JP2004128092A - 固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐電圧特性を大幅に向上させると共に、高融点の鉛フリー半田に対応可能な固体電解コンデンサの製造方法を提供する。
【解決手段】弁金属からなる陰極箔と、表面に酸化皮膜を形成した弁金属からなる陽極箔を備えたコンデンサ素子を形成し、重合性モノマーと酸化剤とを含浸して導電性ポリマーからなる固体電解質層を形成する固体電解コンデンサの製造方法において、前記コンデンサ素子に、グリセリン又はスルホランを5wt%以下添加した重合性モノマー及び酸化剤を含浸するための溶液を含浸し、20〜160℃の範囲内であって、少なくとも100〜160℃の範囲の熱処理を行うことにより、コンデンサ素子内に導電性ポリマーを形成する。
【解決手段】弁金属からなる陰極箔と、表面に酸化皮膜を形成した弁金属からなる陽極箔を備えたコンデンサ素子を形成し、重合性モノマーと酸化剤とを含浸して導電性ポリマーからなる固体電解質層を形成する固体電解コンデンサの製造方法において、前記コンデンサ素子に、グリセリン又はスルホランを5wt%以下添加した重合性モノマー及び酸化剤を含浸するための溶液を含浸し、20〜160℃の範囲内であって、少なくとも100〜160℃の範囲の熱処理を行うことにより、コンデンサ素子内に導電性ポリマーを形成する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体電解コンデンサの製造方法に係り、特に、耐電圧特性を大幅に向上させることができる固体電解コンデンサの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
タンタルあるいはアルミニウム等のような弁作用を有する金属を利用した電解コンデンサは、陽極側対向電極としての弁作用金属を焼結体あるいはエッチング箔等の形状にして誘電体を拡面化することにより、小型で大きな容量を得ることができることから、広く一般に用いられている。特に、電解質に固体電解質を用いた固体電解コンデンサは、小型、大容量、低等価直列抵抗であることに加えて、チップ化しやすく、表面実装に適している等の特質を備えていることから、電子機器の小型化、高機能化、低コスト化に欠かせないものとなっている。
【0003】
この種の固体電解コンデンサにおいて、小型、大容量用途としては、一般に、アルミニウム等の弁作用金属からなる陽極箔と陰極箔をセパレータを介在させて巻回してコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子に駆動用電解液を含浸し、アルミニウム等の金属製ケースや合成樹脂製のケースにコンデンサ素子を収納し、密閉した構造を有している。なお、陽極材料としては、アルミニウムを初めとしてタンタル、ニオブ、チタン等が使用され、陰極材料には、陽極材料と同種の金属が用いられる。
【0004】
また、固体電解コンデンサに用いられる固体電解質としては、二酸化マンガンや7、7、8、8−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体が知られているが、近年、反応速度が緩やかで、かつ陽極電極の酸化皮膜層との密着性に優れたポリエチレンジオキシチオフェン(以下、PEDTと記す)等の導電性ポリマーに着目した技術(特許文献1参照)が存在している。
【0005】
このような巻回型のコンデンサ素子にPEDT等の導電性ポリマーからなる固体電解質層を形成するタイプの固体電解コンデンサは、以下のようにして作製される。まず、アルミニウム等の弁作用金属からなる陽極箔の表面を塩化物水溶液中での電気化学的なエッチング処理により粗面化して、多数のエッチングピットを形成した後、ホウ酸アンモニウム等の水溶液中で電圧を印加して誘電体となる酸化皮膜層を形成する(化成)。陽極箔と同様に、陰極箔もアルミニウム等の弁作用金属からなるが、その表面にはエッチング処理を施すのみである。
【0006】
このようにして表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔とエッチングピットのみが形成された陰極箔とを、セパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成する。続いて、修復化成を施したコンデンサ素子に、3,4−エチレンジオキシチオフェン(以下、EDTと記す)等の重合性モノマーと酸化剤溶液をそれぞれ吐出し、あるいは両者の混合液に浸漬して、コンデンサ素子内で重合反応を促進し、PEDT等の導電性ポリマーからなる固体電解質層を生成する。その後、このコンデンサ素子を有底筒状の外装ケースに収納して固体電解コンデンサを作成する。
【0007】
【特許文献1】
特開平2−15611号公報
【特許文献2】
特開平10−340831号公報
【特許文献3】
特開2000−58389号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、上述したような固体電解コンデンサが車載用として用いられるようになってきている。通常、車載用回路の駆動電圧は12Vであり、固体電解コンデンサには25Vの高耐電圧が要求される。
しかしながら、上述したような従来の製造方法によりこのような高耐電圧品を製造した場合、エージング工程でショートが発生する割合が高く、歩留まりが低いという欠点があった。
【0009】
また、導電性ポリマーを固体電解質として用いる場合、重合反応後に残存するモノマーや溶媒を除去するために、通常は、高温で重合反応を行ったり、重合後に熱処理を行っていた(特許文献2、特許文献3参照)。特に、高温下におかれる半田リフローを行う場合、これらの残存物が蒸発することによって電気特性の低下や開弁が起こるため、高温での重合や重合後の熱処理は重要である。しかしながら、25V級の高耐電圧品の開発を行うなかで、上記の熱処理温度が高すぎると耐電圧が低下することが判明した。
【0010】
また、近年環境問題から高融点の鉛フリー半田が用いられるようになり、半田リフロー温度が200〜220℃から230〜270℃へと更に高温化している。このように高温でのリフローを行うと、電解質層の熱劣化又は結晶化によるものと思われるが、耐電圧が低下するという問題点があった。
【0011】
これに対応するために、陽極箔の化成電圧を向上させて固体電解コンデンサの耐電圧を向上させる試みがあるが、固体電解コンデンサの場合、一定の化成電圧以上の陽極箔を用いても、固体電解コンデンサの耐電圧は上昇しないという問題点があった。
なお、このような問題点は、重合性モノマーとしてEDTを用いた場合に限らず、他のチオフェン誘導体、ピロール、アニリン等を用いた場合にも同様に生じていた。
【0012】
本発明は、上述したような従来技術の問題点を解決するために提案されたものであり、その目的は、固体電解コンデンサの耐電圧特性を大幅に向上させると共に、高融点の鉛フリー半田に対応可能な固体電解コンデンサの製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決すべく、固体電解コンデンサの耐電圧特性を大幅に向上させ、高融点の鉛フリー半田に対応可能な固体電解コンデンサを得るべく鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至ったものである。
【0014】
(固体電解コンデンサの製造方法)
エッチング処理を施した弁金属箔を化成液中で電圧印加して金属箔表面に誘電体酸化皮膜を形成し、この箔を所定の大きさに切断して陽極箔として用いる。また、陰極箔にはエッチング箔を用いるが、化成による酸化皮膜を形成していないものや、化成液中で電圧印加して数Vの誘電体酸化皮膜を形成したものを用いる。このように形成した陽極箔と陰極箔にそれぞれ外部接続用の端子を接続し、セパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成した後、コンデンサ素子を化成液に浸漬して電圧印加して修復化成を行う。その後、コンデンサ素子を乾燥させる。なお、陽極箔と陰極箔をセパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成しているが、陽極箔及び陰極箔を積層しても良い。
【0015】
これらのコンデンサ素子に、グリセリン又はスルホランを5wt%以下添加した重合性モノマー及び酸化剤を含浸するための溶液を含浸し、コンデンサ素子内で導電性ポリマーの重合反応を発生させ、固体電解質層を形成する。この場合、20〜160℃の範囲内であって、少なくとも100〜160℃の範囲の熱処理を行う。詳しくは、20〜90℃で1回目の熱処理を行い、続いて、100〜160℃で2回目の熱処理を行う。そして、このコンデンサ素子を外装ケースに挿入し、開口端部に封口ゴムを装着して、加締め加工によって封止した後、エージングを行い、固体電解コンデンサを形成する。
【0016】
(グリセリンまたはスルホランの添加について)
コンデンサ素子に重合性モノマー及び酸化剤を含浸するための溶液として、重合性モノマー溶液及び酸化剤溶液と、それらの混合溶液があり、グリセリン又はスルホランの添加量は、これらコンデンサ素子に含浸する溶液の5wt%以下が望ましい。重合性モノマー溶液及び酸化剤溶液の場合は、各溶液にグリセリン又はスルホランを5wt%以下添加しても良いし、一方の溶液のみに添加しても良く、該両溶液全体の5wt%以下であれば良い。
【0017】
グリセリン又はスルホランの添加量が、酸化剤溶液及び重合性モノマー溶液において、又は混合溶液において、5wt%を超えると、コンデンサ素子に含浸した上記溶液の一部が吹き出してしまい、導電性ポリマーがコンデンサ素子より吹き出して形成され、その結果、外装ケースへの収納不良が生じてしまうためである。
【0018】
なお、グリセリンとスルホランの両方を添加しても良い。この場合もグリセリンとスルホランが溶液全体の5wt%以下であることが望ましい。なお、スルホランを用いると、高温安定性及び含浸時の素子への浸透性が良いことからより好ましい。
【0019】
(熱処理温度)
酸化剤溶液及びモノマー溶液を含浸したコンデンサ素子に、20〜160℃の範囲内であって、少なくとも100〜160℃の範囲の熱処理を行う。この熱処理の温度及び時間は、上記溶媒の種類、工程時間等により任意だが、必要に応じて異なる温度に設定しても良く、また、順次高温となるように設定しても良い。この場合、順次段階的に温度を上げることになるが、暫時温度を上げても良い。
【0020】
そして、低温度にて熱処理を開始することがコンデンサ素子中の重合反応を良好に進めるため、20〜90℃、30分の1回目の熱処理を行い、続いて、100〜160℃、好ましくは100〜120℃、60分の2回目の熱処理を行い、コンデンサ素子内で導電性ポリマーの重合反応を発生させ、固体電解質層を形成する。熱処理時間は10分から3時間がよく、好ましくは30分から120分がよい。2回目の熱処理温度を100〜120℃とすることで、耐電圧を41Vまで高めることができ、定格電圧35WVの製品を製造することが可能となる。
【0021】
なお、2回目以降の熱処理温度が160℃を超えた場合には、耐電圧への寄与はほとんど見られない。また、2回目以降の熱処理温度が100℃を下回ると、重合反応が不十分となり、静電容量が大幅に減り、またESR特性も悪くなる。
【0022】
(EDT及び酸化剤)
重合性モノマーとしてEDTを用いた場合、コンデンサ素子に含浸するEDTとしては、EDTモノマーを用いることができるが、EDTと揮発性溶媒とを1:0〜1:3の体積比で混合したモノマー溶液を用いることもできる。
前記揮発性溶媒としては、ペンタン等の炭化水素類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ギ酸エチル等のエステル類、アセトン等のケトン類、メタノール等のアルコール類、アセトニトリル等の窒素化合物等を用いることができるが、なかでも、メタノール、エタノール、アセトン等が好ましい。
【0023】
また、酸化剤としては、エタノールに溶解したパラトルエンスルホン酸第二鉄、過ヨウ素酸もしくはヨウ素酸の水溶液を用いることができ、酸化剤の溶媒に対する濃度は40〜57wt%が好ましく、45〜57wt%がより好ましい。酸化剤の溶媒に対する濃度が高い程、ESRは低減する。なお、酸化剤の溶媒としては、上記モノマー溶液に用いた揮発性溶媒を用いることができ、なかでもエタノールが好適である。酸化剤の溶媒としてエタノールが好適であるのは、蒸気圧が低いため蒸発しやすく、残存する量が少ないためであると考えられる。
【0024】
(含浸方法)
酸化剤溶液及び重合性モノマーの含浸方法としては、(1)コンデンサ素子をモノマー溶液に浸漬→引き上げて溶媒を蒸発→酸化剤溶液に浸漬→酸化剤溶液の溶媒を蒸発させると共に重合させる方法、(2)コンデンサ素子にモノマー溶液を吐出→溶媒を蒸発一酸化剤溶液を吐出→酸化剤溶液の溶媒を蒸発させると共に重合させる方法、(3)コンデンサ素子をモノマー又はモノマー溶液と酸化剤溶液とを混合した溶液に浸漬→引き上げる→溶媒を蒸発させると共に重合させる方法のいずれを用いても良い。
【0025】
(修復化成の化成液)
修復化成の化成液としては、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム等のリン酸系の化成液、ホウ酸アンモニウム等のホウ酸系の化成液、アジピン酸アンモニウム等のアジピン酸系の化成液を用いることができるが、なかでも、リン酸二水素アンモニウムを用いることが望ましい。また、浸漬時間は、5〜120分が望ましい。
【0026】
(他の重合性モノマー)
本発明に用いられる重合性モノマーとしては、上記EDTの他に、EDT以外のチオフェン誘導体、アニリン、ピロール、フラン、アセチレンまたはそれらの誘導体であって、所定の酸化剤により酸化重合され、導電性ポリマーを形成するものであれば適用することができる。なお、チオフェン誘導体としては、下記の構造式のものを用いることができる。
【化1】
【0027】
(作用・効果)
本発明によれば、予め、導電性ポリマーを形成するためにコンデンサ素子に含浸する重合性モノマー及び/又は酸化剤に、所定量のグリセリン又はスルホランを添加することで、重合時の熱処理により溶媒を蒸発させて、グリセリン又はスルホランをコンデンサ素子内に分散して容易に残存させることができる。その結果、電圧が印加された際に、このグリセリン又はスルホランを介して、陽極箔の誘電体酸化皮膜が修復され、固体電解コンデンサの耐電圧が向上すると考えられる。
【0028】
さらに、コンデンサ素子への熱処理を20〜160℃の範囲内であって、少なくとも100〜160℃の範囲の熱処理を行うことにより、さらに耐電圧が向上する。これは、少なくとも100〜160℃の温度範囲で熱処理を行うことで、グリセリン又はスルホランをコンデンサ素子内へ効率良く分散させることができると共に、重合反応時にこのグリセリン又はスルホランが介在されていることで、良質な固体電解質層が形成されるため、耐電圧が大幅に向上すると考えられる。
【0029】
【実施例】
続いて、以下のようにして製造した実施例及び従来例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。
【0030】
(実施例1)
表面に酸化皮膜が形成された陽極箔と陰極箔に外部接続用の端子を接続し、両極箔をセパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成する。この素子をリン酸二水素アンモニウム水溶液に浸漬して、修復化成を行う。
所定の容器に、酸化剤としてパラトルエンスルホン酸第二鉄を45wt%溶解したエタノール溶液にグリセリンを2%添加し、コンデンサ素子を上記溶液に10秒間浸漬し、その後EDTを溶解したエタノール溶液にコンデンサ素子を10秒間浸漬する。次いで、60℃、1時間の熱処理(1回目の熱処理)、100℃、1時間の熱処理(2回目の熱処理)を施し、コンデンサ素子内でPEDTの重合反応を発生させ、固体電解質層を形成した。このコンデンサ素子を有底筒状の外装ケースに挿入し、開口端部に封ロゴムを装着して、加締め加工によって封止した。その後、150℃、120分、33Vの電圧印加によってエージングを行い、固体電解コンデンサを形成した。
【0031】
(実施例2)
2回目の熱処理温度を120℃とした。その他の条件及び工程等は、実施例1と同様である。
(実施例3)
2回目の熱処理温度を150℃とした。その他の条件及び工程等は、実施例1と同様である。
(実施例4)
グリセリンの代わりに、スルホランを2%添加した。その他の条件及び工程等は、実施例1と同様である。
【0032】
(従来例1)
グリセリンを2wt%添加し、2回目の熱処理温度を170℃とした。その他の条件及び工程は実施例1と同様である。
(従来例2)
グリセリン又はスルホランを添加せず、また2回目の熱処理温度を150℃とした。その他の条件及び工程は実施例1と同様である。
【0033】
[比較結果1]
ピーク温度250℃、230℃以上30秒保持の鉛フリーリフローを行った後、電圧を段階的に印加し、1000サイクルの充放電を行うサージ試験を行い、ショート発生電圧を測定したところ、表1に示したような結果が得られた。
【表1】
【0034】
表1から明らかなように、グリセリンを2%添加した実施例1とスルホランを2%添加した実施例4は共に、2回目の熱処理温度が100℃であるが、ショート発生電圧は、スルホランを添加した実施例4の方が良好であった。また、グリセリンを2%添加し、2回目の熱処理温度を100〜150℃に変えた実施例1〜実施例3を比較すると、2回目の熱処理温度が100〜120℃の方がより良好な結果が得られた。
【0035】
これに対して、グリセリンもスルホランも添加しない従来例2と、グリセリンを添加したものの2回目の熱処理温度が170℃と高温である従来例1では、ショート発生電圧は26Vと低かった。
【0036】
[比較結果2]
次に、酸化剤溶液にグリセリンを2%添加して作成した固体電解コンデンサについて、2回目の熱処理温度を90〜170℃の範囲で変化させた場合のショート発生電圧について調べたところ、図1のような結果が得られた。
図1から明らかなように、2回目以降の熱処理温度が160℃を超えた場合には、耐電圧への寄与はほとんど見られない。また、2回目以降の熱処理温度が100℃を下回っても、耐電圧には一定の効果が見られてはいるものの、重合反応が不十分となり、静電容量が大幅に減り、また、ESR特性も悪い結果となっている。
【0037】
[比較結果3]
2回目の熱処理温度を150℃とした実施例3と従来例2について、0.5kgの力でリード線を内側に折り曲げた際のLCを測定したところ、表2に示したような結果が得られた。なお、LCの測定は、初期、折り曲げ直後、折り曲げ2分後の順に行った。
【表2】
【0038】
表2から明らかなように、2回目の熱処理温度を150℃とした場合には、従来例2と比較して実施例3では、折り曲げ2分後のLCは、従来例の約60%(5.8μA→3.5μA)にまで低減された。この効果は、2回目の熱処理温度(重合温度)を140℃〜160℃で実施することで得られた。
【0039】
以上のように、2回目の熱処理温度を100〜160℃の間とすることにより、鉛フリーリフローを行っても耐電圧特性が大幅に改善され、車載用や、リード線の加工を伴う表面実装可能なチップ品等に使用可能な固体電解コンデンサを提供することができることが分かった。
【0040】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、重合性モノマー及び酸化剤を含浸するための溶液にグリセリン又はスルホランを添加して熱処理を行うことにより、固体電解コンデンサの耐電圧特性を大幅に向上させると共に、高融点の鉛フリー半田に対応可能な固体電解コンデンサの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】2回目の熱処理温度(重合温度)とショート発生電圧の関係を示す図
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体電解コンデンサの製造方法に係り、特に、耐電圧特性を大幅に向上させることができる固体電解コンデンサの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
タンタルあるいはアルミニウム等のような弁作用を有する金属を利用した電解コンデンサは、陽極側対向電極としての弁作用金属を焼結体あるいはエッチング箔等の形状にして誘電体を拡面化することにより、小型で大きな容量を得ることができることから、広く一般に用いられている。特に、電解質に固体電解質を用いた固体電解コンデンサは、小型、大容量、低等価直列抵抗であることに加えて、チップ化しやすく、表面実装に適している等の特質を備えていることから、電子機器の小型化、高機能化、低コスト化に欠かせないものとなっている。
【0003】
この種の固体電解コンデンサにおいて、小型、大容量用途としては、一般に、アルミニウム等の弁作用金属からなる陽極箔と陰極箔をセパレータを介在させて巻回してコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子に駆動用電解液を含浸し、アルミニウム等の金属製ケースや合成樹脂製のケースにコンデンサ素子を収納し、密閉した構造を有している。なお、陽極材料としては、アルミニウムを初めとしてタンタル、ニオブ、チタン等が使用され、陰極材料には、陽極材料と同種の金属が用いられる。
【0004】
また、固体電解コンデンサに用いられる固体電解質としては、二酸化マンガンや7、7、8、8−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体が知られているが、近年、反応速度が緩やかで、かつ陽極電極の酸化皮膜層との密着性に優れたポリエチレンジオキシチオフェン(以下、PEDTと記す)等の導電性ポリマーに着目した技術(特許文献1参照)が存在している。
【0005】
このような巻回型のコンデンサ素子にPEDT等の導電性ポリマーからなる固体電解質層を形成するタイプの固体電解コンデンサは、以下のようにして作製される。まず、アルミニウム等の弁作用金属からなる陽極箔の表面を塩化物水溶液中での電気化学的なエッチング処理により粗面化して、多数のエッチングピットを形成した後、ホウ酸アンモニウム等の水溶液中で電圧を印加して誘電体となる酸化皮膜層を形成する(化成)。陽極箔と同様に、陰極箔もアルミニウム等の弁作用金属からなるが、その表面にはエッチング処理を施すのみである。
【0006】
このようにして表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔とエッチングピットのみが形成された陰極箔とを、セパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成する。続いて、修復化成を施したコンデンサ素子に、3,4−エチレンジオキシチオフェン(以下、EDTと記す)等の重合性モノマーと酸化剤溶液をそれぞれ吐出し、あるいは両者の混合液に浸漬して、コンデンサ素子内で重合反応を促進し、PEDT等の導電性ポリマーからなる固体電解質層を生成する。その後、このコンデンサ素子を有底筒状の外装ケースに収納して固体電解コンデンサを作成する。
【0007】
【特許文献1】
特開平2−15611号公報
【特許文献2】
特開平10−340831号公報
【特許文献3】
特開2000−58389号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、上述したような固体電解コンデンサが車載用として用いられるようになってきている。通常、車載用回路の駆動電圧は12Vであり、固体電解コンデンサには25Vの高耐電圧が要求される。
しかしながら、上述したような従来の製造方法によりこのような高耐電圧品を製造した場合、エージング工程でショートが発生する割合が高く、歩留まりが低いという欠点があった。
【0009】
また、導電性ポリマーを固体電解質として用いる場合、重合反応後に残存するモノマーや溶媒を除去するために、通常は、高温で重合反応を行ったり、重合後に熱処理を行っていた(特許文献2、特許文献3参照)。特に、高温下におかれる半田リフローを行う場合、これらの残存物が蒸発することによって電気特性の低下や開弁が起こるため、高温での重合や重合後の熱処理は重要である。しかしながら、25V級の高耐電圧品の開発を行うなかで、上記の熱処理温度が高すぎると耐電圧が低下することが判明した。
【0010】
また、近年環境問題から高融点の鉛フリー半田が用いられるようになり、半田リフロー温度が200〜220℃から230〜270℃へと更に高温化している。このように高温でのリフローを行うと、電解質層の熱劣化又は結晶化によるものと思われるが、耐電圧が低下するという問題点があった。
【0011】
これに対応するために、陽極箔の化成電圧を向上させて固体電解コンデンサの耐電圧を向上させる試みがあるが、固体電解コンデンサの場合、一定の化成電圧以上の陽極箔を用いても、固体電解コンデンサの耐電圧は上昇しないという問題点があった。
なお、このような問題点は、重合性モノマーとしてEDTを用いた場合に限らず、他のチオフェン誘導体、ピロール、アニリン等を用いた場合にも同様に生じていた。
【0012】
本発明は、上述したような従来技術の問題点を解決するために提案されたものであり、その目的は、固体電解コンデンサの耐電圧特性を大幅に向上させると共に、高融点の鉛フリー半田に対応可能な固体電解コンデンサの製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決すべく、固体電解コンデンサの耐電圧特性を大幅に向上させ、高融点の鉛フリー半田に対応可能な固体電解コンデンサを得るべく鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至ったものである。
【0014】
(固体電解コンデンサの製造方法)
エッチング処理を施した弁金属箔を化成液中で電圧印加して金属箔表面に誘電体酸化皮膜を形成し、この箔を所定の大きさに切断して陽極箔として用いる。また、陰極箔にはエッチング箔を用いるが、化成による酸化皮膜を形成していないものや、化成液中で電圧印加して数Vの誘電体酸化皮膜を形成したものを用いる。このように形成した陽極箔と陰極箔にそれぞれ外部接続用の端子を接続し、セパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成した後、コンデンサ素子を化成液に浸漬して電圧印加して修復化成を行う。その後、コンデンサ素子を乾燥させる。なお、陽極箔と陰極箔をセパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成しているが、陽極箔及び陰極箔を積層しても良い。
【0015】
これらのコンデンサ素子に、グリセリン又はスルホランを5wt%以下添加した重合性モノマー及び酸化剤を含浸するための溶液を含浸し、コンデンサ素子内で導電性ポリマーの重合反応を発生させ、固体電解質層を形成する。この場合、20〜160℃の範囲内であって、少なくとも100〜160℃の範囲の熱処理を行う。詳しくは、20〜90℃で1回目の熱処理を行い、続いて、100〜160℃で2回目の熱処理を行う。そして、このコンデンサ素子を外装ケースに挿入し、開口端部に封口ゴムを装着して、加締め加工によって封止した後、エージングを行い、固体電解コンデンサを形成する。
【0016】
(グリセリンまたはスルホランの添加について)
コンデンサ素子に重合性モノマー及び酸化剤を含浸するための溶液として、重合性モノマー溶液及び酸化剤溶液と、それらの混合溶液があり、グリセリン又はスルホランの添加量は、これらコンデンサ素子に含浸する溶液の5wt%以下が望ましい。重合性モノマー溶液及び酸化剤溶液の場合は、各溶液にグリセリン又はスルホランを5wt%以下添加しても良いし、一方の溶液のみに添加しても良く、該両溶液全体の5wt%以下であれば良い。
【0017】
グリセリン又はスルホランの添加量が、酸化剤溶液及び重合性モノマー溶液において、又は混合溶液において、5wt%を超えると、コンデンサ素子に含浸した上記溶液の一部が吹き出してしまい、導電性ポリマーがコンデンサ素子より吹き出して形成され、その結果、外装ケースへの収納不良が生じてしまうためである。
【0018】
なお、グリセリンとスルホランの両方を添加しても良い。この場合もグリセリンとスルホランが溶液全体の5wt%以下であることが望ましい。なお、スルホランを用いると、高温安定性及び含浸時の素子への浸透性が良いことからより好ましい。
【0019】
(熱処理温度)
酸化剤溶液及びモノマー溶液を含浸したコンデンサ素子に、20〜160℃の範囲内であって、少なくとも100〜160℃の範囲の熱処理を行う。この熱処理の温度及び時間は、上記溶媒の種類、工程時間等により任意だが、必要に応じて異なる温度に設定しても良く、また、順次高温となるように設定しても良い。この場合、順次段階的に温度を上げることになるが、暫時温度を上げても良い。
【0020】
そして、低温度にて熱処理を開始することがコンデンサ素子中の重合反応を良好に進めるため、20〜90℃、30分の1回目の熱処理を行い、続いて、100〜160℃、好ましくは100〜120℃、60分の2回目の熱処理を行い、コンデンサ素子内で導電性ポリマーの重合反応を発生させ、固体電解質層を形成する。熱処理時間は10分から3時間がよく、好ましくは30分から120分がよい。2回目の熱処理温度を100〜120℃とすることで、耐電圧を41Vまで高めることができ、定格電圧35WVの製品を製造することが可能となる。
【0021】
なお、2回目以降の熱処理温度が160℃を超えた場合には、耐電圧への寄与はほとんど見られない。また、2回目以降の熱処理温度が100℃を下回ると、重合反応が不十分となり、静電容量が大幅に減り、またESR特性も悪くなる。
【0022】
(EDT及び酸化剤)
重合性モノマーとしてEDTを用いた場合、コンデンサ素子に含浸するEDTとしては、EDTモノマーを用いることができるが、EDTと揮発性溶媒とを1:0〜1:3の体積比で混合したモノマー溶液を用いることもできる。
前記揮発性溶媒としては、ペンタン等の炭化水素類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ギ酸エチル等のエステル類、アセトン等のケトン類、メタノール等のアルコール類、アセトニトリル等の窒素化合物等を用いることができるが、なかでも、メタノール、エタノール、アセトン等が好ましい。
【0023】
また、酸化剤としては、エタノールに溶解したパラトルエンスルホン酸第二鉄、過ヨウ素酸もしくはヨウ素酸の水溶液を用いることができ、酸化剤の溶媒に対する濃度は40〜57wt%が好ましく、45〜57wt%がより好ましい。酸化剤の溶媒に対する濃度が高い程、ESRは低減する。なお、酸化剤の溶媒としては、上記モノマー溶液に用いた揮発性溶媒を用いることができ、なかでもエタノールが好適である。酸化剤の溶媒としてエタノールが好適であるのは、蒸気圧が低いため蒸発しやすく、残存する量が少ないためであると考えられる。
【0024】
(含浸方法)
酸化剤溶液及び重合性モノマーの含浸方法としては、(1)コンデンサ素子をモノマー溶液に浸漬→引き上げて溶媒を蒸発→酸化剤溶液に浸漬→酸化剤溶液の溶媒を蒸発させると共に重合させる方法、(2)コンデンサ素子にモノマー溶液を吐出→溶媒を蒸発一酸化剤溶液を吐出→酸化剤溶液の溶媒を蒸発させると共に重合させる方法、(3)コンデンサ素子をモノマー又はモノマー溶液と酸化剤溶液とを混合した溶液に浸漬→引き上げる→溶媒を蒸発させると共に重合させる方法のいずれを用いても良い。
【0025】
(修復化成の化成液)
修復化成の化成液としては、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム等のリン酸系の化成液、ホウ酸アンモニウム等のホウ酸系の化成液、アジピン酸アンモニウム等のアジピン酸系の化成液を用いることができるが、なかでも、リン酸二水素アンモニウムを用いることが望ましい。また、浸漬時間は、5〜120分が望ましい。
【0026】
(他の重合性モノマー)
本発明に用いられる重合性モノマーとしては、上記EDTの他に、EDT以外のチオフェン誘導体、アニリン、ピロール、フラン、アセチレンまたはそれらの誘導体であって、所定の酸化剤により酸化重合され、導電性ポリマーを形成するものであれば適用することができる。なお、チオフェン誘導体としては、下記の構造式のものを用いることができる。
【化1】
【0027】
(作用・効果)
本発明によれば、予め、導電性ポリマーを形成するためにコンデンサ素子に含浸する重合性モノマー及び/又は酸化剤に、所定量のグリセリン又はスルホランを添加することで、重合時の熱処理により溶媒を蒸発させて、グリセリン又はスルホランをコンデンサ素子内に分散して容易に残存させることができる。その結果、電圧が印加された際に、このグリセリン又はスルホランを介して、陽極箔の誘電体酸化皮膜が修復され、固体電解コンデンサの耐電圧が向上すると考えられる。
【0028】
さらに、コンデンサ素子への熱処理を20〜160℃の範囲内であって、少なくとも100〜160℃の範囲の熱処理を行うことにより、さらに耐電圧が向上する。これは、少なくとも100〜160℃の温度範囲で熱処理を行うことで、グリセリン又はスルホランをコンデンサ素子内へ効率良く分散させることができると共に、重合反応時にこのグリセリン又はスルホランが介在されていることで、良質な固体電解質層が形成されるため、耐電圧が大幅に向上すると考えられる。
【0029】
【実施例】
続いて、以下のようにして製造した実施例及び従来例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。
【0030】
(実施例1)
表面に酸化皮膜が形成された陽極箔と陰極箔に外部接続用の端子を接続し、両極箔をセパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成する。この素子をリン酸二水素アンモニウム水溶液に浸漬して、修復化成を行う。
所定の容器に、酸化剤としてパラトルエンスルホン酸第二鉄を45wt%溶解したエタノール溶液にグリセリンを2%添加し、コンデンサ素子を上記溶液に10秒間浸漬し、その後EDTを溶解したエタノール溶液にコンデンサ素子を10秒間浸漬する。次いで、60℃、1時間の熱処理(1回目の熱処理)、100℃、1時間の熱処理(2回目の熱処理)を施し、コンデンサ素子内でPEDTの重合反応を発生させ、固体電解質層を形成した。このコンデンサ素子を有底筒状の外装ケースに挿入し、開口端部に封ロゴムを装着して、加締め加工によって封止した。その後、150℃、120分、33Vの電圧印加によってエージングを行い、固体電解コンデンサを形成した。
【0031】
(実施例2)
2回目の熱処理温度を120℃とした。その他の条件及び工程等は、実施例1と同様である。
(実施例3)
2回目の熱処理温度を150℃とした。その他の条件及び工程等は、実施例1と同様である。
(実施例4)
グリセリンの代わりに、スルホランを2%添加した。その他の条件及び工程等は、実施例1と同様である。
【0032】
(従来例1)
グリセリンを2wt%添加し、2回目の熱処理温度を170℃とした。その他の条件及び工程は実施例1と同様である。
(従来例2)
グリセリン又はスルホランを添加せず、また2回目の熱処理温度を150℃とした。その他の条件及び工程は実施例1と同様である。
【0033】
[比較結果1]
ピーク温度250℃、230℃以上30秒保持の鉛フリーリフローを行った後、電圧を段階的に印加し、1000サイクルの充放電を行うサージ試験を行い、ショート発生電圧を測定したところ、表1に示したような結果が得られた。
【表1】
【0034】
表1から明らかなように、グリセリンを2%添加した実施例1とスルホランを2%添加した実施例4は共に、2回目の熱処理温度が100℃であるが、ショート発生電圧は、スルホランを添加した実施例4の方が良好であった。また、グリセリンを2%添加し、2回目の熱処理温度を100〜150℃に変えた実施例1〜実施例3を比較すると、2回目の熱処理温度が100〜120℃の方がより良好な結果が得られた。
【0035】
これに対して、グリセリンもスルホランも添加しない従来例2と、グリセリンを添加したものの2回目の熱処理温度が170℃と高温である従来例1では、ショート発生電圧は26Vと低かった。
【0036】
[比較結果2]
次に、酸化剤溶液にグリセリンを2%添加して作成した固体電解コンデンサについて、2回目の熱処理温度を90〜170℃の範囲で変化させた場合のショート発生電圧について調べたところ、図1のような結果が得られた。
図1から明らかなように、2回目以降の熱処理温度が160℃を超えた場合には、耐電圧への寄与はほとんど見られない。また、2回目以降の熱処理温度が100℃を下回っても、耐電圧には一定の効果が見られてはいるものの、重合反応が不十分となり、静電容量が大幅に減り、また、ESR特性も悪い結果となっている。
【0037】
[比較結果3]
2回目の熱処理温度を150℃とした実施例3と従来例2について、0.5kgの力でリード線を内側に折り曲げた際のLCを測定したところ、表2に示したような結果が得られた。なお、LCの測定は、初期、折り曲げ直後、折り曲げ2分後の順に行った。
【表2】
【0038】
表2から明らかなように、2回目の熱処理温度を150℃とした場合には、従来例2と比較して実施例3では、折り曲げ2分後のLCは、従来例の約60%(5.8μA→3.5μA)にまで低減された。この効果は、2回目の熱処理温度(重合温度)を140℃〜160℃で実施することで得られた。
【0039】
以上のように、2回目の熱処理温度を100〜160℃の間とすることにより、鉛フリーリフローを行っても耐電圧特性が大幅に改善され、車載用や、リード線の加工を伴う表面実装可能なチップ品等に使用可能な固体電解コンデンサを提供することができることが分かった。
【0040】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、重合性モノマー及び酸化剤を含浸するための溶液にグリセリン又はスルホランを添加して熱処理を行うことにより、固体電解コンデンサの耐電圧特性を大幅に向上させると共に、高融点の鉛フリー半田に対応可能な固体電解コンデンサの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】2回目の熱処理温度(重合温度)とショート発生電圧の関係を示す図
Claims (4)
- 弁金属からなる陰極箔と、表面に酸化皮膜を形成した弁金属からなる陽極箔を備えたコンデンサ素子を形成し、重合性モノマーと酸化剤とを含浸して導電性ポリマーからなる固体電解質層を形成する固体電解コンデンサの製造方法において、
前記コンデンサ素子に、グリセリン又はスルホランを5wt%以下添加した重合性モノマー及び酸化剤を含浸するための溶液を含浸し、20〜160℃の範囲内であって、少なくとも100〜160℃の範囲の熱処理を行うことにより、コンデンサ素子内に導電性ポリマーを形成することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。 - 前記熱処理の温度を20〜90℃で1回目の熱処理を行い、続いて、100〜160℃で2回目の熱処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
- 前記重合性モノマーが、チオフェン誘導体であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
- 前記チオフェン誘導体が、3,4−エチレンジオキシチオフェンであることを特徴とする請求項3に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
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JP2019071469A (ja) * | 2019-01-11 | 2019-05-09 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 電解コンデンサ |
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- 2002-09-30 JP JP2002288080A patent/JP2004128092A/ja active Pending
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