JP4922964B2 - 乾式不織布 - Google Patents
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Description
このような超極細繊維を用いて乾式不織布を得ると、さらにフィルター性能やワイピング性能を高めることが可能であるが、超極細繊維を用いて乾式不織布を得る際、超極細繊維の分散性が低いため不織布の地合いが悪く、また、生産工程性も低いことが判明した。
本発明において、超極細ポリエステル繊維Aの単繊維径が500〜1000nmの範囲内であることが肝要である。該単繊維径が500nm未満では、超極細ポリエステル繊維A同士が擬似膠着しやすく均一分散しにくいため、フィルターやワイピング材などの本来の性能が得られず好ましくない。逆に、該該単繊維径が1000nmより大きいと、超極細ポリエステル繊維としての効果が低くなり、フィルターやワイピング材などしての性能向上が不十分となるため好ましくない。なお、なお、単繊維の断面形状が丸断面以外の異型断面である場合には外接円の直径を単繊維径とする。また、単繊維径は、透過型電子顕微鏡で繊維の横断面を撮影することにより測定が可能である。
浴比(%)=(繊維質量(gr)/アルカリ水溶液質量(gr)×100)
また、アルカリ減量加工において、アルカリ濃度は2%〜10%である事が好ましい。2%未満では、アルカリ不足となり、減量速度が極めて遅くなるおそれがある。一方、10%を越えるとアルカリ減量が進みすぎ、島部分まで減量されるおそれがある。
次いで、必要に応じて、前述のようにアルカリ減量加工を施すことにより、海島型複合繊維の海成分を溶解除去することにより、乾式不織布が得られる。
本発明の乾式不織布は、超極細ポリエステル繊維が含まれ、かつ地合いが均一であるので、フィルター用またはワイピング用として特に好適に使用することのできる。もちろん、他の用途(例えば、柔軟性が必要な衛生材料用、極細繊維の効果を発揮出来る断熱や吸音資材用など)に用いてもさしつかえない。
(1)溶融粘度
乾燥処理後のポリマーを紡糸時のルーダー溶融温度に設定したオリフィスにセットして5分間溶融保持したのち、数水準の荷重をかけて押し出し、そのときのせん断速度と溶融粘度をプロットする。そのプロットをなだらかにつないで、せん断速度−溶融粘度曲線を作成し、せん断速度が1000秒−1の時の溶融粘度を見た。
(2)溶解速度測定
海成分および島成分のポリマーを、各々、径0.3mm、長さ0.6mmのキャピラリーを24孔もつ口金から吐出し、1000〜2000m/分の紡糸速度で引き取って得た未延伸糸を残留伸度が30〜60%の範囲になるように延伸して、83dtex/24フィラメントのマルチフィラメントを作成した。これを所定の溶剤および溶解温度で浴比100として、溶解時間と溶解量から減量速度を算出した。
(3)島径との測定
透過型電子顕微鏡TEMで、倍率30000倍で繊維断面写真を撮影し、測定した。TEMの機械によっては測長機能を活用して測定し、また無いTEMについては、撮った写真を拡大コピーして、縮尺を考慮した上で定規にて測定すればよい。ただし、繊維径は、繊維断面におけるその外接円の直径を用いた(n数5の平均値)。
(4)繊維長
走査型電子顕微鏡(SEM)により、海成分溶解除去前の超極細短繊維を基盤上に寝かせた状態とし、20〜500倍で測定した。SEMの測長機能を活用して測定した(n数5の平均値)。
(5)引張り強度(裂断長)
JIS P8113(紙及び板紙の引張強さ試験方法)に基づいて実施した。
(6)孔径
西華産業(株)製PMIパームポロメーター(ASTM E1294−89準拠)を用いて、最大孔径、平均孔径の測定を実施した。
(7)伸度
JIS P8132(紙及び板紙の伸び試験方法)に基づいて実施した。
(8)目付
JIS P8124(紙のメートル坪量測定方法)に基づいて実施した。
(9)厚み
JIS P8118(紙及び板紙の厚さと密度の試験方法)に基づいて実施した。
(10)密度
JIS P8118(紙及び板紙の厚さと密度の試験方法)に基づいて実施した。
(11)地合い
出来上がったサンプルの表面の状態を目視にて4段階判定を実施した(地合いが良いものから順に、◎、○、△、×)
(12)通気度
JIS L1096 6.27.1 A法(フラジール法)により通気度を測定した。
島成分に285℃での溶融粘度が120Pa・secのポリエチレンテレフタレート、海成分に285℃での溶融粘度が135Pa・secである平均分子量4000のポリエチレングリコールを4重量%、5−ナトリウムスルホイソフタル酸を9mol%共重合した改質ポリエチレンテレフタレートを使用し、海:島=10:90の重量比率で島数400の口金を用いて紡糸し、紡糸速度1500m/minで引き取った。海成分と島成分とのアルカリ減量速度差は1000倍であった。これを3.9倍に延伸した後(複合繊維の単繊維径25μm(丸断面)、島成分の径750nm(丸断面))、押し込み捲縮機を用いて、繊維に捲縮を付与させた後に、ギロチンカッターで44mmにカットした超極細ポリエステル前駆体繊維とした。この前駆体繊維と常法により製造されたポリエチレンテレフタレート繊維(1.7dtex×44mm、丸断面)を10/90の比率で混綿した後にローラーカードを用いて均一なウェブを得た。このウェブを秤量(目付50g/m2に調整)し、50メッシュの金属メッシュの上に置き、ウォーターニードル試験機を用いて高圧水流による絡合処理を施した(ノズル0.1mmφ、2列千鳥、294N/cm2(30kg/cm2)、2m/min、表裏各2回)。これを、4%NaOH水溶液(75℃、30分)で処理(前駆体繊維が約10%減量)する事により、前駆体繊維(複合繊維)の海成分を除去した後に、エアースルー乾燥機にて乾燥を行った。得られた乾式不織布の物性を表1に示す。
実施例1で用いた前駆体繊維とポリエステル繊維の比率を30/70に変更した以外は同様の条件にて、不織布を製造した。得られた不織布の物性を表1に示す。
実施例1と同じ繊維、同じ比率であるのに対して、目付を変更(100g/m2)し、ウォーターニードル試験機の水圧条件を変更(588N/cm2(60kg/cm2)、表裏各2回)し不織布を製造した。得られた不織布の物性を表1に示す。
実施例1で用いた前駆体繊維とポリエステル繊維の比率を60/40に変更した以外は同様の条件で不織布を製造した。得られた不織布の物性を表1に示す。
実施例1と同じ繊維、同じ比率であるのに対して、目付を変更(300g/m2)し、ウォーターニードル試験機の水圧条件を変更(980N/cm2(100kg/cm2)、表裏各2回)し不織布を製造した。得られた不織布の物性を表1に示す。
実施例1で用いたポリエステル繊維のみを用いる以外は同様の条件で不織布を製造した。得られた不織布の物性を表1に示す。かかる不織布には超極細繊維が含まれていないので、フィルター性能やワイピング性能に劣るものであった。
実施例1で使用した超極細繊維の繊維長を変更し、(アスペクト比(L/D)=150000)とした以外は実施例1と同様にした。アスペクト比が大きくなった為、分散性が悪化し、斑が多い(地合い×)サンプルとなった。
実施例1で使用した超極細繊維の繊維長を変更し、(アスペクト比(L/D)=20000)とした以外は実施例1と同様にした。アスペクト比が小さくなった為、分散性が更に向上した反面、湿紙強度が弱く、工程性の悪化及び乾燥時の収縮率がアップし、斑が多い(地合い×)サンプルとなった。
Claims (7)
- 目付けが20〜200g/m2の乾式不織布であって、ポリエステルからなり単繊維径(D)が500〜1000nmかつ該単繊維径(D)nmに対する繊維長(L)nmの比(L/D)が30000〜140000の範囲内である超極細ポリエステル繊維Aと、単繊維繊度0.5〜3.3dtex、かつ繊維長30〜70mmのポリエステル繊維Bとが、前者/後者の重量比3/97〜50/50で含まれることを特徴とする乾式不織布。
- 前記超極細ポリエステル繊維Aが、ポリエステルからなりかつその島径(D)が500〜1000nmである島成分と、前記のポリエステルよりもアルカリ水溶液易溶解性ポリマーからなる海成分とを有する複合繊維をカットした後にアルカリ減量加工を施すことにより、前記海成分を溶解除去したものである、請求項1に記載の乾式不織布。
- 前記の複合繊維において、海成分が、5-ナトリウムスルホン酸を6〜12モル%および分子量4000〜12000のポリエチレングリコールを3〜10重量%共重合したポリエチレンテレフタレートである、請求項2に記載の乾式不織布。
- 前記の複合繊維において島数が100以上である、請求項2または請求項3に記載の乾式不織布。
- 前記の複合繊維において、海成分と島成分との複合重量比率(海:島)が20:80〜80:20の範囲内である、請求項2〜4のいずれかにに記載の乾式不織布。
- 通気度が200cc/cm2/sec以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の乾式不織布。
- 乾式不織布がフィルター用またはワイピング用である、請求項1〜6のいずれかに記載の乾式不織布。
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