JP2001196269A - 電解コンデンサ - Google Patents

電解コンデンサ

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JP2001196269A
JP2001196269A JP2000001153A JP2000001153A JP2001196269A JP 2001196269 A JP2001196269 A JP 2001196269A JP 2000001153 A JP2000001153 A JP 2000001153A JP 2000001153 A JP2000001153 A JP 2000001153A JP 2001196269 A JP2001196269 A JP 2001196269A
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Toshitaka Yoshioka
利恭 吉岡
Takahito Ito
隆人 伊藤
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Nippon Chemi Con Corp
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Nippon Chemi Con Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 誘電損失特性を損なうことなく、高耐圧、高
過電圧特性を有する電解コンンサを提供する。 【解決手段】 セパレータを介して陽極箔と陰極箔を巻
回し、電解液を含浸させてなるコンデンサ素子と、この
コンデンサ素子を収納する有底筒状の金属ケースと、こ
の金属ケースの開口部を封口する封口体からなり、前記
セパレータとして密度が0.6〜0.9g/cm3 の高
密度紙を含む電解紙にポリビニルアルコールを付着した
ものを用い、かつ前記電解液がほう酸を含み、さらに、
前記封口体としてイソブチレンとイソプレンとの共重合
体からなるブチルゴムポリマーをアルキルフェノールホ
ルマリン樹脂で架橋してなる弾性体を用いているので、
誘電損失特性を損なうことなく、高耐圧、高過電圧特性
を有する電解コンンサを得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電解コンデンサ、
特に中高圧用の電解コンデンサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】電解コンデンサは、小型、大容量、安価
で整流出力の平滑化などに優れた特性を示し、各種電
気、電子機器の重要な構成要素の一つである。
【0003】一般に、電解コンデンサは、アルミニウ
ム、タンタルなどのいわゆる弁金属の酸化皮膜を誘電体
層として形成したものを陽極側電極として使用する。そ
して、この陽極側電極に対向させて陰極側電極を配置
し、陽極側電極と陰極側電極間にセパレータを介在さ
せ、このセパレータに電解液を保持させている。
【0004】陽極側電極となる化成箔は、高純度の弁金
属からなる箔を表面積拡大のためにエッチング処理した
後、化成液中で電圧印加して酸化皮膜を形成することに
よって作成される。この化成処理時の印加電圧によって
誘電体である酸化皮膜の耐電圧が決定される。また、陰
極側電極となる陰極箔は、エッチング処理を施した高純
度の箔からなる。
【0005】そして、セパレータは、陽極箔と陰極箔が
ショートするのを防止し、併せてこの電解液を保持する
ものであり、クラフト紙、マニラ紙等の薄く低密度の紙
が用いられている。
【0006】そして、電極引出し端子を接合した陽極箔
と陰極箔をセパレータを介して重ね合わせ、巻回してコ
ンデンサ素子を作成し、このコンデンサ素子に電解液を
含浸し、金属ケースに入れて封口し、再化成して、電解
コンデンサが形成される。
【0007】電解コンデンサ用電解液は、前述のように
誘電体層に直接に接触し、真の陰極として作用する。即
ち、電解液は電解コンデンサの誘電体と集電陰極との間
に介在して、電解液の抵抗分が電解コンデンサに直列に
挿入されていることになる。したがって、電解液の電導
度は電解コンデンサの誘電損失の大きさに影響する。ま
た、電解液中でアルミニウム箔に電圧を印加した際にシ
ョートする電圧を電解液の火花電圧といい、電解液の酸
化皮膜形成性をあらわす。
【0008】そして、従来では、中高圧用の電解液とし
て、火花電圧が比較的高く得られることから、ほう酸
や、セバシン酸、アゼライン酸等の有機ジカルボン酸が
用いられてきた。さらに、高火花電圧、高電導度を有す
る、ブチルオクタン二酸(特公昭60−13296号公
報)を溶質として用いる例や、最近では1,7−オクタ
ンジカルボン酸(特開平2−224217)を用いた例
がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年、
スイッチング電源を使用した電子機器が一般家庭で汎用
されるようになり、電解コンデンサの安全性に対する幅
広い要求が、高まってきている。すなわち、この電子機
器に使用されるスイッチング電源には、電解コンデンサ
が用いられているが、供給電力が不安定な使用環境で
は、この電解コンデンサに過電圧が印加される場合があ
り、このような過電圧に耐えることができる安全性の高
い電解コンデンサへの要求が高まっている。ところが、
前記電解液を用いた電解コンデンサではこの要求に答え
ることができず、さらに高い耐電圧及び過電圧特性を有
する電解コンデンサが求められている。
【0010】そこで、本発明の目的は、中高圧用の電解
コンデンサにおいて、さらに高耐圧特性及び高過電圧特
性を有する電解コンデンサを提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めの本発明の電解コンデンサは、セパレータを介して陽
極箔と陰極箔を巻回し、電解液を含浸させてなるコンデ
ンサ素子と、このコンデンサ素子を収納する有底筒状の
金属ケースと、この金属ケースの開口部を封口する封口
体からなり、前記セパレータとして密度が0.6〜0.
9g/cm3 の高密度紙を含む電解紙にポリビニルアル
コールを付着したものを用い、かつ前記電解液がほう酸
を含み、さらに、前記封口体としてイソブチレンとイソ
プレンとの共重合体からなるブチルゴムポリマーをアル
キルフェノールホルマリン樹脂で架橋してなる弾性体を
用いたことを特徴としている。
【0012】また、セパレータを介して陽極箔と陰極箔
を巻回し、電解液を含浸させてなるコンデンサ素子と、
このコンデンサ素子を収納する有底筒状の金属ケース
と、この金属ケースの開口部を封口する封口体からな
り、前記セパレータとして密度が0.6〜0.9g/c
3 の高密度紙と密度が0.6g/cm3 未満の低密度
紙からなる電解紙の低密度紙側にポリビニルアルコール
を付着したものを用い、かつ前記電解液がほう酸を含
み、さらに、前記封口体としてイソブチレンとイソプレ
ンとの共重合体からなるブチルゴムポリマーをアルキル
フェノールホルマリン樹脂で架橋してなる弾性体を用い
たことを特徴としている。
【0013】そして、前記の電解コンデンサにおいて、
陽極箔の表面に形成されたピットの径が0.1μm以上
である陽極箔を用いたことを特徴としている。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の電解コンデンサに用いる
セパレータには、密度が0.6〜0.9g/cm3 の高
密度紙を含む電解紙にポリビニルアルコール(PVA)
を付着している。密度が0.6〜0.9g/cm3 の高
密度紙を含む電解紙とは、高密度紙単独でも良く、高密
度紙と密度が0.6g/cm3 未満の低密度紙で形成さ
れた電解紙、いわゆる、二重紙でもよい。
【0015】PVAを付着する方法は、PVA溶液を電
解紙に塗布し、乾燥して形成させる方法(塗工)が好適
である。そして、PVA溶液を電解紙に塗布する方法と
しては、コンマリバース方式の塗工機(コーティング
機)等を用いて、電解コンデンサ用電解紙にPVA溶液
を塗布し、乾燥する。PVA溶液は塗布後、電解紙に浸
透し、乾燥後にはPVAが電解紙の繊維に付着したり、
繊維間に存在した状態になる。この他、PVA溶液を散
布する方法等、電解紙の表面にPVAを付着する方法を
用いることができる。そして、このセパレータを介して
電極箔を巻回した時に、PVAを付着した面が陽極箔に
接する状態でもよいし、陰極箔に接する状態でもよい。
【0016】ここで、電極箔のバリによるショート等を
防止するために、電極箔の間隔をある程度とる必要があ
るが、この間隔はセパレータの厚みによって決められる
ことになる。ここで、このセパレータとして高密度紙の
みを用いると、電解コンデンサのtanδの低減を図る
ことが難しい。そこで、高密度紙と低密度紙からなる電
解紙(二重紙)を用いることによって、tanδの低減
を図ることができるので、二重紙の方が好適である。こ
の二重紙は、抄紙工程で高密度紙と低密度紙を貼り合わ
せる方法、抄紙後に両者を貼り合わせたり、重ね合わせ
て用いる方法によって、形成することができる。そし
て、PVAを付着するのは、低密度紙、高密度紙、いず
れの表面にでもよい。ただし、高密度紙に比べて、低密
度紙の方がPVA溶液の塗工性が良いので、低密度紙側
にPVA溶液を塗工して、PVAを付着する方が好適で
ある。
【0017】電解紙には、不織布、マニラ紙、クラフト
紙、セルロース紙等が使用され、また、ガラス、合成高
分子の繊維を用いた電解紙や、これらの混抄紙を使用す
ることもできる。電解紙の厚みは、20〜150μmで
あり、好ましくは20〜80μmである。この範囲未満
では、強度が不十分であり、この範囲を越えると、ta
nδが大きくなる。
【0018】電解紙にPVAを付着させる際に用いるP
VAは、市販のPVAを用いることができ、重合度は、
200〜3500、好ましくは200〜1700のもの
を用いることができる。けん化度については、70mo
l%の部分けん化したものから、99.5mol%以上
の完全けん化したものを用いることができるが、90%
以上のものが好ましい。
【0019】また、陽極箔は以下のように作成したもの
を用いる。電解コンデンサ用の金属箔を酸性溶液中で、
通電処理して、金属箔の表面にピットを生成させ、その
後に、高温の酸性溶液中での化学溶解によってピットの
径を拡大させて表面積を拡大するエッチングを行う。次
いで、このエッチング箔を前処理し、ほう酸、りん酸等
の酸あるいはこれらの塩の水溶液中で、所定の電圧にい
たるまで電圧を印加し、所定の電圧に達してからはこの
電圧を一定時間保持し、その後に減極処理を行い、再度
電圧を印加して、金属箔に誘電体酸化皮膜を形成する。
この際には、エッチングによって拡大された金属箔の表
面に酸化皮膜が形成されるので、ピット内部にも酸化皮
膜が形成される。したがって、酸化皮膜形成後の陽極箔
のピットの径は、エッチング後の金属箔のピットの径よ
りも小さくなる。本発明においては、この陽極箔の酸化
皮膜が形成された後のピットの径が、0.1μm以上の
ものが好ましい。
【0020】本発明に用いる陰極箔は通常の電解コンデ
ンサに使用するアルミニウム等の金属箔であればよい。
【0021】そして、以上のセパレータ、陽極箔、陰極
箔を用い、セパレータを陽極箔、陰極箔の間に挟んで巻
回し、コンデンサ素子を作成する。次いで、このコンデ
ンサ素子に電解液を含浸させ、金属ケース内に入れて、
封口体でシールする。
【0022】本発明の電解液はほう酸を含有してなるも
のであるが、溶質、溶媒は、従来のものを用いることが
できる。
【0023】溶媒としては、プロトン性の有機極性溶媒
として、一価アルコール類(エタノール、プロパノー
ル、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロ
ブタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノー
ル、ベンジルアルコール等)、多価アルコール類および
オキシアルコール化合物類(エチレングリコール、プロ
ピレングリコール、グリセリン、メチルセロソルブ、エ
チルセロソルブ、メトキシプロピレングリコール、ジメ
トキシプロパノール等)などが挙げられる。また、非プ
ロトン性の有機極性溶媒としては、アミド系(N−メチ
ルホルムアミド、N,N─ジメチルホルムアミド、N─
エチルホルムアミド、N,N─ジエチルホルムアミド、
N─メチルアセトアミド、N,N─ジメチルアセトアミ
ド、N─エチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセト
アミド、ヘキサメチルホスホリックアミド等)、ラクト
ン類(γ─ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−
バレロラクトン等)、環状アミド系(N─メチル─2─
ピロリドン、エチレンカーボネイト、プロピレンカーボ
ネイト、イソブチレンカーボネイト等)、ニトリル系
(アセトニトリル等)、オキシド系(ジメチルスルホキ
シド等)、2−イミダゾリジノン系〔1,3−ジアルキ
ル−2−イミダゾリジノン(1,3−ジメチル−2−イ
ミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジ
ノン、1,3−ジ(n−プロピル)−2−イミダゾリジ
ノン等)、1,3,4−トリアルキル−2−イミダゾリ
ジノン(1,3,4−トリメチル−2−イミダゾリジノ
ン等)〕などが代表として挙げられる。
【0024】電解液に含まれる溶質としては、通常電解
コンデンサ駆動用電解液に用いられる、酸の共役塩基を
アニオン成分とする、アンモニウム塩、アミン塩、四級
アンモニウム塩および環状アミジン化合物の四級塩が挙
げられる。アミン塩を構成するアミンとしては一級アミ
ン(メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブ
チルアミン、エチレンジアミン等)、二級アミン(ジメ
チルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、メチ
ルエチルアミン、ジフェニルアミン等)、三級アミン
(トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピル
アミン、トリフェニルアミン、1,8─ジアザビシクロ
(5,4,0)─ウンデセン─7等)が挙げられる。第
四級アンモニウム塩を構成する第四級アンモニウムとし
てはテトラアルキルアンモニウム(テトラメチルアンモ
ニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルア
ンモニウム、テトラブチルアンモニウム、メチルトリエ
チルアンモニウム、ジメチルジエチルアンモニウム
等)、ピリジウム(1─メチルピリジウム、1─エチル
ピリジウム、1,3─ジエチルピリジウム等)が挙げら
れる。また、環状アミジン化合物の四級塩を構成するカ
チオンとしては、以下の化合物を四級化したカチオンが
挙げられる。すなわち、イミダゾール単環化合物(1─
メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、
1,4─ジメチル─2─エチルイミダゾール、1─フェ
ニルイミダゾール等のイミダゾール同族体、1−メチル
−2−オキシメチルイミダゾール、1−メチル−2−オ
キシエチルイミダゾール等のオキシアルキル誘導体、1
−メチル−4(5)−ニトロイミダゾール、1,2−ジ
メチル−5(4)−アミノイミダゾール等のニトロおよ
びアミノ誘導体)、ベンゾイミダゾール(1−メチルベ
ンゾイミダゾール、1−メチル−2−ベンジルベンゾイ
ミダゾール等)、2−イミダゾリン環を有する化合物
(1─メチルイミダゾリン、1,2−ジメチルイミダゾ
リン、1,2,4−トリメチルイミダゾリン、1,4−
ジメチル−2−エチルイミダゾリン、1−メチル−2−
フェニルイミダゾリン等)、テトラヒドロピリミジン環
を有する化合物(1−メチル−1,4,5,6−テトラ
ヒドロピリミジン、1,2−ジメチル−1,4,5,6
−テトラヒドロピリミジン、1,8−ジアザビシクロ
〔5.4.0〕ウンデセン−7、1,5−ジアザビシク
ロ〔4.3.0〕ノネン−5等)等である。
【0025】アニオン成分としては、フタル酸、イソフ
タル酸、テレフタル酸、マレイン酸、アジピン酸、安息
香酸、トルイル酸、エナント酸、マロン酸、1,6−デ
カンジカルボン酸、1,7−オクタンジカルボン酸等の
カルボン酸、フェノール類、ほう酸、りん酸、炭酸、け
い酸等の酸の共役塩基が例示される。
【0026】また、本発明の電解コンデンサ用電解液
に、ほう酸と多糖類(マンニット、ソルビットなど)と
の錯化合物、ほう酸と多価アルコール(エチレングリコ
ール、グリセリンなど)との錯化合物等、界面活性剤、
コロイダルシリカ等を添加することによって、さらに、
耐電圧の向上をはかることができる。
【0027】また、漏れ電流の低減や水素ガス吸収等の
目的で種々の添加剤を添加することができる。添加剤と
しては、例えば、芳香族ニトロ化合物、(p−ニトロ安
息香酸、p−ニトロフェノールなど)、リン系化合物
(リン酸、亜リン酸、ポリリン酸、酸性リン酸エステル
化合物)、オキシカルボン酸化合物等を挙げることがで
きる。
【0028】また、封口体としては、イソブチレンとイ
ソプレンとの共重合体からなるブチルゴムポリマーをア
ルキルフェノールホルマリン樹脂で架橋してなる弾性体
を用いる。
【0029】本発明では、陽極箔のピットに含浸した電
解液に、電解紙に付着させたPVAが接触して、PVA
と電解液中のエチレングリコールとほう酸により部分的
にゲル化する。そして、PVAが電解液にゲル状態にな
って均一に混合することによって、火花電圧の高い電解
質が得られて、電解コンデンサの耐電圧が向上し、誘電
体と密着面積が広く、かつ、密着性の良好な電解質が形
成されるので、損失特性が低下することがない。ここ
で、陽極箔の表面のピットの径が0.1μm以上に形成
されていると、ゲルがピット内部まで進行するのに十分
な空隙が存在し、ピットの内部にまでPVAが浸透して
誘電体皮膜との密着性の良いゲルを形成するので好適で
ある。
【0030】この部分的なゲル化の挙動は以下のように
推察される。本発明によるコンデンサ素子を電解液に接
触させることによって、まず、電解液が、陽極箔のピッ
トに含浸する。そして、その後に、含浸した電解液にセ
パレータに付着させたPVAが接触して、電解液中のエ
チレングリコールとほう酸とPVAによるゲル化が進行
し、誘電体皮膜との密着性の良いゲル状電解質が得られ
る。この場合、ピットの径が0.1μm以上の場合に
は、ピット内部により良好なゲルが形成される。このこ
とによって、火花電圧が高く、誘電体との密着性の良い
電解質が得られるので、高耐電圧を有し、低誘電損失を
維持した電解コンデンサを得ることができる。
【0031】また、この方法によれば、前記のように、
電解液とPVAとのゲル化が良好な状態で進行するの
で、PVAが電解質中に均一に分散した状態となり、こ
のPVAの作用によるものと思われるが、過電圧特性が
向上する。
【0032】さらに、セパレータの、電解液に溶解、反
応したPVAの残留分が、主体繊維に付着した状態で、
主体繊維間に存在し、このように主体繊維にPVAが付
着したセパレータに電解液が保持された全体の状態が、
高電導度を維持しているものと思われる。ここで、PV
Aのケン化度が90モル%以上のものを用いた場合、さ
らに耐電圧は高くなる。
【0033】そして、本発明においては、封口体とし
て、イソブチレンとイソプレンとの共重合体からなるブ
チルゴムポリマーをアルキルフェノールホルマリン樹脂
で架橋してなる弾性体を用いている。この弾性体の寿命
試験中の弾性の劣化が少ない特性と、電解液の部分的な
ゲル化によるものと思われるが、寿命試験において、外
部接続端子の封口材の挿通孔からの電解液の液漏れを抑
制することができる。
【0034】さらに、上記の本発明のセパレータと電解
液の組み合わせで過電圧特性が向上して過電圧試験での
ショートが防止され、さらに、前記弾性体は過電圧が印
加された際の発熱によってゴム特性が劣化するというこ
とがないので、ゴムの抜けが生じるということがなく、
したがって、良好な過電圧特性を得ることができる。
【0035】ここで、PVAを添加した電解液を作成
し、この電解液を巻回したコンデンサ素子に含浸し、金
属ケースに封入した後に、加熱して電解液をゲル化させ
ても、寿命試験において液漏れが発生し、過電圧特性も
さほどの向上は見られず、誘電損失も上昇する。これ
は、電解質のゲル化が良好ではなく、さらに、ゲル化し
た電解質が誘電体皮膜へ良好な状態で密着していないこ
とが原因であると思われる。なお、PVAの添加量を増
していくと、電解液の粘度が上昇し、コンデンサ素子に
含浸することができなくなり、電解コンデンサを形成す
ることができない。
【0036】以上のように、本発明のセパレータと電解
液と封口材の相乗効果によって、誘電損失特性を損なう
ことなく、高耐圧、高過電圧特性を有する電解コンデン
サを得ることができる。
【0037】
【実施例】以下に実施例をあげて、本発明を更に具体的
に説明する。
【0038】(実施例)電解紙(密度0.85g/cm
3 の高密度クラフト紙と密度0.6g/cm3 以下の低
密度紙を抄紙工程で貼り合わせた二重紙、厚み60μ
m)に、PVA(けん化度98.5mol%、重合度2
00)を10%溶解した水溶液を、コンマリバース方式
の塗工機にて塗布し、加熱乾燥させて、PVAが付着し
たセパレータを得た。PVAの付着量は、5g/m2
あった。このセパレータを陰極箔、表面に形成されたピ
ットの径が0.1μm以上である陽極箔の間に挟み、巻
回して、500V−50μFのコンデンサ素子を作成し
た。また、エチレングリコール88wt%、1,6−デ
カンジカルボン酸アンモニウム9wt%、ほう酸3wt
%の電解液を作成した。そして、コンデンサ素子にこの
電解液を含浸し、有底筒状のアルミニウム金属ケースに
収納し、イソブチレンとイソプレンとの共重合体からな
るブチルゴムポリマーをアルキルフェノールホルマリン
樹脂で架橋してなる弾性ゴムで封口した。次いで、加熱
して、525V印加し、再化成して、アルミニウム電解
コンデンサを作成した。
【0039】(比較例1)実施例において、電解液とし
て、エチレングリコール91wt%、1,6−デカンジ
カルボン酸アンモニウム9wt%の電解液を用いて、同
様にアルミニウム電解コンデンサを作成した。
【0040】(比較例2)実施例において、封口ゴムと
して、イソブチレンとイソプレンとの共重合体からなる
ブチルゴムポリマーをキノイドで架橋してなる弾性ゴム
を用いて、同様にアルミニウム電解コンデンサを作成し
た。
【0041】(比較例3)セパレータとして、クラフト
紙(密度0.75g/cm3 、厚み70μm)を用い、
電解液として、エチレングリコール85wt%、1,6
−デカンジカルボン酸アンモニウム9wt%、ほう酸3
wt%、PVA(ケン化度98.5モル%、重合度20
0)3wt%の電解液を用いて、比較例2と同様にし
て、アルミニウム電解コンデンサを作成した。
【0042】実施例、比較例1〜3のアルミニウム電解
コンデンサに500Vを印加し、105℃で4000時
間の高温負荷試験を行った。その試験結果を(表1)に
示した。試験数は20個として、特性は20個の電解コ
ンデンサの平均値で示した。また、実施例、比較例2、
3のアルミニウム電解コンデンサに、600Vを印加
し、105℃で100時間の過電圧試験を行った。その
試験結果を(表2)に示した。試験数は20個として、
ショートが発生した個数を表中に示した。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】(表1)から明らかなように、実施例は、
初期特性、高温負荷試験共に、良好な結果を得ており、
定格500Vの高圧用電解コンデンサが実現されてい
る。
【0046】これらに比較して、ほう酸を添加していな
い電解液を用いた、比較例1では、セパレータのPVA
が溶解せず、電解コンデンサの耐電圧が向上せず、再化
成中にショートが発生している。また、通常のセパレー
タを用い、封口ゴムとしてキノイド架橋のブチルゴムを
用い、電解液にPVAを添加した比較例3は、PVAの
添加効果で電解液の耐電圧が上昇しているので、寿命試
験でショートは発生していないが、tanδが高く、さ
らに、液漏れが発生している。
【0047】また、(表2)から明らかなように、実施
例では、過電圧試験において、ショートの発生はなく、
良好な過電圧特性を示している。そして、封口ゴムにキ
ノイド架橋ブチルゴムを用いた比較例2は、試験後にゴ
ム抜けが発生している。これは、試験中の発熱でゴムの
弾性特性の劣化がおこり、さらにガス発生によって電解
コンデンサの内圧が上昇して、発生したものと思われ
る。また、比較例3では、ショートが発生しており、6
00Vの過電圧特性を有していないことがわかる。
【0048】
【発明の効果】本発明の電解コンデンサは、セパレータ
を介して陽極箔と陰極箔を巻回し、電解液を含浸させて
なるコンデンサ素子と、このコンデンサ素子を収納する
有底筒状の金属ケースと、この金属ケースの開口部を封
口する封口体からなり、前記セパレータとして密度が
0.6〜0.9g/cm3 の高密度紙を含む電解紙にポ
リビニルアルコールを付着したものを用い、かつ前記電
解液がほう酸を含み、さらに、前記封口体としてイソブ
チレンとイソプレンとの共重合体からなるブチルゴムポ
リマーをアルキルフェノールホルマリン樹脂で架橋して
なる弾性体を用いているので、誘電損失特性を損なうこ
となく、高耐圧、高過電圧特性を有する電解コンンサを
得ることができる。
【0049】さらに、前記電解コンデンサにおいて、セ
パレータとして、密度が0.6〜0.9g/cm3 の高
密度紙と密度が0.6g/cm3 未満の低密度紙からな
る電解紙の低密度紙側にポリビニルアルコールを付着し
たものを用いることによって、tanδを低減すること
ができる。
【0050】また、前記電解コンデンサにおいて、陽極
箔の表面に形成されたピットの径が0.1μm以上であ
ると、耐電圧特性、異常電圧特性はさらに、向上する。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セパレータを介して陽極箔と陰極箔を巻
    回し、電解液を含浸させてなるコンデンサ素子と、この
    コンデンサ素子を収納する有底筒状の金属ケースと、こ
    の金属ケースの開口部を封口する封口体からなり、前記
    セパレータとして密度が0.6〜0.9g/cm3 の高
    密度紙を含む電解紙にポリビニルアルコールを付着した
    ものを用い、かつ前記電解液がほう酸を含み、さらに、
    前記封口体としてイソブチレンとイソプレンとの共重合
    体からなるブチルゴムポリマーをアルキルフェノールホ
    ルマリン樹脂で架橋してなる弾性体を用いた電解コンデ
    ンサ。
  2. 【請求項2】 セパレータを介して陽極箔と陰極箔を巻
    回し、電解液を含浸させてなるコンデンサ素子と、この
    コンデンサ素子を収納する有底筒状の金属ケースと、こ
    の金属ケースの開口部を封口する封口体からなり、前記
    セパレータとして密度が0.6〜0.9g/cm3 の高
    密度紙と密度が0.6g/cm3 未満の低密度紙からな
    る電解紙の低密度紙側にポリビニルアルコールを付着し
    たものを用い、かつ前記電解液がほう酸を含み、さら
    に、前記封口体としてイソブチレンとイソプレンとの共
    重合体からなるブチルゴムポリマーをアルキルフェノー
    ルホルマリン樹脂で架橋してなる弾性体を用いた電解コ
    ンデンサ。
  3. 【請求項3】 陽極箔の表面に形成されたピットの径が
    0.1μm以上である、請求項1または2に記載の電解
    コンデンサ。
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