JP4378908B2 - 固体電解コンデンサ及びその製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサ及びその製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体電解コンデンサ及びその製造方法に係り、特に、高耐電圧が要求される固体電解コンデンサの歩留まりを向上させることができる固体電解コンデンサ及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
タンタルあるいはアルミニウム等のような弁作用を有する金属を利用した電解コンデンサは、陽極側対向電極としての弁作用金属を焼結体あるいはエッチング箔等の形状にして誘電体を拡面化することにより、小型で大きな容量を得ることができることから、広く一般に用いられている。特に、電解質に固体電解質を用いた固体電解コンデンサは、小型、大容量、低等価直列抵抗であることに加えて、チップ化しやすく、表面実装に適している等の特質を備えていることから、電子機器の小型化、高機能化、低コスト化に欠かせないものとなっている。
【0003】
この種の固体電解コンデンサにおいて、小型、大容量用途としては、一般に、アルミニウム等の弁作用金属からなる陽極箔と陰極箔をセパレータを介在させて巻回してコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子に駆動用電解液を含浸し、アルミニウム等の金属製ケースや合成樹脂製のケースにコンデンサ素子を収納し、密閉した構造を有している。なお、陽極材料としては、アルミニウムを初めとしてタンタル、ニオブ、チタン等が使用され、陰極材料には、陽極材料と同種の金属が用いられる。
【0004】
また、固体電解コンデンサに用いられる固体電解質としては、二酸化マンガンや7、7、8、8−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体が知られているが、近年、反応速度が緩やかで、かつ陽極電極の酸化皮膜層との密着性に優れたポリエチレンジオキシチオフェン(以下、PEDTと記す)等の導電性ポリマーに着目した技術(特開平2−15611号公報)が存在している。
【0005】
このような巻回型のコンデンサ素子にPEDT等の導電性ポリマーからなる固体電解質層を形成するタイプの固体電解コンデンサは、以下のようにして作製される。まず、アルミニウム等の弁作用金属からなる陽極箔の表面を塩化物水溶液中での電気化学的なエッチング処理により粗面化して、多数のエッチングピットを形成した後、ホウ酸アンモニウム等の水溶液中で電圧を印加して誘電体となる酸化皮膜層を形成する(化成)。陽極箔と同様に、陰極箔もアルミニウム等の弁作用金属からなるが、その表面にはエッチング処理を施すのみである。
【0006】
このようにして表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔とエッチングピットのみが形成された陰極箔とを、セパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成する。続いて、修復化成を施したコンデンサ素子に、3,4−エチレンジオキシチオフェン(以下、EDTと記す)等の重合性モノマーと酸化剤溶液をそれぞれ吐出し、あるいは両者の混合液に浸漬して、コンデンサ素子内で重合反応を促進し、PEDT等の導電性ポリマーからなる固体電解質層を生成する。その後、このコンデンサ素子を有底筒状の外装ケースに収納して固体電解コンデンサを作成する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、上述したような固体電解コンデンサが車載用として用いられるようになってきている。通常、車載用回路の駆動電圧は12Vであり、固体電解コンデンサには25Vの高耐電圧が要求される。
しかしながら、上述したような従来の製造方法によりこのような高耐電圧品を製造した場合、エージング工程でショートが発生する割合が高く、歩留まりが低いという欠点があった。
【0008】
また、近年、環境問題から高融点の鉛フリー半田が用いられるようになり、半田リフロー温度が200〜220℃から230〜270℃へとさらに高温化している。このような高温下におかれる半田リフローを行う場合、耐電圧が低下する。
【0009】
また、これらの問題点を解決するために、陽極箔の化成電圧を向上させて固体電解コンデンサの耐電圧を向上させる試みがあるが、固体電解コンデンサの場合一定の化成電圧以上の陽極箔を用いても、固体電解コンデンサの耐電圧は上昇しないという問題点を有していた。
なお、このような問題点は、重合性モノマーとしてEDTを用いた場合に限らず、他のチオフェン誘導体、ピロール、アニリン等を用いた場合にも同様に生じていた。
【0010】
本発明は、上述したような従来技術の問題点を解決するために提案されたものであり、その第1の目的は、鉛フリーリフローによる耐電圧特性の劣化を防止することができ、高耐電圧品を製造する場合の歩留まりを向上させることができる固体電解コンデンサ及びその製造方法を提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、さらに静電容量及びESRを向上させることができる固体電解コンデンサ及びその製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決すべく、高耐電圧品を製造する場合に、エージング工程でショートが発生する割合が高くなる原因について種々検討を重ねた結果、以下の結論に達したものである。すなわち、通常、導電性ポリマーを形成した後のコンデンサ素子内には、導電性ポリマーの他に、重合反応に関与しなかったモノマーや酸化剤及びその他の反応残余物が存在している。そして、これらの導電性ポリマー以外の物質の耐電圧は導電性ポリマーの耐電圧より低いため、これらの物質が固体電解コンデンサの耐電圧を低下させていると考えられる。
【0012】
そこで、本発明者等は、これらの反応残余物を減少させることにより固体電解コンデンサの耐電圧を向上させると共に、鉛フリーリフローによる耐電圧特性の劣化を防止すべく検討を重ねた結果、重合性モノマーと酸化剤のモル比を適切に調整することによって、固体電解コンデンサの耐電圧を向上させることができることが判明したものである。
【0013】
また、本発明者等は、重合性モノマーと酸化剤のモル比を変えた場合に、陽極箔の耐電圧がどのように変化するかについて検討したところ、後述するような結果が得られ、この知見に基づいて、重合性モノマーと酸化剤のモル比を適切に調整することにより、陽極箔の耐電圧を向上させることができ、さらに静電容量及びESRの向上を図ることができることが判明したものである。
【0014】
(重合性モノマーと酸化剤のモル比)
重合反応時の重合性モノマーと酸化剤のモル比を種々変更して、固体電解コンデンサの耐電圧を向上させることができるか否かを調べたところ、重合性モノマーと酸化剤のモル比が、酸化剤を1とした場合に3:1以上、好ましくは4:1以上、さらに好ましくは6:1以上とすると耐電圧が上昇することが判明した。このように、重合性モノマーが多い状態で重合反応を進行させると、残余する酸化剤が減少するため、結果的に重合反応に関与しなかったモノマーや酸化剤及びその他の反応残余物を減少させることができるので、上記のような問題が改善され、耐電圧特性が向上するものと考えられる。
【0015】
なお、コンデンサ素子に重合性モノマーと酸化剤を含浸する方法としては、モノマーと酸化剤の混合溶液にコンデンサ素子を浸漬する方法、モノマー溶液にコンデンサ素子を浸漬した後、酸化剤溶液に浸漬する方法、コンデンサ素子にモノマー溶液を吐出した後、酸化剤溶液を吐出する方法等を用いることができる。
【0016】
(陽極箔の耐電圧についての検討)
次に、本発明者等は、固体電解コンデンサに電圧を印加し、印加電圧を上昇させた場合の電流の挙動を検討したところ、図1に示したような結果が得られた。なお、図1のA曲線は陽極箔の化成電圧が比較的高い場合であり、B曲線は陽極箔の化成電圧が低い場合である。
【0017】
まず、B曲線について説明する。すなわち、陽極箔の化成電圧が20Vfs以下と低い場合には、bの時点で一旦電流が流れ始め、ピークに達した後、電流が下降する。次いで、cの時点で大電流が流れてショートに至る。
この挙動は以下のように考察することができる。すなわち、固体電解コンデンサの印加電圧を上昇させた場合、導電性ポリマーは導電性を保持しているので、電圧は陽極箔に印加される。そして、印加電圧がbに至ると、陽極箔が絶縁破壊を起こしてショートする。そして、陽極箔がショートした時点で、その印加電圧が導電性ポリマーに印加され、導電性ポリマーに大電流が流れて導電性ポリマーが絶縁化し、電流が流れなくなる。さらに印加電圧を上昇させていくと、絶縁化した導電性ポリマーが絶縁破壊にいたってショートに至る。このことから、電圧bが陽極箔の耐電圧であり、電圧cが導電性ポリマーの耐電圧であることが分かる。
【0018】
一方、陽極箔の化成電圧が25〜30Vfs以上と比較的高い場合には、固体電解コンデンサに電圧を印加して、その印加電圧を上昇させていくと、B曲線のようなbから始まるピークは現れず、電圧cより高い電圧aの時点でショートに至る。
この挙動は以下のように考察することができる。すなわち、aの電圧までは陽極箔の化成電圧が高いので、導電性ポリマーは導電性を保持して、陽極箔に電圧が印加されていくが、aの電圧で陽極箔が絶縁破壊を起こしてショートに至る。その後大電流が流れて、導電性ポリマーはその電流によって絶縁化するが、前述したように絶縁化されたポリマーの耐電圧はcであって、aの電圧はこれより高いので、絶縁化すると同時に絶縁化されたポリマーの絶縁破壊が起こって、固体電解コンデンサはショートに至る。以上のことから、aの電圧が陽極箔の耐電圧であることが判明した。
【0019】
続いて、重合性モノマーと酸化剤のモル比を種々変えて固体電解コンデンサを形成し、それぞれの固体電解コンデンサに電圧を印加し、印加電圧を上昇させた場合の電流の挙動を検討したところ、図1のC曲線に示したような結果が得られた。すなわち、モノマー:酸化剤のモル比を大きくしていくと、陽極箔の耐電圧がaからa’へと上昇することが分かった。言い換えれば、陽極箔の化成電圧が同一であっても、モノマー:酸化剤のモル比が大きくなると陽極箔の耐電圧が大きくなることが分かった。その理由は、酸化剤のモノマーに対する割合が少ないほど、酸化剤の陽極酸化皮膜への影響が低減することによるものと考えられる。
【0020】
さらに、本発明者等は、モノマー:酸化剤のモル比を大きくした場合に、従来より低い化成電圧で酸化皮膜を形成した陽極箔を用いて、所望の耐電圧を有する固体電解コンデンサが得られるか否かについて検討したところ、良好な結果が得られた。このように陽極箔の化成電圧を低くすることができた結果、静電容量及びESRを大幅に向上させることができることが分かった。
なお、陽極箔の化成電圧は、定格電圧の1.5〜3.0倍、より好ましくは1.5〜2.5倍に低減することができることが分かった。
【0021】
さらに、陽極箔の公称化成電圧と耐電圧の関係を調べたところ、図2に示したような結果が得られた。すなわち、モノマー:酸化剤のモル比が3:1以下の従来型(図中、B曲線)では、陽極箔の公称化成電圧を上げても耐電圧は上昇せず、25WVを超える高圧品を実現することは困難であった。これに対して、モノマー:酸化剤のモル比を3:1以上とした本発明品(図中、A曲線)においては、陽極箔の公称化成電圧を上げることによって耐電圧が上昇しており、高圧品を実現できることが分かった。
ここで、固体電解コンデンサの定格電圧に対して一定の陽極箔の耐電圧が必要であるが、図2から分かるように、本発明においては、所定の耐電圧を得るに必要な公称化成電圧を低減することができる。具体的には従来の0.5〜0.7倍に低減することができる。
【0022】
(固体電解コンデンサの製造方法)
本発明に係る固体電解コンデンサの製造方法は以下の通りである。すなわち、表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔と陰極箔をセパレータを介して巻回して、コンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子に修復化成を施す。続いて、このコンデンサ素子を、重合性モノマーと酸化剤のモル比が酸化剤を1とした場合に3:1以上となるように、重合性モノマーと酸化剤とを所定の溶媒と共に混合して調製した混合液に浸漬し、コンデンサ素子内で導電性ポリマーの重合反応を発生させ、固体電解質層を形成する。そして、このコンデンサ素子を外装ケースに挿入し、開口端部に封口ゴムを装着して、加締め加工によって封止した後、エージングを行い、固体電解コンデンサを形成する。
なお、定格電圧の1.5〜3.0倍、より好ましくは1.5〜2.5倍の化成電圧で酸化皮膜を形成した陽極箔を用いると、より効果的である。
【0023】
(EDT及び酸化剤)
重合性モノマーとしてEDTを用いた場合、コンデンサ素子に含浸するEDTとしては、EDTモノマーを用いることができるが、EDTと揮発性溶媒とを1:0〜1:3の体積比で混合したモノマー溶液を用いることもできる。
前記揮発性溶媒としては、ペンタン等の炭化水素類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ギ酸エチル等のエステル類、アセトン等のケトン類、メタノール等のアルコール類、アセトニトリル等の窒素化合物等を用いることができるが、なかでも、メタノール、エタノール、アセトン等が好ましい。
【0024】
また、酸化剤としては、エタノールに溶解したパラトルエンスルホン酸第二鉄、過ヨウ素酸もしくはヨウ素酸の水溶液を用いることができ、酸化剤の溶媒に対する濃度は40〜57wt%が好ましく、45〜57wt%がより好ましい。酸化剤の溶媒に対する濃度が高い程、ESRは低減する。なお、酸化剤の溶媒としては、上記モノマー溶液に用いた揮発性溶媒を用いることができ、なかでもエタノールが好適である。酸化剤の溶媒としてエタノールが好適であるのは、蒸気圧が低いため蒸発しやすく、残存する量が少ないためであると考えられる。
【0025】
(減圧)
重合工程で減圧すると、さらに好適である。その理由は、加熱重合時に減圧すると、重合と共に残存物を蒸散させることができるからである。なお、減圧の程度は、10〜360mmHg程度の減圧状態とすることが望ましい。
【0026】
(浸漬工程)
コンデンサ素子を混合液に浸漬する時間は、コンデンサ素子の大きさによって決まるが、φ5×3L程度のコンデンサ素子では5秒以上、φ9×5L程度のコンデンサ素子では10秒以上が望ましく、最低でも5秒間は浸漬することが必要である。なお、長時間浸漬しても特性上の弊害はない。
また、このように浸漬した後、減圧状態で保持すると好適である。その理由は、揮発性溶媒の残留量が少なくなるためであると考えられる。減圧の条件は上述した重合工程での減圧条件と同様である。
【0027】
(修復化成の化成液)
修復化成の化成液としては、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム等のリン酸系の化成液、ホウ酸アンモニウム等のホウ酸系の化成液、アジピン酸アンモニウム等のアジピン酸系の化成液を用いることができるが、なかでも、リン酸二水素アンモニウムを用いることが望ましい。また、浸漬時間は、5〜120分が望ましい。
【0028】
(他の重合性モノマー)
本発明に用いられる重合性モノマーとしては、上記EDTの他に、EDT以外のチオフェン誘導体、アニリン、ピロール、フラン、アセチレンまたはそれらの誘導体であって、所定の酸化剤により酸化重合され、導電性ポリマーを形成するものであれば適用することができる。なお、チオフェン誘導体としては、下記の構造式のものを用いることができる。
【化1】
Figure 0004378908
【0029】
(作用・効果)
上記のように、コンデンサ素子に含浸する重合性モノマーと酸化剤を、重合性モノマーと酸化剤のモル比が酸化剤を1とした場合に3:1以上となるように混合することにより、鉛フリーリフローによる耐電圧特性の劣化を防止することができると共に、エージング工程でショートが発生する割合を大幅に低減することができる。
【0030】
このように、エージング工程でショートが発生する割合を大幅に低減することができる理由は、重合性モノマーが多い状態で重合反応を進行させると、残余する酸化剤が減少するため、結果的に重合反応に関与しなかったモノマーや酸化剤及びその他の反応残余物を減少させることができるためと考えられる。
また、鉛フリーリフローによる耐電圧特性の劣化を防止することができる理由は、残余する酸化剤が減少するため、結果として電解質層の耐熱性が向上するためと考えられる。
【0031】
また、酸化剤のモノマーに対する割合が少ないため、酸化剤の陽極酸化皮膜への影響が低減することによるものと思われるが、モノマー:酸化剤のモル比を大きくしていくと、陽極箔の耐電圧を向上させることができる。
さらに、モノマー:酸化剤のモル比を大きくした場合には、従来の化成電圧より低い化成電圧で酸化皮膜を形成した陽極箔を用いても、所望の耐電圧を有する固体電解コンデンサを得ることができるので、静電容量及びESRを大幅に向上させることができる。
【0032】
以上のように本発明においては、陽極箔の耐電圧を向上させることができるので、エージング工程でのショートの発生を低減でき、鉛フリーリフローによる耐電圧特性の劣化を防止することができる。
さらに、これまでにない高耐電圧特性を有する固体電解コンデンサを実現することができ、また、従来より低い化成電圧で酸化皮膜を形成した陽極箔を用いることができるので、静電容量、ESRを向上させることができる。
【0033】
【実施例】
続いて、以下のようにして製造した実施例及び比較例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。
(A)重合性モノマーと酸化剤のモル比について
(実施例1)
表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔と陰極箔に電極引き出し手段を接続し、両電極箔をセパレータを介して巻回して、素子形状が5φ×2.8Lのコンデンサ素子を形成した。そして、このコンデンサ素子をリン酸二水素アンモニウム水溶液に40分間浸漬して、修復化成を行った。
一方、所定の容器に、EDTと45%のパラトルエンスルホン酸第二鉄のエタノール溶液を、モノマーと酸化剤のモル比が3.5:1となるように混合し、コンデンサ素子を上記混合液に10秒間浸漬し、250mmHg程度の減圧状態で保持し、次いで同じ条件下で120℃、60分加熱して、コンデンサ素子内でPEDTの重合反応を発生させ、固体電解質層を形成した。
そして、このコンデンサ素子を有底筒状の外装ケースに挿入し、開口端部に封口ゴムを装着して、加締め加工によって封止した。その後に、150℃、120分、33Vの電圧印加によってエージングを行い、固体電解コンデンサを形成した。なお、この固体電解コンデンサの定格電圧は25WV、定格容量は15μFである。
【0034】
(実施例2)
モノマーと酸化剤のモル比が4.5:1となるように混合し、この混合液の中にコンデンサ素子を浸漬した。その他の条件及び工程は、実施例1と同様である。
(実施例3)
モノマーと酸化剤のモル比が6.0:1となるように混合し、この混合液の中にコンデンサ素子を浸漬した。その他の条件及び工程は、実施例1と同様である。
(実施例4)
モノマーと酸化剤のモル比が9.0:1となるように混合し、この混合液の中にコンデンサ素子を浸漬した。その他の条件及び工程は、実施例1と同様である。
(比較例1)
モノマーと酸化剤のモル比が3.0:1となるように混合し、この混合液の中にコンデンサ素子を浸漬した。その他の条件及び工程は、実施例1と同様である。
【0035】
[比較結果]
上記の方法により得られた実施例1〜4及び比較例1の固体電解コンデンサ各50個のそれぞれについて、エージング時のショートの数を調べたところ、表1に示したような結果が得られた。また、ショートの発生しなかった良品について、ピーク温度250℃、230℃以上30秒保持の鉛フリーリフローを行った後、18.4Vの充放電を125℃の下で1000回行うサージ試験を行い、その時の漏れ電流を測定したところ、表1に示したような結果が得られた。
【表1】
Figure 0004378908
【0036】
表1から明らかなように、モノマーと酸化剤のモル比が3.0:1である比較例1においては、ショート数は6/50と高かったのに対し、モノマーと酸化剤のモル比が3.5:1である実施例1においては、ショート数は2/50と大幅に低減した。また、モノマーと酸化剤のモル比が4.5:1〜9.0:1である実施例2〜4においては、50個すべてにおいてショートは発生しなかった。
【0037】
また、モノマーと酸化剤のモル比がそれぞれ6.0:1、9.0:1である実施例3、4においては、サージ試験後の漏れ電流特性が良好であり、鉛フリーリフロー後の耐電圧特性がさらに良好であることが分かった。
なお、実施例3において、酸化剤濃度を40wt%、45wt%、52wt%としたところ、ESRはそれぞれ55、40、30mΩであった。このことから、酸化剤濃度は、52wt%の方が40wt%より良好な結果が得られることが分かった。
【0038】
(B)陽極箔の耐電圧について
(実施例5)
公称化成電圧95Vfsで表面に酸化皮膜層を形成した陽極箔と陰極箔に電極引き出し手段を接続し、両電極箔をセパレータを介して巻回して、素子形状が5φ×2.8Lのコンデンサ素子を形成した。そして、このコンデンサ素子をリン酸二水素アンモニウム水溶液に40分間浸漬して、修復化成を行った。
一方、所定の容器に、EDTと45%のパラトルエンスルホン酸第二鉄のエタノール溶液を、モノマーと酸化剤のモル比が3.0:1となるように混合し、コンデンサ素子を上記混合液に10秒間浸漬し、250mmHg程度の減圧状態で保持し、次いで同じ条件下で120℃、60分加熱して、コンデンサ素子内でPEDTの重合反応を発生させ、固体電解質層を形成した。
そして、このコンデンサ素子を有底筒状の外装ケースに挿入し、開口端部に封口ゴムを装着して、加締め加工によって封止した。その後に、150℃、120分、33Vの電圧印加によってエージングを行い、固体電解コンデンサを形成した。なお、この固体電解コンデンサの定格電圧は25WV、定格容量は15μFである。
【0039】
(実施例6)
モノマーと酸化剤のモル比が3.5:1となるように混合し、この混合液の中にコンデンサ素子を浸漬した。その他の条件及び工程は、実施例5と同様である。
(実施例7)
モノマーと酸化剤のモル比が4.5:1となるように混合し、この混合液の中にコンデンサ素子を浸漬した。その他の条件及び工程は、実施例5と同様である。
【0040】
(実施例8)
モノマーと酸化剤のモル比が6.0:1となるように混合し、この混合液の中にコンデンサ素子を浸漬した。その他の条件及び工程は、実施例5と同様である。
(実施例9)
モノマーと酸化剤のモル比が9.0:1となるように混合し、この混合液の中にコンデンサ素子を浸漬した。その他の条件及び工程は、実施例5と同様である。
(実施例10)
公称化成電圧60Vfsで表面に酸化皮膜層を形成した陽極箔を用い、モノマーと酸化剤のモル比が6.0:1となるように混合し、この混合液の中にコンデンサ素子を浸漬した。その他の条件及び工程は、実施例5と同様である。
【0041】
(比較例2)
モノマーと酸化剤のモル比が2.5:1となるように混合し、この混合液の中にコンデンサ素子を浸漬した。その他の条件及び工程は、実施例5と同様である。
【0042】
[比較結果]
上記の方法により得られた実施例5〜10及び比較例2の固体電解コンデンサ各50個のそれぞれについて、陽極箔の耐電圧、静電容量、ESR、エージング工程でのショート発生数、サージ試験後の漏れ電流を調べたところ、表2に示したような結果が得られた。なお、サージ試験後の漏れ電流は、ピーク温度250℃、230℃以上30秒保持の鉛フリーリフローを行った後、18.4Vの充放電を125℃の下で1000回行うサージ試験を行い、その時の漏れ電流を測定した。
【表2】
Figure 0004378908
【0043】
表2から明らかなように、モノマー:酸化剤のモル比が3.0:1〜9.0:1の実施例5〜9においては、公称化成電圧が95Vfsと同じであるにもかかわらず、酸化剤に対するモノマーのモル比が大きくなるほど、陽極箔の耐電圧は41Vから54Vと上昇しており、エージング時のショートの発生数は低減し、サージ試験後の漏れ電流も大幅に低減した。
【0044】
また、実施例10は、モノマー:酸化剤のモル比は実施例8と同一であるが、公称化成電圧が60Vfsと低い陽極箔を用いたものであるが、陽極箔の耐電圧は46Vであり、エージング時にショートは発生せず、サージ試験後の漏れ電流も実施例8とほぼ同等であった。一方、静電容量は、実施例8の約1.9倍に増大し、ESRは、実施例8の約82%に低減した。
【0045】
このように実施例5〜9から、本発明に係る固体電解コンデンサにおいては、公称化成電圧に対する陽極箔の耐電圧が上昇していることが示された。また、実施例10のように公称化成電圧の低い陽極箔を用いることができるので、静電容量の向上、ESRの低減を図ることができる。
【0046】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、鉛フリーリフローによる耐電圧特性の劣化を防止することができ、高耐電圧品を製造する場合の歩留まりを向上させることができる固体電解コンデンサ及びその製造方法を提供することができる。また、上記の効果に加えて、さらに静電容量及びESRを向上させることができる固体電解コンデンサ及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】固体電解コンデンサへの印加電圧と電流の関係を示す図(V−I曲線)
【図2】公称化成電圧と耐電圧の関係を示す図

Claims (4)

  1. 陽極箔と陰極箔とセパレータとを有するコンデンサ素子に、重合性モノマーと酸化剤とを含浸して導電性ポリマーからなる固体電解質層を形成してなる固体電解コンデンサにおいて、
    前記陽極箔の化成電圧が25Vfs以上であり、
    含浸する重合性モノマーと酸化剤のモル比が、酸化剤を1とした場合に4.5:1以上であることを特徴とする固体電解コンデンサ。
  2. 前記陽極箔の化成電圧を、定格電圧の1.5〜3.0倍としたことを特徴とする請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
  3. 前記陽極箔の化成電圧が、60〜95Vfsであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の固体電解コンデンサ。
  4. 陽極箔と陰極箔とセパレータとを有するコンデンサ素子に、重合性モノマーと酸化剤とを含浸して導電性ポリマーからなる固体電解質層を形成する固体電解コンデンサの製造方法において、
    前記陽極箔の化成電圧が25Vfs以上であり、
    含浸する重合性モノマーと酸化剤のモル比を、酸化剤を1とした場合に4.5:1以上とすることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
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