JP4568947B2 - 固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体電解コンデンサとその製造方法に係り、特に、静電容量並びにESR、漏れ電流特性の向上を図るべく改良を施した固体電解コンデンサとその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
タンタルあるいはアルミニウム等のような弁作用を有する金属を利用した電解コンデンサは、陽極側対向電極としての弁作用金属を焼結体あるいはエッチング箔等の形状にして誘電体を拡面化することにより、小型で大きな容量を得ることができることから、広く一般に用いられている。特に、電解質に固体電解質を用いた固体電解コンデンサは、小型、大容量、低等価直列抵抗であることに加えて、チップ化しやすく、表面実装に適している等の特質を備えていることから、電子機器の小型化、高機能化、低コスト化に欠かせないものとなっている。
【0003】
この種の固体電解コンデンサにおいて、小型、大容量用途としては、一般に、アルミニウム等の弁作用金属からなる陽極箔と陰極箔をセパレータを介在させて巻回してコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子に駆動用電解液を含浸し、アルミニウム等の金属製ケースや合成樹脂製のケースにコンデンサ素子を収納し、密閉した構造を有している。なお、陽極材料としては、アルミニウムを初めとしてタンタル、ニオブ、チタン等が使用され、陰極材料には、陽極材料と同種の金属が用いられる。
【0004】
また、固体電解コンデンサに用いられる固体電解質としては、二酸化マンガンや7、7、8、8−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体が知られているが、近年、反応速度が緩やかで、かつ陽極電極の酸化皮膜層との密着性に優れたポリエチレンジオキシチオフェン(以下、PEDTと記す)に着目した技術(特開平2−15611号公報)が存在している。
【0005】
例えば、巻回型のコンデンサ素子にPEDTからなる固体電解質層を形成するタイプの固体電解コンデンサは、図2に示すように、化成→コンデンサ素子形成→修復化成→EDTと酸化剤の含浸→重合→外装ケースへの挿入→樹脂封止→エージングという製造工程によって作製される。以下には、この製造工程について、図3及び図4を参照して簡単に説明する。
【0006】
まず、図4に示すように、アルミニウム等の弁作用金属からなる陽極箔1の表面を塩化物水溶液中での電気化学的なエッチング処理により粗面化して、多数のエッチングピット8を形成した後、ホウ酸アンモニウム等の水溶液中で電圧を印加して誘電体となる酸化皮膜層4を形成する(化成)。陽極箔1と同様に、図3に示すような陰極箔2も、アルミニウム等の弁作用金属からなるが、その表面にはエッチング処理を施すのみである。また、図3に示すように、陽極箔1及び陰極箔2には、それぞれの電極を外部に接続するためのリード線6、7を、ステッチ、超音波溶接等の公知の手段により接続する。
【0007】
次に、以上のようにして表面に酸化皮膜層4が形成された陽極箔1とエッチングピット8のみが形成された陰極箔2とを、図3に示すようにセパレータ3を介して巻回して、コンデンサ素子10を形成し、その後、修復化成を行う。この修復化成は、前記巻回工程において電極箔に機械的ストレスがかかり、これが原因となって酸化皮膜に亀裂が発生する等の損傷を受けた場合に、再度化成液中で化成することによって、この亀裂の発生した部分に酸化皮膜を形成して、損傷を修復するものである。
【0008】
続いて、修復化成を施したコンデンサ素子10を3,4−エチレンジオキシチオフェン(以下、EDTと記す)と酸化剤の混合溶液(重合液)に浸漬することにより、この重合液をコンデンサ素子10に含浸する。あるいはまた、コンデンサ素子10をEDTと酸化剤溶液に交互に浸漬して含浸する。いずれの場合でも、コンデンサ素子10にEDTと酸化剤を含浸した後、重合反応させ、図4に示すようなPEDTからなる固体電解質層5を生成する。
【0009】
この後、コンデンサ素子10を図示していない外装ケースに挿入する。続いて、外装ケース内にエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を付着して熱硬化させることによって、コンデンサ素子10の外周に外装樹脂を被覆し(樹脂封止)、固体電解コンデンサを完成する。なお、このように樹脂封止を行うと、酸化皮膜層4が損傷して漏れ電流特性が低下するため、樹脂封止後に、コンデンサ定格電圧に応じた電圧を印加して高温のエージングを行うことにより酸化皮膜層4を修復し、特性の向上を図っている。
【0010】
なお、上記の製造方法においては、コンデンサ素子にEDTと酸化剤を含浸する方法として浸漬法を用いたが、EDTと酸化剤を常温で、シリンジ等により定量注入する方法(注入法)を用いることもできる。
【0011】
このようにして得られたPEDTを用いた固体電解コンデンサは、陽極箔の化成電圧に対してコンデンサの耐電圧を高く設定することができるという特徴を有しているため、小型・大容量の固体電解コンデンサを実現することができる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような方法によって作製されたPEDTを用いた固体電解コンデンサにおいても、耐電圧特性が未だ十分ではなく、漏れ電流特性の規格外のものが発生するという問題点があった。また、漏れ電流の高いコンデンサは、出荷検査時にデバッグを行う必要があり、製造効率が非常に悪くなっていた。
さらに、静電容量及びESRをより向上させることが切望されていた。
【0013】
本発明は、上述したような従来技術の問題点を解決するために提案されたものであり、その目的は、静電容量並びにESR、漏れ電流特性を向上させることができる固体電解コンデンサとその製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決すべく、静電容量並びにESR、漏れ電流特性を向上させることができる固体電解コンデンサとその製造方法について鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明者は、ビニロンからなるセパレータについて種々検討した結果、このセパレータを130℃以上で熱処理すると、静電容量が向上することを見出した。また、本出願人が先に特許出願した特願平10−309817号には、固体電解コンデンサの製造工程中に、ホウ酸又はその塩、マンニット、リン酸二水素アンモニウムの少なくともいずれかの添加剤を添加することによって、耐電圧特性を向上させることができることが示されている。
そこで、本発明者は、ビニロンからなるセパレータを用いた場合に、上記添加剤を添加する効果が最大限発揮される条件について、種々の検討を行ったものである。
【0015】
(固体電解コンデンサの製造方法)
続いて、本発明に係る巻回型の固体電解コンデンサの製造方法の一例について説明する。
すなわち、図1に示したように、陽極箔を陰極箔及びビニロンからなるセパレータと共に巻回してコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子をリン酸二水素アンモニウム水溶液中に5〜120分浸漬して、修復化成を行う。次いで、ホウ酸又はその塩、マンニット、リン酸二水素アンモニウムから選択された一種又は二種以上の添加剤の水溶液に、コンデンサ素子を30秒〜5分間浸漬し、その後、130〜200℃で少なくとも30分、好ましくは90分以上熱処理する。
【0016】
続いて、このコンデンサ素子にEDT又はEDT溶液を含浸し、さらに30〜50%のパラトルエンスルホン酸第二鉄のブタノール溶液を含浸して、20〜180℃、30分以上加熱する。その後、コンデンサ素子の表面を樹脂で被覆した後、有底筒状のアルミニウムケースに挿入し、開口部を絞り加工によってゴム封口する。
【0017】
なお、EDT及び酸化剤をコンデンサ素子に含浸する方法としては、常温でシリンジ等により定量注入する注入法の他、浸漬法を用いることができることは言うまでもない。
また、熱処理温度を130〜200℃としたのは、130℃以下だと、所望の効果が得られるほどにはPVAの−OH基の脱離、あるいはPVAの結晶化が進まないからであり、200℃を超えるとPVAの分解が始まるからである。
さらに、熱処理時間を少なくとも30分、好ましくは90分以上とした理由は、30分未満だと、上記熱処理温度と同様に、所望の効果が得られるほどにはPVAの−OH基の脱離、あるいはPVAの結晶化が進まないからである。
【0018】
このように、ビニロンからなるセパレータを用いると共に、酸化皮膜の修復化成とPEDTを形成する工程との間で、コンデンサ素子を上記の添加剤の水溶液に浸漬し、その後、所定の温度で熱処理することにより、良好な結果が得られた理由は以下の通りであると考えられる。
すなわち、ビニロンは、PVA(ポリビニルアルコール)の親水性の−OH基をホルマール化して疎水化し、耐水性を向上させたものであり、疎水化することによって親油性が増している。そして、両電極箔をこのビニロンからなるセパレータを介して巻回することによってコンデンサ素子を形成し、修復化成と添加剤溶液に浸漬する工程の後、コンデンサ素子を所定の温度で熱処理することによって、ビニロンからなるセパレータの親油性がさらに向上する。その結果、親油性であるEDTの含浸量が増し、さらに、形成されたPEDTも親油性であるため、その保持状態が向上し、保持量も増すため、静電容量が向上するものと考えられる。
【0019】
なお、ビニロンからなるセパレータを熱処理することによって、親油性がさらに向上した理由は、以下の通りと考えられる。すなわち、ビニロンのホルマール化は100%ではないので、PVAの−OH基が残存しており、熱処理によってこの−OH基が脱離するか、またはPVAの結晶化によって親油性が向上するものと考えられる。
【0020】
また、酸化皮膜の修復化成とPEDTを形成する工程との間で、コンデンサ素子を上記の添加剤の水溶液に浸漬することにより、酸化皮膜の近傍にこれらの添加剤を存在させることができるので、これらの添加剤が酸化皮膜と結合して安定な錯体等を形成し、酸化皮膜を安定化することができると考えられる。
【0021】
(セパレータ)
本発明で用いられるセパレータは、繊維径が3.0〜12.0μmのビニロン繊維を所定のカット長の短繊維とし、所定のバインダーを用いて、任意の手段により不織布としたものである。なお、このセパレータとしては、坪量が5〜30g/m2、厚さが10〜200μm、密度が0.1〜0.56g/cm3であることが好ましい。
【0022】
(修復化成の化成液)
修復化成の化成液としては、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム等のリン酸系の化成液、ホウ酸アンモニウム等のホウ酸系の化成液、アジピン酸アンモニウム等のアジピン酸系の化成液を用いることができるが、なかでも、リン酸二水素アンモニウムを用いることが望ましい。また、浸漬時間は、5〜120分が望ましい。
【0023】
(添加剤)
ホウ酸又はその塩におけるホウ酸の塩としては、アンモニウム塩、アミン塩、四級アンモニウム塩及び環状アミジン化合物の四級アンモニウム塩が挙げられる。
また、ホウ酸又はその塩、マンニット、リン酸二水素アンモニウムの添加量は、それぞれ水に対して0.1〜10wt%、より好ましくは1〜8wt%である。添加量が0.1wt%以下では効果が少なく、10wt%を超えると静電容量が低下する傾向があるためである。なお、添加量が10wt%を超えると静電容量が低下するのは、酸化皮膜の表面に存在する添加剤が多すぎて、酸化皮膜とPEDTの間の密着を阻害するためであると考えられる。
さらに、ホウ酸又はその塩、マンニット、リン酸二水素アンモニウムの水溶液の温度は、10〜60℃、含浸時間は30秒〜5分が望ましい。
【0024】
なお、上記ホウ酸又はその塩、マンニット、リン酸二水素アンモニウムは水溶液として用いることができるだけでなく、種々の溶媒に溶解して用いることもできる。
この溶媒としては、プロトン性極性溶媒、非プロトン性極性溶媒が挙げられる。プロトン性極性溶媒としては、一価アルコール(メタノール、エタノール等)、多価アルコール及びオキシアルコール化合物類(エチレングリコール、メチルセロソルプ、1,3−ブタンジオール等)などが挙げられる。また、非プロトン性極性溶媒としては、アミド系(N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド等)、ラクトン類(γ−ブチロラクトン等)、環状アミド類(N−メチル−2−ピロリドン等)、カーボネート類(プロピレンカーボネート等)、ニトリル類(アセトニトリル等)、オキシド類(ジメチルスルホキシド等)などが挙げられる。
【0025】
(EDT、酸化剤)
また、コンデンサ素子に含浸するEDTとしては、EDTモノマーを用いることができるが、EDTと揮発性溶媒とを1:1〜1:3の体積比で混合したモノマー溶液を用いることもできる。
前記揮発性溶媒としては、ペンタン等の炭化水素類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ギ酸エチル等のエステル類、アセトン等のケトン類、メタノール等のアルコール類、アセトニトリル等の窒素化合物等を用いることができるが、なかでも、メタノール、エタノール、アセトン等が好ましい。
また、酸化剤としては、ブタノールに溶解したパラトルエンスルホン酸第二鉄を用いる。この場合、ブタノールとパラトルエンスルホン酸第二鉄の比率は任意で良いが、本発明においては30〜50%溶液を用いている。なお、EDTと酸化剤の配合比は1:3〜1:6の範囲が好適である。
【0026】
(添加剤をコンデンサ素子内に存在させる時期)
本発明者は、上記添加剤をコンデンサ素子内に存在させる時期について種々検討したところ、修復化成工程と熱処理工程の間が望ましいことが判明した。
すなわち、熱処理工程の後に、上記添加剤溶液にコンデンサ素子を浸漬すると、熱処理によってビニロンセパレータの親油性が向上しているため、充分な量の添加剤溶液がコンデンサ素子へ含浸せず、良好な結果が得られないことが分かった。一方、熱処理工程の前に、上記添加剤溶液にコンデンサ素子を浸漬した場合には、充分な量の添加剤溶液がコンデンサ素子に含浸されるため、耐電圧及びESRが向上したと考えられる。
なお、上記添加剤をコンデンサ素子内に存在させる時期が修復化成工程の前であると、コンデンサ素子に存在させた添加剤が、修復化成中に化成液に溶解してしまうので、良好な結果が得られないことが分かった。
【0027】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。
なお、本発明に係る固体電解コンデンサは、以下の実施例1又は実施例2のように作成した。また、比較例1として、添加剤溶液に浸漬するものの熱処理を行わずに固体電解質層を形成した固体電解コンデンサを用い、また、比較例2として、添加剤溶液に浸漬せず、熱処理も行わずに固体電解質層を形成した固体電解コンデンサを用いた。
【0028】
(実施例1)
表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔と陰極箔とを、繊維径が7.5μmのビニロン繊維を主体とするビニロン不織布からなるセパレータを介して巻回して、素子形状が4φ×7Lのコンデンサ素子を形成した。そして、このコンデンサ素子をリン酸二水素アンモニウム水溶液に40分間浸漬して、修復化成を行った。次いで、1.25wt%のホウ酸溶液にこのコンデンサ素子を2分間浸漬し、その後、150℃で2時間熱処理した。
続いて、このコンデンサ素子に、注入法によりEDTモノマーを含浸し、さらに酸化剤溶液として40%のパラトルエンスルホン酸第二鉄のブタノール溶液を含浸して、100℃、1時間加熱して、PEDTからなる固体電解質層を形成した。その後、コンデンサ素子の表面を樹脂で被覆した後、有底筒状のアルミニウムケースに挿入し、開口部を絞り加工によってゴム封口して固体電解コンデンサを形成した。
なお、EDTモノマーと酸化剤との配合比は、1:5とした。また、この固体電解コンデンサの定格電圧は25WV、定格容量は6.8μFである。
【0029】
(実施例2)
添加剤として、5wt%のホウ酸溶液を用い、その他の条件は実施例1と同様にして固体電解コンデンサを形成した。
【0030】
(比較例1)
添加剤として、5wt%のホウ酸溶液を用い、この溶液中にコンデンサ素子を2分間浸漬した後、100℃で1時間乾燥した。その他の条件は実施例1と同様にして固体電解コンデンサを形成した。
【0031】
(比較例2)
添加剤に浸漬することなく、修復化成の後、コンデンサ素子を100℃で1時間乾燥した。その他の条件は実施例1と同様にして固体電解コンデンサを形成した。
【0032】
[比較結果]
上記の方法により得られた実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2の固体電解コンデンサの初期特性を表1に示した。
【表1】
【0033】
(漏れ電流について)
表1から明らかなように、ホウ酸溶液に浸漬せず、熱処理も行わない比較例2の漏れ電流は、最大値が4×103と規格値を超えており、このコンデンサについてはデバッグが必要であった。
これに対して、1.25wt%のホウ酸溶液に浸漬し、熱処理を行った実施例1においては、漏れ電流の最大値は6×10となり、比較例2の1.5%と大幅に低下した。また、5wt%のホウ酸溶液に浸漬し、熱処理を行った実施例2においては、漏れ電流の最大値は4×10となり、比較例2の1.0%とさらに低下した。同様に、漏れ電流の平均値についても、実施例1は比較例2の6%に低下し、実施例2は比較例2の4%に大幅に低下した。
【0034】
一方、5wt%のホウ酸溶液に浸漬し、熱処理を行わない比較例1においては、漏れ電流の最大値は7×10となり、ホウ酸溶液に浸漬しない比較例2の1.75%に低下した。同様に、漏れ電流の平均値についても、比較例1は比較例2の7%に低下した。
これらの結果から、ビニロンセパレータを用いたコンデンサ素子を修復化成した後に、添加剤であるホウ酸溶液に浸漬することにより、漏れ電流を大幅に低減できることが示された。
【0035】
また、同濃度のホウ酸溶液に浸漬し、熱処理の有無が異なる比較例1と実施例2とを比較すると、実施例2の漏れ電流の最大値は4×10となり、比較例1の57.1%に低下した。同様に、漏れ電流の平均値についても、実施例2は比較例2の57.1%に低下した。このことから、ビニロンセパレータを用いたコンデンサ素子を修復化成した後に、添加剤であるホウ酸溶液に浸漬し、さらに熱処理を行うことにより、漏れ電流をさらに低減できることが示された。
【0036】
(静電容量について)
次に、静電容量(Cap)について検討したところ、実施例1のCapは6.8であり、比較例2の1.05倍となった。また、実施例2のCapは7.1であり、比較例2の1.09倍となった。一方、比較例1のCapは6.6であり、比較例2の1.02倍に増加したに過ぎなかった。
また、同濃度のホウ酸溶液に浸漬し、熱処理の有無が異なる比較例1と実施例2とを比較すると、実施例2のCapは比較例1の1.08倍に増加した。
これらの結果から、ビニロンセパレータを用いたコンデンサ素子を修復化成した後に、添加剤であるホウ酸溶液に浸漬し、さらに熱処理を行うことにより、静電容量を増加させることができることが示された。
【0037】
(ESRについて)
さらに、等価直列抵抗(ESR)について検討したところ、実施例1のESRは0.064であり、比較例2の88.9%に低下した。また、実施例2のESRは0.061であり、比較例2の84.7%に低下した。一方、比較例1のESRは0.066であり、比較例2の91.6%に低下した。
このことから、ビニロンセパレータを用いたコンデンサ素子を修復化成した後に、添加剤であるホウ酸溶液に浸漬することにより、ESRを低減できることが示された。
【0038】
また、同濃度のホウ酸溶液に浸漬し、熱処理の有無が異なる比較例1と実施例2とを比較すると、実施例2のESRは0.061となり、比較例1の92.4%に低下した。
このことから、ビニロンセパレータを用いたコンデンサ素子を修復化成した後に、添加剤であるホウ酸溶液に浸漬し、さらに熱処理を行うことにより、ESRをさらに低減できることが示された。
【0039】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、静電容量並びにESR、漏れ電流特性を向上させることができる固体電解コンデンサとその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る固体電解コンデンサの製造工程の一例を示すフローチャート
【図2】従来技術による固体電解コンデンサの製造工程の一例を示すフローチャート
【図3】本発明が対象とするコンデンサ素子の一例を示す分解斜視図
【図4】図3のコンデンサ素子の陽極箔を示す拡大断面図
【符号の説明】
1…陽極箔
2…陰極箔
3…セパレータ
4…酸化皮膜層
5…固体電解質層
6,7…リード線
8…エッチングピット
10…コンデンサ素子
Claims (4)
- 陽極箔を陰極箔及びセパレータと共に巻回してコンデンサ素子を形成する工程と、前記コンデンサ素子に修復化成を行う工程と、前記コンデンサ素子にエチレンジオキシチオフェンと酸化剤を含浸させてポリエチレンジオキシチオフェンからなる固体電解質層を形成する工程を有する固体電解コンデンサの製造方法において、前記セパレータとしてビニロンからなるセパレータを用いると共に、前記修復化成を行う工程の後に、前記コンデンサ素子内に、ホウ酸又はその塩、マンニット、リン酸二水素アンモニウムから選択された一種又は二種以上の添加剤を導入する工程と、130〜200℃で少なくとも30分間熱処理する工程を備えたことを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
- 前記ビニロンからなるセパレータが、繊維径が3.0〜12.0μmのビニロン繊維を主体とする不織布により構成されていることを特徴とする請求項1に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
- 前記添加剤を導入する工程が、コンデンサ素子に、ホウ酸又はその塩、マンニット、リン酸二水素アンモニウムから選択された一種又は二種以上の添加剤を含む溶液を含浸するものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
- 前記添加剤を含む溶液の添加剤濃度が、0.1〜10wt%であることを特徴とする請求項3に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
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JP2001284178A (ja) | 2001-10-12 |
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