JP4458209B2 - 電解コンデンサ用電解液およびそれを用いた電解コンデンサ - Google Patents

電解コンデンサ用電解液およびそれを用いた電解コンデンサ Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は電解コンデンサ用電解液、特に高温寿命特性及び、低温特性の良好な電解コンデンサ用電解液、およびそれを用いた電解コンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
電解コンデンサは、一般的には、帯状の高純度のアルミニウム等の弁金属の箔に、化学的あるいは電気化学的にエッチング処理を施して、箔表面を拡大させるとともに、この箔をホウ酸アンモニウム水溶液等の化成液中にて化成処理して表面に酸化皮膜層を形成させた陽極電極箔と、エッチング処理のみを施した高純度の箔からなる陰極電極箔とを、マニラ紙等からなるセパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成する。そして、このコンデンサ素子は電解コンデンサ駆動用の電解液を含浸した後、有底筒状の外装ケースに収納する。外装ケースの開口部には弾性ゴムからなる封口体を装着し、絞り加工により外装ケースを密封している。
【0003】
陽極電極箔、陰極電極箔には、それぞれ両極の電極を外部に引き出すための電極引出し手段であるリード線がステッチ、超音波溶接等の手段により接続されている。それぞれの電極引出し手段であるリード線は、丸棒部と、両極電極箔に当接する接続部と、さらに丸棒部の先端に溶接等の手段で固着された半田付け可能な金属からなる外部接続部とからなる。
【0004】
コンデンサ素子に含浸される電解コンデンサ駆動用の電解液には、使用される電解コンデンサの性能によって種々のものがあり、その中で、低圧用の、特に高温長寿命特性を有する電解液として、エチレングリコールにアジピン酸を溶解したものが知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年、車載分野において、自動車性能の高機能化に伴い、高温となるエンジンルーム内での電子部品の使用の要求が高まっているが、前記電解液を用いた電解コンデンサでも、この高温使用に耐えることができなかった。また、低温特性も、最低使用温度は−25℃使用が限界であった。
【0006】
また、従来から良好な高温特性が得られる、高沸点の溶媒として、スルホラン(特開平1−124210号公報、特開平8−31699号公報)が知られているが、上記の所望の特性を得ることができなかったため、良好な高温特性と、低温特性の両者が要求される車載用途に用いることはできなかった。
【0007】
そこで、この発明の目的は、高温寿命特性が良好で、さらに、低温特性も良好な電解コンデンサ、およびこの電解コンデンサに用いる電解液を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の電解コンデンサ用電解液は、スルホランと1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノンの混合溶媒を用いたことを特徴とする。
【0009】
また、前記電解液は、スルホランの混合溶媒中の含有率が、50〜65wt%であることを特徴としている。
【0010】
さらに、前記電解液は、溶質として、四級化イミダゾリニウム塩又は四級化ピリミジニウムを用いたことを特徴としている。
【0011】
そして、本発明の電解コンデンサは、前記電解液を用いたことを特徴としている。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明のアルミニウム電解コンデンサの構造は図1、図2に示すように、従来と同じ構造をとっている。コンデンサ素子1は陽極電極箔2と陰極電極箔3をセパレータ11を介して巻回して形成する。また図2に示すように陽極電極箔2、陰極電極箔3には陽極引出し用のリード線4、陰極引出し用のリード線5がそれぞれ接続されている。これらのリード線4、5は、電極箔に当接する接続部7とこの接続部7と一体に形成した丸棒部6、および丸棒部6の先端に固着した外部接続部8からなる。また、接続部7および丸棒部6は高純度のアルミニウム、外部接続部8ははんだメッキを施した銅メッキ鉄鋼線からなる。このリード線4、5は、接続部7においてそれぞれステッチや超音波溶接等の手段により両極電極箔2、3に電気的に接続されている。
【0013】
陽極電極箔2は、純度99%以上のアルミニウム箔を酸性溶液中で化学的あるいは電気化学的にエッチングして拡面処理した後、ホウ酸アンモニウム、リン酸アンモニウムあるいはアジピン酸アンモニウム等の水溶液中で化成処理を行い、その表面に陽極酸化皮膜層を形成したものを用いる。
【0014】
前記のように構成したコンデンサ素子1に、アルミニウム電解コンデンサの駆動用の電解液を含浸する。
【0015】
以上のような電解液を含浸したコンデンサ素子1を、有底筒状のアルミニウムよりなる外装ケース10に収納し、外装ケース10の開口部に封口体9を装着するとともに、外装ケース10の端部に絞り加工を施して外装ケース10を密封する。封口体9は例えばブチルゴム等の弾性ゴムからなり、リード線4、5をそれぞれ導出する貫通孔を備えている。
【0016】
本発明においては、この電解液として、スルホランと1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(以下、DMTHP)の混合溶媒を用いる。
【0017】
ここで、スルホランの混合溶媒中の含有量は、50〜65wt%が好ましい。50wt%以上であると、さらに高温寿命特性が向上し、65wt%以下であると、さらに、低温特性が良好である。したがって、スルホランの混合溶媒中の含有量が50〜65wt%の電解液を用いた場合は、さらに高温寿命特性及び低温特性が良好な電解コンデンサを得ることができる。
【0018】
そして、以上の本発明の混合溶媒に、他の溶媒を混合して用いることもできる。混合する溶媒としては、プロトン性の有機極性溶媒として、一価アルコール類(エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロブタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等)、多価アルコール類およびオキシアルコール化合物類(エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メトキシプロピレングリコール、ジメトキシプロパノール等)などが挙げられる。また、非プロトン性の有機極性溶媒としては、アミド系(N−メチルホルムアミド、N,N─ジメチルホルムアミド、N─エチルホルムアミド、N,N─ジエチルホルムアミド、N─メチルアセトアミド、N,N─ジメチルアセトアミド、N─エチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックアミド等)、ラクトン類(δ−バレロラクトン、γ−バレロラクトン等)、環状アミド系(N─メチル─2─ピロリドン、エチレンカーボネイト、プロピレンカーボネイト、イソブチレンカーボネイト等)、ニトリル系(アセトニトリル等)、オキシド系(ジメチルスルホキシド等)、2−イミダゾリジノン系〔1,3−ジアルキル−2−イミダゾリジノン(1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジ(n−プロピル)−2−イミダゾリジノン等)、1,3,4−トリアルキル−2−イミダゾリジノン(1,3,4−トリメチル−2−イミダゾリジノン等)〕などが代表として挙げられる。
【0019】
電解液に含まれる溶質としては、通常電解コンデンサ駆動用電解液に用いられる、酸の共役塩基をアニオン成分とする、アンモニウム塩、アミン塩、四級アンモニウム塩および環状アミジン化合物の四級塩が挙げられる。アミン塩を構成するアミンとしては一級アミン(メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン等)、二級アミン(ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、メチルエチルアミン、ジフェニルアミン等)、三級アミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリフェニルアミン、1,8─ジアザビシクロ(5,4,0)─ウンデセン─7等)が挙げられる。第四級アンモニウム塩を構成する第四級アンモニウムとしてはテトラアルキルアンモニウム(テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、メチルトリエチルアンモニウム、ジメチルジエチルアンモニウム等)、ピリジウム(1─メチルピリジウム、1─エチルピリジウム、1,3─ジエチルピリジウム等)が挙げられる。また、環状アミジン化合物の四級塩を構成するカチオンとしては、以下の化合物を四級化したカチオンが挙げられる。すなわち、イミダゾール単環化合物(1─メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1,4─ジメチル─2─エチルイミダゾール、1─フェニルイミダゾール等のイミダゾール同族体、1−メチル−2−オキシメチルイミダゾール、1−メチル−2−オキシエチルイミダゾール等のオキシアルキル誘導体、1−メチル−4(5)−ニトロイミダゾール、1,2−ジメチル−5(4)−アミノイミダゾール等のニトロおよびアミノ誘導体)、ベンゾイミダゾール(1−メチルベンゾイミダゾール、1−メチル−2−ベンジルベンゾイミダゾール等)、2−イミダゾリン環を有する化合物(1─メチルイミダゾリン、1,2−ジメチルイミダゾリン、1,2,4−トリメチルイミダゾリン、1,4−ジメチル−2−エチルイミダゾリン、1−メチル−2−フェニルイミダゾリン等)、テトラヒドロピリミジン環を有する化合物(1−メチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1,2−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノネン−5等)等である。
【0020】
なかでも、四級化イミダゾリニウム及び四級化ピリミジニウムを用いると、低温特性が向上するので、好ましく、さらに、従来ではこれら溶質を用いた場合、漏液が発生していたが、この漏液も防止できる。この四級化イミダゾリニウムとしては、1,3−ジメチルイミダゾリニウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリニウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウム等が挙げられる。また、四級化ピリミジニウムとしては、1,3−ジメチル−4,5,6−トリヒドロピリミジニウム、1,2,3−トリメチル−4,5,6−トリヒドロピリミジニウム、1,2,3,4−テトラメチル−5,6−ジヒドロピリミジニウム、1−エチル−3−メチル−4,5,6−トリヒドロピリミジニウム、1−エチル−2,3−ジメチル−4,5,6−トリヒドロピリミジニウム等が挙げられる。
【0021】
アニオン成分としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、安息香酸、トルイル酸、エナント酸、マロン酸等のカルボン酸、フェノール類、ほう酸、りん酸、炭酸、けい酸等の酸の共役塩基が例示される。
【0022】
さらに、本発明の電解コンデンサ用電解液に、ほう酸系化合物、例えばほう酸、ほう酸と多糖類(マンニット、ソルビットなど)との錯化合物、ほう酸と多価アルコール(エチレングリコール、グリセリンなど)との錯化合物等、界面活性剤、コロイダルシリカ等を添加することによって、耐電圧の向上をはかることができる。
【0023】
また、漏れ電流の低減や水素ガス吸収等の目的で種々の添加剤を添加することができる。添加剤としては、例えば、芳香族ニトロ化合物、(p−ニトロ安息香酸、p−ニトロフェノールなど)、リン系化合物(リン酸、亜リン酸、ポリリン酸、酸性リン酸エステル化合物)、オキシカルボン酸化合物等を挙げることができる。
【0024】
以上のような本発明の電解液を用いたアルミニウム電解コンデンサは、高温寿命特性が良好で、さらに、低温特性も良好である。
【0025】
そして、従来の環状アミジン化合物の四級塩を用いた場合に漏液が発生していたが、この漏液を防止することが期待できる。その理由は以下のようである。
【0026】
四級化環状アミジニウム塩を溶解した電解液が、陰極リード部より漏液するメカニズムについては次のように考えられる。すなわち、従来の電解コンデンサにおいては、陰極リード線の自然浸漬電位の方が陰極箔の自然浸漬電位よりも貴な電位を示すので、無負荷で放置した場合、陰極リード線と陰極箔で局部電池が構成され、陰極リード線にカソード電流が流れることになり、また、直流負荷状態においては、陰極リード線に陰極箔よりも多くのカソード電流が流れることになる。このように、負荷、無負荷、双方の場合において、陰極リード線にカソード電流が流れることになり、その結果、陰極リード線側で溶存酸素又は水素イオンの還元反応が起こり、陰極リード線の丸棒部と接続部の電解液界面部分で水酸イオンが生成する。
【0027】
そして、このように水酸イオンが生成すると、四級化環状アミジニウムは加水分解反応によって、水酸イオンと結合し、その結果、二級アミンとなる。また、水酸イオンが発生して、pH=7以上の塩基性になると、溶媒であるγ−ブチロラクトンが、加水分解反応によって、水酸イオンと結合し、γ−ヒドロキシ酪酸となる。このことによって、水酸イオンが減少し、塩基性度が低下する。このように、塩基性度が低下すると、四級化環状アミジニウムの加水分解反応によって生成された二級アミンが、再び四級化環状アミジニウムとなり、この四級化環状アミジニウムには揮発性はなく、吸湿性も高いので、陰極リード線の丸棒部と封口体の間に再生成した四級化環状アミジニウムは、吸湿して、漏液状態となる。以上のことは、漏液が大部分の水と四級化環状アミジニウムから成っているという分析結果から推測される。
【0028】
これに対して、本発明においては、溶媒としてスルホランとDMTHPの混合溶媒を用いているので、漏液状態が防止される。すなわち、スルホラン、DMTHPは水酸イオンと反応しないので、上述したpHを低下させるような物質は生成されない。したがって、四級化環状アミジニウムが開環して生成された、二級アミンが再び閉環することはなく、生成した二級アミンは揮発してしまうので、漏液状態が抑制される。
【0029】
さらに、本発明の電解コンデンサに、逆電圧が印加された場合にも、漏液は発生しない。すなわち、逆電圧が印加されると、陽極側にカソード電流が流れることになるが、陽極箔の分極抵抗は陰極箔に比べて極めて大きいので、陽極側のカソード電流の大部分は陽極タブに流れることになる。したがって、従来の電解コンデンサでは、逆電圧試験の初期に漏液が発生することがあった。しかしながら、本発明の電解コンデンサにおいては、前述したような陰極側の挙動と同様の挙動によって、漏液状態が抑制される。以上のように、本発明の漏液防止効果は極めて強いものである。
【0030】
また、従来の電解コンデンサにおいては、無負荷放置の際に、陰極リード線と陽極リード線が接触した場合には、陽極リード線と陰極電極箔で局部電池を構成することになり、陽極リード線側で溶存酸素又は水素イオンの還元反応が発生し、水酸イオンを生成して、陰極リード部と同様の理由により、漏液状態となっていた。
【0031】
しかしながら、この場合も、本発明の構成によれば、陰極リード部で漏液が防止される理由と同様の理由によって、漏液は防止される。
【0032】
以上のような理由によって、本願発明においては、漏液防止が期待される。
【0033】
また、陰極電極箔3として、窒化チタン、窒化ジルコニウム、窒化タンタル、窒化ニオブから選ばれた金属窒化物、又は、チタン、ジルコニウム、タンタル、ニオブから選ばれた金属を蒸着法、メッキ法、塗布など従来より知られている方法により被覆した陰極電極箔を用いることができる。ここで、被覆する部分は陰極電極箔の全面に被覆してもよいし、必要に応じて陰極電極箔の一部、例えば陰極電極箔の一面のみに金属窒化物又は金属を被覆してもよい。このことによって、陰極箔の自然浸漬電位の方が陰極リード線の自然浸漬電位より貴な電位となり、さらに、カソード分極抵抗も小さくなる。したがって、過電圧が印加された際に、陰極リード線のカソード電流は微小となり、陰極リード線側の水酸イオンの生成が抑制されるので、γ−ブチロラクトンのような他の溶媒を副溶媒として用いた場合にも、漏液防止には、さらに好適である。
【0034】
また、リード線4、5の、少なくとも丸棒部6の表面には、ホウ酸アンモニウム水溶液、リン酸アンモニウム水溶液あるいはアジピン酸アンモニウム水溶液等による陽極酸化処理によって形成した酸化アルミニウム層を形成したり、Al2 3 、SiO2 、ZrO2 などからなるセラミックスコーティング層等の絶縁層を形成することができる。このことによって、無負荷の場合に、陰極リード線と陰極箔の局部電池を構成する面積が小さくなり、また、負荷の場合には、陰極リード線に流れるカソード電流が少なくなり、双方の場合において、陰極リード線側の水酸イオンの生成が抑制されるので、γ−ブチロラクトンのような他の溶媒を副溶媒として用いた場合にも、漏液防止効果はさらに向上する。
【0035】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0036】
(表1)〜 (表3) は、本発明の各実施例の電解コンデンサ用電解液の組成、及び30℃と−40℃の比抵抗を示したものである。
【0037】
【表1】
Figure 0004458209
* SL :スルホラン
DMTHP :1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン
EG :エチレングリコール
EDMIP :フタル酸1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウム
TMAP :フタル酸テトラメチルアンモニウム
AAd :アジピン酸アンモニウム
SLの欄の( ) :スルホランの混合溶媒中のwt%
【0038】
また、実施例6として、実施例3、100部に、p−ニトロ安息香酸、1部、りん酸、0.3部添加したものの比抵抗を測定したところ、30℃で225Ω−cm、−40℃では14kΩ−cmであった。
【0039】
(表1)から明らかなように、本発明の実施例1〜6の30℃及び−40℃の比抵抗は、スルホランを単独で用いた、比較例及びエチレングリコールとアジピン酸アンモニウムを用いた従来例と同等以上であり、良好な値を得ている。特に、スルホランの含有率が65wt%以下の実施例1〜3は、−40℃においても低比抵抗を保っており、−40℃使用が可能であることがわかる。これに対して、比較例、従来例においては、−40℃では凝固しており、−40℃で使用することはできない。ここで、従来例の−25℃の比抵抗は、9kΩ−cmであった。
【0040】
また、溶質としてフタル酸1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウムを用いた実施例2は、フタル酸テトラメチルアンモニウムを用いた実施例5より、30℃、−40℃ともに、比抵抗は低く保たれている。
【0041】
次に、高温寿命特性を評価するために、実施例1、2の電解液、及び、従来例の電解液を用いてアルミニウム電解コンデンサを作成した。ここで使用したアルミニウム電解コンデンサの定格は、16V−47μF、ケースサイズはφ6.3mm×5mmである。そして、これらの電解コンデンサの、各試料25個に125℃の下で定格電圧を印加し、500時間経過後の静電容量の変化率(ΔC)、損失角の正接(tanδ)、及び重量変化の測定を行った。結果を(表2)に示す。
【0042】
【表2】
Figure 0004458209
* Cap(μF)、ΔC(%)、LC(μA)、Δwt(mg)
【0043】
(表2)から明らかなように、実施例の電解コンデンサの高温寿命特性は、良好であり、初期のtanδも低く保たれている。これに比べて、従来例では、寿命試験後に、外観不良(封口ゴム膨れ)が発生しており、125℃仕様を満たすことができない。また、スルホランの混合溶媒中の含有率が50wt%の実施例2は、20wt%の実施例1に比べて、500時間後の重量変化が75%である。ここで、電解コンデンサの寿命試験中の重量減少は電解液の封口体からの蒸散によるものであり、通常の寿命特性の劣化は、この電解液の蒸散によるものであることが知られている。したがって、重量減少の少ない、スルホランの混合溶媒中の含有率が50wt%以上の場合は、さらに、良好な長寿命特性が期待できることが分かる。
【0044】
【発明の効果】
以上のように、この発明の電解コンデンサ用電解液は、溶媒としてスルホランとDMTHPの混合溶媒を用いたものである。この電解液を用いた電解コンデンサは、高温寿命特性が良好で、さらに、低温特性も良好である。
【0045】
また、前記電解液において、混合溶媒中のスルホランの含有率を50〜65wt%とすることによって、さらに良好な低温特性と高温寿命特性を得ることができる。
【0046】
また、前記電解液において、溶質として、四級化イミダゾリニウム塩又は四級化ピリミジニウムを用いると、低温特性はさらに向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】アルミニウム電解コンデンサの構造を示す内部断面図である。
【図2】コンデンサ素子の構造を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
1 コンデンサ素子
2 陽極電極箔
3 陰極電極箔
4 陽極引出し用のリード線
5 陰極引出し用のリード線
6 丸棒部
7 接続部
8 外部接続部
9 封口体
10 外装ケース
11 セパレータ

Claims (4)

  1. 溶媒として、スルホランと1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノンの混合溶媒を用いた電解コンデンサ用電解液。
  2. スルホランの混合溶媒中の含有率が、50〜65wt%である請求項1記載の電解コンデンサ用電解液。
  3. 溶質として、四級化イミダゾリニウム塩又は四級化ピリミジニウムを用いた、請求項1記載の電解コンデンサ用電解液。
  4. 請求項1〜3に記載の電解コンデンサ用電解液を用いた電解コンデンサ。
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