万本単位に束ねたトウにしてギロチンカッターやロータリーカッターなどでカットすることが好ましい。
前記のアルカリ減量加工は、不織布の製造後であってもよいし、不織布の製造前であってもよい。かかるアルカリ減量加工において、繊維とアルカリ液の比率(浴比)は0.1〜5%である事が好ましく、さらには0.4〜3%であることが好ましい。0.1%未満では繊維とアルカリ液の接触は多いものの、排水等の工程性が困難となるおそれがある。一方、5%以上では繊維量が多過ぎるため、アルカリ減量加工時に繊維同士の絡み合いが発生するおそれがある。なお、浴比は下記式にて定義する。
浴比(%)=(繊維質量(gr)/アルカリ水溶液質量(gr)×100)
また、アルカリ減量加工の処理時間は5〜60分であることが好ましく、さらには10〜30分であることが好ましい。5分未満ではアルカリ減量が不十分となるおそれがある。一方、60分以上では島成分までも減量されるおそれがある。
また、アルカリ減量加工において、アルカリ濃度は2%〜10%であることが好ましい。2%未満では、アルカリ不足となり、減量速度が極めて遅くなるおそれがある。一方、10%を越えるとアルカリ減量が進みすぎ、島部分まで減量されるおそれがある。
前記不織布において、前記ナノファイバー繊維が不織布重量対比5〜60重量%含まれることが好ましい。また、前記不織布において、紡糸速度が500〜1200m/分で紡糸された未延伸繊維(複屈折率(Δn)が0.05以下)や、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステルが芯部に配され、一方、鞘部に非晶性共重合ポリエステルやポリエーテルエステル(エラストマー)が配された芯鞘型複合繊維や、さらには、木材パルプ、リンターパルプ等の天然パルプ、アラミドやポリエチレンを主成分とする合成パルプ、ポリエステル、ナイロン、アクリル、ビニロン、レーヨン等の成分を含む合成繊維または半合成繊維を他の繊維として混合、添加してもよい。
その際、かかる他の繊維において、単繊維繊度としては0.1〜6.0dtex(より好ましくは0.5〜2.0dtex)の範囲内であることが好ましい。該単繊維繊度が0.1dtexよりも小さいと不織布の布帛強度が低下したり、カード工程性が低下するおそれがある。逆に、該単繊維繊度が6.0dtexよりも大きいと、不織布表面に形成される繊維間空隙孔が大きくなり、遮熱効果が低下するおそれがある。
また、他の繊維の繊維長としては、10〜100mm(より好ましくは20〜60mm)の範囲内であることが好ましい。該繊維長が10mm未満では、繊維長が短くなり過ぎるため、他の繊維との絡みが小さくなり、不織布の製造工程において繊維が脱落するおそれがある。逆に、該繊維長が100mmを越える場合、繊維長が長すぎるため、極細繊維自身の絡みが大きくなり、均一分散が阻害され、遮熱効果が低下するおそれがある。
前記不織布の種類としては特に限定されず、湿式不織布、スパンレース不織布、乾式不織布のいずれでもよい。不織布を製造する方法としては、カード法、エアーレイド法、湿式法などが例示される。また、繊維を絡合させる、ニードルパンチ法やウオータージェットニードル法を併用してもよい。なかでも、湿式抄紙によるものが好ましい。その湿式抄紙の接着は、高圧水流によって繊維同士を絡ませる工法でもよい。その他にも、低融点のバインダー繊維10〜50%を含み、熱ロールによる加熱による接着でもいい。金属/金属ローラー、金属/ペーパーローラー、金属/弾性ローラーなどの、カレンダー加工および/またはエンボス加工を施してもよい。さらには、染色加工、親水加工、撥水加工を施してもよい。
前記不織布において、目付けとしては5〜90g/m(好ましくは10〜60g/m)の範囲内であることが肝要である。該目付けが5g/mよりも小さいと、遮熱効果が低下するおそれがある。逆に該目付けが90g/mよりも大きいと、軽量性が低下するおそれがある。
また、前記不織布において、前記ナノファイバー繊維が不織布重量対比5〜60重量%含まれることが好ましい。前記ナノファイバー繊維の含有量が5重量%よりも小さいと遮熱性が低下するおそれがある。逆に、ナノファイバー繊維の含有量が60重量%よりも大きいと遮熱シートの布帛強度(引張強度または引裂強度)が低下するおそれがある。
本考案は前記の構成を有するので、遮熱性だけでなく軽量性にも優れる。その際、760〜2000nmの近赤外線の反射率が78%以上(より好ましくは80%以上)であることが好ましい。
次に、本考案の繊維製品は前記の遮熱シートを用いてなる、帽子、傘、衣服、自動車用遮蔽シート、建物の屋外または屋内用遮熱シート、および各種物体用遮蔽シートからなる群より選択される繊維製品である。かかる繊維製品は前記の遮熱シートを用いているので、遮熱性だけでなく軽量性にも優れる。
次に本考案の実施例及び比較例を詳述するが、本考案はこれらによって限定されるものではない。尚、実施例中の各測定値は下記方法で測定した。
(1)溶融粘度
乾燥処理後のポリマーを紡糸時のルーダー溶融温度に設定したオリフィスによって5分間溶融保持したのち、数水準の荷重をかけて押し出し、そのときのせん断速度と溶融粘度をプロットする。そのプロットをなだらかにつないで、せん断速度―溶解温度で浴比100として、溶解時間と溶解量から減量速度を算出した。
(2)溶解速度測定
海成分および島成分のポリマーを各々、径0.3mm、長さ0.6mmのキャピラリーを24孔もつ口金から吐出し、1000〜2000m/分の紡糸速度で引き取って得た未延伸糸を残留伸度が30〜60%の範囲になるように延伸して、83dtx/24フィラメントのマルチフィラメントを作成した。これを所定の溶剤および溶解温度で浴比100として、溶解時間と溶解量から減量速度を算出した。
(3)島径との測定
透過型電子顕微鏡TEMで、倍率30000倍で繊維断面写真を撮影し、測定した。TEMの機械によっては測長機能を活用して測定し、また無いTEMについては、撮った写真を拡大コピーして、縮尺を考慮した上で定規にて測定すればよい。ただし、繊維径は、繊維断面におけるその外接円の直径を用いた。(n数5の平均値)
(4)繊維長
走査型電子顕微鏡(SEM)により、海成分溶解除去前の極細短繊維を基盤上に寝かせた状態とし、20〜500倍で測定した。SEMの測長機能を活用して測定した(n数5の平均値)
(5)目付け
JIS P8124(紙及び板紙―坪量測定方法)に基づいて測定した。
(6)近赤外反射率、近赤外線遮蔽率
島津MPC−3100を用いて、近赤外反射率(760〜2000nm)と近赤外線遮蔽率(760〜2000nm)を測定した。近赤外反射率(760〜2000nm)が78%以上であれば良好、80%以上であれば特に良好とする。また、近赤外線遮蔽率(760〜2000nm)が86%以上であれば良好、90%以上であれば特に良好とする。
(7)総合評価
遮熱性および軽量性の点で、優れている(3級)、やや優れている(2級)、劣る(1級)の3段階評価をした。
[実施例1]
島成分に285℃での溶融粘度が120Pa・secのポリエチレンテレフタレート、海成分に285℃での溶融粘度が135Pa・secである平均分子量4000のポリエチレングリコールを4重量%、5−ナトリウムスルホイソフタル酸を9mol%共重合した改質ポリエチレンテレフタレートを使用し、海:島=10:90の重量比率で島数400の口金を用いて紡糸し、紡糸速度1500m/分で引き取った。海成分と島成分とのアルカリ減量速度比は1000倍であった。これを3.9倍に延伸した後、4%NaOH水溶液で75℃にて25%減量したところ、繊維径が比較的均一な極細繊維が生成していることを確認、該繊維をギロチンカッターにて繊維長1mmにカットして極細短繊維を得た。本繊維をナノファイバー繊維(単繊維径700nm、繊維長1mm、L/D=1429)とした。
一方、基本ベースの原綿はポリエチレンテレフタレート(PET)繊維(単繊維繊度0.1dtex、繊維長5mm)とレーヨン繊維(単繊維繊度0.8dtex、繊維長7mm)を用意した。
次いで、前記ナノファイバー繊維(単繊維径700nm、繊維長1mm、L/D=1429)7/ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維(単繊維繊度0.1dtex、繊維長5mm)60/レーヨン繊維(単繊維繊度0.8dtex、繊維長7mm)33の重量比で混合攪拌した後、TAPPI(熊谷理工業製角型シートマシン)により抄紙し、これを150メッシュの金属メッシュの上に置き、ウォーターニードル試験機(ノズル0.1mmΦ、2列千鳥、圧力130kg/cm、速度2m/分)で絡合処理を施した(表裏各1回)後、エアースルードライヤーで乾燥処理を施し、目付け30g/mの湿式不織布を得た。
一方、総繊度150dtex/36filのポリエチレンテレフタレート繊維を経糸および緯糸に用いて平組織織物(目付け150g/m)を得た。
次いで、図1に示すように、前記湿式不織布に前記平組織織物を、ナイロン系樹脂で貼り合わせて遮熱シートを得た。該遮熱シートは遮熱性だけでなく軽量性にも優れるものであった。評価結果を表1に示す。
次いで、該遮熱シートを用いて傘を得たところ遮熱性だけでなく軽量性にも優れるものであった。
[実施例2]
実施例1と同様の湿式不織布と織物を用いて、図3に示すように、湿式不織布の両側に織物をナイロン系樹脂で貼り合わせて遮熱シートを得た。該遮熱シートは遮熱性だけでなく軽量性にも優れるものであった。評価結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1と同様ナノファイバー繊維に低融点ポリエチレンテレフタレート繊維(単繊維繊度0.2dtex、繊維長3mm)の原綿を混ぜ、ナノファイバー繊維60/低融点ポリエチレンテレフタレート繊維(単繊維繊度0.2dtex、繊維長3mm)40の比率にして混合拡販した後、TAPPI(熊谷理工業製角型シートマシーン)によって抄紙し、これをドラム式乾燥機で150℃の熱を与えて目付け10g/mの湿式不織布を得た。
次いで、図1に示すように、前記湿式不織布に実施例1と同じ平組織織物を、ナイロン系樹脂で貼り合わせて遮熱シートを得た。該遮熱シートは遮熱性だけでなく軽量性にも優れるものであった。評価結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1で用いた織物2枚をナイロン樹脂で貼り合わせて、シートを作製した。評価結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例1において、不織布に入っているナノファイバー繊維をポリエチレンテレフタレート(PET)繊維(単繊維繊度0.1dtex、繊維長5mm)に変えること以外は実施例1と同様にした。評価結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例2において、不織布に入っているナノファイバー繊維の量を3重量%に変更すること以外は実施例2と同様にした。評価結果を表1に示す。
Figure 0003198198
本考案によれば、遮熱性だけでなく軽量性にも優れた遮熱シートおよび繊維製品が提供され、その工業的価値は極めて大である。
1:基布
2:接着剤または熱融着シート
3:不織布
4:縫製糸
5:縫製糸
6:基布
7:不織布
8:基布
9:接着剤または熱融着シート
10:不織布
11:接着剤または熱融着シート
12:基布
13:縫製糸
14:縫製糸
15:基布
16:接着剤または熱融着シート
17:不織布
18:基布
19:縫製糸
20:縫製糸
21:基布
22:不織布
23:基布

Claims (11)

  1. 目付け290g/m以下の基布と、該基布に積層してなりかつ単繊維径(D)が10〜1000nmのナノファイバー繊維を含む目付け5〜90g/mの不織布とを含むことを特徴とする遮熱シート。
  2. 前記基布、前記不織布、および前記基布がこの順に積層してなる、請求項1に記載の遮熱シート。
  3. 前記基布の目付けが100〜200g/mの範囲内である、請求項1または請求項2に記載の遮熱シート。
  4. 前記基布が織物または編物である、請求項1〜3のいずれかに記載の遮熱シート。
  5. 前記ナノファイバー繊維において、単繊維径(D)に対する繊維長(L)の比L/Dが600〜3000の範囲内である、請求項1〜4のいずれかに記載の遮熱シート。
  6. 前記不織布において、前記ナノファイバー繊維が不織布重量対比5〜60重量%含まれる、請求項1〜5のいずれかに記載の遮熱シート。
  7. 前記不織布にさらにレーヨンが含まれる、請求項1〜6のいずれかに記載の遮熱シート。
  8. 前記不織布が湿式不織布である、請求項1〜7のいずれかに記載の遮熱シート。
  9. 前記不織布にウォーターニードルにより絡合処理が施されてなる、請求項8に記載の遮熱シート。
  10. 760〜2000nmの近赤外線の反射率が78%以上である、請求項1〜9のいずれかに記載の遮熱シート。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の遮熱シートを用いてなる、帽子、傘、衣服、自動車用遮蔽シート、建物の屋外または屋内用遮熱シート、および各種物体用遮蔽シートからなる群より選択される繊維製品。
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