JP2005139571A - 壁装材およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ビニル壁紙のように燃焼時に有害ガスの発生がなく、施工後に揮発性有機
化合物の放散がない壁装材であって、ソフトでボリューム感がありしかも型崩れ
が生じにくい凹凸模様を有し、エンボス加工性や施工性、更には防火性の優れた
壁装材を提供することにある。
【解決手段】合成パルプ、製紙用パルプ及び二酸化チタンからなる混抄紙(1)と
、前記混抄紙の裏面に積層された壁紙用裏打紙(2)とからなり、前記混抄紙の
表面側にエンボス加工による凹凸模様(3)が形成されている壁装材。必要に応
じて表面に撥水処理層や合成樹脂塗布層を形成し裏面に壁紙用裏打紙を積層した
混抄紙を、加熱されたエンボスロールと表面がフラットなバックロールとの間を
を通して、エンボス加工を施すことにより製造できる。
【選択図】図1
化合物の放散がない壁装材であって、ソフトでボリューム感がありしかも型崩れ
が生じにくい凹凸模様を有し、エンボス加工性や施工性、更には防火性の優れた
壁装材を提供することにある。
【解決手段】合成パルプ、製紙用パルプ及び二酸化チタンからなる混抄紙(1)と
、前記混抄紙の裏面に積層された壁紙用裏打紙(2)とからなり、前記混抄紙の
表面側にエンボス加工による凹凸模様(3)が形成されている壁装材。必要に応
じて表面に撥水処理層や合成樹脂塗布層を形成し裏面に壁紙用裏打紙を積層した
混抄紙を、加熱されたエンボスロールと表面がフラットなバックロールとの間を
を通して、エンボス加工を施すことにより製造できる。
【選択図】図1
Description
本発明は、合成パルプを主材とした壁紙等の壁装材に関するものであり、さらに詳しくは、燃焼時における有害ガスの発生や施工後に揮発性有機化合物の放散がなく、ソフトでボリューム感があり、優れた加工性と施工性、さらに防火性を備え、しかも型崩れが生じにくい凹凸模様を有する壁装材に関するものである。
住宅の壁面や天井に使用される壁紙等の壁装材としては、従来から塩化ビニル樹脂製のビニル壁紙が多く使用されてきた。ビニル壁紙は、価格が安く加工特性、耐水性、防汚性、施工性等に優れ、デザイン性の豊富さから優位性を保ってきたが、近年ビニル壁紙は廃棄時の処理が困難であり、燃焼時に有害ガスを発生させるおそれがあることから、該樹脂に替わる素材としてオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、紙、不織布など種々の非ハロゲン素材を用いた壁紙が提案されている。
オレフィン系樹脂又はアクリル系樹脂を用いた壁紙は、ビニル壁紙と同様な加工特性、特に発泡加工ができることからボリューム感に優れた壁紙として多くの検討が行われている。例えば、アクリル系樹脂及びエチレン−酢酸ビニル系樹脂を含むエマルジョンにマイクロカプセル型発泡剤を添加し、これを発泡させた壁紙や、カレンダー加工で得られたオレフィン系樹脂シートを発泡させた壁紙等が提案されている。
しかしながら、これらの壁紙は、塩化ビニル樹脂に比べ燃焼時の環境汚染に対する影響は少ないが、発泡倍率を3倍以上にすると表面強度が弱くなり、塩化ビニル樹脂製に比較して弾性が低下する傾向にあるため、発泡倍率を大きくできない問題点を有していた。また、マイクロカプセル型発泡剤を用いた前記壁紙は、膨張したカプセルが表皮層に残るため汚れやすく、しかも低沸点炭化水素を内包した発泡剤のため壁紙中に揮発性有機化合物として残り易く、シックハウス対策の観点からも大きな問題を有している。
燃焼時における有害ガスの発生や施工後に揮発性有機化合物の放散が少ない壁装材としては、紙パルプや不織布を主材とした壁紙がある。紙パルプを主材とした壁紙は、もともとビニル壁紙に比べて水濡れに弱く、しかもエンボス加工の難しさから、従来より凹凸模様の形成方法として互いに篏合する凸部を形成した雄ロールと凹部を形成した雌ロールとを組み合わせたエンボス装置が使用されてきた。このため製品の表裏に凹凸模様が形成され施工しにくいという欠点がある。さらに、このエンボス装置で形成された凹凸模様は、施工時におけるローラー掛け等の僅かな圧力や水分の影響により型崩れが発生するという問題もあった。
そこで前記の問題点を解決する方法として、表裏に形成された凹凸模様の裏側に壁紙用裏打紙を貼り合わせて平らにする工夫が行われたり、表面に保護フィルムを貼り合わせて型崩れや水分の影響を抑える方法が取られているが、壁紙用裏打紙の接着が甘く剥れやすいという欠点や、保護フィルムを貼り合わせるためコストが高く、しかも、型崩れが完全に抑えられないという問題を有している。
紙パルプを主材とする壁装材であっても、ビニル壁紙の凹凸模様形成に使われる通常のエンボス装置を使用しうる技術が提案されている。すなわちビニル壁紙に通常使われるエンボス装置は、表面に凹凸模様を刻設したエンボスロールと表面がフラットなバックロールとから構成されていて、予め加熱したビニル壁紙をこれらの間に通すことによって凹凸模様を形成させるものである。上記の技術提案は、紙パルプ繊維とオレフィン繊維を含有したシートを予め加熱し、これを上記したビニル壁紙に使われる通常のエンボス装置により凹凸模様を形成させるものである。
しかしながら、紙パルプ繊維とオレフィン繊維を含有したシートを用いる上記の壁装材においては、エンボス装置で形成された凹凸模様が型崩れしにくいという利点は有るものの、ボリューム感のある十分な深さの凹凸模様を形成させた場合には凹凸模様が裏面にまで及んだり、これを防止するためシートを厚くすると、硬くて柔軟性に欠けるものとなる。
また、不織布を主材とした壁装材として、例えば壁紙用原紙の片面に塩素を含まない有機繊維からなるパンチング不織布を接着剤で接着した後、この不織布面に熱成形可能な温度に加熱されたエンボスロールを圧接して凹凸模様を形成する壁紙の製造方法が提案されている。この製造方法によって得られる壁紙は、風合いがソフトで暖かみがあり、ボリューム感に優れたものではあるが、乾式製法により長繊維が嵩高な状態で絡合されている不織布を使用しているため印刷加工性が劣り、安定した品質を確保する事が困難である。また、含有されている合成繊維が、加熱により溶融し透明化するため隠蔽性が悪く、これを補うため壁紙用原紙の坪量をあげたり、不透明度を上げる処方を取らざるをえずコストアップとなる。
特開平06−047875号公報
特開平10−017724号公報
特開平09−031900号公報
特開平10−096197号公報
本発明は、このような従来技術における問題に着目してなされたもので、その問題とするところは、燃焼時における有害ガスの発生や施工後に揮発性有機化合物の放散がなく、ソフトでボリューム感がありしかも型崩れが生じにくい凹凸模様を有し、エンボス加工性や施工性、更には防火性の優れた壁装材を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、合成パルプとともに製紙用パルプを用いることにより、嵩高で耐水性の優れたソフトな紙になり、更に二酸化チタンを組み合わせることで、上記目的を達成し得る壁装材が得られることを見出し、ここに本発明を完成するに至った。
すなわち本発明による壁装材は、合成パルプ、製紙用パルプ及び二酸化チタンからなる混抄紙と、前記混抄紙の裏面に積層された壁紙用裏打紙とからなり、前記混抄紙の表面側にエンボス加工による凹凸模様が形成されたことを特徴とするものである。
本発明の壁装材は、合成パルプを主材とした製紙用パルプとの混抄紙をベースとしたものであるため、燃焼時における塩化水素等の有害ガスの発生や、施工後に揮発性有機化合物の放散がなく、合成パルプの持つボリューム感とソフトな風合い、さらには優れた加工特性、耐水強度及び凹凸模様の型崩れ防止効果をもたらすことができる。
また、合成パルプと製紙用パルプとの混抄紙中には、二酸化チタンが混合されているため、エンボス加工時に、合成パルプの加熱溶融による不透明度の低下を軽減し、壁装材としての隠蔽性の低下を抑制することができる。
さらに、必要に応じて、撥水処理、合成樹脂塗布層の形成及びこれらの加工を組み合わせることにより、撥水性、耐湿摩擦性、防汚性を向上させることができる。
図1は、本発明による壁装材の実施態様の断面図を模式的に示すものであり、合成パルプ、製紙用パルプ及び二酸化チタンからなる混抄紙1の裏面に壁紙用裏打紙2が積層され、混抄紙1の表面側にエンボス加工による凹凸模様3が形成されている。
かような構成の本発明においては、合成パルプ、製紙用パルプ及び二酸化チタンを混抄して混抄紙とし、この混抄紙を主材として使用することにより、ソフトでボリューム感と耐水性に優れ、しかも低密度でエンボス加工性の良好な壁装材を得ることができる。
本発明において、主材として用いられる合成パルプは、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−4−メチルペンテン−1共重合体等のエチレンと他のα−オレフィンとの共重合体などのポリオレフィン、ポリスチレン、ポリメチル・メタクリレート、ポリアクリロニトリルなどの樹脂、ナイロン、ポリエステル、ポリフルオロエチレンなどの重合体から得られる合成パルプが挙げられるが、中でもポリオレフィン系の合成パルプが耐薬品性や撥水性にも優れ、かつ、安価であることから好適に使用される。
この合成パルプの配合量としては、合成パルプ、製紙用パルプ及び二酸化チタンからなる混抄紙の総量に対して、55〜85質量%が好ましく、65〜75質量%であることがさらに好ましい。添加量が55質量%未満であると耐水強度が上がらず湿摩擦強度が低下し、85質量%を超えると加熱前の機械的強度が弱く混抄紙の製造が困難となり、さらにエンボス加工時の加熱により厚みが低下して、壁装材のボリューム感が損なわれる。
また、製紙用パルプとしては、通常の製紙用に使用される、機械パルプや化学パルプを含む木材パルプ、古紙パルプ、あるいは、葦、ケナフ、麻繊維、コットン繊維、竹パルプ繊維等からなるの非木材パルプなどの公知、汎用のパルプが挙げられるが、マーセル化したセルロース繊維を多価アルコールで処理して得られる嵩高パルプなども使用できる。
この製紙用パルプの配合量は、前記混抄紙の総量に対して、7〜42質量%が好ましく、18〜30質量%であることがさらに好ましい。添加量が7%未満では、合成パルプの配合比率が85質量%を超え、42質量%を超えると合成パルプの配合比率が55%未満となり、いずれの場合も前述の問題点が発生する。
本発明では、エンボス時の加熱により混抄紙中の合成パルプが融けて透明化し、前記混抄紙の不透明度を低下させるため、これを軽減させる目的で二酸化チタンを添加している。混抄紙の不透明度の低下は、壁装材の隠蔽性の低下をもたらし、例えば、施工時に下地調整剤として使用されるパテの色が透けて、壁装材の表面に色ムラ等の問題が発生する。従って、壁装材としての隠蔽性は、JIS
A 6921(壁紙)でも規定されているように重要な品質項目の1つである。
A 6921(壁紙)でも規定されているように重要な品質項目の1つである。
二酸化チタンとしては、製紙用に用いられている何れのものも使用できるが、耐侯(光)性を考慮すると一般的にルチル形の二酸化チタンが使用される。この二酸化チタンの配合量は、前記混抄紙の総量に対して、3〜8質量%が好ましく、4〜6質量%であることがさらに好ましい。添加量が3質量%未満では、加熱後の混抄紙の不透明度が極端に低下し、本発明を達成するために必要な混抄紙の加熱後の不透明度90%以上(JIS
P−8138に基づく不透明度試験方法による)を保持することができない。また、添加量が8質量%を超えると、混抄紙の厚みが低下し、壁装材のボリューム感が損なわれるだけでなくコストもアップする。
P−8138に基づく不透明度試験方法による)を保持することができない。また、添加量が8質量%を超えると、混抄紙の厚みが低下し、壁装材のボリューム感が損なわれるだけでなくコストもアップする。
合成パルプ、製紙用パルプ及び二酸化チタンからなる混抄紙は、200g/m2荷重時の密度が0.25〜0.4g/cm3であることが好ましい。密度が0.2g/cm3未満では、混抄紙の面が粗面になり印刷適性が悪くなるとともに強度も低下する。一方、密度が0.4g/cm3を超えると、混抄紙の風合いが硬くなるとともに混抄紙の厚みが不足して壁装材としてのボリューム感に欠ける傾向がある。従って、合成パルプ、製紙用パルプ及び二酸化チタンからなる混抄紙の坪量は、印刷適性、エンボス加工性、適正な厚み、コスト、壁装材の有機物質の質量等を考慮して70g〜120g/m2に設定するのが好ましい。
合成パルプ、製紙用パルプ及び二酸化チタンからなる混抄紙を抄造する際には、所定の割合で混合された原料パルプの水分散液に、従来から慣用されている抄造助剤、例えば、タルク、カオリン等の填料、サイズ剤、紙力増強剤、定着剤、内添バインダー、寸法安定化剤等を配合して紙料を調整し、抄紙機を用いて常法により抄紙する。
合成パルプ、製紙用パルプ及び二酸化チタンからなる混抄紙の裏面に貼り付けられる壁紙用裏打紙は、壁紙等の壁装材として使用される場合の施工性やエンボス加工性を向上させる機能を有する。代表的な壁紙用裏打紙としては、普通紙、難燃紙、水酸化アルミニウム紙等があり、燃焼時に有害ガスの発生がなく、かつ、揮発性有機化合物を含まない澱粉系、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、アクリル系樹脂等のエマルジョンタイプの接着剤を用いて貼り付けられる。
壁紙用裏打紙としての坪量は、壁装材の風合い、有機物質の質量、隠蔽性、コスト等を考慮すると65〜100g/m2に設定するのが好ましい。尚、壁紙用裏打紙は、施工性、特に施工用接着剤の塗布から壁装材を壁面に貼り付けるまでの時間(オープンタイム)を長くした原紙、すなわち、施工用接着剤が壁装材の内部に浸透することを防止し、接着剤の乾きを遅くするための加工を施したものを選定するのが好ましい。このような壁紙用裏打紙としては、アクリル酸エステル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂の水溶液、或は、スルファミン酸グアニジン等の水溶性難燃剤にワックスを添加した水溶液を塗布又は含浸したもの等が挙げられる。
裏面に壁紙用裏打紙を貼り付けた混抄紙は、表面側に必要に応じて印刷による絵柄模様の形成、すなわち化粧加工が施される。化粧加工の方法としては、グラビア印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷等が挙げられ、これらの方法を1種又は複数組み合わせることもできる。尚、化粧加工を施す場合は、エンボス加工前でもエンボス加工後でも良いが、撥水処理を行う場合は、撥水処理前に行うことが好ましい。
凹凸模様を形成するためのエンボス加工は、表面に凹凸模様が刻設されたエンボスロールと表面がフラットなゴムロール又はペーパーロール等のバックロールとの間に、裏面に壁紙用裏打紙を貼り付けた混抄紙を通して、混抄紙の表面側にエンボスロールを圧接し、引き続いて冷却することにより行われる。ビニル壁紙のエンボス加工と異なる点は、ビニル壁紙のエンボス加工では、シート側を予め加熱溶融して冷却されたエンボスロールを圧接させるのに対して、本発明においては、シート側を加熱することなく、あるいは、軟化しない程度に加熱して加熱されたエンボスロールを圧接するところである。
エンボス加工の条件、すなわちエンボスロールの表面温度、圧力及び加工速度は、混抄紙を構成している合成パルプの種類に応じて適宜設定することができる。エンボスロールの表面温度は、混抄紙を構成している合成パルプの融点より高く設定するのが普通であるが、オレフィン系合成パルプの場合は、135〜200℃の範囲に設定するのが好ましい。また、圧力は160〜1200N/cm、加工速度は、10〜60m/分の範囲が好ましく採用できる。
本発明の壁装材は、必要に応じて撥水処理を施したり、合成樹脂塗布層を形成したり、あるいは、合成樹脂塗布層を形成後撥水処理を施して防汚性、耐水性、耐湿摩擦性等を向上させることができる。尚、撥水処理を施したり、合成樹脂塗布層を形成する場合は、揮発性有機化合物を含まない水系の材料を用いることが好ましい。
これらの撥水処理あるいは合成樹脂塗布層の形成は、壁装材が使用される場所、すなわち汚れの種類、汚れの頻度に応じて適宜選定して施される。例えば、天井や寝室の壁のように汚れ難い場所については加工の必要は無いが、リビングの壁のように比較的汚れ易い場所については、撥水処理か合成樹脂塗布層の形成が必要となる。また、洗面所や台所の壁のように非常に汚れ易い場所については、合成樹脂塗布層の形成と撥水処理加工が要求される。
本発明の壁装材表面に撥水処理のみを行う場合は、凹凸模様形成前後、すなわちエンボス加工の前後2回に分けて行うのが好ましい。エンボス加工前の撥水処理(1回目の撥水処理)は、シリコン系あるいはフッ素系樹脂塗工液を塗布又は転写することによって行われるが、壁装材に撥水性を付与する作用の他に、エンボスロールの離型性を良好にする効果もある。この離型効果は、製品の品質を向上させるだけでなく、エンボス加工時の加工速度をアップさせるのにも有効である。
エンボス加工後の撥水処理(2回目の撥水処理)は、エンボス加工前に行われた1回目の撥水処理の斑を補うもので、壁装材の表面に斑のない撥水効果を付与させるものである。2回目の撥水処理に用いる塗工液は、エンボスロールの離型性向上効果を考慮する必要は無く、撥水性能又は防水性能を持つ樹脂のうちシリコン系樹脂、フッ素系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、アクリル系樹脂、ワックス等から選ばれる少なくとも1種以上の樹脂から選定され、その塗布量は、乾燥質量で0.2〜20g/m2とするのが好ましく、0.5〜10g/m2とするのがさらに好ましい。0.2g/m2未満の塗布量では必要とする撥水効果が得られず、20g/m2を超えるとコストがアップし不経済となる。
なお、撥水処理を行う場合、印刷による化粧加工は、1回目の撥水処理の前に行うことが望ましい。
このように撥水処理は、壁装材の表面に防汚性能を付与するものであるが、1回目の撥水処理のみでは、エンボスロールとの接触により撥水層に裂目が生じ、十分な撥水効果が得られない可能性がある。また、2回目の撥水処理のみでは、エンボス模様の凹凸により、全体に十分な撥水層を形成することができない。そのため、上述のように、凹凸模様形成前と後に2回の撥水処理を行うことにより、裂目のない撥水層が形成できるので十分な撥水性能を得ることができる。
本発明の壁装材において、合成パルプ、製紙用パルプ及び二酸化チタンからなる混抄紙の表面に合成樹脂塗布層を形成させる場合は、印刷による化粧加工の前でも後でも良く、形成された合成樹脂塗布層は、壁装材の防汚性、耐水性および耐湿摩擦性を向上させる機能を有する。なお、合成樹脂塗布層の形成が、印刷による化粧加工の前に行われた場合は、印刷適性も向上させる働きがある。
合成樹脂としては、アクリル酸エステル系樹脂、ブタジエン・スチレン共重合体、ブタジエン・メチルメタクリレート共重合体、スチレン−アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂等が使用でき、必要に応じてワックスや無機粉体、例えば水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、各種無機水和物等の吸熱脱水反応を伴うもの、または、艶消し剤としてのシリカ、または、通常製紙用に使用されている炭酸カルシウム、カオリンクレー、タルク等を混合してなるコンパウンドをこれらの樹脂に配合して使用することもできる。
合成樹脂の塗布は、通常抄紙後、インライン又はオフラインで行われるが、オフラインで行う場合は、合成パルプ、製紙用パルプ及び二酸化チタンからなる混抄紙の裏面に壁紙用裏打紙を積層した後でも良い。合成樹脂の塗布量は、乾燥質量で1〜15g/m2とすることが好ましく、3〜8g/m2がさらに好ましい。塗布量が1g/m2未満の場合は、所望の耐湿摩擦性の向上が達成できない場合もあり、20g/m2を超えると表面が硬くなるとともに不経済となり、混抄紙のソフトな風合いを損ねる傾向もみられる。
また本発明による壁装材は、合成樹脂塗布層と撥水処理を併用して壁装材の防汚性をさらに向上させることができる。この場合は、前述の撥水処理のみを行う場合とは異なり、エンボス加工による凹凸模様を形成する前に合成樹脂塗布層を形成し、撥水処理は合成樹脂塗布層形成後であれば凹凸模様の形成前あるいは凹凸模様形成後の何れか、または両方行っても良い。
本発明の壁装材は、準不燃の防火性能を持たせるため壁装材の有機質量を190g/m2以下に設定するのが好ましい。防火性能の評価は、平成10年6月の建築基準法改正に伴い新たに制定された試験方法、すなわちISO 5560 part1に準拠したコーンカロリーメーターによる発熱性試験に基づいて行われ、準不燃の性能は、加熱開始後10分間の総発熱量が、8MJ/m2以下であることなっている。コーンカロリーメーターによる発熱性試験は、壁装材の全質量中に含有される有機物質の質量によってほぼ決定され、実験の結果では、下地基材が準不燃石膏ボード場合、有機物資の質量が190g/m2を超えると、加熱開始後10分間の総発熱量が、8MJ/m2を超え不合格になることが実証された。
混抄紙中の配合比率が、平均繊維長1.6mm、融点135℃のポリオレフィン合成パルプ(商品名「SWP・E−790」三井化学株式会社製)70質量%、木材パルプ25質量%、二酸化チタン5質量%(商品名「R−3L」堺化学工業株式会社製)になるように均一に混合した水分散液に、紙抄造に必要な慣用的な抄造助剤を配合して紙料を調整し、抄紙機により密度0.33g/cm3、坪量100g/m2の混抄紙を抄造した。
この混抄紙の裏面に、壁紙用裏打紙として坪量85g/m2の壁紙用普通紙をエチレン−酢酸ビニル・エマルジョン接着剤(商品名「ボンドSP800」コニシ株式会社製)を用いて貼り合わせて、厚さ0.45mm、坪量195g/m2の壁装材原料シートを得た。
この壁装材原料シートを、深度0.55mmの石目模様が彫刻されたエンボスロールと表面がフラットなバックロールとの間を通して、エンボスロールの表面温度180℃、圧力(線圧)260N/cm、加工速度30m/分の条件でシートの表面側にエンボス加工を行い、図1に示す構成の厚さ0.45mmの壁装材を得た。尚、得られた壁装材の有機物質の質量は、181g/m2であった。
実施例1における壁装材原料シートの表面に印刷を施した後、水性タイプのシリコン系撥水剤を乾燥重量で2g/m2になるように塗布、乾燥して1回目の撥水処理を施し、厚さ0.45mm、坪量197g/m2の壁装材原料シートを得た。
この壁装材原料シートを、実施例1と同様にしてエンボス加工を行った後、さらに、シリコン系撥水剤を乾燥重量で2g/m2になるように塗布して2回目の撥水処理を施し、厚さ0.45mmの壁装材を得た。尚、得られた壁装材の有機物質の質量は、183g/m2であった。
実施例1における壁装材原料シートの表面に印刷を施した後、水性タイプのスチレン−アクリル系樹脂塗料を乾燥重量で4g/m2になるように塗布、乾燥して合成樹脂塗布層を形成し、厚さ0.46mm、坪量200g/m2の壁装材原料シートを得た。
この壁装材原料シートを、実施例1と同様にしてエンボス加工を行って、厚さ0.46mmの壁装材を得た。尚、得られた壁装材の有機物質の質量は、186g/m2であった。
実施例3で得られた壁装材原料シートに、実施例1と同様にしてエンボス加工を行った後、さらに、シリコン系撥水剤を乾燥重量で2g/m2になるように塗布して撥水処理を施し、厚さ0.46mmの壁装材を得た。尚、得られた壁装材の有機物質の質量は、188g/m2であった。
実施例1において混抄紙中の配合比率を、ポリオレフィン合成パルプ100質量%に替えた水分散液に、紙抄造に必要な慣用的な抄造助剤を配合して紙料を調整し、抄紙機により密度0.33g/cm3、坪量100g/m2の紙を抄造した。しかし、機械的強度が弱すぎて断紙が発生し、連続生産は困難であることが分かった。
この紙を実施例1と同様にして壁装材原料シートを作成し、実施例1と同様にしてエンボス加工を行い、厚さ0.30mmの壁装材を得た。尚、得られた壁装材の有機物質の質量は、186g/m2であった。
実施例1において混抄紙中の配合比率を、木材パルプ100質量%に替えた水分散液に、紙抄造に必要な慣用的な抄造助剤を配合して紙料を調整し、抄紙機により坪量100g/m2の紙を抄造したが、密度は0.60g/cm3で目標とする密度が得られなかった。
この混抄紙を実施例1と同様にして壁装材原料シートを作成し、実施例1と同様にしてエンボス加工を行い、厚さ0.28mmの壁装材を得た。尚、得られた壁装材の有機物質の質量は、186g/m2であった。
実施例1において混抄紙中の配合比率を、ポリオレフィン合成パルプ65質量%、木材パルプ20質量%、二酸化チタン15質量%に替えて均一に混合した水分散液に、紙抄造に必要な慣用的な抄造助剤を配合して紙料を調整し、抄紙機により坪量100g/m2の混抄紙を抄造したが、密度は0.50g/cm3で目標とする密度が得られなかった。
この混抄紙を実施例1と同様にして壁装材原料シートを作成し、実施例1と同様にしてエンボス加工を行い、厚さ0.30mmの壁装材を得た。尚、得られた壁装材の有機物質の質量は、171g/m2であった。
混抄紙の配合比率は実施例1と同様にして、密度0.18g/cm3、坪量100g/m2の混抄紙を抄造した後、実施例1と同様にして壁装材原料シートの作成とエンボス加工を行い、厚さ0.52mm、坪量195g/m2の壁装材を得た。尚、得られた壁装材の有機物質の質量は、181g/m2であった。
混抄紙の配合比率は実施例1と同様にして、密度0.33g/cm3、坪量130g/m2の混抄紙を抄造した。この混抄紙の裏面に、壁紙用裏打紙として坪量75g/m2の壁紙用普通紙を実施例1と同様にして貼り合わせて、厚さ0.50mm、坪量210g/m2の壁装材原料シートを得た。
この壁装材原料シートに、実施例1と同様にしてエンボス加工を行い、厚さ0.50mmの壁装材を得た。尚、得られた壁装材の有機物質の質量は、201g/m2であった。
前記実施例1〜9で得られた壁装材について、エンボス加工性、印刷加工性、ボリューム感、耐湿摩擦性、型崩れ性、撥水性、防汚性、風合い、隠蔽性、防火性を、以下の基準に従って評価した。
〈試験方法及び評価基準〉
1.エンボス加工性の評価
壁装材の表面に形成された凹凸模様を目視にて観察し、下記の基準に従って評価した。
○:凹凸感に優れたエンボス模様が形成された。
△:エンボス模様は形成されたが凹凸感に乏しかった。
×:ほとんど凹凸がなく、凹凸感に乏しかった。
1.エンボス加工性の評価
壁装材の表面に形成された凹凸模様を目視にて観察し、下記の基準に従って評価した。
○:凹凸感に優れたエンボス模様が形成された。
△:エンボス模様は形成されたが凹凸感に乏しかった。
×:ほとんど凹凸がなく、凹凸感に乏しかった。
2.印刷加工性の評価
壁装材原料シートの印刷状態を目視にて観察し、印刷適性及び印刷状態の安定性を標準サンプル(ビニル壁紙の印刷見本)と比較した。
○ :標準サンプルとほぼ同等。
○△:印刷適性は標準サンプルより僅かに劣る。
△ :標準サンプルより劣るが、使用できる。
× :標準サンプルより非常に劣り、使用できない。
壁装材原料シートの印刷状態を目視にて観察し、印刷適性及び印刷状態の安定性を標準サンプル(ビニル壁紙の印刷見本)と比較した。
○ :標準サンプルとほぼ同等。
○△:印刷適性は標準サンプルより僅かに劣る。
△ :標準サンプルより劣るが、使用できる。
× :標準サンプルより非常に劣り、使用できない。
3.ボリューム感の評価
壁装材の凸部の厚みを測定し、エンボス加工前の厚みとの差(減少率)により判定した。尚、壁装材原料シートの段階で、厚みが0.30mm以下の物は×とした。
○:厚みの減少率が20%未満であった。
△:厚みの減少率が20%以上、35%未満であった。
×:厚みの減少率が35%以上であった。
壁装材の凸部の厚みを測定し、エンボス加工前の厚みとの差(減少率)により判定した。尚、壁装材原料シートの段階で、厚みが0.30mm以下の物は×とした。
○:厚みの減少率が20%未満であった。
△:厚みの減少率が20%以上、35%未満であった。
×:厚みの減少率が35%以上であった。
4.耐湿摩擦性の評価
壁装材をJIS A 6921(2003)の試験方法に基づき湿潤摩擦試験を行い、摩擦回数100回後の表面状態を目視にて観察し、下記の基準に従って評価した。
○ :表面状態に特に変化は見られなかった。
○△:表面が僅かに削れたように見える。
△ :表面が削れて紙粉が発生した。
× :表面が削れて表面層が剥がれてしまった。
壁装材をJIS A 6921(2003)の試験方法に基づき湿潤摩擦試験を行い、摩擦回数100回後の表面状態を目視にて観察し、下記の基準に従って評価した。
○ :表面状態に特に変化は見られなかった。
○△:表面が僅かに削れたように見える。
△ :表面が削れて紙粉が発生した。
× :表面が削れて表面層が剥がれてしまった。
5.型崩れ性の評価
壁装材を水に30分間浸漬する。その後直ちに施工用ローラーにて壁装材表面を5往復ローラー掛けし、凹凸模様の変化を目視にて観察する。その結果を下記の基準に従って評価した。
○:凹凸模様に変化は見られなかった。
△:凹凸模様が潰れて形状が変化した。
×:凹凸模様が潰れてなくなってしまった。
壁装材を水に30分間浸漬する。その後直ちに施工用ローラーにて壁装材表面を5往復ローラー掛けし、凹凸模様の変化を目視にて観察する。その結果を下記の基準に従って評価した。
○:凹凸模様に変化は見られなかった。
△:凹凸模様が潰れて形状が変化した。
×:凹凸模様が潰れてなくなってしまった。
6.撥水性の評価
壁装材の表面に、染料で色をつけた水0.1ccをスポイトにてたらした後、水が浸透するまでの時間を測定し、その結果を下記の基準に従って評価した。
○ :水が浸透するまでの時間が10分以上。
○△:水が浸透するまでの時間が5分以上10分未満。
△ :水が浸透するまでの時間が1分以上5分未満。
× :水が浸透するまでの時間が1分以未満。
壁装材の表面に、染料で色をつけた水0.1ccをスポイトにてたらした後、水が浸透するまでの時間を測定し、その結果を下記の基準に従って評価した。
○ :水が浸透するまでの時間が10分以上。
○△:水が浸透するまでの時間が5分以上10分未満。
△ :水が浸透するまでの時間が1分以上5分未満。
× :水が浸透するまでの時間が1分以未満。
7.防汚性の評価
ホコリ汚れを想定して作成した汚染物を壁装材表面に擦り付け、24時間放置後水を含ませた布で拭き取り、汚れの除去状態を目視にて観察する。その結果を下記の基準に従って評価した。
○ :汚れが残らない。
○△:殆ど汚れが残らない。
△ :やや汚れが残る。
× :かなり汚れが残る。
ホコリ汚れを想定して作成した汚染物を壁装材表面に擦り付け、24時間放置後水を含ませた布で拭き取り、汚れの除去状態を目視にて観察する。その結果を下記の基準に従って評価した。
○ :汚れが残らない。
○△:殆ど汚れが残らない。
△ :やや汚れが残る。
× :かなり汚れが残る。
8.風合いの評価
壁装材のソフト感及び表面タッチを下記の基準に従って評価した。
○:壁装材自体がソフトで、表面タッチもさらっとしている。
△:壁装材自体は硬いが、表面タッチはさらっとしている。
×:壁装材自体が硬く、表面タッチもがさついている。
壁装材のソフト感及び表面タッチを下記の基準に従って評価した。
○:壁装材自体がソフトで、表面タッチもさらっとしている。
△:壁装材自体は硬いが、表面タッチはさらっとしている。
×:壁装材自体が硬く、表面タッチもがさついている。
9.隠蔽性の評価
壁装材をJIS A 6921(2003)の試験方法に基づき隠蔽性試験を行い、下記の基準に従って評価した。尚、3級以上が合格である。
〈判定基準〉
1級:明りょうに顕出する(不合格)。
2級:やや顕出する(不合格)。
3級:ごくわずかに顕出する(合格)。
4級:顕出しない(合格)。
〈評価基準〉
○:判定結果が、3級以上であった(合格)。
×:判定結果が、2級以下であった(不合格)。
壁装材をJIS A 6921(2003)の試験方法に基づき隠蔽性試験を行い、下記の基準に従って評価した。尚、3級以上が合格である。
〈判定基準〉
1級:明りょうに顕出する(不合格)。
2級:やや顕出する(不合格)。
3級:ごくわずかに顕出する(合格)。
4級:顕出しない(合格)。
〈評価基準〉
○:判定結果が、3級以上であった(合格)。
×:判定結果が、2級以下であった(不合格)。
10.防火性の評価
建築基準法第68条の26第1項の規定に基づき、同法施行令第1条第五号(準不燃材料)の規定に適合するかどうかを確認する為、指定された試験(ISO 5660 part1に準拠したコーンカロリーメーターによる発熱性試験)を行い、下記の判定基準に基づいて評価した。尚、試験には準不燃基材として、厚さ12.5mmの準不燃石膏ボード(吉野石膏株式会社製)を使用した。
〈判定基準〉
*加熱開始後10分間の総発熱量が、8MJ/m2以下であること。
*加熱開始後10分間、最高発熱速度が、10秒以上継続して200kw/m
2を超えないこと。
〈評価基準〉
◎:総発熱量及び最高発熱速度とも適合していた(合格)。
○:総発熱量及び最高発熱速度とも適合していたが、最高発熱速度の結果が
ぎりぎりの合格である(合格)。
△:総発熱量か最高発熱速度の何れかが不適合であった(不合格)。
×:総発熱量か最高発熱速度の何れも不適合であった(不合格)。
建築基準法第68条の26第1項の規定に基づき、同法施行令第1条第五号(準不燃材料)の規定に適合するかどうかを確認する為、指定された試験(ISO 5660 part1に準拠したコーンカロリーメーターによる発熱性試験)を行い、下記の判定基準に基づいて評価した。尚、試験には準不燃基材として、厚さ12.5mmの準不燃石膏ボード(吉野石膏株式会社製)を使用した。
〈判定基準〉
*加熱開始後10分間の総発熱量が、8MJ/m2以下であること。
*加熱開始後10分間、最高発熱速度が、10秒以上継続して200kw/m
2を超えないこと。
〈評価基準〉
◎:総発熱量及び最高発熱速度とも適合していた(合格)。
○:総発熱量及び最高発熱速度とも適合していたが、最高発熱速度の結果が
ぎりぎりの合格である(合格)。
△:総発熱量か最高発熱速度の何れかが不適合であった(不合格)。
×:総発熱量か最高発熱速度の何れも不適合であった(不合格)。
表1に示す如く、本発明の実施例1から実施例4の壁装材は、エンボス加工性、印刷加工性、ボリューム感、型崩れ性、撥水性、風合い、隠蔽性、防火性については、すべて優れていた。また、その他の機能性及び物性も、必要に応じて撥水処理、合成樹脂塗布層の形成及び合成樹脂塗布層の形成と撥水処理の組み合わせにより優れた性能が得られることが実証された。例えば、耐湿摩擦性については実施例2、実施例3、実施例4、防汚性については、実施例3、実施例4の壁装材で優れた結果が示されている。
これに対して、木材パルプ及び二酸化チタンを抜いて、ポリオレフィン合成パルプ(以下、合成パルプという)100質量%とした実施例5は、木材パルプを抜いて合成パルプのみとしたためエンボス加工性、ボリューム感、風合いが劣り、二酸化チタンを抜いたことによりに隠蔽性が劣るという結果であった。
また、合成パルプ及び二酸化チタンを抜いて、木材パルプ100質量%とした実施例6は、合成パルプを抜いて木材パルプのみとしたためエンボス加工性、ボリューム感、耐湿摩擦性、型崩れ性、撥水性、防汚性、風合いが劣り、二酸化チタンを抜いたことにより実施例5と同様に隠蔽性が劣っていた。
さらに、二酸化チタンの添加量を増やした実施例7は、エンボス加工性、ボリューム感、風合いが劣り、混抄紙の密度を落とした実施例8は、印刷加工性と耐湿摩擦性が劣り、壁装材の有機物質の質量を増やした実施例9は、防火性能が劣り不合格であった。
合成パルプを主材とし、これに製紙用パルプを用いることで、合成パルプの持つボリューム感とソフトな風合いを備え、かつ燃焼時における有害ガスの発生や施工後に揮発性有機化合物の放散がない素材として、環境に優しい壁装材用途に適用できる。
1:混抄紙
2:壁紙用裏打紙
3:凹凸模様
2:壁紙用裏打紙
3:凹凸模様
Claims (14)
- 合成パルプ、製紙用パルプ及び二酸化チタンとからなる混抄紙と、前記混抄紙の裏面に積層された壁紙用裏打紙とからなり、前記混抄紙の表面側にエンボス加工による凹凸模様が形成されたことを特徴とする壁装材。
- 前記混抄紙において、混抄紙の総量に対して合成パルプの配合率が55〜85質量%であり、製紙用パルプの配合率が7〜42質量%であり、二酸化チタンの配合率が3〜8質量%であることを特徴とする請求項1に記載の壁装材。
- 前記混抄紙が、200g/m2荷重時の見掛密度が0.25〜0.4g/cm3であることを特徴とする請求項1または2に記載の壁装材。
- 前記合成パルプが、ポリオレフィン系合成パルプであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の壁装材。
- 前記混抄紙の表面に印刷による化粧加工が施されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の壁装材。
- 前記混抄紙の表面が撥水処理されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の壁装材。
- 前記混抄紙の表面に合成樹脂塗布層を形成し、前記合成樹脂塗布層の表面側に混抄紙と合成樹脂塗布層とを一体化したエンボス加工による凹凸模様が形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の壁装材。
- 前記合成樹脂塗布層の表面が撥水処理されていることを特徴とする請求項7に記載の壁装材。
- 壁装材の有機物質の質量が、190g/m2以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の壁装材。
- 合成パルプ、製紙用パルプ及び二酸化チタンとからなる混抄紙を抄造する工程と、前記混抄紙の裏面に壁紙用裏打紙を積層する工程と、裏面に壁紙用裏打紙を積層した前記混抄紙を、加熱されたエンボスロールとバックロールとの間隙を通して、前記混抄紙の表面側にエンボスロールを圧接することによりエンボス加工を施す工程とからなることを特徴とする壁装材の製造方法。
- 前記混抄紙の表面に印刷による化粧加工を施す工程をさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の壁装材の製造方法。
- 前記混抄紙の表面を撥水処理する工程をさらに含むことを特徴とする請求項10〜11のいずれか1項に記載の壁装材の製造方法。
- 前記混抄紙の表面に合成樹脂塗布層を形成する工程をさらに含み、裏面に壁紙用裏打紙を積層し表面に合成樹脂塗布層を形成した混抄紙をエンボス加工することを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の壁装材の製造方法。
- 前記合成樹脂塗布層の表面を撥水処理する工程をさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の壁装材の製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003375859A JP2005139571A (ja) | 2003-11-05 | 2003-11-05 | 壁装材およびその製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008019339A (ja) * | 2006-07-12 | 2008-01-31 | Asahi Kasei Chemicals Corp | 防汚性の改良された艶消しフィルムまたはシート |
JP2012025115A (ja) * | 2010-07-27 | 2012-02-09 | Toppan Cosmo Inc | 壁紙 |
JP2014065988A (ja) * | 2012-09-26 | 2014-04-17 | Oji Holdings Corp | 化粧板原紙 |
JP2015124448A (ja) * | 2013-12-26 | 2015-07-06 | 王子ホールディングス株式会社 | 壁紙用裏打ち紙 |
CN105908516A (zh) * | 2016-04-13 | 2016-08-31 | 浙江圣山科纺有限公司 | 一种伞面布镜面胶涂层方法 |
KR20180102989A (ko) | 2017-03-08 | 2018-09-18 | 와세다 하우스 컴퍼니 | 시공 방법 |
-
2003
- 2003-11-05 JP JP2003375859A patent/JP2005139571A/ja active Pending
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US10577773B2 (en) | 2017-03-08 | 2020-03-03 | Waseda House Co. | Construction method |
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