JPH11288847A - コンデンサ - Google Patents

コンデンサ

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JPH11288847A
JPH11288847A JP9311498A JP9311498A JPH11288847A JP H11288847 A JPH11288847 A JP H11288847A JP 9311498 A JP9311498 A JP 9311498A JP 9311498 A JP9311498 A JP 9311498A JP H11288847 A JPH11288847 A JP H11288847A
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capacitor
lead
lead wire
compound
electrolyte
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JP9311498A
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Yukihiro Nitta
幸弘 新田
Hiroyuki Matsuura
裕之 松浦
Yuichiro Tsubaki
雄一郎 椿
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電解液の外部への漏液を防止したコンデンサ
を提供することを目的とする。 【解決手段】 一端部にリード線6a,6bが接続され
たリード端子5aをそれぞれ接続した陽極箔2と陰極箔
3をその間にセパレータ4を介在させて巻回したコンデ
ンサ素子1を収納するアルミケース7と、このアルミケ
ース7の開口部を封口する封口部材8からなり、上記陰
極箔3側に接続したリード線6bの少なくとも表面に鉛
よりも標準電極電位が貴な金属を含有した構成とするこ
とにより、電解液の外部への漏液を防止した高信頼性の
コンデンサを提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は各種電子機器に使用
されるコンデンサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種のコンデンサについて、ア
ルミニウム電解コンデンサを例にして図面を用いて説明
する。図1は上記アルミニウム電解コンデンサの構成を
示す一部切欠断面斜視図であり、図1において、1はコ
ンデンサ素子であり、このコンデンサ素子1は陽極箔2
と陰極箔3をその間にセパレータ4を介して巻回するこ
とによって構成されている。5aと5b(5bは図示せ
ず)は陽極箔2と陰極箔3にそれぞれ接合されたリード
端子、6aと6bはこのリード端子5aと5bにそれぞ
れ接合されたリード線、7は駆動用電解液(図示せず)
が含浸された上記コンデンサ素子1を収納するアルミニ
ウムからなる金属ケース、8はこの金属ケース7の開口
部を封口する封口部材、9は上記金属ケース7の外周を
被覆する外装部材である。
【0003】また、上記リード線6a,6bとしては、
鉄基材の上に銅をメッキし、更にその上にスズ−鉛メッ
キを施した3層構造のリード線(一般にCP線と呼ばれ
ている)が知られており、最近では、環境保護の観点よ
り上記3層構造の最表面層に鉛を含有させずにスズのみ
でメッキを施したCP線も用いられている。
【0004】また、上記リード線6a,6bが接続され
るリード端子5a,5bには、通常、純度99.9〜9
9.99%のアルミニウムが用いられており、このリー
ド端子5a,5bの他端は誘電体酸化皮膜を形成したア
ルミニウムの陽極箔2およびアルミニウムの陰極箔3に
各々接続されている。
【0005】また、図示しない電解液としては、γ−ブ
チロラクトン等の溶媒に有機酸や無機酸またはそれらの
塩を電解質として溶解させたものが用いられており、芳
香族カルボン酸の第4級アンモニウム塩を電解質とした
電解液(特公平3−8092号公報参照)等が知られて
いる。
【0006】また、封口部材8としては、硫黄加硫した
エチレンプロピレン共重合体やブチルゴムが知られてお
り、熱的な安定性に優れる封口部材8としては過酸化物
加硫されたブチルゴム(特開昭62−276819号公
報参照)等が知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
のコンデンサでは、コンデンサに電圧が印加された場合
に電解液の電気分解により発生する過剰の水酸化物イオ
ン(アルカリ)の影響により、長時間、高温−高湿下で
使用した場合に、封口部材8のアルカリ劣化により封口
部材8から電解液の漏液に至るという場合があった。
【0008】このアルカリ発生の元となる電解液の電気
分解は、コンデンサに電圧が印加された場合の漏れ電流
により起こる(外的要因)ものであるが、電圧が印加さ
れない場合であっても、陰極箔3と陰極箔3に接続され
たリード端子5bとの電解液中での電極電位が異なるこ
とが理由で形成される起電力により生じる局部電池1
(酸化極:陰極箔、還元極:アルミニウムのリード端
子)の閉回路電流によっても起こる(内的要因)ことが
判明している。
【0009】また、封口部材8の材料として過酸化物加
硫や樹脂加硫により成形されたブチルゴムを用いた場合
には、一般にアルカリ劣化しにくく、過剰の水酸化物イ
オンが原因となる電解液の漏液は少ないとされている
が、高温−高湿下でのコンデンサの信頼性を十分に保証
するにはそれだけでは未だ不十分であるという課題があ
った。
【0010】本発明はこのような従来の課題を解決する
ものであり、リード線の表面層の電位を操作することに
より電解液の電気分解の影響を軽減し、封止部の高温−
高湿下での安定性をより一層高めることにより電解液の
外部への漏液を防止することができる高信頼性のコンデ
ンサを提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明のコンデンサは、少なくとも陰極箔側に接続し
たリード線の少なくとも表面に鉛よりも標準電極電位が
貴な金属を含有した構成としたものである。
【0012】この本発明により、(1)コンデンサを高
湿度環境下で使用する場合に、リード端子のリード線接
合部への結露や水蒸気の付着により生じる、陰極箔に接
続されたリード端子と、リード端子に接続されたリード
線との電極電位の違いにより生じる局部電池2(酸化
極:アルミニウムのリード端子、還元極:リード線)の
起電力を従来品(スズメッキのリード線より大きくする
ことができるので、この結果、アルミニウムのリード端
子/リード線間の局部電池2の閉回路電流(電子の流
れ)を大きくすることができる。
【0013】(2)陰極箔と陰極箔に接続されたリード
端子との電解液中での電極電位が異なることに起因して
形成される起電力により生じる局部電池1(酸化極:陰
極箔、還元極:アルミニウムのリード端子)の閉回路電
流が生じたことにより発生する、陰極箔よりアルミニウ
ムのリード端子に流れ込む電子が、この局部電池1に直
列に接続される上記(1)で説明した起電力の大きな局
部電池2によって更にリード線側に流れ出るので、リー
ド端子の部分で還元反応に費やされる電子数(電気量)
を軽減することができ、局部電池1の起電力を変更する
ことなく容易に電解液の電気分解によるアルカリ化反応
を抑制することができる。
【0014】このようにリード線の表面層の電位を操作
することにより電解液の電気分解の影響を軽減し、電解
液の外部への漏液を防止することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明
は、一端部にリード線が接続されたリード端子をそれぞ
れ接続した陽極箔と陰極箔をその間にセパレータを介在
させて巻回し、かつ電解液を含浸させたコンデンサ素子
と、このコンデンサ素子を収納する有底筒状の金属ケー
スと、この金属ケースの開口部を封口する封口部材から
なるコンデンサにおいて、少なくとも上記陰極箔側に接
続したリード線の少なくとも表面に鉛よりも標準電極電
位が貴な金属を含有した構成としたものであり、この構
成により、陰極箔に接続されたリード端子と、リード端
子に接続されたリード線との電極電位の違いにより生じ
る局部電池2(酸化極:アルミニウムのリード端子、還
元極:リード線)の起電力を、従来品(スズメッキのリ
ード線)より大きくすることができるので、この結果、
アルミニウムリード端子/CP線間の局部電池2の閉回
路電流(電子の流れ)を大きくすることができる。ま
た、陰極箔と陰極箔に接続されたリード端子との電解液
中での電極電位が異なることに起因して形成される起電
力により生じる局部電池1(酸化極:陰極箔、還元極:
アルミニウムのリード端子)の閉回路電流が生じたこと
により発生する、陰極箔よりアルミニウムのリード端子
に流れ込む電子が、この局部電池1に直列に接続され
る、上記起電力の大きな局部電池2によって、更にリー
ド線側に流れ込むので、リード端子の部分で還元反応に
費やされる電子数(電気量)を軽減することができ、局
部電池1の起電力を変更することなく容易に電解液の電
気分解によるアルカリ化反応を抑制することができ、こ
のようにリード線の表面層の電位を操作することにより
電解液の電気分解の影響を軽減し、電解液の外部への漏
液を防止することができるという作用を有する。
【0016】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の発明において、金属ケースの開口部を封口する封口部
材が、イソブチレンとイソプレンとの共重合体からなる
ブチルゴムポリマーに加硫剤としてアルキルフェノール
フォルマリン樹脂を添加してなる弾性体、またはイソブ
チレンとイソプレンとジビニルベンゼンとの共重合体か
らなるブチルゴムポリマーに加硫剤として過酸化物を添
加してなる弾性体により構成されたものであり、封口部
材に用いるアルキルフェノールフォルマリン樹脂または
過酸化物で加硫したブチルゴムは熱的な安定性や耐アル
カリ性に優れるため、硫黄加硫処理したブチルゴムなど
と比較して、コンデンサを長時間使用した場合にも封止
力(ゴム弾性)の低下が少なく、長期に亘り安定な封止
性能を得ることができ、内圧上昇時やアルカリ劣化時に
生じ易い封口部からの電解液の漏液を抑制することがで
きるという作用を有する。
【0017】請求項3に記載の発明は、請求項1または
2に記載の発明において、リード線の少なくとも表面に
含有される金属が、銀、銅、ビスマスの群より選ばれる
1種以上とした構成のものであり、銀、銅、ビスマスは
いずれもスズや鉛よりも高い標準電極電位を有する金属
であるために起電力の大きな局部電池2を形成すること
ができ、その結果、局部電池1より発生し、リード端子
部で還元反応に費やされる電子の数(電気量)を軽減す
ることができるので、局部電池1の起電力を変更するこ
となく、容易にリード端子部での電解液の電気分解によ
るアルカリ化反応を抑制することができるという作用を
有する。
【0018】請求項4に記載の発明は、請求項1または
2に記載の発明において、リード線の少なくとも表面に
含有される金属が、スズと銀を成分として含有し、かつ
スズと銀の比率がスズ:銀=1:0.01(重量比)の
範囲とした構成のものであり、標準電極電位の高い銀の
含有量を多く保つことができるので、起電力の大きな局
部電池2を形成することができ、その結果、局部電池1
より発生し、リード端子部で還元反応に費やされる電子
の数(電気量)を軽減することができるので、局部電池
1の起電力を変更することなく、容易にリード端子部で
の電解液の電気分解によるアルカリ反応を抑制すること
ができるという作用を有する。
【0019】請求項5に記載の発明は、請求項4に記載
の発明において、リード線の少なくとも表面に含有され
る金属に銅とビスマスを含有した構成のものであり、ア
ルカリ化反応の抑制効果に加えて、基板への半田付け性
を良好にすることができるという作用を有する。
【0020】請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の
いずれか一つに記載の発明において、電解液にアルキル
置換アミジン基を有する化合物の4級塩を用いた構成と
したものであり、アルキル置換アミジン基を有する化合
物の4級塩を電解質として使用しているため、電解液中
での電気分解反応の結果、水酸化物イオンが生じた場合
にも、水酸化物イオンとN−C−Nのアミジン基との反
応、分解開環により速やかに電解生成物が消失するた
め、コンデンサの封口性能を高めることができるという
作用を有する。
【0021】請求項7に記載の発明は、請求項6に記載
の発明において、アルキル置換アミジン基を有する化合
物の4級塩が、炭素数1〜11のアルキル基またはアリ
ールアルキル基で4級化されたイミダゾール化合物、ベ
ンゾイミダゾール化合物、脂環式アミジン化合物から選
ばれる1種以上とした構成のものであり、電解液中での
電気分解反応により水酸化物イオンが生じた場合に、水
酸化物イオンとN−C−Nのアミジン基との反応−分解
開環の反応速度が大きいため、電解生成物を速やかに消
失することができ、その結果、高温−高湿下でも電解液
の外部への漏液を防止することができるという作用を有
する。
【0022】請求項8に記載の発明は、請求項7に記載
の発明において、アルキル置換アミジン基を有する化合
物の4級塩が、1−メチル−1,8−ジアザビシクロ
[5,4,0]ウンデセン−7,1−メチル−1,5−
ジアザビシクロ[4,3,0]ノネン−5、1,2,3
−トリメチルイミダゾリニウム、1,2,3,4−テト
ラメチルイミダゾリニウム、1,2−ジメチル−3−エ
チル−イミダゾリニウム、1,3,4−トリメチル−2
−エチルイミダゾリニウム、1,3−ジメチル−2−ヘ
プチルイミダゾリニウム、1,3−ジメチル−2−(−
3’ヘプチル)イミダゾリニウム、1,3−ジメチル−
2−ドデシルイミダゾリニウム、1,2,3−トリメチ
ル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジウム、1,
3−ジメチルイミダゾリウム、1,3−ジメチルベンゾ
イミダゾリウムから選ばれる1種以上とした構成のもの
であり、電解液の伝導度を高くすることができるので、
高温−高湿下での電解液の外部への漏液を防止できる上
に、インピーダンスの低いコンデンサを提供することが
できるという作用を有する。
【0023】以下、本発明の実施の形態について説明す
る。本発明の基本は、従来例で示したコンデンサと同じ
構成であり、その中で巻回形のコンデンサ素子1の少な
くとも陰極箔3側に接続したリード線6bの表面に鉛よ
りも標準電極電位が貴な金属を含有した構成としたコン
デンサであり、まず、本発明のコンデンサ用の電解液の
溶媒としては、電気化学的に安定なγ−ブチロラクトン
を主溶媒とすることが望ましい。また、これに加えて低
温特性の改善や放電電圧の向上を目的に、γ−ブチロラ
クトンと相溶する他の有機溶媒を副溶媒として混合して
も良い。
【0024】副溶媒としては、多価アルコール系溶媒;
エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレ
ングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリン、
ポリオキシアルキレンポリオール、ラクトン系溶媒;γ
−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、3−メチル−
1,3−オキサゾリジン−2−オン、3−エチル−1,
3−オキサゾリジン−2−オン、水、アミド系溶媒;N
−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミ
ド、N−メチルアセトアミド、エーテル系溶媒;メチラ
ール、1,2−ジメトキシエタン、1−エトキシ−2−
メトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ニトリル
系溶媒;アセトニトリル、3−メトキシプロピオニトリ
ル、フラン系溶媒;2,5−ジメトキシテトラヒドロフ
ラン、2−イミダゾリジノン系溶媒;1,3−ジメチル
−2−イミダゾリジノン、カーボネート系溶媒;プロピ
レンカーボネート、エチレンカーボネートの単独もしく
は2種以上の混合溶媒が挙げられる。混合溶媒系の場
合、副溶媒の含有量はγ−ブチロラクトン100部に対
しては40部以下であることが望ましく、副溶媒含有量
が40部を越えると電解液の電気化学的安定性が低下す
るため、電圧印加時の電解コンデンサの内圧上昇も大き
くなり、十分な効果が得られない。
【0025】また、電解質塩としては、電気化学的に安
定な、有機カルボン酸類;マレイン酸、フタル酸、安息
香酸、アジピン酸、アゼライン酸、1,6−デカンジカ
ルボン酸、1,7−オクタンジカルボン酸、1,10−
デカンジカルボン酸、無機酸類:過塩素酸、4フッ化ホ
ウ酸、6フッ化リン酸、フルオロメタンスルホン酸のア
ンモニウム塩、2級アミン塩、3級アミン塩、4級アル
ミニウム塩、4級ホスホニウム塩、アルキル置換アミジ
ン基を有する化合物の塩、アルキル置換アミジン基を有
する化合物の4級塩が好ましい。特に、これらの化合物
の中でも、伝導度が高く、水酸化物イオンが生じた場合
にも、水酸化物イオンとN−C−Nのアミジン基との反
応、分解開環により速やかに電解生成物を消失すること
ができる、アルキル置換アミジン基を有する化合物の4
級塩を用いることが更に望ましい。
【0026】また、本発明のコンデンサ素子1の含水率
は、含浸された電解液の重量に基づいて通常10%未満
であり、水の含有量が10%以上では電気分解反応が促
進されるため、コンデンサの内圧上昇により十分な効果
が得られない。
【0027】また、本発明のコンデンサの電解液には、
必要により種々の添加剤を混合しても良い。添加剤とし
ては、リン系化合物[リン酸、リン酸エルテルなど]、
ホウ酸系化合物[ホウ酸、ホウ酸と多糖類(マンニッ
ト、ソルビットなど)との錯化合物、ホウ酸と多価アル
コール(エチレングリコール、グリセリンなど)]との
錯化合物、ニトロ化合物[o−ニトロ安息香酸、m−ニ
トロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、o−ニトロフェノ
ール、m−ニトロフェノール、p−ニトロフェノール、
p−ニトロアセトフェノンなど]が挙げられる。アルミ
ニウム電解コンデンサの場合においては、これらの添加
剤の混合はアルミ酸化皮膜の修復性を改善でき、その結
果、電解液の電気分解反応を抑制でき、封口性能をより
高めることができる。
【0028】また、本発明のコンデンサのリード端子5
a,5bには、防食処理を施したものを用いても良く、
リード端子5a,5bに防食処理を施すことで電気分解
電流が抑制でき、封口性能をより高めることができる。
リード端子5a,5bへの防食処理は、陽極、陰極の両
端子部に施すことが望ましいが、いずれか一方のみの処
理でも良い。また、防食処理の手段としては、水溶液中
での陽極酸化処理や金属アルコキシドの塗布−焼結処理
および金属酸化物コロイド溶液(二酸化珪素および二酸
化チタンのコロイド溶液)の塗布−焼結処理などが簡便
であり好ましい。
【0029】次に、本発明の具体的な実施の形態につい
て説明するが、本発明はこれに限定されるものではな
い。以下、部はすべて重量部を示す。
【0030】本発明の実施の形態で使用した電解液の組
成は以下の通りである。 電解液A;γ−ブチロラクトン(100部) フタル酸モノ1,2,3,4 −テトラメチルイミダゾリニウム(30部) m−ニトロ安息香酸(1部) p−ニトロフェノール(1部) 以上の化合物を混合、溶解したもの。
【0031】 電解液B;γ−ブチロラクトン(100部) フタル酸モノ1,2,3 −トリメチルイミダゾリニウム(30部) o−ニトロ安息香酸(1部) モノブチルリン酸エステル(1部) 以上の化合物を混合、溶解したもの。
【0032】 電解液C;γ−ブチロラクトン(90部) エチレングリコール(10部) フタル酸モノ1,2−ジメチル −3−エチルイミダゾリニウム(30部) o−ニトロフェノール(1部) 以上の化合物を混合、溶解したもの。
【0033】 電解液D;γ−ブチロラクトン(100部) フタル酸モノ1,2,3,4 −テトラメチルイミダゾリニウム(30部) ホウ酸(1部) マンニット(2部) p−ニトロ安息香酸(0.5部) リン酸(0.25部) モノブチルリン酸エステル(0.25部) 以上の化合物を混合、溶解したもの。
【0034】 電解液E;γ−ブチロラクトン(100部) フタル酸モノ1,2,3−トリメチル−1,4,5,6 −テトラヒドロピリミジウム(30部) p−ニトロ安息香酸(1部) 以上の化合物を混合、溶解したもの。
【0035】 電解液F;プロピレンカーボネート(100部) 4フッ化ホウ酸モノ1,2,3,4 −テトラメチルイミダゾリニウム(30部) 以上の化合物を混合、溶解したもの。
【0036】 電解液G;γ−ブチロラクトン(100部) フタル酸モノメチルトリエチルアンモニウム(30部) p−ニトロ安息香酸(1部) 以上の化合物を混合、溶解したもの。
【0037】本発明の実施の形態で使用したブチルゴム
からなる封口部材8は以下の通りである。
【0038】封口部材A;[樹脂による加硫] ・イソブチレンとイソプレンとの共重合体からなるブチ
ルゴムポリマー30部、カーボン20部、無機充填剤5
0部に対して、加硫剤としてアルキルフェノールフォル
マリン樹脂2部を添加し、加硫成形したもの。
【0039】封口部材B;[過酸化物による加硫] ・イソブチレンとイソプレンとジビニルベンゼンとの共
重合体からなるブチルゴムポリマー30部、カーボン2
0部、無機充填剤50部に対して、加硫剤として過酸化
物であるジクミルパーオキサンド2部を添加し、加硫成
形したもの。
【0040】本発明の実施の形態で使用したリード端子
5a,5bおよびリード線6a,6bは以下の通りであ
る。
【0041】リードA;[スズ/銀を含有するリード線
付きのリード端子] ・鉄基材の上に銅メッキを施し、更にその上(最表部)
にスズ(96.5%)/銀(3.5%)の構成比からな
る金属をメッキしたリード線を、純度99.9%のアル
ミニウムのリード端子に接続したもの。
【0042】リードB;[スズ/銀/ビスマス/銅を含
有するリード線付きのリード端子] ・鉄基材の上に銅メッキを施し、更にその上(最表部)
にスズ(89.5%)/銀(2.0%)/ビスマス
(7.5%)/銅(1.0%)の構成比からなる金属を
メッキしたリード線を、純度99.9%のアルミニウム
のリード端子に接続したもの。
【0043】リードC;[スズメッキを施したリード線
付きのリード端子] ・鉄基材の上に銅メッキを施し、更にその上(最表部)
にスズのみをメッキしたリード線を、純度99.9%の
アルミニウムのリード端子に接続したもの。
【0044】(実施の形態1)リードAの接続されたア
ルミニウムの陽極箔2およびアルミニウムの陰極箔3と
の間にマニラ繊維のセパレータ4を介在させた巻回形の
コンデンサ素子1に電解液Aを含浸させ、定格電圧35
V−静電容量2200μFのコンデンサ素子1を得た。
このコンデンサ素子1を封口部材Aと共にアルミニウム
製の金属ケース7に封入した後、カーリング処理により
開口部を封止してコンデンサを作製した。
【0045】(実施の形態2)実施の形態1の電解液A
に代えて電解液Bを用いた以外は実施の形態1と同様に
した。
【0046】(実施の形態3)実施の形態1の電解液A
に代えて電解液Cを用いた以外は実施の形態1と同様に
した。
【0047】(実施の形態4)実施の形態1の電解液A
に代えて電解液Dを用いた以外は実施の形態1と同様に
した。
【0048】(実施の形態5)実施の形態1の電解液A
に代えて電解液Eを用いた以外は実施の形態1と同様に
した。
【0049】(実施の形態6)実施の形態1の電解液A
に代えて電解液Gを用いた以外は実施の形態1と同様に
した。
【0050】(実施の形態7)実施の形態1の封口部材
Aに代えて封口部材Bを用いた以外は実施の形態1と同
様にした。
【0051】(実施の形態8)実施の形態1のリードA
に代えてリードBを用いた以外は実施の形態1と同様に
した。
【0052】(実施の形態9)実施の形態7のリードA
に代えてリードBを用いた以外は実施の形態7と同様に
した。
【0053】(実施の形態10)リードAが接続された
活性炭を塗布した2枚の電極体の間に多孔質ポリプロピ
レン樹脂のセパレータを介在させた巻回形の電気2重層
コンデンサ素子に電解液Fを含浸させ、定格電圧2.5
V−静電容量30Fの電気2重層コンデンサ素子を得
た。この電気2重層コンデンサ素子を封口材Aと共にア
ルミニウム製の外装ケースに封入した後、カーリング処
理により開口部を封止して電気2重層コンデンサを作製
した。
【0054】(比較例1)実施の形態1のリードAに代
えてリードCを用いた以外は実施の形態1と同様にし
た。
【0055】(比較例2)実施の形態6のリードAに代
えてリードCを用いた以外は実施の形態6と同様にし
た。
【0056】実施の形態1〜10および比較例1、2の
アルミニウム電解コンデンサおよび電気2重層コンデン
サに逆電圧−1.0Vを印加し、温度110℃ならび
に、温度85℃−相対湿度85%で2000hの高温負
荷試験を行った。その試験結果を(表1)に示した。な
お、試験数は各条件20個ずつである。
【0057】
【表1】
【0058】この(表1)から明らかなように、本発明
の実施の形態1〜10の構成によるアルミニウム電解コ
ンデンサおよび電気2重層コンデンサは、比較例1、2
のアルミニウム電解コンデンサと比較して電圧印加時の
漏液の抑制に対して有効であり、特に温度85℃−相対
湿度85%で2000hの高温負荷試験を行った場合に
おいても漏液が観察されない。
【0059】比較例1および2では、表面をスズのみで
メッキしたリードCを用いているため、リード端子とリ
ード端子に接続されたスズメッキのリード線との電極電
位の違いにより生じる局部電池2(酸化極:アルミニウ
ムのリード端子、還元極:スズメッキのリード線)の起
電力が本発明の実施の形態と比較して小さいため、リー
ド端子部でのアルカリの発生を軽減することが困難であ
り、その結果、耐熱性の高い、ブチルゴムポリマーに加
硫剤としてアルキルフェノールフォルマリン樹脂を添加
して成形した封口部材や、アルカリ変質性の少ないアル
キル置換アミジン基を有する化合物の4級塩を電解質と
する電解液を用いても、漏液を抑止することができな
い。
【0060】すなわち、陰極箔3側に接続したリード線
6bの少なくとも表面に鉛よりも標準電極電位が貴な金
属を含有した構成のコンデンサとすることにより、高温
−高湿下での電圧印加時にも信頼性の高いアルミニウム
電解コンデンサおよび電気2重層コンデンサを得ること
ができるものである。
【0061】
【発明の効果】以上のように本発明のコンデンサは、一
端部にリード線が接続されたリード端子をそれぞれ接続
した陽極箔と陰極箔をその間にセパレータを介在させて
巻回し、かつ電解液を含浸させたコンデンサ素子と、こ
のコンデンサ素子を収納する有底筒状の金属ケースと、
この金属ケースの開口部を封口する封口体からなるコン
デンサにおいて、少なくとも上記陰極箔側に接続したリ
ード線の少なくとも表面に鉛よりも標準電極電位が貴な
金属を含有した構成のコンデンサとすることにより、 (1)コンデンサを高湿度環境下で使用する場合に、リ
ード端子のリード線接合部への結露や水蒸気の付着によ
り生じる、陰極箔に接続されたリード端子と、リード端
子に接続されたリード線との電極電位の違いにより生じ
る局部電池2(酸化極:アルミニウムのリード端子、還
元極:リード線)の起電力を従来品(スズメッキのリー
ド線より大きくすることができるので、この結果、アル
ミニウムのリード端子/リード線間の局部電池2の閉回
路電流(電子の流れ)を大きくすることができる。
【0062】(2)陰極箔と陰極箔に接続されたリード
端子との電解液中での電極電位が異なることに起因して
形成される起電力により生じる局部電池1(酸化極:陰
極箔、還元極:アルミニウムのリード端子)の閉回路電
流が生じたことにより発生する、陰極箔よりアルミニウ
ムのリード端子に流れ込む電子が、この局部電池1に直
列に接続される上記(1)で説明した起電力の大きな局
部電池2によって更にリード線側に流れ出るので、リー
ド端子の部分で還元反応に費やされる電子数(電気量)
を軽減することができ、局部電池1の起電力を変更する
ことなく容易に電解液の電気分解によるアルカリ化反応
を抑制することができる。
【0063】このようにリード線の表面層の電位を操作
することにより電解液の電気分解の影響を軽減し、電解
液の外部への漏液を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を含むアルミ電解コンデン
サの構成を示す一部切欠断面斜視図
【符号の説明】
1 コンデンサ素子 2 陽極箔 3 陰極箔 4 セパレータ 5a,5b リード端子 6a,6b リード線 7 アルミケース 8 封口部材 9 外装部材

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一端にリード線が接続されたリード端子
    をそれぞれ接続した陽極箔と陰極箔をその間にセパレー
    タを介在させて巻回し、かつ電解液を含浸させたコンデ
    ンサ素子と、このコンデンサ素子を収納する有底筒状の
    金属ケースと、この金属ケースの開口部を封口する封口
    部材からなるコンデンサにおいて、少なくとも上記陰極
    箔側に接続したリード線の少なくとも表面に鉛よりも標
    準電極電位が貴な金属を含有したコンデンサ。
  2. 【請求項2】 金属ケースの開口部を封口する封口部材
    が、イソブチレンとイソプレンとの共重合体からなるブ
    チルゴムポリマーに加硫剤としてアルキルフェノールフ
    ォルマリン樹脂を添加してなる弾性体、またはイソブチ
    レンとイソプレンとジビニルベンゼンとの共重合体から
    なるブチルゴムポリマーに加硫剤として過酸化物を添加
    してなる弾性体により構成されたものである請求項1に
    記載のコンデンサ。
  3. 【請求項3】 リード線の少なくとも表面に含有される
    金属が、銀、銅、ビスマスの群より選ばれる1種以上で
    ある請求項1または2に記載のコンデンサ。
  4. 【請求項4】 リード線の少なくとも表面に含有される
    金属が、スズと銀を成分として含有し、かつスズと銀の
    比率がスズ:銀=1:0.01以上(重量比)の範囲で
    ある請求項3に記載のコンデンサ。
  5. 【請求項5】 リード線の少なくとも表面に含有される
    金属に銅とビスマスを含有した請求項3に記載のコンデ
    ンサ。
  6. 【請求項6】 電解液にアルキル置換アミジン基を有す
    る化合物の4級塩を用いた請求項1〜5のいずれか一つ
    に記載のコンデンサ。
  7. 【請求項7】 アルキル置換アミジン基を有する化合物
    の4級塩が、炭素数1〜11のアルキル基またはアリー
    ルアルキル基で4級化されたイミダゾール化合物、ベン
    ゾイミダゾール化合物、脂環式アミジン化合物から選ば
    れる1種以上である請求項6に記載のコンデンサ。
  8. 【請求項8】 アルキル置換アミジン基を有する化合物
    の4級塩が、1−メチル−1,8−ジアザビシクロ
    [5,4,0]ウンデセン−7,1−メチル−1,5−
    ジアザビシクロ[4,3,0]ノネン−5、1,2,3
    −トリメチルイミダゾリニウム、1,2,3,4−テト
    ラメチルイミダゾリニウム、1,2−ジメチル−3−エ
    チル−イミダゾリニウム、1,3,4−トリメチル−2
    −エチルイミダゾリニウム、1,3−ジメチル−2−ヘ
    プチルイミダゾリニウム、1,3−ジメチル−2−(−
    3’ヘプチル)イミダゾリニウム、1,3−ジメチル−
    2−ドデシルイミダゾリニウム、1,2,3−トリメチ
    ル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジウム、1,
    3−ジメチルイミダゾリウム、1,3−ジメチルベンゾ
    イミダゾリウムから選ばれる1種以上である請求項7に
    記載のコンデンサ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001196269A (ja) * 2000-01-06 2001-07-19 Nippon Chemicon Corp 電解コンデンサ

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JP2001196269A (ja) * 2000-01-06 2001-07-19 Nippon Chemicon Corp 電解コンデンサ

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