JP4409278B2

JP4409278B2 - 壁紙の製造方法

Info

Publication number: JP4409278B2
Application number: JP2003420560A
Authority: JP
Inventors: 秀樹池田; 節夫豊島
Original assignee: Oji Kinocloth Co Ltd
Current assignee: Oji Kinocloth Co Ltd
Priority date: 2003-12-18
Filing date: 2003-12-18
Publication date: 2010-02-03
Anticipated expiration: 2023-12-18
Also published as: JP2005179813A

Description

本発明は、室内装飾のために壁面や天井面に貼付して使用される美粧壁紙に関するものであり、特に、優れた加工性と施工性を備え、環境ホルモン物質を発生せず、かつ、耐候性を備えていて長期間にわたって美粧性が維持される壁紙に関する。

裏打紙に発泡性塩化ビニル樹脂ペーストを塗工し、その塗膜を加熱発泡させてエンボス模様を描出した発泡エンボス・塩化ビニル壁紙は、安価で、柔軟性、可撓性に富み、かつボリューム感があることに加えて、その塗膜は不透湿性であることから、施工時に塗布される施工糊の水分が壁紙を通して蒸発することが少なく、施工し易いものである等の利点があり、広く使用されている。

しかし、塩化ビニル樹脂は、可塑剤を含有するために経時的に可塑剤がブリードして壁紙表面に汚れが生じることがあることや、火災時や廃棄物として焼却する際に塩化水素ガス等の有毒ガスや黒煙を発生する等の問題を有している。このような塩化ビニル樹脂に代えて、エチレン・酢酸ビニル共重合体を使用するもの（特許文献１）が提案されている。しかし、エチレン・酢酸ビニル共重合体の場合は、塩化ビニル壁紙程発泡倍率を上げられないためボリューム感に乏しく、また、プラスチックとの接触により変色等の問題を起こす場合がある。

また、近年壁紙の差別化により、個室にあった壁紙として紙又はパルプ系不織布を表面材に使用した紙壁紙が提案されている。この壁紙は、有害ガス発生がなく可塑剤等も使用しないため環境にもやさしく、かつ、天然系素材の温かみがあり、和室のデザイン等にも合致するためビニル壁紙に代わる環境壁紙として注目されている。

しかし、紙壁紙は素材として使用する紙又はパルプ系不織布の密度が高く剛直な壁紙となることから、柔軟性に乏しく貼りにくいし、また、エンボス深みを上げることができずボリューム感が劣るという問題がある。また、紙又はパルプ系不織布の湿潤及び乾燥時の伸縮が大きいため施工しにくく、しかもジョイント部の目開きが発生しやすい傾向にあるため、施工業者に敬遠されるという問題があった。
特開昭５８−４８７９号公報

本発明は、可塑剤やハロゲンを含有しない非塩ビ系の壁紙であって、塩ビ系壁紙に劣らない柔軟性、可撓性とボリューム感、高級感を備え、かつ施工性にも優れていて長期にわたって表面美粧性が損なわれることがない壁紙を提供することを目的とするものである。

上記目的を達成することができる本発明は、不織布の嵩高性を損なうことなく製造されている壁紙原紙に、加熱エンボス加工によって凹凸模様を形成した壁紙に関するものであり、以下の各発明を包含する。

（１）繊維状カーテン塗布方式で各層間に供給される繊維状溶融ホットメルトにより、嵩密度０．０５〜０．３ｇ／ｃｍ ^３で撥水性のパルプ繊維エアレード不織布層の一方の面にはパルプ系湿式不織布からなる印刷適性を備えた表面不織布層を接着し、他方の面にはポリオレフィンラミネート裏打紙層をそのポリオレフィンラミネート層側において接着して積層構造物を製造する工程、製造された積層構造物の前記表面不織布層側から加熱エンボス加工を施すことによって低嵩密度不織布層を凸部内に有する凹凸模様を形成する工程、を有することを特徴とする、壁紙の製造方法。

（２）前記壁紙積層物における嵩密度０．０５〜０．３ｇ／ｃｍ³で撥水性のパルプ繊維エアレード不織布層は、撥水性基を有するか又は撥水剤を含有し、かつホルムアルデヒド発生源となる架橋剤を含まないアクリル系バインダーを使用してパルプ繊維より形成されている、厚さ５００μｍ〜２０００μｍのエアレード不織布からなる層であることを特徴とする（１）項記載の壁紙の製造方法。

（３）前記パルプ系湿式不織布からなる印刷適性を備えた表面不織布層は、表面に耐候性印刷層を形成している、目付の上限値が３０ｇ／ｍ^２で、嵩密度０．２ｇ／ｃｍ^３以上の湿式不織布よりなることを特徴とする（１）項又は（２）項に記載の壁紙の製造方法。

（４）前記パルプ系湿式不織布は、麻パルプを５０質量％以上含むことを特徴とする（１）項〜（３）項のいずれか１項に記載の壁紙の製造方法。

（５）前記ポリオレフィンラミネート裏打紙層は、裏打紙の前記嵩密度０．０５〜０．３ｇ／ｃｍ ^３で撥水性のパルプ繊維エアレード不織布側の面にエクストルーダーよりポリオレフィンを溶融押出しラミネートして形成されているポリオレフィンラミネート裏打紙よりなることを特徴とする（１）項〜（４）項のいずれか１項に記載の壁紙の製造方法。

本発明の不織布含有壁紙は、嵩高の不織布層の両面に、ポリオレフィンラミネート裏打紙層と印刷適性を備えた不織布とを、それぞれホットメルトによって接着して積層体を形成している構造であるために、壁紙原紙を製造するための積層接着の際に高い押圧力が不要であり、不織布層の嵩高性が損なわれることがなく、不織布層のクッション性によって、壁紙原紙表面側の表面不織布層に熱エンボス加工によって充分な高低差を有する緩やかな凹凸模様を形成することが可能となり、柔軟でボリューム感があり、高級感のある表面を有する壁紙を構成することができる。

さらに、裏打紙層の溶着性樹脂ラミネート層が難透湿性、防水性層であるので施工糊が不織布層に惨み込まず、また、その水分が表側から蒸発し難いために、施工糊の塗布後のオープンタイムを充分に長くとることができる。また、嵩高不織布層が撥水性であるため、端部からの水分の浸透がなく、耐久性に優れている。さらに、撥水性嵩高不織布層と表面不織布層がホットメルトにより固着されているため、寸法安定性に優れている。

本発明の壁紙は、嵩高の不織布層の片面に印刷適性を備えた表面不織布層をホットメルトにより積層接着、不織布層の他面には、裏打紙からなる紙基材の一面に溶着性ポリオレフィン樹脂の押出しラミネート層を有するポリオレフィンラミネート裏打紙層を、該押出しラミネート層を内側（不織布層側）にしてホットメルトにより積層接着した後、表面不織布層側から加熱エンボス加工が施されている積層構造を有している。

本発明の壁紙に使用される不織布としては、柔軟性、可撓性に富み、かつ非吸湿性で嵩高なものであれば特に制限はなく、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、湿式不織布、エアレード不織布等が使用可能であるが、製造工程で不織布全体を撥水処理することが容易であることと嵩高性に優れているものを製造することができることから、エアレード不織布が好ましく、特にパルプ繊維を主体とする繊維を積層した層に撥水性接着剤液を噴霧して製造されているエアレード不織布が好ましい。撥水性接着剤としては、ホルムアルデヒド発生源となる架橋剤を含まず、それ自体が撥水性基を含有するアクリル系接着剤又は撥水剤を含有するアクリル系接着剤が使用される。

エアレード不織布、特にパルプ繊維を主体とする繊維から形成されているエアレード不織布は、壁紙に所望のボリューム感を付与するために用いられるものであることから、通常、０．０５〜０．３ｇ／ｃｍ³程度の嵩密度で、厚みが３００〜２５００μｍ、好ましくは５００〜２０００μｍで、坪量３０〜１２０ｇ／ｍ²、好ましくは４０〜８０ｇ／ｍ²程度のものが使用される。エアレード不織布は、撥水性アクリル系接着剤の噴霧によって繊維表面が撥水処理されるため、繊維が親水性のパルプ繊維であっても液体難浸透性層となっている。

嵩高の不織布の片面には、印刷適性を備えた表面不織布がホットメルトにより接着される。ホットメルトによる接着には強い加圧は不要であるため、不織布の嵩高性を損なうことなく両層を接着することができる。また、その後の加熱エンボス加工によって不織布層全体の厚みが減少した場合でも、形成される凸部における不織布層の嵩密度を充分に低い状態に維持することができ、高低差の大きなボリューム感がある凹凸模様によって美粧性及び高級感に優れた面を形成することができる。

前記表面不織布は、印刷適性及び表面強度を有するため、比較的表面平滑性の高い湿式不織布、なかでも低坪量で嵩密度０．２ｇ／ｃｍ³以上の強度発現性の高い加熱接着性合成繊維を配合するパルプ系不織布、もしくは、繊維長が長く高強度の麻パルプを配合するパルプ系不織布が好ましい。さらに麻パルプ配合率は強度面より５０質量％以上が好ましい。前記表面不織布は、嵩高不織布との接着前あるいは、接着後の壁紙積層物で表面印刷加工を実施される。また、エンボス適性の付与と燃焼時の総発熱量を低くするために、目付は３０ｇ／ｍ²以下であることが望ましい。

前記表面不織布は、美粧性、高級感を付与することができる添加剤、たとえば、顔料等を含有することもできる。なお、前記表面不織布層には印刷後の汚れ防止のため、表面に撥水剤の塗布あるいは、クリアーコート処理を実施することも可能である。

本発明の壁紙におけるポリオレフィンラミネート裏打紙は、壁面の施工下地面を隠蔽する機能を有する紙基材（裏打紙）面に、壁紙を壁面に貼着するための粘着剤層のオープンタイムを長くすることができるバリア層となるポリオレフィン樹脂フィルムをラミネートした積層構造を有している。ラミネート裏打紙用の紙基材（裏打紙）としては、壁面施工下地に対する隠蔽性と施工糊の塗着性を考慮して、目付５０〜１００ｇ／ｍ²の紙基材が好適である。また、壁紙を難燃化するために、紙基材に難燃剤を添加することができる。

ラミネート裏打紙は、エチレン酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂等の各種の樹脂によるラミネート裏打紙とすることもできるが、不織布含有壁紙の燃焼時の発煙量が少なく、溶融押出し適性に優れ、ラミネートによる接着性もよい溶着性ポリオレフイン樹脂による溶融押出ラミネート裏打紙であることが好ましい。なお、隠蔽性は酸化チタン、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム等の顔料をラミネート層に添加することによっても付与することが可能である。溶融押出しラミネート層を形成するための溶着性ポリオレフィン樹脂としてはポリエチレン樹脂が好ましい。該隠蔽性ラミネート層として、上記のような隠蔽性が付与されているポリオレフィンフィルムを接着剤により裏打紙にラミネートしたものを使用することも可能である。

隠蔽性ラミネート裏打紙のポリオレフィンラミネート層の厚みは、通常５〜３０μｍであり、５μｍ未満ではピンホールができ易く、施工時に施工糊の水分が不織布側へ移行することを抑制する不透湿防水層としての機能が低下する恐れがあり、また、３０μｍを超えると、不織布含有壁紙全体が硬くなって壁面下地の起伏に合わせた施工がし難くなる。また、糊の水分が抜けにくくなり、膨れが生じることがあるし、さらに、燃焼時の発熱量が大きくなる問題も発生する。

本発明の壁紙は、全体の厚さに特に制限はなく、通常の壁紙に要求される、０．３〜1．５ｍｍの範囲、好ましくは０．５〜１．０ｍｍの範囲であり、０．３ｍｍ未満では壁紙に高級感を付与するために嵩高性の不織布を使用することのメリットがなくなり、深みのある凹凸を形成することも難しくなるので好ましくない。また、１．５ｍｍを超える厚さとなると、壁紙全体が硬くなって壁面下地の起伏に合わせた施工がし難くなる。

本発明の壁紙において、嵩高不織布と表面不織布層及び隠蔽性のポリオレフィンラミネート裏打紙層との間を接着するために使用されるホットメルトとしては、たとえば、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ＥＶＡ系、ポリアミド系、ゴム系等の通常のホットメルトが使用できる。なお、長期美粧性の維持するために耐光性に優れるものが好ましい。さらに端部接着面からの施工糊の水分浸入による影響をできるだけ少なくするために、耐水性に優れるものが好ましい。

ホットメルトは、嵩高不織布と裏打紙又は表面不織布層との間に溶融状態で供給されるものであれば、そのホットメルト層の形状に特に制限はなく、フィルム状、線状、網状等の形状で供給されるものであってよいが、少量で接着面積を充分に確保できるとともに、壁紙全体のボリューム感が損なわれることがないことから、溶融ホットメルトを繊維状カーテン塗布方式によって層間に繊維状に供給して接着されていることが望ましい。

層間に溶融ホットメルトが供給された積層体は、弱加圧状態のロール間に通されて層間接着が行われるが、この際の弱加圧条件は、嵩高の不織布層を圧縮してその嵩高性を損なうことがない状態で接着が行われるような加圧条件であり、通常、プレス時のクリアランスとして、積層物のトータルの厚みに対して−０．１〜−０．３ｍｍの範囲で選択される。

本発明の不織布を含有する壁紙は、嵩高の不織布層の両面への隠蔽性のポリオレフィンラミネート裏打紙層及び表面不織布層の接着が、溶融状態で層間に供給されるホットメルトによって行なわれるものであるために、積層接着の際に緩やかな押圧力で接着することが可能であり、嵩高な不織布層の嵩高性が損なわれることがなく維持されている壁紙積層物を製造することができる。

また、上記のような嵩高な不織布層のクッション性によって、積層体の表面不織布層から熱エンボス加工することによって充分な高低差を有する深みのある凹凸模様を形成することが可能となり、柔軟性、可撓性でボリューム感があり、高級感に優れた表面を有する壁紙が提供される。

また、不織布層と裏打紙層の間に介在している溶着性樹脂ラミネート層が不透湿性、防水性のバリア層であるので、施工時に施工糊が不織布層に浸み込むことがなく、さらに、その水分が表側から蒸発し難いために、施工糊塗布後のオープンタイムを充分に長くとることができて施工し易いという特性を備えている。

パルプ系不織布を主体にしているために、廃棄焼却時に発煙量が少なく、有毒ガスの発生がないという利点を有する。また、嵩高不織布層が撥水性であるため、施工貼り合せ時にジョイント部で糊水分の影響を受けず、壁面に結露等による水分付着があっても壁紙端部から層間に水分が浸透することがなく、耐久性にも優れている。さらに、撥水性嵩高不織布層と表面不織布層が耐水性のホットメルトにより固着されているため、寸法安定性に優れている。

以下、実施例に基づいて本発明の不織布を含有する壁紙の構成とその奏する効果について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。

実施例１
繊維長０．０５〜５ｍｍのパルプ繊維（ＮＢＫＰ：王子製紙株式会社製）をパルプマットフォーマーより散布して目付３３ｇ／ｍ²の層状マットを形成し、アクリル系接着剤（商品名「Ｎｉpｏl ＬＸ８４５」日本ゼオン株式会社製）１７質量部から成るバインダー水溶液をスプレーして目付５０ｇ／ｍ²、嵩密度０．０７１ｇ／ｃｍ³、厚み０．７ｍｍのパルプ繊維製のエアレード不織布を作製した。

印刷適性を備えた表面不織布として麻パルプを１００％使用した湿式不織布（王子製紙株式会社製「壁紙原紙」、坪量１７ｇ／ｍ²、嵩密度０．２４ｇ／ｃｍ³、厚み７２μｍ）にグラビア印刷により表面印刷加工を実施し、さらに表面への撥水剤の塗布により汚れ防止処理を行った。

また、別に、低密度ポリエチレン樹脂（商品名「ミラソン」三井化学株式会社製）１００質量部に顔料として酸化チタン及び酸化アルミニウムを含有するマスターバッチ（商品名「ＰＥＸ３００４ＷＨＩＴＥ」東京インキ株式会社製）１８質量部を添加した樹脂を、目付６５ｇ／ｍ²で厚み１１０μｍの裏打紙（商品名「ＮＮ―６５ＫＯ」紀州製紙株式会社製）に１０μｍ厚さに溶融押出しラミネートして厚み１２０μｍの隠蔽性ポリオレフィンラミネート層用のラミネート紙を作製した。

前記エアレード不織布の一面に前記表面印刷不織布を、また、反対面には前記隠蔽性ポリオレフィンラミネート裏打紙を、それぞれ、ホットメルトの繊維状カーテン塗布装置（サンツール社製）により、ポリオレフィン系ホットメルト接着剤（商品名「ＭＰ７８５６」日本エヌエスシー株式会社製）の塗布量を、前記表面印刷不織布は４ｇ／ｍ²とし、前記隠蔽性ポリオレフィンラミネート裏打紙は７ｇ／ｍ²として積層し、隠蔽性ポリエチレンラミネート裏打紙層／パルプ繊維不織布層（嵩密度０．１０ｇ／ｃｍ³）／表面印刷不織布層からなる積層構造で、全体の厚さが０．７ｍｍの壁紙積層物を作製した。

次いで、得られた壁紙原紙の表面印刷不織布層側から、熱エンボス装置によるエンボス加工により、高低差３３０μｍ（凸部の厚み５８０μｍ）の傾斜の緩やかな凹凸模様を形成して、パルプ繊維不織布含有壁紙を製造した。

実施例２
印刷適性を備えた表面不織布として加熱接着性合成繊維と木材パルプよりなる湿式不織布（商品名「ヒートロンＧＳＰ」坪量２０ｇ／ｍ²、嵩密度０．２７ｇ／ｃｍ³、厚み７４μｍ、日本大昭和板紙株式会社製ティーバック原紙）を使用して全体の厚さが０．７ｍｍの壁紙積層物を作製した後、壁紙積層物の表面にグラビア印刷及び撥水処理を行った以外は、実施例１と同様の方法にてパルプ繊維含有壁紙を製造した。

比較例１
実施例１における、ホットメルト接着剤に代えて、エチレン−酢酸ビニルエマルジョン接着剤（商品名「ポリゾールＥＶＡ．ＡＤ−６８」昭和高分子株式会社製）を塗布量２０ｇ／ｍ²で使用して圧着する以外は、実施例１と同様にしてパルプ繊維不織布含有壁紙を製造した。

比較例２
実施例１におけるエアレード不織布と表面不織布の積層物に代えてレーヨン繊維/木材パルプよりなる坪量５０ｇ／ｍ²のスパンレース不織布（商品名「テクセルフラッシュ」厚み２５０μ、王子製紙株式会社製）を使用して、前記隠蔽性ポリオレフィンラミネート裏打紙との積層により壁紙積層物を作製し、壁紙積層物の表面にグラビア印刷及び撥水処理を行った以外は実施例１と同様にしてパルプ繊維不織布含有壁紙を製造した。

施工試験
上記実施例１及び２のパルプ繊維壁紙を、澱粉系施工糊を使用して壁面に施工したが、それらは在来の塩化ビニル壁紙と同様の柔軟、可擁性を有し、在来の紙壁紙に見られた折り癖が残るようなこともなく、施工時塗布する施工糊中の水分が、その塗布した裏面同士を重ね合わせて放置している間に散逸することもなく、オープンタイムを２４時間以上とることができ、塩化ビニル壁紙と同等の施工性が認められた。また、それらのパルプ繊維壁紙の燃焼試験において、燃焼時の発煙、発熱量が少なく、塩化ビニル壁紙に見られる有害なハロゲンガスの発生も認められなかった。また、壁紙原紙における不織布層の嵩密度の低下が少なく、加熱エンボス加工によって形成された凹凸模様は深みがあり、かつ凸部の感触も柔軟であり、高級感のある壁紙が形成された。

これに対して、比較例１のパルプ繊維壁紙は、特に、壁紙原紙の嵩高不織布層にエマルジョン接着剤が浸透し、圧着によって不織布層の嵩密度が０．３２ｇ／ｃｍ³に低下した状態で固定化され、全体の厚みも０．４ｍｍに減少した。この厚みの減少によって、壁紙原紙の表面層への熱エンボスによる凹凸の深さが制限され、ボリューム感が失われた結果、全体として高級感が低下した壁紙が得られた。

また、比較例２のパルプ繊維壁紙は、壁紙積層物のボリュームを保持するためにスパンレース不織布の嵩密度を０．２０ｇ／ｃｍ³とした結果、表面強度が弱くグラビア印刷時に繊維とられが発生した。さらに不織布繊維の結合が弱いため、施工時の壁紙端部からの糊水分浸入により壁紙の寸法安定性が劣り、全体として見栄えの悪い壁紙となった。

本発明の壁紙は、優れた加工性と施工性を備え、環境ホルモン物質を発生せず、かつ、耐候性を備えていて長期間にわたって美粧性が維持されることから、室内装飾のために壁面や天井面に貼付して使用される美粧壁紙としての利用に好適である。

Claims

繊維状カーテン塗布方式で各層間に供給される繊維状溶融ホットメルトにより、嵩密度０．０５〜０．３ｇ／ｃｍ ^３で撥水性のパルプ繊維エアレード不織布層の一方の面にはパルプ系湿式不織布からなる印刷適性を備えた表面不織布層を接着し、他方の面にはポリオレフィンラミネート裏打紙層をそのポリオレフィンラミネート層側において接着して積層構造物を製造する工程、製造された積層構造物の前記表面不織布層側から加熱エンボス加工を施すことによって低嵩密度不織布層を凸部内に有する凹凸模様を形成する工程、を有することを特徴とする、壁紙の製造方法。
前記壁紙積層物における嵩密度０．０５〜０．３ｇ／ｃｍ³で撥水性のパルプ繊維不織
布層は、撥水性基を有するか又は撥水剤を含有し、かつホルムアルデヒド発生源となる架橋剤を含まないアクリル系バインダーを使用してパルプ繊維より形成されている、厚さ５００μｍ〜２０００μｍのエアレード不織布からなる層であることを特徴とする請求項１記載の壁紙の製造方法。
前記パルプ系湿式不織布からなる印刷適性を備えた表面不織布層は、表面に耐候性印刷層を形成している、目付の上限値が３０ｇ／ｍ^２で、嵩密度０．２ｇ／ｃｍ^３以上の湿式不織布よりなることを特徴とする請求項１又は２に記載の壁紙の製造方法。
前記パルプ系湿式不織布は、麻パルプを５０質量％以上含むことを特徴とする請求項１〜３のいずれか１項に記載の壁紙の製造方法。
前記ポリオレフィンラミネート裏打紙層は、裏打紙の前記嵩密度０．０５〜０．３ｇ／ｃｍ ^３で撥水性のパルプ繊維エアレード不織布側の面にエクストルーダーよりポリオレフィンを溶融押出しラミネートして形成されているポリオレフィンラミネート裏打紙よりなることを特徴とする請求項１〜４のいずれか１項に記載の壁紙の製造方法。