JP5908709B2 - フィルター用不織布およびその製造方法およびフィルター - Google Patents

フィルター用不織布およびその製造方法およびフィルター Download PDF

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本発明は、優れた捕集効率と低圧力損失との両立が可能なフィルター用不織布および該不織布を用いてなるフィルターに関する。
フィルター分野において、優れた捕集効率と低圧力損失との通常相反する性質を具備することが求められている。特にエアーフィルターにおいては、微小なダストでも効率よく捕集できるほどの優れた捕集効率、およびフィルター内部を気体などの流体が通過する際の抵抗が少ない低圧力損失が要求されている。
このため、例えば、繊維シートをエレクトレット化し、静電気的作用を利用することにより優れた捕集効率と低圧力損失とを両立させる試みがなされている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
しかしながら、かかる方法では、繊維シートをエレクトレット化するため複雑な工程を必要とするものであった。
特開昭61−289177号公報 特開昭63−280408号公報 特開2010−82596号公報
本発明は上記の背景に鑑みなされたものであり、その目的は、優れた捕集効率と低圧力損失との両立が可能なフィルター用不織布および該不織布を用いてなるフィルターを提供することにある。
本発明者らは上記の課題を達成するため鋭意検討した結果、極めて単繊維径が小さい極細繊維と、該極細繊維を形成するポリマーよりも低い溶解度パラメータSP値を有するポリマーを含む繊維とを用いて不織布を構成すると、両繊維の摩擦により静電気が発生し静電気捕集性能により捕集効率が向上し、その結果、優れた捕集効率と低圧力損失との両立が可能なフィルター用不織布が得られることを見出し、さらに鋭意検討を重ねることにより本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば「フィルター用不織布であって、ポリマーからなり単繊維径(D)が100〜1000nmの範囲内であり、かつ、単繊維径(D)nmに対する繊維長(L)nmの比(L/D)が100〜200000の範囲内である極細繊維Aと、前記ポリマーに比べて溶解度パラメータSP値が3以上小さいポリマーを含む繊維Bとを含み、かつ摩擦帯電していることを特徴とするフィルター用不織布。」が提供される。
その際、極細繊維Aがポリエステル繊維であることが好ましい。また、極細繊維Aが、ポリエステルからなりかつ島径(D)が100〜1000nmである島成分と前記ポリエステルよりもアルカリ水溶液易溶解性ポリマーからなる海成分とを有する複合繊維にアルカリ減量加工を施すことにより、前記海成分を溶解除去したポリエステル繊維であることが好ましい。また、繊維Bに含まれる前記ポリマーが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、およびポリメチルメタクリレートからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。また、繊維Bが複合繊維であり、かつ繊維Bに含まれる前記ポリマーが複合繊維の表面に露出していることが好ましい。
本発明のフィルター用不織布において、繊維Bに含まれる前記ポリマーが熱融着することにより不織布が3次元網目構造を有することが好ましい。また、不織布に揉み加工が施されていることが好ましい。その際、かかる揉み加工が不織布を摩擦帯電させる揉み加工であることが好ましい。
また、本発明によれば、前記のフィルター用不織布を用いてなるフィルターが提供される。その際、フィルターがエアーフィルターであることが好ましい。また、フィルターが多層構造フィルターであって、前記のフィルター用不織布が、ダスト流入側の最表層に配されていることが好ましい。
本発明によれば、優れた捕集効率と低圧力損失との両立が可能なフィルター用不織布および該不織布を用いてなるフィルターが得られる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
まず、本発明のフィルター用不織布(単に「不織布」ということもある。)に含まれる極細繊維Aにおいて、単繊維径(D)が100〜1000nm(より好ましくは300〜1000nm、さらに好ましくは550〜800nm)の範囲内であることが肝要である。該単繊維径が100nm未満の場合、極細繊維同士が擬似膠着しやすく均一分散しにくいため、捕集効率が低下するおそれがある。逆に、単繊維径が1000nmより大きい場合も、極細繊維としての効果が低くなり、捕集効率が低下するおそれがある。極細繊維の単繊維断面形状が丸断面以外の異型断面である場合には外接円の直径を単繊維径とする。なお、単繊維径は、透過型電子顕微鏡で繊維の横断面を撮影することにより測定が可能である。
また、前記極細繊維Aにおいて、単繊維径(D)nmに対する繊維長(L)nmの比(L/D)が100〜200000(好ましくは800〜10000)の範囲内であることが肝要である。該比(L/D)が100未満では、繊維長が短くなり過ぎるため、他の繊維との絡みが小さくなり、不織布の製造工程において繊維が脱落するおそれがある。逆に、該比(L/D)が200000を越える場合、繊維長が長すぎるため、極細繊維自身の絡みが大きくなり、均一分散が阻害され、捕集効率が低下するおそれがある。
前記極細繊維Aを形成するポリマーの種類としては、ポリエチレンテレフタレートやポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ステレオコンプレックスポリ乳酸、ポリ乳酸、第3成分を共重合させたポリエステルなどのポリエステル、ナイロン、アクリル、アラミドなどが例示されるが、耐薬品性や製造工程性の点でポリエステル(この場合、極細繊維Aがポリエステル繊維となる。)が好ましい。
かかるポリエステルとしては、マテリアルリサイクルまたはケミカルリサイクルされたポリエステルや、特開2009−091694号公報に記載された、バイオマスすなわち生物由来の物質を原材料として得られたモノマー成分を使用してなるポリエステルであってもよい。さらには、特開2004−270097号公報や特開2004−211268号公報に記載されているような、特定のリン化合物およびチタン化合物を含む触媒を用いて得られたポリエステルでもよい。
前記極細繊維Aには、必要に応じて、艶消し剤、有機充填剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、防錆剤、架橋剤、発泡剤、蛍光剤、表面平滑剤、表面光沢改良剤、フッ素樹脂等の離型改良剤、等の各種添加剤を含んでいてもさしつかえない。
また、前記極細繊維Aは単一ポリマー成分で形成されることが好ましいが、複数のポリマー成分からなるブレンド繊維や芯鞘型(またはサイドバイサイド型)複合繊維であってもよい。
本発明のフィルター用不織布において、前記極細繊維の含有量としては不織布重量対比50〜90重量%(より好ましくは55〜80重量%)の範囲内であることが好ましい。極細繊維の含有量が10重量%よりも小さい場合は、捕集効率が低下するおそれがある。逆に極細繊維の含有量が90重量%よりも大きい場合は、高捕集効率ではあるものの、圧損が高くなりすぎることによりフィルター寿命が短くなったり、省エネフィルターへの対応が困難となるおそれがある。
前記のような極細繊維の製造方法としては、海成分に島成分をブレンドしたブレンド型複合繊維の海成分を溶解除去したものでもよいが、国際公開第2005/095686号パンフレットに開示された方法が、単繊維径が均一となり捕集効率が向上し好ましい。
すなわち、ポリエステルポリマーからなりかつその島径(D)が100〜1000nmである島成分と、前記のポリエステルポリマーよりもアルカリ水溶液易溶解性ポリマー(以下、「易溶解性ポリマー」ということもある。)からなる海成分とを有する海島型複合繊維を、海島型複合繊維用口金を用いて紡糸、延伸した後にアルカリ減量加工を施し、前記海成分を溶解除去したものであることが好ましい。なお、前記島径は、透過型電子顕微鏡で繊維の横断面を撮影することにより測定が可能である。なお、島の形状が丸断面以外の異型断面である場合には、前記の島径(D)はその外接円の直径を用いる。
ここで、海成分を形成するアルカリ水溶液易溶解性ポリマーの、島成分を形成するポリエステルポリマーに対する溶解速度比が200以上(好ましくは300〜3000)であると、島分離性が良好となり好ましい。溶解速度が200倍未満の場合には、海成分溶解を目的としたアルカリ減量工程において、島成分の溶解も進むため、実質的に島成分を効率的に抽出することが困難となるおそれがある。
海成分を形成する易溶解性ポリマーとしては、特に繊維形成性の良いポリエステル系ポリマー、脂肪族ポリアミド系ポリマーを好ましい例としてあげることができる。さらに具体例をあげれば、アルカリ水溶液易溶解性ポリマーとして、ポリ乳酸、超高分子量ポリアルキレンオキサイド縮合系ポリマー、ポリアルキレングリコール系化合物と5−ナトリウムスルホイソフタル酸の共重合ポリエステルが最適である。ここでアルカリ水溶液とは、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム水溶液などをいう。これ以外にも、ナイロン6やナイロン66等の脂肪族ポリアミドに対するギ酸、ポリビニルアルコールやエチレン変性ビニルアルコール系ポリマーに対する熱水を例示することができる。
ポリエステル系ポリマーの中でも、5−ナトリウムスルホイソフタル酸6〜12モル%と分子量4000〜12000のポリエチレングリコールを3〜10重量%共重合させた固有粘度が0.4〜0.6のポリエチレンテレフタレート系共重合ポリエステルが特に好ましい。ここで、5−ナトリウムスルホイソフタル酸は親水性と溶融粘度向上に寄与し、ポリエチレングリコール(PEG)は親水性を向上させる。また、PEGは分子量が大きいほど、その高次構造に起因すると考えられる親水性増加作用があるが、反応性が悪くなってブレンド系になるため、耐熱性や紡糸安定性の面で問題が生じるおそれがある。また、共重合量が10重量%以上になると、溶融粘度が低下するおそれがある。
一方、島成分を形成するポリエステルポリマーとしては、前述のものが好ましい。なお、海成分を形成するポリマーおよび島成分を形成するポリマーについて、製糸性および抽出後の極細繊維の物性に影響を及ぼさない範囲で、必要に応じて、有機充填剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、防錆剤、架橋剤、発泡剤、蛍光剤、表面平滑剤、表面光沢改良剤、フッ素樹脂等の離型改良剤、等の各種添加剤を含んでいてもさしつかえない。
前記海島型複合繊維において、溶融紡糸時における海成分の溶融粘度が島成分ポリマーの溶融粘度よりも大きいことが好ましい。かかる関係にある場合には、海成分の複合重量比率が40%未満と少なくなっても、島同士が接合しにくくなり好ましい。
好ましい溶融粘度比(海/島)は、1.1〜2.0、特に1.3〜1.5の範囲である。この比が1.1倍未満の場合には溶融紡糸時に島成分が接合しやすくなり、一方2.0倍を越える場合には、粘度差が大きすぎるために紡糸調子が低下しやすい。
次に島数は、100以上(より好ましくは300〜1000)であることが好ましい。また、その海島複合重量比率(海:島)は、5:95〜95:5の範囲が好ましい。かかる範囲であれば、島間の海成分の厚みを薄くすることができ、海成分の溶解除去が容易となり、島成分の極細繊維への転換が容易になるので好ましい。ここで海成分の割合が95%を越える場合には海成分の厚みが厚くなりすぎ、一方5%未満の場合には海成分の量が少なくなりすぎて、島間に接合が発生しやすくなる。
溶融紡糸に用いられる海島型複合繊維用口金としては、島成分を形成するための中空ピン群や微細孔群を有するものなど任意のものを用いることができる。例えば、中空ピンや微細孔より押し出された島成分とその間を埋める形で流路を設計されている海成分流とを合流し、これを圧縮することにより海島断面が形成されるといった紡糸口金でもよい。吐出された海島型複合繊維は冷却風により固化され、所定の引き取り速度に設定した回転ローラーあるいはエジェクターにより引き取られ、未延伸糸を得る。この引き取り速度は特に限定されないが、200〜5000m/分であることが望ましい。200m/分以下では生産性が悪くなるおそれがある。また、5000m/分以上では紡糸安定性が悪くなるおそれがある。
得られた未延伸糸は、海成分を抽出後に得られる極細繊維の用途・目的に応じて、そのままカット工程あるいはその後の抽出工程に供してもよいし、目的とする強度・伸度・熱収縮特性に合わせるために、延伸工程や熱処理工程を経由して、カット工程あるいはその後の抽出工程に供することができる。延伸工程は紡糸と延伸を別ステップで行う別延方式でもよいし、一工程内で紡糸後直ちに延伸を行う直延方式を用いてもかまわない。
次に、かかる複合繊維を、必要に応じて、島径(D)に対する繊維長(L)の比(L/D)が前記の範囲内となるようにカットした後、アルカリ減量加工を施すことにより前記海成分を溶解除去するか、または、アルカリ減量加工を施すことにより前記海成分を溶解除去した後カットする。かかるカットは、未延伸糸または延伸糸をそのまま、または数十本〜数百万本単位に束ねたトウにしてギロチンカッターやロータリーカッターなどでカットすることが好ましい。
前記のアルカリ減量加工は、不織布の製造後であってもよいし、不織布の製造前であってもよい。かかるアルカリ減量加工において、繊維とアルカリ液の比率(浴比)は0.1〜5%である事が好ましく、さらには0.4〜3%であることが好ましい。0.1%未満では繊維とアルカリ液の接触は多いものの、排水等の工程性が困難となるおそれがある。一方、5%以上では繊維量が多過ぎるため、アルカリ減量加工時に繊維同士の絡み合いが発生するおそれがある。なお、浴比は下記式にて定義する。
浴比(%)=(繊維質量(gr)/アルカリ水溶液質量(gr)×100)
また、アルカリ減量加工の処理時間は5〜60分であることが好ましく、さらには10〜30分であることが好ましい。5分未満ではアルカリ減量が不十分となるおそれがある。一方、60分以上では島成分までも減量されるおそれがある。
また、アルカリ減量加工において、アルカリ濃度は2%〜10%であることが好ましい。2%未満では、アルカリ不足となり、減量速度が極めて遅くなるおそれがある。一方、10%を越えるとアルカリ減量が進みすぎ、島部分まで減量されるおそれがある。
次に、本発明の不織布において、繊維Bは、前記極細繊維Aを形成するポリマーに比べて溶解度パラメータSP値が3以上小さいポリマーを含むことが好ましい。本発明の不織布にかかる繊維Bが含まれない場合は、静電気捕集性能による優れた捕集効率が得られず好ましくない。
なお、SP値は当業者によく知られた溶解度パラメータ(Solbility Parameter)であり、例えば、「PROPERTIES OF POLYMERS」(D.W.VAN KREVELEN 著 Elsevier社発行)に記載されている、EcohおよびVから下記式により算出することができる。
SP値=(Ecoh/V)1/2
ただし、Ecohは凝集エネルギー(J/mol)であり、Vはモル容積(cm/mol)である。
繊維Bに含まれる該ポリマーの具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレートなどが、溶解度パラメータSP値がポリエステルより低く好ましい。
繊維Bは前記ポリマー単独成分からなる繊維であってもよいが、繊維Bが複合繊維であり、かつ繊維Bに含まれる前記ポリマーが複合繊維の表面に露出していると、不織布の布帛強度を損なわず好ましい。繊維Bが前記ポリマー単独成分からなる繊維である場合、後記のように前記ポリマーを熱融着させると不織布の布帛強度が低下するおそれがある。
その際、複合繊維の形態としては、芯鞘型複合繊維、偏芯芯鞘型複合繊維、サイドバイサイド型複合繊維などが例示される。
また、繊維Bが複合繊維の場合、複合繊維の芯部または相手方に配されるポリマーとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステルが好ましく例示される。
前記繊維Bにおいて、単繊維繊度としては0.1〜6.0dtex(より好ましくは0.5〜2.0dtex)の範囲内であることが好ましい。該単繊維繊度が0.1dtexよりも小さいと不織布の布帛強度が低下したり、カード工程性が低下するおそれがある。逆に、該単繊維繊度が6.0dtexよりも大きいと、不織布表面に形成される繊維間空隙孔が大きくなり、不織布をフィルターとして用いた際に捕集効率が低下するおそれがある。
また、該繊維Bの繊維長としては、10〜100mm(より好ましくは20〜60mm)の範囲内であることが好ましい。該繊維長が10mm未満では、繊維長が短くなり過ぎるため、他の繊維との絡みが小さくなり、不織布の製造工程において繊維が脱落するおそれがある。逆に、該繊維長が100mmを越える場合、繊維長が長すぎるため、極細繊維自身の絡みが大きくなり、均一分散が阻害され、捕集効率が低下するおそれがある。
本発明のフィルター用不織布において、前記極細繊維Aと繊維Bとの重量比率としては、(極細繊維A/繊維B)50/50〜90/10の範囲内であることが好ましい。極細繊維Aの重量比率が該範囲よりも小さいと不織布をフィルターとして用いた際に捕集効率が低下するおそれがある。逆に、極細繊維Aの重量比率が該範囲よりも大きいと圧力損失が高くなってしまうおそれがある。
本発明のフィルター用不織布は前記極細繊維Aと繊維Bだけで構成されることが最も好ましいが、紡糸速度が500〜1200m/分で紡糸された未延伸繊維(複屈折率(Δn)が0.05以下)や、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステルが芯部に配され、一方、鞘部に非晶性共重合ポリエステルやポリエーテルエステル(エラストマー)が配された芯鞘型複合繊維や、さらには、木材パルプ、リンターパルプ等の天然パルプ、アラミドやポリエチレンを主成分とする合成パルプ、ポリエステル、ナイロン、アクリル、ビニロン、レーヨン等の成分を含む合成繊維または半合成繊維を混合、添加してもよい。
本発明のフィルター用不織布を製造する方法としては、カード法、エアーレイド法、湿式法などが例示される。また、繊維を絡合させる、ニードルパンチ法やウオータージェットニードル法を併用してもよい。また、熱処理により、繊維Bに含まれる前記ポリマー(極細繊維Aを形成するポリマーより高い疎水性を有するポリマー)を熱融着させることにより不織布を3次元網目構造とすると、優れた捕集効率が得られ好ましい。その際、熱処理条件としては、温度100〜200℃、時間60〜200秒、乾熱であることが好ましい。
また、熱処理の後、金属/金属ローラー、金属/ペーパーローラー、金属/弾性ローラーなどのカレンダー/エンボスを施してもよい。
また、かかる不織布に揉み加工を施すことは好ましいことである。かかる揉み加工により凝集した極細繊維を分散することが可能となるだけでなく、不織布が摩擦帯電することにより静電気捕集性能による捕集効率がさらに向上し好ましい。その際、不織布を摩擦帯電させる上で、例えば、THEN社製AF40などのエアーフロー染色機(気流染色機ともいう。)を揉み加工機として用い、乾燥状態で揉み加工を行うことは好ましいことである。手揉みでもよい。
かくして得られたフィルター用不織布において、不織布の密度が0.05〜0.2g/cmの範囲内であることが好ましい。該密度が0.2g/cmよりも大きいと、不織布をフィルターとして用いた際に、圧力損失が高くなり寿命が低下するおそれがある。逆に該密度が0.05g/cmよりも小さいと捕集効率が低下するおそれがある。
また、不織布の目付けが50〜500g/m(より好ましくは80〜400g/m)の範囲内であることが好ましい。該目付けが50/mより小さいと、厚みを保つことが困難となったり、不織布をフィルターとして用いた際に捕集効率が低下するおそれがある。逆に、該目付けが500g/mよりも大きいと、不織布をフィルターとして用いた際に、圧損が高くなり寿命が低下するおそれがある。
また、不織布の厚みとしては1mm以上(より好ましくは1〜4mm)であることが好ましい。該厚みが1mmよりも小さいと、不織布をフィルターとして用いた際に捕集効率が低下するおそれがある。逆に、該厚みが4mmよりも大きいと、不織布をフィルターとして用いた際に、圧損が高くなり寿命が低下するおそれがある。
本発明のフィルター用不織布において、前記極細繊維Aと繊維Bとの摩擦により静電気が発生し、極細繊維Aによる捕捉性能と繊維Bによる静電気捕集性能との相乗効果により捕集効率が向上し、その結果、優れた捕集効率と低圧力損失との両立が可能となる。
ここで、不織布の圧力損失としては下記の方法で測定して58Pa以下(より好ましくは1〜16Pa)であることが好ましい。
(圧力損失[Pa]の測定方法)
測定対象物である不織布を有効間口50mmφのホルダーにセットし、流量6.0m/分で空気を通過させて、測定対象物上下流の差圧を圧力センサE8Y−A5Y(オムロン社製)にて測定する。
また、不織布の初期捕集効率としては下記の方法で測定して80%以上(より好ましくは90%以上)であることが好ましい。
(初期捕集効率(η)[%])
前記圧力損失と同様の装置、流量において、ダストを大気塵として、下流の流径0.3〜0.5μmの粒子数CをパーティクルカウンターKC−03B(リオン社製)で測定し、次式により算出する。なお、測定対象物測定前後に、ホルダーに何も置かない状態で、粒子数をカウントし、測定対象物測定前をCb、測定対象物測定後をCaとする。
初期捕集効率(η)={(Cb+Ca)/2−C}/{(Cb+Ca)/2}×100
また、不織布の静電気による捕集効率としては下記の方法で測定して40%以上(より好ましくは45%以上)であることが好ましい。
(静電気による捕集効率(ηe)[%])
測定対象物を、イソプロピルアルコールで充填されたデシケーター内で、一晩静置し、除電を行う。その後、サンプルをデシケーターから取り出し、十分に乾燥させる。この除電した測定対象物を用いて、前記初期捕集効率と同様の装置、条件で粒子数C´を測定し、次式により静電気による捕集効率を算出する。なお、測定対象物測定前後に、ホルダーに何も置かない状態で、粒子数をカウントし、測定対象物測定前をCb´、測定対象物測定後をCa´とする。
静電気による捕集効率(ηe)={1−(Cb´+Ca´)/2−C´}/{(Cb´+Ca´)/2}×100
なお、本発明の不織布は、極細繊維Aと繊維Bとを含む単層不織布であってもよいし、極細繊維Aと繊維Bと含む層を積層した多層不織布、さらには、他の繊維からなる層を積層した多層不織布であってもよい。
次に、本発明のフィルターは前記の不織布を用いてなるフィルターである。かかるフィルターは前記の不織布を用いているので、優れた捕集効率と低圧力損失との両立が可能となる。
かかるフィルターはエアーフィルターまたはバグフィルターが好ましい。かかるフィルターは、捕集効率に優れるだけでなく、圧損が低いため高寿命であるので、自動車その他車両などの内燃機関用エアーフィルター、キャビン、マスク、空気清浄機、ビル空調用、半導体、食品、医薬品工場などに用いられるエアーフィルターなどとして好適である。
前記の不織布を用いてフィルターを得る際、他の不織布や織物などを積層してもよい。また、不織布が多層不織布である場合、前記の極細繊維Aと繊維Bとを含む層がダスト流入側の最表層に配されていることが好ましい。
次に本発明の実施例及び比較例を詳述するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例中の各測定項目は下記の方法で測定した。
(1)溶融粘度
乾燥処理後のポリマーを紡糸時のルーダー溶融温度に設定したオリフィスにセットして5分間溶融保持したのち、数水準の荷重をかけて押し出し、そのときのせん断速度と溶融粘度をプロットする。そのプロットをなだらかにつないで、せん断速度−溶融粘度曲線を作成し、せん断速度が1000秒−1の時の溶融粘度を見た。
(2)溶解速度測定
海成分および島成分のポリマーを、各々、径0.3mm、長さ0.6mmのキャピラリーを24孔もつ口金から吐出し、1000〜2000m/分の紡糸速度で引き取って得た未延伸糸を残留伸度が30〜60%の範囲になるように延伸して、83dtex/24フィラメントのマルチフィラメントを作成した。これを所定の溶剤および溶解温度で浴比100として、溶解時間と溶解量から減量速度を算出した。
(3)島径の測定
透過型電子顕微鏡TEMで、倍率30000倍で繊維断面写真を撮影し、測定した。ただし、繊維径は、繊維断面におけるその外接円の直径を用いた(n数5の平均値)。
(4)繊維長
走査型電子顕微鏡(SEM)により、海成分溶解除去前の極細短繊維を基盤上に寝かせた状態とし、20〜500倍で測定した。SEMの測長機能を活用して測定した(n数5の平均値)。
(5)目付
JIS P8124(紙のメートル坪量測定方法)に基づいて測定した。
(6)厚み
JIS P8118(紙及び板紙の厚さと密度の試験方法)に基づいて測定した。
(7)密度
JIS P8118(紙及び板紙の厚さと密度の試験方法)に基づいて測定した。
(8)圧力損失(Pa)
測定対象物である不織布を有効間口50mmφのホルダーにセットし、流量6.0m/分で空気を通過させて、測定対象物上下流の差圧を圧力センサE8Y−A5Y(オムロン社製)にて測定した。
(9)初期捕集効率(η)[%]
前記圧力損失と同様の装置、流量において、ダストを大気塵として、下流の流径0.3〜0.5μmの粒子数CをパーティクルカウンターKC−03B(リオン社製)で測定し、次式により算出した。なお、測定対象物測定前後に、ホルダーに何も置かない状態で、粒子数をカウントし、測定対象物測定前をCb、測定対象物測定後をCaとした。
初期捕集効率(η)={(Cb+Ca)/2−C}/{(Cb+Ca)/2}×100
(10)静電気による捕集効率(ηe)[%]
測定対象物を、イソプロピルアルコールで充填されたデシケーター内で、一晩静置し、除電を行った。その後、サンプルをデシケーターから取り出し、十分に乾燥させた。この除電した測定対象物を用いて、前記初期捕集効率と同様の装置、条件で粒子数C´を測定し、次式により静電気による捕集効率を算出した。なお、測定対象物測定前後に、ホルダーに何も置かない状態で、粒子数をカウントし、測定対象物測定前をCb´、測定対象物測定後をCa´とした。
静電気による捕集効率(ηe)={1−(Cb´+Ca´)/2−C´}/{(Cb´+Ca´)/2}×100
[実施例1]
島成分に285℃での溶融粘度が120Pa・secのポリエチレンテレフタレート、海成分に285℃での溶融粘度が135Pa・secである平均分子量4000のポリエチレングリコールを4重量%、5−ナトリウムスルホイソフタル酸を9mol%共重合した改質ポリエチレンテレフタレートを使用し、海:島=10:90の重量比率で島数400の口金を用いて紡糸し、紡糸速度1500m/minで引き取った。海成分と島成分とのアルカリ減量速度比は1000倍であった。これを3.9倍に延伸することにより、極細繊維A用として海島型複合繊維(単繊維繊度5.6dtex、単繊維に含まれる島成分の島径700nm)を得た後、繊維長44mmにカットした。
一方、繊維Bとして、鞘成分にポリエチレン(前記海島型複合繊維に含まれるポリエチレンテレフタレートよりも溶解度パラメータSP値が3以上低いポリマー)、芯成分にポリエチレンテレフタレートを配した芯鞘型複合繊維(帝人ファイバー社製TJ04CE 単繊維繊度1.2dtex、繊維長44mm)を用意した。
次いで、前記海島型複合繊維(極細繊維A用)と繊維Bとを用いて、極細繊維A(前記海島型複合繊維をアルカリ減量した後の極細繊維A)と繊維Bとの重量比(極細繊維A:繊維B)60:40となるように混綿し、カード、ニードルパンチ、熱処理(温度150℃、時間90秒、乾熱)、アルカリ減量加工(4%NaOH水溶液で75℃にて前記海島型複合繊維を25%減量)により前記海島型複合繊維を極細繊維A(ポリエチレンテレフタレート繊維、単繊維径(D)が700nm)とし、さらに公知のエアーフロー染色機を用いて揉み加工を行い不織布を摩擦帯電させることにより、目付け120g/mのフィルター用不織布を得た。次いで、該不織布からなるエアーフィルターを得た。得られたエアーフィルターは捕集効率に優れるだけでなく、圧損が低く高寿命なものであった。評価結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1において、前記海島型複合繊維(極細繊維A用)と繊維Bとを、極細繊維A(前記海島型複合繊維をアルカリ減量した後の極細繊維A)と繊維Bとの重量比(極細繊維A:繊維B)70:30となるように混綿すること以外は実施例1と同様にした。得られたエアーフィルターは捕集効率に優れるだけでなく、圧損が低く高寿命なものであった。評価結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例2において、繊維Bとして、鞘成分にポリエチレン(前記海島型複合繊維に含まれるポリエチレンテレフタレートよりも溶解度パラメータSP値が3以上低いポリマー)、芯成分にポリプロピレンを配した芯鞘型複合繊維(単繊維繊度1.7dtex、繊維長44mm)を用いること以外は実施例2と同様にした。得られたエアーフィルターは捕集効率に優れるだけでなく、圧損が低く高寿命なものであった。評価結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例2において、繊維Bとして、鞘成分に共重合ポリプロピレン(前記海島型複合繊維に含まれるポリエチレンテレフタレートよりも溶解度パラメータSP値が3以上低いポリマー)、芯成分にポリプロピレンを配した芯鞘型複合繊維(単繊維繊度1.7dtex、繊維長44mm)を用いること以外は実施例2と同様にした。得られたエアーフィルターは捕集効率に優れるだけでなく、圧損が低く高寿命なものであった。評価結果を表1に示す。
[実施例5]
島成分に285℃での溶融粘度が120Pa・secのポリエチレンテレフタレート、海成分に285℃での溶融粘度が135Pa・secである平均分子量4000のポリエチレングリコールを4重量%、5−ナトリウムスルホイソフタル酸を9mol%共重合した改質ポリエチレンテレフタレートを使用し、海:島=10:90の重量比率で島数400の口金を用いて紡糸し、紡糸速度1500m/minで引き取った。海成分と島成分とのアルカリ減量速度比は1000倍であった。これを3.9倍に延伸することにより、極細繊維A用として海島型複合繊維(単繊維繊度5.6dtex、単繊維に含まれる島成分の島径700nm)を得た後、繊維長44mmにカットした。
一方、繊維Bとして、ポリプロピレン(前記海島型複合繊維に含まれるポリエチレンテレフタレートよりも溶解度パラメータSP値が3以上低いポリマー)からなるポリプロピレン繊維(単繊維繊度1.2dtex、繊維長44mm)を用意した。
次いで、前記海島型複合繊維(極細繊維A用)と繊維Bとを用いて、極細繊維A(前記海島型複合繊維をアルカリ減量した後の極細繊維A)と繊維Bとの重量比(極細繊維A:繊維B)70:30となるように混綿し、カードで目付け100g/mのウエブ1を得た。次いで、ポリエチレンテレフタレート繊維(単繊維繊度2.2dtex、繊維長51mm)のみを用いてカードにて目付け300g/mのウエブ2を得た。
次いで、前記ウエブ2を前記ウエブ1の上に積層し、ニードルパンチ、熱処理(温度150℃、時間90秒、乾熱)、アルカリ減量加工(4%NaOH水溶液で75℃にて前記海島型複合繊維を25%減量)により前記海島型複合繊維を極細繊維A(ポリエチレンテレフタレート繊維、単繊維径(D)が700nm)とし、さらに公知のエアーフロー染色機を用いて揉み加工を行い不織布を摩擦帯電させることにより、目付け370g/mのフィルター用不織布を得た。次いで、該不織布からなるエアーフィルターを得た。得られたエアーフィルターは捕集効率に優れるだけでなく、圧損が低く高寿命なものであった。評価結果を表1に示す。
[実施例6]
島成分に285℃での溶融粘度が120Pa・secのポリエチレンテレフタレート、海成分に285℃での溶融粘度が135Pa・secである平均分子量4000のポリエチレングリコールを4重量%、5−ナトリウムスルホイソフタル酸を9mol%共重合した改質ポリエチレンテレフタレートを使用し、海:島=10:90の重量比率で島数400の口金を用いて紡糸し、紡糸速度1500m/minで引き取った。海成分と島成分とのアルカリ減量速度比は1000倍であった。これを3.9倍に延伸することにより、極細繊維A用として海島型複合繊維(単繊維繊度5.6dtex、単繊維に含まれる島成分の島径700nm)を得た後、繊維長44mmにカットした。
一方、繊維Bとして、ポリプロピレン(前記海島型複合繊維に含まれるポリエチレンテレフタレートよりも溶解度パラメータSP値が3以上低いポリマー)からなるポリプロピレン繊維(単繊維繊度1.2dtex、繊維長44mm)を用意した。
次いで、前記海島型複合繊維(極細繊維A用)と繊維Bとを用いて、極細繊維A(前記海島型複合繊維をアルカリ減量した後の極細繊維A)と繊維Bとの重量比(極細繊維A:繊維B)70:30となるように混綿し、カードで目付け100g/mのウエブ1を得た。次いで、ポリエチレンテレフタレート繊維(単繊維繊度2.2dtex、繊維長51mm)のみを用いてカードにて目付け100g/mのウエブ2を得た。次いで、ポリエチレンテレフタレート繊維(単繊維繊度2.2dtex、繊維長51mm)のみを用いてカードにて目付け200g/mのウエブ3を得た。
次いで、前記ウエブ1の上に前記ウエブ2を積層し、さらにその上に前記ウエブ3を積層し、ニードルパンチ、熱処理(温度150℃、時間90秒、乾熱)、アルカリ減量加工(4%NaOH水溶液で75℃にて前記海島型複合繊維を25%減量)により前記海島型複合繊維を極細繊維A(ポリエチレンテレフタレート繊維、単繊維径(D)が700nm)とし、さらに公知のエアーフロー染色機を用いて揉み加工を行い不織布を摩擦帯電させることにより、目付け370g/mのフィルター用不織布を得た。次いで、該不織布からなるエアーフィルターを得た。得られたエアーフィルターは捕集効率に優れるだけでなく、圧損が低く高寿命なものであった。評価結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1において、繊維Bを用いることなく海島型複合繊維だけを用いて、これ以外は実施例1と同様にした。得られたエアーフィルターは捕集効率に優れるものではなかった。
[比較例2]
実施例2において、繊維Bとして、鞘成分に非結晶ポリエステル(前記海島型複合繊維に含まれるポリエチレンテレフタレートと同じ溶解度パラメータSP値を有するポリマー)、芯成分にポリエチレンテレフタレートを配した芯鞘型複合繊維を用いること以外は実施例2と同様にした。得られたエアーフィルターは、静電気による捕集効率に優れるものではなかった。評価結果を表1に示す。
[比較例3]
実施例1と海島型複合繊維(極細繊維A用)だけを用いて混綿し、カードで目付け100g/mのウエブ1を得た。次いで、ポリエチレンテレフタレート繊維(単繊維繊度2.2dtex、繊維長51mm)のみを用いてカードにて目付け100g/mのウエブ2を得た。次いで、ポリエチレンテレフタレート繊維(単繊維繊度2.2dtex、繊維長51mm)のみを用いてカードにて目付け200g/mのウエブ3を得た。
次いで、前記ウエブ1の上に前記ウエブ2を積層し、さらにその上に前記ウエブ3を積層し、ニードルパンチ、熱処理(温度150℃、時間90秒、乾熱)、アルカリ減量加工(4%NaOH水溶液で75℃にて前記海島型複合繊維を25%減量)により前記海島型複合繊維を極細繊維A(ポリエチレンテレフタレート繊維、単繊維径(D)が700nm)とし、さらに公知のエアーフロー染色機を用いて揉み加工を行い不織布を摩擦帯電させることにより、目付け370g/mのフィルター用不織布を得た。次いで、該不織布からなるエアーフィルターを得た。得られたエアーフィルターは、静電気による捕集効率に優れるものではなかった。評価結果を表1に示す。
Figure 0005908709
本発明によれば、優れた捕集効率と低圧力損失との両立が可能なフィルター用不織布および該不織布を用いてなるフィルターが提供され、その工業的価値は極めて大である。

Claims (11)

  1. フィルター用不織布であって、ポリマーからなり単繊維径(D)が100〜1000nmの範囲内であり、かつ、単繊維径(D)nmに対する繊維長(L)nmの比(L/D)が100〜200000の範囲内である極細繊維Aと、前記ポリマーに比べて溶解度パラメータSP値が3以上小さいポリマーを含む繊維Bとを含み、かつ摩擦帯電していることを特徴とするフィルター用不織布。
  2. 極細繊維Aがポリエステル繊維である、請求項1に記載のフィルター用不織布。
  3. 極細繊維Aが、ポリエステルからなりかつ島径(D)が100〜1000nmである島成分と前記ポリエステルよりもアルカリ水溶液易溶解性ポリマーからなる海成分とを有する複合繊維にアルカリ減量加工を施すことにより、前記海成分を溶解除去したポリエステル繊維である、請求項2に記載のフィルター用不織布の製造方法
  4. 繊維Bに含まれる前記ポリマーが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、およびポリメチルメタクリレートからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1または請求項2に記載のフィルター用不織布。
  5. 繊維Bが複合繊維であり、かつ繊維Bに含まれる前記ポリマーが複合繊維の表面に露出してなる、請求項1または請求項2または請求項4に記載のフィルター用不織布。
  6. 繊維Bに含まれる前記ポリマーが熱融着することにより不織布が3次元網目構造を有する、請求項1または請求項2または請求項4または請求項5に記載のフィルター用不織布。
  7. 揉み加工が施されてなる、請求項2に記載のフィルター用不織布の製造方法
  8. 前記の揉み加工が不織布を摩擦帯電させる揉み加工である、請求項7に記載のフィルター用不織布の製造方法
  9. 請求項1または請求項2または請求項4または請求項5または請求項6に記載のフィルター用不織布を用いてなるフィルター。
  10. フィルターがエアーフィルターである、請求項9に記載のフィルター。
  11. フィルターが多層構造フィルターであって、前記のフィルター用不織布が、ダスト流入側の最表層に配されてなる、請求項10に記載のフィルター。
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