JP2002110466A - 固体電解コンデンサとその製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサとその製造方法

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JP2002110466A
JP2002110466A JP2000300967A JP2000300967A JP2002110466A JP 2002110466 A JP2002110466 A JP 2002110466A JP 2000300967 A JP2000300967 A JP 2000300967A JP 2000300967 A JP2000300967 A JP 2000300967A JP 2002110466 A JP2002110466 A JP 2002110466A
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Atsushi Yoshizawa
篤志 吉沢
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  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 リフロー半田時の膨れ及び特性劣化の防止を
可能とした、表面実装用に好適な固体電解コンデンサと
その製造方法を提供する。 【解決手段】 外部接続部を有する電極引き出し手段が
接続された両極電極箔をセパレータを介して巻回してコ
ンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子に修復化成
を行った後、セパレータに所定の酸を注入、浸漬等によ
って付着させる。付着量は、セパレータの容積1mm3
に対して0.01〜0.2mg、好ましくは0.02〜
0.05mgである。あるいは、コンデンサ素子を1〜
10wt%の酸を含む溶液に常温で10秒以上浸漬し、
150〜200℃、60〜180分、熱処理を行う。続
いて、このコンデンサ素子に所定のモノマー又はモノマ
ー溶液を含浸し、さらに所定の酸化剤を含浸して、20
〜180℃、30分以上加熱して導電性高分子層を形成
する。その後、このコンデンサ素子を有底筒状のアルミ
ニウムケースに挿入し、開口部を絞り加工によってゴム
封口する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固体電解コンデン
サとその製造方法に係り、特に、リフロー半田時の膨れ
及び特性劣化の防止を図った、表面実装用として好適な
固体電解コンデンサとその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】タンタルあるいはアルミニウム等のよう
な弁作用を有する金属を利用した電解コンデンサは、陽
極側対向電極としての弁作用金属を焼結体あるいはエッ
チング箔等の形状にして誘電体を拡面化することによ
り、小型で大きな容量を得ることができることから、広
く一般に用いられている。特に、電解質に固体電解質を
用いた固体電解コンデンサは、小型、大容量、低等価直
列抵抗であることに加えて、チップ化しやすく、表面実
装に適している等の特質を備えていることから、電子機
器の小型化、高機能化、低コスト化に欠かせないものと
なっている。
【0003】この種の固体電解コンデンサにおいて、小
型、大容量用途としては、一般に、アルミニウム等の弁
作用金属からなる陽極箔と陰極箔をセパレータを介在さ
せて巻回してコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ
素子に駆動用電解液を含浸し、アルミニウム等の金属製
ケースや合成樹脂製のケースにコンデンサ素子を収納
し、密閉した構造を有している。なお、陽極材料として
は、アルミニウムを初めとしてタンタル、ニオブ、チタ
ン等が使用され、陰極材料には、陽極材料と同種の金属
が用いられる。
【0004】また、固体電解コンデンサに用いられる固
体電解質としては、二酸化マンガンや7、7、8、8−
テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体が知られて
いるが、近年、電導度が高く、陽極電極の酸化皮膜層と
の密着性に優れたポリピロール、ポリチオフェン、ポリ
アニリン等の導電性高分子が着目されるようになった
(特開平2−15611号公報等)。なかでも、酸化皮
膜の厚さに対して耐電圧を高くとることができるという
理由から、小型化が図れる導電性高分子として、ポリエ
チレンジオキシチオフェン(以下、PEDTと記す)が
注目されている。
【0005】さらに、セパレータとしては、綿密で均一
な固体電解質層を得ることができるようにするために、
ビニロン繊維を主体とした不織布からなるセパレータに
着目した技術(特開平10−340829号公報)が存
在している。
【0006】このような巻回型のコンデンサ素子に導電
性高分子からなる固体電解質層を形成するタイプの固体
電解コンデンサは、通常、化成→コンデンサ素子形成→
固体電解質層形成→コンデンサ素子を樹脂被覆→有底筒
状の金属ケースに挿入→開口部を絞り加工によってゴム
封口という製造工程によって作製される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たような従来の固体電解コンデンサを、横型又は縦型の
表面実装用チップ部品とし、高温リフロー半田付けを行
うと、リフロー半田時に静電容量が減少し、漏れ電流が
上昇するといった問題点があった。なお、このような問
題は、セパレータとしてビニロン繊維を主体とした不織
布からなるセパレータを用いた場合に顕著であった。
【0008】特に、近年、環境問題から高融点の鉛フリ
ー半田が用いられるようになり、半田リフロー温度が2
00〜220℃から、250〜270℃へとさらに高温
化しているため、高温リフロー半田付けを行った場合で
も、金属ケースや封口ゴムの膨れが生じず、特性も劣化
しない固体電解コンデンサの開発が切望されていた。
【0009】本発明は、上述したような従来技術の問題
点を解決するために提案されたものであり、その目的
は、リフロー半田時の膨れ及び特性劣化の防止を可能と
した、表面実装用として好適な固体電解コンデンサとそ
の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決すべく、リフロー半田時の膨れ及び特性劣化を防止
することができる、表面実装用として好適な固体電解コ
ンデンサ及びその製造方法について鋭意検討を重ねた結
果、本発明を完成するに至ったものである。
【0011】まず、本発明者は、セパレータとしてビニ
ロン繊維を主体とした不織布からなるセパレータを用い
た固体電解コンデンサを、横型又は縦型の表面実装用チ
ップ部品とし、200〜250℃で高温リフロー半田付
けを行った場合に、金属ケースや封口ゴムの膨れが生
じ、特性も劣化する原因について種々の検討を行った結
果、以下に示すような結論に達した。
【0012】すなわち、セパレータとしてビニロンを用
いた場合、ビニロンを高温保持することによって、又
は、重合反応後にコンデンサ素子内に残存する酸化剤と
の反応によって、ビニロンの−OH基等の末端の基がガ
ス化して、コンデンサの膨れ及び特性の劣化が生じると
考えられた。
【0013】そこで、本発明者は、セパレータとしてビ
ニロン繊維を主体とした不織布からなるセパレータを用
いた場合でも、リフロー半田時にビニロンの末端基がガ
ス化することを防止することができる固体電解コンデン
サ及びその製造方法についてさらに検討を重ねた結果、
導電性高分子の重合前にセパレータに所定の酸を付着さ
せ、熱処理を行うことにより良好な結果が得られること
が判明したものである。
【0014】(固体電解コンデンサの製造方法)続い
て、本発明に係る巻回型の固体電解コンデンサの製造方
法の一例について説明する。すなわち、外部接続部を有
する電極引き出し手段が接続された両極電極箔をセパレ
ータを介して巻回してコンデンサ素子を形成し、このコ
ンデンサ素子をリン酸二水素アンモニウム水溶液中に5
〜120分浸漬して修復化成を行う。
【0015】そして、修復化成後に、セパレータに所定
の酸を注入、浸漬等によって付着させる。付着量は、セ
パレータの容積1mm3に対して0.01〜0.2m
g、好ましくは0.02〜0.05mgである。あるい
は、コンデンサ素子を1〜10wt%の酸を含む溶液に
常温で10秒以上浸漬し、150〜200℃、60〜1
80分、熱処理を行う。
【0016】続いて、このコンデンサ素子に所定のモノ
マー又はモノマー溶液を含浸し、さらに所定の酸化剤を
含浸して、20〜180℃、30分以上加熱して導電性
高分子層を形成する。その後、このコンデンサ素子を有
底筒状のアルミニウムケースに挿入し、開口部を絞り加
工によってゴム封口する。
【0017】なお、モノマー及び酸化剤をコンデンサ素
子に含浸する方法としては、常温でシリンジ等により定
量注入する注入法の他、浸漬法を用いることができるこ
とは言うまでもない。また、巻回型のコンデンサ素子だ
けでなく、陽極箔と陰極箔とを平板の形で対向させたコ
ンデンサ素子を用いても良い。
【0018】(モノマー)本発明に用いられるモノマー
としては、エチレンジオキシチオフェン(以下、EDT
と記す)、ピロール、チオフェン、フラン、アニリン及
びそれらの誘導体等、酸化重合により導電性高分子とな
るモノマーを用いることができる。
【0019】(酸化剤)本発明に用いられる酸化剤とし
ては、p−トルエンスルホン酸第二鉄、ドデシルベンゼ
ンスルホン酸第二鉄、過硫酸アンモニウム、過マンガン
酸カリウム等が挙げられる。
【0020】(EDT、酸化剤)本発明に用いられる導
電性高分子としてはPEDTが最適であるので、以下
に、PEDTを重合するために用いられるモノマー及び
酸化剤について説明する。すなわち、コンデンサ素子に
含浸するEDTとしては、EDTモノマーを用いること
ができるが、EDTと揮発性溶媒とを1:1〜1:3の
体積比で混合したモノマー溶液を用いることもできる。
【0021】前記揮発性溶媒としては、ペンタン等の炭
化水素類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ギ酸エ
チル等のエステル類、アセトン等のケトン類、メタノー
ル等のアルコール類、アセトニトリル等の窒素化合物等
を用いることができるが、なかでも、メタノール、エタ
ノール、アセトン等が好ましい。
【0022】また、酸化剤としては、ブタノールに溶解
したパラトルエンスルホン酸第二鉄を用いることが望ま
しい。この場合、ブタノールとパラトルエンスルホン酸
第二鉄の比率は任意で良いが、30〜50%溶液を用い
ることが望ましい。なお、EDTと酸化剤の配合比は
1:3〜1:6の範囲が好適である。
【0023】(セパレータに付着させる酸)セパレータ
に付着させる酸としては、重合反応に用いる酸化剤が分
解して生成する酸、あるいは、セパレータと反応する酸
が用いられるが、セパレータと反応しやすい強酸が好ま
しい。例えば、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベン
ゼンスルホン酸、硫酸、硝酸等が挙げられる。
【0024】(酸溶液)酸溶液の濃度は、0.01〜5
0wt%、好ましくは1〜10wt%である。なお、酸
溶液の濃度が0.01wt%以下だと、セパレータの−
OH基等の末端の基と酸との反応が進行せず、セパレー
タのリフロー時の反応部分が減少しないので、リフロー
特性が低下する。一方、酸溶液の濃度が50wt%以上
だと、セパレータに付着させた酸が重合反応を阻害する
ため、初期特性が低下する。
【0025】また、溶媒としては、酸が溶解し、蒸発特
性の良い溶媒を用いることができる。例えば、アルコー
ル、アセトン、水等が挙げられる。これらの溶媒の比重
と酸の濃度に応じて酸の搭載量を決めることができる。
具体的には、コンデンサ素子に浸漬等によって酸溶液を
含浸させ、この溶液の容積を計算する。そして、この容
積に溶媒の比重と酸の濃度をかけたものがこのセパレー
タに搭載した酸の量となる。また、この酸の量をセパレ
ータの容積(面積×厚さ)で割ると、セパレータの容積
当たりの酸の量を算出することができる。
【0026】(酸の付着方法)酸の付着方法は、注入法
でも浸漬法でも良い。また、付着量の最適範囲は、セパ
レータの容積1mm3に対して0.01〜0.2mg、
好ましくは0.02〜0.05mgである。付着量がこ
の下限値以下だと、セパレータの−OH基等の末端の基
と酸との反応が進行せず、セパレータのリフロー時の反
応部分が減少しないので、リフロー特性が低下する。一
方、付着量がこの上限値以上だと、セパレータに付着さ
せた酸が重合反応を阻害するため、初期特性が低下す
る。
【0027】また、熱処理温度の最適範囲は100〜3
00℃、好ましくは150〜200℃、熱処理時間は、
1〜240分、好ましくは60〜180分である。熱処
理温度が100℃以下だと、セパレータの−OH基等の
末端の基と酸との反応が良好に進行せず、リフロー時に
セパレータの−OH基等の末端の基のガス化による膨れ
が発生するため好ましくなく、300℃以上だと、酸化
皮膜が損傷を受け、初期特性が悪化するため好ましくな
い。また、熱処理時間が1分以下だと、セパレータの−
OH基等の末端の基と酸との反応が良好に進行せず、リ
フロー時にセパレータの−OH基等の末端の基のガス化
による膨れが発生するため好ましくない。
【0028】(修復化成の化成液)修復化成の化成液と
しては、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アン
モニウム等のリン酸系の化成液、ホウ酸アンモニウム等
のホウ酸系の化成液、アジピン酸アンモニウム等のアジ
ピン酸系の化成液を用いることができるが、なかでも、
リン酸二水素アンモニウムを用いることが望ましい。ま
た、浸漬時間は、5〜120分が望ましい。
【0029】(セパレータ)本発明で用いられるセパレ
ータとしては、ビニロン、紙等、高温で酸と反応して、
ガスを発生するセパレータに適応することができる。な
かでも、繊維径が3.0〜12.0μmのビニロン繊維
を所定のカット長の短繊維とし、所定のバインダーを用
いて、任意の手段により不織布としたものを用いること
が望ましい。なお、このセパレータとしては、坪量が5
〜30g/m2、厚さが10〜200μm、密度が0.
1〜0.56g/cm3であることが好ましい。
【0030】(作用・効果)上記のような製造方法によ
って製造された本発明に係る固体電解コンデンサにおい
ては、導電性高分子の重合前に、所定の酸をセパレータ
に付着させ、熱処理を行うことによって、セパレータを
構成する樹脂の末端基をこの酸と反応させて改質するこ
とができる。そのため、リフロー時に、セパレータを構
成する樹脂の末端基が、重合反応後に残存する酸化剤と
反応することはなく、ガス化が起こることもない。その
結果、ガス発生に起因するコンデンサの膨れを抑制で
き、また、ガス発生によるストレスによって引き起こさ
れる導電性高分子層の誘電体皮膜からの剥離や誘電体皮
膜の損傷に起因すると考えられる静電容量の減少や漏れ
電流の上昇も抑制することができる。また、導電性高分
子層がPEDTである場合には、PEDTの耐熱特性が
良好であるため、250〜260℃の高温の鉛フリーリ
フローにも対応することができるようになる。
【0031】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をさらに詳細
に説明する。なお、本発明に係る固体電解コンデンサ
は、以下の実施例のように作成した。また、比較例とし
て、修復化成後に酸を付着させることなく熱処理を行
い、樹脂被覆した固体電解コンデンサを用い、従来例と
して、修復化成後に熱処理を行うことなく、樹脂被覆し
た固体電解コンデンサを用いた。
【0032】(実施例)表面に酸化皮膜層が形成された
陽極箔と陰極箔に電極引き出し手段を接続し、両電極箔
を繊維径が7.5μmのビニロン繊維を主体とするビニ
ロン不織布からなるセパレータを介して巻回して、素子
形状が10φ×8Lのコンデンサ素子を形成した。そし
て、このコンデンサ素子をリン酸二水素アンモニウム水
溶液に40分間浸漬して、修復化成を行った。そして、
修復化成後に、コンデンサ素子を2wt%のパラトルエ
ンスルホン酸水溶液に常温で10秒浸漬し、200℃で
1時間熱処理を行った。
【0033】続いて、このコンデンサ素子に、注入法に
よりEDTモノマーを含浸し、さらに酸化剤溶液として
40%のパラトルエンスルホン酸第二鉄のブタノール溶
液を含浸して、100℃、1時間加熱して、PEDTか
らなる固体電解質層を形成した。その後、樹脂被覆する
ことなく、このコンデンサ素子を有底筒状のアルミニウ
ムケースに挿入し、開口部を絞り加工によってゴム封口
して固体電解コンデンサを形成した。なお、EDTモノ
マーと酸化剤との配合比は、1:5とした。また、この
固体電解コンデンサの定格電圧は16WV、定格容量は
150μFである。
【0034】(比較例)表面に酸化皮膜層が形成された
陽極箔と陰極箔に銀メッキを施した外部接続部を有する
電極引き出し手段を接続し、両電極箔を繊維径が7.5
μmのビニロン繊維を主体とするビニロン不織布からな
るセパレータを介して巻回して、素子形状が10φ×8
Lのコンデンサ素子を形成した。そして、このコンデン
サ素子をリン酸二水素アンモニウム水溶液に40分間浸
漬して、修復化成を行った後、230℃で1時間熱処理
した。続いて、このコンデンサ素子に、注入法によりE
DTモノマーを含浸し、さらに酸化剤溶液として40%
のパラトルエンスルホン酸第二鉄のブタノール溶液を含
浸して、100℃、1時間加熱して、PEDTからなる
固体電解質層を形成した。その後、コンデンサ素子の表
面を樹脂で被覆した後、有底筒状のアルミニウムケース
に挿入し、開口部を絞り加工によってゴム封口して固体
電解コンデンサを形成した。
【0035】(従来例)上記比較例と同様にしてコンデ
ンサ素子を形成し、修復化成を行った後に熱処理を行わ
ずに、比較例と同様の条件で固体電解コンデンサを形成
した。
【0036】[比較結果]上記の方法により得られた実
施例、比較例及び従来例の各固体電解コンデンサについ
て、初期特性とリフロー試験後の特性を調べたところ、
表1に示すような結果が得られた。なお、リフロー試験
条件は、ピーク温度240℃、230℃以上30秒、2
回のリフロー半田を行ったものである。
【表1】
【0037】表1から明らかなように、ビニロンセパレ
ータを用い、修復化成を行った後に熱処理を行わず、重
合後に樹脂被覆を行った従来例においては、リフロー試
験後のESR(等価直列抵抗)は、初期特性の1.16
倍に増大し、また、静電容量の減少率は7%と大きな値
を示した。さらに、リフロー試験後の金属ケースの径の
変化量(△L)は1.10mmと大きく、封口ゴムにも
膨れが認められた。
【0038】一方、ビニロンセパレータを用い、修復化
成を行った後に230℃で熱処理し、重合後に樹脂被覆
を行った比較例においては、リフロー試験後のESR
(等価直列抵抗)は、初期特性の1.06倍とほぼ変化
しなかった。また、静電容量の減少率は3%と、従来例
の約43%に低減したが、未だ十分なものではなかっ
た。さらに、リフロー試験後の金属ケースの径の変化量
(△L)は0.20mmであり、従来例と比較して改善
はされたものの十分ではなく、封口ゴムにも膨れが認め
られた。
【0039】これに対し、本発明に係る実施例において
は、リフロー試験後のESR(等価直列抵抗)は、初期
特性と同じ値を示し、また、静電容量の減少率も1%
と、従来例及び比較例と比べて大幅に低減した。さら
に、リフロー試験後の金属ケースの径の変化量(△L)
は0.10mmであり、その増加量は比較例の半分、従
来例の9%に過ぎず、封口ゴムにも膨れは認められなか
った。
【0040】このように、導電性高分子の重合前にセパ
レータに所定の酸を付着させ、熱処理を行うことによ
り、リフロー半田時の膨れ及び特性劣化を防止できるこ
とが分かった。さらに、上記実施例のように、樹脂被覆
を行わなくても良好な結果が得られるので、製造工程を
短縮化できることが分かった。
【0041】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、リ
フロー半田時の膨れ及び特性劣化の防止を可能とした、
表面実装用に好適な固体電解コンデンサとその製造方法
を提供することができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01G 9/24 B

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電極引き出し手段が接続された両極電極
    箔をセパレータを介して巻回すると共に、両極電極箔間
    に所定のモノマーと酸化剤を含浸させ、酸化重合により
    導電性高分子からなる固体電解質層を形成したコンデン
    サ素子を備えた固体電解コンデンサにおいて、 前記導電性高分子の重合前に、前記セパレータに所定の
    酸を付着させ、熱処理を行ったことを特徴とする固体電
    解コンデンサ。
  2. 【請求項2】 電極引き出し手段が接続された両極電極
    箔をセパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成
    し、両極電極箔間に所定のモノマーと酸化剤を含浸さ
    せ、酸化重合により導電性高分子からなる固体電解質層
    を形成したコンデンサ素子を備えた固体電解コンデンサ
    において、 前記導電性高分子の重合前に、前記コンデンサ素子を所
    定の酸を含む溶液に浸漬し、熱処理を行ったことを特徴
    とする固体電解コンデンサ。
  3. 【請求項3】 前記導電性高分子がポリエチレンジオキ
    シチオフェンであることを特徴とする請求項1又は請求
    項2に記載の固体電解コンデンサ。
  4. 【請求項4】 前記酸が、パラトルエンスルホン酸であ
    ることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一
    に記載の固体電解コンデンサ。
  5. 【請求項5】 前記セパレータが、ビニロン繊維からな
    る不織布により構成されていることを特徴とする請求項
    1乃至請求項4のいずれか一に記載の固体電解コンデン
    サ。
  6. 【請求項6】 外部接続部を有する電極引き出し手段が
    接続された両極電極箔をセパレータと共に巻回してコン
    デンサ素子を形成し、修復化成を行った後、このコンデ
    ンサ素子を所定の酸を含む溶液に浸漬し、所定の熱処理
    を行った後、前記コンデンサ素子に所定のモノマーと酸
    化剤を含浸させて導電性高分子からなる固体電解質層を
    形成することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方
    法。
  7. 【請求項7】 前記導電性高分子がポリエチレンジオキ
    シチオフェンであることを特徴とする請求項6に記載の
    固体電解コンデンサの製造方法。
  8. 【請求項8】 前記酸が、パラトルエンスルホン酸であ
    ることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の固体
    電解コンデンサの製造方法。
  9. 【請求項9】 前記セパレータが、ビニロン繊維からな
    る不織布により構成されていることを特徴とする請求項
    6乃至請求項8のいずれか一に記載の固体電解コンデン
    サの製造方法。
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