JP2005085911A - 固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ESRをさらに低減させることができる固体電解コンデンサの製造方法を提供する。
【解決手段】 表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔と陰極箔をセパレータを介して巻回して、コンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子に修復化成を施す。続いて、このコンデンサ素子を重合性モノマー溶液に浸漬し、引き上げて乾燥した後、酸化剤溶液に浸漬して、コンデンサ素子内で導電性ポリマーの重合反応を発生させ、固体電解質層を形成する。この時、含浸後のモノマーと酸化剤のモル比が酸化剤を1とした場合に3:1未満となるようにする。そして、このコンデンサ素子を外装ケースに挿入し、開口端部に封口ゴムを装着して、加締め加工によって封止した後、エージングを行い、固体電解コンデンサを形成する。
【解決手段】 表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔と陰極箔をセパレータを介して巻回して、コンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子に修復化成を施す。続いて、このコンデンサ素子を重合性モノマー溶液に浸漬し、引き上げて乾燥した後、酸化剤溶液に浸漬して、コンデンサ素子内で導電性ポリマーの重合反応を発生させ、固体電解質層を形成する。この時、含浸後のモノマーと酸化剤のモル比が酸化剤を1とした場合に3:1未満となるようにする。そして、このコンデンサ素子を外装ケースに挿入し、開口端部に封口ゴムを装着して、加締め加工によって封止した後、エージングを行い、固体電解コンデンサを形成する。
Description
本発明は、固体電解コンデンサの製造方法に係り、特に、固体電解コンデンサの等価直列抵抗(以下、ESRと記す)を低減させるべく改良を施した固体電解コンデンサの製造方法に関するものである。
タンタルあるいはアルミニウム等のような弁作用を有する金属を利用した電解コンデンサは、陽極側対向電極としての弁作用金属を焼結体あるいはエッチング箔等の形状にして誘電体を拡面化することにより、小型で大きな容量を得ることができることから、広く一般に用いられている。特に、電解質に固体電解質を用いた固体電解コンデンサは、小型、大容量、低等価直列抵抗であることに加えて、チップ化しやすく、表面実装に適している等の特質を備えていることから、電子機器の小型化、高機能化、低コスト化に欠かせないものとなっている。
この種の固体電解コンデンサにおいて、小型、大容量用途としては、一般に、アルミニウム等の弁作用金属からなる陽極箔と陰極箔をセパレータを介在させて巻回してコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子に駆動用電解液を含浸し、アルミニウム等の金属製ケースや合成樹脂製のケースにコンデンサ素子を収納し、密閉した構造を有している。なお、陽極材料としては、アルミニウムを初めとしてタンタル、ニオブ、チタン等が使用され、陰極材料には、陽極材料と同種の金属が用いられる。
また、固体電解コンデンサに用いられる固体電解質としては、二酸化マンガンや7、7、8、8−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体が知られているが、近年、反応速度が緩やかで、かつ陽極電極の酸化皮膜層との密着性に優れたポリエチレンジオキシチオフェン(以下、PEDTと記す)等の導電性ポリマーに着目した技術(特許文献1参照)が存在している。
このような巻回型のコンデンサ素子にPEDT等の導電性ポリマーからなる固体電解質層を形成するタイプの固体電解コンデンサは、以下のようにして作成される。まず、アルミニウム等の弁作用金属からなる陽極箔の表面を塩化物水溶液中での電気化学的なエッチング処理により粗面化して、多数のエッチングピットを形成した後、ホウ酸アンモニウム等の水溶液中で電圧を印加して誘電体となる酸化皮膜層を形成する(化成)。陽極箔と同様に、陰極箔もアルミニウム等の弁作用金属からなるが、その表面にはエッチング処理を施すのみである。
このようにして表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔とエッチングピットのみが形成された陰極箔とを、セパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成する。続いて、修復化成を施したコンデンサ素子に、3,4−エチレンジオキシチオフェン(以下、EDTと記す)等の重合性モノマーと酸化剤溶液をそれぞれ吐出し、あるいは両者の混合液に浸漬して、コンデンサ素子内で重合反応を促進し、PEDT等の導電性ポリマーからなる固体電解質層を生成する。その後、このコンデンサ素子を有底筒状の外装ケースに収納し、ケースの開口部を封ロゴムで封止して固体電解コンデンサを作成する。
特開平2−15611号公報
ところで、近年、電子情報機器はデジタル化され、さらにこれらの電子情報機器の心臓部であるマイクロプロセッサ(MPU)の駆動周波数の高速化が進んでいる。これに伴って、消費電力の増大化が進み、発熱による信頼性の問題が顕在化してきたため、その対策として駆動電圧の低減化が図られてきた。
上記駆動電圧の低減化を図るため、マイクロプロセッサに高精度な電力を供給する回路として電圧制御モジュールと呼ばれるDC−DCコンバーターが広く使用されており、その出力側コンデンサには、電圧降下を防ぐためESRの低いコンデンサが多数用いられている。このような低ESR特性を有するコンデンサとして、上述したような固体電解コンデンサが実用化され、多用されている。
しかしながら、マイクロプロセッサの駆動周波数の高速化は著しく、それに伴って消費電力がさらに増大し、それに対応するために電圧降下を防ぐためのコンデンサからの供給電力のさらなる増大化が求められている。すなわち、大きな電力を短時間で供給することができなければならず、このために固体電解コンデンサには大容量化、小型化、低電圧化と共に、さらに優れたESR特性が要求されている。
なお、このような問題点は、重合性モノマーとしてEDTを用いた場合に限らず、他のチオフェン誘導体、ピロール、アニリン等を用いた場合にも同様に生じていた。
なお、このような問題点は、重合性モノマーとしてEDTを用いた場合に限らず、他のチオフェン誘導体、ピロール、アニリン等を用いた場合にも同様に生じていた。
本発明は、上述したような従来技術の問題点を解決するために提案されたものであり、その目的は、ESRをさらに低減させることができる固体電解コンデンサの製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく、ESRを従来よりもさらに低減させることができる固体電解コンデンサの製造方法について鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明者は、コンデンサ素子に形成される導電性ポリマーの量とESRとの関係に着目し、形成される導電性ポリマーの量が多い程、ESR特性が向上するとの知見を得た。そこで、コンデンサ素子に形成される導電性ポリマーの量を効率的に増大させるべくさらに検討を重ねた結果、重合性モノマーと酸化剤のモル比を適切に調整することによって、固体電解コンデンサのESR特性を向上させることができることが判明したものである。
すなわち、本発明者は、コンデンサ素子に形成される導電性ポリマーの量とESRとの関係に着目し、形成される導電性ポリマーの量が多い程、ESR特性が向上するとの知見を得た。そこで、コンデンサ素子に形成される導電性ポリマーの量を効率的に増大させるべくさらに検討を重ねた結果、重合性モノマーと酸化剤のモル比を適切に調整することによって、固体電解コンデンサのESR特性を向上させることができることが判明したものである。
(重合性モノマーと酸化剤のモル比)
重合反応時の重合性モノマーと酸化剤のモル比を種々変更して、固体電解コンデンサのESR特性を向上させることができるか否かを調べたところ、重合性モノマーと酸化剤のモル比が、酸化剤を1とした場合に3:1未満、好ましくは2.5:1以下、さらに好ましくは2:1以下とするとESRが低減することが判明した。このように、重合性モノマーに対する酸化剤の割合が多い状態で重合反応を進行させると、形成される導電性ポリマーの量が増大するため、上記のような問題が改善され、ESR特性が向上するものと考えられる。
重合反応時の重合性モノマーと酸化剤のモル比を種々変更して、固体電解コンデンサのESR特性を向上させることができるか否かを調べたところ、重合性モノマーと酸化剤のモル比が、酸化剤を1とした場合に3:1未満、好ましくは2.5:1以下、さらに好ましくは2:1以下とするとESRが低減することが判明した。このように、重合性モノマーに対する酸化剤の割合が多い状態で重合反応を進行させると、形成される導電性ポリマーの量が増大するため、上記のような問題が改善され、ESR特性が向上するものと考えられる。
なお、コンデンサ素子に重合性モノマーと酸化剤を含浸する方法としては、モノマーと酸化剤の混合溶液にコンデンサ素子を浸漬する方法、モノマー溶液にコンデンサ素子を浸漬した後、酸化剤溶液に浸漬する方法、コンデンサ素子にモノマー溶液を吐出した後、酸化剤溶液を吐出する方法等を用いることができる。なかでも、モノマー溶液にコンデンサ素子を浸漬した後、酸化剤溶液に浸漬する方法が好ましい。その理由は、モノマーに対する酸化剤の比を上げていくと、重合反応の進行が早くなるので、モノマーと酸化剤の混合溶液を用いると、含浸する前にポリマーが形成されてしまうからである。さらに、コンデンサ素子を浸漬する方法としては、コンデンサ素子をフレームに多数取り付け、1回の浸漬で多数のコンデンサ素子の含浸を行う方法が好ましく、この方法を用いると量産性が格段に向上する。
(固体電解コンデンサの製造方法)
本発明に係る固体電解コンデンサの製造方法は以下の通りである。すなわち、表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔と陰極箔をセパレータを介して巻回して、コンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子に修復化成を施す。続いて、このコンデンサ素子を重合性モノマー溶液に浸漬し、引き上げて乾燥した後、酸化剤溶液に浸漬して、コンデンサ素子内で導電性ポリマーの重合反応を発生させ、固体電解質層を形成する。この時、含浸後のモノマーと酸化剤のモル比が酸化剤を1とした場合に3:1未満となるようにする。あるいは、コンデンサ素子を重合性モノマーと酸化剤のモル比が酸化剤を1とした場合に3:1未満となるように、重合性モノマーと酸化剤とを所定の溶媒と共に混合して調製した混合液に浸漬し、コンデンサ素子内で導電性ポリマーの重合反応を発生させ、固体電解質層を形成する。そして、このコンデンサ素子を外装ケースに挿入し、開口端部に封口ゴムを装着して、加締め加工によって封止した後、エージングを行い、固体電解コンデンサを形成する。
本発明に係る固体電解コンデンサの製造方法は以下の通りである。すなわち、表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔と陰極箔をセパレータを介して巻回して、コンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子に修復化成を施す。続いて、このコンデンサ素子を重合性モノマー溶液に浸漬し、引き上げて乾燥した後、酸化剤溶液に浸漬して、コンデンサ素子内で導電性ポリマーの重合反応を発生させ、固体電解質層を形成する。この時、含浸後のモノマーと酸化剤のモル比が酸化剤を1とした場合に3:1未満となるようにする。あるいは、コンデンサ素子を重合性モノマーと酸化剤のモル比が酸化剤を1とした場合に3:1未満となるように、重合性モノマーと酸化剤とを所定の溶媒と共に混合して調製した混合液に浸漬し、コンデンサ素子内で導電性ポリマーの重合反応を発生させ、固体電解質層を形成する。そして、このコンデンサ素子を外装ケースに挿入し、開口端部に封口ゴムを装着して、加締め加工によって封止した後、エージングを行い、固体電解コンデンサを形成する。
(EDT及び酸化剤)
重合性モノマーとしてEDTを用いた場合、コンデンサ素子に含浸するEDTとしては、EDTモノマーを用いることができるが、EDTと揮発性溶媒とを重量比で20〜40wt%、好ましくは25〜35wt%で混合したモノマー溶液を用いることもできる。
前記揮発性溶媒としては、ペンタン等の炭化水素類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ギ酸エチル等のエステル類、アセトン等のケトン類、メタノール等のアルコール類、アセトニトリル等の窒素化合物等を用いることができるが、なかでも、メタノール、エタノール、アセトン等が好ましい。
重合性モノマーとしてEDTを用いた場合、コンデンサ素子に含浸するEDTとしては、EDTモノマーを用いることができるが、EDTと揮発性溶媒とを重量比で20〜40wt%、好ましくは25〜35wt%で混合したモノマー溶液を用いることもできる。
前記揮発性溶媒としては、ペンタン等の炭化水素類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ギ酸エチル等のエステル類、アセトン等のケトン類、メタノール等のアルコール類、アセトニトリル等の窒素化合物等を用いることができるが、なかでも、メタノール、エタノール、アセトン等が好ましい。
また、酸化剤としては、エタノールに溶解したパラトルエンスルホン酸第二鉄、過ヨウ素酸もしくはヨウ素酸の水溶液を用いることができ、酸化剤の溶媒に対する濃度は40〜57wt%が好ましく、45〜57wt%がより好ましい。酸化剤の溶媒に対する濃度が高い程、ESRは低減する。なお、酸化剤の溶媒としては、上記モノマー溶液に用いた揮発性溶媒を用いることができ、なかでもエタノールが好適である。酸化剤の溶媒としてエタノールが好適であるのは、蒸気圧が低いため蒸発しやすく、残存する量が少ないためであると考えられる。
(浸漬工程)
コンデンサ素子を混合液に浸漬する時間は、コンデンサ素子の大きさによって決まるが、φ5×3L程度のコンデンサ素子では5秒以上、φ9×5L程度のコンデンサ素子では10秒以上が望ましく、最低でも5秒間は浸漬することが必要である。なお、長時間浸漬しても特性上の弊害はない。
また、このように浸漬した後、減圧状態で保持すると好適である。その理由は、揮発性溶媒の残留量が少なくなるためであると考えられる。減圧の条件は上述した重合工程での減圧条件と同様である。
コンデンサ素子を混合液に浸漬する時間は、コンデンサ素子の大きさによって決まるが、φ5×3L程度のコンデンサ素子では5秒以上、φ9×5L程度のコンデンサ素子では10秒以上が望ましく、最低でも5秒間は浸漬することが必要である。なお、長時間浸漬しても特性上の弊害はない。
また、このように浸漬した後、減圧状態で保持すると好適である。その理由は、揮発性溶媒の残留量が少なくなるためであると考えられる。減圧の条件は上述した重合工程での減圧条件と同様である。
(修復化成の化成液)
修復化成の化成液としては、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム等のリン酸系の化成液、ホウ酸アンモニウム等のホウ酸系の化成液、アジピン酸アンモニウム等のアジピン酸系の化成液を用いることができるが、なかでも、リン酸二水素アンモニウムを用いることが望ましい。また、浸漬時間は、5〜120分が望ましい。
修復化成の化成液としては、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム等のリン酸系の化成液、ホウ酸アンモニウム等のホウ酸系の化成液、アジピン酸アンモニウム等のアジピン酸系の化成液を用いることができるが、なかでも、リン酸二水素アンモニウムを用いることが望ましい。また、浸漬時間は、5〜120分が望ましい。
(他の重合性モノマー)
本発明に用いられる重合性モノマーとしては、上記EDTの他に、EDT以外のチオフェン誘導体、アニリン、ピロール、フラン、アセチレンまたはそれらの誘導体であって、所定の酸化剤により酸化重合され、導電性ポリマーを形成するものであれば適用することができる。なお、チオフェン誘導体としては、下記の構造式のものを用いることができる。
本発明に用いられる重合性モノマーとしては、上記EDTの他に、EDT以外のチオフェン誘導体、アニリン、ピロール、フラン、アセチレンまたはそれらの誘導体であって、所定の酸化剤により酸化重合され、導電性ポリマーを形成するものであれば適用することができる。なお、チオフェン誘導体としては、下記の構造式のものを用いることができる。
(作用・効果)
上記のように、コンデンサ素子に含浸する重合性モノマーと酸化剤のモル比が酸化剤を1とした場合に3:1未満となるようにすることにより、ESR特性を向上させることができる。このように、ESR特性を向上させることができる理由は、重合性モノマーに対する酸化剤の割合が多い状態で重合反応を進行させると、形成される導電性ポリマーの量が増大するためであると考えられる。
上記のように、コンデンサ素子に含浸する重合性モノマーと酸化剤のモル比が酸化剤を1とした場合に3:1未満となるようにすることにより、ESR特性を向上させることができる。このように、ESR特性を向上させることができる理由は、重合性モノマーに対する酸化剤の割合が多い状態で重合反応を進行させると、形成される導電性ポリマーの量が増大するためであると考えられる。
以上述べたように、本発明によれば、ESRをさらに低減させることができる固体電解コンデンサの製造方法を提供することができる。
続いて、以下のようにして製造した実施例及び比較例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例1)
表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔と陰極箔に電極引き出し手段を接続し、両電極箔をセパレータを介して巻回して、素子形状が8φ×11.5Lのコンデンサ素子を形成した。そして、このコンデンサ素子をリン酸二水素アンモニウム水溶液に40分間浸漬して、修復化成を行った。
その後、複数のコンデンサ素子をリードフレームに取り付け、これら複数のコンデンサ素子をEDTの30wt%エタノール溶液に浸漬し、引き上げて乾燥した後、パラトルエンスルホン酸第二鉄の50wt%エタノール溶液に浸漬した。この時、含浸後のモノマーと酸化剤のモル比が1.8:1となるようにした。次いで、このコンデンサ素子を120℃、60分加熱して、コンデンサ素子内でPEDTの重合反応を発生させ、固体電解質層を形成した。
そして、このコンデンサ素子を有底筒状の外装ケースに挿入し、開口端部に封口ゴムを装着して、加締め加工によって封止した。その後に、150℃、120分、5.9Vの電圧印加によってエージングを行い、固体電解コンデンサを形成した。なお、この固体電解コンデンサの定格電圧は4WV、定格容量は560μFである。
表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔と陰極箔に電極引き出し手段を接続し、両電極箔をセパレータを介して巻回して、素子形状が8φ×11.5Lのコンデンサ素子を形成した。そして、このコンデンサ素子をリン酸二水素アンモニウム水溶液に40分間浸漬して、修復化成を行った。
その後、複数のコンデンサ素子をリードフレームに取り付け、これら複数のコンデンサ素子をEDTの30wt%エタノール溶液に浸漬し、引き上げて乾燥した後、パラトルエンスルホン酸第二鉄の50wt%エタノール溶液に浸漬した。この時、含浸後のモノマーと酸化剤のモル比が1.8:1となるようにした。次いで、このコンデンサ素子を120℃、60分加熱して、コンデンサ素子内でPEDTの重合反応を発生させ、固体電解質層を形成した。
そして、このコンデンサ素子を有底筒状の外装ケースに挿入し、開口端部に封口ゴムを装着して、加締め加工によって封止した。その後に、150℃、120分、5.9Vの電圧印加によってエージングを行い、固体電解コンデンサを形成した。なお、この固体電解コンデンサの定格電圧は4WV、定格容量は560μFである。
(実施例2)
モノマーと酸化剤のモル比が2.0:1となるように混合し、この混合液の中にコンデンサ素子を浸漬した。その他の条件及び工程は、実施例1と同様である。
(実施例3)
モノマーと酸化剤のモル比が2.2:1となるように混合し、この混合液の中にコンデンサ素子を浸漬した。その他の条件及び工程は、実施例1と同様である。
(比較例)
モノマーと酸化剤のモル比が3.0:1となるように混合し、この混合液の中にコンデンサ素子を浸漬した。その他の条件及び工程は、実施例1と同様である。
モノマーと酸化剤のモル比が2.0:1となるように混合し、この混合液の中にコンデンサ素子を浸漬した。その他の条件及び工程は、実施例1と同様である。
(実施例3)
モノマーと酸化剤のモル比が2.2:1となるように混合し、この混合液の中にコンデンサ素子を浸漬した。その他の条件及び工程は、実施例1と同様である。
(比較例)
モノマーと酸化剤のモル比が3.0:1となるように混合し、この混合液の中にコンデンサ素子を浸漬した。その他の条件及び工程は、実施例1と同様である。
表1から明らかなように、モノマーと酸化剤のモル比が3.0:1である比較例においては、ESRは8.0と高かったのに対し、モノマーと酸化剤のモル比が1.8:1である実施例1においては、ESRは4.0と比較例の約50%に低減した。また、モノマーと酸化剤のモル比が2.0:1である実施例2においては、ESRは4.8と比較例の約60%に低減し、モノマーと酸化剤のモル比が2.2:1である実施例3においては、ESRは5.7と比較例の約70%に低減した。このように実施例1〜3においては、ESRは比較例の50〜70%となっており、特に実施例1においては、固体電解コンデンサの使用個数を1/2にしても、比較例と同等のESRを得ることができる。
Claims (4)
- 陽極箔と陰極箔とセパレータとを有するコンデンサ素子に、重合性モノマーと酸化剤とを含浸して導電性ポリマーからなる固体電解質層を形成する固体電解コンデンサの製造方法において、
含浸する重合性モノマーと酸化剤のモル比を、酸化剤を1とした場合に3:1未満とすることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。 - 前記コンデンサ素子を重合性モノマーに浸漬した後、酸化剤溶液に浸漬することを特徴とする請求項1に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
- 前記重合性モノマーが、チオフェン誘導体であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
- 前記チオフェン誘導体が、3,4−エチレンジオキシチオフェンであることを特徴とする請求項3に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
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