JP2003100560A - 固体電解コンデンサ及びその製造方法 - Google Patents
固体電解コンデンサ及びその製造方法Info
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Abstract
防止することができ、高耐電圧品を製造する場合の歩留
まりを向上させることができる固体電解コンデンサの製
造方法を提供する。 【解決手段】 表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔と
陰極箔をセパレータを介して巻回して、コンデンサ素子
を形成し、このコンデンサ素子に修復化成を施す。続い
て、このコンデンサ素子内に、ビニル基を有する化合物
とホウ酸化合物の溶液を含浸して、ビニル基を有する化
合物とホウ酸化合物とからなる結合体を生成し、その後
に、このコンデンサ素子を重合性モノマーと酸化剤とを
所定の溶媒と共に混合して調製した混合液に浸漬し、コ
ンデンサ素子内で導電性ポリマーの重合反応を発生さ
せ、固体電解質層を形成する。そして、このコンデンサ
素子を外装ケースに挿入し、開口端部に封口ゴムを装着
して、加締め加工によって封止した後、エージングを行
い、固体電解コンデンサを形成する。
Description
サ及びその製造方法に係り、特に、高耐電圧が要求され
る固体電解コンデンサの歩留まりを向上させることがで
きる固体電解コンデンサ及びその製造方法に関するもの
である。
な弁作用を有する金属を利用した電解コンデンサは、陽
極側対向電極としての弁作用金属を焼結体あるいはエッ
チング箔等の形状にして誘電体を拡面化することによ
り、小型で大きな容量を得ることができることから、広
く一般に用いられている。特に、電解質に固体電解質を
用いた固体電解コンデンサは、小型、大容量、低等価直
列抵抗であることに加えて、チップ化しやすく、表面実
装に適している等の特質を備えていることから、電子機
器の小型化、高機能化、低コスト化に欠かせないものと
なっている。
型、大容量用途としては、一般に、アルミニウム等の弁
作用金属からなる陽極箔と陰極箔をセパレータを介在さ
せて巻回してコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ
素子に駆動用電解液を含浸し、アルミニウム等の金属製
ケースや合成樹脂製のケースにコンデンサ素子を収納
し、密閉した構造を有している。なお、陽極材料として
は、アルミニウムを初めとしてタンタル、ニオブ、チタ
ン等が使用され、陰極材料には、陽極材料と同種の金属
が用いられる。
体電解質としては、二酸化マンガンや7、7、8、8−
テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体が知られて
いるが、近年、反応速度が緩やかで、かつ陽極電極の酸
化皮膜層との密着性に優れたポリエチレンジオキシチオ
フェン(以下、PEDTと記す)等の導電性ポリマーに
着目した技術(特開平2−15611号公報)が存在し
ている。
DT等の導電性ポリマーからなる固体電解質層を形成す
るタイプの固体電解コンデンサは、図5に示すようにし
て作製される。まず、アルミニウム等の弁作用金属から
なる陽極箔の表面を塩化物水溶液中での電気化学的なエ
ッチング処理により粗面化して、多数のエッチングピッ
トを形成した後、ホウ酸アンモニウム等の水溶液中で電
圧を印加して誘電体となる酸化皮膜層を形成する(化
成)。陽極箔と同様に、陰極箔もアルミニウム等の弁作
用金属からなるが、その表面にはエッチング処理を施す
のみである。
れた陽極箔とエッチングピットのみが形成された陰極箔
とを、セパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形
成する。続いて、修復化成を施したコンデンサ素子に、
3,4−エチレンジオキシチオフェン(以下、EDTと
記す)等の重合性モノマーと酸化剤溶液をそれぞれ吐出
し、あるいは両者の混合液に浸漬して、コンデンサ素子
内で重合反応を促進し、PEDT等の導電性ポリマーか
らなる固体電解質層を生成する。その後、このコンデン
サ素子を有底筒状の外装ケースに収納して固体電解コン
デンサを作成する。
したような固体電解コンデンサが車載用として用いられ
るようになってきている。通常、車載用回路の駆動電圧
は12Vであり、固体電解コンデンサには25Vの高耐
電圧が要求される。しかしながら、上述したような従来
の製造方法によりこのような高耐電圧品を製造した場
合、エージング工程でショートが発生する割合が高く、
歩留まりが低いという欠点があった。
ー半田が用いられるようになり、半田リフロー温度が2
00〜220℃から230〜270℃へとさらに高温化
している。しかしながら、このような高温下におかれる
半田リフローを行うと耐電圧が低下するという欠点があ
り、そのため、高温リフロー半田付けを行った場合で
も、耐電圧特性が劣化しない固体電解コンデンサの開発
が切望されていた。なお、このような問題点は、重合性
モノマーとしてEDTを用いた場合に限らず、他のチオ
フェン誘導体、ピロール、アニリン等を用いた場合にも
同様に生じていた。
点を解決するために提案されたものであり、その目的
は、鉛フリーリフローによる耐電圧特性の劣化を防止す
ることができ、高耐電圧品を製造する場合の歩留まりを
向上させることができる固体電解コンデンサ及びその製
造方法を提供することにある。
を解決すべく、高耐電圧品を製造する場合に、エージン
グ工程でショートが発生する割合が高くなる原因につい
て種々検討を重ねた結果、以下の結論に達したものであ
る。すなわち、通常、導電性ポリマーを形成した後のコ
ンデンサ素子内には、導電性ポリマーの他に、重合反応
に関与しなかったモノマーや酸化剤及びその他の反応残
余物が存在している。そして、これらの導電性ポリマー
以外の物質の耐電圧は導電性ポリマーの耐電圧より低い
ため、これらの物質が固体電解コンデンサの耐電圧を低
下させていると考えられる。
物が存在していても、固体電解コンデンサの耐電圧を向
上させると共に、鉛フリーリフローによる耐電圧特性の
劣化を防止すべく検討を重ねた結果、コンデンサ素子内
に、ビニル基を有する化合物とホウ酸化合物とからなる
結合体を含有させることによって、固体電解コンデンサ
の耐電圧を向上させることができることが判明したもの
である。
に係る固体電解コンデンサの製造方法は以下の通りであ
る。すなわち、表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔と
陰極箔をセパレータを介して巻回して、コンデンサ素子
を形成し、このコンデンサ素子に修復化成を施す。続い
て、このコンデンサ素子内に、ビニル基を有する化合物
とホウ酸化合物の溶液を含浸して、ビニル基を有する化
合物とホウ酸化合物とからなる結合体を生成し、その後
に、このコンデンサ素子を重合性モノマーと酸化剤とを
所定の溶媒と共に混合して調製した混合液に浸漬し、コ
ンデンサ素子内で導電性ポリマーの重合反応を発生さ
せ、固体電解質層を形成する。そして、このコンデンサ
素子を外装ケースに挿入し、開口端部に封口ゴムを装着
して、加締め加工によって封止した後、エージングを行
い、固体電解コンデンサを形成する。
する化合物としては、ポリビニルアルコール(以下、P
VAと記す)、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリド
ン、ポリアクリルアミド等を用いることができるが、な
かでもPVAがより好ましい。また、これらビニル基を
有する化合物の溶媒としては、これらの化合物が溶解す
るものであれば良く、主として水が用いられる。また、
ビニル基を有する化合物溶液の濃度は、0.005wt
%〜1.5wt%が好ましく、より好ましくは0.01
wt%〜0.5wt%である。ビニル基を有する化合物
溶液の濃度がこの範囲外の場合、効果が低下した。その
理由は、ビニル基を有する化合物溶液の濃度が1.5w
t%以上であると、電極箔表面に形成されたエッチング
ピット内でビニル基を有する化合物の厚い層又はビニル
基を有する化合物の固まりが形成され、その後のPED
T等の導電性ポリマーの重合工程で導電性ポリマーの形
成状態が悪化するためであると考えられる。
ホウ酸、ホウ砂、ホウ酸のアンモニウム塩、金属塩等の
ホウ酸塩、ホウ酸トリエチル等のホウ酸エステル等を用
いることができるが、なかでも、ホウ酸を用いることが
望ましい。また、これらホウ酸化合物の溶媒としては、
これらの化合物が溶解するものであれば良く、主として
水、グリセリン等を用いることができる。また、ホウ酸
化合物溶液の濃度は、0.1wt%〜10wt%が好ま
しく、より好ましくは3wt%〜7wt%である。ホウ
酸化合物溶液の濃度がこの範囲外の場合、効果が低下し
た。その理由は、ホウ酸化合物溶液の濃度が0.1wt
%未満では、溶液中のホウ酸化合物が少ないため、形成
される結合体の量が十分ではなく、一方、10wt%を
越えると、理由は定かではないが、結合体を形成した後
の余剰のホウ酸が悪影響を及ぼして、ESRが上昇する
からである。
物をコンデンサ素子内に含有させる方法)上記ビニル基
を有する化合物とホウ酸化合物とからなる結合体をコン
デンサ素子内に含有させる方法としては、ビニル基を有
する化合物及びホウ酸化合物の混合溶液に浸漬する方
法、または、ビニル基を有する化合物の溶液とホウ酸化
合物の溶液に別々に浸漬する方法を用いることができ
る。
る化合物とホウ酸化合物が水素結合等で結合体を形成
し、この結合体が電極箔の酸化皮膜上に付着して層を形
成することにより、固体電解質と酸化皮膜の密着性が向
上するので、ビニル基を有する化合物の溶液とホウ酸化
合物の溶液に別々に浸漬する方法においては、コンデン
サ素子を両溶液に続けて(順次)浸漬しても良いし、一
方の溶液に浸漬し、乾燥した後、他方の溶液に浸漬して
も良い。なお、ビニル基を有する化合物の溶液とホウ酸
化合物の溶液に浸漬する順序は限定されない。
漬温度は、ビニル基を有する化合物が溶媒に溶解し得る
温度で良く、常温〜100℃前後が好ましい。また、浸
漬時間は5秒以上が好ましい。コンデンサ素子あるいは
電極箔をビニル基を有する化合物溶液に浸漬すると、表
面張力によってビニル基を有する化合物溶液が電極箔の
エッチングピットに直ちに浸透していくからである。
物溶液の溶媒が蒸発すれば良いので、常温〜150℃が
好ましく、乾燥時間は3分以上が好ましい。また、乾燥
方法としては、通常、熱風、赤外線方式の乾燥炉等が用
いられるが、ビニル基を有する化合物溶液の溶媒を蒸発
させることができるものであれば良く、真空乾燥等を用
いることもできる。
サ素子内に含有させた後、加熱処理すると初期特性が向
上することが分かった。その理由は、ビニル基を有する
化合物の末端基の疎水性が増すことにより、酸化皮膜と
固体電解質の密着性が向上するためと考えられる。ま
た、この加熱温度は120〜250℃が好ましく、より
好ましくは150〜200℃である。加熱温度がこの範
囲外の場合、効果が低下した。その理由は、加熱温度が
120℃未満では、ビニル基を有する化合物の末端基の
疎水化等の反応が十分に進行せず、一方、250℃を越
えると、ビニル基を有する化合物の熱劣化が起こって効
果が低減するためであると考えられる。
化合物を含有させ、その後にホウ酸化合物を含有させた
後でも良いし、ホウ酸化合物を含有させ、その後にビニ
ル基を有する化合物を含有させた後でも良い。さらに、
混合溶液を用いた場合も、加熱処理を行うと同様の効果
が得られる。
物をコンデンサ素子内に含有させる時期)さらに、本発
明者等は、上記ビニル基を有する化合物及びホウ酸化合
物をコンデンサ素子内に含有させる時期について種々検
討した。その結果、導電性ポリマーを形成する工程の前
の段階であれば、どの段階でも良いことが判明した。す
なわち、その時期は、上述したように、修復化成前であ
っても良いし、コンデンサ素子を形成する前に電極箔に
付着させても良く、例えば、以下の(1)〜(4)の方
法が考えられる。
相当する。また、下記の(1)〜(4)の方法の中で、
コンデンサ素子に修復化成を施した後、このコンデンサ
素子内に、ビニル基を有する化合物とホウ酸化合物の溶
液を含浸して、ビニル基を有する化合物とホウ酸化合物
とからなる結合体を生成し、その後に、このコンデンサ
素子内で導電性ポリマーの重合反応を発生させ、固体電
解質層を形成することができる(1)の方法が最も好適
である。なお、下記の方法で樹脂封止を行わなくても、
本発明の効果に変わりはない。
る化合物溶液及びホウ酸化合物溶液に浸漬→重合性モノ
マーと酸化剤の含浸→重合→外装ケースへの挿入→樹脂
封止→エージング (2)コンデンサ素子形成後〜修復化成前…図2参照 化成→コンデンサ素子形成→ビニル基を有する化合物溶
液及びホウ酸化合物溶液に浸漬→修復化成→重合性モノ
マーと酸化剤の含浸→重合→外装ケースへの挿入→樹脂
封止→エージング
を有する化合物溶液及びホウ酸化合物溶液に浸漬(又は
塗布後、乾燥処理)→コンデンサ素子形成→修復化成→
重合性モノマーと酸化剤の含浸→重合→外装ケースへの
挿入→樹脂封止→エージング (4)コンデンサ素子形成前…図4参照 化成→セパレータをビニル基を有する化合物溶液及びホ
ウ酸化合物溶液に浸漬(又は塗布後、乾燥処理)→コン
デンサ素子形成→修復化成→重合性モノマーと酸化剤の
含浸→重合→外装ケースへの挿入→樹脂封止→エージン
グ
て、ビニル基を有する化合物溶液及びホウ酸化合物溶液
を、浸漬あるいは塗布することにより、電極箔あるいは
セパレータに付着させる場合、まず、ビニル基を有する
化合物あるいはホウ酸化合物のいずれか一方を付着さ
せ、その後にコンデンサ素子を形成し、さらに他方の化
合物を付着させても良い。また、これらの方法における
ビニル基を有する化合物溶液及びホウ酸化合物溶液の濃
度、温度、含浸時間、乾燥温度、乾燥時間等は、上述し
た条件と同様である。
てEDTを用いた場合、コンデンサ素子に含浸するED
Tとしては、EDTモノマーを用いることができるが、
EDTと揮発性溶媒とを1:0〜1:3の体積比で混合
したモノマー溶液を用いることもできる。前記揮発性溶
媒としては、ペンタン等の炭化水素類、テトラヒドロフ
ラン等のエーテル類、ギ酸エチル等のエステル類、アセ
トン等のケトン類、メタノール等のアルコール類、アセ
トニトリル等の窒素化合物等を用いることができるが、
なかでも、メタノール、エタノール、アセトン等が好ま
しい。
したパラトルエンスルホン酸第二鉄、過ヨウ素酸もしく
はヨウ素酸の水溶液を用いることができ、酸化剤の溶媒
に対する濃度は40〜57wt%が好ましく、45〜5
7wt%がより好ましい。酸化剤の溶媒に対する濃度が
高い程、ESRは低減する。なお、酸化剤の溶媒として
は、上記モノマー溶液に用いた揮発性溶媒を用いること
ができ、なかでもエタノールが好適である。酸化剤の溶
媒としてエタノールが好適であるのは、蒸気圧が低いた
め蒸発しやすく、残存する量が少ないためであると考え
られる。
適である。その理由は、加熱重合時に減圧すると、重合
と共に残存物を蒸散させることができるからである。な
お、減圧の程度は、10〜360mmHg程度の減圧状
態とすることが望ましい。
漬する時間は、コンデンサ素子の大きさによって決まる
が、φ5×3L程度のコンデンサ素子では5秒以上、φ
9×5L程度のコンデンサ素子では10秒以上が望まし
く、最低でも5秒間は浸漬することが必要である。な
お、長時間浸漬しても特性上の弊害はない。また、この
ように浸漬した後、減圧状態で保持すると好適である。
その理由は、揮発性溶媒の残留量が少なくなるためであ
ると考えられる。減圧の条件は上述した重合工程での減
圧条件と同様である。
しては、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アン
モニウム等のリン酸系の化成液、ホウ酸アンモニウム等
のホウ酸系の化成液、アジピン酸アンモニウム等のアジ
ピン酸系の化成液を用いることができるが、なかでも、
リン酸二水素アンモニウムを用いることが望ましい。ま
た、浸漬時間は、5〜120分が望ましい。
る重合性モノマーとしては、上記EDTの他に、EDT
以外のチオフェン誘導体、アニリン、ピロール、フラ
ン、アセチレンまたはそれらの誘導体であって、所定の
酸化剤により酸化重合され、導電性ポリマーを形成する
ものであれば適用することができる。なお、チオフェン
誘導体としては、下記の構造式のものを用いることがで
きる。
に、コンデンサ素子にビニル基を有する化合物とホウ酸
化合物からなる結合体を含有させることにより、鉛フリ
ーリフローによる耐電圧特性の劣化を防止することがで
きると共に、エージング工程でショートが発生する割合
を大幅に低減することができる。このような効果が得ら
れる理由は、この結合体がビニル基を有する化合物とホ
ウ酸化合物との反応により形成され、この結合体が電極
箔の誘電体皮膜上に付着して層を形成し、固体電解質と
誘電体皮膜の密着性が向上し、さらにこの層の耐電圧が
高いので、コンデンサの耐電圧が向上するものと考えら
れる。
エステル化合物からなる結合体を形成し、このエステル
化合物は誘電体皮膜中に浸透せずに、皮膜表面に付着し
て良好な層を形成するため、良好な特性が得られるもの
と考えられる。そして、上述したように、ビニル基を有
する化合物を含有させた後、加熱処理を行うと、ビニル
基を有する化合物の末端基と誘電体酸化皮膜乃至導電性
ポリマーとの接合性が向上して、初期特性、特に静電容
量とESR特性が向上すると考えられる。
比較例及び従来例に基づいて本発明をさらに詳細に説明
する。 (実施例1)表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔と陰
極箔に電極引き出し手段を接続し、両電極箔をセパレー
タを介して巻回して、素子形状が5φ×2.8Lのコン
デンサ素子を形成した。そして、このコンデンサ素子を
リン酸二水素アンモニウム水溶液に40分間浸漬して、
修復化成を行った。修復化成後、このコンデンサ素子を
0.05wt%のPVA水溶液に25℃で1分間浸漬
し、その後、100℃で10分間乾燥した。その後に、
5wt%のホウ酸水溶液に浸漬し、175℃で加熱処理
した。一方、所定の容器に、EDTと45%のパラトル
エンスルホン酸第二鉄のエタノール溶液を混合し、コン
デンサ素子を上記混合液に10秒間浸漬し、250mm
Hg程度の減圧状態で保持し、次いで同じ条件下で12
0℃、60分加熱して、コンデンサ素子内でPEDTの
重合反応を発生させ、固体電解質層を形成した。そし
て、このコンデンサ素子を有底筒状の外装ケースに挿入
し、開口端部に封口ゴムを装着して、加締め加工によっ
て封止した。その後に、150℃、120分、33Vの
電圧印加によってエージングを行い、固体電解コンデン
サを形成した。なお、この固体電解コンデンサの定格電
圧は25WV、定格容量は15μFである。
を0.05wt%のポリ酢酸ビニル水溶液に25℃で1
分間浸漬し、その後、100℃で10分間乾燥した。そ
の後に、5wt%のホウ酸水溶液に浸漬し、175℃で
加熱処理した。その他の条件及び工程は、実施例1と同
様である。
0.05wt%のPVA水溶液に25℃で1分間浸漬
し、その後、100℃で10分間乾燥し、ホウ酸水溶液
には浸漬しなかった。その他の条件及び工程は、実施例
1と同様である。 (従来例)修復化成後、PVA水溶液及びホウ酸水溶液
のいずれにも浸漬することなく、導電性ポリマーを形成
した。その他の条件及び工程は、実施例1と同様であ
る。
施例1〜2、比較例及び従来例の固体電解コンデンサ各
50個のそれぞれについて、エージング時のショートの
数を調べたところ、表1に示したような結果が得られ
た。また、ショートの発生しなかった良品について、ピ
ーク温度250℃、230℃以上30秒保持の鉛フリー
リフローを行った後、32.5Vの充放電を125℃の
下で1000回行うサージ試験を行い、ショート電圧を
測定したところ、表1に示したような結果が得られた。
にPVA溶液あるいはポリ酢酸ビニル溶液とホウ酸溶液
の両方を含有させた実施例1及び実施例2においては、
初期特性、エージング後のショート数、サージ後のショ
ート電圧は、いずれも比較例あるいは従来例に比べて良
好であった。さらに、PVA溶液とホウ酸溶液を用いた
実施例1の方が、ポリ酢酸ビニル溶液とホウ酸溶液を用
いた実施例2より良好な結果が得られた。
フリーリフローによる耐電圧特性の劣化を防止すること
ができ、高耐電圧品を製造する場合の歩留まりを向上さ
せることができ、さらに初期特性も良好な固体電解コン
デンサ及びその製造方法を提供することができる。
一例を示すフローチャート
一例を示すフローチャート
一例を示すフローチャート
一例を示すフローチャート
の一例を示すフローチャート
Claims (6)
- 【請求項1】 陽極電極箔と陰極電極箔とをセパレータ
を介して巻回したコンデンサ素子に、重合性モノマーと
酸化剤とを含浸して導電性ポリマーからなる固体電解質
層を形成してなる固体電解コンデンサにおいて、 前記コンデンサ素子内に、ビニル基を有する化合物とホ
ウ酸化合物とからなる結合体を含有させたことを特徴と
する固体電解コンデンサ。 - 【請求項2】 前記ビニル基を有する化合物が、ポリビ
ニルアルコールであることを特徴とする請求項1に記載
の固体電解コンデンサ。 - 【請求項3】 前記ホウ酸化合物が、ホウ酸又はホウ砂
であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の
固体電解コンデンサ。 - 【請求項4】 前記重合性モノマーが、チオフェン誘導
体であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいず
れか一に記載の固体電解コンデンサ。 - 【請求項5】 前記チオフェン誘導体が、3,4−エチ
レンジオキシチオフェンであることを特徴とする請求項
4に記載の固体電解コンデンサ。 - 【請求項6】 陽極電極箔と陰極電極箔とをセパレータ
を介して巻回してなるコンデンサ素子を形成し、このコ
ンデンサ素子にビニル基を有する化合物とホウ酸化合物
の溶液を含浸して、ビニル基を有する化合物とホウ酸化
合物とからなる結合体を生成し、その後に導電性ポリマ
ーからなる固体電解質層を形成することを特徴とする固
体電解コンデンサの製造方法。
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