JP4442287B2 - 固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents
固体電解コンデンサの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4442287B2 JP4442287B2 JP2004106903A JP2004106903A JP4442287B2 JP 4442287 B2 JP4442287 B2 JP 4442287B2 JP 2004106903 A JP2004106903 A JP 2004106903A JP 2004106903 A JP2004106903 A JP 2004106903A JP 4442287 B2 JP4442287 B2 JP 4442287B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- capacitor element
- solution
- compound
- solid electrolytic
- separator
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E60/00—Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
- Y02E60/13—Energy storage using capacitors
Landscapes
- Fixed Capacitors And Capacitor Manufacturing Machines (AREA)
Description
なお、このような問題点は、重合性モノマーとしてEDTを用いた場合に限らず、他のチオフェン誘導体、ピロール、アニリン等を用いた場合にも同様に生じていた。
すなわち、本発明者は、陽極箔の酸化皮膜層と導電性ポリマー層との間に金属の腐食物が存在することを見出し、この金属の腐食物の存在が、固体電解コンデンサの容量出現率を低下させている要因であることを見出した。特に、陽極箔の化成電圧が低いものほど、この容量出現率は低くなることがわかった。
本発明に係る固体電解コンデンサの製造方法は以下の通りである。すなわち、表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔を陰極箔及びセパレータと共に巻回してコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子を0.005wt%〜1.5wt%のPVA水溶液に、常温〜100℃前後の温度で5秒以上浸漬し、常温〜150℃で3分以上乾燥する。
そして、修復化成後、このコンデンサ素子に、濃度を5wt%以下に調製した導電性ポリアニリン溶液を含浸し、陽極箔に電圧印加した後(あるいは、電圧印加しながら)、溶媒を除去して、コンデンサ素子内で導電性ポリアニリンフィルムを形成する。
その後、重合性モノマーと酸化剤を含浸して、コンデンサ素子内で導電性ポリマーの重合反応を発生させ、固体電解質層を形成する。その後、このコンデンサ素子を外装ケースに挿入し、開口端部に封口ゴムを装着して、加締め加工によって封止した後、エージングを行い、固体電解コンデンサを形成する。
本発明は、コンデンサ素子として、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン等の弁作用金属からなる電極箔とセパレータを介して巻回した巻回素子を用いた固体電解コンデンサ、アルミニウム電極箔単板からなる素子を用いた固体電解コンデンサ、タンタル、ニオブの焼結体からなる素子を用いた固体電解コンデンサに適用することができる。
(3−1)コンデンサ素子にビニル基を有する化合物
コンデンサ素子内に、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)等のビニル基を有する化合物を存在させ、その後にポリアニリンフィルムからなる皮膜を形成しても良い。なお、本明細書中において、「ビニル基を有する化合物」と記載するものには、「ビニル基を有する化合物の重合体」をも含むものとする。
ビニル基を有する化合物としては、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等を用いることができるが、なかでもPVAがより好ましい。
ビニル基を有する化合物としてPVAを用いる場合、PVA溶液の溶媒は、PVAが溶解するものであれば良く、主として水が用いられる。また、PVA溶液の濃度は、0.005wt%〜1.5wt%が好ましく、より好ましくは0.01wt%〜0.5wt%である。
上記PVAをコンデンサ素子内に存在させる時期は、導電性ポリマーを形成する工程の前の段階であれば、どの段階でも良い。すなわち、その時期は、修復化成前であっても良いし、コンデンサ素子を形成する前に電極箔に付着させても良く、例えば、以下の(1)〜(3)の方法が考えられる。
なお、下記の(1)〜(3)の方法の中で、PVAを電極箔上及びセパレータ中に良好な状態で存在させることができる(1)の方法が最も好適である。
化成→コンデンサ素子形成→PVA溶液に浸漬→修復化成→導電性ポリアニリン溶液の含浸→重合性モノマーと酸化剤の含浸→重合→外装ケースへの挿入→樹脂封止→エージング
化成→両極電極箔の少なくともいずれか一方をPVA溶液に浸漬→コンデンサ素子形成→修復化成→導電性ポリアニリン溶液の含浸→重合性モノマーと酸化剤の含浸→重合→外装ケースへの挿入→樹脂封止→エージング
化成→コンデンサ素子形成→修復化成→PVA溶液に浸漬→導電性ポリアニリン溶液の含浸→重合性モノマーと酸化剤の含浸→重合→外装ケースへの挿入→樹脂封止→エージング
コンデンサ素子あるいは電極箔をPVA溶液に浸漬し、乾燥することにより、PVAが電極箔に付着する。ただし、PVAが電極箔に付着しただけでは、電極箔の静電容量は上昇しないが、その後、電極箔の表面に導電性ポリマーを形成すると、電極箔に付着したPVAが、導電性ポリマーの電極箔への付着、形成を促進し、また、セパレータ中に存在するPVAが、導電性ポリマーの酸化皮膜への形成性を含めた特性を向上させると考えられる。
また、PVA溶液及び導電性ポリアニリン溶液の混合溶液を用いて、酸化皮膜上にこれらの混合層を形成しても良い。
(4)導電性ポリアニリンフィルム形成後…図4参照
化成→コンデンサ素子形成→修復化成→導電性ポリアニリン溶液の含浸→PVA溶液に浸漬→重合性モノマーと酸化剤の含浸→重合→外装ケースへの挿入→樹脂封止→エージング
本発明においては、セパレータとして、ビニル基を有する化合物をバインダーとしたセパレータを用いることにより、コンデンサ素子内にビニル基を有する化合物を存在させても良い。その態様としては、以下のようなものが挙げられる。
(バインダーの含有量)
セパレータとして、ビニル基を有する化合物をバインダーとして20wt%〜40wt%含むセパレータを用いることが好ましい。
通常、合成繊維を主体とする固体電解コンデンサ用セパレータは、合成繊維とこれらを接合するバインダーから構成されている。このバインダーとしては、合成樹脂そのものを用いたり、合成樹脂を繊維状にして、セパレータの作成工程で溶融させて主体繊維を接合させている。本発明においては、バインダーとしてビニル基を有する化合物を用いたセパレータを用いる。また、セパレータに対するビニル基を有する化合物からなるバインダーの含有量は、20wt%を越え、40wt%以下、好ましくは25〜30wt%とすることが望ましい。この範囲とすることで良好な耐電圧特性が得られる。
なお、含有量がこの範囲を越えると、修復化成中に溶解したビニル基を有する化合物が誘電体酸化皮膜上に吸着して形成される吸着層が厚すぎるために、静電容量が低下し、ESRが上昇するため好ましくない。また、含有量がこの範囲未満では、形成される吸着層が十分ではないために、耐電圧が低下するため好ましくない。
バインダーとしてビニル基を有する化合物を用い、修復化成前におけるセパレータ中の上記バインダーの含有量を、セパレータの全重量に対して10〜20%、より好ましくは13〜17%としたセパレータを用いても良い。この範囲とすることで、静電容量の増大、ESRの低減という良好な電気的特性が得られる。
また、第2の方法としては、ビニル基を有する化合物からなるバインダーを10%以上含むセパレータを、温水浸漬処理によって、セパレータ中のバインダーを溶解させて、上記の範囲に調製して得ることもできる。
上記のようにバインダーとしてビニル基を有する化合物を用いたセパレータを用い、コンデンサ素子の修復化成後に所定の熱処理を行うとより好適である。
コンデンサ素子を修復化成した後に行う熱処理温度は、150℃以上250℃未満が好ましい。この温度以上ではESRが著しく上昇するため好ましくない。また、ESRの低減効果と通常の半田メッキ等を施したリード線の耐熱性を考慮すると、150℃以上175℃未満がより好ましく、さらに好ましくは160℃以上170℃未満である。また、熱処理時間は5〜300分が好ましく、より好ましくは30〜150分である。
上記のように、セパレータのバインダーとしてビニル基を有する化合物を用い、修復化成後に熱処理した場合に良好な結果が得られた理由は、以下の通りであると考えられる。すなわち、コンデンサ素子を修復化成する際に、バインダーとして用いられているビニル基を有する化合物が溶解して陽極箔の酸化皮膜に付着するため、その後に所定の熱処理を行うことによって、陽極箔の酸化皮膜に付着したビニル基を有する化合物の分解又は熱収縮が起こる。また、セパレータに含有されるビニル基を有する化合物自体も分解又は熱収縮する。
セパレータとして、ビニル基を有する化合物をバインダーとして10wt%以上含むセパレータを用い、重合性モノマーと酸化剤を含浸する前に、所定のカップリング剤をコンデンサ素子内に含有させると好適である。なお、カップリング剤を含有させる前にホウ酸化合物を含有させるとより好適である。
カップリング剤としては、以下のシランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤を用いることができ、これらの中から選択された1又は2以上のカップリング剤を用いることができる。
カップリング剤を含有させる前に添加するホウ酸化合物としては、ホウ酸、ホウ砂、ホウ酸のアンモニウム塩、金属塩等のホウ酸塩、ホウ酸トリエチル等のホウ酸エステル等を用いることができるが、なかでも、ホウ酸を用いることが望ましい。
セパレータとして、ビニル基を有する化合物をバインダーとして10wt%以上含むセパレータを用い、重合性モノマーと酸化剤を含浸する前に、アセチレンジオール、ジメチルラウリルアミンオキサイドから選ばれる1種または2種をコンデンサ素子内に含有させると好適である。
添加剤として、界面活性剤であるアセチレンジオール、ジメチルラウリルアミンオキサイドから選ばれる1種または2種を用い、コンデンサ素子内に含有させると、静電容量が上昇し、ESRが低減することが判明した。その理由は、PVAとPEDTとの接着性が増すためと考えられる。
ビニル基を有する化合物を含有するセパレータを用いてコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子内にホウ酸化合物を含有させることによって、固体電解コンデンサの耐電圧を向上させることができる。
ホウ酸化合物としては、ホウ酸、ホウ砂、ホウ酸のアンモニウム塩、金属塩等のホウ酸塩、ホウ酸トリエチル等のホウ酸エステル等を用いることができるが、なかでも、ホウ酸を用いることが望ましい。
上記ホウ酸化合物をコンデンサ素子内に含有させる方法としては、コンデンサ素子をホウ酸化合物の溶液に浸漬する方法、または、ホウ酸化合物の溶液をコンデンサ素子に吐出する方法を用いることができる。
上記ホウ酸化合物をコンデンサ素子内に含有させる時期について種々検討した結果、導電性ポリマーを形成する工程の前の段階であれば、どの段階でも良いことが判明した。すなわち、その時期は、修復化成前であっても良いし、コンデンサ素子を形成する前に電極箔に付着させても良く、例えば、以下の(a)〜(c)の方法が考えられる。
化成→ビニル基を有する化合物を含有するセパレータを用いてコンデンサ素子形成→修復化成→ホウ酸化合物溶液に浸漬→導電性ポリアニリン溶液の含浸→重合性モノマーと酸化剤の含浸→重合→外装ケースへの挿入→樹脂封止→エージング
化成→ビニル基を有する化合物を含有するセパレータを用いてコンデンサ素子形成→ホウ酸化合物溶液に浸漬→修復化成→導電性ポリアニリン溶液の含浸→重合性モノマーと酸化剤の含浸→重合→外装ケースへの挿入→樹脂封止→エージング
化成→両極電極箔の少なくともいずれか一方をホウ酸化合物溶液に浸漬(又は塗布後、乾燥処理)→ビニル基を有する化合物を含有するセパレータを用いてコンデンサ素子形成→修復化成→導電性ポリアニリン溶液の含浸→重合性モノマーと酸化剤の含浸→重合→外装ケースへの挿入→樹脂封止→エージング
なお、これらの方法におけるホウ酸化合物溶液の濃度、温度、含浸時間、乾燥温度、乾燥時間等は、上述した条件と同様である。
上記のように、ビニル基を有する化合物を含有するセパレータを用いてコンデンサ素子を形成すると共に、所定の時期に、コンデンサ素子にホウ酸化合物を含有させることにより、鉛フリーリフローによる耐電圧特性の劣化を防止することができると共に、エージング工程でショートが発生する割合を大幅に低減することができる。
そして、上述したように、ホウ酸化合物を含有させた後、加熱処理を行うと、セパレータから溶出したビニル基を有する化合物の末端基と誘電体酸化皮膜乃至導電性ポリマーとの接合性が向上して、初期特性、特に静電容量とESR特性が向上すると考えられる。
また、ホウ酸化合物溶液及び導電性ポリアニリン溶液の混合溶液を用いて、酸化皮膜上にこれらの混合層を形成しても良い。
化成→ビニル基を有する化合物を含有するセパレータを用いてコンデンサ素子形成→修復化成→導電性ポリアニリン溶液の含浸→ホウ酸化合物溶液に浸漬→重合性モノマーと酸化剤の含浸→重合→外装ケースへの挿入→樹脂封止→エージング
ビニル基を有する化合物を含有するセパレータを用いてコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子内にドデシルベンゼンスルホン酸(DBS)を添加しても良い。この場合も、上記(3−2−6)と同様の作用・効果が得られる。
本発明に用いるドデシルベンゼンスルホン酸の溶媒としては、水、アルコール等を用いることが好ましい。また、ドデシルベンゼンスルホン酸溶液の濃度は、0.1wt%〜5wt%が好ましく、より好ましくは0.2wt%〜2wt%である。ドデシルベンゼンスルホン酸溶液の濃度がこの範囲より小さいと、DBSとPVAの結合体の層が薄いため、静電容量、ESR特性向上、耐圧向上、LC抑制効果が少なくなる。一方、この範囲を超えると、DBSとPVAの結合体の層が厚くなり過ぎて、この層の導電性が低下するため、静電容量、ESR特性が低下する。
上記ドデシルベンゼンスルホン酸をコンデンサ素子内に含有させる方法としては、上記(3−2−6)と同様に、コンデンサ素子を上記のドデシルベンゼンスルホン酸溶液に浸漬する方法、または、ドデシルベンゼンスルホン酸溶液をコンデンサ素子に吐出する方法を用いることができる。
DBSをコンデンサ素子内に含有させる時期は、上記(3−2−6)と同様に、導電性ポリマーを形成する工程の前の段階であれば、どの段階でも良いことが分かった。すなわち、その時期は、上記(3−2−6)で示した図5〜図8のホウ酸化合物溶液を、ドデシルベンゼンスルホン酸溶液に置き換えて適用することができる。
上記のように、ビニル基を有する化合物を含有するセパレータを用いてコンデンサ素子を形成すると共に、所定の時期に、コンデンサ素子にドデシルベンゼンスルホン酸を含有させることにより、鉛フリーリフローによる耐電圧特性の劣化を防止することができると共に、エージング工程でショートが発生する割合を大幅に低減することができる。
ビニル基を有する化合物を含有するセパレータを用いてコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子内にナフタレンスルホン酸ナトリウム(NPS)を添加しても良い。この場合も、上記(3−2−6)と同様の作用・効果が得られる。
ナフタレンスルホン酸ナトリウムの溶媒としては、水、アルコール等を用いることが好ましい。また、ナフタレンスルホン酸ナトリウム溶液の濃度は、0.1wt%〜5wt%が好ましく、より好ましくは0.2wt%〜2wt%である。ナフタレンスルホン酸ナトリウム溶液の濃度がこの範囲より小さいと、NPSとPVAの結合体の層が薄いため、静電容量、ESR特性向上、耐圧向上、LC抑制効果が少なく、この範囲を超えると、NPSとPVAの結合体の層が厚くなり過ぎて、この層の導電性が低下するため、耐圧特性、静電容量、ESR特性が低下する。
上記ナフタレンスルホン酸ナトリウムをコンデンサ素子内に含有させる方法としては、上記第4実施形態及び第5実施形態に示したと同様に、コンデンサ素子をナフタレンスルホン酸ナトリウム溶液に浸漬する方法、または、ナフタレンスルホン酸ナトリウム溶液をコンデンサ素子に吐出する方法を用いることができる。
ナフタレンスルホン酸ナトリウムをコンデンサ素子内に含有させる時期は、上記(3−2−6)と同様に、導電性ポリマーを形成する工程の前の段階であれば、どの段階でも良いことが分かった。すなわち、その時期は、上記(3−2−6)で示した図5〜図8のホウ酸化合物溶液を、ナフタレンスルホン酸ナトリウム溶液に置き換えて適用することができる。
上記のように、ビニル基を有する化合物を含有するセパレータを用いてコンデンサ素子を形成すると共に、所定の時期に、コンデンサ素子にナフタレンスルホン酸ナトリウムを含有させることにより、鉛フリーリフローによる耐電圧特性の劣化を防止することができると共に、エージング工程でショートが発生する割合を大幅に低減することができる。
導電性ポリアニリン溶液の溶媒は、パラキシレンまたは水が好ましい。また、濃度は5wt%以下とすることが好ましい。濃度が10%を超えると均一なポリアニリンフィルムが形成できないからである。
上記のようにして形成したコンデンサ素子に導電性ポリアニリン溶液を含浸する方法としては、以下の2つの方法がある。
第1の方法は、所定の濃度に調製した導電性ポリアニリン溶液を所定の容器に入れ、この溶液中にコンデンサ素子を浸漬し、浸漬した状態で、陽極リードを介して陽極箔に電圧を印加する方法である。なお、この場合、陰極は陰極リード、または容器内に新たに設けた陰極端子板に接続する。電極箔単板からなる素子や焼結体からなる素子等、素子の状態で陰極リードを有しない場合は、前記陰極端子板を用いる。
また、第2の方法は、所定の濃度に調製した導電性ポリアニリン溶液を、ノズル等を用いて直接コンデンサ素子に注入して含浸し、その後、陽極リードを介して陽極箔に電圧を印加する方法である。なお、この場合、陰極は陰極リードに接続する。
また、予め低めの電圧で化成された陽極箔を用い、導電性ポリアニリン溶液中にて陽極箔の化成電圧より高い電圧を印加して、所望の酸化皮膜の厚みになるように陽極箔の化成を実施することもできる。
コンデンサ素子に導電性ポリアニリン溶液を含浸した後、導電性ポリアニリン溶液の溶媒を除去する方法としては、陽極箔に電圧を印加した後、または電圧を印加しながら、コンデンサ素子を容器内に浸漬した状態で、恒温槽中などにおいて加熱処理して溶媒を除去する方法を用いることができる。
なお、上記「(5)導電性ポリアニリン溶液の含浸方法」の項で示した第2の方法は、加熱処理を行いやすいため、より好ましい。
重合性モノマーとしてEDTを用いた場合、コンデンサ素子に含浸するEDT溶液としては、その濃度が25〜32wt%となるようにEDTを揮発性溶媒に溶解させたものを用いることが好ましい。
前記揮発性溶媒としては、ペンタン等の炭化水素類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ギ酸エチル等のエステル類、アセトン等のケトン類、メタノール等のアルコール類、アセトニトリル等の窒素化合物等を用いることができるが、なかでも、メタノール、エタノール、アセトン等が好ましい。
酸化剤としては、エタノールに溶解したパラトルエンスルホン酸第二鉄、過ヨウ素酸もしくはヨウ素酸の水溶液を用いることができ、酸化剤の溶媒に対する濃度は45〜55wt%が好ましく、50〜55wt%がより好ましい。酸化剤の溶媒に対する濃度が高い程、ESRは低減する。なお、酸化剤の溶媒としては、上記モノマー溶液に用いた揮発性溶媒を用いることができ、なかでもエタノールが好適である。酸化剤の溶媒としてエタノールが好適であるのは、蒸気圧が低いため蒸発しやすく、残存する量が少ないためであると考えられる。
修復化成の化成液としては、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム等のリン酸系の化成液、ホウ酸アンモニウム等のホウ酸系の化成液、アジピン酸アンモニウム等のアジピン酸系の化成液を用いることができるが、なかでも、リン酸二水素アンモニウムを用いることが望ましい。また、浸漬時間は、5〜120分が望ましい。
アルミニウム箔の表面にエッチング層および酸化皮膜層(化成電圧4V)が形成された陽極箔と、アルミニウム箔の表面にエッチング層が形成された陰極箔とを、PET繊維を主成分として、PVAバインダーを15%含有してなるセパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成し、修復化成を行った。
このコンデンサ素子を、導電化された導電性ポリアニリンを含有する溶液を入れた容器内に浸漬し、陽極箔に電圧を印加した(3V)。その後、コンデンサ素子を溶液から引き出し、50℃で90分間熱処理して溶媒を除去した。この導電性ポリアニリンフィルムの形成工程を3回行った。なお、導電性ポリアニリン溶液としては、パラキシレンを溶媒とした2wt%の導電性ポリアニリン溶液を用いた。
続いて、酸化剤(P−トルエンスルホン酸第二鉄)とEDTモノマーの混合溶液(ブタノール溶液)に浸漬し、60℃で30分、150℃で60分の加熱重合を行い、導電性ポリマー層を形成した。
そして、このコンデンサ素子を有底筒状の外装ケース(アルミニウムケース)に挿入し、開口端部に封口ゴム(ブチルゴム)を装着して、加締め加工によって封止した。その後に、150℃、120分、3.5Vの電圧印加によってエージングを行い、固体電解コンデンサを形成した。
実施例1における導電性ポリアニリンフィルムの形成方法を変えたものであって、導電化されたポリアニリンを含有する溶液を、ノズルを用いてコンデンサ素子に含浸した後、コンデンサ素子を恒温槽内に入れ、電圧(3V)印加しながら加熱処理して溶媒を除去した。その他の条件及び工程は、実施例1と同様とした。
セパレータとしてマニラ紙を用い、導電性ポリアニリンフィルムを形成せずに、コンデンサ素子形成後、重合工程を行った。その他の条件及び工程は、実施例1と同様とした。
上記の方法により得られた実施例及び従来例について、電気的特性を調べたところ表1に示すような結果が得られた。
なお、耐電圧の比較は、上記各実施例及び従来例のそれぞれにおいて、陽極箔の化成電圧を42Vにし、導電性ポリアニリンフィルム形成時における陽極箔への電圧印加を35Vとしたものを用いた。
また、導電性ポリアニリン溶液の含浸方法が異なる実施例1と実施例2とを比較すると、電圧印加しながら溶媒を除去した実施例2の方が、より良好な結果が得られた。
Claims (8)
- 誘電体酸化皮膜を形成した陽極電極体を有するコンデンサ素子の該陽極電極体上に、導電性ポリマーからなる電解質層を形成する固体電解コンデンサの製造方法において、
前記コンデンサ素子内にビニル基を有する化合物を存在させる工程と、
前記誘電体酸化皮膜を形成した陽極電極体に導電性ポリアニリン溶液を含浸し、この陽極電極体に電圧印加した後、溶媒除去して、導電性ポリアニリンフィルムを形成しつつ、この導電性ポリアニリンフィルムを前記誘電体酸化皮膜上に被着させる工程と、
を含むことを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。 - 誘電体酸化皮膜を形成した陽極電極体を有するコンデンサ素子の該陽極電極体上に、導電性ポリマーからなる電解質層を形成する固体電解コンデンサの製造方法において、
前記コンデンサ素子内にビニル基を有する化合物を存在させる工程と、
前記誘電体酸化皮膜を形成した陽極電極体に導電性ポリアニリン溶液を含浸し、この陽極電極体に電圧印加しながら、溶媒除去して、導電性ポリアニリンフィルムを形成しつつ、この導電性ポリアニリンフィルムを前記誘電体酸化皮膜上に被着させる工程と、
を含むことを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。 - 前記ビニル基を有する化合物をセパレータのバインダーとして含有させることにより、コンデンサ素子内に存在させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
- 前記ビニル基を有する化合物からなるバインダーの含有量が、セパレータの全重量に対して10〜40wt%であることを特徴とする請求項3に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
- 前記コンデンサ素子を60〜100℃の溶液に浸漬することにより、修復化成前におけるセパレータ中のバインダーの量を、セパレータの全重量に対して10〜20wt%に調整することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
- 前記導電性ポリアニリンフィルム上に、前記導電性ポリマーからなる電解質層を形成することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
- 前記導電性ポリマーが、チオフェン誘導体の重合体であることを特徴とする請求項6に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
- 前記チオフェン誘導体が、3,4−エチレンジオキシチオフェンであることを特徴とする請求項7に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004106903A JP4442287B2 (ja) | 2004-03-31 | 2004-03-31 | 固体電解コンデンサの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004106903A JP4442287B2 (ja) | 2004-03-31 | 2004-03-31 | 固体電解コンデンサの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005294503A JP2005294503A (ja) | 2005-10-20 |
JP4442287B2 true JP4442287B2 (ja) | 2010-03-31 |
Family
ID=35327102
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004106903A Expired - Fee Related JP4442287B2 (ja) | 2004-03-31 | 2004-03-31 | 固体電解コンデンサの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4442287B2 (ja) |
Families Citing this family (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7483259B2 (en) * | 2007-03-21 | 2009-01-27 | Avx Corporation | Solid electrolytic capacitor containing a barrier layer |
JP2009010000A (ja) * | 2007-06-26 | 2009-01-15 | Shin Etsu Polymer Co Ltd | コンデンサ及びその製造方法 |
JP2009009999A (ja) * | 2007-06-26 | 2009-01-15 | Shin Etsu Polymer Co Ltd | コンデンサ及びその製造方法 |
WO2009001772A1 (ja) * | 2007-06-26 | 2008-12-31 | Shin-Etsu Polymer Co., Ltd. | コンデンサ及びその製造方法 |
JP2009009997A (ja) * | 2007-06-26 | 2009-01-15 | Shin Etsu Polymer Co Ltd | コンデンサ及びその製造方法 |
JP5921802B2 (ja) * | 2010-03-23 | 2016-05-24 | 日本ケミコン株式会社 | 固体電解コンデンサ |
WO2011118189A1 (ja) * | 2010-03-23 | 2011-09-29 | 日本ケミコン株式会社 | 固体電解コンデンサ |
JP2011199088A (ja) * | 2010-03-23 | 2011-10-06 | Nippon Chemicon Corp | 固体電解コンデンサ |
JP2011199086A (ja) * | 2010-03-23 | 2011-10-06 | Nippon Chemicon Corp | 固体電解コンデンサ |
JP2011199087A (ja) * | 2010-03-23 | 2011-10-06 | Nippon Chemicon Corp | 固体電解コンデンサ |
JP5895227B2 (ja) * | 2011-02-24 | 2016-03-30 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 固体電解コンデンサ及びその製造方法 |
-
2004
- 2004-03-31 JP JP2004106903A patent/JP4442287B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2005294503A (ja) | 2005-10-20 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4525840B2 (ja) | 固体電解コンデンサ及びその製造方法 | |
JP7233016B2 (ja) | 電解コンデンサおよびその製造方法 | |
JP4442287B2 (ja) | 固体電解コンデンサの製造方法 | |
US9892858B2 (en) | Method for manufacturing electrolytic capacitor | |
JP2000195758A (ja) | 固体電解コンデンサとその製造方法 | |
JP4442288B2 (ja) | 固体電解コンデンサの製造方法 | |
JP2005294504A (ja) | 固体電解コンデンサの製造方法 | |
JP5134173B2 (ja) | 固体電解コンデンサ及びその製造方法 | |
JP4773031B2 (ja) | 固体電解コンデンサの製造方法 | |
JP4821818B2 (ja) | 固体電解コンデンサ及びその製造方法 | |
JP2001102259A (ja) | 固体電解コンデンサとその製造方法 | |
JP2007305684A (ja) | 固体電解コンデンサ及びその製造方法 | |
JP5117655B2 (ja) | 固体電解コンデンサ及びその製造方法 | |
JP4442361B2 (ja) | 固体電解コンデンサの製造方法 | |
JP2013138145A (ja) | 固体電解コンデンサの製造方法 | |
JP4442285B2 (ja) | 固体電解コンデンサの製造方法 | |
JP2001284181A (ja) | 固体電解コンデンサ | |
JP2001284178A (ja) | 固体電解コンデンサとその製造方法 | |
JP4529403B2 (ja) | 固体電解コンデンサの製造方法 | |
JP4165066B2 (ja) | 固体電解コンデンサの製造方法 | |
JP4780894B2 (ja) | 固体電解コンデンサ及びその製造方法 | |
JP2001284179A (ja) | 固体電解コンデンサとその製造方法 | |
JP2002110466A (ja) | 固体電解コンデンサとその製造方法 | |
JP2014072381A (ja) | 固体電解コンデンサの製造方法 | |
JP2005109079A (ja) | 固体電解コンデンサ及びその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20070329 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20091222 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20100104 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130122 Year of fee payment: 3 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |