JPH08141013A - 衛生材料の防水材 - Google Patents

衛生材料の防水材

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JPH08141013A
JPH08141013A JP6285051A JP28505194A JPH08141013A JP H08141013 A JPH08141013 A JP H08141013A JP 6285051 A JP6285051 A JP 6285051A JP 28505194 A JP28505194 A JP 28505194A JP H08141013 A JPH08141013 A JP H08141013A
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JP
Japan
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sheet
nonwoven fabric
waterproof material
paper sheet
woven fabric
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Application number
JP6285051A
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English (en)
Inventor
Masaru Kadota
優 門田
Tomoji Miyoshi
智次 三好
Hideo Ikezawa
秀男 池沢
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New Oji Paper Co Ltd
Original Assignee
New Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 強度があって、冷温感、防水性および印刷適
正に優れ、しなやかで柔軟な風合いを有し、使い捨て紙
おむつ、生理用ナプキン等の衛生材料の防水材として好
適に使用し得る複合不織布シートの提供。 【構成】 衛生材料の防水材であって、熱可塑性樹脂の
連続長繊維フィラメントからなるスパンボンド不織布と
木材パルプ繊維からなる紙シートが積層され、該紙シー
ト側からスパンボンド不織布側へ高圧水柱流処理が施さ
れた後に、一対のエンボスロールと弾性ロールの間に導
入、加圧して部分的に延展した複合不織布の不織布面
に、ポリオレフィン系合成樹脂のフィルムがラミネート
処理されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、強度があって、冷温
感、防水性および印刷適性に優れ、しなやかで柔軟な風
合いを有し、使い捨て紙おむつ、生理用ナプキン等の衛
生材料の防水材として好適に使用し得る複合不織布シー
トに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より使い捨て紙おむつや生理用ナプ
キンのような衛生材料の防水材としては、ポリオレフィ
ン系樹脂からなるフィルムが用いられていた。しかしな
がら、ポリオレフィン系樹脂からなるフィルムを用いた
場合、比較的安価であり、防水性に優れるという利点は
あるものの、冷温感に劣り、得られる衛生材料に高級感
を付与することが困難であった。ここで、冷温感とは、
素材を手で触れたときの温かさの感覚をいい、体温を速
やかに吸収する場合は冷たく感じ、冷温感に劣るとい
う。逆に、体温を吸収しにくい場合は温かく感じ、冷温
感に優れるという。
【0003】従来から使い捨て紙おむつ、生理用ナプキ
ン等の防水材に用いられているポリオレフィン系樹脂フ
ィルムは、素材の熱伝導度が大きく、手で触れたときに
体温を吸収してしまい易い。このためポリオレフィン系
樹脂フィルムを防水材として使用した使い捨て紙おむつ
は、手で触れたときの高級感に劣ってしまうのである。
【0004】また、得られる衛生材料に優れた外観を付
与する目的で、防水材に着色あるいは絵、パターン等の
印刷も行われているが、合成樹脂からなる材料を基材と
して用いているために、印刷適性に優れているとはいえ
ず、印刷作業現場の環境改善の観点から水性インキの使
用が可能な基材の開発が望まれているが、前記材料は特
に水性インキを使用した場合の印刷適性が劣っており、
水性インクを使用して印刷することはできなかった。
【0005】特開昭59ー94659号公報には、合成
繊維と木材パルプ繊維とを交絡一体化させて得られる複
合不織布が開示されている。この不織布は、フィルムと
は異なり、布ライクな風合いで冷温感に優れている上、
液体不透過性に優れており医療用手術着、滅菌包材等に
好適に用いることができるが、使い捨て紙おむつの防水
材として用いる場合に適した防水性を有していない。す
なわち、この複合不織布は、不織布の上に強い圧力が加
えられた状態で防水性を維持するのに十分な性能を持っ
ていない。さらに、そのような複合不織布は、柔らかさ
についても、紙おむつの防水材として要求される柔らか
さを満足するものではなく、その上、使い捨て紙おむつ
の防水材として用いるには安価であるとはいい難かっ
た。
【0006】特開平1−104867号公報には、2層
のセルロース系繊維ウェブとセルロース系繊維ウェブ層
との間に極細繊維ウェブ層が挿入され、一体的に交絡し
てなる不織布が開示されている。この不織布は、冷温
感、風合い等に優れ、無菌包装材料、ワイパー等に好適
に用いられるが、前記複合不織布と同様に、使い捨て紙
おむつの防水材として用いるには十分な防水性をもつに
は至らず、その上、使い捨て紙おむつの防水材として用
いるには安価であるとはいい難い。
【0007】特開平5−214654号公報には、スパ
ンボンド不織布の両面に薄葉紙を積層し、高圧ジェット
水流で繊維同志を交絡させた複合シートからなる拭き布
の製造方法が開示されており、さらに特開平5−253
160号公報には、スパンボンド不織布の表面に湿潤引
張り強さが0.04〜0.6kgfの紙シートを積層し
た後、紙シートの表面から高圧ジェット水流を施し、繊
維同志を交絡させた複合シートからなる拭き布の製造方
法が開示されている。これらの複合不織布は、布ライク
で高級感があり、印刷適性にも優れ、柔軟で、安価に入
手できるが、衛生材料の防水材として要求される防水性
は備えておらず、このままでは使い捨ておむつの防水材
として使用することはできない。また、シート表面の手
触り感も剛性があって曲げ形状を有する衛生材料の防水
材として使用するのに十分なしなやかさと嵩高さを持つ
には至っていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、かかる
現状に鑑み、合成繊維と木材パルプ繊維とを交絡、一体
化した複合シートからなる不織布が、風合いや冷温感に
優れ、印刷適性にも優れる点に着目し、衛生材料のよう
に曲げた状態での使用に適する剛性、嵩高性、柔軟性お
よび防水性を付与することについて鋭意検討した結果、
前記水交絡で得られる複合シートにエンボス加工を施
し、その後ポリオレフィン系合成樹脂フィルムをラミネ
ート加工した不織布複合シートが従来技術の欠点を解消
し、衛生材料として優れた曲げ剛性、すなわちしなやか
で柔軟な風合いおよび防水性を有することを見出し、本
発明を完成するに至った。従って、本発明の目的は、強
度があって、冷温感、防水性および印刷適性に優れ、し
なやかで柔軟な風合いを有し、使い捨て紙おむつ、生理
用ナプキン等の衛生材料の防水材として好適に使用し得
る複合不織布シートを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、熱可塑性樹脂
の連続長繊維フィラメントからなるスパンボンド不織布
と木材パルプ繊維からなる紙シートが積層され、該紙シ
ート側からスパンボンド不織布側へ高圧水柱流処理が施
された後に、一対のエンボスロールと弾性ロールの間に
導入、加圧して部分的に延展した複合不織布の不織布面
に、ポリオレフィン系合成樹脂フィルムがラミネート処
理されてなることを特徴とする衛生材料の防水材であ
る。
【0010】本発明に用いられるスパンボンド不織布を
構成する連続長繊維フィラメントは、安価で、柔軟な風
合いを付与できるという点からポリオレフィン系熱可塑
性合成樹脂、とりわけポリプロピレン樹脂から得られる スパンボンド不織布は、特開平5ー286100号公報
に開示されているように長繊維相互間が自己融着による
点融着区域が間隔を置いて多数配置されていると共に、
個々の点融着区域の面積は0.01〜4mm2、その点
融着区域の総面積は不織布の表面積に対して2〜20面
積%であるような接着形態を有するものである。
【0011】前記不織布の坪量は、布ライクな風合いと
柔らかさの点から5〜30g/m2、好ましくは5〜2
0g/m2である。坪量が30g/m2を越えると、長繊
維とパルプ繊維とを水交絡させる際にパルプ繊維が不織
布の厚み方向に移動しにくくなり、長繊維とパルプ繊維
とが十分に交絡し難くなる。逆に、坪量が5g/m2
満では、不織布の引張強度や引裂強度が低下し、防水材
としたときの強度も低下する。その上、長繊維間の間隙
が大きくなり、前記繊維同士を水交絡させる際にパルプ
繊維が長繊維の間隙から流出し、パルプ繊維の損失が多
くなるので適さない。水交絡処理の際の使用済み排水中
にパルプ繊維が大量に流出することにより、排水処理に
大きな負荷をかけることになる。
【0012】木材パルプ繊維で形成される紙シートとし
ては、公知の抄紙機で湿式抄紙されて乾燥された種々の
紙を使用することができ、JIS P 8124による方
法で測定した坪量が10〜100g/m2のものが好適
に用いられる。坪量が10g/m2未満では、パルプ繊
維の絶対量が少なくなり、得られる防水材に十分な質感
と印刷適性を付与し難くなり、逆に坪量が100g/m
2を越えると、水交絡を行う際、繊維同士を十分に交絡
させ難くなるため適さない。紙シートを構成する木材パ
ルプ繊維としては、針葉樹および広葉樹木材をクラフト
法、サルファイト法、ソーダ法、ポリサルファイト法等
で蒸解して、必要に応じて漂白して得られる未晒パルプ
あるいは晒パルプが挙げられ、この他に前記針葉樹木材
からのグランドパルプ、サーモメカニカルパルプ等の機
械パルプを混合して併用することができる。
【0013】紙シートには高圧水柱流を施す関係上、繊
維長の長いパルプ繊維が好ましいが、繊維長の短いパル
プ繊維も使用することができる。その一例を示せば、針
葉樹パルプ繊維と広葉樹パルプ繊維の重量配合比は、針
葉樹パルプ繊維:広葉樹パルプ繊維=100:0〜2
0:80、好ましくは100:0〜40:60の範囲で
ある。広葉樹パルプが全パルプ繊維の80%を越える
と、高圧水柱流をスパンボンド不織布と紙シートとの積
層シートの紙シート側から施して水交絡を行う際に、パ
ルプの流失量が増加するばかりでなく、交絡後のシート
の柔軟な風合いが低下する。
【0014】本発明に用いられる前記紙シートのJIS
P 8118による密度は、0.2〜0.65g/cm
3、好ましくは0.2〜0.60g/cm3である。この
密度が0.65g/cm3を越えると、紙シートの上か
ら高圧水柱流を施した場合に、パルプ繊維の運動が抑制
されるので、長繊維とパルプ繊維との交絡が不十分にな
り、交絡後のシートの柔軟性が低下し、得られる防水材
の風合いが悪くなる。一方、紙シートの密度を小さくし
ようとしても限度があり、その下限はティシュペーパー
のように柔らかい状態の0.20g/cm3程度であ
る。前記紙シートは、通常パルプ繊維を含有するスラリ
ーを用いて公知の湿式抄紙法により抄紙し、ドライヤー
で乾燥しして得られるが、抄紙の際に例えば、ポリアミ
ド・エピクロルヒドリン樹脂あるいはその変性物、ポリ
アミン・エピクロルヒドリン樹脂、メラニン樹脂、尿素
樹脂等の湿式紙力増強剤をスラリー中に添加しても良
い。
【0015】この紙シートは、予め準備したスパンボン
ド不織布の片面に積層されるが、この時不織布と紙シー
トの坪量の絶乾重量比は、不織布:紙シート=1:1〜
1:19となるように調整する。重量比が不織布:紙シ
ート=1:1において紙シートの比が減少すると、不織
布の長繊維の量に対して相対的にパルプ繊維の量が少な
くなり、得られる防水材に十分な質感を付与することが
困難となり、印刷適性も低下する。その上、長繊維に対
して廉価なパルプ繊維の量が少なくなることによって、
得られる防水材自体の製造コストが高くなるので適さな
い。逆に、重量比が不織布:紙シート=1:19におい
て、19を越えて紙シートの比が増加すると、パルプ繊
維の全てが長繊維と強固に水交絡し難くなるので適さな
い。
【0016】スパンボンド不織布の片面に紙シートを積
層した後、紙シートの表面から不織布側に向けて高圧水
柱流を施す際には、積層体の紙シート側から不織布側へ
高圧水柱流が貫通するようにして高圧水柱流を施すので
ある。この高圧水柱流は、微細な孔径、例えば直径が
0.01〜0.3mmのノズル孔を通して高い圧力、例
えば20〜180kg/cm2の圧力で水を噴出させて
得られるものである。この高圧水柱流を積層体に施す
と、高圧水柱流はまず紙シートに衝突して紙シートがス
パンボンド不織布上に密着され、次いで紙シートが前記
不織布に密着した状態で紙シートの部分的な破壊が生
じ、その部分の紙シートを構成するパルプ繊維を単離さ
せ、パルプ繊維に曲げや捩れのような変形を起こさせる
とともに、パルプ繊維に運動エネルギーを十分に与え、
ランダムな運動を生じさせる。その結果、これらの複合
作用によってパルプ繊維と長繊維とが絡み合い、さらに
このパルプ繊維によって長繊維同士も交絡することにな
るのである。この高圧水柱流処理により長繊維とパルプ
繊維とが交絡され、複合不織布シートが得られる。
【0017】次いで、上記のようにして得られた複合シ
ートを、表面温度が15〜60℃の範囲の一対のエンボ
スロールと弾性ロールとの間に導入して、加圧し、複合
シートを部分的に延展することで、複合シートに嵩高と
柔軟化加工が施される。本発明で用いられるエンボスロ
ールとしては、円形の凸部が散点状に分布したピンポイ
ント模様、長方形状、菱形模様等の公知の様々な模様の
ロールを用いることができる。また弾性ロールについて
も、公知のものを用いることができる。エンボスロール
と弾性ロールとの間のニップ圧は、一対のロール間の接
点を線状であると仮定した場合、5〜50kg/cmの
範囲である。複合シートは、エンボスロールの凸部と弾
性ロールとの接点において延展され、この処理はあたか
も複合シートを手で軽く揉むのと同様の効果をもたら
し、処理後に得られる複合不織布シートに嵩高で、柔軟
な風合いを付与することができるのである。すなわち、
この処理により、複合シートの曲げ剛性が小さくなり、
しなやかさが付与されるので形状を有する防水材として
の適性が得られるのである。
【0018】本発明に係る防水材は、このようにして得
られた複合不織布シートの不織布面に公知の押出ラミネ
ート法を用いてポリオレフィン系フィルム層を形成する
ことにより得られる。このフィルムシート層の形成によ
り、本発明に係る防水材へ防水性が付与される。押出ラ
ミネート法は、ラミネート樹脂の連続性が良く、樹脂の
前記不織布面への浸透が少なく、さらに防水材を高速度
で製造するのに適している。また押出ラミネート法では
ラミネート工程において水あるいは溶剤が不要であるた
め乾燥装置や溶剤回収装置が不要であり作業環境にも優
れる。本発明のフィルムシート層の形成には、ポリオレ
フィン系合成樹脂が用いられるが、柔軟でフィルムシー
ト層の風合いを損なわず、押出ラミネートし易い点か
ら、ポリエチレン樹脂、好ましくはJIS K 6760
による方法で測定した密度が0.940g/cm3未満
のポリエチレン樹脂が用いられる。前記フィルムシート
層の形成に用いられる樹脂には、ルチル型酸化チタン、
アナターゼ型酸化チタン、カドミウム系顔料、黄鉛、酸
化鉄、銅フタロシアニン系顔料、群青、カーボンブラッ
ク等の各種有色顔料を任意に添加することにより防水材
に任意の色を着色することもできる。
【0019】前記ポリオレフィン系合成樹脂は、公知の
押出ラミネート装置によりフィルム形成と同時に前記複
合不織布シートの不織布面にラミネートされる。ラミネ
ート温度は、290℃〜350℃、好ましくは305℃
〜325℃の範囲である。ラミネート温度が290℃未
満ではエアーギャップにおける樹脂の酸化が不足し、不
織布面との接着が不十分となる。逆にラミネート温度が
350℃を越えると、押出機内部での樹脂の劣化が進む
とともに、高温による樹脂の粘度低下が大きく、膜切れ
が発生し易くなるため、本発明の防水材を高速度で製造
し難くなるので適さない。フィルムシート層の厚みは、
防水材として使用する際に必要な柔軟な風合い、強度等
を考慮して、5〜100μm、好ましくは5〜50μm
の範囲で適宜選択して用いられる。このシート層の厚み
が100μmを越えると、剛度が増し、得られる防水材
が硬くなって風合いを損なうので適さない。逆に厚みが
5μm未満では、不織布面へ押出ラミネート加工する時
の製造条件が厳しくなり過ぎ、本発明による防水材を高
速度で製造することができないので適さない。
【0020】また、不織布面へ押出ラミネート法により
フィルムシート層を形成する工程において、ラミネート
する直前に、フィルムシート層をラミネートする不織布
面にコロナ処理を施しても良い。このコロナ処理によ
り、不織布層とフィルムシート層との間の接着性を高め
ることができる。本発明に係る防水材は、フィルムシー
ト層を形成する際に、原料樹脂に前記有色顔料を添加し
てシートを着色することができる。本発明の防水剤は、
複合不織布シート層の紙シートを構成する繊維としてパ
ルプ繊維を用い、この面が前記複合シートの表側にある
ため、印刷適性に優れ、この面に着色、絵、パターン等
の印刷を施すこともできる。この場合、印刷面にパルプ
繊維が用いられているので、印刷の際に水性インキの使
用が可能であり、溶剤は一切使用しなくてすむので印刷
現場での作業環境の改善が期待される。
【0021】以上詳細に説明したように、本発明は、ス
パンボンド不織布の長繊維と紙シートのパルプ繊維とが
水交絡法で一体化され、その後エンボス加工で延展され
た複合不織布シート層の不織布面側に、ポリオレフィン
系合成樹脂フィルムからなるフィルムシート層がラミネ
ートにより接合されてなる複合不織布シートを、紙シー
ト層が外側になるようにして防水材として用いることに
より、従来のポリオレフィン系樹脂からなるフィルムを
防水材として用いた場合の問題を解消し、冷温感に優
れ、布ライクで、すなわちしなやかで柔軟な風合いを有
する高級感に富んだ防水材とすることができる。
【0022】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、もちろん本発明はこれによって限定される
ものではない。
【0023】実施例1 JIS K 6758に記載された方法で測定したメルト
フローレートが51のポリプロピレン樹脂を、スパンボ
ンド法により溶融紡糸して捕集面に集積し、得られた長
繊維フィラメントのウェブを加熱されたエンボスロール
と平滑ロールの間に導入してスパンボンド不織布を得
た。エンボスロールには点状の突起が多数配列されてお
り、スパンボンド不織布には散点状のエンボスパターン
が形成された。スパンボンドを構成する長繊維の平均繊
度は2.3デニール、坪量は12g/m2であった。こ
のスパンボンド不織布の表面に、針葉樹晒クラフトパル
プ繊維を用いて湿式抄紙して得られた紙シートを積層し
た。この紙シートは、JIS P 8124に記載された
方法で測定した坪量が42g/m2、密度は0.52g
/cm3であった。
【0024】次いで、積層体の紙シートが上に位置し、
スパンボンド不織布が下に位置するようにして、金網で
形成された移送コンベア上に戴置した。この積層体を3
0m/分の速度で移送させながら、孔径0.12mmの
ノズル孔を0.64mm間隔で千鳥状に配列した高圧水
柱流噴射装置を用いて、60kg/cm2の水圧で高圧
水柱流を噴射し、紙シート面から不織布側へ貫通するよ
うに高圧水柱流処理を施した。以上のようにして、パル
プ繊維と長繊維とが交絡、一体化した坪量が51g/m
2の複合不織布シートを得た。この複合シートを一対の
エンボスロールと弾性ロールの間に導入、加圧処理し第
1シート層を構成する複合シートを得た。エンボスロー
ルは、先端が直径0.6mmの円形をした凸部が2.8
mmピッチで千鳥状に配列されており、エンボスロール
と弾性ロールとの接点がロール幅方向に直線状であると
仮定した場合のニップ圧は30kg/cmで、ロール温
度は20℃であった。
【0025】次に、複合不織布シートの不織布面にコロ
ナ表面処理装置により、電圧9kV、速度15m/分で
コロナ処理を施した。コロナ電極と前記不織布面との間
隔は2mmであった。その後、コロナ放電を施した不織
布の表面に、JIS K 6760に記載された方法で測
定した密度が0.918g/cm3、JIS K 676
0に記載された方法で測定したメルトフローレートが
8.0g/10分のポリエチレン樹脂を、ラミネート温
度315℃、速度30m/分でラミネート処理して、フ
ィルムシート層を形成し、不織布の表面にそれぞれ紙シ
ートとポリエチレンフィルムを別々に積層した複合不織
布シートを得た。ラミネート処理時のエアーギャップは
90mm、フィルムシート層のフィルム厚みは12μm
であった。
【0026】実施例2 実施例1で用いた水交絡が完了した複合不織布シート
を、長方形の凸部の短辺がロール周方向になるように配
列したエンボスロールと弾性ロールとの間に導入、加圧
して第1シート層を構成する複合シートを得た。このエ
ンボスロールの温度は20℃で凸部の長方形の長辺は
1.1mm、短辺は0.26mmであり、ピッチ1.4
mmで千鳥状に配列されていた。次いで、この複合不織
布シートの不織布面に実施例1と同様の方法でコロナ処
理を施した。このコロナ処理を施した面に、密度が0.
924g/cm3、メルトフローレートが4.6g/1
0分のポリエチレン樹脂を、実施例1と同様の方法でラ
ミネート処理してフィルムシート層を形成し、複合不織
布シートを得た。フィルムシート層の厚みは7μmであ
った。
【0027】実施例3 スパンボンド不織布の坪量が6g/m2、平均繊度が
1.2デニールであり、紙シートを構成するパルプ繊維
の絶乾重量比が針葉樹晒クラフトパルプ:広葉樹晒クラ
フトパルプで90:10、紙シートの坪量を15g/m
2、紙シートの密度を0.33g/cm3とした以外は、
実施例1と同様にして複合不織布シートを得た。この複
合シートの坪量は19g/m2であった。この複合シー
トの不織布面にコロナ表面処理を施さずに、実施例2と
同様の方法でラミネート処理してフィルムシート層を形
成し、複合不織布シートを得た。フィルムシート層の厚
みは15μmであった。
【0028】実施例4 スパンボンド不織布を構成する連続長繊維の平均繊度が
3.6デニールである以外は、実施例1と同様にして、
坪量が12g/m2のスパンボンド不織布を得た。この
スパンボンド不織布上に針葉樹晒パルプを実施例1と同
様の装置で抄紙した紙シートを積層した。紙シートの密
度は0.23g/cm3、坪量は20g/m2であった。
この積層体の紙シート表面に、孔径0.10mmのノズ
ル孔が0.55mm間隔で配置されている高圧水柱流処
理装置を用いて、実施例1と同様に高圧水柱流処理を施
して複合不織布シートを得た。このとき、高圧水柱流の
噴射水圧は150kg/cm2、処理速度は160m/
分であり、得られた複合不織布シートの坪量は30g/
2であった。次いで、この複合シートの不織布面に、
実施例1と同様にコロナ表面処理を施した。このコロナ
表面処理を施した面に、実施例1と同様の装置を用い
て、密度が0.918g/cm3、メルトフローレート
が4.0g/10分であるポリエチレン樹脂をラミネー
ト温度320℃、処理速度50m/分、エアーギャップ
90mmの条件で、ラミネート処理してフィルムシート
層を形成し、複合不織布シートを得た。フィルムシート
層の厚みは10μmであった。
【0029】比較例1 実施例1で用いた紙シートとスパンボンド不織布とを積
層し、水交絡処理した坪量が51g/m2の複合不織布
シートを、ラミネート処理を施さずにそのまま防水材と
して用いた。
【0030】比較例2 密度が0.918g/cm3、メルトフローレートが
8.0g/10分のポリエチレン樹脂に二酸化チタンを
5%添加して、公知のTダイ法でフィルム成形し、得ら
れたフィルムシートを防水材として用いた。このシート
の坪量は23g/m2、厚みは42μmであった。
【0031】実施例および比較例で得られたシートの坪
量、厚み、フィルムシート層の厚み、引張強度、熱伝導
率、防水性、風合い、曲げ強度および印刷適性を次の試
験方法を用いて行った。
【0032】試験方法 (1)坪量:JIS P 8124に記載する方法で測定
した。 (2)複合シートの厚み:JIS P 8118に記載す
る方法で測定した。単位は、μmで表す。 (3)フィルムシート層の厚み:ラミネート処理前後の
シートの厚みをJISP 8118に記載する方法で測
定し、(1)式により求め、μmで表す。 D2=D−D1 ・・・(1) D :ラミネート後のシート厚み D1 :ラミネート前のシート厚み D2 :フィルムシート層の厚み (4)引張強度:東洋精密工業社製、テンシロン万能引
張試験機PTM−100を用いて、引張速度200mm
/分、試料長100mm、試料幅50mmで引張試験を
行い、測定された50mm幅当りの破断点強度を示し
た。
【0033】(5)熱伝導率:カトーテック社製、KE
S−F7を用いて測定した。熱伝導率Kは、(2)式に
より算出されるものであり、単位はW/(cm×℃)で
ある。 K=W×D0/(A×ΔT) ・・・(2) K :熱伝導率 W :熱流損失 D0 :シートの厚み A :熱板面積 ΔT:シートの温度差 なお、(2)式により熱伝導率を算出する際に用いるシ
ートの厚みD0は、カトーテック社製、圧縮試験機KE
S−FB3を用いて、測定面積2cm2で、シートに
0.5g/m2の荷重を与えたときに測定して得られる
厚みの値を用いた。 (6)防水性:市販の紙おむつ(ネピア社製、ドレミL
サイズ)の防水材の中央部分を10cm角に切りとり、
その部分に、評価を行う防水材(12cm角)をフィル
ム面が内側に、紙シート面が外側になるように貼付け
る。次いで、この紙おむつの吸収材が設けてある側(フ
ィルムシート層側)から人工尿100cm3を滴下、吸
収させ10分放置した。次に、紙おむつを反転させ防水
材が上側になるように置き、その上に10cm角の濾紙
(アドバンテック東洋社製、生産用濾紙 No.26)
を10枚重ねて置き、さらにその上に2kgの分銅をの
せて5分間放置して防水材を通して漏れる水分を濾紙に
吸収させる。この濾紙の重量増加量を測定し、その増加
量が0.5g以下は防水性が優れていると評価した。
【0034】(7)風合い:モニター20人による触感
テストで風合いを判定した。テストの方法は、実施例お
よび比較例に係る防水材を手指で把持してもらい、防水
材としていずれが柔軟な風合いが良好かを判定し、良好
と判定された防水材に1点/1人づつ加点していった。
数値の多いものほど柔軟な風合いが優れていると評価し
た。 (8)曲げ剛性:熊谷理機工業社製のハンドルオメータ
ーを用いて、スロット幅20mmで測定した。試料とし
ては、縦横200mmの正方形の複合シートを用い、縦
方向と横方向でそれぞれ2点測定し、その平均値(g)
を曲げ剛性とした。この数値が低い程しなやかさがあ
る。 (9)印刷適性 (イ)油性インキ:リョービ2800CD型印刷機(リ
ョービ製)を用いて、得られた防水材のオフセット印刷
適性を評価した。印刷適性は、インキ受理性(インキ表
面へのインキ転移の容易さ)、印刷面の均一性、インキ
セット(印刷面のインキの乾燥速度)等を考慮し、次の
5段階で評価した。 5…オフセット印刷適性が極めて優れている。 4…オフセット印刷適性が優れている。 3…オフセット印刷適性が普通である。 2…オフセット印刷適性が劣っている。 1…オフセット印刷適性が極めて劣っている。 (ロ)水性インキ:150メッシュ、深さ28μmのグ
ラビアロールを用いて、印圧1.0kg/cm2、印刷
速度20m/分にて水性インキの印刷適性を評価した。
印刷適性は、インキ受理性(インキ表面へのインキ転移
の容易さ)、印刷面の均一性、インキセット(印刷面の
インキの乾燥速度)等を考慮し、次の5段階で評価し
た。 5…水性インキでの印刷適性が極めて優れている。 4…水性インキでの印刷適性が優れている。 3…水性インキでの印刷適性が普通である。 2…水性インキでの印刷適性が劣っている。 1…水性インキでの印刷適性が極めて劣っている。
【0035】得られた結果を表1に示した。
【0036】
【表1】 表1から分かるように、引張強度、熱伝導率、防水性、
風合い、曲げ剛性、油性および水性インキによる印刷適
性において本発明の防水材は優れている(実施例1〜
4)。但し不織布と紙シートからなる複合不織布シート
の坪量が低いと、風合いと印刷適正の評価がやや低くな
る(実施例3)が実用的には全く問題ない。これに対
し、スパンボンド不織布と紙シートを積層し、水交絡し
ただけの複合不織布シート(比較例1)では、シート自
体が多孔性で、防水性に欠けると共に、曲げ剛性が高
く、曲がった形状を有するものには適さないから、防水
材として使用できない。また、フィルムシート(比較例
2)は引張り強度が低く、熱伝導率が高いので冷温感に
劣り、印刷適正、とりわけ水性インキによる印刷適正が
劣るので使用できない。
【0037】
【発明の効果】本発明は、引張り強度が高く、冷温感と
防水性に優れ、しなやかで柔軟な風合いを有し、しかも
水性インキで印刷できる衛生材料の防水材を提供すると
いう効果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D04H 3/10 B

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂の連続長繊維フィラメント
    からなるスパンボンド不織布と木材パルプ繊維からなる
    紙シートが積層され、該紙シート側からスパンボンド不
    織布側へ高圧水柱流処理が施された後に、一対のエンボ
    スロールと弾性ロールの間に導入、加圧して部分的に延
    展した複合不織布の不織布面に、ポリオレフィン系合成
    樹脂フィルムがラミネート処理されてなることを特徴と
    する衛生材料の防水材。
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