JP2000220097A - 内装材 - Google Patents

内装材

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JP2000220097A
JP2000220097A JP2056099A JP2056099A JP2000220097A JP 2000220097 A JP2000220097 A JP 2000220097A JP 2056099 A JP2056099 A JP 2056099A JP 2056099 A JP2056099 A JP 2056099A JP 2000220097 A JP2000220097 A JP 2000220097A
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fiber
interior material
heat
nonwoven fabric
fibers
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JP2056099A
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English (en)
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Kazuo Hirasawa
和夫 平沢
Katsuhisa Nakagawa
克久 中川
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NISSHO IWAI SENI GENRYO KK
Sojitz Corp
Original Assignee
NISSHO IWAI SENI GENRYO KK
Nissho Iwai Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、ビニル壁紙に代わり、燃焼時に毒物
が合成されず、風合いや施工適性の良好な内装材を提供
することを目的とする。 【解決手段】本発明の内装材は、セルロース系繊維と、
熱融着繊維とを主素材とし、これらを混合して一層構造
のウエブ、或いは、積層して多層構造のウエブをカード
機等により作成し、このウエブから不織布又はフェルト
を製造し、表面にエンボス加工を施したものである。本
発明の内装材は、表面に凹凸からなるエンボス模様
(1)が形成され、表面側から熱融着繊維の溶融解によ
るフィルム層(2)と、セルロース繊維等に熱融着繊維
が溶融着した内層部(3)とで構成される。また、その
用途やデザインに応じて、裏面に壁紙用原紙(4)を具
備する場合もある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建物、車両、鉄道
車両や航空機の内装材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】建物、鉄道車両、自動車等の内装材(仕
上材、壁紙等をいう。)には、ビニル壁紙が多く使用さ
れている。
【0003】このビニル壁紙は、塩化ビニル樹脂に可塑
剤、充填剤、安定剤、滑剤、難燃剤、発泡剤、チタン、
希釈剤、着色剤(顔料)等を配合した混合材を壁紙用の
原紙にコーティングするコーティング法や、上記混合材
を押出し成形加工により成形した塩化ビニル樹脂フィル
ムを壁紙用の原紙に接着するカレンダー法によって、壁
紙と上記混合材の2層構造を有するシート材を成形し、
シート材の混合材側表面に所定の模様を印刷又はプリン
トし、その後、予熱ロールに通し、さらにヒーターで加
熱し軟化させ、発泡させながらエンボスロールで熱圧接
し混合材の表面に、エンボス(凹凸)模様を形成させて
製造している。
【0004】このビニル壁紙は、表面の斑が少なく、エ
ンボス、印刷、プリント等の加工がし易く、安価に製造
できるので内装材として広く用いられている。
【0005】しかしながら、ビニル壁紙は塩素原子を含
有する塩化ビニル樹脂を主要材料としているため、焼却
時に塩素等の有毒ガスや、ダイオキシンが合成される可
能性があるので、廃棄処理において環境を悪化させる問
題がある。また、火災発生時に上記のように燃焼時に有
毒ガスを発生させるものは、火災による被害を増大させ
る可能性があるので内装材として不適当である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】燃焼時に毒物を合成し
ない内装材を提供すべく、主にセルロース系繊維、及
び、熱融着繊維で構成される繊維布(不織布及びフェル
ト)から内装材を製造することが試みられている。上記
セルロース系繊維等を原材料として内装材を製造する場
合に、従来のビニル壁紙の加工条件において製造して
も、内装材として適度な風合いや施工適性を有する内装
材を製造することが困難である。
【0007】また、このような脱塩ビ内装材としては、
セルロース系繊維を主体とし、表面に難燃剤を混合した
化粧層を有する壁紙(特開平10−100323号公
報、特開平10−131097号公報)が知られている
が、繊維シートがセルロース系繊維を主体とするため、
表面が弱く施工時に傷が付き易いなどの欠点がある。
【0008】そこで、本発明は、上記セルロース系繊維
等の脱塩ビ繊維を原材料としつつも型崩れが生じにく
く、適度の表面強さを有し、かつ、内装材としての適度
な風合いと施工適性を有する内装材を提供することを目
的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の内装材は、セル
ロース系繊維と熱融着繊維との混合繊維ウエブ、或い
は、セルロース系繊維と熱融着繊維とを積層した多層構
造ウエブより製造される不織布又はフェルトの一表面
に、熱融着繊維の融点以上で、かつ、セルロース系繊維
及び熱融着繊維が変成しない温度に加熱したエンボスロ
ーラを圧接してエンボス模様を形成し、かつ、表面に熱
融着繊維の溶融着により形成されるフィルム層を有する
ものである。
【0010】上記の内装材において、熱融着繊維が、芯
部に高融点熱融着繊維を有し、鞘部に低融点熱融着繊維
を有する複合繊維であって、鞘部の低融点熱融着繊維の
融点以上で、かつ、セルロース系繊維及び熱融着繊維が
変成しない温度に加熱したエンボスローラを圧接してエ
ンボス模様を形成し、かつ、表面に熱融着繊維の溶融着
により形成されるフィルム層を有するものとしても良
い。
【0011】セルロース系繊維と、編織用熱可塑性繊維
と、編織用熱可塑性繊維より低融点の熱融着繊維との混
合繊維ウエブより製造される不織布又はフェルトの一表
面に、熱融着繊維の融点以上で、かつ、セルロース系繊
維、編織用熱可塑性繊維及び熱融着繊維が変成しない温
度に加熱したエンボスローラを圧接してエンボス模様を
形成し、かつ、表面に熱融着繊維の溶融着により形成さ
れるフィルム層を有するものでも良い。
【0012】また、上記の不織布又はフェルトの表面
に、熱融着繊維を具備して製造される一又は二以上の不
織布又はフェルトを重ねた不織布又はフェルトであっ
て、その表面に熱融着繊維の溶融着を伴うエンボス加工
を施すことによって、重ねた不織布又はフェルトを融着
し、表面にエンボス模様を形成し、かつ表面に熱融着繊
維の溶融着により形成されるフィルム層を有するもので
もよい。また、不織布又はフェルトに活性炭やセラミッ
クス等の炭素系材料を付与して、ホルムアルデヒド等を
除去、抑制するものとしても良い。
【0013】また、内装材の表面層における熱融着繊維
の混合割合を5〜30%とすることによって、表面層に
より織物的な風合いを持たせることができる。
【0014】上記の内装材において、不織布又はフェル
トの表面に印刷、プリントによる化粧加工は、エンボス
模様形成前に施すことが望ましく、吹き付け塗装による
化粧工程はエンボス模様形成後に施すことが望ましい。
なお、ここで、印刷には、グラビア印刷、グラビア発泡
印刷、ロータリー印刷、ロータリー発泡印刷が適用で
き、プリントには、捺染プリント、又は、プリント印刷
などを適用することができる。
【0015】また、内装材のエンボス加工性、及び、施
工適性を向上させるため、上記の内装材の裏面に壁紙用
原紙が接着されていることが望ましい。なお、内装材と
壁紙用原紙とを接着させる接着剤にシリコン系撥水剤を
混合しても良い。
【0016】ここで、壁紙用原紙には、例えば、普通
紙、半難燃紙、難燃紙、水酸化アルミニウム紙、発泡紙
等を用いることができる。特に、壁紙用原紙に難燃紙を
用いれば、内装材に所要の防火性能を付与することがで
きる。
【0017】上記の内装材において、表面にエンボス模
様を形成する際のエンボス機の条件は、製品の品質向上
を図る上で、深度0.1〜0.8mmの彫刻が施された
エンボスローラを135〜250℃の温度に加熱し、総
圧力を1000〜25000kgに設定し、かつ、10
〜50m/分の速度で圧接するものであることが望まし
い。(ここで、総圧力とは一半間の内装材を製造する際
におけるエンボスローラに作用する総荷重をいう。) 上記の内装材において、中間生成物たる不織布又はフェ
ルトの目付量は、施工適性や経済性を考慮して25〜1
50g/m2であることが望ましく、また、厚みはエン
ボス模様の凹凸がはっきりと出るように0.2〜5mm
であることが望ましい。
【0018】上記の内装材において、エンボス模様形成
前に、不織布又はフェルトの表面にシリコン系撥水剤を
転写又は塗布し、さらに、エンボス模様形成後に、表面
にシリコン系撥水剤を転写又は塗布する撥水加工を施し
ても良い。これによって、内装材の表面に十分な撥水性
を付与することができ、また、エンボス模様形成時にエ
ンボスローラの離型をスムーズに行なうことができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
説明する。
【0020】図1は、本発明の内装材の断面図を示す。
本発明の内装材は、セルロース系繊維と熱融着繊維とを
主素材とし、これらを混合して一層構造のウエブ(以
下、混合ウエブという。)、或いは、積層して多層構造
のウエブ(以下、多層ウエブという。)をカード機等に
より作成し、このウエブから不織布又はフェルトを製造
し、表面にエンボス加工を施したものである。(ここ
で、多層ウエブは、セルロース系繊維と熱融着繊維とを
異なる割合で混合した2以上の混合ウエブを多層構造に
積層したものも含む。) すなわち、本発明の内装材は、表面に凹凸からなるエン
ボス模様(1)が形成され、表面側から熱融着繊維の溶
融解によるフィルム層(2)と、セルロース繊維等に熱
融着繊維が溶融着した内層部(3)とで構成される。ま
た、その用途やデザインに応じて、裏面に壁紙用原紙
(4)を具備する場合もある。
【0021】内装材の表面は難燃処理や化粧加工等が施
される場合がある。本発明の内装材は、従来の内装材と
同様、カッター等によって所定の形状に切られて、建物
や鉄道車両等の壁面や天井に施工される。
【0022】セルロース系繊維は、レーヨン等のセルロ
ース系再生繊維や、アセテート等のセルロース系半合成
繊維などが使用される。セルロース系繊維は、施工上カ
ッター切れを向上させ、また、焼却時に毒物を合成しな
い。
【0023】熱融着繊維は、熱可塑性合成繊維(燃焼時
に塩素やダイオキシンなどの毒物を合成する繊維を除
く。)であり、エンボス加工により溶融して繊維間の結
合力を高める働きがある。また、エンボス加工時に表面
にフィルム層を形成し、エンボス模様を保持すると共
に、表面の毛羽立ちを抑え、型崩れを起きにくくする。
このような熱融着繊維としては融点が110〜160℃
の低融点の熱可塑性合成繊維(燃焼時に毒物を合成する
繊維を除く。)を使用するのが好ましい。
【0024】熱融着繊維は、繊維全体が低融点のもので
も良いが、図2に示すように芯成分(5)として高融点
の熱可塑性合成繊維を有し、鞘成分(6)として低融点
の熱可塑性合成繊維を有する芯鞘型複合繊維を用いるこ
とが好ましい。この芯鞘型複合繊維を用いる場合は、エ
ンボス加工により鞘部分が溶融解しても、セルロース繊
維の他、芯成分の繊維形態が残るので、内装材表面に適
度な風合いを持たせることができる。芯鞘型複合繊維と
しては、例えば、芯成分として融点が255〜260℃
である熱可塑性ポリエチレンテレフタレート(以下、高
融点ポリエチレンテレフタレートという。)を有し、鞘
成分として融点が125〜135℃である熱可塑性ポリ
エチレン(以下、熱可塑性ポリエチレンという。)、融
点が約110℃である熱可塑性ポリエチレンテレフタレ
ート(以下、低融点ポリエチレンテレフタレートAとい
う。)、又は、融点が約160℃である熱可塑性ポリエ
チレンテレフタレート(以下、低融点ポリエチレンテレ
フタレートBという。)を有するもの等がある。
【0025】なお、鞘成分に熱可塑性ポリエチレン(比
重:0.94g/cm2)を用いている芯鞘型複合繊維
は、鞘成分にポリエチレンテレフタレート(比重:1.
38g/cm2)を用いるものに比べ、鞘成分の比重が
軽いため内装材を嵩高にすることができ、かつ、軽量に
することができる。
【0026】また、不織布又はフェルトを製造する際
に、セルロース系繊維と、熱融着繊維との混合ウエブ或
いは多層ウエブ内に、通常の有機繊維からなる編織用熱
可塑性合成繊維を混合しても良い。編織用熱可塑性合成
繊維は、高融点ポリエチレンテレフタレート、融点が1
65〜173℃である熱可塑性ポリプロピレン、或い
は、難燃ポリエチレンテレフタレート等であり、5〜5
0%の割合でウエブ内に混合する。また、熱融着繊維は
編織用熱可塑性繊維より低融点のものを用いる。これに
より、エンボス加工後、セルロース系繊維、(熱融着性
繊維の芯成分)、及び、編織用熱可塑性合成繊維が繊維
形態で残り、内装材表面に適度な風合いを持たせること
ができる。
【0027】熱融着繊維の使用量は、5〜90%で設定
するが、熱融着繊維が少なすぎるとエンボス模様の強度
が不足し型崩れが起きやすくなり、反対に多すぎると、
風合いが硬くなりすぎ、また、強度が増しカッターの切
れが悪くなるなど施工適性が低下する。
【0028】特に、内装材の表面層を形成する不織布
(フェルト)において熱融着繊維の割合を5〜30%に
設定することによって、織物的な風合いに仕上ることが
できる。また、建物、天井等の仕上材として使用すると
きは、剛性を持たせるため熱融着繊維の割合を多くする
のが好ましい。
【0029】この場合、セルロース系繊維及び熱融着繊
維(芯成分:高融点ポリエチレンテレフタレート/鞘成
分:低融点ポリエチレンテレフタレート)の2種類の繊
維を組み合わせてなるウエブや、セルロース系繊維、高
融点ポリエチレンテレフタレート及び熱融着繊維(芯成
分:高融点ポリエチレンテレフタレート/鞘成分:熱可
塑性ポリエチレン、低融点ポリエチレンテレフタレート
A又は低融点ポリエチレンテレフタレートB)の3種類
の繊維を組み合わせてなるウエブを用いるのが適当であ
る。
【0030】上記繊維素材そのものに耐薬品性、防か
び、耐菌性、非アレルギー性があり、無毒性で安全なも
のであることが好ましい。なお、上記に挙げる繊維素材
は、燃焼時に塩素ガスやダイオキシン等の有毒ガスを発
生させるものではない。
【0031】不織布又はフェルトは、上記セルロース系
繊維と熱融着繊維とを混合した一層構造のウエブ、或い
は、積層した多層構造ウエブ、又は、これらに編織用熱
可塑性合成繊維を混合させたウエブから形成される。不
織布又はフェルト製造工程の前には、カード機により短
繊維を一方方向に揃えて作るカードウエブ方式が特に好
ましい。カードウエブ方式は繊維が一方方向に並んでい
るため、印刷時のぼやけが少ないからである。上記ウエ
ブは、溶解した任意の樹脂を紡糸した長繊維を積層して
作られるスパンボンドウエブ方式や、繊維、パルプを水
中に分散させ金網で掬い取る湿式ウエブ方式等のその他
の方法で作製するものでも良い。
【0032】ウエブの構成繊維を結合して不織布にする
方法としては、水流による流体パンチ法(スパンレース
法)が特に好ましい。スパンレース法は、水流の圧力に
より一方方向でウエブの繊維を絡ませるので表面の毛羽
立ちが少なく印刷適性が良いからである。他にスパンボ
ンド法不織布、湿式法不織布、サーマル不織布、ニード
ルリング法不織布、乾式不織布、乾式パルプ不織布、メ
ルトブロー式不織布、フラッシュ紡糸式不織布、エアー
レイド式不織布、バインダ接着法等も使用できる。
【0033】上記の不織布の裏面に熱融着繊維の混合割
合の異なる不織布又はフェルトを重ね合わせ、表面にエ
ンボス加工を施してもよい。これにより、内装材を表面
層と裏面層の構成を変えることができ、例えば、表面層
には、エンボス性、印刷性、風合い、防汚性、肌触り等
を考慮して表面形成に適した不織布(フェルト)を選択
し、裏面層(内部層)には、施工性、経済性、不燃性、
嵩高性等を考慮して不織布(フェルト)を選択すること
ができる。
【0034】また、不織布又はフェルトに活性炭、カー
ボン繊維やセラミックス等の炭素系素材を混合したもの
であっても良い。この場合上記の炭素系素材の働きによ
り、不織布(フェルト)自体にホルムアルデヒド等を除
去、抑制する作用を持たせることができる。
【0035】不織布又はフェルトの目付量、厚みは、エ
ンボスロールの深度、用途に応じて設定する。
【0036】不織布又はフェルトの目付量は、25g/
2未満ではエンボス模様に立体感が乏しくなり、15
0g/m2を超えると強度が高まりすぎ、施工適性、加
工適性が悪くなる上、材料コストが膨らみ不経済となる
ので、25〜150g/m2に設定されるが、特に55
〜80g/m2であることが望ましい。また、不織布又
はフェルトの厚さは、0.2mm未満では凹凸がはっき
り出ず、5mmを超えると凹凸の差が出すぎて凹部の汚
れが取れにくくなり非衛生的になるので、0.2〜5m
mに設定されるが、特に0.3〜0.8mmが好まし
い。
【0037】上述ように形成される不織布又はフェルト
は、通常、建物等建築物の内装材(壁紙)として使用す
る場合は、裏面に壁紙用原紙(普通紙、難燃紙、水酸化
アルミニウム紙等)が張り付けられる。壁紙用原紙を貼
り付けることにより、良好なエンボス模様が形成される
等のエンボス加工性の向上が図られ、また、カッタ切れ
が良くなる等の施工適性が向上して建物、天井等の仕上
材として適した内装材となる。なお、貼り付けには、焼
却しても毒性物質が生じないように澱粉系若しくは酢酸
ビニルエマルジョンなどの接着剤を用いる。なお、壁紙
用原紙は、エンボス加工性や施工適性を向上させるもの
であるが、本実施形態における内装材を簡易なシート材
として使用し、施工適性を向上させる必要がない場合は
壁紙用原紙を貼り付ける必要はない。
【0038】なお、壁紙用原紙の接着において、接着剤
にシリコン系撥水剤(シリコンは溶剤系撥水性、水性系
撥水性のどちらでも良い。)を混合し、不織布又はフェ
ルトの裏面に撥水性を付与することが望ましい。この場
合、内装材施工時に、壁紙用原紙に塗布する接着剤が内
装材内部に浸透することを防止でき、接着剤が乾くのを
遅くすることができる。これによって、接着剤の塗布か
ら内装材の貼り付けまでの時間(オープンタイム)が長
くなるので、内装材の施工がし易くなる。
【0039】シリコン系撥水剤の添加量は、接着剤の重
量に対して5〜40%とすることが良く、特に10〜2
0%とすることが撥水効果及び経済性を考え適量であ
る。なお、必要に応じて、防かび、抗菌剤を接着剤に混
合しても良い。
【0040】また、不織布又はフェルトの表面は、無
地、又は、用途やデザインに応じて難燃、撥水、防汚、
防かび、抗菌、化粧等の表面処理が施される。これら
は、原綿段階で材料内に付与しても良い。
【0041】撥水処理は、シリコン系撥水剤(シリコン
は溶剤系撥水性、水性系撥水性のどちらのものでも良い
が、特に水性系撥水性のものが望ましい。)を表面に塗
布又は転写することによって行われるが、エンボス模様
形成の前後において2回に分けて行なうことが望まし
い。
【0042】図3に示すように、上記の撥水処理をエン
ボス模様形成の前後において2回に分けて行なった内装
材は、表面にエンボス模様(11)が形成され、表面側
から2回目の撥水処理による撥水層(12)と、1回目
の撥水処理による撥水層(13)と、熱融着繊維の溶融
解層によるフィルム層(14)と、セルロース繊維に熱
融着繊維が溶融着した内部層(15)と、接着材にシリ
コン系撥水剤を混合した接着層(16)と、壁紙用原紙
(17)とで構成される断面構造を有する。なお、内装
材の用途やデザインに応じて、内部層(15)を繊維構
成の異なる多層構造(15a,15b)とする場合もあ
る。
【0043】エンボス模様形成前にされる撥水処理(以
下、一次撥水という。))は、内装材の表面に撥水性を
付与する作用の他に、エンボスローラの離型を良好にす
る作用があるので、繊維がエンボスローラに引っ掛りに
くくなり表面の品質を良好なものとすることができ、ロ
ーラの速度も速くすることができる。更に、表面処理剤
に界面活性剤を混合することにより、エンボスローラに
繊維が引っ掛かり又は絡まることを抑制することがで
き、良好なエンボス模様を形成することができる。
【0044】エンボス模様形成後にされる撥水処理(以
下、二次撥水という。)は、エンボス模様形成前にされ
た1回目の撥水処理の斑を補うもので、内装材の表面に
斑のない撥水効果を生じさせるものである。シリコン系
撥水剤の添加量は、不織布又はフェルトの重量に対して
5〜40%とすることが好ましい。5%未満では必要な
撥水効果が選られず、また、40%を超えると不経済と
なるからである。特に、10%〜25%であることが好
ましい。
【0045】なお、撥水処理を行なう場合、印刷又はプ
リントによる化粧処理は、1回目の撥水処理の前にする
ことが望ましい。
【0046】撥水処理は、内装材表面に防汚性能を付与
するものであるが、上記一次撥水のみでは、エンボスロ
ーラの接触により撥水層に裂目生じ、十分な撥水効果が
得られない可能性がある。また、上記二次撥水のみで
は、エンボス模様の凹凸により、全体に十分な撥水層を
形成することができない。そのため、上述のように、一
次撥水をし、更に二次撥水をすることにより、裂目のな
い撥水層が形成できるので十分な撥水性能を確保するこ
とができる。
【0047】難燃剤は、燃焼時に毒物を合成しないスル
ファミン酸グアニジン、燐酸グアニジン、三酸化アンチ
モン、水酸化ジルコニウム、メタ硼酸バリウム、水酸化
アルミニウム、水酸化マグネシウム等が好ましい。建
物、天井等の仕上材として使用するときは、裏面に難燃
紙を接着することにより、難燃剤を付与すること無く建
設省が定める防火認定で2級を取得することが可能であ
る。
【0048】難燃剤の添加量は、建物、天井等の仕上材
の10〜40%が好ましい。特に15〜30%が好まし
く、10%未満であると難燃効果が足りず、40%を超
えると不経済となる。
【0049】また、化粧工程は、印刷、プリント、染
色、吹き付けによって行われる。
【0050】印刷及びプリントによる場合はエンボス工
程前に行うことが好ましい。これは、エンボス工程後に
印刷又はプリントを施すと、エンボス模様が型崩れし、
製品価値が無くなる可能性があるからである。但し、染
料や印刷柄(プリント柄)によっては、印刷(プリン
ト)後にエンボス加工を行うことにより印刷斑又はプリ
ント斑が生じこれが目立つ場合があるので、この場合
は、特に印刷又はプリントをエンボス加工後に行うこと
が望ましい。例えば、不織布にあまり浸透しない染料
や、無地柄の場合、また、鋭角的なエンボス模様を形成
する場合は、エンボス加工時に印刷面が損なわれ易いの
で、エンボス加工後に印刷を修正する必要が生じるから
である。
【0051】また、吹き付けによる場合はエンボス工程
後に行うことが好ましい。これはエンボス工程前に吹き
付けを施すと吹き付け塗装剤に含まれた顔料等の粒子が
大きく硬いため、彫刻エンボスロールの溝に目詰まりを
起こし、製造上不都合が生じる可能性があるからであ
る。なお、吹き付け塗装による場合は、塗装溶液に必要
に応じて、撥水剤、防かび剤、防汚剤等を混合すること
により、同時に撥水、防かび、防汚等の表面処理を施す
ことができる。
【0052】内装材の表面の模様を形成するエンボス加
工は、従来、ペーパーや一部の不織布、織物、皮製品等
の製造に使用されている熱エンボス機を使用する。以下
に、本発明で使用する際のエンボス機の条件を示す。
【0053】エンボス機は、表面に所定の模様の彫刻を
有するエンボスロールを具備し、所定温度に加熱したエ
ンボスロールを不織布等に圧接し、エンボスロールの模
様に対応した模様を不織布の表面に形成するものであ
る。
【0054】エンボスロールの深度は、模様や柄により
変更される。これは鋭角的な模様や柄に深い深度を設定
すると、裏抜けが生じたり素材が裂ける可能性があるの
で、通常は0.1〜0.8mmの範囲に設定されるが、
特に、安定したエンボス模様を形成するため、及び、模
様にボリューム感を与えるために0.3〜0.6mmで
あることが好ましい。
【0055】エンボス加工は、135〜250℃の温度
に加熱したエンボスローラを、総圧力1000〜250
00kgで上記の不織布又はフェルトの表面に圧接させ
つつ、10〜50m/分の加工速度で行う。
【0056】この際、エンボスロールの温度は、135
℃未満では、溶融効果が少なく型崩れが起きやすくな
り、250℃を超えるとセルロース系繊維が炭化点に達
し表面が焼け始めるので、135〜250℃に設定され
るが、特に、表面の熱融着繊維を十分に溶融解させるた
め、及び、加工能率の向上を図るために200〜250
℃に設定することが好ましい。また、エンボスローラの
温度を上記設定範囲内で、高融点テレフタレートの軟化
点(238℃〜240℃)よりも高く設定することで、
エンボス加工において高融点テレフタレートが繊維形態
を保持したまま軟化するので、より明確なエンボス模様
を形成することができ、また、繊維間の結合力も強くな
って形態安定性が増す。
【0057】エンボスロールの総圧力は、1000kg
未満では、適度な凹凸を形成することができず、250
00kgを超えると必要以上に凹凸が入り隠蔽性が悪く
なるので、1000〜25000kgに設定されるが、
特に、良好なエンボス模様を効率よく形成するために1
000〜12000kgであることが好ましい。加工速
度は、10m/分未満では不経済となり、50m/分を
超えると良好なエンボス模様が得られないので、10〜
50m/分と設定されるが、特に、良好なエンボス模様
を効率よく形成するために10〜40m/分であること
が好ましい。
【0058】実施形態1の内装材(以下、内装材とい
う。)ついて説明する。
【0059】内装材の製造方法は以下の通りである。
【0060】まず、融点が255〜260℃である高融
点ポリエチレンテレフタレートを芯成分に用い、融点が
110℃程度である低融点ポリエチレンテレフレートA
を鞘成分に用いた芯鞘型複合繊維 (熱融着繊維)10
0%からなる第1ウエブを表面とし、セルロース系繊維
10〜100%と上記と同様の芯鞘型複合繊維(熱融着
繊維)90〜0%の割合に混合した第2ウエブを裏面と
して、2枚のカードウエブを重ね合わせて、水流圧でパ
ンチングし、目付量が25〜150g/m2、厚さが
0.2〜5mmの二層構造のスパンレース不織布を作
る。(不織布の代りにフェルトを作っても良い。) 澱粉系若しくは酢酸ビニルエマルジョン系の接着剤に、
シリコン系撥水剤を混合した接着剤を,壁紙用原紙に塗
布して不織布の裏面に壁紙用原紙を接着する。なお、上
記接着剤には必要に応じて、防かび剤や難燃剤を混合し
ても良い。
【0061】次に、不織布(フェルト)の表面処理とし
て、印刷又はプリントによる化粧工程を施し、更に一次
撥水剤を塗布する。
【0062】深度0.1〜0.8mmに彫刻したエンボ
スロールの温度を135〜250℃にし、総圧力を10
00〜25000kgに設定して10〜50m/分の加
工速度でエンボス加工を行い、不織布(フェルト)の表
面にエンボス模様をつける。
【0063】最後に、内装材に表面に二次撥水剤を塗布
する。
【0064】この結果得られる内装材は、不織布(フ
ェルト)の表面にフィルム効果が得られ、0.1〜0.
8mmのエンボス模様が光沢の無い風合いに仕上がり、
かつ、形態安定性の良好なものとなる。また、内装材
は、壁紙用原紙の接着において接着剤に撥水剤が混合さ
れているのでオープンタイムを長く取れ、また、エンボ
ス加工前に塗布した一次撥水剤により撥水機能を有し、
かつ、エンボスローラの離型が良く、更に、エンボス加
工後の二次撥水剤により撥水機能の斑がないものとな
る。
【0065】次に、実施形態2の内装材(以下、内装材
という。)について説明する。
【0066】内装材は、内装材と同様の不織布(フ
ェルト)に同様に壁紙用原紙を接着したものであるが、
内装材における一次撥水剤及び二次撥水剤の塗布を省
略したものである。この内装材は、内装材のように
内装材表面の撥水機能やエンボスローラの離型が良好と
なる効果はないが、壁紙用原紙の接着において接着剤に
撥水剤が混合されているのでオープンタイムは内装材
と同様に長く取れるものである。
【0067】次に、実施形態3の内装材(以下、内装材
という。)について説明する。
【0068】内装材は、内装材と同様の不織布(フ
ェルト)に同様に壁紙用原紙を接着し、深度0.1〜
0.8mmに彫刻したエンボスロールの温度を135〜
250℃にし、総圧力を1000〜25000kgに設
定して10〜50m/分の加工速度でエンボス加工を行
う。次に化粧工程として、顔料、難燃剤を混合した溶液
(この溶液に必要に応じて、撥水剤、防かび剤、防汚剤
等を混合できる。)を表面に吹き付け塗装を行ったもの
である。内装材は、吹き付け塗装によって和風調の土
壁、石目の様な風合いにある落ち着いた建物、天井材等
の仕上材が得られる。
【0069】次に、実施形態4の内装材(以下、内装材
という。)について説明する。
【0070】内装材は、上述の芯鞘型複合繊維を10
〜90%とセルロース系繊維90〜10%からなる第1
ウエブを表面とし、セルロース系繊維10〜90%と上
述の芯鞘型複合繊維90〜10%の割合に混合した第2
ウエブを裏面として、2枚のカードウエブを重ね合わせ
て、水流圧でパンチングし、目付量が25〜150g/
2、厚さが0.2〜5mmの二層構造のスパンレース
不織布を作り、以下、内装材と同様の加工を施したも
のである。内装材は、内装材に比べ表面層にセルロ
ース系繊維を有しているので、より温かみがあり、形態
安定性に優れ、かつ、光沢の無い風合いに仕上げられ
る。
【0071】次に、第5実施形態の内装材(以下、内装
材という。)について説明する。
【0072】内装材は、セルロース系繊維95〜70
%、上述の芯鞘型複合繊維を5〜30%の割合で混合し
たウエブに水流圧でパンチングを施し、目付量が25〜
150g/m2、厚み0.2〜5mmの一層構造のスパ
ンレース不織布を作り、次に実施形態と同様の加工工
程を行う。その結果得られる内装材は、フィルム効果
が得られる上に、表面に溶融しないセルロース系繊維が
毛羽状に残るので、繊維素材のようなソフトな肌触り
と、温かみのある仕上がりとなって、織物的な風合いを
有するものとなる。
【0073】次に、第6実施形態の内装材(以下、内装
材という。)について説明する。
【0074】内装材は、融点が255〜260℃の高
融点ポリエチレンテレフタレートを芯成分に用い、融点
が110℃程度の低融点ポリエチレンテレフタレートA
を鞘成分に用いた芯鞘型複合繊維100%で構成され、
スパンポンド法或いは湿式法による第一の不織布を、セ
ルロース系繊維と熱融着性繊維との混合ウエブ或いは多
層ウエブから製造するスパンレース不織布の表面に重ね
合わせ、水流パンチング、ニードルパンチング、ラミネ
ート等を施して結合した合成不織布を作り、この不織布
に内装材と同様の加工工程を行ったものである。
【0075】その結果得られる内装材は、内装材と
同様の表面が形成されるが、裏面にスパンレース不織布
を使用しているので、特有のボリューム感がある。
【0076】なお、内装材は、裏面に重ねられる不織
布の繊維構成や製造方法を変更することにより、内装材
に用途に応じて剛性やボリューム感を変えることができ
る。この実施形態においては、裏面にスパンレース不織
布を用い、表面に他の製造方法による不織布を用いてい
るが、本発明はこれに限らず不織布は自由に組み合すこ
とができる。また、表面、内層、裏面にそれぞれ異なる
不織布を組み合せることも可能である。
【0077】以下、本発明による内装材の実施例を示
し、本発明によらない内装材と比較する。
【0078】実施例1は、一層目(表面層)を、低融点
ポリエチレンテレフタレートAを鞘成分、高融点ポリエ
チレンテレフタレートを芯成分とする芯鞘型複合繊維ス
テープル(繊度2デニール、繊維長51mm)100重
量部のカードウエブとし、二層目(裏面層)を、レーヨ
ンステーブル(繊度5.0デニール、繊維長40mm)
を90重量部、低融点ポリエチレンテレフタレートAを
鞘成分、高融点ポリエチレンテレフタレートを芯成分と
する芯鞘型複合繊維ステープル(繊度2デニール、繊維
長51mm)を10重量部の割合で混合したカードウエ
ブとし、これら二枚のカードウエブを全目付量80g/
2で重ね合わせて二層構造ウエブを形成し、これに水
流圧でパンチングを施し厚みが0.7mmの不織布を作
る。
【0079】次に、壁紙用難燃紙に酢酸ビニルエマルジ
ョン系接着剤にシリコン系撥水剤を混合した接着剤を塗
布して、不織布の裏面に接着する。次に多色模様のプリ
ントを施し、更に、シリコン系撥水剤を表面処理剤とし
て塗布し、これを乾燥させた後、深度が0.5mmの格
子柄の彫刻を有するエンボスロールを、温度を230
℃、総圧力を16000kg、回転速度を20m/分に
設定してエンボス加工を行う。エンボス加工後、シリコ
ン系撥水剤を混合する表面処理剤により表面処理を行な
う。
【0080】これによって得られる実施例1の内装材
は、フィルム効果があり、ビニル壁紙の様な冷たい感じ
の光沢がなく、防汚性能や撥水性能に優れ、また、オー
プンタイムも長く施工性に優れた、今までにない新規な
内装材となる。また、レーヨンステーブルの繊度を5.
0デニールとしているので、十分にボリューム感のある
内装材となる。
【0081】実施例2は、一層目(表面層)を、低融点
ポリエチレンテレフタレートAを鞘成分、高融点ポリエ
チレンテレフタレートを芯成分とする芯鞘型複合繊維ス
テープル(繊度2デニール、繊維長51mm)100重
量部のカードウエブとし、二層目(裏面層)を、レーヨ
ンステーブル(繊度1.5デニール、繊維長40mm)
を90重量部、低融点ポリエチレンテレフタレートAを
鞘成分、高融点ポリエチレンテレフタレートを芯成分と
する芯鞘型複合繊維ステープル(繊度2デニール、繊維
長51mm)を10重量部の割合で混合したカードウエ
ブとし、これら二枚のカードウエブを全目付量80g/
2で重ね合わせて二層構造ウエブを形成し、これに水
流圧でパンチングを施し厚みが0.7mmの不織布を作
る。
【0082】次に、上記不織布に、酢酸ビニルエマルジ
ョン系接着剤にシリコン系撥水剤を混合した接着剤を壁
紙用の難燃紙に塗布して接着する。次に多色模様のプリ
ントを施し、更に、シリコン系撥水剤を塗布し、これを
乾燥させた後、深度が0.5mmの格子柄の彫刻を有す
るエンボスロールを、温度を230℃、総圧力を160
00kg、回転速度を20m/分に設定してエンボス加
工を行う。
【0083】これによって実施例2の内装材は、フィル
ム効果があり、ビニル壁紙の様な冷たい感じの光沢がな
く、施工性にも優れた、今までにない新規な内装材とな
る。
【0084】なお、実施例2の内装材は、一次撥水処理
が施されているので、一応の防汚性能はある。
【0085】実施例3は、実施例2と同様の不織布を作
る。
【0086】次に、上記不織布に、酢酸ビニルエマルジ
ョン系接着剤にシリコン系撥水剤を混合した接着剤を壁
紙用の難燃紙に塗布して接着する。これを乾燥させた
後、深度が0.5mmの格子柄の彫刻を有するエンボス
ロールを、温度を230℃、総圧力を16000kg、
回転速度を20m/分に設定してエンボス加工を行う。
次に、多色模様の無機質系顔料を配合し、難燃剤を混合
した吹き付け剤で、吹き付け塗装を行う。
【0087】これによって実施例3の内装材は、実施例
2の内装材に比べ、吹き付け塗装により日本の土壁風で
落ち着きがあり、ボリューム感のある新規な内装材とな
る。
【0088】実施例4は、一層目(表面層)を、低融点
ポリエチレンテレフタレートAを鞘成分、高融点ポリエ
チレンテレフタレートを芯成分とする芯鞘型複合繊維ス
テープル(繊度2デニール、繊維長51mm)100重
量部のカードウエブとし、二層目(裏面層)を、レーヨ
ンステープル(繊度1.5デニール、繊維長40mm)
を80重量部、難燃ポリエチレンテレフタレートを(繊
度2デニール、繊維長51mm)20重量部の割合で混
合したカードウエブとし、これら二枚のカードウエブを
全目付量80g/m2で重ね合わせて二層構造とし、こ
れに水流圧でパンチングを施し厚みが0.7mmの不織
布を作る。
【0089】次に、上記不織布に、酢酸ビニルエマルジ
ョン系接着剤にシリコン系撥水剤を混合した接着剤を壁
紙用の難燃紙に塗布して接着する。次に多色模様のプリ
ントをし、更に、シリコン系撥水剤を塗布する。これを
乾燥させた後、深度が0.5mmの格子柄の彫刻を有す
るエンボスロールを、温度を230℃、総圧力を160
00kg、回転速度20m/分に設定してエンボス加工
を行う。
【0090】これによって実施例4の内装材は、フィル
ム効果があるが、ビニル壁紙の様な冷たい感じの光沢は
なく、防汚性能があり、施工性にも優れた効果がある上
に、不織布製造上で難燃繊維を付与することにより後加
工での難燃処理が不必要になり、経済的であり、今まで
に無い新規な内装材となる。
【0091】実施例5は、一層目(表面層)を、低融点
ポリエチレンテレフタレートAを鞘成分、高融点ポリエ
チレンテレフタレートを芯成分とする芯鞘型複合繊維ス
テープル(繊度2デニール、繊維長51mm)100重
量部のカードウエブとし、二層目(裏面層)を、レーヨ
ンステープル(繊度1.5デニール、繊維長40mm)
を70重量部、難燃レーヨンを20重量部、低融点ポリ
エチレンテレフタレートを鞘成分、高融点ポリエチレン
テレフタレートを芯成分とする芯鞘型複合繊維ステープ
ル(繊度2デニール、繊維長51mm)を10重量部の
割合で混合したカードウエブとし、これら二枚のカード
ウエブを全目付量80g/m2で重ね合わせて二層構造
のカードウエブを形成し、これに水流圧でパンチングを
施し厚みが0.7mmの不織布を作る。次に、実施例4
と同様の加工を行う。
【0092】これによって実施例5の内装材は、フィル
ム効果があるが、ビニル壁紙の様な冷たい感じの光沢は
なく、防汚性能があり、施工性にも優れた効果がある上
に、不織布製造上で難燃繊維を付与することにより後加
工での難燃処理が不必要になり、経済的であり、今まで
に無い新規な内装材となる。
【0093】実施例6は、レーヨンステープル(繊度
1.5デニール、繊維長40mm)を90重量部、低融
点ポリエチレンテレフタレートAを鞘成分、高融点ポリ
エチレンテレフタレートを芯成分とする芯鞘型複合繊維
ステープル(繊度2デニール、繊維長51mm)を10
重量部の割合で混合した目付量80g/m2のカードウ
エブに、水流圧でパンチングを施し厚みが0.7mmの
不織布を作る。次に、実施例2と同様の加工を行う。
【0094】これによって実施例7の内装材は、表面に
溶融しないレーヨンステーブルが残るので、温かみがあ
るソフトな肌触りと適度な弾力感がある織物的な風合い
を有する仕上がりとなる。また、フィルム効果があり、
ビニル壁紙のような冷たい感じの光沢が無く、防汚性能
があり、施工性にも優れた、今までにない新規な内装材
となる。
【0095】実施例7は、一層目(表面層)を、レーヨ
ンステープル(繊度1.5デニール、繊維長40mm)
を90重量部、低融点ポリエチレンテレフタレートAを
鞘成分、高融点ポリエチレンテレフタレートを芯成分と
する芯鞘型複合繊維ステープル(繊度2デニール、繊維
長51mm)10重量部の割合で混合したカードウエブ
とし、二層目(裏面層)を、レーヨンステープル(繊度
1.5デニール、繊維長40mm)を50重量部、低融
点ポリエチレンテレフタレートを鞘成分、熱可塑性ポリ
エチレンを芯成分とする芯鞘型複合繊維ステープル(繊
度2デニール、繊維長51mm)を50重量部の割合で
混合したカードウエブとし、これら二枚のカードウエブ
の全目付量を80g/m2で重ね合わせて、水流圧でパ
ンチングを施し厚みが0.7mmの不織布を作る。次
に、実施例2と同様の加工を行う。
【0096】これによって実施例8の内装材は、実施例
7の内装材同様、表面に溶融しないレーヨンステーブル
が残るので、温かみがあるソフトな肌触りと適度な弾力
感がある織物的な風合いを有する仕上がりとなる。更
に、本実施例の内装材は裏面層に熱融着繊維を比較的多
く含むので、形態安定性が良好で適度な剛性を有するも
のである。また、フィルム効果があり、ビニル壁紙のよ
うな冷たい感じの光沢が無く、防汚性能があり、施工性
にも優れた、今までにない新規な内装材となる。
【0097】比較例1は、実施例2の不織布に代えて、
原料を高融点ポリエチレンテレフタレートステープルか
熱可塑性ポリプロピレン100%にした不織布で実施例
2同様の加工を行う。比較例1の内装材は、ぼやけたエ
ンボス模様になり、施工性の悪い製品になる。
【0098】比較例2は、実施例2の不織布に代えて、
原材料を芯鞘型複合繊維ステープル(芯成分:高融点ポ
リエチレンテレフタレート/鞘成分:低融点ポリエチレ
ンテレフタレート)100%にした不織布で実施例2同
様の加工を行う。比較例2の内装材は、エンボス模様は
入るが、隠蔽性が悪くなり、非常に硬く施工性の悪い製
品となる。
【0099】比較例3は、実施例2の不織布に代えて、
原材料を芯鞘型複合繊維ステープル(芯成分:高融点ポ
リエチレンテレフタレート/鞘成分:低融点ポリエチレ
ンテレフタレート)10〜90%、高融点ポリエチレン
テレフタレート90〜10%にした不織布で実施例2同
様の加工を行う。比較例3の内装材は、エンボス模様は
入るが、非常に硬く施工性の悪い製品になる。
【0100】比較例4は、実施例2の不織布に代えて、
原料をセルロース系繊維ステープル100%にした不織
布で実施例2と同様の加工を行う。比較例4の内装材
は、浅くぼやけたエンボス模様となり、非常に毛羽が多
く印刷性、施工性の悪い製品になる。
【0101】比較例5は、実施例2の不織布に代えて、
原材料を芯鞘型複合繊維ステープル(芯成分:高融点ポ
リエチレン/鞘成分:低融点ポリエチレンテレフタレー
ト)10〜90%、熱可塑性ポリプロピレン90〜10
%とした不織布で実施例1同様の加工を行う。比較例5
の内装材は、エンボス模様は入るが、印刷性が悪く、施
工性の悪い製品になる。
【0102】前記の実施例1〜7及び比較例1〜5の内
装材について、得られる内装材の表面のエンボス模様、
印刷性、施工性を目視と施工作業によって、下記の基準
に従って評価し、その結果を表1に示す。 ◎:凹凸間がはっきりとし、ボリューム感があり、繊維
が表面から出てなく、表面強度があり、表裏の撥水性に
優れる。印刷がぼやけず、カッター切れが良く、ローラ
ーや刷毛をかけても表面がほぐれず、ジョイントが開か
ない。 ○:凹凸間がはっきりとし、繊維が表面から出てなく、
表面強度があり、印刷がぼやけず、カッター切れが良
く、ローラーや刷毛をかけても表面がほぐれず、ジョイ
ントが開かない。 ○' :凹凸間がはっきりとし、織物的な風合いを有し、
印刷がぼやけず、カッター切れが良く、ローラーや刷毛
をかけても表面がほぐれず、ジョイントが開かない。 △:凹凸間がはっきりするが、繊維が表面から出て、印
刷がぼやけ、カッター切れが悪く施工性は悪い。 ×:凹凸間がはっきりせず、繊維が表面から出て、印刷
がぼやけ、カッター切れが悪く、ローラや刷毛をかけた
ら表面がほぐれて型崩れし、ジョイントが開く。
【0103】
【表1】
【0104】
【発明の効果】本発明の内装材は、セルロース系繊維と
熱融着繊維とを主成分とする不織布より加工されるの
で、燃焼時に塩素やダイオキシンなどの毒物を発生させ
ることはなく、また、繊維の持つ暖かみがある。エンボ
ス加工時に、熱融着繊維(低融点熱可塑性繊維)が完全
に溶け、セルロース繊維(高融点熱可塑性繊維)等の繊
維間の結合力が高まるので、形態安定性に優れると共
に、表面にフィルム層が形成されるので、光沢の無い風
合いが生じ、エンボス模様がはっきりと形成され、表面
の傷や毛羽立ち、型崩れを防ぐといったフィルム効果を
生み出す。
【0105】熱融着繊維として、芯成分に高融点熱可塑
性繊維を有し、鞘成分に低融点熱可塑性繊維を有する芯
鞘型複合繊維を用いた場合は、エンボス加工時に低融点
熱可塑性繊維が完全に溶けた場合でも高融点熱可塑性繊
維が繊維形態で残り、セルロース系繊維や編織用熱可塑
繊維と溶融着するので、繊維の結合力が高まりより形態
安定性に優れたものとなる。
【0106】熱融着繊維の量を増やすことにより、内装
材の剛性が高くなるので、壁紙用原紙を有しないで内装
材を構成でき、加工コストを低減することができる。
【0107】また、表面層と裏面層に熱融着繊維の混合
割合等の材料構成の異なる不織布を用いることができる
ので、用途に応じて、表面層、裏面層に異なる特徴を有
する内装材を作成することができる。
【0108】プリントや印刷によって行われる化粧工程
を、エンボス加工をする前に行うことによって、不織布
に多色模様を有するエンボス模様が形成されると共に、
表面にフィルム層が形成されるので、良好なエンボス模
様とフィルム効果を有する内装材ができる。
【0109】また、吹き付けによって行われる化粧工程
を、エンボス加工をする後に行うことによって、通常の
エンボス工程形成後に化粧工程が行われることとなるの
で、吹き付け顔料によってエンボス模様が阻害されるこ
と無く形成でき、和風調の土壁や石目といった落ち着い
た風合いの内装材ができる。
【0110】また、撥水処理をエンボス加工の前後に行
なうことにより、十分な撥水性能とエンボスローラの離
型性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の内装材の概略断面図。
【図2】 芯鞘型複合繊維の概略斜視図。
【図3】 本発明の内装材の概略断面図。
【符号の説明】
1 エンボス模様 2 フィルム層 3 内部層 4 壁紙用原紙 5 芯成分 6 鞘成分
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年2月4日(2000.2.4)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 内装材
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建物、車両、鉄道
車両や航空機の内装材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】建物、鉄道車両、自動車等の内装材(仕
上材、壁紙等をいう。)には、ビニル壁紙が多く使用さ
れている。
【0003】このビニル壁紙は、塩化ビニル樹脂に可塑
剤、充填剤、安定剤、滑剤、難燃剤、発泡剤、チタン、
希釈剤、着色剤(顔料)等を配合した混合材を壁紙用の
原紙にコーティングするコーティング法や、上記混合材
を押出し成形加工により成形した塩化ビニル樹脂フィル
ムを壁紙用の原紙に接着するカレンダー法によって、壁
紙と上記混合材の2層構造を有するシート材を成形し、
シート材の混合材側表面に所定の模様を印刷又はプリン
トし、その後、予熱ロールに通し、さらにヒーターで加
熱し軟化させ、発泡させながらエンボスロールで熱圧接
し混合材の表面に、エンボス(凹凸)模様を形成させて
製造している。
【0004】このビニル壁紙は、表面の斑が少なく、エ
ンボス、印刷、プリント等の加工がし易く、安価に製造
できるので内装材として広く用いられている。
【0005】しかしながら、ビニル壁紙は塩素原子を含
有する塩化ビニル樹脂を主要材料としているため、焼却
時に塩素等の有毒ガスや、ダイオキシンが合成される可
能性があるので、廃棄処理において環境を悪化させる問
題がある。また、火災発生時に上記のように燃焼時に有
毒ガスを発生させるものは、火災による被害を増大させ
る可能性があるので内装材として不適当である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】燃焼時に毒物を合成し
ない内装材を提供すべく、主にセルロース系繊維、及
び、熱融着繊維で構成される繊維布(不織布及びフェル
ト)から内装材を製造することが試みられている。上記
セルロース系繊維等を原材料として内装材を製造する場
合に、従来のビニル壁紙の加工条件において製造して
も、内装材として適度な風合いや施工適性を有する内装
材を製造することが困難である。
【0007】また、このような脱塩ビ内装材としては、
セルロース系繊維を主体とし、表面に難燃剤を混合した
化粧層を有する壁紙(特開平10−100323号公
報、特開平10−131097号公報)が知られている
が、繊維シートがセルロース系繊維を主体とするため、
表面が弱く施工時に傷が付き易いなどの欠点がある。
【0008】そこで、本発明は、上記セルロース系繊維
等の脱塩ビ繊維を原材料としつつも型崩れが生じにく
く、適度の表面強さを有し、かつ、内装材としての適度
な風合いと施工適性を有する内装材を提供することを目
的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の内装材は、セル
ロース系繊維と熱融着繊維との混合繊維ウエブ、或い
は、セルロース系繊維と熱融着繊維とを積層した多層構
造ウエブより製造される不織布又はフェルトの裏面に壁
紙用原紙を接着し、上記不織布又はフェルトの表面に、
熱融着繊維の融点以上で、かつ、セルロース系繊維及び
熱融着繊維が変成しない温度に加熱したエンボスローラ
を圧接して形成したエンボス模様と、表面に熱融着繊維
の溶融着により形成したフィルム層を有し、上記エンボ
ス模様形成前に不織布又はフェルトの表面にシリコン系
撥水剤を転写又は塗布し、上記エンボス模様形成後に内
装材の表面にさらにシリコン系撥水剤を転写又は塗布す
る撥水加工を施したことを特徴とし、上記エンボス模様
形成前にシリコン系撥水剤を転写又は塗布する前に、不
織布又はフェルトの表面に印刷又はプリントによる化粧
加工を施したものとしても良い。上記フィルム層によ
り、表面の形態安定性に優れた内装材を作成でき、しか
もシリコン系撥水剤を2度に分けて転写又は塗布するこ
とにより、内装材の表面に十分な撥水性を付与すること
ができ、また、エンボス模様形成時にエンボスローラの
離型をスムーズに行うことができる。また、上記エンボ
ス模様形成前のシリコン系撥水剤の転写又は塗布をする
前に、不織布又はフェルトの表面に印刷又はプリントに
よる化粧加工を施したことを特徴とする請求項1記載の
内装材。
【0010】 ここで、壁紙用原紙には、例えば、普通
紙、半難燃紙、難燃紙、水性アルミニウム紙、発泡紙等
を用いることができる。特に、壁紙用原紙に難燃紙を用
いれば、内装材に所要の防火性能を付与することができ
る。
【0011】また、本発明の内装材は、セルロース系繊
維と熱融着繊維との混合繊維ウエブ、或いは、セルロー
ス系繊維と熱融着繊維とを積層した多層構造ウエブより
製造される不織布又はフェルトの裏面に、シリコン系撥
水剤が混合した接着剤で壁紙用原紙を接着し、上記不織
布又はフェルトの表面に、熱融着繊維の融点以上で、か
つ、セルロース系繊維及び熱融着繊維が変成しない温度
に加熱したエンボスローラを圧接して形成したエンボス
模様と、表面に熱融着繊維の溶融着により形成したフィ
ルム層を有することを特徴とする。これにより、内装材
の施工時にオープンタイムを長く取ることができる。
【0012】また、上記不織布又はフェルトを、セルロ
ース系繊維と、編織用熱可塑性繊維と、編織用熱可塑性
繊維より低融点の熱融着繊維との混合繊維ウエブより製
造し、熱融着繊維の融点以上で、かつ、セルロース系繊
維、編織用熱可塑性繊維及び熱融着繊維が変成しない温
度に加熱したエンボスローラを圧接することによりエン
ボス模様を形成し、表面に熱融着繊維の溶融着によりフ
ィルム層を形成するものとする。
【0013】また、上記不織布又はフェルトが、上記不
織布又はフェルトの表面に熱融着繊維を具備して製造さ
れる不織布又はフェルトを重ねた多層構造の不織布又は
フェルトで、その表面に熱融着繊維の溶融着を伴うエン
ボス加工を施すことによって、上記重ねた不織布又はフ
ェルトを融着し、表面にエンボス模様を形成し、かつ表
面に熱融着繊維の溶融着によりフィルム層を形成するも
のである。
【0014】上記熱融着繊維が、芯成分に高融点熱融着
繊維を有し、鞘成分に低融点熱融着繊維を有する芯鞘型
複合繊維であって、鞘成分の低融点熱融着繊維の融点以
上で、かつ、セルロース系繊維及び熱融着繊維が変成し
ない温度に加熱したエンボスローラを圧接してエンボス
模様を形成し、表面に熱融着繊維の溶融着によりフィル
ム層を形成するものとする。
【0015】また、上記不織布又はフェルトが、高融点
熱融着繊維を芯成分、低融点熱融着繊維を鞘成分とする
芯鞘型複合繊維100%のカードウエブを表面層とし、
セルロース系繊維と熱可塑性繊維との混合ウエブを内部
層とする多層構造の不織布又はフェルトで、上記低融点
熱融着繊維の融点以上で、かつ、セルロース系繊維及び
熱可塑性繊維が変成しない温度に加熱したエンボスロー
ラを圧接してエンボス模様を形成し、かつ、その表面が
上記低融点熱融着繊維の溶融により形成したフィルム層
によって覆われているものとしても良い。
【0016】また、上記不織布又はフェルトに、例え
ば、活性炭やセラミックス等の炭素系材料を付与してエ
ンボス加工を施すことによって、内部に炭素系材料を含
有させてホルムアルデヒドなどを除去、抑制するものと
しても良い。
【0017】 また、上記内装材の表面層における熱融着
繊維の混合割合が5〜30%であることによって、表面
層により織物的な風合いを持たせても良い。
【0018】また、上記表面のエンボス模様が、不織布
又はフェルトの表面に、深度0.1〜0.8mmの彫刻
が施されたエンボスローラを、135〜250℃の温度
に加熱し、総圧力を1000〜25000kgに設定
し、かつ、10〜50m/分の速度で圧接して形成した
ものであることが望ましい。ここで、そう圧力とは、一
半間の内装材を製造する際におけるエンボスローラに作
用する総荷重をいう。
【0019】また、上記の中間生成物たる不織布又はフ
ェルトの目付量が25〜150g/m2で、厚みが0.
2〜5mmであることが望ましく、また、厚みはエンボ
ス模様の凹凸がはっきり出るように0.2〜5mmであ
ることが望ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
説明する。
【0021】 図1は、本発明の内装材の断面図を示す。
本発明の内装材は、セルロース系繊維と熱融着繊維とを
主素材とし、これらを混合して一層構造のウエブ(以
下、混合ウエブという。)、或いは、積層して多層構造
のウエブ(以下、多層ウエブという。)をカード機等に
より作成し、このウエブから不織布又はフェルトを製造
し、表面にエンボス加工を施したものである。(ここ
で、多層ウエブは、セルロース系繊維と熱融着繊維とを
異なる割合で混合した2以上の混合ウエブを多層構造に
積層したものも含む。)
【0022】 すなわち、本発明の内装材は、表面に凹凸
からなるエンボス模様(1)が形成され、表面側から熱
融着繊維の溶融解によるフィルム層(2)と、セルロー
ス繊維等に熱融着繊維が溶融着した内層部(3)とで構
成される。また、その用途やデザインに応じて、裏面に
壁紙用原紙(4)を具備する場合もある。
【0023】 内装材の表面は難燃処理や化粧加工等が施
される場合がある。本発明の内装材は、従来の内装材と
同様、カッター等によって所定の形状に切られて、建物
や鉄道車両等の壁面や天井に施工される。
【0024】 セルロース系繊維は、レーヨン等のセルロ
ース系再生繊維や、アセテート等のセルロース系半合成
繊維などが使用される。セルロース系繊維は、施工上カ
ッター切れを向上させ、また、焼却時に毒物を合成しな
い。
【0025】 熱融着繊維は、熱可塑性合成繊維(燃焼時
に塩素やダイオキシンなどの毒物を合成する繊維を除
く。)であり、エンボス加工により溶融して繊維間の結
合力を高める働きがある。また、エンボス加工時に表面
にフィルム層を形成し、エンボス模様を保持すると共
に、表面の毛羽立ちを抑え、型崩れを起きにくくする。
このような熱融着繊維としては融点が110〜160℃
の低融点の熱可塑性合成繊維(燃焼時に毒物を合成する
繊維を除く。)を使用するのが好ましい。
【0026】 熱融着繊維は、繊維全体が低融点のもので
も良いが、図2に示すように芯成分(5)として高融点
の熱可塑性合成繊維を有し、鞘成分(6)として低融点
の熱可塑性合成繊維を有する芯鞘型複合繊維を用いるこ
とが好ましい。この芯鞘型複合繊維を用いる場合は、エ
ンボス加工により鞘部分が溶融解しても、セルロース繊
維の他、芯成分の繊維形態が残るので、内装材表面に適
度な風合いを持たせることができる。芯鞘型複合繊維と
しては、例えば、芯成分として融点が255〜260℃
である熱可塑性ポリエチレンテレフタレート(以下、高
融点ポリエチレンテレフタレートという。)を有し、鞘
成分として融点が125〜135℃である熱可塑性ポリ
エチレン(以下、熱可塑性ポリエチレンという。)、融
点が約110℃である熱可塑性ポリエチレンテレフタレ
ート(以下、低融点ポリエチレンテレフタレートAとい
う。)、又は、融点が約160℃である熱可塑性ポリエ
チレンテレフタレート(以下、低融点ポリエチレンテレ
フタレートBという。)を有するもの等がある。
【0027】 なお、鞘成分に熱可塑性ポリエチレン(比
重:0.94g/cm2)を用いている芯鞘型複合繊維
は、鞘成分にポリエチレンテレフタレート(比重:1.
38g/cm2)を用いるものに比べ、鞘成分の比重が
軽いため内装材を嵩高にすることができ、かつ、軽量に
することができる。
【0028】 また、不織布又はフェルトを製造する際
に、セルロース系繊維と、熱融着繊維との混合ウエブ或
いは多層ウエブ内に、通常の有機繊維からなる編織用熱
可塑性合成繊維を混合しても良い。編織用熱可塑性合成
繊維は、高融点ポリエチレンテレフタレート、融点が1
65〜173℃である熱可塑性ポリプロピレン、或い
は、難燃ポリエチレンテレフタレート等であり、5〜5
0%の割合でウエブ内に混合する。また、熱融着繊維は
編織用熱可塑性繊維より低融点のものを用いる。これに
より、エンボス加工後、セルロース系繊維、(熱融着性
繊維の芯成分)、及び、編織用熱可塑性合成繊維が繊維
形態で残り、内装材表面に適度な風合いを持たせること
ができる。
【0029】 熱融着繊維の使用量は、5〜90%で設定
するが、熱融着繊維が少なすぎるとエンボス模様の強度
が不足し型崩れが起きやすくなり、反対に多すぎると、
風合いが硬くなりすぎ、また、強度が増しカッターの切
れが悪くなるなど施工適性が低下する。
【0030】 特に、内装材の表面層を形成する不織布
(フェルト)において熱融着繊維の割合を5〜30%に
設定することによって、織物的な風合いに仕上ることが
できる。また、建物、天井等の仕上材として使用すると
きは、剛性を持たせるため熱融着繊維の割合を多くする
のが好ましい。
【0031】 この場合、セルロース系繊維及び熱融着繊
維(芯成分:高融点ポリエチレンテレフタレート/鞘成
分:低融点ポリエチレンテレフタレート)の2種類の繊
維を組み合わせてなるウエブや、セルロース系繊維、高
融点ポリエチレンテレフタレート及び熱融着繊維(芯成
分:高融点ポリエチレンテレフタレート/鞘成分:熱可
塑性ポリエチレン、低融点ポリエチレンテレフタレート
A又は低融点ポリエチレンテレフタレートB)の3種類
の繊維を組み合わせてなるウエブを用いるのが適当であ
る。
【0032】 上記繊維素材そのものに耐薬品性、防か
び、耐菌性、非アレルギー性があり、無毒性で安全なも
のであることが好ましい。なお、上記に挙げる繊維素材
は、燃焼時に塩素ガスやダイオキシン等の有毒ガスを発
生させるものではない。
【0033】 不織布又はフェルトは、上記セルロース系
繊維と熱融着繊維とを混合した一層構造のウエブ、或い
は、積層した多層構造ウエブ、又は、これらに編織用熱
可塑性合成繊維を混合させたウエブから形成される。不
織布又はフェルト製造工程の前には、カード機により短
繊維を一方方向に揃えて作るカードウエブ方式が特に好
ましい。カードウエブ方式は繊維が一方方向に並んでい
るため、印刷時のぼやけが少ないからである。上記ウエ
ブは、溶解した任意の樹脂を紡糸した長繊維を積層して
作られるスパンボンドウエブ方式や、繊維、パルプを水
中に分散させ金網で掬い取る湿式ウエブ方式等のその他
の方法で作製するものでも良い。
【0034】 ウエブの構成繊維を結合して不織布にする
方法としては、水流による流体パンチ法(スパンレース
法)が特に好ましい。スパンレース法は、水流の圧力に
より一方方向でウエブの繊維を絡ませるので表面の毛羽
立ちが少なく印刷適性が良いからである。他にスパンボ
ンド法不織布、湿式法不織布、サーマル不織布、ニード
ルリング法不織布、乾式不織布、乾式パルプ不織布、メ
ルトブロー式不織布、フラッシュ紡糸式不織布、エアー
レイド式不織布、バインダ接着法等も使用できる。
【0035】 上記の不織布の裏面に熱融着繊維の混合割
合の異なる不織布又はフェルトを重ね合わせ、表面にエ
ンボス加工を施してもよい。これにより、内装材を表面
層と裏面層の構成を変えることができ、例えば、表面層
には、エンボス性、印刷性、風合い、防汚性、肌触り等
を考慮して表面形成に適した不織布(フェルト)を選択
し、裏面層(内部層)には、施工性、経済性、不燃性、
嵩高性等を考慮して不織布(フェルト)を選択すること
ができる。
【0036】 また、不織布又はフェルトに活性炭、カー
ボン繊維やセラミックス等の炭素系素材を混合したもの
であっても良い。この場合上記の炭素系素材の働きによ
り、不織布(フェルト)自体にホルムアルデヒド等を除
去、抑制する作用を持たせることができる。
【0037】 不織布又はフェルトの目付量、厚みは、エ
ンボスロールの深度、用途に応じて設定する。
【0038】 不織布又はフェルトの目付量は、25g/
m2未満ではエンボス模様に立体感が乏しくなり、15
0g/m2を超えると強度が高まりすぎ、施工適性、加
工適性が悪くなる上、材料コストが膨らみ不経済となる
ので、25〜150g/m2に設定されるが、特に55
〜80g/m2であることが望ましい。また、不織布又
はフェルトの厚さは、0.2mm未満では凹凸がはっき
り出ず、5mmを超えると凹凸の差が出すぎて凹部の汚
れが取れにくくなり非衛生的になるので、0.2〜5m
mに設定されるが、特に0.3〜0.8mmが好まし
い。
【0039】 上述ように形成される不織布又はフェルト
は、通常、建物等建築物の内装材(壁紙)として使用す
る場合は、裏面に壁紙用原紙(普通紙、難燃紙、水酸化
アルミニウム紙等)が張り付けられる。壁紙用原紙を貼
り付けることにより、良好なエンボス模様が形成される
等のエンボス加工性の向上が図られ、また、カッタ切れ
が良くなる等の施工適性が向上して建物、天井等の仕上
材として適した内装材となる。なお、貼り付けには、焼
却しても毒性物質が生じないように澱粉系若しくは酢酸
ビニルエマルジョンなどの接着剤を用いる。なお、壁紙
用原紙は、エンボス加工性や施工適性を向上させるもの
であるが、本実施形態における内装材を簡易なシート材
として使用し、施工適性を向上させる必要がない場合は
壁紙用原紙を貼り付ける必要はない。
【0040】 なお、壁紙用原紙の接着において、接着剤
にシリコン系撥水剤(シリコンは溶剤系撥水性、水性系
撥水性のどちらでも良い。)を混合し、不織布又はフェ
ルトの裏面に撥水性を付与することが望ましい。この場
合、内装材施工時に、壁紙用原紙に塗布する接着剤が内
装材内部に浸透することを防止でき、接着剤が乾くのを
遅くすることができる。これによって、接着剤の塗布か
ら内装材の貼り付けまでの時間(オープンタイム)が長
くなるので、内装材の施工がし易くなる。
【0041】 シリコン系撥水剤の添加量は、接着剤の重
量に対して5〜40%とすることが良く、特に10〜2
0%とすることが撥水効果及び経済性を考え適量であ
る。なお、必要に応じて、防かび、抗菌剤を接着剤に混
合しても良い。
【0042】 また、不織布又はフェルトの表面は、無
地、又は、用途やデザインに応じて難燃、撥水、防汚、
防かび、抗菌、化粧等の表面処理が施される。これら
は、原綿段階で材料内に付与しても良い。
【0043】 撥水処理は、シリコン系撥水剤(シリコン
は溶剤系撥水性、水性系撥水性のどちらのものでも良い
が、特に水性系撥水性のものが望ましい。)を表面に塗
布又は転写することによって行われるが、エンボス模様
形成の前後において2回に分けて行なうことが望まし
い。
【0044】 図3に示すように、上記の撥水処理をエン
ボス模様形成の前後において2回に分けて行なった内装
材は、表面にエンボス模様(11)が形成され、表面側
から2回目の撥水処理による撥水層(12)と、1回目
の撥水処理による撥水層(13)と、熱融着繊維の溶融
解層によるフィルム層(14)と、セルロース繊維に熱
融着繊維が溶融着した内部層(15)と、接着材にシリ
コン系撥水剤を混合した接着層(16)と、壁紙用原紙
(17)とで構成される断面構造を有する。なお、内装
材の用途やデザインに応じて、内部層(15)を繊維構
成の異なる多層構造(15a,15b)とする場合もあ
る。
【0045】 エンボス模様形成前にされる撥水処理(以
下、一次撥水という。))は、内装材の表面に撥水性を
付与する作用の他に、エンボスローラの離型を良好にす
る作用があるので、繊維がエンボスローラに引っ掛りに
くくなり表面の品質を良好なものとすることができ、ロ
ーラの速度も速くすることができる。更に、表面処理剤
に界面活性剤を混合することにより、エンボスローラに
繊維が引っ掛かり又は絡まることを抑制することがで
き、良好なエンボス模様を形成することができる。
【0046】 エンボス模様形成後にされる撥水処理(以
下、二次撥水という。)は、エンボス模様形成前にされ
た1回目の撥水処理の斑を補うもので、内装材の表面に
斑のない撥水効果を生じさせるものである。シリコン系
撥水剤の添加量は、不織布又はフェルトの重量に対して
5〜40%とすることが好ましい。5%未満では必要な
撥水効果が選られず、また、40%を超えると不経済と
なるからである。特に、10%〜25%であることが好
ましい。
【0047】 なお、撥水処理を行なう場合、印刷又はプ
リントによる化粧処理は、1回目の撥水処理の前にする
ことが望ましい。
【0048】 撥水処理は、内装材表面に防汚性能を付与
するものであるが、上記一次撥水のみでは、エンボスロ
ーラの接触により撥水層に裂目生じ、十分な撥水効果が
得られない可能性がある。また、上記二次撥水のみで
は、エンボス模様の凹凸により、全体に十分な撥水層を
形成することができない。そのため、上述のように、一
次撥水をし、更に二次撥水をすることにより、裂目のな
い撥水層が形成できるので十分な撥水性能を確保するこ
とができる。
【0049】 難燃剤は、燃焼時に毒物を合成しないスル
ファミン酸グアニジン、燐酸グアニジン、三酸化アンチ
モン、水酸化ジルコニウム、メタ硼酸バリウム、水酸化
アルミニウム、水酸化マグネシウム等が好ましい。建
物、天井等の仕上材として使用するときは、裏面に難燃
紙を接着することにより、難燃剤を付与すること無く建
設省が定める防火認定で2級を取得することが可能であ
る。
【0050】 難燃剤の添加量は、建物、天井等の仕上材
の10〜40%が好ましい。特に15〜30%が好まし
く、10%未満であると難燃効果が足りず、40%を超
えると不経済となる。
【0051】 また、化粧工程は、印刷、プリント、染
色、吹き付けによって行われる。
【0052】 印刷及びプリントによる場合はエンボス工
程前に行うことが好ましい。これは、エンボス工程後に
印刷又はプリントを施すと、エンボス模様が型崩れし、
製品価値が無くなる可能性があるからである。但し、染
料や印刷柄(プリント柄)によっては、印刷(プリン
ト)後にエンボス加工を行うことにより印刷斑又はプリ
ント斑が生じこれが目立つ場合があるので、この場合
は、特に印刷又はプリントをエンボス加工後に行うこと
が望ましい。例えば、不織布にあまり浸透しない染料
や、無地柄の場合、また、鋭角的なエンボス模様を形成
する場合は、エンボス加工時に印刷面が損なわれ易いの
で、エンボス加工後に印刷を修正する必要が生じるから
である。
【0053】 また、吹き付けによる場合はエンボス工程
後に行うことが好ましい。これはエンボス工程前に吹き
付けを施すと吹き付け塗装剤に含まれた顔料等の粒子が
大きく硬いため、彫刻エンボスロールの溝に目詰まりを
起こし、製造上不都合が生じる可能性があるからであ
る。なお、吹き付け塗装による場合は、塗装溶液に必要
に応じて、撥水剤、防かび剤、防汚剤等を混合すること
により、同時に撥水、防かび、防汚等の表面処理を施す
ことができる。
【0054】 内装材の表面の模様を形成するエンボス加
工は、従来、ペーパーや一部の不織布、織物、皮製品等
の製造に使用されている熱エンボス機を使用する。以下
に、本発明で使用する際のエンボス機の条件を示す。
【0055】 エンボス機は、表面に所定の模様の彫刻を
有するエンボスロールを具備し、所定温度に加熱したエ
ンボスロールを不織布等に圧接し、エンボスロールの模
様に対応した模様を不織布の表面に形成するものであ
る。
【0056】 エンボスロールの深度は、模様や柄により
変更される。これは鋭角的な模様や柄に深い深度を設定
すると、裏抜けが生じたり素材が裂ける可能性があるの
で、通常は0.1〜0.8mmの範囲に設定されるが、
特に、安定したエンボス模様を形成するため、及び、模
様にボリューム感を与えるために0.3〜0.6mmで
あることが好ましい。
【0057】 エンボス加工は、135〜250℃の温度
に加熱したエンボスローラを、総圧力1000〜250
00kgで上記の不織布又はフェルトの表面に圧接させ
つつ、10〜50m/分の加工速度で行う。
【0058】 この際、エンボスロールの温度は、135
℃未満では、溶融効果が少なく型崩れが起きやすくな
り、250℃を超えるとセルロース系繊維が炭化点に達
し表面が焼け始めるので、135〜250℃に設定され
るが、特に、表面の熱融着繊維を十分に溶融解させるた
め、及び、加工能率の向上を図るために200〜250
℃に設定することが好ましい。また、エンボスローラの
温度を上記設定範囲内で、高融点テレフタレートの軟化
点(238℃〜240℃)よりも高く設定することで、
エンボス加工において高融点テレフタレートが繊維形態
を保持したまま軟化するので、より明確なエンボス模様
を形成することができ、また、繊維間の結合力も強くな
って形態安定性が増す。
【0059】 エンボスロールの総圧力は、1000kg
未満では、適度な凹凸を形成することができず、250
00kgを超えると必要以上に凹凸が入り隠蔽性が悪く
なるので、1000〜25000kgに設定されるが、
特に、良好なエンボス模様を効率よく形成するために1
000〜12000kgであることが好ましい。加工速
度は、10m/分未満では不経済となり、50m/分を
超えると良好なエンボス模様が得られないので、10〜
50m/分と設定されるが、特に、良好なエンボス模様
を効率よく形成するために10〜40m/分であること
が好ましい。
【0060】 実施形態1の内装材(以下、内装材とい
う。)ついて説明する。
【0061】 内装材の製造方法は以下の通りである。
【0062】 まず、融点が255〜260℃である高融
点ポリエチレンテレフタレートを芯成分に用い、融点が
110℃程度である低融点ポリエチレンテレフレートA
を鞘成分に用いた芯鞘型複合繊維(熱融着繊維)100
%からなる第1ウエブを表面とし、セルロース系繊維1
0〜100%と上記と同様の芯鞘型複合繊維(熱融着繊
維)90〜0%の割合に混合した第2ウエブを裏面とし
て、2枚のカードウエブを重ね合わせて、水流圧でパン
チングし、目付量が25〜150g/m2、厚さが0.
2〜5mmの二層構造のスパンレース不織布を作る。
(不織布の代りにフェルトを作っても良い。)
【0063】次に、 澱粉系若しくは酢酸ビニルエマルジ
ョン系の接着剤に、シリコン系撥水剤を混合した接着剤
を,壁紙用原紙に塗布して不織布の裏面に壁紙用原紙を
接着する。なお、上記接着剤には必要に応じて、防かび
剤や難燃剤を混合しても良い。
【0064】 次に、不織布(フェルト)の表面処理とし
て、印刷又はプリントによる化粧工程を施し、更に一次
撥水剤を塗布する。
【0065】 深度0.1〜0.8mmに彫刻したエンボ
スロールの温度を135〜250℃にし、総圧力を10
00〜25000kgに設定して10〜50m/分の加
工速度でエンボス加工を行い、不織布(フェルト)の表
面にエンボス模様をつける。
【0066】 最後に、内装材に表面に二次撥水剤を塗布
する。
【0067】 この結果得られる内装材は、不織布(フ
ェルト)の表面にフィルム効果が得られ、0.1〜0.
8mmのエンボス模様が光沢の無い風合いに仕上がり、
かつ、形態安定性の良好なものとなる。また、内装材
は、壁紙用原紙の接着において接着剤に撥水剤が混合さ
れているのでオープンタイムを長く取れ、また、エンボ
ス加工前に塗布した一次撥水剤により撥水機能を有し、
かつ、エンボスローラの離型が良く、更に、エンボス加
工後の二次撥水剤により撥水機能の斑がないものとな
る。
【0068】 次に、実施形態2の内装材(以下、内装材
という。)について説明する。
【0069】 内装材は、内装材と同様の不織布(フ
ェルト)に同様に壁紙用原紙を接着したものであるが、
内装材における一次撥水剤及び二次撥水剤の塗布を省
略したものである。この内装材は、内装材のように
内装材表面の撥水機能やエンボスローラの離型が良好と
なる効果はないが、壁紙用原紙の接着において接着剤に
撥水剤が混合されているのでオープンタイムは内装材
と同様に長く取れるものである。
【0070】 次に、実施形態3の内装材(以下、内装材
という。)について説明する。
【0071】 内装材は、内装材と同様の不織布(フ
ェルト)に同様に壁紙用原紙を接着し、深度0.1〜
0.8mmに彫刻したエンボスロールの温度を135〜
250℃にし、総圧力を1000〜25000kgに設
定して10〜50m/分の加工速度でエンボス加工を行
う。次に化粧工程として、顔料、難燃剤を混合した溶液
(この溶液に必要に応じて、撥水剤、防かび剤、防汚剤
等を混合できる。)を表面に吹き付け塗装を行ったもの
である。内装材は、吹き付け塗装によって和風調の土
壁、石目の様な風合いにある落ち着いた建物、天井材等
の仕上材が得られる。
【0072】 次に、実施形態4の内装材(以下、内装材
という。)について説明する。
【0073】 内装材は、上述の芯鞘型複合繊維を10
〜90%とセルロース系繊維90〜10%からなる第1
ウエブを表面とし、セルロース系繊維10〜90%と上
述の芯鞘型複合繊維90〜10%の割合に混合した第2
ウエブを裏面として、2枚のカードウエブを重ね合わせ
て、水流圧でパンチングし、目付量が25〜150g/
m2、厚さが0.2〜5mmの二層構造のスパンレース
不織布を作り、以下、内装材と同様の加工を施したも
のである。内装材は、内装材に比べ表面層にセルロ
ース系繊維を有しているので、より温かみがあり、形態
安定性に優れ、かつ、光沢の無い風合いに仕上げられ
る。
【0074】 次に、第5実施形態の内装材(以下、内装
材という。)について説明する。
【0075】 内装材は、セルロース系繊維95〜70
%、上述の芯鞘型複合繊維を5〜30%の割合で混合し
たウエブに水流圧でパンチングを施し、目付量が25〜
150g/m2、厚み0.2〜5mmの一層構造のスパ
ンレース不織布を作り、次に実施形態と同様の加工工
程を行う。その結果得られる内装材は、フィルム効果
が得られる上に、表面に溶融しないセルロース系繊維が
毛羽状に残るので、繊維素材のようなソフトな肌触り
と、温かみのある仕上がりとなって、織物的な風合いを
有するものとなる。
【0076】 次に、第6実施形態の内装材(以下、内装
材という。)について説明する。
【0077】 内装材は、融点が255〜260℃の高
融点ポリエチレンテレフタレートを芯成分に用い、融点
が110℃程度の低融点ポリエチレンテレフタレートA
を鞘成分に用いた芯鞘型複合繊維100%で構成され、
スパンポンド法或いは湿式法による第一の不織布を、セ
ルロース系繊維と熱融着性繊維との混合ウエブ或いは多
層ウエブから製造するスパンレース不織布の表面に重ね
合わせ、水流パンチング、ニードルパンチング、ラミネ
ート等を施して結合した合成不織布を作り、この不織布
に内装材と同様の加工工程を行ったものである。
【0078】 その結果得られる内装材は、内装材と
同様の表面が形成されるが、裏面にスパンレース不織布
を使用しているので、特有のボリューム感がある。
【0079】 なお、内装材は、裏面に重ねられる不織
布の繊維構成や製造方法を変更することにより、内装材
に用途に応じて剛性やボリューム感を変えることができ
る。この実施形態においては、裏面にスパンレース不織
布を用い、表面に他の製造方法による不織布を用いてい
るが、本発明はこれに限らず不織布は自由に組み合すこ
とができる。また、表面、内層、裏面にそれぞれ異なる
不織布を組み合せることも可能である。
【0080】 以下、本発明による内装材の実施例を示
し、本発明によらない内装材と比較する。
【0081】 実施例1は、一層目(表面層)を、低融点
ポリエチレンテレフタレートAを鞘成分、高融点ポリエ
チレンテレフタレートを芯成分とする芯鞘型複合繊維ス
テープル(繊度2デニール、繊維長51mm)100重
量部のカードウエブとし、二層目(裏面層)を、レーヨ
ンステーブル(繊度5.0デニール、繊維長40mm)
を90重量部、低融点ポリエチレンテレフタレートAを
鞘成分、高融点ポリエチレンテレフタレートを芯成分と
する芯鞘型複合繊維ステープル(繊度2デニール、繊維
長51mm)を10重量部の割合で混合したカードウエ
ブとし、これら二枚のカードウエブを全目付量80g/
m2で重ね合わせて二層構造ウエブを形成し、これに水
流圧でパンチングを施し厚みが0.7mmの不織布を作
る。
【0082】 次に、壁紙用難燃紙に酢酸ビニルエマルジ
ョン系接着剤にシリコン系撥水剤を混合した接着剤を塗
布して、不織布の裏面に接着する。次に多色模様のプリ
ントを施し、更に、シリコン系撥水剤を表面処理剤とし
て塗布し、これを乾燥させた後、深度が0.5mmの格
子柄の彫刻を有するエンボスロールを、温度を230
℃、総圧力を16000kg、回転速度を20m/分に
設定してエンボス加工を行う。エンボス加工後、シリコ
ン系撥水剤を混合する表面処理剤により表面処理を行な
う。
【0083】 これによって得られる実施例1の内装材
は、フィルム効果があり、ビニル壁紙の様な冷たい感じ
の光沢がなく、防汚性能や撥水性能に優れ、また、オー
プンタイムも長く施工性に優れた、今までにない新規な
内装材となる。また、レーヨンステーブルの繊度を5.
0デニールとしているので、十分にボリューム感のある
内装材となる。
【0084】 実施例2は、一層目(表面層)を、低融点
ポリエチレンテレフタレートAを鞘成分、高融点ポリエ
チレンテレフタレートを芯成分とする芯鞘型複合繊維ス
テープル(繊度2デニール、繊維長51mm)100重
量部のカードウエブとし、二層目(裏面層)を、レーヨ
ンステーブル(繊度1.5デニール、繊維長40mm)
を90重量部、低融点ポリエチレンテレフタレートAを
鞘成分、高融点ポリエチレンテレフタレートを芯成分と
する芯鞘型複合繊維ステープル(繊度2デニール、繊維
長51mm)を10重量部の割合で混合したカードウエ
ブとし、これら二枚のカードウエブを全目付量80g/
m2で重ね合わせて二層構造ウエブを形成し、これに水
流圧でパンチングを施し厚みが0.7mmの不織布を作
る。
【0085】 次に、上記不織布に、酢酸ビニルエマルジ
ョン系接着剤にシリコン系撥水剤を混合した接着剤を壁
紙用の難燃紙に塗布して接着する。次に多色模様のプリ
ントを施し、更に、シリコン系撥水剤を塗布し、これを
乾燥させた後、深度が0.5mmの格子柄の彫刻を有す
るエンボスロールを、温度を230℃、総圧力を160
00kg、回転速度を20m/分に設定してエンボス加
工を行う。
【0086】 これによって実施例2の内装材は、フィル
ム効果があり、ビニル壁紙の様な冷たい感じの光沢がな
く、施工性にも優れた、今までにない新規な内装材とな
る。
【0087】 なお、実施例2の内装材は、一次撥水処理
が施されているので、一応の防汚性能はある。
【0088】 実施例3は、実施例2と同様の不織布を作
る。
【0089】 次に、上記不織布に、酢酸ビニルエマルジ
ョン系接着剤にシリコン系撥水剤を混合した接着剤を壁
紙用の難燃紙に塗布して接着する。これを乾燥させた
後、深度が0.5mmの格子柄の彫刻を有するエンボス
ロールを、温度を230℃、総圧力を16000kg、
回転速度を20m/分に設定してエンボス加工を行う。
次に、多色模様の無機質系顔料を配合し、難燃剤を混合
した吹き付け剤で、吹き付け塗装を行う。
【0090】 これによって実施例3の内装材は、実施例
2の内装材に比べ、吹き付け塗装により日本の土壁風で
落ち着きがあり、ボリューム感のある新規な内装材とな
る。
【0091】 実施例4は、一層目(表面層)を、低融点
ポリエチレンテレフタレートAを鞘成分、高融点ポリエ
チレンテレフタレートを芯成分とする芯鞘型複合繊維ス
テープル(繊度2デニール、繊維長51mm)100重
量部のカードウエブとし、二層目(裏面層)を、レーヨ
ンステープル(繊度1.5デニール、繊維長40mm)
を80重量部、難燃ポリエチレンテレフタレートを(繊
度2デニール、繊維長51mm)20重量部の割合で混
合したカードウエブとし、これら二枚のカードウエブを
全目付量80g/m2で重ね合わせて二層構造とし、こ
れに水流圧でパンチングを施し厚みが0.7mmの不織
布を作る。
【0092】 次に、上記不織布に、酢酸ビニルエマルジ
ョン系接着剤にシリコン系撥水剤を混合した接着剤を壁
紙用の難燃紙に塗布して接着する。次に多色模様のプリ
ントをし、更に、シリコン系撥水剤を塗布する。これを
乾燥させた後、深度が0.5mmの格子柄の彫刻を有す
るエンボスロールを、温度を230℃、総圧力を160
00kg、回転速度20m/分に設定してエンボス加工
を行う。
【0093】 これによって実施例4の内装材は、フィル
ム効果があるが、ビニル壁紙の様な冷たい感じの光沢は
なく、防汚性能があり、施工性にも優れた効果がある上
に、不織布製造上で難燃繊維を付与することにより後加
工での難燃処理が不必要になり、経済的であり、今まで
に無い新規な内装材となる。
【0094】 実施例5は、一層目(表面層)を、低融点
ポリエチレンテレフタレートAを鞘成分、高融点ポリエ
チレンテレフタレートを芯成分とする芯鞘型複合繊維ス
テープル(繊度2デニール、繊維長51mm)100重
量部のカードウエブとし、二層目(裏面層)を、レーヨ
ンステープル(繊度1.5デニール、繊維長40mm)
を70重量部、難燃レーヨンを20重量部、低融点ポリ
エチレンテレフタレートを鞘成分、高融点ポリエチレン
テレフタレートを芯成分とする芯鞘型複合繊維ステープ
ル(繊度2デニール、繊維長51mm)を10重量部の
割合で混合したカードウエブとし、これら二枚のカード
ウエブを全目付量80g/m2で重ね合わせて二層構造
のカードウエブを形成し、これに水流圧でパンチングを
施し厚みが0.7mmの不織布を作る。次に、実施例4
と同様の加工を行う。
【0095】 これによって実施例5の内装材は、フィル
ム効果があるが、ビニル壁紙の様な冷たい感じの光沢は
なく、防汚性能があり、施工性にも優れた効果がある上
に、不織布製造上で難燃繊維を付与することにより後加
工での難燃処理が不必要になり、経済的であり、今まで
に無い新規な内装材となる。
【0096】 実施例6は、レーヨンステープル(繊度
1.5デニール、繊維長40mm)を90重量部、低融
点ポリエチレンテレフタレートAを鞘成分、高融点ポリ
エチレンテレフタレートを芯成分とする芯鞘型複合繊維
ステープル(繊度2デニール、繊維長51mm)を10
重量部の割合で混合した目付量80g/m2のカードウ
エブに、水流圧でパンチングを施し厚みが0.7mmの
不織布を作る。次に、実施例2と同様の加工を行う。
【0097】 これによって実施例6の内装材は、表面に
溶融しないレーヨンステーブルが残るので、温かみがあ
るソフトな肌触りと適度な弾力感がある織物的な風合い
を有する仕上がりとなる。また、フィルム効果があり、
ビニル壁紙のような冷たい感じの光沢が無く、防汚性能
があり、施工性にも優れた、今までにない新規な内装材
となる。
【0098】 実施例7は、一層目(表面層)を、レーヨ
ンステープル(繊度1.5デニール、繊維長40mm)
を90重量部、低融点ポリエチレンテレフタレートAを
鞘成分、高融点ポリエチレンテレフタレートを芯成分と
する芯鞘型複合繊維ステープル(繊度2デニール、繊維
長51mm)10重量部の割合で混合したカードウエブ
とし、二層目(裏面層)を、レーヨンステープル(繊度
1.5デニール、繊維長40mm)を50重量部、低融
点ポリエチレンテレフタレートを鞘成分、熱可塑性ポリ
エチレンを芯成分とする芯鞘型複合繊維ステープル(繊
度2デニール、繊維長51mm)を50重量部の割合で
混合したカードウエブとし、これら二枚のカードウエブ
の全目付量を80g/m2で重ね合わせて、水流圧でパ
ンチングを施し厚みが0.7mmの不織布を作る。次
に、実施例2と同様の加工を行う。
【0099】 これによって実施例8の内装材は、実施例
7の内装材同様、表面に溶融しないレーヨンステーブル
が残るので、温かみがあるソフトな肌触りと適度な弾力
感がある織物的な風合いを有する仕上がりとなる。更
に、本実施例の内装材は裏面層に熱融着繊維を比較的多
く含むので、形態安定性が良好で適度な剛性を有するも
のである。また、フィルム効果があり、ビニル壁紙のよ
うな冷たい感じの光沢が無く、防汚性能があり、施工性
にも優れた、今までにない新規な内装材となる。
【0100】 比較例1は、実施例2の不織布に代えて、
原料を高融点ポリエチレンテレフタレートステープルか
熱可塑性ポリプロピレン100%にした不織布で実施例
2同様の加工を行う。比較例1の内装材は、ぼやけたエ
ンボス模様になり、施工性の悪い製品になる。
【0101】 比較例2は、実施例2の不織布に代えて、
原材料を芯鞘型複合繊維ステープル(芯成分:高融点ポ
リエチレンテレフタレート/鞘成分:低融点ポリエチレ
ンテレフタレート)100%にした不織布で実施例2同
様の加工を行う。比較例2の内装材は、エンボス模様は
入るが、隠蔽性が悪くなり、非常に硬く施工性の悪い製
品となる。
【0102】 比較例3は、実施例2の不織布に代えて、
原材料を芯鞘型複合繊維ステープル(芯成分:高融点ポ
リエチレンテレフタレート/鞘成分:低融点ポリエチレ
ンテレフタレート)10〜90%、高融点ポリエチレン
テレフタレート90〜10%にした不織布で実施例2同
様の加工を行う。比較例3の内装材は、エンボス模様は
入るが、非常に硬く施工性の悪い製品になる。
【0103】 比較例4は、実施例2の不織布に代えて、
原料をセルロース系繊維ステープル100%にした不織
布で実施例2と同様の加工を行う。比較例4の内装材
は、浅くぼやけたエンボス模様となり、非常に毛羽が多
く印刷性、施工性の悪い製品になる。
【0104】 比較例5は、実施例2の不織布に代えて、
原材料を芯鞘型複合繊維ステープル(芯成分:高融点ポ
リエチレン/鞘成分:低融点ポリエチレンテレフタレー
ト)10〜90%、熱可塑性ポリプロピレン90〜10
%とした不織布で実施例1同様の加工を行う。比較例5
の内装材は、エンボス模様は入るが、印刷性が悪く、施
工性の悪い製品になる。
【0105】 上記の実施例1〜7及び比較例1〜5の内
装材について、得られる内装材の表面のエンボス模様、
印刷性、施工性を目視と施工作業によって、下記の基準
に従って評価し、その結果を表1に示す。 ◎:凹凸間がはっきりとし、ボリューム感があり、繊維
が表面から出てなく、表面強度があり、表裏の撥水性に
優れる。印刷がぼやけず、カッター切れが良く、ローラ
ーや刷毛をかけても表面がほぐれず、ジョイントが開か
ない。 ○:凹凸間がはっきりとし、繊維が表面から出てなく、
表面強度があり、印刷がぼやけず、カッター切れが良
く、ローラーや刷毛をかけても表面がほぐれず、ジョイ
ントが開かない。 ○' :凹凸間がはっきりとし、織物的な風合いを有し、
印刷がぼやけず、カッター切れが良く、ローラーや刷毛
をかけても表面がほぐれず、ジョイントが開かない。 △:凹凸間がはっきりするが、繊維が表面から出て、印
刷がぼやけ、カッター切れが悪く施工性は悪い。 ×:凹凸間がはっきりせず、繊維が表面から出て、印刷
がぼやけ、カッター切れが悪く、ローラや刷毛をかけた
ら表面がほぐれて型崩れし、ジョイントが開く。
【0106】
【表1】
【0107】
【発明の効果】本発明の内装材は、セルロース系繊維と
熱融着繊維とを主成分とする不織布より加工されるの
で、燃焼時に塩素やダイオキシンなどの毒物を発生させ
ることはなく、また、繊維の持つ暖かみがある。エンボ
ス加工時に、熱融着繊維(低融点熱可塑性繊維)が完全
に溶け、セルロース繊維(高融点熱可塑性繊維)等の繊
維間の結合力が高まるので、形態安定性に優れると共
に、表面にフィルム層が形成されるので、光沢の無い風
合いが生じ、エンボス模様がはっきりと形成され、表面
の傷や毛羽立ち、型崩れを防ぐといったフィルム効果を
生み出す。
【0108】 また、撥水処理をエンボス加工の前後に行
なうことにより、十分な撥水性能とエンボスローラの離
型性を向上させることができる。また、内装材は、不織
布又はフェルトの裏面にシリコン系撥水剤が混合した接
着剤で壁紙用原紙を接着することにより、施工時のオー
プンタイムを長く取ることができる。
【0109】 熱融着繊維として、芯成分に高融点熱可塑
性繊維を有し、鞘成分に低融点熱可塑性繊維を有する芯
鞘型複合繊維を用いた場合は、エンボス加工時に低融点
熱可塑性繊維が完全に溶けた場合でも高融点熱可塑性繊
維が繊維形態で残り、セルロース系繊維や編織用熱可塑
繊維と溶融着するので、繊維の結合力が高まりより形態
安定性に優れたものとなる。
【0110】 熱融着繊維の量を増やすことにより、内装
材の剛性が高くなるので、壁紙用原紙を有しないで内装
材を構成でき、加工コストを低減することができる。
【0111】 また、表面層と裏面層に熱融着繊維の混合
割合等の材料構成の異なる不織布を用いることができる
ので、用途に応じて、表面層、裏面層に異なる特徴を有
する内装材を作成することができる。
【0112】 プリントや印刷によって行われる化粧工程
を、エンボス加工をする前に行うことによって、不織布
に多色模様を有するエンボス模様が形成されると共に、
表面にフィルム層が形成されるので、良好なエンボス模
様とフィルム効果を有する内装材ができる。
【0113】 また、吹き付けによって行われる化粧工程
を、エンボス加工をする後に行うことによって、通常の
エンボス工程形成後に化粧工程が行われることとなるの
で、吹き付け顔料によってエンボス模様が阻害されるこ
と無く形成でき、和風調の土壁や石目といった落ち着い
た風合いの内装材ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の内装材の概略断面図。
【図2】 芯鞘型複合繊維の概略斜視図。
【図3】 本発明の内装材の概略断面図。
【符号の説明】 1 エンボス模様 2 フィルム層 3 内部層 4 壁紙用原紙 5 芯成分 6 鞘成分
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中川 克久 大阪府大阪市中央区今橋2−5−8 日商 岩井繊維原料株式会社内 Fターム(参考) 3B154 AA06 AA07 AA12 AA14 AA17 AA18 AB22 AB23 BA37 BA38 BB02 BB12 BB31 BB39 BB62 BC22 BC23 BD08 BD17 BF01 BF02 BF04 BF11 BF12 DA13 DA15 DA16 DA18 DA28 DA30 4F100 AH06H AJ04A AK01A AK01B AK01C AK42 AK52H AT00C BA01 BA02 BA03 BA10A BA10C CB00 CC00 DG01A DG01B DG06A DG06B DG10C DG15A DG15B DG20A DG20B EC032 EC042 EH463 EJ402 EJ422 GB08 GB33 HB00 HB21 HB31 JA04A JA04B JB16A JB16B JL04 JN21 4L047 AA08 AA12 AA21 AA27 AA28 AB02 BA04 BA09 BB09 CA02 CA09 CB01 CB10 CC09 CC10 4L055 AF09 AF10 AF33 AF47 AG64 AG86 AH23 AH37 AJ02 AJ07 BE08 BE14 BE15 EA04 EA08 EA15 EA20 EA23 EA26 FA11 FA13 FA18 FA19 FA22 FA30 GA23

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】セルロース系繊維と熱融着繊維との混合繊
    維ウエブ、或いは、セルロース系繊維と熱融着繊維とを
    積層した多層構造ウエブより製造される不織布又はフェ
    ルトの一表面に、 熱融着繊維の融点以上で、かつ、セルロース系繊維及び
    熱融着繊維が変成しない温度に加熱したエンボスローラ
    を圧接してエンボス模様を形成し、かつ、表面に熱融着
    繊維の溶融着により形成されるフィルム層を有する内装
    材。
  2. 【請求項2】上記請求項1の内装材において、熱融着繊
    維が、芯部に高融点熱融着繊維を有し、鞘部に低融点熱
    融着繊維を有する芯鞘型複合繊維であって、 鞘部の低融点熱融着繊維の融点以上で、かつ、セルロー
    ス系繊維及び熱融着繊維が変成しない温度に加熱したエ
    ンボスローラを圧接してエンボス模様を形成し、かつ、
    表面に熱融着繊維の溶融着により形成されるフィルム層
    を有する内装材。
  3. 【請求項3】セルロース系繊維と、編織用熱可塑性繊維
    と、上記編織用熱可塑性繊維より低融点の熱融着繊維と
    の混合繊維ウエブより製造される不織布又はフェルトの
    一表面に、 熱融着繊維の融点以上で、かつ、セルロース系繊維、編
    織用熱可塑性繊維及び熱融着繊維が変成しない温度に加
    熱したエンボスローラを圧接してエンボス模様を形成
    し、かつ、表面に熱融着繊維の溶融着により形成される
    フィルム層を有する内装材。
  4. 【請求項4】上記請求項3の内装材において、熱融着繊
    維が、芯部に高融点熱融着繊維を有し、鞘部に低融点熱
    融着繊維を有する芯鞘型複合繊維であって、 鞘部の低融点熱融着繊維の融点以上で、かつ、セルロー
    ス系繊維、編織用熱可塑性繊維及び熱融着繊維が変成し
    ない温度に加熱したエンボスローラを圧接してエンボス
    模様を形成し、かつ、表面に熱融着繊維の溶融着により
    形成されるフィルム層を有する内装材。
  5. 【請求項5】上記請求項1乃至4の内装材において、不
    織布又はフェルトが、上記不織布又はフェルトの表面
    に、熱融着繊維を具備して製造される一又は二以上の不
    織布又はフェルトを重ねた不織布又はフェルトであっ
    て、 その表面に熱融着繊維の溶融着を伴うエンボス加工を施
    すことによって、上記重ねた不織布又はフェルトを融着
    し、表面にエンボス模様を形成し、かつ表面に熱融着繊
    維の溶融着により形成されるフィルム層を有する内装
    材。
  6. 【請求項6】上記請求項1乃至5の内装材において、不
    織布又はフェルトに炭素系材料を付与してエンボス加工
    を施すことによって、内部に炭素系材料を含有する内装
    材。
  7. 【請求項7】上記請求項1乃至6の内装材において、内
    装材の表面層における熱融着繊維の混合割合が5〜30
    %である内装材。
  8. 【請求項8】上記請求項1乃至7に記載される内装材に
    おいて、エンボス模様形成前に、不織布又はフェルトの
    表面に印刷、又は、プリントによる化粧加工を施した内
    装材。
  9. 【請求項9】上記請求項1乃至7に記載される内装材に
    おいて、エンボス模様形成後に、内装材の表面に吹き付
    け塗装による化粧工程を施した内装材。
  10. 【請求項10】上記請求項1乃至9に記載される内装材
    の裏面に、建物等建築物の内装材として使用するために
    壁紙用原紙が接着されていることを特徴とする内装材。
  11. 【請求項11】上記請求項1乃至10に記載される内装
    材において、表面のエンボス模様が、不織布又はフェル
    トの表面に、深度0.1〜0.8mmの彫刻が施された
    エンボスローラを、135〜250℃の温度に加熱し、
    総圧力を1000〜25000kgに設定し、かつ、1
    0〜50m/分の速度で圧接して形成したものであるこ
    とを特徴とする内装材。
  12. 【請求項12】上記請求項1乃至11に記載される内装
    材において、中間生成物たる不織布又はフェルトの目付
    量が25〜150g/m2で、厚みが0.2〜5mmで
    あることを特徴とする内装材。
  13. 【請求項13】上記請求項1乃至7に記載される内装材
    において、エンボス模様形成前に、不織布又はフェルト
    の表面にシリコン系撥水剤を転写又は塗布し、エンボス
    模様形成後に、内装材の表面に、さらに、シリコン系撥
    水剤を転写又は塗布する撥水加工を施すことを特徴とす
    る内装材。
  14. 【請求項14】上記請求項10に記載される内装材にお
    いて、内装材と壁紙用原紙とを接着させる接着剤にシリ
    コン系撥水剤が混合されていることを特徴とする内装
    材。
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