JP4525840B2 - 固体電解コンデンサ及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、固体電解コンデンサ及びその製造方法に係り、特に、ESRの低減と、静電容量の向上及び耐電圧の向上を図った固体電解コンデンサ及びその製造方法に関する。また、耐圧の向上と、リフロー後のLC変動の抑制を図った固体電解コンデンサ及びその製造方法に関する。
タンタルあるいはアルミニウム等のような弁作用を有する金属を利用した電解コンデンサは、陽極側対向電極としての弁作用金属を焼結体あるいはエッチング箔等の形状にして誘電体を拡面化することにより、小型で大きな容量を得ることができることから、広く一般に用いられている。特に、電解質に固体電解質を用いた固体電解コンデンサは、小型、大容量、低等価直列抵抗であることに加えて、チップ化しやすく、表面実装に適している等の特質を備えていることから、電子機器の小型化、高機能化、低コスト化に欠かせないものとなっている。
この種の固体電解コンデンサにおいて、小型、大容量用途としては、一般に、アルミニウム等の弁作用金属からなる陽極箔と陰極箔をセパレータを介在させて巻回してコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子に駆動用電解液を含浸し、アルミニウム等の金属製ケースや合成樹脂製のケースにコンデンサ素子を収納し、密閉した構造を有している。なお、陽極材料としては、アルミニウムを初めとしてタンタル、ニオブ、チタン等が使用され、陰極材料には、陽極材料と同種の金属が用いられる。
また、固体電解コンデンサに用いられる固体電解質としては、二酸化マンガンや7、7、8、8−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体が知られているが、近年、反応速度が緩やかで、かつ陽極電極の酸化皮膜層との密着性に優れたポリエチレンジオキシチオフェン(以下、PEDTと記す)等の導電性ポリマーに着目した技術(特開平2−15611号公報)が存在している。
このような巻回型のコンデンサ素子にPEDT等の導電性ポリマーからなる固体電解質層を形成するタイプの固体電解コンデンサは、図5に示すようにして作製される。まず、アルミニウム等の弁作用金属からなる陽極箔の表面を塩化物水溶液中での電気化学的なエッチング処理により粗面化して、多数のエッチングピットを形成した後、ホウ酸アンモニウム等の水溶液中で電圧を印加して誘電体となる酸化皮膜層を形成する(化成)。陽極箔と同様に、陰極箔もアルミニウム等の弁作用金属からなるが、その表面にはエッチング処理を施すのみである。
このようにして表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔とエッチングピットのみが形成された陰極箔とを、セパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成する。続いて、修復化成を施したコンデンサ素子に、3,4−エチレンジオキシチオフェン(以下、EDTと記す)等の重合性モノマーと酸化剤溶液をそれぞれ吐出し、あるいは両者の混合液に浸漬して、コンデンサ素子内で重合反応を促進し、PEDT等の導電性ポリマーからなる固体電解質層を生成する。その後、このコンデンサ素子を有底筒状の外装ケースに収納して固体電解コンデンサを作成する。
ところで、近年、上述したような固体電解コンデンサが車載用として用いられるようになってきている。通常、車載用回路の駆動電圧は12Vであり、固体電解コンデンサには25Vの高耐電圧が要求される。しかしながら、上述したような従来の製造方法によりこのような高耐電圧品を製造した場合、エージング工程でショートが発生する割合が高く、歩留まりが低いという欠点があった。
また、近年、環境問題から高融点の鉛フリー半田が用いられるようになり、半田リフロー温度が200〜220℃から230〜270℃へとさらに高温化している。しかしながら、このような高温下におかれる半田リフローを行うと耐電圧が低下するという欠点があり、そのため、高温リフロー半田付けを行った場合でも、耐電圧特性が劣化しない固体電解コンデンサの開発が切望されていた。
なお、このような問題点は、重合性モノマーとしてEDTを用いた場合に限らず、他のチオフェン誘導体、ピロール、アニリン等を用いた場合にも同様に生じていた。
本発明の第1の目的は、ESRの低減と静電容量の向上を可能とした固体電解コンデンサ及びその製造方法を提供することにある。
本発明の第2の目的は、ESRの低減と、静電容量の向上及び耐電圧の向上を図ることができる固体電解コンデンサ及びその製造方法を提供することにある。
本発明の第3の目的は、鉛フリーリフローによる耐電圧特性の劣化を防止することができ、高耐電圧品を製造する場合の歩留まりを向上させることができる固体電解コンデンサ及びその製造方法を提供することにある。
本発明の第4の目的は、耐圧の向上と、リフロー後のLC変動の抑制を図ることができる固体電解コンデンサ及びその製造方法を提供することにある。
本発明は、ビニル基を有する化合物を含むセパレータを用いた固体電解コンデンサにおいて、セパレータに含まれるビニル基を有する化合物の含有量を適切に調整することにより、ESRの低減と静電容量の向上を可能としたものである。
また、ビニル基を有する化合物を含むセパレータを用いた固体電解コンデンサにおいて、重合性モノマーと酸化剤を含浸する前に、コンデンサ素子内に所定のカップリング剤や界面活性剤を含有させることにより、ESRの低減と、静電容量の向上及び耐電圧の向上を可能としたものである。
さらに、ビニル基を有する化合物を含むセパレータを用いた固体電解コンデンサにおいて、コンデンサ素子にホウ酸化合物等の添加剤溶液を含浸して、ビニル基を有する化合物とホウ酸化合物等の添加剤とからなる結合体を生成し、その後に導電性ポリマーからなる固体電解質層を形成することにより、鉛フリーリフローによる耐電圧特性の劣化を防止することができ、高耐電圧品を製造する場合の歩留まりを向上させたものである。
また、ビニル基を有する化合物を含むセパレータを用いた固体電解コンデンサにおいて、コンデンサ素子をポリイミドシリコン溶液に浸漬して、ビニル基を有する化合物とポリイミドシリコンからなる皮膜を形成することにより、耐圧の向上と、リフロー後のLC変動の抑制を可能としたものである。
以上のような本発明によれば、ESRの低減と静電容量の向上を可能とした固体電解コンデンサ及びその製造方法を提供することができる。より詳細には、セパレータのバインダーをビニル基を有する化合物から構成し、このバインダーをセパレータの全重量の10〜20%含有させることにより、ESRが低減すると共に、静電容量が向上する固体電解コンデンサ及びその製造方法を提供することができる。また、セパレータとして、ビニル基を有する化合物をバインダーとして10wt%以上含むセパレータを用い、重合性モノマーと酸化剤を含浸する前に、アセチレンジオール、ジメチルラウリルアミンオキサイドから選ばれる1種または2種をコンデンサ素子内に含有させることにより、ESRの低減と、静電容量の向上及び耐電圧の向上を図ることができる固体電解コンデンサ及びその製造方法を提供することができる。さらに、鉛フリーリフローによる耐電圧特性の劣化を防止することができ、高耐電圧品を製造する場合の歩留まりを向上させることができ、さらにESRの低減と、静電容量の向上及び耐電圧の向上を図ることができ、初期特性も良好な固体電解コンデンサ及びその製造方法を提供することができる。また、耐圧の向上とリフロー後のLC変動の抑制を可能とした固体電解コンデンサ及びその製造方法を提供することができる。
チオフェン誘導体の構造式を示す図。 本発明に係る固体電解コンデンサの製造工程の一例を示すフローチャート。 本発明に係る固体電解コンデンサの製造工程の一例を示すフローチャート。 本発明に係る固体電解コンデンサの製造工程の一例を示すフローチャート。 従来技術による固体電解コンデンサの製造工程の一例を示すフローチャート。
(A)第1実施形態
本発明者等は、上記第1の目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、セパレータのバインダーをビニル基を有する化合物から構成し、このバインダーをセパレータの全重量の10〜20%含有させることにより、ESRが低減すると共に、静電容量が向上することが判明したものである。
すなわち、本発明者等は、ビニル基を有する化合物からなるバインダーの含有量を種々変えて検討したところ、上記の範囲を越えるとESR、静電容量特性が低下し、この範囲未満では特性は一定であることを見出した。
(A−1)固体電解コンデンサの製造方法
第1実施形態における固体電解コンデンサの製造方法は以下の通りである。すなわち、表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔と陰極箔を、ビニル基を有する化合物からなるバインダーを含むセパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子に修復化成を施す前に、セパレータ中のバインダーの含有量をセパレータの全重量に対して10〜20%に調製する。
そして、修復化成後、このコンデンサ素子を重合性モノマーと酸化剤とを所定の溶媒と共に混合して調製した混合液に浸漬し、コンデンサ素子内で導電性ポリマーの重合反応を発生させ、固体電解質層を形成する。そして、このコンデンサ素子を外装ケースに挿入し、開口端部に封口ゴムを装着して、加締め加工によって封止した後、エージングを行い、固体電解コンデンサを形成する。
(A−2)セパレータ
通常、合成繊維を主体とする固体電解コンデンサ用セパレータは、合成繊維とこれらを接合するバインダーから構成されている。このバインダーとしては、合成樹脂そのものを用いたり、合成樹脂を繊維状にして、セパレータの作成工程で溶融させて主体繊維を接合させている。
第1実施形態においては、バインダーとしてビニル基を有する化合物を用い、修復化成前におけるセパレータ中の上記バインダーの含有量を、セパレータの全重量に対して10〜20%、より好ましくは13〜17%としたセパレータを用いると良好な結果が得られることが判明したものである。
ここで、ビニル基を有する化合物としては、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等を用いることができるが、なかでもPVAがより好ましい。また、セパレータの主体繊維としては、耐熱性に優れたポリエステル繊維又はナイロン繊維が好ましい。一方、ビニロン繊維からなるセパレータは、鉛フリーリフロー特性を満足することができないため不適当である。
続いて、修復化成前におけるセパレータ中のバインダーの含有量を上記の範囲に調製する方法について説明する。ビニル基を有する化合物からなるバインダーを10%以上含むセパレータを、温水浸漬処理によって、セパレータ中のバインダーを溶解させて、上記の範囲に調製して得ることができる。
温水浸漬処理の場合、温水温度はPVA等が溶解する60〜100℃が好ましく、温水浸漬時間は5〜180分、より好ましくは20〜60分である。また、温水浸漬処理を流水で行うとPVA等の溶解速度が上がり、また均一に溶解するため好ましい。
この温水浸漬処理は、コンデンサ素子形成後に行うことが好ましい。コンデンサ素子形成前に温水浸漬処理を行うと、セパレータの強度が低下するため、巻回する際の巻き込みの強さが低下し、コンデンサ素子内における導電性ポリマーの形成状態が悪くなり、特性が低下してしまうからである。
(A−3)EDT及び酸化剤
重合性モノマーとしてEDTを用いた場合、コンデンサ素子に含浸するEDTとしては、EDTモノマーを用いることができるが、EDTと揮発性溶媒とを1:0〜1:3の体積比で混合したモノマー溶液を用いることもできる。
前記揮発性溶媒としては、ペンタン等の炭化水素類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ギ酸エチル等のエステル類、アセトン等のケトン類、メタノール等のアルコール類、アセトニトリル等の窒素化合物等を用いることができるが、なかでも、メタノール、エタノール、アセトン等が好ましい。
また、酸化剤としては、エタノールに溶解したパラトルエンスルホン酸第二鉄、過ヨウ素酸もしくはヨウ素酸の水溶液を用いることができ、酸化剤の溶媒に対する濃度は40〜58wt%が好ましく、45〜57wt%がより好ましい。酸化剤の溶媒に対する濃度が高い程、ESRは低減する。なお、酸化剤の溶媒としては、上記モノマー溶液に用いた揮発性溶媒を用いることができ、なかでもエタノールが好適である。酸化剤の溶媒としてエタノールが好適であるのは、蒸気圧が低いため蒸発しやすく、残存する量が少ないためであると考えられる。
(A−4)修復化成の化成液
修復化成の化成液としては、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム等のリン酸系の化成液、ホウ酸アンモニウム等のホウ酸系の化成液、アジピン酸アンモニウム等のアジピン酸系の化成液を用いることができるが、なかでも、リン酸二水素アンモニウムを用いることが望ましい。また、浸漬時間は、5〜120分が望ましい。
(A−5)他の重合性モノマー
本発明に用いられる重合性モノマーとしては、上記EDTの他に、EDT以外のチオフェン誘導体、アニリン、ピロール、フラン、アセチレンまたはそれらの誘導体であって、所定の酸化剤により酸化重合され、導電性ポリマーを形成するものであれば適用することができる。なお、チオフェン誘導体としては、図1に示す構造式のものを用いることができる。
(A−6)第1実施形態の作用・効果
上記のように、セパレータのバインダーとしてビニル基を有する化合物を用い、修復化成前におけるバインダーの含有量をセパレータの全重量に対して10〜20%とすることにより良好な結果が得られた理由は、以下の通りであると考えられる。すなわち、バインダーの含有量がこの範囲にあるセパレータと、この範囲を越えるセパレータにおいて形成されたPEDT等の導電性ポリマーの保持量を比べてみたところ、一定であることが分かった。一方、バインダーの含有量がこの範囲にあるセパレータを用いた場合に、固体電解コンデンサの特性は向上し、この範囲を越えるセパレータを用いた場合には、固体電解コンデンサの特性は低下した。
このことから、PEDT等の導電性ポリマーが形成される過程で、バインダー成分であるビニル基を有する化合物が多量に存在すると、この化合物がPEDTの形成に悪影響を及ぼして、PEDT等の導電性ポリマーの本来の特性(静電容量、ESR)を得ることができない状態になると考えられる。一方、バインダー成分であるビニル基を有する化合物の量を適切に調製することにより、良好な結果が得られたものと考えられる。
(A−7)第1実施形態に関する実施例
続いて、以下のようにして製造した実施例A1〜A5及び比較例A1に基づいて、第1実施形態の発明をさらに詳細に説明する。
(実施例A1)
PET繊維を主体繊維とし、PVAからなるバインダーを15%含有するセパレータを用い、以下のようにして固体電解コンデンサを作成した。表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔と陰極箔に電極引き出し手段を接続し、両電極箔を上記のセパレータを介して巻回して、素子形状が5φ×2.8Lのコンデンサ素子を形成した。そして、このコンデンサ素子を100℃の温水に20分間浸漬し、温水浸漬処理後のバインダーの含有量を13%に調製した。このコンデンサ素子をリン酸二水素アンモニウム水溶液に40分間浸漬して修復化成を行った。
一方、所定の容器に、EDTと45%のパラトルエンスルホン酸第二鉄のエタノール溶液を混合し、コンデンサ素子を上記混合液に10秒間浸漬し、120℃、60分加熱して、コンデンサ素子内でPEDTの重合反応を発生させ、固体電解質層を形成した。
そして、このコンデンサ素子を有底筒状の外装ケースに挿入し、開口端部に封口ゴムを装着して、加締め加工によって封止した。その後に、150℃、120分、8.2Vの電圧印加によってエージングを行い、固体電解コンデンサを形成した。なお、この固体電解コンデンサの定格電圧は6.3WV、定格容量は120μFである。
(実施例A2)
PVAからなるバインダーを25%含有するセパレータを用い、コンデンサ素子形成後に100℃の温水に20分間浸漬し、温水浸漬処理後のバインダーの含有量を14%に調製した。その他の条件及び工程は、実施例A1と同様である。
(実施例A3)
PVAからなるバインダーを30%含有するセパレータを用い、コンデンサ素子形成後に100℃の温水に10分間浸漬し、温水浸漬処理後のバインダーの含有量を20%に調製した。その他の条件及び工程は、実施例A1と同様である。
(実施例A4)
PVAからなるバインダーを30%含有するセパレータを用い、コンデンサ素子形成後に100℃の温水に20分間浸漬し、温水浸漬処理後のバインダーの含有量を15%に調製した。その他の条件及び工程は、実施例A1と同様である。
(比較例A1)
PVAからなるバインダーを30%含有するセパレータを用い、温水浸漬処理を行うことなく修復化成を行った。その他の条件及び工程は、実施例A1と同様である。
[比較結果]
上記の方法により得られた実施例A1〜A5及び比較例A1について、初期特性を調べたところ表1に示したような結果が得られた。
Figure 0004525840
表1から明らかなように、PVAからなるバインダーを30%含有するセパレータを用いた実施例A3、実施例A4及び比較例A1を比べると、実施例A3及び実施例A4の方が温水浸漬処理を行わなかった比較例A1より静電容量、ESR共に良好な結果が得られた。さらに、温水浸漬時間が長い実施例A4の方が実施例A3より静電容量、ESR共に良好な結果が得られた。
(B)第2実施形態
本発明者等は、上記第2の目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、セパレータとして、ビニル基を有する化合物をバインダーとして10wt%以上含むセパレータを用い、重合性モノマーと酸化剤を含浸する前に、アセチレンジオール、ジメチルラウリルアミンオキサイドから選ばれる1種または2種をコンデンサ素子内に含有させることにより、ESRの低減と、静電容量の向上及び耐電圧の向上を図ることができる固体電解コンデンサ及びその製造方法を得ることができたものである。
(B−1)固体電解コンデンサの製造方法
第2実施形態における固体電解コンデンサの製造方法は以下の通りである。すなわち、表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔と陰極箔を、ビニル基を有する化合物をバインダーとして10wt%以上含むセパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子に修復化成を施す。そして、アセチレンジオール、ジメチルラウリルアミンオキサイドから選ばれる1種または2種をコンデンサ素子内に含有させた後、このコンデンサ素子を重合性モノマーと酸化剤の混合液に浸漬し、コンデンサ素子内で導電性ポリマーの重合反応を発生させ、固体電解質層を形成する。そして、このコンデンサ素子を外装ケースに挿入し、開口端部に封口ゴムを装着して、加締め加工によって封止した後、エージングを行い、固体電解コンデンサを形成する。
(B−2)セパレータ
通常、合成繊維を主体とする固体電解コンデンサ用セパレータは、合成繊維とこれらを接合するバインダーから構成されている。このバインダーとしては、合成樹脂そのものを用いたり、合成樹脂を繊維状にして、セパレータの作成工程で溶融させて主体繊維を接合させている。本発明においては、バインダーとしてビニル基を有する化合物を用いたセパレータを用いる。
ここで、ビニル基を有する化合物としては、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等を用いることができるが、なかでもPVAがより好ましい。
なお、セパレータの主体繊維としては、耐熱性に優れたポリエステル繊維又はナイロン繊維等の合成繊維を用いると、耐熱性が向上するので好適である。また、セパレータに対するビニル基を有する化合物からなるバインダーの含有量は、10wt%以上であることが好ましい。10wt%未満であると十分な効果が得られない。
(B−3)添加剤
添加剤として、界面活性剤であるアセチレンジオール、ジメチルラウリルアミンオキサイドから選ばれる1種または2種を用い、コンデンサ素子内に含有させると、静電容量が上昇し、ESRが低減することが判明した。その理由は、PVAとPEDTとの接着性が増すためと考えられる。
また、これらの添加剤をコンデンサ素子内に含有させる方法としては、修復化成後、0.1〜10%、好ましくは0.5〜2%の水溶液にコンデンサ素子を常温で浸漬し、50〜90℃で乾燥した後、150〜200℃で加熱処理する方法が好ましい。この加熱によって、PVA、PEDT、界面活性剤の架橋状態が向上して、密着性が増すものと考えられる。
(B−4)EDT及び酸化剤
重合性モノマーとしてEDTを用いた場合、コンデンサ素子に含浸するEDTとしては、EDTモノマーを用いることができるが、EDTと揮発性溶媒とを1:0〜1:3の体積比で混合したモノマー溶液を用いることもできる。
前記揮発性溶媒としては、ペンタン等の炭化水素類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ギ酸エチル等のエステル類、アセトン等のケトン類、メタノール等のアルコール類、アセトニトリル等の窒素化合物等を用いることができるが、なかでも、メタノール、エタノール、アセトン等が好ましい。
また、酸化剤としては、エタノールに溶解したパラトルエンスルホン酸第二鉄、過ヨウ素酸もしくはヨウ素酸の水溶液を用いることができ、酸化剤の溶媒に対する濃度は40〜65wt%が好ましく、45〜57wt%がより好ましい。酸化剤の溶媒に対する濃度が高い程、ESRは低減する。なお、酸化剤の溶媒としては、上記モノマー溶液に用いた揮発性溶媒を用いることができ、なかでもエタノールが好適である。酸化剤の溶媒としてエタノールが好適であるのは、蒸気圧が低いため蒸発しやすく、残存する量が少ないためであると考えられる。
(B−5)修復化成の化成液
修復化成の化成液としては、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム等のリン酸系の化成液、ホウ酸アンモニウム等のホウ酸系の化成液、アジピン酸アンモニウム等のアジピン酸系の化成液を用いることができるが、なかでも、リン酸二水素アンモニウムを用いることが望ましい。また、浸漬時間は、5〜120分が望ましい。
(B−6)他の重合性モノマー
本発明に用いられる重合性モノマーとしては、上記EDTの他に、EDT以外のチオフェン誘導体、アニリン、ピロール、フラン、アセチレンまたはそれらの誘導体であって、所定の酸化剤により酸化重合され、導電性ポリマーを形成するものであれば適用することができる。なお、チオフェン誘導体としては、図1に示す構造式のものを用いることができる。
(B−7)第2実施形態の作用・効果
上記第2実施形態の構成でESRの低減と静電容量の向上及び耐電圧の向上が得られる理由は、修復化成中に溶解したPVAが誘電体皮膜に付着し、その後に添加剤を含有させた後、PEDTを形成すると、PVAとPEDTとの接着性が増して、静電容量及びESRが向上する。
さらに、修復化成中にセパレータからPVAが溶解してセパレータの空隙が増すので、セパレータのPEDTの保持量が増してESRが低減する。また、誘電体皮膜に付着したPVAがPEDT中に残存する酸化剤の誘電体皮膜へのアタックを低減して、耐電圧が上昇する。なお、PVAの含有量が10wt%未満だとこれらの効果が低減する。
(B−8)第2実施形態に関する実施例
続いて、以下のようにして製造した実施例及び従来例に基づいて、第2実施形態に係る発明をさらに詳細に説明する。
(実施例B1)
PET繊維を主体繊維とし、PVAをバインダーとして10wt%以上含有するセパレータを用い、以下のようにして固体電解コンデンサを作成した。表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔と陰極箔に電極引き出し手段を接続し、両電極箔を上記のセパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成した。そして、このコンデンサ素子をリン酸二水素アンモニウム水溶液に40分間浸漬して修復化成を行った。修復化成後、このコンデンサ素子を100℃で乾燥した後、アセチレンジオールの1wt%水溶液に常温で3分間浸漬し、60℃で乾燥した後、170℃で加熱した。
一方、所定の容器に、EDTと45%のパラトルエンスルホン酸第二鉄のエタノール溶液を混合し、コンデンサ素子を上記混合液に10秒間浸漬し、120℃、60分加熱して、コンデンサ素子内でPEDTの重合反応を発生させ、固体電解質層を形成した。そして、このコンデンサ素子を有底筒状の外装ケースに挿入し、開口端部に封口ゴムを装着して、加締め加工によって封止した。その後に、150℃、120分、5.2Vの電圧印加によってエージングを行い、固体電解コンデンサを形成した。なお、この固体電解コンデンサの定格電圧は4WV、定格容量は180μFである。
(実施例B2)
修復化成後、コンデンサ素子を100℃で乾燥した後、ジメチルラウリルアミンオキサイドの1wt%水溶液に常温で3分間浸漬し、60℃で乾燥した後、170℃で加熱した。その他の条件及び工程は、実施例B1と同様である。
(比較例B1)
添加剤を添加することなく、実施例B1と同様の条件及び工程で固体電解コンデンサを作成した。
[比較結果]
上記の方法により得られた実施例B1、実施例B2及び比較例B1について、初期特性を調べたところ表2に示したような結果が得られた。
Figure 0004525840
表2から明らかなように、添加剤を用いた実施例B1及び実施例B2は共に、比較例B1より静電容量は増大し、ESRは低減した。
また、PVAをバインダーとして含まないセパレータを用いた場合と比較したところ、ショート電圧は20V上昇した。
(C)第3実施形態
本発明者等は、上記第3の目的を達成すべく、高耐電圧品を製造する場合に、エージング工程でショートが発生する割合が高くなる原因について種々検討を重ねた結果、以下の結論に達したものである。すなわち、通常、導電性ポリマーを形成した後のコンデンサ素子内には、導電性ポリマーの他に、重合反応に関与しなかったモノマーや酸化剤及びその他の反応残余物が存在している。そして、これらの導電性ポリマー以外の物質の耐電圧は導電性ポリマーの耐電圧より低いため、これらの物質が固体電解コンデンサの耐電圧を低下させていると考えられる。
そこで、本発明者等は、これらの反応残余物が存在していても、固体電解コンデンサの耐電圧を向上させると共に、鉛フリーリフローによる耐電圧特性の劣化を防止すべく検討を重ねた結果、ビニル基を有する化合物を含有するセパレータを用いてコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子内にホウ酸化合物を含有させることによって、固体電解コンデンサの耐電圧を向上させることができることが判明したものである。
(C−1)固体電解コンデンサの製造方法
第3実施形態における固体電解コンデンサの製造方法は以下の通りである。すなわち、表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔と陰極箔を、ビニル基を有する化合物を含有するセパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子に修復化成を施す。続いて、このコンデンサ素子にホウ酸化合物の溶液を含浸して加熱し、ビニル基を有する化合物とホウ酸化合物とからなる結合体を生成し、その後に、このコンデンサ素子を重合性モノマーと酸化剤とを所定の溶媒と共に混合して調製した混合液に浸漬し、コンデンサ素子内で導電性ポリマーの重合反応を発生させ、固体電解質層を形成する。そして、このコンデンサ素子を外装ケースに挿入し、開口端部に封口ゴムを装着して、加締め加工によって封止した後、エージングを行い、固体電解コンデンサを形成する。なお、重合性モノマーと酸化剤を含浸する前に、所定のカップリング剤をコンデンサ素子内に含有させると、さらに好適である。
(C−2)セパレータ
通常、合成繊維を主体とする固体電解コンデンサ用セパレータは、合成繊維とこれらを接合するバインダーから構成されている。このバインダーとしては、合成樹脂そのものを用いたり、合成樹脂を繊維状にして、セパレータの作成工程で溶融させて主体繊維を接合させている。本発明においては、このようなセパレータの主体繊維又はバインダーに、ビニル基を有する化合物を用いたセパレータを用いることにより、良好な結果が得られたものである。
なお、セパレータの主体繊維又はバインダーに含有させるビニル基を有する化合物の必要量は微量で良いが、多くても効果が減ずることはない。その理由は、セパレータに含有されたビニル基を有する化合物が溶出して酸化皮膜に付着することによって本発明の効果が得られるからである。従って、ビニロンセパレータのように、100%ビニロン繊維で形成されていても良い。この場合、製造工程中にビニル基を有する化合物が溶出しすぎてセパレータの強度が低下することがないように、溶出量を管理すれば良い。なお、本発明の典型的な例は、PVAバインダーを用いたセパレータであるが、この場合、所定の強度を得るために、含有量は10〜20wt%が好ましい。
ここで、ビニル基を有する化合物としては、ポリビニルアルコール(以下、PVAと記す)、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等を用いることができるが、なかでもPVAがより好ましい。具体的には、セパレータの主体繊維にPVA繊維(ビニロン)や未延伸のビニロンを用いても良いし、バインダーにPVAポリマーや未延伸のビニロンを用いても良い。例えば、繊維径が3.0〜12.0μmのビニロン繊維を所定のカット長の短繊維とし、所定のバインダーを用いて、任意の手段により不織布としたものを用いることができる。
なお、セパレータにビニル基を有する化合物を含有させる方法としては、上述したような主体繊維やバインダーをビニル基を有する化合物から構成する方法(言い換えれば、ビニル基を有する化合物をセパレータの構成成分として含有させる方法)の他に、セパレータをビニル基を有する化合物の溶液に浸漬する方法や、ビニル基を有する化合物を塗布する方法を用いることもできる。
(C−3)ホウ酸化合物
ホウ酸化合物としては、ホウ酸、ホウ砂、ホウ酸のアンモニウム塩、金属塩等のホウ酸塩、ホウ酸トリエチル等のホウ酸エステル等を用いることができるが、なかでも、ホウ酸を用いることが望ましい。
また、これらホウ酸化合物の溶媒としては、これらの化合物が溶解するものであれば良く、主として水、グリセリン等を用いることができる。また、ホウ酸化合物溶液の濃度は、0.1wt%〜10wt%が好ましく、より好ましくは3wt%〜7wt%である。ホウ酸化合物溶液の濃度がこの範囲外の場合、効果が低下した。その理由は、ホウ酸化合物溶液の濃度が0.1wt%未満では、溶液中のホウ酸化合物が少ないため、形成される結合体の量が十分ではなく、一方、10wt%を越えると、理由は定かではないが、結合体を形成した後の余剰のホウ酸が悪影響を及ぼして、ESRが上昇するからである。
(C−4)ホウ酸化合物をコンデンサ素子内に含有させる方法
上記ホウ酸化合物をコンデンサ素子内に含有させる方法としては、コンデンサ素子をホウ酸化合物の溶液に浸漬する方法、または、ホウ酸化合物の溶液をコンデンサ素子に吐出する方法を用いることができる。
また、ホウ酸化合物をコンデンサ素子内に含有させた後、加熱処理すると初期特性が向上することが分かった。その理由は、セパレータに含まれるビニル基を有する化合物がコンデンサ素子内に溶出し、その末端基の疎水性が増すことにより、酸化皮膜と固体電解質の密着性が向上するためと考えられる。また、この加熱温度は120〜250℃が好ましく、より好ましくは150〜200℃である。加熱温度がこの範囲外の場合、効果が低下した。その理由は、加熱温度が120℃未満では、ビニル基を有する化合物の末端基の疎水化等の反応が十分に進行せず、一方、250℃を越えると、ビニル基を有する化合物の熱劣化が起こって効果が低減するためであると考えられる。
(C−5)ホウ酸化合物をコンデンサ素子内に含有させる時期
さらに、本発明者等は、上記ホウ酸化合物をコンデンサ素子内に含有させる時期について種々検討した。その結果、導電性ポリマーを形成する工程の前の段階であれば、どの段階でも良いことが判明した。すなわち、その時期は、上述したように、修復化成前であっても良いし、コンデンサ素子を形成する前に電極箔に付着させても良く、例えば、以下の(1)〜(3)の方法が考えられる。なお、(1)の方法は(C−1)に示した製造方法に相当する。
また、下記の(1)〜(3)の方法の中で、陽極箔と陰極箔を、ビニル基を有する化合物を含有するセパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子に修復化成を施した後、このコンデンサ素子にホウ酸化合物の溶液を含浸して、ビニル基を有する化合物とホウ酸化合物とからなる結合体を生成し、その後に、このコンデンサ素子内で導電性ポリマーの重合反応を発生させ、固体電解質層を形成することができる(1)の方法が最も好適である。なお、下記の方法で樹脂封止を行わなくても、本発明の効果に変わりはない。
(1)修復化成後…図2参照
化成→ビニル基を有する化合物を含有するセパレータを用いてコンデンサ素子形成→修復化成→ホウ酸化合物溶液に浸漬→重合性モノマーと酸化剤の含浸→重合→外装ケースへの挿入→樹脂封止→エージング
(2)コンデンサ素子形成後〜修復化成前…図3参照
化成→ビニル基を有する化合物を含有するセパレータを用いてコンデンサ素子形成→ホウ酸化合物溶液に浸漬→修復化成→重合性モノマーと酸化剤の含浸→重合→外装ケースへの挿入→樹脂封止→エージング
(3)コンデンサ素子形成前…図4参照
化成→両極電極箔の少なくともいずれか一方をホウ酸化合物溶液に浸漬(又は塗布後、乾燥処理)→ビニル基を有する化合物を含有するセパレータを用いてコンデンサ素子形成→修復化成→重合性モノマーと酸化剤の含浸→重合→外装ケースへの挿入→樹脂封止→エージング
なお、これらの方法におけるホウ酸化合物溶液の濃度、温度、含浸時間、乾燥温度、乾燥時間等は、上述した条件と同様である。
(C−6)カップリング剤
カップリング剤としては、以下のシランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤を用いることができ、これらの中から選択された1又は2以上のカップリング剤を用いることができる。
また、これらのカップリング剤をコンデンサ素子内に含有させる方法としては、修復化成後、0.1〜5%、好ましくは0.5〜3%のカップリング剤の水溶液にコンデンサ素子を数分間浸漬し、引き上げた後、50〜100℃で乾燥する方法が用いられる。
上記シランカップリング剤としては、ビニルトリクロルシラン、ビニル(βメトキシシラン)ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
また、チタンカップリング剤としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロフォスファイト)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルホニルチタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジ−トリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネートが挙げられる。
さらに、アルミニウムカップリング剤としては、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートが挙げられる。
(C−7)EDT及び酸化剤
重合性モノマーとしてEDTを用いた場合、コンデンサ素子に含浸するEDTとしては、EDTモノマーを用いることができるが、EDTと揮発性溶媒とを1:0〜1:3の体積比で混合したモノマー溶液を用いることもできる。
前記揮発性溶媒としては、ペンタン等の炭化水素類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ギ酸エチル等のエステル類、アセトン等のケトン類、メタノール等のアルコール類、アセトニトリル等の窒素化合物等を用いることができるが、なかでも、メタノール、エタノール、アセトン等が好ましい。
また、酸化剤としては、エタノールに溶解したパラトルエンスルホン酸第二鉄、過ヨウ素酸もしくはヨウ素酸の水溶液を用いることができ、酸化剤の溶媒に対する濃度は40〜57wt%が好ましく、45〜57wt%がより好ましい。酸化剤の溶媒に対する濃度が高い程、ESRは低減する。なお、酸化剤の溶媒としては、上記モノマー溶液に用いた揮発性溶媒を用いることができ、なかでもエタノールが好適である。酸化剤の溶媒としてエタノールが好適であるのは、蒸気圧が低いため蒸発しやすく、残存する量が少ないためであると考えられる。
(C−8)減圧
重合工程で減圧すると、さらに好適である。その理由は、加熱重合時に減圧すると、重合と共に残存物を蒸散させることができるからである。なお、減圧の程度は、10〜360mmHg程度の減圧状態とすることが望ましい。
(C−9)浸漬工程
コンデンサ素子を混合液に浸漬する時間は、コンデンサ素子の大きさによって決まるが、φ5×3L程度のコンデンサ素子では5秒以上、φ9×5L程度のコンデンサ素子では10秒以上が望ましく、最低でも5秒間は浸漬することが必要である。なお、長時間浸漬しても特性上の弊害はない。
また、このように浸漬した後、減圧状態で保持すると好適である。その理由は、揮発性溶媒の残留量が少なくなるためであると考えられる。減圧の条件は上述した重合工程での減圧条件と同様である。
(C−10)修復化成の化成液
修復化成の化成液としては、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム等のリン酸系の化成液、ホウ酸アンモニウム等のホウ酸系の化成液、アジピン酸アンモニウム等のアジピン酸系の化成液を用いることができるが、なかでも、リン酸二水素アンモニウムを用いることが望ましい。また、浸漬時間は、5〜120分が望ましい。
(C−11)他の重合性モノマー
本発明に用いられる重合性モノマーとしては、上記EDTの他に、EDT以外のチオフェン誘導体、アニリン、ピロール、フラン、アセチレンまたはそれらの誘導体であって、所定の酸化剤により酸化重合され、導電性ポリマーを形成するものであれば適用することができる。なお、チオフェン誘導体としては、図1に示す構造式のものを用いることができる。
(C−12)第3実施形態の作用・効果
上記のように、ビニル基を有する化合物を含有するセパレータを用いてコンデンサ素子を形成すると共に、所定の時期に、コンデンサ素子にホウ酸化合物を含有させることにより、鉛フリーリフローによる耐電圧特性の劣化を防止することができると共に、エージング工程でショートが発生する割合を大幅に低減することができる。
このような効果が得られる理由は、セパレータに含まれるビニル基を有する化合物が製造工程中に溶出して、コンデンサ素子内でホウ酸化合物と水素結合等により結合体を形成し、この結合体が電極箔の酸化皮膜上に付着して層を形成することにより、固体電解質と酸化皮膜の密着性が向上し、さらにこの層の耐電圧が高いので、コンデンサの耐電圧が向上するものと考えられる。
また、コンデンサ素子形成後にビニル基を有する化合物を素子内に含有させるよりも、本発明のようにセパレータに含有させたビニル基を有する化合物が溶出する方が、ホウ酸化合物との結合体が酸化皮膜に均一に付着するという利点もある。
特に、PVAとホウ酸を用いた場合には、エステル化合物からなる結合体を形成し、このエステル化合物は誘電体皮膜中に浸透せずに、皮膜表面に付着して良好な層を形成するため、良好な特性が得られるものと考えられる。
そして、上述したように、ホウ酸化合物を含有させた後、加熱処理を行うと、セパレータから溶出したビニル基を有する化合物の末端基と誘電体酸化皮膜乃至導電性ポリマーとの接合性が向上して、初期特性、特に静電容量とESR特性が向上すると考えられる。
また、第3実施形態において、カップリング剤をコンデンサ素子に含有させると、前記結合体との相乗作用でさらにPEDTとの接着性が増して、静電容量及びESRが向上する。
なお、PVAの含有量が10wt%未満だとこれらの効果が低減する。
(C−13)第3実施形態に関する実施例
続いて、以下のようにして製造した実施例、比較例及び従来例に基づいて、第3実施形態に係る発明をさらに詳細に説明する。
(実施例C1)
主体繊維にPET繊維を49wt%含み、PVAポリマーをバインダーとして用いたセパレータを用い、以下のようにして固体電解コンデンサを作成した。表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔と陰極箔に電極引き出し手段を接続し、両電極箔を上記のセパレータを介して巻回して、素子形状が5φ×2.8Lのコンデンサ素子を形成した。そして、このコンデンサ素子をリン酸二水素アンモニウム水溶液に40分間浸漬して修復化成を行った。修復化成後、このコンデンサ素子を5wt%のホウ酸水溶液に浸漬し、175℃で加熱処理した。
一方、所定の容器に、EDTと45%のパラトルエンスルホン酸第二鉄のエタノール溶液を混合し、コンデンサ素子を上記混合液に10秒間浸漬し、250mmHg程度の減圧状態で保持し、次いで同じ条件下で120℃、60分加熱して、コンデンサ素子内でPEDTの重合反応を発生させ、固体電解質層を形成した。
そして、このコンデンサ素子を有底筒状の外装ケースに挿入し、開口端部に封口ゴムを装着して、加締め加工によって封止した。その後に、150℃、120分、33Vの電圧印加によってエージングを行い、固体電解コンデンサを形成した。なお、この固体電解コンデンサの定格電圧は25WV、定格容量は15μFである。
(実施例C2)
PET繊維を主体繊維とし、PVAをバインダーとして10wt%以上含有するセパレータを用い、以下のようにして固体電解コンデンサを作成した。表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔と陰極箔に電極引き出し手段を接続し、両電極箔を上記のセパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成した。そして、このコンデンサ素子をリン酸二水素アンモニウム水溶液に40分間浸漬して修復化成を行った。修復化成後、このコンデンサ素子を100℃で乾燥した後、5wt%ホウ酸水溶液に常温で数分間浸漬し、150℃で1時間乾燥をおこなった。また、1wt%N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメトキシシラン水溶液に常温で1分間浸漬し、80℃で1時間乾燥を行った。
一方、所定の容器に、EDTと45%のパラトルエンスルホン酸第二鉄のエタノール溶液を混合し、コンデンサ素子を上記混合液に10秒間浸漬し、120℃、60分加熱して、コンデンサ素子内でPEDTの重合反応を発生させ、固体電解質層を形成した。そして、このコンデンサ素子を有底筒状の外装ケースに挿入し、開口端部に封口ゴムを装着して、加締め加工によって封止した。その後に、150℃、120分、5.2Vの電圧印加によってエージングを行い、固体電解コンデンサを形成した。なお、この固体電解コンデンサの定格電圧は2.5WV、定格容量は180μFである。
(比較例C1)
修復化成後、ホウ酸水溶液に浸漬せずに、導電性ポリマーを形成した。その他の条件及び工程は、実施例C1と同様である。
(比較例C2)
主体繊維にPET繊維を49wt%含み、PETポリマーをバインダーとして用いたセパレータを用いた。その他の条件及び工程は、実施例C1と同様である。
(比較例C3)
修復化成後、コンデンサ素子を5wt%のホウ酸水溶液に浸漬し、加熱処理を行わなかった。その他の条件及び工程は、実施例C1と同様である。
(比較例C4)
ホウ酸水溶液にも、カップリング剤にも浸潰せず、その他の条件及び工程は、実施例C2と同様である。
[比較結果]
上記の方法により得られた実施例及び比較例の固体電解コンデンサ各50個のそれぞれについて、初期特性及びエージング時のショートの数を調べたところ、表3に示したような結果が得られた。また、ショートの発生しなかった良品について、ピーク温度250℃、230℃以上30秒保持の鉛フリーリフローを行った後、32.5Vの充放電を125℃の下で1000回行うサージ試験を行い、ショート電圧を測定したところ、表3に示したような結果が得られた。
Figure 0004525840
また、上記の方法により得られた実施例C2と比較例C4について、初期特性を調べたところ、表4に示したような結果が得られた。
Figure 0004525840
表3から明らかなように、PVAポリマーを含有するセパレータを用い、コンデンサ素子にホウ酸水溶液を含有させた実施例C1においては、初期特性、エージング後のショート数、サージ後のショート電圧は、いずれも比較例C1〜C3に比べて良好であった。
これに対して、ホウ酸処理を行わない比較例C1、ビニル基を有する化合物を含まないセパレータを用いた比較例C2の特性は、実施例C1に比べて悪かった。また、加熱処理を行わなかった比較例C3は、比較例C1あるいは比較例C2よりは良好な結果が得られたが、実施例C1に比べてその効果は低いものであった。
表4から明らかなように、カップリング剤に浸漬した実施例C2と、カップリング剤に浸漬しない比較例C4についてみると、カップリング剤を含有させた実施例C2は、比較例C4に比べて静電容量は1.15倍に増大し、ESRは約91%に低減した。
また、PVAをバインダーとして含まないセパレータを用いた場合と比較したところ、ショート電圧は20V上昇した。
(D)第4実施形態
本実施形態は、上記第3実施形態の変形例であって、ビニル基を有する化合物を含有するセパレータを用いてコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子内に添加する添加剤をドデシルベンゼンスルホン酸(DBS)としたものであるが、この場合も、上記第3実施形態と同様の作用・効果が得られることが判明したものである。
(D−1)固体電解コンデンサの製造方法
第4実施形態における固体電解コンデンサの製造方法は以下の通りである。すなわち、表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔と陰極箔を、ビニル基を有する化合物を含有するセパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子に修復化成を施す。続いて、このコンデンサ素子にドデシルベンゼンスルホン酸の溶液を含浸して、ビニル基を有する化合物とドデシルベンゼンスルホン酸とからなる結合体を生成し、その後に、このコンデンサ素子を重合性モノマーと酸化剤とを所定の溶媒と共に混合して調製した混合液に浸漬し、コンデンサ素子内で導電性ポリマーの重合反応を発生させ、固体電解質層を形成する。そして、このコンデンサ素子を外装ケースに挿入し、開口端部に封口ゴムを装着して、加締め加工によって封止した後、エージングを行い、固体電解コンデンサを形成する。
(D−2)セパレータ
本実施形態に用いるセパレータとしては、第3実施形態の(D−2)セパレータの項に示したセパレータと同様のものを用いることが好ましい。
(D−3)ドデシルベンゼンスルホン酸(DBS)
本発明に用いるドデシルベンゼンスルホン酸の溶媒としては、水、アルコール等を用いることが好ましい。また、ドデシルベンゼンスルホン酸溶液の濃度は、0.1wt%〜5wt%が好ましく、より好ましくは0.2wt%〜2wt%である。ドデシルベンゼンスルホン酸溶液の濃度がこの範囲より小さいと、DBSとPVAの結合体の層が薄いため、静電容量、ESR特性向上、耐圧向上、LC抑制効果が少なくなる。一方、この範囲を超えると、DBSとPVAの結合体の層が厚くなり過ぎて、この層の導電性が低下するため、静電容量、ESR特性が低下する。
(D−4)DBSをコンデンサ素子内に含有させる方法
上記ドデシルベンゼンスルホン酸をコンデンサ素子内に含有させる方法としては、第3実施形態と同様に、コンデンサ素子を上記のドデシルベンゼンスルホン酸溶液に浸漬する方法、または、ドデシルベンゼンスルホン酸溶液をコンデンサ素子に吐出する方法を用いることができる。
また、ドデシルベンゼンスルホン酸をコンデンサ素子内に含有させた後、加熱処理すると初期特性が向上することが分かった。その理由は、セパレータに含まれるビニル基を有する化合物がコンデンサ素子内に溶出し、その末端基の疎水性が増すことにより、酸化皮膜と固体電解質の密着性が向上するためと考えられる。また、この加熱温度は120〜250℃が好ましく、より好ましくは150〜200℃である。加熱温度がこの範囲外の場合、効果が低下した。その理由は、加熱温度が120℃未満では、ビニル基を有する化合物の末端基の疎水化等の反応が十分に進行せず、一方、250℃を越えると、ビニル基を有する化合物の熱劣化が起こって効果が低減するためであると考えられる。
(D−5)DBSをコンデンサ素子内に含有させる時期
さらに、本発明者等は、上記ドデシルベンゼンスルホン酸をコンデンサ素子内に含有させる時期について種々検討した結果、上記第3実施形態と同様に、導電性ポリマーを形成する工程の前の段階であれば、どの段階でも良いことが判明した。すなわち、その時期は、上述したように、修復化成前であっても良いし、コンデンサ素子を形成する前に電極箔に付着させても良く、例えば、以下の(1)〜(3)の方法が考えられる。なお、(1)の方法は上述した製造方法に相当する。
また、下記の(1)〜(3)の方法の中で、陽極箔と陰極箔を、ビニル基を有する化合物を含有するセパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子に修復化成を施した後、このコンデンサ素子にドデシルベンゼンスルホン酸溶液を含浸して、ビニル基を有する化合物とドデシルベンゼンスルホン酸とからなる結合体を生成し、その後に、このコンデンサ素子内で導電性ポリマーの重合反応を発生させ、固体電解質層を形成することができる(1)の方法が最も好適である。
なお、以下の各方法は、上記第3実施形態で示した図2〜図4のホウ酸化合物溶液を、ドデシルベンゼンスルホン酸溶液に置き換えて適用することができる。
(1)修復化成後…図2参照
化成→ビニル基を有する化合物を含有するセパレータを用いてコンデンサ素子形成→修復化成→ドデシルベンゼンスルホン酸溶液に浸漬→重合性モノマーと酸化剤の含浸→重合→外装ケースへの挿入→樹脂封止→エージング
(2)コンデンサ素子形成後〜修復化成前…図3参照
化成→ビニル基を有する化合物を含有するセパレータを用いてコンデンサ素子形成→ドデシルベンゼンスルホン酸溶液に浸漬→修復化成→重合性モノマーと酸化剤の含浸→重合→外装ケースへの挿入→樹脂封止→エージング
(3)コンデンサ素子形成前…図4参照
化成→両極電極箔の少なくともいずれか一方をドデシルベンゼンスルホン酸溶液に浸漬(又は塗布後、乾燥処理)→ビニル基を有する化合物を含有するセパレータを用いてコンデンサ素子形成→修復化成→重合性モノマーと酸化剤の含浸→重合→外装ケースへの挿入→樹脂封止→エージング
なお、これらの方法におけるドデシルベンゼンスルホン酸溶液の濃度、温度、含浸時間、乾燥温度、乾燥時間等は、上述した条件と同様である。
(D−6)EDT及び酸化剤
重合性モノマーとしてEDTを用いた場合、コンデンサ素子に含浸するEDTとしては、EDTモノマーを用いることができるが、EDTと揮発性溶媒とを1:0〜1:3の体積比で混合したモノマー溶液を用いることもできる。
前記揮発性溶媒としては、ペンタン等の炭化水素類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ギ酸エチル等のエステル類、アセトン等のケトン類、メタノール等のアルコール類、アセトニトリル等の窒素化合物等を用いることができるが、なかでも、メタノール、エタノール、アセトン等が好ましい。
また、酸化剤としては、エタノールに溶解したパラトルエンスルホン酸第二鉄、過ヨウ素酸もしくはヨウ素酸の水溶液を用いることができ、酸化剤の溶媒に対する濃度は40〜57wt%が好ましく、45〜57wt%がより好ましい。酸化剤の溶媒に対する濃度が高い程、ESRは低減する。なお、酸化剤の溶媒としては、上記モノマー溶液に用いた揮発性溶媒を用いることができ、なかでもエタノールが好適である。酸化剤の溶媒としてエタノールが好適であるのは、蒸気圧が低いため蒸発しやすく、残存する量が少ないためであると考えられる。
(D−7)減圧
重合工程で減圧すると、さらに好適である。その理由は、加熱重合時に減圧すると、重合と共に残存物を蒸散させることができるからである。なお、減圧の程度は、10〜360mmHg程度の減圧状態とすることが望ましい。
(D−8)浸漬工程
コンデンサ素子を混合液に浸漬する時間は、コンデンサ素子の大きさによって決まるが、φ5×3L程度のコンデンサ素子では5秒以上、φ9×5L程度のコンデンサ素子では10秒以上が望ましく、最低でも5秒間は浸漬することが必要である。なお、長時間浸漬しても特性上の弊害はない。
また、このように浸漬した後、減圧状態で保持すると好適である。その理由は、揮発性溶媒の残留量が少なくなるためであると考えられる。減圧の条件は上述した重合工程での減圧条件と同様である。
(D−9)修復化成の化成液
修復化成の化成液としては、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム等のリン酸系の化成液、ホウ酸アンモニウム等のホウ酸系の化成液、アジピン酸アンモニウム等のアジピン酸系の化成液を用いることができるが、なかでも、リン酸二水素アンモニウムを用いることが望ましい。また、浸漬時間は、5〜120分が望ましい。
(D−10)他の重合性モノマー
本発明に用いられる重合性モノマーとしては、上記EDTの他に、EDT以外のチオフェン誘導体、アニリン、ピロール、フラン、アセチレンまたはそれらの誘導体であって、所定の酸化剤により酸化重合され、導電性ポリマーを形成するものであれば適用することができる。なお、チオフェン誘導体としては、図1に示す構造式のものを用いることができる。
(D−11)第4実施形態の作用・効果
上記のように、ビニル基を有する化合物を含有するセパレータを用いてコンデンサ素子を形成すると共に、所定の時期に、コンデンサ素子にドデシルベンゼンスルホン酸を含有させることにより、鉛フリーリフローによる耐電圧特性の劣化を防止することができると共に、エージング工程でショートが発生する割合を大幅に低減することができる。
このような効果が得られる理由は、セパレータに含まれるビニル基を有する化合物が製造工程中に溶出して、コンデンサ素子内でドデシルベンゼンスルホン酸と水素結合等により結合体を形成し、この結合体が電極箔の酸化皮膜上に付着して層を形成することにより、固体電解質と酸化皮膜の密着性が向上し、さらにこの層の耐電圧が高いので、コンデンサの耐電圧が向上するものと考えられる。
また、コンデンサ素子形成後にビニル基を有する化合物を素子内に含有させるよりも、本発明のようにセパレータに含有させたビニル基を有する化合物が溶出する方が、ドデシルベンゼンスルホン酸との結合体が酸化皮膜に均一に付着するという利点もある。
特に、PVAとドデシルベンゼンスルホン酸を用いた場合には、エステル化合物からなる結合体を形成し、このエステル化合物は誘電体皮膜中に浸透せずに皮膜表面に付着して、電子をブロックする皮膜を形成するため、良好な特性が得られるものと考えられる。
そして、上述したように、ドデシルベンゼンスルホン酸を含有させた後、加熱処理を行うと、セパレータから溶出したビニル基を有する化合物の末端基と誘電体酸化皮膜乃至導電性ポリマーとの接合性が向上して、初期特性、特に静電容量とESR特性が向上し、耐圧向上、LC低減効果が得られる。
(D−12)第4実施形態に関する実施例…その1
続いて、以下のようにして製造した実施例D1〜D4、比較例D1に基づいて、第4実施形態に係る発明をさらに詳細に説明する。
(実施例D1)
主体繊維にPET繊維を49wt%含み、PVAポリマーをバインダーとして用いたセパレータを用い、以下のようにして固体電解コンデンサを作成した。表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔と陰極箔に電極引き出し手段を接続し、両電極箔を上記のセパレータを介して巻回して、素子形状が7φ×5Lのコンデンサ素子を形成した。そして、このコンデンサ素子をリン酸二水素アンモニウム水溶液に40分間浸漬して修復化成を行った。修復化成後、このコンデンサ素子を100℃で乾燥した後、0.1wt%のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液に浸漬し、150℃で加熱処理した。
一方、所定の容器に、EDTと45%のパラトルエンスルホン酸第二鉄のエタノール溶液を混合し、コンデンサ素子を上記混合液に10秒間浸漬し、250mmHg程度の減圧状態で保持し、次いで同じ条件下で120℃、60分加熱して、コンデンサ素子内でPEDTの重合反応を発生させ、固体電解質層を形成した。
そして、このコンデンサ素子を有底筒状の外装ケースに挿入し、開口端部に封口ゴムを装着して、加締め加工によって封止した。その後に、150℃、120分、33Vの電圧印加によってエージングを行い、固体電解コンデンサを形成した。なお、この固体電解コンデンサの定格電圧は25WV、定格容量は22μFである。
(実施例D2)
ドデシルベンゼンスルホン酸溶液の濃度を0.5wt%とした。その他は実施例D1と同様にして固体電解コンデンサを作成した。
(実施例D3)
ドデシルベンゼンスルホン酸溶液の濃度を2.0wt%とした。その他は実施例D1と同様にして固体電解コンデンサを作成した。
(実施例D4)
ドデシルベンゼンスルホン酸溶液の濃度を5.0wt%とした。その他は実施例D1と同様にして固体電解コンデンサを作成した。
(比較例D1)
修復化成後、ドデシルベンゼンスルホン酸溶液に浸漬せずに、導電性ポリマーを形成した。その他の条件及び工程は、実施例D1と同様である。
[比較結果]
上記の方法により得られた実施例D1〜D4及び比較例D1の各固体電解コンデンサについて、初期特性及びリフロー特性を調べたところ、表5に示したような結果が得られた。なお、リフロー試験は、ピーク温度250℃、230℃以上30秒保持の鉛フリーリフローを行った後の漏れ電流を求めた。
Figure 0004525840
表5から明らかなように、PVAポリマーを含有するセパレータを用い、コンデンサ素子にドデシルベンゼンスルホン酸溶液を含有させた実施例D1〜D4の耐圧は55〜59Vと、いずれも比較例D1の耐圧(54V)に比べて向上した。特に、DBS濃度が0.1〜2.0%の実施例D1〜D3においては、耐圧は58〜59Vと高い値を示した。
また、初期及びリフロー後の漏れ電流は、比較例D1がそれぞれ2μA、30μAであったのに対して、0.3〜1.5μA、9〜20μAと低減した。
(D−13)第4実施形態に関する実施例…その2
続いて、以下のようにして製造した実施例D5、比較例D2に基づいて、第4実施形態に係る発明をさらに詳細に説明する。
(実施例D5)
主体繊維にPET繊維を49wt%含み、PVAポリマーをバインダーとして用いたセパレータを用い、以下のようにして固体電解コンデンサを作成した。表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔と陰極箔に電極引き出し手段を接続し、両電極箔を上記のセパレータを介して巻回して、素子形状が5φ×3Lのコンデンサ素子を形成した。そして、このコンデンサ素子をリン酸二水素アンモニウム水溶液に40分間浸漬して修復化成を行った。修復化成後、このコンデンサ素子を100℃で乾燥した後、0.5wt%のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液に浸漬し、150℃で加熱処理した。
一方、所定の容器に、EDTと45%のパラトルエンスルホン酸第二鉄のエタノール溶液を混合し、コンデンサ素子を上記混合液に10秒間浸漬し、250mmHg程度の減圧状態で保持し、次いで同じ条件下で120℃、60分加熱して、コンデンサ素子内でPEDTの重合反応を発生させ、固体電解質層を形成した。
そして、このコンデンサ素子を有底筒状の外装ケースに挿入し、開口端部に封口ゴムを装着して、加締め加工によって封止した。その後に、エージングを行い、固体電解コンデンサを形成した。なお、この固体電解コンデンサの定格電圧は6.3WV、定格容量は180μFである。
(比較例D2)
修復化成後、ドデシルベンゼンスルホン酸溶液に浸漬せずに、導電性ポリマーを形成した。その他の条件及び工程は、実施例D5と同様である。
[比較結果]
上記の方法により得られた実施例D5及び比較例D2の各固体電解コンデンサについて、初期特性を調べたところ、表6に示したような結果が得られた。
Figure 0004525840
表6から明らかなように、PVAポリマーを含有するセパレータを用い、コンデンサ素子にドデシルベンゼンスルホン酸溶液を含有させた実施例D5においては、比較例D2に比べて、良好な結果が得られた。
(E)第5実施形態
本実施形態は、上記第3実施形態の変形例であって、ビニル基を有する化合物を含有するセパレータを用いてコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子内に添加する添加剤をナフタレンスルホン酸ナトリウム(NPS)としたものであるが、この場合も、上記第3実施形態と同様の作用・効果が得られることが判明したものである。
(E−1)固体電解コンデンサの製造方法
第5実施形態における固体電解コンデンサの製造方法は以下の通りである。すなわち、表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔と陰極箔を、ビニル基を有する化合物を含有するセパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子に修復化成を施す。続いて、このコンデンサ素子にナフタレンスルホン酸ナトリウムの溶液を含浸して、ビニル基を有する化合物とナフタレンスルホン酸ナトリウムとからなる結合体を生成し、その後に、このコンデンサ素子を重合性モノマーと酸化剤とを所定の溶媒と共に混合して調製した混合液に浸漬し、コンデンサ素子内で導電性ポリマーの重合反応を発生させ、固体電解質層を形成する。そして、このコンデンサ素子を外装ケースに挿入し、開口端部に封口ゴムを装着して、加締め加工によって封止した後、エージングを行い、固体電解コンデンサを形成する。
(E−2)セパレータ
本実施形態に用いるセパレータとしては、第3実施形態の(D−2)セパレータの項に示したセパレータと同様のものを用いることが好ましい。
(E−3)ナフタレンスルホン酸ナトリウム(NPS)
ナフタレンスルホン酸ナトリウムの溶媒としては、水、アルコール等を用いることが好ましい。また、ナフタレンスルホン酸ナトリウム溶液の濃度は、0.1wt%〜5wt%が好ましく、より好ましくは0.2wt%〜2wt%である。ナフタレンスルホン酸ナトリウム溶液の濃度がこの範囲より小さいと、NPSとPVAの結合体の層が薄いため、静電容量、ESR特性向上、耐圧向上、LC抑制効果が少なく、この範囲を超えると、NPSとPVAの結合体の層が厚くなり過ぎて、この層の導電性が低下するため、耐圧特性、静電容量、ESR特性が低下する。
(E−4)NPSをコンデンサ素子内に含有させる方法
上記ナフタレンスルホン酸ナトリウムをコンデンサ素子内に含有させる方法としては、上記第3実施形態及び第4実施形態に示したと同様に、コンデンサ素子をナフタレンスルホン酸ナトリウム溶液に浸漬する方法、または、ナフタレンスルホン酸ナトリウム溶液をコンデンサ素子に吐出する方法を用いることができる。
また、ナフタレンスルホン酸ナトリウムをコンデンサ素子内に含有させた後、加熱処理すると初期特性が向上することが分かった。その理由は、セパレータに含まれるビニル基を有する化合物がコンデンサ素子内に溶出し、その末端基の疎水性が増すことにより、酸化皮膜と固体電解質の密着性が向上するためと考えられる。また、この加熱温度は120〜250℃が好ましく、より好ましくは150〜200℃である。加熱温度がこの範囲外の場合、効果が低下した。その理由は、加熱温度が120℃未満では、ビニル基を有する化合物の末端基の疎水化等の反応が十分に進行せず、一方、250℃を越えると、ビニル基を有する化合物の熱劣化が起こって効果が低減するためであると考えられる。
(E−5)NPSをコンデンサ素子内に含有させる時期
さらに、本発明者等は、上記ナフタレンスルホン酸ナトリウムをコンデンサ素子内に含有させる時期について種々検討した結果、上記第3実施形態と同様に、導電性ポリマーを形成する工程の前の段階であれば、どの段階でも良いことが判明した。すなわち、その時期は、上述したように、修復化成前であっても良いし、コンデンサ素子を形成する前に電極箔に付着させても良く、例えば、以下の(1)〜(3)の方法が考えられる。なお、(1)の方法は上述した製造方法に相当する。
また、下記の(1)〜(3)の方法の中で、陽極箔と陰極箔を、ビニル基を有する化合物を含有するセパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子に修復化成を施した後、このコンデンサ素子にナフタレンスルホン酸ナトリウム溶液を含浸して、ビニル基を有する化合物とナフタレンスルホン酸ナトリウムとからなる結合体を生成し、その後に、このコンデンサ素子内で導電性ポリマーの重合反応を発生させ、固体電解質層を形成することができる(1)の方法が最も好適である。
なお、以下の各方法は、上記第3実施形態で示した図2〜図4のホウ酸化合物溶液を、ナフタレンスルホン酸ナトリウム溶液に置き換えて適用することができる。
(1)修復化成後…図2参照
化成→ビニル基を有する化合物を含有するセパレータを用いてコンデンサ素子形成→修復化成→ナフタレンスルホン酸ナトリウム溶液に浸漬→重合性モノマーと酸化剤の含浸→重合→外装ケースへの挿入→樹脂封止→エージング
(2)コンデンサ素子形成後〜修復化成前…図3参照
化成→ビニル基を有する化合物を含有するセパレータを用いてコンデンサ素子形成→ナフタレンスルホン酸ナトリウム溶液に浸漬→修復化成→重合性モノマーと酸化剤の含浸→重合→外装ケースへの挿入→樹脂封止→エージング
(3)コンデンサ素子形成前…図4参照
化成→両極電極箔の少なくともいずれか一方をナフタレンスルホン酸ナトリウム溶液に浸漬(又は塗布後、乾燥処理)→ビニル基を有する化合物を含有するセパレータを用いてコンデンサ素子形成→修復化成→重合性モノマーと酸化剤の含浸→重合→外装ケースへの挿入→樹脂封止→エージング
なお、これらの方法におけるナフタレンスルホン酸ナトリウム溶液の濃度、温度、含浸時間、乾燥温度、乾燥時間等は、上述した条件と同様である。
(E−6)EDT及び酸化剤
重合性モノマーとしてEDTを用いた場合、コンデンサ素子に含浸するEDTとしては、EDTモノマーを用いることができるが、EDTと揮発性溶媒とを1:0〜1:3の体積比で混合したモノマー溶液を用いることもできる。
前記揮発性溶媒としては、ペンタン等の炭化水素類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ギ酸エチル等のエステル類、アセトン等のケトン類、メタノール等のアルコール類、アセトニトリル等の窒素化合物等を用いることができるが、なかでも、メタノール、エタノール、アセトン等が好ましい。
また、酸化剤としては、エタノールに溶解したパラトルエンスルホン酸第二鉄、過ヨウ素酸もしくはヨウ素酸の水溶液を用いることができ、酸化剤の溶媒に対する濃度は40〜57wt%が好ましく、45〜57wt%がより好ましい。酸化剤の溶媒に対する濃度が高い程、ESRは低減する。なお、酸化剤の溶媒としては、上記モノマー溶液に用いた揮発性溶媒を用いることができ、なかでもエタノールが好適である。酸化剤の溶媒としてエタノールが好適であるのは、蒸気圧が低いため蒸発しやすく、残存する量が少ないためであると考えられる。
(E−7)減圧
重合工程で減圧すると、さらに好適である。その理由は、加熱重合時に減圧すると、重合と共に残存物を蒸散させることができるからである。なお、減圧の程度は、10〜360mmHg程度の減圧状態とすることが望ましい。
(E−8)浸漬工程
コンデンサ素子を混合液に浸漬する時間は、コンデンサ素子の大きさによって決まるが、φ5×3L程度のコンデンサ素子では5秒以上、φ9×5L程度のコンデンサ素子では10秒以上が望ましく、最低でも5秒間は浸漬することが必要である。なお、長時間浸漬しても特性上の弊害はない。
また、このように浸漬した後、減圧状態で保持すると好適である。その理由は、揮発性溶媒の残留量が少なくなるためであると考えられる。減圧の条件は上述した重合工程での減圧条件と同様である。
(E−9)修復化成の化成液
修復化成の化成液としては、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム等のリン酸系の化成液、ホウ酸アンモニウム等のホウ酸系の化成液、アジピン酸アンモニウム等のアジピン酸系の化成液を用いることができるが、なかでも、リン酸二水素アンモニウムを用いることが望ましい。また、浸漬時間は、5〜120分が望ましい。
(E−10)他の重合性モノマー
本発明に用いられる重合性モノマーとしては、上記EDTの他に、EDT以外のチオフェン誘導体、アニリン、ピロール、フラン、アセチレンまたはそれらの誘導体であって、所定の酸化剤により酸化重合され、導電性ポリマーを形成するものであれば適用することができる。なお、チオフェン誘導体としては、図1に示す構造式のものを用いることができる。
(E−11)第5実施形態の作用・効果
上記のように、ビニル基を有する化合物を含有するセパレータを用いてコンデンサ素子を形成すると共に、所定の時期に、コンデンサ素子にナフタレンスルホン酸ナトリウムを含有させることにより、鉛フリーリフローによる耐電圧特性の劣化を防止することができると共に、エージング工程でショートが発生する割合を大幅に低減することができる。
このような効果が得られる理由は、セパレータに含まれるビニル基を有する化合物が製造工程中に溶出して、コンデンサ素子内でナフタレンスルホン酸ナトリウムと水素結合等により結合体を形成し、この結合体が電極箔の酸化皮膜上に付着して層を形成することにより、固体電解質と酸化皮膜の密着性が向上し、さらにこの層の耐電圧が高いので、コンデンサの耐電圧が向上するものと考えられる。
また、コンデンサ素子形成後にビニル基を有する化合物を素子内に含有させるよりも、本発明のようにセパレータに含有させたビニル基を有する化合物が溶出する方が、ナフタレンスルホン酸ナトリウムとの結合体が酸化皮膜に均一に付着するという利点もある。
特に、PVAとナフタレンスルホン酸ナトリウムを用いた場合には、エステル化合物からなる結合体を形成し、このエステル化合物は誘電体皮膜中に浸透せずに皮膜表面に付着して、電子をブロックする皮膜を形成するため、良好な特性が得られるものと考えられる。
そして、上述したように、ナフタレンスルホン酸ナトリウムを含有させた後、加熱処理を行うと、セパレータから溶出したビニル基を有する化合物の末端基と誘電体酸化皮膜乃至導電性ポリマーとの接合性が向上して、初期特性、特に静電容量とESR特性が向上し、耐圧向上、LC低減効果が得られる。
(E−12)第5実施形態に関する実施例
続いて、以下のようにして製造した実施例E1〜E4、比較例E1に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例E1)
主体繊維にPET繊維を49wt%含み、PVAポリマーをバインダーとして用いたセパレータを用い、以下のようにして固体電解コンデンサを作成した。表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔と陰極箔に電極引き出し手段を接続し、両電極箔を上記のセパレータを介して巻回して、素子形状が7φ×5Lのコンデンサ素子を形成した。そして、このコンデンサ素子をリン酸二水素アンモニウム水溶液に40分間浸漬して修復化成を行った。修復化成後、このコンデンサ素子を100℃で乾燥した後、0.1wt%のナフタレンスルホン酸ナトリウム水溶液に浸漬し、150℃で加熱処理した。
一方、所定の容器に、EDTと45%のパラトルエンスルホン酸第二鉄のエタノール溶液を混合し、コンデンサ素子を上記混合液に10秒間浸漬し、250mmHg程度の減圧状態で保持し、次いで同じ条件下で120℃、60分加熱して、コンデンサ素子内でPEDTの重合反応を発生させ、固体電解質層を形成した。
そして、このコンデンサ素子を有底筒状の外装ケースに挿入し、開口端部に封口ゴムを装着して、加締め加工によって封止した。その後に、150℃、120分、33Vの電圧印加によってエージングを行い、固体電解コンデンサを形成した。なお、この固体電解コンデンサの定格電圧は25WV、定格容量は22μFである。
(実施例E2)
ナフタレンスルホン酸ナトリウム溶液の濃度を0.5wt%とした。その他は実施例E1と同様にして固体電解コンデンサを作成した。
(実施例E3)
ナフタレンスルホン酸ナトリウム溶液の濃度を2.0wt%とした。その他は実施例E1と同様にして固体電解コンデンサを作成した。
(実施例E4)
ナフタレンスルホン酸ナトリウム溶液の濃度を5.0wt%とした。その他は実施例E1と同様にして固体電解コンデンサを作成した。
(比較例E1)
修復化成後、ナフタレンスルホン酸ナトリウム溶液に浸漬せずに、導電性ポリマーを形成した。その他の条件及び工程は、実施例E1と同様である。
[比較結果]
上記の方法により得られた実施例E1〜E4及び比較例E1の各固体電解コンデンサについて、初期特性及びリフロー特性を調べたところ、表7に示したような結果が得られた。なお、リフロー試験は、ピーク温度250℃、230℃以上30秒保持の鉛フリーリフローを行った後の漏れ電流を求めた。
Figure 0004525840
表7から明らかなように、PVAポリマーを含有するセパレータを用い、コンデンサ素子にナフタレンスルホン酸ナトリウム溶液を含有させた実施例E1〜E4の耐圧は55〜57Vと、いずれも比較例E1の耐圧(54V)に比べて向上した。特に、NPS濃度が0.1〜2.0%の実施例E1〜E3においては、耐圧は57Vと高い値を示した。
また、初期及びリフロー後の漏れ電流は、比較例E1がそれぞれ2μA、30μAであったのに対して、0.1〜0.5μA、8〜20μAと低減した。
(F)第6実施形態
本発明者等は、上記第4の目的を達成すべく、固体電解コンデンサの耐圧の向上とリフロー後のLC変動の抑制を図るべく鋭意検討を重ねた結果、この第6実施形態に示す発明を完成するに至ったものである。すなわち、本発明者等は電気伝導機構に着目し、導電性ポリマー等の固体電解質における電気伝導について検討した。
一般に、電子放出は、電子のトンネル電子と電位障壁の飛び越え(皮膜の破損に依存しない電子の飛び越し)の2種類に大別されるが、固体電解コンデンサにおける漏れ電流は、ショート状態ではない、電位障壁の飛び越しによるものと考えられる。
また、リフロー後のLCの上昇の原因としては、ガス発生によるリフロー中の機械的なストレス(物理的ストレス)と、化学ストレス(酸化剤のアタックや電子の飛び越しなど)が考えられる。
すなわち、固体電解コンデンサの高耐圧化において、ショートは電子が増大して、なだれ状態となって、トンネル状態になることであり、リフローでのLCの上昇においては、絶縁破壊によらない、電子の飛び越しによるもので、両者において共通することは電子である。従って、電子をブロッキングすることで、電位障壁の飛び越しを抑制し、高耐圧化、リフローでのLCの上昇の抑制を実現することができると考えられる。
これらの知見に基づいて、本発明者等は、電位障壁の飛び越えを防ぐことができる手段について種々検討を重ね、セパレータにビニル基を有する化合物を含有させ、このセパレータを用いてコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子内にポリイミドシリコンを含有させることにより、製品の耐圧向上、リフロー後のLC上昇を抑制することができることが判明した。
(F−1)固体電解コンデンサの製造方法
第6実施形態における固体電解コンデンサの製造方法は以下の通りである。すなわち、表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔と陰極箔を、ビニル基を有する化合物を含有するセパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子に修復化成を施す。その後、このコンデンサ素子をポリイミドシリコンの10wt%以下、好ましくは1.5〜9wt%、さらに好ましくは5〜8wt%のケトン系溶媒に溶解した溶液に浸漬し、引き上げた後、40〜100℃で溶媒を蒸発させ、その後、150〜200℃で熱処理する。
続いて、このコンデンサ素子を重合性モノマーと酸化剤の混合液に浸漬し、コンデンサ素子内で導電性ポリマーの重合反応を発生させ、固体電解質層を形成する。そして、このコンデンサ素子を外装ケースに収納し、開口端部を封ロゴムで封止し、固体電解コンデンサを形成する。
(F−2)ポリイミドシリコン
ポリイミドシリコンを溶解する溶媒としては、ポリイミドシリコンの溶解性の良好なケトン系溶媒が好ましく、シクロヘキサノン、アセトン、メチルエチルケトン等を用いることができる。
また、ポリイミドシリコンの濃度は、10wt%以下、好ましくは1.5〜9wt%、さらに好ましくは5〜8wt%である。濃度がこの範囲未満では耐圧が十分ではなく、この範囲を超えると静電容量が低下する。
(F−3)セパレータ
本実施形態に用いるセパレータとしては、第3実施形態の(D−2)セパレータの項に示したセパレータと同様のものを用いることが好ましい。
(F−4)EDT及び酸化剤
重合性モノマーとしてEDTを用いた場合、コンデンサ素子に含浸するEDTとしては、EDTモノマーを用いることができるが、EDTと揮発性溶媒とを1:0〜1:3の体積比で混合したモノマー溶液を用いることもできる。
前記揮発性溶媒としては、ペンタン等の炭化水素類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ギ酸エチル等のエステル類、アセトン等のケトン類、メタノール等のアルコール類、アセトニトリル等の窒素化合物等を用いることができるが、なかでも、メタノール、エタノール、アセトン等が好ましい。
また、酸化剤としては、エタノールに溶解したパラトルエンスルホン酸第二鉄、過ヨウ素酸もしくはヨウ素酸の水溶液を用いることができ、酸化剤の溶媒に対する濃度は40〜65wt%が好ましく、45〜57wt%がより好ましい。酸化剤の溶媒に対する濃度が高い程、ESRは低減する。なお、酸化剤の溶媒としては、上記モノマー溶液に用いた揮発性溶媒を用いることができ、なかでもエタノールが好適である。酸化剤の溶媒としてエタノールが好適であるのは、蒸気圧が低いため蒸発しやすく、残存する量が少ないためであると考えられる。
(F−5)修復化成の化成液
修復化成の化成液としては、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム等のリン酸系の化成液、ホウ酸アンモニウム等のホウ酸系の化成液、アジピン酸アンモニウム等のアジピン酸系の化成液を用いることができるが、なかでも、リン酸二水素アンモニウムを用いることが望ましい。また、浸漬時間は、5〜120分が望ましい。
(F−6)他の重合性モノマー
本発明に用いられる重合性モノマーとしては、上記EDTの他に、EDT以外のチオフェン誘導体、アニリン、ピロール、フラン、アセチレンまたはそれらの誘導体であって、所定の酸化剤により酸化重合され、導電性ポリマーを形成するものであれば適用することができる。なお、チオフェン誘導体としては、図1に示す構造式のものを用いることができる。
(F−7)第6実施形態の作用・効果
本発明の構成で、耐電圧の向上とリフロー後のLC変動の抑制効果が得られる理由は、以下の通りと考えられる。
すなわち、修復化成後にコンデンサ素子をポリイミドシリコン溶液に浸漬することにより、酸化皮膜の表面に、PVAとポリイミドシリコンの2層からなる上記電子の飛び越えを防ぐ皮膜(以下、電子ブロック層という)が形成されると考えられる。
そして、この電子ブロック層により、耐圧が上昇し、酸化剤の箔へのアタックを防止することができ、初期のLCが低減される。また、タブコートも行え、リフローでのLCの上昇抑制効果が得られる。さらに、静電容量、ESRに影響をあまり与えにくく、この電子ブロック層の膜厚をコントロールすることにより、耐電圧もコントロールできると考えられる。また、現在用いられている箔のVFを下げることができることから、固体電解コンデンサの小型化、容量UP等に効果を発揮する。
(F−8)第6実施形態に関する実施例
続いて、以下のようにして製造した実施例及び従来例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例F1)
主体繊維にPET繊維を49wt%含み、PVAポリマーをバインダーとして用いたセパレータを用い、以下のようにして固体電解コンデンサを作成した。表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔と陰極箔に電極引き出し手段を接続し、両電極箔を上記のセパレータを介して巻回して、素子形状が7φ×5Lのコンデンサ素子を形成した。そして、このコンデンサ素子をリン酸二水素アンモニウム水溶液に40分間浸漬して、修復化成を行った。その後、このコンデンサ素子をポリイミドシリコンの2wt%シクロヘキサノン溶液に浸漬し、引き上げた後、170℃で1時間熱処理した。
続いて、所定の容器に、EDTとp−トルエンスルホン酸第二鉄の40wt%ブタノール溶液を、その重量比が1:3となるように注入して混合液を調製し、コンデンサ素子を上記混合液に10秒間浸漬してコンデンサ素子にEDTと酸化剤を含浸した。そして、このコンデンサ素子を120℃の恒温槽内に1時間放置して、コンデンサ素子内でPEDTの重合反応を発生させ、固体電解質層を形成した。その後、このコンデンサ素子を有底筒状のアルミニウムケースに収納し、封ロゴムで封止し、固体電解コンデンサを形成した。
(実施例F2)
コンデンサ素子をポリイミドシリコンの6wt%シクロヘキサノン溶液に浸漬し、引き上げた後、170℃で1時間熱処理した。その他は、実施例F1と同様の条件及び工程で固体電解コンデンサを作成した。
(実施例F3)
コンデンサ素子をポリイミドシリコンの10wt%シクロヘキサノン溶液に浸漬し、引き上げた後、170℃で1時間熱処理した。その他は、実施例F1と同様の条件及び工程で固体電解コンデンサを作成した。
(従来例F1)
コンデンサ素子をポリイミドシリコンのシクロヘキサノン溶液に浸漬することなく、実施例F1と同様の条件及び工程で固体電解コンデンサを作成した。
[比較結果]
上記の方法により得られた実施例F1〜F3及び従来例F1について、電気的特性を調べたところ、表8に示したような結果が得られた。なお、初期容量の減少率(△Cap)は、ブランク(従来例)に対する百分率で示した。
Figure 0004525840
表8から明らかなように、修復化成後にコンデンサ素子をポリイミドシリコン溶液に浸漬した実施例F1〜F3においては、いずれも従来例F1に比べて耐圧は向上し、リフロー後のLCは、大幅に低減された。

Claims (10)

  1. 陽極箔と陰極箔とをセパレータを介して巻回したコンデンサ素子に、重合性モノマーと酸化剤とを含浸して導電性ポリマーからなる固体電解質層を形成してなる固体電解コンデンサにおいて、
    前記セパレータにビニル基を有する化合物を含有させ、このセパレータを用いて巻回したコンデンサ素子を、ポリイミドシリコン溶液に浸漬して、酸化皮膜の表面にビニル基を有する化合物とポリイミドシリコンからなる皮膜を形成したことを特徴とする固体電解コンデンサ。
  2. 陽極箔と陰極箔とをセパレータを介して巻回したコンデンサ素子に、重合性モノマーと酸化剤とを含浸して導電性ポリマーからなる固体電解質層を形成してなる固体電解コンデンサにおいて、
    前記セパレータにビニル基を有する化合物を含有させ、このセパレータを用いて巻回したコンデンサ素子を、ポリイミドシリコン溶液に浸漬して、酸化皮膜の表面にビニル基を有する化合物とさらにその上に形成されたポリイミドシリコンの2層からなる皮膜を形成したことを特徴とする固体電解コンデンサ。
  3. 前記ビニル基を有する化合物が、ポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項1又は2に記載の固体電解コンデンサ。
  4. 前記重合性モノマーがチオフェン誘導体であることを特徴とする請求項1乃至第のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ。
  5. 前記チオフェン誘導体が、3,4−エチレンジオキシチオフェンであることを特徴とする請求項4に記載の固体電解コンデンサ。
  6. 陽極箔と陰極箔とをセパレータを介して巻回したコンデンサ素子に、重合性モノマーと酸化剤とを含浸して導電性ポリマーからなる固体電解質層を形成する固体電解コンデンサの製造方法において、
    前記セパレータにビニル基を有する化合物を含有させ、このセパレータを用いて巻回したコンデンサ素子を、ポリイミドシリコンの濃度が10wt%以下のポリイミドシリコン溶液に浸漬して、酸化皮膜の表面にビニル基を有する化合物とポリイミドシリコンからなる皮膜を形成し、その後に前記導電性ポリマーからなる固体電解質層を形成することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
  7. 陽極箔と陰極箔とをセパレータを介して巻回したコンデンサ素子に、重合性モノマーと酸化剤とを含浸して導電性ポリマーからなる固体電解質層を形成する固体電解コンデンサの製造方法において、
    前記セパレータにビニル基を有する化合物を含有させ、このセパレータを用いて巻回したコンデンサ素子を、ポリイミドシリコンの濃度が10wt%以下のポリイミドシリコン溶液に浸漬して、酸化皮膜の表面にビニル基を有する化合物とさらにその上に形成されたポリイミドシリコンの2層からなる皮膜を形成し、その後に前記導電性ポリマーからなる固体電解質層を形成することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
  8. 前記ビニル基を有する化合物が、ポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項6又は7に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  9. 前記重合性モノマーが、チオフェン誘導体であることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  10. 前記チオフェン誘導体が、3,4−エチレンジオキシチオフェンであることを特徴とする請求項9に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
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