JP2013118950A - あぶらとり紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】ソフト感および皮脂の除去性能に優れるだけでなく皮脂除去量が分り難い、皮膚用などのあぶらとり紙を提供する。
【解決手段】単繊維径Dが10〜1000nmかつ該単繊維径Dに対する繊維長Lの比L/Dが100〜10000の範囲内である極細繊維を用い、必要に応じてバインダー繊維やその他繊維を用いて、目付けが5〜30g/m、密度が0.2〜0.8g/cmのあぶらとり紙を抄紙する。
【選択図】なし

Description

本発明は、ソフト感および皮脂の除去性能に優れるだけでなく皮脂除去量が分り難い、皮膚用などのあぶらとり紙に関する。
従来、皮膚用などのあぶらとり紙として、天然繊維を主体とするもの、極細繊維を用いたものなどが提案されている(特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。これらは、ソフト感を維持しつつ、紙の密度を高密度化することにより毛細管現象により皮脂を除去するものである。
しかしながら、従来のあぶらとり紙では、皮脂が付着した箇所が透明化するため、使用者には皮脂除去量が分り易い反面、周囲の人に皮脂除去量が見えてしまい使用者が困る場合がある、という問題があった。
特開2000−139755号公報 特開2003−310471号公報 特許第4415168号公報
本発明は上記の背景に鑑みなされたものであり、その目的は、ソフト感および皮脂の除去性能に優れるだけでなく皮脂除去量が分り難い、皮膚用などのあぶらとり紙を提供することにある。
本発明者らは上記の課題を達成するため鋭意検討した結果、極めて単繊維径が小さい極細繊維を用いて特定の目付けおよび密度を有する、皮膚用などのあぶらとり紙を構成すると、ソフト感および皮脂の除去性能に優れるだけでなく皮脂除去量が分り難いあぶらとり紙が得られることを見出し、さらに鋭意検討を重ねることにより本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば「あぶらとり紙であって、目付けが5〜30g/m、密度が0.2〜0.8g/cmであり、かつ単繊維径Dが10〜1000nmかつ該単繊維径Dに対する繊維長Lの比L/Dが100〜10000の範囲内である極細繊維を含むことを特徴とするあぶらとり紙。」が提供される。
その際、前記極細繊維がポリエステル繊維であることが好ましい。また、前記極細繊維が、ポリエステルからなりかつ島径(D)が10〜1000nmである島成分と前記ポリエステルよりもアルカリ水溶液易溶解性ポリマーからなる海成分とを有する複合繊維にアルカリ減量加工を施すことにより、前記海成分を溶解除去したポリエステル繊維であることが好ましい。また、あぶらとり紙に前記極細繊維が紙の全重量対比20〜80重量%含まれることが好ましい。また、あぶらとり紙に、さらにバインダー繊維が紙の全重量対比20〜80重量%含まれることが好ましい。その際、前記バインダー繊維が未延伸型バインダー繊維であることが好ましい。
本発明のあぶらとり紙において、カレンダー加工が施されていることが好ましい。また、あぶらとり紙のタテ方向またはヨコ方向の強度が3N/15mm巾以上であることが好ましい。また、あぶらとり紙の剛性(カンチレバー法)が3cm/2cm巾未満であることが好ましい。また、下記式で定義する透過率比が40%未満であることが好ましい。
透過率比(%)=(DRY透過率)/(WET透過率)×100
ただし、WET透過率は、試料表面に1ccのオリーブオイルを滴下した後5分間放置し、試料表面に残存したオリーブオイルをろ紙で拭取った後の透過率を色相評価装置(マクベス)で測定した値であり、一方、DRY透過率は、オリーブオイルを滴下する前の試料表面を色相評価装置(マクベス)で測定した値である。
本発明によれば、ソフト感および皮脂の除去性能に優れるだけでなく皮脂除去量が分り難い、皮膚用などのあぶらとり紙が得られる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
まず、本発明のあぶらとり紙には、単繊維径Dが10〜1000nmかつ該単繊維径Dに対する繊維長Lの比L/Dが500〜2500の範囲内である極細繊維が含まれる。
かかる極細繊維において、単繊維径Dが10〜1000nm(より好ましくは100〜1000nm、さらに好ましくは300〜900nm、特に好ましくは550〜800nm)の範囲内であることが肝要である。該単繊維径が10nm未満の場合、極細繊維同士が擬似膠着しやすく均一分散しにくいため、皮脂の除去性能が低下するおそれがあり、また、抄紙の際に極細繊維が網から脱落しやすくなるおそれがある。逆に、該該単繊維径が1000nmより大きい場合も、極細繊維としての効果が低くなり、ソフト感および皮脂の除去性能が低下するおそれがあり、また、皮脂除去量が分り難い効果が得られにくくなるおそれがある。
また、前記極細繊維において、単繊維径Dnmに対する繊維長Lnmの比(L/D)が100〜10000(好ましくは500〜2500)の範囲内であることが好ましい。該比(L/D)が100未満では、繊維長が短くなり過ぎるため、他の繊維との絡みが小さくなり、抄紙の際に極細繊維が網から脱落しやすくなるおそれがある。逆に、該比(L/D)が10000を越える場合、繊維長が長すぎるため、極細繊維自身の絡みが大きくなり、均一分散が阻害され、ソフト感および皮脂の除去性能が低下するおそれがあり、また、皮脂除去量が分り難い効果が得られにくくなるおそれがある。
前記の単繊維径Dは,透過型電子顕微鏡TEMで、倍率30000倍で繊維断面写真を撮影し測定することができる。その際、測長機能を有するTEMでは、測長機能を活用して測定することができる。また、測長機能の無いTEMでは、撮った写真を拡大コピーして、縮尺を考慮した上で定規にて測定すればよい。
その際、単繊維の横断面形状が丸断面以外の異型断面である場合には、単繊維径Dは、単繊維の横断面の外接円の直径を用いるものとする。なお、極細繊維がポリエステル繊維の場合、1000nmは繊度に換算すると0.01dtexとなる。
前記極細繊維を形成するポリマーの種類としては、ポリエチレンテレフタレートやポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ステレオコンプレックスポリ乳酸、ポリ乳酸、第3成分を共重合させたポリエステルなどのポリエステル、ナイロン、アクリル、アラミドなどが例示されるが、製造工程性の点でポリエステル(この場合、極細繊維がポリエステル繊維となる。)が好ましい。
かかるポリエステルとしては、マテリアルリサイクルまたはケミカルリサイクルされたポリエステルや、特開2009−091694号公報に記載された、バイオマスすなわち生物由来の物質を原材料として得られたモノマー成分を使用してなるポリエステルであってもよい。さらには、特開2004−270097号公報や特開2004−211268号公報に記載されているような、特定のリン化合物およびチタン化合物を含む触媒を用いて得られたポリエステルでもよい。
前記極細繊維には、必要に応じて、艶消し剤、有機充填剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、防錆剤、架橋剤、発泡剤、蛍光剤、表面平滑剤、表面光沢改良剤、フッ素樹脂等の離型改良剤、等の各種添加剤を含んでいてもさしつかえない。
また、前記極細繊維は単一ポリマー成分で形成されることが好ましいが、複数のポリマー成分からなるブレンド繊維や芯鞘型(またはサイドバイサイド型)複合繊維であってもよい。
前記のような極細繊維の製造方法としては、海成分に島成分をブレンドしたブレンド型複合繊維の海成分を溶解除去したものでもよいが、国際公開第2005/095686号パンフレットに開示された方法が、単繊維径が均一となり、皮脂の除去性能に優れるだけでなく皮脂除去量が分り難くなり好ましい。
すなわち、ポリエステルポリマーからなりかつその島径Dが10〜1000nmである島成分と、前記のポリエステルポリマーよりもアルカリ水溶液易溶解性ポリマー(以下、「易溶解性ポリマー」ということもある。)からなる海成分とを有する海島型複合繊維を、海島型複合繊維用口金を用いて紡糸、延伸した後にアルカリ減量加工を施し、前記海成分を溶解除去したものであることが好ましい。なお、前記島径は、透過型電子顕微鏡で繊維の横断面を撮影することにより測定が可能である。なお、島の形状が丸断面以外の異型断面である場合には、前記の島径Dはその外接円の直径を用いる。
ここで、海成分を形成するアルカリ水溶液易溶解性ポリマーの、島成分を形成するポリエステルポリマーに対する溶解速度比が200以上(好ましくは300〜3000)であると、島分離性が良好となり好ましい。溶解速度が200倍未満の場合には、海成分溶解を目的としたアルカリ減量工程において、島成分の溶解も進むため、実質的に島成分を効率的に抽出することが困難となるおそれがある。
海成分を形成する易溶解性ポリマーとしては、特に繊維形成性の良いポリエステル系ポリマー、脂肪族ポリアミド系ポリマーを好ましい例としてあげることができる。さらに具体例をあげれば、アルカリ水溶液易溶解性ポリマーとして、ポリ乳酸、超高分子量ポリアルキレンオキサイド縮合系ポリマー、ポリアルキレングリコール系化合物と5−ナトリウムスルホイソフタル酸の共重合ポリエステルが最適である。ここでアルカリ水溶液とは、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム水溶液などをいう。これ以外にも、ナイロン6やナイロン66等の脂肪族ポリアミドに対するギ酸、ポリビニルアルコールやエチレン変性ビニルアルコール系ポリマーに対する熱水を例示することができる。
ポリエステル系ポリマーの中でも、5−ナトリウムスルホイソフタル酸6〜12モル%と分子量4000〜12000のポリエチレングリコールを3〜10重量%共重合させた固有粘度が0.4〜0.6のポリエチレンテレフタレート系共重合ポリエステルが特に好ましい。ここで、5−ナトリウムスルホイソフタル酸は親水性と溶融粘度向上に寄与し、ポリエチレングリコール(PEG)は親水性を向上させる。また、PEGは分子量が大きいほど、その高次構造に起因すると考えられる親水性増加作用があるが、反応性が悪くなってブレンド系になるため、耐熱性や紡糸安定性の面で問題が生じるおそれがある。また、共重合量が10重量%以上になると、溶融粘度が低下するおそれがある。
一方、島成分を形成するポリエステルポリマーとしては、前述のものが好ましい。なお、海成分を形成するポリマーおよび島成分を形成するポリマーについて、製糸性および抽出後の極細繊維の物性に影響を及ぼさない範囲で、必要に応じて、有機充填剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、防錆剤、架橋剤、発泡剤、蛍光剤、表面平滑剤、表面光沢改良剤、フッ素樹脂等の離型改良剤、等の各種添加剤を含んでいてもさしつかえない。
前記海島型複合繊維において、溶融紡糸時における海成分の溶融粘度が島成分ポリマーの溶融粘度よりも大きいことが好ましい。かかる関係にある場合には、海成分の複合重量比率が40%未満と少なくなっても、島同士が接合しにくくなり好ましい。
好ましい溶融粘度比(海/島)は、1.1〜2.0、特に1.3〜1.5の範囲である。この比が1.1倍未満の場合には溶融紡糸時に島成分が接合しやすくなり、一方2.0倍を越える場合には、粘度差が大きすぎるために紡糸調子が低下しやすい。
次に島数は、100以上(より好ましくは300〜1000)であることが好ましい。また、その海島複合重量比率(海:島)は、5:95〜95:5の範囲が好ましい。かかる範囲であれば、島間の海成分の厚みを薄くすることができ、海成分の溶解除去が容易となり、島成分の極細繊維への転換が容易になるので好ましい。ここで海成分の割合が95%を越える場合には海成分の厚みが厚くなりすぎ、一方5%未満の場合には海成分の量が少なくなりすぎて、島間に接合が発生しやすくなる。
溶融紡糸に用いられる海島型複合繊維用口金としては、島成分を形成するための中空ピン群や微細孔群を有するものなど任意のものを用いることができる。例えば、中空ピンや微細孔より押し出された島成分とその間を埋める形で流路を設計されている海成分流とを合流し、これを圧縮することにより海島断面が形成されるといった紡糸口金でもよい。吐出された海島型複合繊維は冷却風により固化され、所定の引き取り速度に設定した回転ローラーあるいはエジェクターにより引き取られ、未延伸糸を得る。この引き取り速度は特に限定されないが、200〜5000m/分であることが望ましい。200m/分以下では生産性が悪くなるおそれがある。また、5000m/分以上では紡糸安定性が悪くなるおそれがある。
得られた未延伸糸は、海成分を抽出後に得られる極細繊維の用途・目的に応じて、そのままカット工程あるいはその後の抽出工程に供してもよいし、目的とする強度・伸度・熱収縮特性に合わせるために、延伸工程や熱処理工程を経由して、カット工程あるいはその後の抽出工程に供することができる。延伸工程は紡糸と延伸を別ステップで行う別延方式でもよいし、一工程内で紡糸後直ちに延伸を行う直延方式を用いてもかまわない。
次に、かかる複合繊維を、必要に応じて、島径Dに対する繊維長Lの比L/Dが前記の範囲内となるようにカットした後、アルカリ減量加工を施すことにより前記海成分を溶解除去するか、または、アルカリ減量加工を施すことにより前記海成分を溶解除去した後カットする。かかるカットは、未延伸糸または延伸糸をそのまま、または数十本〜数百万本単位に束ねたトウにしてギロチンカッターやロータリーカッターなどでカットすることが好ましい。
前記のアルカリ減量加工は、抄紙後に行ってもよいし抄紙前に行ってもよいが、好ましいのは抄紙前である。かかるアルカリ減量加工において、繊維とアルカリ液の比率(浴比)は0.1〜5%である事が好ましく、さらには0.4〜3%であることが好ましい。0.1%未満では繊維とアルカリ液の接触は多いものの、排水等の工程性が困難となるおそれがある。一方、5%以上では繊維量が多過ぎるため、アルカリ減量加工時に繊維同士の絡み合いが発生するおそれがある。なお、浴比は下記式にて定義する。
浴比(%)=(繊維質量(gr)/アルカリ水溶液質量(gr)×100)
また、アルカリ減量加工の処理時間は5〜60分であることが好ましく、さらには10〜30分であることが好ましい。5分未満ではアルカリ減量が不十分となるおそれがある。一方、60分以上では島成分までも減量されるおそれがある。
また、アルカリ減量加工において、アルカリ濃度は2%〜10%であることが好ましい。2%未満では、アルカリ不足となり、減量速度が極めて遅くなるおそれがある。一方、10%を越えるとアルカリ減量が進みすぎ、島部分まで減量されるおそれがある。
アルカリ減量の方法としては、カットされた複合繊維をアルカリ液に投入し、所定の条件、時間でアルカリ減量処理した後に一度、脱水工程を経てから、再度、水中に投入し、酢酸、シュウ酸などの有機酸を使用して中和、希釈を進め最終的に脱水する方法や、または、所定の時間アルカリ減量処理した後に、先に中和処理を施し、更に水を注入し希釈を進めその後脱水をする方法等が挙げられる。前者では、バッチ式に処理する為、少量での製造(加工)を行える事ができるものの、中和処理に時間を要するため少し生産性が悪い。後者は半連続生産が可能であるが、中和処理時に多くの酸系水溶液及び希釈のために多くの水を必要とするという問題点がある。処理設備は何ら制限されるものではないが、脱水時に繊維脱落を防止する観点から、特許第3678511号公報に開示されているような開口率(単位面積当たりの開口部分の面積比率)が10〜50%であるメッシュ状物(例えば非アルカリ加水分解性袋など)を使用する事が好ましい。該開口率が10%未満では水分の抜けが極めて悪く、50%を超えると、繊維の脱落が発生するおそれがある。
さらには、アルカリ減量加工の後、繊維の分散性を高めるために分散剤(例えば、高松油脂(株)製の型式YM−81)を繊維表面に、繊維重量に対して0.1〜5.0重量%付着させることが好ましい。
本発明のあぶらとり紙において、前記極細繊維が紙の全重量対比20重量%以上(より好ましくは20〜80重量%、特に好ましくは40〜60重量%)含まれることが好ましい。前記極細繊維の含有量が20重量%よりも小さいと、あぶらとり紙が緻密構造とならず、皮脂の除去性能が低下するおそれがあり、また、皮脂除去量が分り難い効果が得られにくくなるおそれがある。
逆に、前記極細繊維の含有量が80重量%よりも大きいと、本発明にバインダー繊維を含ませる場合、バインダー繊維の含有量が小さくなるため、あぶらとり紙の構造を維持し難くなり、あぶらとり紙の強度が低下するおそれがある。
本発明のあぶらとり紙において、前記極細繊維以外にバインダー繊維も含まれることが好ましい。その際、バインダー繊維の含有量としては、紙の全重量対比20〜80重量%(より好ましくは20〜50重量%、特に好ましくは30〜40重量%)の範囲内であることが好ましい。バインダー繊維の含有量が20%よりも小さいと、あぶらとり紙の構造を維持し難くなり、あぶらとり紙の強度が低下するおそれがある。逆に、バインダー繊維の含有量が80%よりも大きいと、あぶらとり紙がフィルムライク(すなわち空隙の低下、硬さアップ)となり、ソフト感および皮脂の除去性能が低下するおそれがあり、また、皮脂除去量が分り難い効果が得られにくくなるおそれがある。
かかるバインダー繊維としては、紡糸速度が500〜1200m/分で紡糸された未延伸繊維(複屈折率(Δn)が0.05以下)からなる未延伸型バインダー繊維や、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステルが芯部に配され、一方、鞘部に非晶性共重合ポリエステルやポリエーテルエステル(エラストマー)が配された芯鞘型複合繊維からなる芯鞘型バインダー繊維などが例示される。なかでも、前記の未延伸型バインダー繊維は、カレンダー加工の際にドライヤーに粘着する等の工程上のトラブルが発生するおそれがなく好ましい。芯鞘型バインダー繊維では、かかるトラブルが発生するおそれがある。
前記バインダー繊維において、単繊維繊度が2.2dtex以下(より好ましくは0.015〜1.2dtex、特に好ましくは0.02〜0.3dtex)であることが好ましい。バインダー繊維の単繊維繊度が2.2dtexよりも大きいと、前記極細繊維の構造を固定するための接着点が不足し、皮脂の除去性能が低下するおそれがあり、また、皮脂除去量が分り難い効果が得られにくくなるおそれがある。
また、前記バインダー繊維において、繊維長は0.5〜100mm(より好ましくは1〜10mm)の範囲内であることが好ましい。該繊維長が0.5mm未満では、繊維長が短くなり過ぎるため、他の繊維との絡みが小さくなり、抄紙の製造工程において繊維が脱落するおそれがある。逆に、該繊維長が100mmを越える場合、繊維長が長すぎるため、均一分散が阻害され、ソフト感および皮脂の除去性能が低下するおそれがあり、また、皮脂除去量が分り難い効果が得られにくくなるおそれがある。
また、本発明のあぶらとり紙には、木材パルプ、リンターパルプ等の天然パルプ、アラミドやポリエチレンを主成分とする合成パルプ、ポリエステル、ナイロン、アクリル、ビニロン、レーヨン等の成分を含む合成繊維または半合成繊維を他の繊維として混合、添加してもよい。
その際、かかる他の繊維において、単繊維繊度が2.2dtex以下(より好ましくは0.015〜1.2dtex、特に好ましくは0.02〜0.3dtex)であることが好ましい。かかる他の繊維の単繊維繊度が2.2dtexよりも大きいと、前記極細繊維の構造を固定するための接着点が不足し、皮脂の除去性能が低下するおそれがあり、また、皮脂除去量が分り難い効果が得られにくくなるおそれがある。
また、かかる他の繊維において、繊維長は0.5〜100mm(より好ましくは1〜10mm)の範囲内であることが好ましい。該繊維長が0.5mm未満では、繊維長が短くなり過ぎるため、他の繊維との絡みが小さくなり、抄紙の製造工程において繊維が脱落するおそれがある。逆に、該繊維長が100mmを越える場合、繊維長が長すぎるため、均一分散が阻害され、ソフト感および皮脂の除去性能が低下するおそれがあり、また、皮脂除去量が分り難い効果が得られにくくなるおそれがある。
本発明のあぶらとり紙を製造する方法としては、通常の長網抄紙機、短網抄紙機、丸網抄紙機、あるいはこれらを複数台組み合わせて多層抄きなどとして抄紙した後、熱処理する製造方法が好ましい。その際、熱処理工程としては、抄紙工程後、ヤンキードライヤー、エアースルードライヤーのどちらでも可能である。また、熱処理の後、金属/金属ローラー、金属/ペーパーローラー、金属/弾性ローラーなどのカレンダー加工またはエンボス加工を施すことは好ましい。特に、本発明のあぶらとり紙にカレンダー加工またはエンボス加工を施すと、あぶらとり紙が緻密構造をとり、ソフト感および皮脂の除去性能に優れるだけでなく皮脂除去量が分り難いものとなり好ましい。
かくして得られたあぶらとり紙において、目付けが5〜30g/m(好ましくは8〜15g/m)の範囲内であることが肝要である。該目付けが5g/mよりも小さいと、皮脂の除去性能が低下したり、透け感を生じるおそれがあり好ましくない。逆に、該目付けが30g/mよりも大きくなると、あぶらとり紙の剛性が大きくなり、ソフト感が損なわれ好ましくない。
また、あぶらとり紙の密度としては、0.2〜0.8g/cm(好ましくは0.3〜0.7g/cm)の範囲内であることが肝要である。該密度が0.2g/cmよりも小さいと、あぶらとり紙の空隙が大きくなりすぎ、皮脂の除去性能が低下したり、透け感を生じるおそれがあり好ましくない。逆に該密度が0.8g/cmよりも大きいと、緻密すぎて、ソフト感および皮脂の除去性能が低下するおそれがあり、また、皮脂除去量が分り難い効果が得られにくくなるおそれがあり、好ましくない。
本発明のあぶらとり紙は、前記の極細繊維を含み、かつ特定の目付けおよび密度を有するので、極細繊維の効果とあぶらとり紙中の空隙との相乗効果により、ソフト感および皮脂の除去性能に優れるだけでなく皮脂除去量が分り難いものとなる。
その際、皮脂除去量の分り難さの指標として、下記式で定義する透過率比が40%未満であることが好ましい。
透過率比(%)=(DRY透過率)/(WET透過率)×100
ただし、WET透過率は、試料表面に1ccのオリーブオイルを滴下した後5分間放置し、試料表面に残存したオリーブオイルをろ紙で拭取った後の透過率を色相評価装置(マクベス)で測定した値であり、一方、DRY透過率は、オリーブオイルを滴下する前の試料表面を色相評価装置(マクベス)で測定した値である。
また、ソフト感の指標として、あぶらとり紙の剛性(カンチレバー法)が3cm/2cm巾未満であることが好ましい。
本発明のあぶらとり紙は、前記の極細繊維を含み、かつ特定の目付けおよび密度を有するので、強度(引張り強度)にも優れる。かかる強度としては、あぶらとり紙のタテ方向またはヨコ方向の強度が3N/15mm巾以上であることが好ましい。
なお、本発明のあぶらとり紙には、本発明の主目的が損なわれない範囲であれば、染色加工、プリント加工、抗菌加工などの各種加工を付加してもよい。さらには、不織布、織物、編物などを積層してもよい。
次に本発明の実施例及び比較例を詳述するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例中の各測定項目は下記の方法で測定した。
(1)溶融粘度
乾燥処理後のポリマーを紡糸時のルーダー溶融温度に設定したオリフィスにセットして5分間溶融保持したのち、数水準の荷重をかけて押し出し、そのときのせん断速度と溶融粘度をプロットする。そのプロットをなだらかにつないで、せん断速度−溶融粘度曲線を作成し、せん断速度が1000秒−1の時の溶融粘度を見た。
(2)溶解速度測定
海成分および島成分のポリマーを、各々、径0.3mm、長さ0.6mmのキャピラリーを24孔もつ口金から吐出し、1000〜2000m/分の紡糸速度で引き取って得た未延伸糸を残留伸度が30〜60%の範囲になるように延伸して、83dtex/24フィラメントのマルチフィラメントを作成した。これを所定の溶剤および溶解温度で浴比100として、溶解時間と溶解量から減量速度を算出した。
(3)単繊維径
透過型電子顕微鏡TEMで、倍率30000倍で繊維断面写真を撮影し、測定した。ただし、繊維径は、繊維断面におけるその外接円の直径を用いた(n数5の平均値)。
(4)繊維長
走査型電子顕微鏡(SEM)により、海成分溶解除去前の極細短繊維を基盤上に寝かせた状態とし、20〜500倍で測定した。SEMの測長機能を活用して測定した(n数5の平均値)。
(5)目付
JIS P8124(紙のメートル坪量測定方法)に基づいて測定した。
(6)厚さ
JIS P8118(紙及び板紙の厚さと密度の試験方法)に基づいて測定した。
(7)透過率比
皮脂除去量の分り難さの指標として、透過率比を下記式で求めた。
透過率比(%)=(DRY透過率)/(WET透過率)×100
ただし、WET透過率は、試料表面に1ccのオリーブオイルを滴下した後5分間放置し、試料表面に残存したオリーブオイルをろ紙で拭取った後の透過率を色相評価装置(マクベス)で測定した値であり、一方、DRY透過率は、オリーブオイルを滴下する前の試料表面を色相評価装置(マクベス)で測定した値である。
(8)ソフト感
ソフト感の指標として、JIS L1096に従い、あぶらとり紙(試料の巾2cm)の剛性(カンチレバー法)を測定した。
(9)皮脂の除去性能
試料表面に1ccのオリーブオイルを滴下した後5分間放置し、試料表面に残存したオリーブオイルの量で、皮脂の除去性能を、「優れる」「普通」「劣る」の3段階に評価した。(10)強度(引張り強度)
JIS P8113に従い、あぶらとり紙の強度(引張り強度)を測定した。
[実施例1]
島成分に285℃での溶融粘度が120Pa・secのポリエチレンテレフタレート、海成分に285℃での溶融粘度が135Pa・secである平均分子量4000のポリエチレングリコールを4重量%、5−ナトリウムスルホイソフタル酸を9mol%共重合した改質ポリエチレンテレフタレートを使用し、海:島=10:90の重量比率で島数400の口金を用いて紡糸し、紡糸速度1500m/minで引き取った。海成分と島成分とのアルカリ減量速度比は1000倍であった。これを3.9倍に延伸した後、ギロチンカッターで800μmにカットして、極細繊維用複合繊維を得た。これをNaOH4%水溶液で75℃にて10%減量したところ、単繊維径と繊維長が均一な極細繊維(単繊維径750nm、繊維長0.8mm、比L/Dが1067、丸断面)が生成していることを確認した。
一方、未延伸型バインダー繊維(帝人ファイバー社製、ポリエチレンテレフタレート繊維、TK08PN、単繊維繊度0.2dtex、繊維長3mm)を用意した。
次いで、前記極細繊維と未延伸型バインダー繊維とを(極細繊維:未延伸型バインダー繊維)60:40の重量比で秤量した後、試験用パルパーにて攪拌した後、角型抄紙マシンを用いて手すきを実施し、ロータリードライヤーを用いて温度120℃、時間2分間で乾燥処理を行った後、カレンダー加工(金属/金属ローラー、線圧120kg/cm、温度160℃、速度2m/min)を施してあぶらとり紙(皮膚用、目付け11.3g/m)を得た。
得られたあぶらとり紙は、ソフト感および皮脂の除去性能に優れるだけでなく皮脂除去量が分り難いものであった。評価結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1において、その他の繊維としてポリエチレンテレフタレート延伸糸(帝人ファイバー社製、TA04PN、単繊維繊度0.1dtex、繊維長3mm)を入れて、(極細繊維:その他の繊維:未延伸型バインダー繊維)40:20:40の重量比で秤量すること以外は実施例1と同様にした。
得られたあぶらとり紙は、ソフト感および皮脂の除去性能に優れるだけでなく皮脂除去量が分り難いものであった。評価結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1において、目付けを21g/mとすること以外は実施例1と同様にした。評価結果を表1に示す。
得られたあぶらとり紙は、ソフト感および皮脂の除去性能に優れるだけでなく皮脂除去量が分り難いものであった。評価結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1において、目付けを53g/mとすること以外は実施例1と同様にした。評価結果を表1に示す。
得られたあぶらとり紙はソフト感に劣るものであった。
[比較例2]
実施例2で用いた、その他の繊維と未延伸型バインダー繊維とを(その他の繊維:未延伸型バインダー繊維)60:40の重量比で秤量すること以外は実施例2と同様にした。
得られた皮膚用あぶらとり紙は、ソフト感に劣り、また、皮脂除去量が分り難いものではなかった。
Figure 2013118950
本発明によれば、ソフト感および皮脂の除去性能に優れるだけでなく皮脂除去量が分り難い、皮膚用などのあぶらとり紙が提供され、その工業的価値は極めて大である。

Claims (10)

  1. あぶらとり紙であって、目付けが5〜30g/m、密度が0.2〜0.8g/cmであり、かつ単繊維径Dが10〜1000nmかつ該単繊維径Dに対する繊維長Lの比L/Dが100〜10000の範囲内である極細繊維を含むことを特徴とするあぶらとり紙。
  2. 前記極細繊維がポリエステル繊維である、請求項1に記載のあぶらとり紙。
  3. 前記極細繊維が、ポリエステルからなりかつ島径(D)が10〜1000nmである島成分と前記ポリエステルよりもアルカリ水溶液易溶解性ポリマーからなる海成分とを有する複合繊維にアルカリ減量加工を施すことにより、前記海成分を溶解除去したポリエステル繊維である、請求項2に記載のあぶらとり紙。
  4. あぶらとり紙に前記極細繊維が紙の全重量対比20〜80重量%含まれる、請求項1〜3のいずれかに記載のあぶらとり紙。
  5. あぶらとり紙に、さらにバインダー繊維が紙の全重量対比20〜80重量%含まれる、請求項1〜4のいずれかに記載のあぶらとり紙。
  6. 前記バインダー繊維が未延伸型バインダー繊維である、請求項5に記載のあぶらとり紙。
  7. カレンダー加工が施されている、請求項1〜6のいずれかに記載のあぶらとり紙。
  8. あぶらとり紙のタテ方向またはヨコ方向の強度が3N/15mm巾以上である、請求項1〜7のいずれかに記載のあぶらとり紙。
  9. あぶらとり紙の剛性(カンチレバー法)が3cm/2cm巾未満である、請求項1〜8のいずれかに記載のあぶらとり紙。
  10. 下記式で定義する透過率比が40%未満である、請求項1〜9のいずれかに記載のあぶらとり紙。
    透過率比(%)=(DRY透過率)/(WET透過率)×100
    ただし、WET透過率は、試料表面に1ccのオリーブオイルを滴下した後5分間放置し、試料表面に残存したオリーブオイルをろ紙で拭取った後の透過率を色相評価装置(マクベス)で測定した値であり、一方、DRY透過率は、オリーブオイルを滴下する前の試料表面を色相評価装置(マクベス)で測定した値である。
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