JP2005294504A - 固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサの製造方法 Download PDF

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篤志 吉澤
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Abstract

【課題】 静電容量及び耐圧の向上と、小型大容量化を可能とした固体電解コンデンサの製造方法を提供する。
【解決手段】 表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔と陰極箔とをセパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成し修復化成を施す。このコンデンサ素子を、ホウ酸又はその塩、マンニット、リン酸二水素アンモニウムから選択された一種又は二種以上の添加剤の水溶液に浸漬し、乾燥する。このコンデンサ素子に、濃度を5wt%以下に調製した導電性ポリアニリン溶液を含浸し、陽極箔に電圧印加した後(あるいは、電圧印加しながら)、溶媒を除去して、コンデンサ素子内で導電性ポリアニリンフィルムを形成する。その後、重合性モノマーと酸化剤を含浸して、導電性ポリマーからなる固体電解質層を形成した後、このコンデンサ素子を外装ケースに挿入し、開口端部に封口ゴムを装着して封止した後、エージングを行い、固体電解コンデンサを形成する。

Description

本発明は、固体電解コンデンサの製造方法に係り、特に、固体電解コンデンサの静電容量及び耐圧の向上と、小型大容量化を図るべく改良を施した固体電解コンデンサの製造方法に関するものである。
タンタルあるいはアルミニウム等のような弁作用を有する金属を利用した電解コンデンサは、陽極側対向電極としての弁作用金属を焼結体あるいはエッチング箔等の形状にして誘電体を拡面化することにより、小型で大きな容量を得ることができることから、広く一般に用いられている。特に、電解質に固体電解質を用いた固体電解コンデンサは、小型、大容量、低等価直列抵抗であることに加えて、チップ化しやすく、表面実装に適している等の特質を備えていることから、電子機器の小型化、高機能化、低コスト化に欠かせないものとなっている。
この種の固体電解コンデンサにおいて、小型、大容量用途としては、一般に、アルミニウム等の弁作用金属からなる陽極箔と陰極箔をセパレータを介在させて巻回してコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子に駆動用電解液を含浸し、アルミニウム等の金属製ケースや合成樹脂製のケースにコンデンサ素子を収納し、密閉した構造を有している。なお、陽極材料としては、アルミニウムを初めとしてタンタル、ニオブ、チタン等が使用され、陰極材料には、陽極材料と同種の金属が用いられる。
また、固体電解コンデンサに用いられる固体電解質としては、二酸化マンガンや7、7、8、8−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体が知られているが、近年、反応速度が緩やかで、かつ陽極電極の酸化皮膜層との密着性に優れたポリエチレンジオキシチオフェン(以下、PEDTと記す)等の導電性ポリマーに着目した技術(特許文献1参照)が存在している。
このような巻回型のコンデンサ素子にPEDT等の導電性ポリマーからなる固体電解質層を形成するタイプの固体電解コンデンサは、以下のようにして作成される。まず、アルミニウム等の弁作用金属からなる陽極箔の表面を塩化物水溶液中での電気化学的なエッチング処理により粗面化して、多数のエッチングピットを形成した後、ホウ酸アンモニウム等の水溶液中で電圧を印加して誘電体となる酸化皮膜層を形成する(化成)。陽極箔と同様に、陰極箔もアルミニウム等の弁作用金属からなるが、その表面にはエッチング処理を施すのみである。
このようにして表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔とエッチングピットのみが形成された陰極箔とを、セパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成する。続いて、修復化成を施したコンデンサ素子に、3,4−エチレンジオキシチオフェン(以下、EDTと記す)等の重合性モノマーと酸化剤溶液をそれぞれ吐出し、あるいは両者の混合液に浸漬して、コンデンサ素子内で重合反応を促進し、PEDT等の導電性ポリマーからなる固体電解質層を生成する。その後、このコンデンサ素子を有底筒状の外装ケースに収納し、ケースの開口部を封ロゴムで封止して固体電解コンデンサを作成する。
特開平2−15611号公報
ところで、近年、電子機器のデジタル化に伴い小型で大容量のコンデンサが要求されており、その方法としては、アルミニウム箔のエッチング倍率を高めることが考えられるが、エッチングが過大になるとアルミニウム箔表面の溶解が同時に進行し、かえって拡面率の増大を妨げるなど、電極材料からの静電容量の増大は困難であった。
なお、このような問題点は、重合性モノマーとしてEDTを用いた場合に限らず、他のチオフェン誘導体、ピロール、アニリン等を用いた場合にも同様に生じていた。
本発明は、上述したような従来技術の問題点を解決するために提案されたものであり、その目的は、固体電解コンデンサの静電容量及び耐圧の向上と、小型大容量化を可能とした固体電解コンデンサの製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく、静電容量及び耐圧の向上と、小型大容量化を可能とした固体電解コンデンサの製造方法について鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明者は、陽極箔の酸化皮膜層と導電性ポリマー層との間に金属の腐食物が存在することを見出し、この金属の腐食物の存在が、固体電解コンデンサの容量出現率を低下させている要因であることを見出した。特に、陽極箔の化成電圧が低いものほど、この容量出現率は低くなることがわかった。
そこで、この知見に基づき種々検討した結果、陰極箔と誘電体酸化皮膜を形成した陽極箔とからなるコンデンサ素子内に、ホウ酸又はその塩、マンニット、リン酸二水素アンモニウムから選択された一種又は二種以上の添加剤を存在させると共に、このコンデンサ素子に導電性ポリアニリン溶液を含浸して、陽極箔に電圧を印加した後、または電圧を印加しながら溶媒を除去し、導電性ポリアニリンフィルムを形成しつつ、この導電性ポリアニリンフィルムを誘電体酸化皮膜上に被着させ、その上に導電性ポリマー層を形成することにより、良好な結果が得られることが判明した。
すなわち、上記のようにして得られた固体電解コンデンサを分析したところ、陽極箔の酸化皮膜と導電性ポリマー層との間に金属の腐食物は生じず、この固体電解コンデンサの特性を調べたところ、静電容量が上昇し、耐電圧特性も向上することが分かった。
なお、コンデンサ素子内に、ホウ酸又はその塩等を存在させる手段としては、後述する種々の方法を用いることができ、そのいずれにおいても良好な結果が得られることが分かった。
さらに、本発明によれば、重合性モノマー溶液と酸化剤溶液をコンデンサ素子に含浸する化学重合や、重合性モノマー溶液をコンデンサ素子に含浸して電圧を印加する電解重合とは異なり、導電化されたポリアニリンを含有する溶液をコンデンサ素子内に含浸し、その後その溶媒を除去するという簡単な製造工程を付加することにより、導電層となるポリアニリンフィルムを容易に形成することができるという利点もある。
(1)固体電解コンデンサの製造方法
本発明に係る固体電解コンデンサの製造方法は以下の通りである。すなわち、表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔と陰極箔とをセパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子に修復化成を施す。次いで、このコンデンサ素子を、ホウ酸又はその塩、マンニット、リン酸二水素アンモニウムから選択された一種又は二種以上の添加剤の水溶液に浸漬し、その後乾燥する。
続いて、このコンデンサ素子に、濃度を5wt%以下に調製した導電性ポリアニリン溶液を含浸し、陽極箔に電圧印加した後(あるいは、電圧印加しながら)、溶媒を除去して、コンデンサ素子内で導電性ポリアニリンフィルムを形成する。
その後、重合性モノマーと酸化剤を含浸して、コンデンサ素子内で導電性ポリマーの重合反応を発生させ、固体電解質層を形成する。その後、このコンデンサ素子を外装ケースに挿入し、開口端部に封口ゴムを装着して、加締め加工によって封止した後、エージングを行い、固体電解コンデンサを形成する。
なお、一連の含浸、電圧印加、溶媒除去工程を複数回行っても良い。一連の含浸、電圧印加、溶媒除去工程を複数回行うと、導電性ポリアニリンフィルム層がエッチングピット内まで形成され、密着性が向上するため、静電容量がより向上する。
また、重合性モノマー及び酸化剤をコンデンサ素子に含浸する方法としては、重合性モノマー溶液にコンデンサ素子を浸漬した後、酸化剤溶液に浸漬する方法、または、酸化剤溶液にコンデンサ素子を浸漬した後、重合性モノマー溶液に浸漬する方法、あるいはコンデンサ素子に重合性モノマーを注入した後、酸化剤溶液を注入する方法、または、コンデンサ素子に酸化剤溶液を注入した後、重合性モノマーを注入する方法、さらに、重合性モノマー及び酸化剤を混合した混合溶液にコンデンサ素子を浸漬する方法、または、該混合溶液をコンデンサ素子に注入する方法を用いることができる。
(2)適用形態
本発明は、コンデンサ素子として、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン等の弁作用金属からなる電極箔とセパレータを介して巻回した巻回素子を用いた固体電解コンデンサ、アルミニウム電極箔単板からなる素子を用いた固体電解コンデンサ、タンタル、ニオブの焼結体からなる素子を用いた固体電解コンデンサに適用することができる。
(3)ホウ酸又はその塩等の存在
本発明においては、ホウ酸又はその塩、マンニット、リン酸二水素アンモニウムから選択された一種又は二種以上の添加剤を、コンデンサの製造工程の修復化成工程以降、樹脂封止工程前の任意の時期に、コンデンサ素子内に存在させることにより、良好な結果が得られることが分かった。
(添加剤)
ホウ酸又はその塩におけるホウ酸の塩としては、アンモニウム塩、アミン塩、四級アンモニウム塩及び環状アミジン化合物の四級アンモニウム塩が挙げられる。
また、ホウ酸又はその塩、マンニット、リン酸二水素アンモニウムの添加量は、それぞれ水に対して0.1〜10wt%、より好ましくは1〜8wt%である。添加量が0.1wt%以下では効果が少なく、10wt%を超えると静電容量が低下する傾向があるためである。なお、添加量が10wt%を超えると静電容量が低下するのは、酸化皮膜の表面に存在する添加剤が多すぎて、酸化皮膜とPEDTの間の密着を阻害するためであると考えられる。
さらに、ホウ酸又はその塩、マンニット、リン酸二水素アンモニウムの水溶液の温度は、10〜60℃、含浸時間は30秒〜5分、乾燥温度は60〜120℃、乾燥時間は1分〜5時間が望ましい。
なお、上記ホウ酸又はその塩、マンニット、リン酸二水素アンモニウムは水溶液として用いることができるだけでなく、種々の溶媒に溶解して用いることもできる。この溶媒としては、プロトン性極性溶媒、非プロトン性極性溶媒が挙げられる。プロトン性極性溶媒としては、一価アルコール(メタノール、エタノール等)、多価アルコール及びオキシアルコール化合物類(エチレングリコール、メチルセロソルプ、1,3−ブタンジオール等)などが挙げられる。また、非プロトン性極性溶媒としては、アミド系(N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド等)、ラクトン類(γ−ブチロラクトン等)、環状アミド類(N−メチル−2−ピロリドン等)、カーボネート類(プロピレンカーボネート等)、ニトリル類(アセトニトリル等)、オキシド類(ジメチルスルホキシド等)などが挙げられる。
(作用・効果)
このように、ホウ酸又はその塩、マンニット、リン酸二水素アンモニウムの添加剤を添加することによって良好な効果が得られたのは、以下の理由によるものと考えられる。すなわち、最終製造工程のエージング(再化成)において、製造中に受けた酸化皮膜の損傷の修復を行うが、この際に、コンデンサ素子内に存在させたホウ酸又はその塩、マンニット、リン酸二水素アンモニウム等の添加剤が、エージング工程における修復作用を高めるため、耐電圧特性が向上するものと考えられる。
(4)導電性ポリアニリン溶液について
導電性ポリアニリン溶液の溶媒は、パラキシレンまたは水が好ましい。また、濃度は5wt%以下とすることが好ましい。濃度が10%を超えると均一なポリアニリンフィルムが形成できないからである。
(5)導電性ポリアニリン溶液の含浸方法
上記のようにして形成したコンデンサ素子に導電性ポリアニリン溶液を含浸する方法としては、以下の2つの方法がある。
第1の方法は、所定の濃度に調製した導電性ポリアニリン溶液を所定の容器に入れ、この溶液中にコンデンサ素子を浸漬し、浸漬した状態で、陽極リードを介して陽極箔に電圧を印加する方法である。なお、この場合、陰極は陰極リード、または容器内に新たに設けた陰極端子板に接続する。電極箔単板からなる素子や焼結体からなる素子等、素子の状態で陰極リードを有しない場合は、前記陰極端子板を用いる。
また、第2の方法は、所定の濃度に調製した導電性ポリアニリン溶液を、ノズル等を用いて直接コンデンサ素子に注入して含浸し、その後、陽極リードを介して陽極箔に電圧を印加する方法である。なお、この場合、陰極は陰極リードに接続する。
なお、陽極箔への電圧印加としては、パルス電圧を印加しても良い。また、陽極箔に印加する電圧は、陽極箔の化成電圧以下が好ましい。陽極箔の化成電圧以上で行うと、導電性ポリアニリン溶液中で陽極箔が化成され、酸化皮膜が厚く形成されてしまい、所望の静電容量が得られないからである。ただし、導電性ポリアニリン溶液として陽極箔が化成されない溶液を用いた場合には、陽極箔の化成電圧より高い電圧を印加しても良い。
また、予め低めの電圧で化成された陽極箔を用い、導電性ポリアニリン溶液中にて陽極箔の化成電圧より高い電圧を印加して、所望の酸化皮膜の厚みになるように陽極箔の化成を実施することもできる。
(6)溶媒の除去方法
コンデンサ素子に導電性ポリアニリン溶液を含浸した後、導電性ポリアニリン溶液の溶媒を除去する方法としては、陽極箔に電圧を印加した後、または電圧を印加しながら、コンデンサ素子を容器内に浸漬した状態で、恒温槽中などにおいて加熱処理して溶媒を除去する方法を用いることができる。
あるいは、上記のようにして電圧を印加した後、コンデンサ素子を容器から引き上げ、さらに電圧を印加しながら加熱処理、または電圧を印加せずに加熱処理して溶媒を除去する方法を用いることができる。
なお、上記「(5)導電性ポリアニリン溶液の含浸方法」の項で示した第2の方法は、加熱処理を行いやすいため、より好ましい。
なお、この場合も、陽極箔に印加する電圧は、陽極箔の化成電圧以下が好ましい。陽極箔の化成電圧以上で行うと、導電性ポリアニリン溶液中で陽極箔が化成され、酸化皮膜が厚く形成されてしまい、所望の静電容量が得られないからである。ただし、導電性ポリアニリン溶液として陽極箔が化成されない溶液を用いた場合には、陽極箔の化成電圧より高い電圧を印加しても良い。
(7)EDT
重合性モノマーとしてEDTを用いた場合、コンデンサ素子に含浸するEDT溶液としては、その濃度が25〜32wt%となるようにEDTを揮発性溶媒に溶解させたものを用いることが好ましい。
前記揮発性溶媒としては、ペンタン等の炭化水素類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ギ酸エチル等のエステル類、アセトン等のケトン類、メタノール等のアルコール類、アセトニトリル等の窒素化合物等を用いることができるが、なかでも、メタノール、エタノール、アセトン等が好ましい。
(8)酸化剤
酸化剤としては、エタノールに溶解したパラトルエンスルホン酸第二鉄、過ヨウ素酸もしくはヨウ素酸の水溶液を用いることができ、酸化剤の溶媒に対する濃度は45〜55wt%が好ましく、50〜55wt%がより好ましい。酸化剤の溶媒に対する濃度が高い程、ESRは低減する。なお、酸化剤の溶媒としては、上記モノマー溶液に用いた揮発性溶媒を用いることができ、なかでもエタノールが好適である。酸化剤の溶媒としてエタノールが好適であるのは、蒸気圧が低いため蒸発しやすく、残存する量が少ないためであると考えられる。
(9)修復化成の化成液
修復化成の化成液としては、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム等のリン酸系の化成液、ホウ酸アンモニウム等のホウ酸系の化成液、アジピン酸アンモニウム等のアジピン酸系の化成液を用いることができるが、なかでも、リン酸二水素アンモニウムを用いることが望ましい。また、浸漬時間は、5〜120分が望ましい。
(10)他の重合性モノマー
本発明に用いられる重合性モノマーとしては、上記EDTの他に、EDT以外のチオフェン誘導体、アニリン、ピロール、フラン、アセチレンまたはそれらの誘導体であって、所定の酸化剤により酸化重合され、導電性ポリマーを形成するものであれば適用することができる。なお、チオフェン誘導体としては、下記の構造式のものを用いることができる。
Figure 2005294504
(11)コンデンサ素子内にホウ酸等を存在させる他の手段
コンデンサ素子内にホウ酸等を存在させる方法としては、上記(3)の方法の他、以下のような方法を用いることができる。
(11−1)その1
セパレータとしてビニロンからなるセパレータを用い、コンデンサ素子内に、ホウ酸又はその塩、マンニット、リン酸二水素アンモニウムから選択された一種又は二種以上の添加剤を存在させ、130〜200℃で少なくとも30分間熱処理する方法を用いることができる。
(セパレータ)
ここで用いられるセパレータは、繊維径が3.0〜12.0μmのビニロン繊維を所定のカット長の短繊維とし、所定のバインダーを用いて、任意の手段により不織布としたものである。なお、このセパレータとしては、坪量が5〜30g/m2、厚さが10〜200μm、密度が0.1〜0.56g/cm3であることが好ましい。
(添加剤)
ホウ酸又はその塩におけるホウ酸の塩としては、アンモニウム塩、アミン塩、四級アンモニウム塩及び環状アミジン化合物の四級アンモニウム塩が挙げられる。また、ホウ酸又はその塩、マンニット、リン酸二水素アンモニウムの添加量は、それぞれ水に対して0.1〜10wt%、より好ましくは1〜8wt%である。添加量が0.1wt%以下では効果が少なく、10wt%を超えると静電容量が低下する傾向があるためである。なお、添加量が10wt%を超えると静電容量が低下するのは、酸化皮膜の表面に存在する添加剤が多すぎて、酸化皮膜とPEDTの間の密着を阻害するためであると考えられる。さらに、ホウ酸又はその塩、マンニット、リン酸二水素アンモニウムの水溶液の温度は、10〜60℃、含浸時間は30秒〜5分が望ましい。
なお、上記ホウ酸又はその塩、マンニット、リン酸二水素アンモニウムは水溶液として用いることができるだけでなく、種々の溶媒に溶解して用いることもできる。この溶媒としては、プロトン性極性溶媒、非プロトン性極性溶媒が挙げられる。プロトン性極性溶媒としては、一価アルコール(メタノール、エタノール等)、多価アルコール及びオキシアルコール化合物類(エチレングリコール、メチルセロソルプ、1,3−ブタンジオール等)などが挙げられる。また、非プロトン性極性溶媒としては、アミド系(N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド等)、ラクトン類(γ−ブチロラクトン等)、環状アミド類(N−メチル−2−ピロリドン等)、カーボネート類(プロピレンカーボネート等)、ニトリル類(アセトニトリル等)、オキシド類(ジメチルスルホキシド等)などが挙げられる。
(熱処理)
熱処理温度を130〜200℃としたのは、130℃以下だと、所望の効果が得られるほどにはPVAの−OH基の脱離、あるいはPVAの結晶化が進まないからであり、200℃を超えるとPVAの分解が始まるからである。
さらに、熱処理時間を少なくとも30分、好ましくは90分以上とした理由は、30分未満だと、上記熱処理温度と同様に、所望の効果が得られるほどにはPVAの−OH基の脱離、あるいはPVAの結晶化が進まないからである。
(作用・効果)
このように、ビニロンからなるセパレータを用いると共に、酸化皮膜の修復化成とPEDTを形成する工程との間で、コンデンサ素子を上記の添加剤の水溶液に浸漬し、その後、所定の温度で熱処理することにより、良好な結果が得られた理由は以下の通りであると考えられる。
すなわち、ビニロンは、PVA(ポリビニルアルコール)の親水性の−OH基をホルマール化して疎水化し、耐水性を向上させたものであり、疎水化することによって親油性が増している。そして、両電極箔をこのビニロンからなるセパレータを介して巻回することによってコンデンサ素子を形成し、修復化成と添加剤溶液に浸漬する工程の後、コンデンサ素子を所定の温度で熱処理することによって、ビニロンからなるセパレータの親油性がさらに向上する。その結果、親油性であるEDTの含浸量が増し、さらに、形成されたPEDTも親油性であるため、その保持状態が向上し、保持量も増すため、静電容量が向上するものと考えられる。
なお、ビニロンからなるセパレータを熱処理することによって、親油性がさらに向上した理由は、以下の通りと考えられる。すなわち、ビニロンのホルマール化は100%ではないので、PVAの−OH基が残存しており、熱処理によってこの−OH基が脱離するか、またはPVAの結晶化によって親油性が向上するものと考えられる。
また、酸化皮膜の修復化成とPEDTを形成する工程との間で、コンデンサ素子を上記の添加剤の水溶液に浸漬することにより、酸化皮膜の近傍にこれらの添加剤を存在させることができるので、これらの添加剤が酸化皮膜と結合して安定な錯体等を形成し、酸化皮膜を安定化することができると考えられる。
(11−2)その2
コンデンサ素子内に、ビニル基を有する化合物とホウ酸化合物とからなる結合体を含有させても良い。
(ビニル基を有する化合物)
ビニル基を有する化合物としては、ポリビニルアルコール(以下、PVAと記す)、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等を用いることができるが、なかでもPVAがより好ましい。なお、本明細書中において、「ビニル基を有する化合物」と記載するものには、「ビニル基を有する化合物の重合体」をも含むものとする。
また、これらビニル基を有する化合物の溶媒としては、これらの化合物が溶解するものであれば良く、主として水が用いられる。また、ビニル基を有する化合物溶液の濃度は、0.005wt%〜1.5wt%が好ましく、より好ましくは0.01wt%〜0.5wt%である。ビニル基を有する化合物溶液の濃度がこの範囲外の場合、効果が低下した。その理由は、ビニル基を有する化合物溶液の濃度が1.5wt%以上であると、電極箔表面に形成されたエッチングピット内でビニル基を有する化合物の厚い層又はビニル基を有する化合物の固まりが形成され、その後のPEDT等の導電性ポリマーの重合工程で導電性ポリマーの形成状態が悪化するためであると考えられる。
(ホウ酸化合物)
ホウ酸化合物としては、ホウ酸、ホウ砂、ホウ酸のアンモニウム塩、金属塩等のホウ酸塩、ホウ酸トリエチル等のホウ酸エステル等を用いることができるが、なかでも、ホウ酸を用いることが望ましい。
また、これらホウ酸化合物の溶媒としては、これらの化合物が溶解するものであれば良く、主として水、グリセリン等を用いることができる。また、ホウ酸化合物溶液の濃度は、0.1wt%〜10wt%が好ましく、より好ましくは3wt%〜7wt%である。ホウ酸化合物溶液の濃度がこの範囲外の場合、効果が低下した。その理由は、ホウ酸化合物溶液の濃度が0.1wt%未満では、溶液中のホウ酸化合物が少ないため、形成される結合体の量が十分ではなく、一方、10wt%を越えると、理由は定かではないが、結合体を形成した後の余剰のホウ酸が悪影響を及ぼして、ESRが上昇するからである。
(ビニル基を有する化合物及びホウ酸化合物をコンデンサ素子内に含有させる方法)
上記ビニル基を有する化合物とホウ酸化合物とからなる結合体をコンデンサ素子内に含有させる方法としては、ビニル基を有する化合物及びホウ酸化合物の混合溶液に浸漬する方法、または、ビニル基を有する化合物の溶液とホウ酸化合物の溶液に別々に浸漬する方法を用いることができる。
なお、本発明においては、ビニル基を有する化合物とホウ酸化合物が水素結合等で結合体を形成し、この結合体が電極箔の酸化皮膜上に付着して層を形成することにより、固体電解質と酸化皮膜の密着性が向上するので、ビニル基を有する化合物の溶液とホウ酸化合物の溶液に別々に浸漬する方法においては、コンデンサ素子を両溶液に続けて(順次)浸漬しても良いし、一方の溶液に浸漬し、乾燥した後、他方の溶液に浸漬しても良い。なお、ビニル基を有する化合物の溶液とホウ酸化合物の溶液に浸漬する順序は限定されない。
また、ビニル基を有する化合物溶液への浸漬温度は、ビニル基を有する化合物が溶媒に溶解し得る温度で良く、常温〜100℃前後が好ましい。また、浸漬時間は5秒以上が好ましい。コンデンサ素子あるいは電極箔をビニル基を有する化合物溶液に浸漬すると、表面張力によってビニル基を有する化合物溶液が電極箔のエッチングピットに直ちに浸透していくからである。
また、乾燥温度は、ビニル基を有する化合物溶液の溶媒が蒸発すれば良いので、常温〜150℃が好ましく、乾燥時間は3分以上が好ましい。また、乾燥方法としては、通常、熱風、赤外線方式の乾燥炉等が用いられるが、ビニル基を有する化合物溶液の溶媒を蒸発させることができるものであれば良く、真空乾燥等を用いることもできる。
また、ビニル基を有する化合物をコンデンサ素子内に含有させた後、加熱処理すると初期特性が向上することが分かった。その理由は、ビニル基を有する化合物の末端基の疎水性が増すことにより、酸化皮膜と固体電解質の密着性が向上するためと考えられる。また、この加熱温度は120〜250℃が好ましく、より好ましくは150〜200℃である。加熱温度がこの範囲外の場合、効果が低下した。その理由は、加熱温度が120℃未満では、ビニル基を有する化合物の末端基の疎水化等の反応が十分に進行せず、一方、250℃を越えると、ビニル基を有する化合物の熱劣化が起こって効果が低減するためであると考えられる。
なお、この加熱処理は、ビニル基を有する化合物を含有させ、その後にホウ酸化合物を含有させた後でも良いし、ホウ酸化合物を含有させ、その後にビニル基を有する化合物を含有させた後でも良い。さらに、混合溶液を用いた場合も、加熱処理を行うと同様の効果が得られる。
(ビニル基を有する化合物及びホウ酸化合物をコンデンサ素子内に含有させる時期)
上記ビニル基を有する化合物及びホウ酸化合物をコンデンサ素子内に含有させる時期について種々検討した結果、導電性ポリマーを形成する工程の前の段階であれば、どの段階でも良いことが分かった。すなわち、その時期は、修復化成前であっても良いし、コンデンサ素子を形成する前に電極箔に付着させても良く、例えば、以下の(1)〜(4)の方法が考えられる。
なお、下記の(1)〜(4)の方法の中で、コンデンサ素子に修復化成を施した後、このコンデンサ素子内に、ビニル基を有する化合物とホウ酸化合物の溶液を含浸して、ビニル基を有する化合物とホウ酸化合物とからなる結合体を生成し、その後に、このコンデンサ素子内で導電性ポリマーの重合反応を発生させ、固体電解質層を形成することができる(1)の方法が最も好適である。なお、下記の方法で樹脂封止を行わなくても、本発明の効果に変わりはない。
(1)修復化成後…図1参照
化成→コンデンサ素子形成→修復化成→ビニル基を有する化合物溶液及びホウ酸化合物溶液に浸漬→導電性ポリアニリン溶液の含浸→重合性モノマーと酸化剤の含浸→重合→外装ケースへの挿入→樹脂封止→エージング
(2)コンデンサ素子形成後〜修復化成前…図2参照
化成→コンデンサ素子形成→ビニル基を有する化合物溶液及びホウ酸化合物溶液に浸漬→修復化成→導電性ポリアニリン溶液の含浸→重合性モノマーと酸化剤の含浸→重合→外装ケースへの挿入→樹脂封止→エージング
(3)コンデンサ素子形成前…図3参照
化成→両極電極箔の少なくともいずれか一方をビニル基を有する化合物溶液及びホウ酸化合物溶液に浸漬(又は塗布後、乾燥処理)→コンデンサ素子形成→修復化成→導電性ポリアニリン溶液の含浸→重合性モノマーと酸化剤の含浸→重合→外装ケースへの挿入→樹脂封止→エージング
(4)コンデンサ素子形成前…図4参照
化成→セパレータをビニル基を有する化合物溶液及びホウ酸化合物溶液に浸漬(又は塗布後、乾燥処理)→コンデンサ素子形成→修復化成→導電性ポリアニリン溶液の含浸→重合性モノマーと酸化剤の含浸→重合→外装ケースへの挿入→樹脂封止→エージング
なお、上記(3)及び(4)の方法において、ビニル基を有する化合物溶液及びホウ酸化合物溶液を、浸漬あるいは塗布することにより、電極箔あるいはセパレータに付着させる場合、まず、ビニル基を有する化合物あるいはホウ酸化合物のいずれか一方を付着させ、その後にコンデンサ素子を形成し、さらに他方の化合物を付着させても良い。
また、これらの方法におけるビニル基を有する化合物溶液及びホウ酸化合物溶液の濃度、温度、含浸時間、乾燥温度、乾燥時間等は、上述した条件と同様である。
(作用・効果)
上記のように、所定の時期に、コンデンサ素子にビニル基を有する化合物とホウ酸化合物からなる結合体を含有させることにより、鉛フリーリフローによる耐電圧特性の劣化を防止することができると共に、エージング工程でショートが発生する割合を大幅に低減することができる。
このような効果が得られる理由は、この結合体がビニル基を有する化合物とホウ酸化合物との反応により形成され、この結合体が電極箔の誘電体皮膜上に付着して層を形成し、固体電解質と誘電体皮膜の密着性が向上し、さらにこの層の耐電圧が高いので、コンデンサの耐電圧が向上するものと考えられる。
特に、PVAとホウ酸を用いた場合には、エステル化合物からなる結合体を形成し、このエステル化合物は誘電体皮膜中に浸透せずに、皮膜表面に付着して良好な層を形成するため、良好な特性が得られるものと考えられる。
そして、上述したように、ビニル基を有する化合物を含有させた後、加熱処理を行うと、ビニル基を有する化合物の末端基と誘電体酸化皮膜乃至導電性ポリマーとの接合性が向上して、初期特性、特に静電容量とESR特性が向上すると考えられる。
なお、上記(1)〜(4)の方法は、導電性ポリアニリン溶液の含浸前に、コンデンサ素子をビニル基を有する化合物溶液及びホウ酸化合物溶液に浸漬する方法であり、酸化皮膜上にビニル基を有する化合物とホウ酸の結合体を介してポリアニリンフィルムが形成されるが、これに限らず、導電性ポリアニリン溶液を含浸した後に、ビニル基を有する化合物溶液及びホウ酸化合物溶液に浸漬して、酸化皮膜上にポリアニリンフィルム、ビニル基を有する化合物とホウ酸の結合体の順に形成しても良い。
また、ビニル基を有する化合物溶液、ホウ酸化合物溶液及び導電性ポリアニリン溶液の混合溶液を用いて、酸化皮膜上にこれらの混合層を形成しても良い。
(11−3)その3
セパレータにビニル基を有する化合物を含有させ、このビニル基を有する化合物を溶出させることにより、コンデンサ素子内に、ビニル基を有する化合物とホウ酸化合物とからなる結合体を含有させても良い。
(セパレータ)
通常、合成繊維を主体とする固体電解コンデンサ用セパレータは、合成繊維とこれらを接合するバインダーから構成されている。このバインダーとしては、合成樹脂そのものを用いたり、合成樹脂を繊維状にして、セパレータの作成工程で溶融させて主体繊維を接合させている。本発明においては、このようなセパレータの主体繊維又はバインダーに、ビニル基を有する化合物を用いたセパレータを用いることにより、良好な結果が得られたものである。
なお、セパレータの主体繊維又はバインダーに含有させるビニル基を有する化合物の必要量は微量で良いが、多くても効果が減ずることはない。その理由は、セパレータに含有されたビニル基を有する化合物が溶出して酸化皮膜に付着することによって本発明の効果が得られるからである。従って、ビニロンセパレータのように、100%ビニロン繊維で形成されていても良い。この場合、製造工程中にビニル基を有する化合物が溶出しすぎてセパレータの強度が低下することがないように、溶出量を管理すれば良い。なお、本発明の典型的な例は、PVAバインダーを用いたセパレータであるが、この場合、所定の強度を得るために、含有量は15〜40wt%が好ましい。
ここで、ビニル基を有する化合物としては、ポリビニルアルコール(以下、PVAと記す)、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等を用いることができるが、なかでもPVAがより好ましい。具体的には、セパレータの主体繊維にPVA繊維(ビニロン)や未延伸のビニロンを用いても良いし、バインダーにPVAポリマーや未延伸のビニロンを用いても良い。例えば、繊維径が3.0〜12.0μmのビニロン繊維を所定のカット長の短繊維とし、所定のバインダーを用いて、任意の手段により不織布としたものを用いることができる。
なお、セパレータにビニル基を有する化合物を含有させる方法としては、上述したような主体繊維やバインダーをビニル基を有する化合物から構成する方法(言い換えれば、ビニル基を有する化合物をセパレータの構成成分として含有させる方法)の他に、セパレータをビニル基を有する化合物の溶液に浸漬する方法や、ビニル基を有する化合物を塗布する方法を用いることもできる。
(ホウ酸化合物)
ホウ酸化合物としては、ホウ酸、ホウ砂、ホウ酸のアンモニウム塩、金属塩等のホウ酸塩、ホウ酸トリエチル等のホウ酸エステル等を用いることができるが、なかでも、ホウ酸を用いることが望ましい。
また、これらホウ酸化合物の溶媒としては、これらの化合物が溶解するものであれば良く、主として水、グリセリン等を用いることができる。また、ホウ酸化合物溶液の濃度は、0.1wt%〜10wt%が好ましく、より好ましくは3wt%〜7wt%である。ホウ酸化合物溶液の濃度がこの範囲外の場合、効果が低下した。その理由は、ホウ酸化合物溶液の濃度が0.1wt%未満では、溶液中のホウ酸化合物が少ないため、形成される結合体の量が十分ではなく、一方、10wt%を越えると、理由は定かではないが、結合体を形成した後の余剰のホウ酸が悪影響を及ぼして、ESRが上昇するからである。
(ホウ酸化合物をコンデンサ素子内に含有させる方法)
上記ホウ酸化合物をコンデンサ素子内に含有させる方法としては、コンデンサ素子をホウ酸化合物の溶液に浸漬する方法、または、ホウ酸化合物の溶液をコンデンサ素子に吐出する方法を用いることができる。
また、ホウ酸化合物をコンデンサ素子内に含有させた後、加熱処理すると初期特性が向上することが分かった。その理由は、セパレータに含まれるビニル基を有する化合物がコンデンサ素子内に溶出し、その末端基の疎水性が増すことにより、酸化皮膜と固体電解質の密着性が向上するためと考えられる。また、この加熱温度は120〜250℃が好ましく、より好ましくは150〜200℃である。加熱温度がこの範囲外の場合、効果が低下した。その理由は、加熱温度が120℃未満では、ビニル基を有する化合物の末端基の疎水化等の反応が十分に進行せず、一方、250℃を越えると、ビニル基を有する化合物の熱劣化が起こって効果が低減するためであると考えられる。
(ホウ酸化合物をコンデンサ素子内に含有させる時期)
上記ホウ酸化合物をコンデンサ素子内に含有させる時期について種々検討した結果、導電性ポリマーを形成する工程の前の段階であれば、どの段階でも良いことが判明した。すなわち、その時期は、上述したように、修復化成前であっても良いし、コンデンサ素子を形成する前に電極箔に付着させても良く、例えば、以下の(a)〜(c)の方法が考えられる。
なお、下記の(a)〜(c)の方法の中で、陽極箔と陰極箔を、ビニル基を有する化合物を含有するセパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子に修復化成を施した後、このコンデンサ素子にホウ酸化合物の溶液を含浸して、ビニル基を有する化合物とホウ酸化合物とからなる結合体を生成し、その後に、このコンデンサ素子内で導電性ポリマーの重合反応を発生させ、固体電解質層を形成することができる(a)の方法が最も好適である。なお、下記の方法で樹脂封止を行わなくても、本発明の効果に変わりはない。
(a)修復化成後…図5参照
化成→ビニル基を有する化合物を含有するセパレータを用いてコンデンサ素子形成→修復化成→ホウ酸化合物溶液に浸漬→導電性ポリアニリン溶液の含浸→重合性モノマーと酸化剤の含浸→重合→外装ケースへの挿入→樹脂封止→エージング
(b)コンデンサ素子形成後〜修復化成前…図6参照
化成→ビニル基を有する化合物を含有するセパレータを用いてコンデンサ素子形成→ホウ酸化合物溶液に浸漬→修復化成→導電性ポリアニリン溶液の含浸→重合性モノマーと酸化剤の含浸→重合→外装ケースへの挿入→樹脂封止→エージング
(c)コンデンサ素子形成前…図7参照
化成→両極電極箔の少なくともいずれか一方をホウ酸化合物溶液に浸漬(又は塗布後、乾燥処理)→ビニル基を有する化合物を含有するセパレータを用いてコンデンサ素子形成→修復化成→導電性ポリアニリン溶液の含浸→重合性モノマーと酸化剤の含浸→重合→外装ケースへの挿入→樹脂封止→エージング
なお、これらの方法におけるホウ酸化合物溶液の濃度、温度、含浸時間、乾燥温度、乾燥時間等は、上述した条件と同様である。
(作用・効果)
上記のように、ビニル基を有する化合物を含有するセパレータを用いてコンデンサ素子を形成すると共に、所定の時期に、コンデンサ素子にホウ酸化合物を含有させることにより、鉛フリーリフローによる耐電圧特性の劣化を防止することができると共に、エージング工程でショートが発生する割合を大幅に低減することができる。
このような効果が得られる理由は、セパレータに含まれるビニル基を有する化合物が製造工程中に溶出して、コンデンサ素子内でホウ酸化合物と水素結合等により結合体を形成し、この結合体が電極箔の酸化皮膜上に付着して層を形成することにより、固体電解質と酸化皮膜の密着性が向上し、さらにこの層の耐電圧が高いので、コンデンサの耐電圧が向上するものと考えられる。
また、コンデンサ素子形成後にビニル基を有する化合物を素子内に含有させるよりも、本発明のようにセパレータに含有させたビニル基を有する化合物が溶出する方が、ホウ酸化合物との結合体が酸化皮膜に均一に付着するという利点もある。
特に、PVAとホウ酸を用いた場合には、エステル化合物からなる結合体を形成し、このエステル化合物は誘電体皮膜中に浸透せずに、皮膜表面に付着して良好な層を形成するため、良好な特性が得られるものと考えられる。
そして、上述したように、ホウ酸化合物を含有させた後、加熱処理を行うと、セパレータから溶出したビニル基を有する化合物の末端基と誘電体酸化皮膜乃至導電性ポリマーとの接合性が向上して、初期特性、特に静電容量とESR特性が向上すると考えられる。
なお、上記(a)〜(c)の方法は、ビニル基を有する化合物を含有するセパレータを用い、導電性ポリアニリン溶液の含浸前に、コンデンサ素子をホウ酸化合物溶液に浸漬する方法であり、酸化皮膜上にビニル基を有する化合物とホウ酸の結合体を介してポリアニリンフィルムが形成されるが、これに限らず、導電性ポリアニリン溶液を含浸した後に、ホウ酸化合物溶液に浸漬して、酸化皮膜上にポリアニリンフィルム、ビニル基を有する化合物とホウ酸の結合体の順に形成しても良い。
また、ビニル基を有する化合物を含有するセパレータを用いると共に、ホウ酸化合物溶液及び導電性ポリアニリン溶液の混合溶液を用いて、酸化皮膜上にこれらの混合層を形成しても良い。
本発明によれば、固体電解コンデンサの静電容量の向上及び耐圧の向上と、小型大容量化を可能とした固体電解コンデンサの製造方法を提供することができる。
続いて、以下のようにして製造した実施例及び従来例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例1)
アルミニウム箔の表面にエッチング層および酸化皮膜層(化成電圧4V)が形成された陽極箔と、アルミニウム箔の表面にエッチング層が形成された陰極箔とを、セパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成し、修復化成を行った(リン酸二水素アンモニウム水溶液、温度60℃)。なお、セパレータとしては、40μmの6−ナイロンのナノ繊維からなる不織布を用いた。
修復化成の後、5wt%のホウ酸水溶液にコンデンサ素子を浸漬し、80℃で乾燥した。そして、このコンデンサ素子を、導電化された導電性ポリアニリンを含有する溶液を入れた容器内に浸漬し、陽極箔に電圧を印加した(3V)。その後、コンデンサ素子を溶液から引き出し、50℃で90分間熱処理して溶媒を除去した。この導電性ポリアニリンフィルムの形成工程を3回行った。なお、導電性ポリアニリン溶液としては、パラキシレンを溶媒とした2wt%の導電性ポリアニリン溶液を用いた。
続いて、酸化剤(P−トルエンスルホン酸第二鉄)とEDTモノマーの混合溶液(ブタノール溶液)に浸漬し、60℃で30分、150℃で60分の加熱重合を行い、導電性ポリマー層を形成した。
そして、このコンデンサ素子を有底筒状の外装ケース(アルミニウムケース)に挿入し、開口端部に封口ゴム(ブチルゴム)を装着して、加締め加工によって封止した。その後に、150℃、120分、3.5Vの電圧印加によってエージングを行い、固体電解コンデンサを形成した。
(実施例2)
実施例1における導電性ポリアニリンフィルムの形成方法を変えたものであって、導電化されたポリアニリンを含有する溶液を、ノズルを用いてコンデンサ素子に含浸した後、コンデンサ素子を恒温槽内に入れ、電圧(3V)印加しながら加熱処理して溶媒を除去した。その他の条件及び工程は、実施例1と同様とした。
(実施例3)
アルミニウム箔の表面にエッチング層および酸化皮膜層が形成された陽極箔と、アルミニウム箔の表面にエッチング層が形成された陰極箔とを、PET繊維を主成分として、PVAバインダーを15%含有したセパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成し、修復化成を行った(リン酸二水素アンモニウム水溶液、温度60℃)。その他の条件及び工程は、実施例1と同様とした。
(実施例4)
実施例3における導電性ポリアニリンフィルムの形成方法を変えたものであって、導電化されたポリアニリンを含有する溶液を、ノズルを用いてコンデンサ素子に含浸した後、コンデンサ素子を恒温槽内に入れ、電圧(3V)印加しながら加熱処理して溶媒を除去した。その他の条件及び工程は、実施例3と同様とした。
(従来例)
導電性ポリアニリンフィルムを形成せずに、コンデンサ素子形成後、重合工程を行った。その他の条件及び工程は、実施例1と同様とした。
[比較結果]
上記の方法により得られた実施例及び従来例について、電気的特性を調べたところ表1に示すような結果が得られた。
なお、耐電圧の比較は、上記各実施例及び従来例のそれぞれにおいて、陽極箔の化成電圧を42Vにし、導電性ポリアニリンフィルム形成時における陽極箔への電圧印加を35Vとしたものを用いた。
Figure 2005294504
表1から明らかなように、ホウ酸水溶液にコンデンサ素子を浸漬すると共に、導電性ポリアニリン溶液に浸漬した実施例1及び実施例2は、従来例に比べて静電容量はそれぞれ約1.11倍、約1.14倍に増加した。また、耐圧は、従来例に比べてそれぞれ約1.10倍、約1.13倍に増加した。
また、導電性ポリアニリンフィルムの形成方法が異なる実施例1と実施例2とを比較すると、電圧印加しながら溶媒を除去した実施例2の方が、より良好な結果が得られた。
また、PET繊維を主成分として、PVAバインダーを15%含有してなるセパレータを用い、ホウ酸水溶液にコンデンサ素子を浸漬すると共に、コンデンサ素子に導電性ポリアニリン溶液を含浸した実施例3及び実施例4は、従来例に比べて静電容量はそれぞれ約1.22倍、約1.25倍に増加した。また、耐圧は、従来例に比べてそれぞれ約1.17倍、約1.20倍に増加した。
また、導電性ポリアニリンフィルムの形成方法が異なる実施例3と実施例4とを比較すると、電圧印加しながら溶媒を除去した実施例4の方が、より良好な結果が得られた。
本発明に係る固体電解コンデンサの製造工程の一例を示すフローチャート 本発明に係る固体電解コンデンサの製造工程の一例を示すフローチャート 本発明に係る固体電解コンデンサの製造工程の一例を示すフローチャート 本発明に係る固体電解コンデンサの製造工程の一例を示すフローチャート 本発明に係る固体電解コンデンサの製造工程の一例を示すフローチャート 本発明に係る固体電解コンデンサの製造工程の一例を示すフローチャート 本発明に係る固体電解コンデンサの製造工程の一例を示すフローチャート

Claims (9)

  1. 誘電体酸化皮膜を形成した陽極電極体を有するコンデンサ素子の該陽極電極体上に、導電性ポリマーからなる固体電解質層を形成する固体電解コンデンサの製造方法において、
    前記コンデンサ素子内に、ホウ酸又はその塩、マンニット、リン酸二水素アンモニウムから選択された一種又は二種以上の添加剤を存在させる工程と、
    前記誘電体酸化皮膜を形成した陽極電極体に、導電性ポリアニリン溶液を含浸し、この陽極電極体に電圧印加した後、溶媒除去して、導電性ポリアニリンフィルムを形成しつつ、この導電性ポリアニリンフィルムを前記誘電体酸化皮膜上に被着させる工程と、
    を有することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
  2. 誘電体酸化皮膜を形成した陽極電極体を有するコンデンサ素子の該陽極電極体上に、導電性ポリマーからなる固体電解質層を形成する固体電解コンデンサの製造方法において、
    前記コンデンサ素子内に、ホウ酸又はその塩、マンニット、リン酸二水素アンモニウムから選択された一種又は二種以上の添加剤を存在させる工程と、
    前記誘電体酸化皮膜を形成した陽極電極体に、導電性ポリアニリン溶液を含浸し、この陽極箔に電圧印加しながら溶媒除去して、導電性ポリアニリンフィルムを形成しつつ、この導電性ポリアニリンフィルムを前記誘電体酸化皮膜上に被着させる工程と、
    を有することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
  3. 前記ホウ酸又はその塩、マンニット、リン酸二水素アンモニウムは、ビニル基を有する化合物との結合体であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  4. 前記コンデンサ素子内に、ビニル基を有する化合物と、前記ホウ酸又はその塩、マンニット、リン酸二水素アンモニウムから選択された一種又は二種以上の添加剤を存在させた状態で、130〜200℃で熱処理することにより、前記コンデンサ素子内に、前記ホウ酸又はその塩、マンニット、リン酸二水素アンモニウムとビニル基を有する化合物との結合体を存在させることを特徴とする請求項3に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  5. 前記ビニル基を有する化合物をセパレータに含有させることにより、前記コンデンサ素子内に、前記ホウ酸又はその塩、マンニット、リン酸二水素アンモニウムとビニル基を有する化合物との結合体を存在させることを特徴とする請求項3に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  6. 前記ビニル基を有する化合物が、ポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれか一に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  7. 前記導電性ポリアニリンフィルム上に、前記導電性ポリマーからなる電解質層を形成することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  8. 前記導電性ポリマーが、チオフェン誘導体の重合体であることを特徴とする請求項7に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  9. 前記チオフェン誘導体が、3,4−エチレンジオキシチオフェンであることを特徴とする請求項8に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
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