JP4811969B2 - 電解コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電解コンデンサに関し、特に高い耐電圧特性を有する電解コンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
電解コンデンサは、小型、大容量、安価で整流出力の平滑化などに優れた特性を示し、各種電気、電子機器の重要な構成要素の一つである。
【0003】
一般に、電解コンデンサは、アルミニウム、タンタルなどのいわゆる弁金属の酸化皮膜を誘電体層として形成したものを陽極側電極として使用する。そして、この陽極側電極に対向させて陰極側電極を配置し、陽極側電極と陰極側電極間にセパレータを介在させ、このセパレータに電解液を保持させている。
【0004】
陽極側電極となる化成箔は、高純度の弁金属からなる箔を表面積拡大のためにエッチング処理した後、化成液中で電圧印加して酸化皮膜を形成することによって作成される。この化成処理時の印加電圧によって誘電体である酸化皮膜の耐電圧が決定される。また、陰極側電極となる陰極箔は、エッチング処理を施した高純度の箔からなる。
【0005】
そして、セパレータは、陽極箔と陰極箔がショートするのを防止し、併せてこの電解液を保持するものであり、クラフト紙、マニラ紙等の薄く低密度の紙が用いられている。
【0006】
そして、電極引出し端子を接合した陽極箔と陰極箔をセパレータを介して重ね合わせ、巻回してコンデンサ素子を作成し、このコンデンサ素子に電解液を含浸し、ケースに入れて封口し、再化成して、電解コンデンサが形成される。
【0007】
電解コンデンサ用電解液は、前述のように誘電体層に直接に接触し、真の陰極として作用する。即ち、電解液は電解コンデンサの誘電体と集電陰極との間に介在して、電解液の抵抗分が電解コンデンサに直列に挿入されていることになる。したがって、電解液の電導度はコンデンサの誘電損失の大きさに影響する。また、電解液中でアルミニウム箔に電圧を印加した際にショートする電圧を電解液の火花電圧といい、電解液の酸化皮膜形成性をあらわす。
【0008】
そして、従来では、中高圧用の電解液として、火花電圧が比較的高く得られることから、セバシン酸、やアゼライン酸等の有機ジカルボン酸が用いられることもあるが、高圧用としては、火花電圧が十分ではなかった。そこで、このような欠点を解決するために、従来から知られている無機酸、すなわち、ほう酸を使用し、マンニット等を添加して、高耐圧、高電導度を図った電解液が用いられている。さらに、有機酸では、ブチルオクタン二酸(特公昭60−13296号公報)を溶質として用いる例や5,6−デカンジカルボン酸(特公昭63−15738号公報)を溶質として用いた例、さらに、最近では、1,7−オクタンジカルボン酸(特開平2−224217)を用いた例がある。これらの電解液では、火花電圧および電導度が高く、しかも高温保存中のエステル化が非常に遅く水の生成が少ないので高温での安定性を得ることができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、中高圧用電解コンデンサが使用されるインバーター等の電子機器の効率向上が求められ、これらの動作速度の高周波化が進み、さらに高耐圧で、損失が低く保たれ、かつ高温での安定性のある、信頼性の高い電解コンデンサが求められている。
【0010】
さらに、近年、スイッチング電源を使用した電子機器が一般家庭で汎用されるようになり、アルミ電解コンデンサの安全性に対する幅広い要求が、高まってきている。すなわち、スイッチング電源の一次側に使われるアルミ電解コンデンサには、供給電力の不安定さによって過電圧が印加される場合がある。その際に、コンデンサの特性が劣化することがあり、このような事態を防止する、高い過電圧特性を有する電解コンデンサが望まれていた。
【0011】
本発明は、高耐圧で損失が低く保たれ、さらに、過電圧特性の良好な電解コンデンサを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の電解コンデンサの製造方法は、陽極箔と陰極箔とセパレータを巻回してなるコンデンサ素子にほう酸を含む駆動用電解液を含浸し、このコンデンサ素子の上下両端面の陽極箔および陰極箔の切断面にポリビニルアルコールを付着し、このコンデンサ素子を外装ケースに収納し、この外装ケースの開口部を封口部材で封口し、熱処理を行った後に、再化成を行うことを特徴とする。
【0013】
また、陽極箔と陰極箔とセパレータを巻回してなるコンデンサ素子にほう酸を含む駆動用電解液を含浸し、このコンデンサ素子の上下端面の一方であって、陽極箔および陰極箔の切断面にポリビニルアルコールを付着し、このコンデンサ素子を外装ケースに収納し、この外装ケースの開口部を封口部材で封口し、ポリビニルアルコールを付着した前記コンデンサ素子の端面が他方の端面より高い位置になるように配置して熱処理を行った後に、再化成を行うことにより、電解コンデンサを製造することを特徴とする。
【0014】
また、陽極箔と陰極箔とセパレータを巻回してなるコンデンサ素子にほう酸を含む駆動用電解液を含浸し、外装ケースの内底面にポリビニルアルコールを配置し、コンデンサ素子をこの外装ケースに収納し、この外装ケースの開口部を封口部材で封口し、外装ケースの底面が上向きになるように配置して熱処理を行った後に、再化成を行うことにより、電解コンデンサを製造することを特徴とする。
【0015】
さらに、本発明の電解コンデンサは、陽極箔と陰極箔とセパレータを巻回してなるコンデンサ素子に駆動用電解液を含浸し、このコンデンサ素子を外装ケースに収納し、この外装ケースの開口部を封口部材で封口し、再化成してなる電解コンデンサにおいて、ほう酸を含む駆動用電解液を用い、少なくとも、コンデンサ素子の上下両端面の陽極箔および陰極箔の切断面にポリビニルアルコールが付着していることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
電解コンデンサの耐電圧特性は以下のように規定されると考えられる。すなわち、コンデンサの陽極電極箔となる化成箔は、化成処理を行った後、コンデンサ素子の長さにしたがって切断され、セパレータと共に巻回して電解コンデンサの素子となる。したがって、コンデンサ素子の電極箔の切断面には酸化皮膜が存在しない。そこで、コンデンサ素子に電解液を含浸し、ケースに入れて封口した後、いわゆる再化成として、電圧印加して、化成箔の切断面の化成を行う。そして、この再化成は、コンデンサ素子に含浸された電解液中で行われることになるため、電解液の酸化皮膜形成特性である、火花電圧以上の電圧を印加することはできない。ここで、一般的には、電解液の火花電圧は化成箔の化成電圧より低いので、再化成電圧は化成電圧より低く、したがって、再化成時に形成された切断面の酸化皮膜の耐電圧が化成箔の中で最も低くくなるので、この部分の耐電圧がコンデンサの耐電圧を規定することになる。つまり、電解コンデンサの耐電圧は、電極箔の切断面の再化成電圧によって決定されることになる。本発明は以上のような耐電圧を規定する要因を考察してなされたもので、すなわち、電極箔の切断面の再化成電圧を高めれば、コンデンサの耐電圧を向上させることができると考え、本願発明にいたったものである。
【0017】
以下に本発明の電解コンデンサについて説明する。電解コンデンサは、図4、5に示すように、弁金属の箔の表面に陽極酸化皮膜を形成した陽極箔14を、弁金属箔よりなる陰極箔15と紙などよりなるセパレータ16とともに巻回することにより構成したコンデンサ素子1を、外装ケース2に収納し、封口部材3により外装ケースの開口部を封口することによって構成されている。
【0018】
本発明は、このような電解コンデンサにおいて、少なくとも、コンデンサ素子の上下両端面にポリビニルアルコール(以下PVA)を付着している。ここで、さらに、PVAがコンデンサ素子の側面に付着していてもよい。すなわち、図1に示すように、コンデンサ素子の端面12、端面13にPVA4を付着している。付着する方法は、図4に示すように、陽極箔14と陰極箔15とセパレータ16を巻回してなるコンデンサ素子1を形成し、このコンデンサ素子にほう酸を含む駆動用電解液を含浸する。そして、図1に示すように、コンデンサ素子の端面12、13にPVA4を、塗布等の方法によって、付着する。そして、このコンデンサ素子を外装ケース2に収納し、この外装ケースの開口部を封口部材3で封口する。次いで、熱処理を行い、その後に、電解コンデンサに加熱、電圧印加し、再化成を行って、本発明の電解コンデンサは形成される。
【0019】
また、図2に示すように、コンデンサ素子の一方の端面12にのみPVA4を付着することによって、本発明の電解コンデンサを形成することもできる。そして、このコンデンサ素子1を外装ケース2に収納し、この外装ケースの開口部を封口部材3で封口する。次いで、PVAを付着した端面が他方の端面より高い位置になるように、配置して、熱処理を行う。この場合は、図2の状態に配置して熱処理を行い、その後に、電解コンデンサに加熱、電圧印加し、再化成を行って、本発明の電解コンデンサは形成される。また、図2において、コンデンサ素子の内底面に面する端面13にPVAを付着することもできる。この場合は、図2と上下が逆になるように配置して熱処理を行った後に、再化成を行う。
【0020】
さらに、図3に示すように、外装ケース2の内底面21にPVA4を配置して、本発明の電解コンデンサを形成することができる。次いで、図4に示すように、陽極箔14と陰極箔15とセパレータ16を巻回してなるコンデンサ素子1に駆動用電解液を含浸し、このコンデンサ素子をこの外装ケース2に収納し、この外装ケースの開口部を封口部材3で封口する。この場合は、外装ケースの底面が上向きになるように配置して、すなわち、図3の上下を逆にして配置し、熱処理を行い、その後に、再化成を行う。
【0021】
ここで用いるPVAは、市販のPVAを用いることができる。重合度は、400〜3500、けん化度は、75モル%の部分けん化したものから、99.5モル%以上の完全けん化したものを用いることができ、けん化度依存性はない。
【0022】
本発明の電解液はほう酸を含有してなるものであるが、溶質、溶媒は、従来のものを用いることができる。
【0023】
溶媒としては、プロトン性の有機極性溶媒として、一価アルコール類(エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロブタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等)、多価アルコール類およびオキシアルコール化合物類(エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メトキシプロピレングリコール、ジメトキシプロパノール等)などが挙げられる。また、非プロトン性の有機極性溶媒としては、アミド系(N−メチルホルムアミド、N,N─ジメチルホルムアミド、N─エチルホルムアミド、N,N─ジエチルホルムアミド、N─メチルアセトアミド、N,N─ジメチルアセトアミド、N─エチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックアミド等)、ラクトン類(γ─ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−バレロラクトン等)、環状アミド系(N─メチル─2─ピロリドン、エチレンカーボネイト、プロピレンカーボネイト、イソブチレンカーボネイト等)、ニトリル系(アセトニトリル等)、オキシド系(ジメチルスルホキシド等)、2−イミダゾリジノン系〔1,3−ジアルキル−2−イミダゾリジノン(1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジ(n−プロピル)−2−イミダゾリジノン等)、1,3,4−トリアルキル−2−イミダゾリジノン(1,3,4−トリメチル−2−イミダゾリジノン等)〕などが代表として挙げられる。
【0024】
電解液に含まれる溶質としては、通常電解コンデンサ駆動用電解液に用いられる、酸の共役塩基をアニオン成分とする、アンモニウム塩、アミン塩、四級アンモニウム塩および環状アミジン化合物の四級塩が挙げられる。アミン塩を構成するアミンとしては一級アミン(メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン等)、二級アミン(ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、メチルエチルアミン、ジフェニルアミン等)、三級アミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリフェニルアミン、1,8─ジアザビシクロ(5,4,0)─ウンデセン─7等)が挙げられる。第四級アンモニウム塩を構成する第四級アンモニウムとしてはテトラアルキルアンモニウム(テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、メチルトリエチルアンモニウム、ジメチルジエチルアンモニウム等)、ピリジウム(1─メチルピリジウム、1─エチルピリジウム、1,3─ジエチルピリジウム等)が挙げられる。また、環状アミジン化合物の四級塩を構成するカチオンとしては、以下の化合物を四級化したカチオンが挙げられる。すなわち、イミダゾール単環化合物(1─メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1,4─ジメチル─2─エチルイミダゾール、1─フェニルイミダゾール等のイミダゾール同族体、1−メチル−2−オキシメチルイミダゾール、1−メチル−2−オキシエチルイミダゾール等のオキシアルキル誘導体、1−メチル−4(5)−ニトロイミダゾール、1,2−ジメチル−5(4)−アミノイミダゾール等のニトロおよびアミノ誘導体)、ベンゾイミダゾール(1−メチルベンゾイミダゾール、1−メチル−2−ベンジルベンゾイミダゾール等)、2−イミダゾリン環を有する化合物(1─メチルイミダゾリン、1,2−ジメチルイミダゾリン、1,2,4−トリメチルイミダゾリン、1,4−ジメチル−2−エチルイミダゾリン、1−メチル−2−フェニルイミダゾリン等)、テトラヒドロピリミジン環を有する化合物(1−メチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1,2−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノネン−5等)等である。
【0025】
アニオン成分としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、アジピン酸、安息香酸、トルイル酸、エナント酸、マロン酸、1,6−デカンジカルボン酸、1,7−オクタンジカルボン酸等のカルボン酸、フェノール類、ほう酸、りん酸、炭酸、けい酸等の酸の共役塩基が例示される。
【0026】
また、本発明の電解コンデンサ用電解液に、ほう酸系化合物、例えばほう酸、ほう酸と多糖類(マンニット、ソルビットなど)との錯化合物、ほう酸と多価アルコール(エチレングリコール、グリセリンなど)との錯化合物等、界面活性剤、コロイダルシリカ等を添加することによって、さらに、耐電圧の向上をはかることができる。
【0027】
また、漏れ電流の低減や水素ガス吸収等の目的で種々の添加剤を添加することができる。添加剤としては、例えば、芳香族ニトロ化合物、(p−ニトロ安息香酸、p−ニトロフェノールなど)、リン系化合物(リン酸、亜リン酸、ポリリン酸、酸性リン酸エステル化合物)、オキシカルボン酸化合物等を挙げることができる。
【0028】
このようにして作成された電解コンデンサは、高耐電圧で、低誘電損失を維持し、過電圧特性も良好である。
【0029】
本発明の電解コンデンサがこのような挙動を示すのは以下のようであると考えられる。本発明の電解コンデンサにおいては、コンデンサ素子1を外装ケース2に収納し、外装ケースの開口部を封口材3で封口し、熱処理を行った後には、コンデンサ素子の端面12、13の両方の端面にPVAが付着した状態になっている。すなわち、コンデンサ素子の一方の端面にのみPVAを付着した場合は、その端面を他方の端面より高い位置に配置して、熱処理を行うので、付着させたPVAがコンデンサ素子の側面を伝わって、他方の端面にまで至ることになる。そして、本発明の電解液はほう酸を含んでいるので、これらのPVAは、電解液に良好な状態で溶解し、その結果、コンデンサ素子の両方の端面部分の電解液の火花電圧が上昇する。そして、コンデンサ素子の両端面は、前述した、化成箔の切断面が存在しているところであり、この部分の電解液の火花電圧が上昇するので、再化成電圧を高めることができ、したがって、化成箔の中で最も耐電圧の低い、化成箔の切断面部分の耐電圧を高めることができる。その結果として、電解コンデンサの耐電圧は向上する。
【0030】
さらに、陽極箔14と電極タブ11を接合する場合に、陽極箔の酸化被膜が欠落すると考えられている。この欠落部についても、端面に付着させたPVAが、巻回後の電極タブとセパレータ16の間には間隙が存在するので、この間隙の電解液に溶解して、この部分の電解液の火花電圧が上昇し、化成箔の切断面と同様に、欠落部の耐電圧を向上させることができ、電解コンデンサの耐電圧耐電圧が向上する。
【0031】
また、これまで述べてきた化成箔には、コンデンサ素子の巻回工程等で引張力、屈曲力などが負荷されることがある。そして、この時に加わる力によって、化成箔の切断面や電極タブとの接合部の他の部分、例えば、コンデンサ素子に巻回された際のコンデンサ素子の中央部に当たる部分のなどの化成箔の酸化被膜が欠落すると考えられていた。しかしながら、本発明によれば、この部分での電解液の火花電圧は向上しないが、再化成電圧を上昇させても、この部分でのショートが発生することはない。これらのことから、この部分の化成箔の耐電圧は、再化成電圧より高く保たれていると、推察される。
【0032】
ここで、端面に付着したPVAは端面の部分の電解液に溶解するが、コンデンサ素子内部の電解液に溶解していく量は少ないので、電解液の電導度は上昇せず、したがって、コンデンサの損失は低く維持できる。
【0033】
また、本発明の電解コンデンサに過電圧が印加された場合、陽極箔に過電圧がかかり、発熱する。この発熱によって、コンデンサ素子の端面に付着したPVAが急激に電解液に溶解する。このことによって、電解液の火花電圧が急激に上昇し、結果として、この火花電圧は過電圧を上回り、発火は抑制される。その後、過電圧が継続して印加され続けた場合は、再化成によって形成されたコンデンサ素子端面の酸化皮膜の部分の皮膜形成が継続し、その過程で発熱、ガス発生がおこり、電解コンデンサは開弁する。その後、電解液中の溶媒成分が揮発して、いわゆるドライアップの状態になり、電解コンデンサはオープンにいたる。
【0034】
なお、電解液がほう酸を含んでいない場合は、PVAが電解液に溶解すると、電解液は半固体化し、耐電圧も向上しない。
【0035】
また、電解液の耐電圧の維持のため、電解液中にPVAを添加した場合は、電解液の粘度が上昇し、コンデンサ素子への含浸が困難になり、電解液の電導度も上昇してしまう。
【0036】
【実施例】
以下に実施例をあげて、本発明を更に具体的に説明する。
【0037】
(実施例1)図4に示すように、粗面化したアルミニウム箔の表面に酸化皮膜を形成した陽極箔14とアルミニウム箔よりなる陰極箔15と紙などよりなるセパレータ16とともに巻回することによってコンデンサ素子1が形成される。そして、図1に示すように、このコンデンサ素子1に、エチレングリコール、100部、1,7−オクタンジカルボン酸アンモニウム、15部、ほう酸、3部からなる駆動用電解液を含浸し、このコンデンサ素子の端面12、13にPVA粉末を付着させる。そして、有底円筒状の外装ケース2に収納し、外装ケース2の開口部を封口部材で封口し、85℃で熱処理した後に、550Vで再化成し、電解コンデンサを作成した。作成した電解コンデンサの定格は、500V、10μFである。
【0038】
(実施例2)実施例1においては、電解液を含浸したコンデンサ素子の端面12、13にPVA粉末を付着させたが、これに代えて、図2に示すように、電解液を含浸したコンデンサ素子の端面12のみにPVAを付着させ、コンデンサの上下を、図2のように配置して、熱処理を行った。
【0039】
(実施例3)実施例1においては、電解液を含浸したコンデンサ素子の端面12、13にPVA粉末を付着させたが、これに代えて、図3に示すように、外装ケースの内底面21にPVAを配置して、電解コンデンサを作成した。また、熱処理は、コンデンサの底面を上方にして、すなわち、図3の上下を逆にした配置で、行った。
【0040】
(実施例4)実施例1の電解液に代えて、エチレングリコール、100部、アジピン酸アンモニウム、10部、ほう酸、3部からなる電解液を用い、85℃、450Vで再化成し、同様に電解コンデンサを作成した。作成した電解コンデンサの定格は、400V、10μFである。
【0041】
(比較例)実施例1の電解液に代えて、エチレングリコール、100部、1,7−オクタンジカルボン酸アンモニウム、15部からなる電解液を用い、同様に、電解コンデンサを作成した。
【0042】
(従来例1)実施例1において、PVAを用いず、同様に電解コンデンサを作成した。
【0043】
(従来例2)実施例2において、PVAを用いず、同様に電解コンデンサを作成した。
【0044】
つぎに、この電解コンデンサについて、高温負荷試験を行った。試験条件は、実施例1〜3、比較例、従来例1では、印加電圧500V、105℃、1000時間であり、その結果を(表1)に示す。また、実施例3、従来例2の試験条件は、印加電圧400V、105℃、1000時間であり、結果を(表2)に示す。
【0045】
【表1】
Figure 0004811969
【0046】
【表2】
Figure 0004811969
【0047】
(表1)から明らかなように、従来例1では再化成中にショートが発生しているが、実施例1〜3では105℃、2000時間後も良好な特性を維持している。また、ほう酸を添加しない、比較例においては、再化成中にショートが発生しており、耐電圧は向上していない。
【0048】
また、(表2)から明らかなように、従来例2では再化成中にショートが発生しているが、実施例4では105℃、2000時間後も良好な特性を維持している。本発明によって、従来では中低圧領域で用いられていたアジピン酸アンモニウムが高圧領域で用いることができ、低誘電損失が実現できることがわかる。
【0049】
次いで、実施例1〜3の電解コンデンサについて、550Vおよび600Vを印加し、105℃で50時間の過電圧試験を行った。その結果を(表3)に示す。また、実施例4の電解コンデンサについて、450Vおよび500Vを印加し、105℃で50時間の過電圧試験を行った。その結果を(表4)に示す。
【0050】
【表3】
Figure 0004811969
【0051】
【表4】
Figure 0004811969
【0052】
(表1)、(表2)から明らかなように、実施例1〜4は、過電圧試験においてショートの発生がなく、良好な過電圧特性を有している。
【0053】
【発明の効果】
以上のように、本発明においては、陽極箔と陰極箔とセパレータを巻回してなるコンデンサ素子に駆動用電解液を含浸し、このコンデンサ素子を外装ケースに収納し、この外装ケースの開口部を封口部材で封口し、再化成してなる電解コンデンサにおいて、ほう酸を含む駆動用電解液を用い、少なくとも、コンデンサ素子の上下両端面の陽極箔および陰極箔の切断面にPVAを付着し、その後に、熱処理をしている。したがって、コンデンサ素子の両端面部分の電解液にPVAが溶解し、電極箔の切断面の近傍の電解液の火花電圧が上昇するので、その後の再化成時の再化成電圧を高めることができる。そのことによって、電極箔中で最も耐電圧の低い、電極箔の切断面の耐電圧が向上し、電解コンデンサの耐電圧が向上する。この際に、電解液の全体にPVAが溶解することはないので、低誘電損失を維持することができる。
【0054】
また、過電圧が印加した際には、さらに、コンデンサ素子端面のPVAが電解液に溶解して火花電圧が上昇するので、高い過電圧特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す断面図である。
【図2】本発明の実施例を示す断面図である。
【図3】本発明の実施例を示す断面図である。
【図4】コンデンサ素子の構造図である。
【図】従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 コンデンサ素子
11 電極タブ
12 コンデンサ素子の端面
13 コンデンサ素子の端面
14 陽極箔
15 陰極箔
16 セパレータ
2 外装ケース
21 外装ケースの内底面
3 封口部材
4 PVA

Claims (4)

  1. 陽極箔と陰極箔とセパレータを巻回してなるコンデンサ素子にほう酸を含む駆動用電解液を含浸し、このコンデンサ素子の上下両端面の陽極箔および陰極箔の切断面にポリビニルアルコールを付着し、このコンデンサ素子を外装ケースに収納し、この外装ケースの開口部を封口部材で封口し、熱処理を行った後に、再化成を行う電解コンデンサの製造方法。
  2. 陽極箔と陰極箔とセパレータを巻回してなるコンデンサ素子にほう酸を含む駆動用電解液を含浸し、このコンデンサ素子の上下端面の一方であって、陽極箔および陰極箔の切断面にポリビニルアルコールを付着し、このコンデンサ素子を外装ケースに収納し、この外装ケースの開口部を封口部材で封口し、ポリビニルアルコールを付着した前記コンデンサ素子の端面が他方の端面より高い位置になるように配置して熱処理を行った後に、再化成を行う電解コンデンサの製造方法。
  3. 陽極箔と陰極箔とセパレータを巻回してなるコンデンサ素子にほう酸を含む駆動用電解液を含浸し、外装ケースの内底面にポリビニルアルコールを配置し、コンデンサ素子をこの外装ケースに収納し、この外装ケースの開口部を封口部材で封口し、外装ケースの底面が上向きになるように配置して熱処理を行った後に、再化成を行う電解コンデンサの製造方法。
  4. 請求項1乃至3記載の製造方法により作製した電解コンデンサであって、陽極箔と陰極箔とセパレータを巻回してなるコンデンサ素子に駆動用電解液を含浸し、このコンデンサ素子を外装ケースに収納し、この外装ケースの開口部を封口部材で封口し、再化成してなる電解コンデンサにおいて、ほう酸を含む駆動用電解液を用い、少なくとも、コンデンサ素子の上下両端面の陽極箔および陰極箔の切断面にポリビニルアルコールが付着していることを特徴とする電解コンデンサ。
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