JP3552485B2 - アルミ電解コンデンサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は各種電子機器に利用されるアルミ電解コンデンサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般にアルミ電解コンデンサは、帯状のアルミニウム箔に化学的あるいは電気化学的にエッチング処理を施してアルミニウム箔の表面積を拡大させるとともに、このアルミニウム箔にほう酸アンモニウム等の化成液中で化成処理を施して表面にアルミニウムの酸化物層を形成した陽極用のアルミニウム箔と、エッチング処理のみを施した陰極用のアルミニウム箔とを、その間にマニラ繊維等からなるセパレータを介在させて巻回することによりコンデンサ素子を構成している。
【0003】
そして、このコンデンサ素子は、電解コンデンサ駆動用の電解液を含浸させた後、アルミニウム等からなる開口部を有する有底筒状の外装ケース内に収納し、そして外装ケースの開口部には合成ゴムを含有する封口部材を装着し、絞り加工等により外装ケースを密閉している。
【0004】
陽極用のアルミニウム箔と陰極用のアルミニウム箔には、それぞれの極を外部に引き出すための引き出しリードがステッチ、超音波溶接等の手段により接続されている。そしてこれらの引き出しリードはアルミニウムからなる丸棒部と電極箔に当接する接続部からなり、さらに丸棒部の先端には、半田付け可能な金属からなる外部接続部が溶接等の手段で固着されている。
【0005】
コンデンサ素子に含浸される電解コンデンサ駆動用の電解液には、アルミ電解コンデンサの性能によって種々のものが使用されることが知られている。その中でも、導電率が高く低温特性が良好でありかつ熱的安定性に優れる電解液としては、γ−ブチロラクトンを含有する溶媒に、電解質としてテトラアルキルアンモニウムを塩基成分としカルボン酸を酸成分とする塩、いわゆる第4級アンモニウム塩を溶解させたもの(特開昭62−264615号公報参照)や、また最近では、同様の性能を有する電解液として、γ−ブチロラクトンを含有する溶媒に、電解質としてアルキル置換アミジン基を有する塩基を塩基成分としカルボン酸を酸成分とする塩、いわゆるアミジン塩を溶解させたもの(再公表特許国際公開番号WO95/15572号参照)が知られている。
【0006】
陰極用のアルミニウム箔に使用されるアルミニウムは、構成する電解コンデンサの用途に応じてさまざまだが、純度99.20%程度のものや、純度99.95%程度のものが選定されて使用されている。一般に、純度99.20%程度のアルミニウムの場合は、エッチング時の表面積の拡大を目的に銅などのアルミニウムより貴な電位の金属を意図的に添加していることが多く、その場合、バルクの銅含有率は0.1〜0.5%程度である。また、純度99.95%程度のアルミニウムの場合、含有される不純物の代表的なものは銅、鉄、珪素等であり、バルクの銅含有率は0.01〜0.05%程度である。
【0007】
また、陰極用のアルミニウム箔の特殊な処理方法としては、第4級アンモニウム塩を溶解した電解液の電気化学的な変質による電解液の外部への漏出を防止する目的で、チタンやジルコニウムなどの窒化物層を陰極用のアルミニウム箔の表面上に形成し、意図的に陰極用のアルミニウム箔の自然電位を、陰極用のアルミニウム箔に接続された引き出しリードの電解液と接触する部分の自然電位より貴な側に変化させることにより、電解液中において陰極用のアルミニウム箔と、この陰極用のアルミニウム箔に電気的に接続された引き出しリードとの間で形成される局所電池のカソードを、引き出しリードの電解液と接触する部分ではなく、陰極用のアルミニウム箔側へ変位させる工夫がなされたもの(特開平8−264392号公報参照)が知られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前述した第4級アンモニウム塩を溶解させた電解液は導電率が高く低温特性が良好であり、かつ熱的安定性に優れているが、電気化学的な変質により封口部材における陰極引き出しリードを外部に導出させるための貫通孔から電解液が漏れ出やすいという傾向がある。そのため、この電解液を用いたアルミ電解コンデンサは電気的な性能に優れている反面、電解液が漏れ出ることにより、このアルミ電解コンデンサが実装された機器のプリント基板を汚染する場合があった。
【0009】
アミジン塩を溶解させた電解液は、前述した第4級アンモニウム塩の問題点を改善することによって、電解液の漏れ出やすさを大幅に改良したものであり、高温環境下での電解液の漏出は改善できたものの、より過酷な高温−高湿複合環境下での長時間に及び信頼性試験において電解液の漏出の抑制を実用十分なものとするためには、特殊な加硫方法と特殊な充填剤を配合したブチルゴムを使用してアルミ電解コンデンサを構成しなければならず、したがって汎用的でないとともに、アルミ電解コンデンサのコストが高いという問題点があった。
【0010】
アルミニウムの鋳造時に銅を添加し、銅含有率を0.1〜0.5%程度とした陰極用のアルミニウム箔は、エッチング処理による表面積の拡大効率を向上させることができるため、小形大容量のアルミ電解コンデンサを構成することができるが、陰極用のアルミニウム箔の表面に存在する銅の量が過多の場合には、化学溶解もしくはアルミ電解コンデンサに逆電圧が印加される際の電気化学的溶解反応により電解液中にイオン化して溶出した銅が再析出する際に陽極と陰極との間を短絡させるという問題点があった。
【0011】
また、陰極用のアルミニウム箔の特殊な処理方法として、チタンやジルコニウムなどの窒化物層を陰極用のアルミニウム箔上に形成し、意図的に陰極用のアルミニウム箔の自然電位を陰極側の引き出しリードの電解液と接触する部分の自然電位より貴な側に変化させることにより、電解液中において陰極用のアルミニウム箔と、この陰極用のアルミニウム箔に電気的に接続された引き出しリードとの間で形成される局所電池のカソードを、引き出しリードの電解液と接触する部分ではなく、陰極用のアルミニウム箔側へ変化させる方法も、被覆層を構成する貴金属が高価であるとともに、金属窒化物で陰極用のアルミニウム箔を被覆する装置が特殊かつ高価であるため、量産性とコストの点で問題を有するものであった。
【0012】
本発明は上記従来の問題点を解決するもので、高温−高湿環境下での電解液の漏出を特殊なブチルゴム封口部材を用いることなく容易に改善することができるとともに、陰極用のアルミニウム箔の表面に存在する銅の溶解−再析出による短絡をも改善することができる信頼性の高いアルミ電解コンデンサを提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明のアルミ電解コンデンサは、引き出しリードを接続するとともに表面に誘電体としてアルミニウム酸化物層を形成したアルミニウム箔を陽極とし、引き出しリードを接続したアルミニウム箔を陰極として、これらの陽極と陰極とをその間にセパレータを介在させて巻回することにより構成されたコンデンサ素子と、このコンデンサ素子に含浸される電解液と、前記コンデンサ素子を収納する有底の外装ケースと、この外装ケースの開口部を封口する封口部材とを備え、前記電解液の電解質を構成する塩基において、塩基または塩基の水酸化物の水溶液中における水素イオン濃度を、塩基または塩基の水酸化物の濃度が1重量%で、かつ測定温度が30℃の時、1.0×10 -13 モル/dm 3 以上とし、かつ前記陰極用のアルミニウム箔の銅含有率を0.03%未満として、前記陰極用のアルミニウム箔の全部または一部をアノードとし、陰極用のアルミニウム箔に接続された引き出しリードの電解液と接触する部分の全部または一部をカソードとした場合の前記電解液中(液温度24〜26℃)における腐食電流を0.01μA以下となるようにしたもので、この構成によれば、高温−高湿環境下での電解液の漏出を特殊なブチルゴム封口部材を用いることなく容易に改善することができるとともに、陰極用のアルミニウム箔の表面に存在する銅の溶解−再析出による短絡をも改善することができる信頼性の高いアルミ電解コンデンサを得ることができるものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、引き出しリードを接続するとともに表面に誘電体としてアルミニウム酸化物層を形成したアルミニウム箔を陽極とし、引き出しリードを接続したアルミニウム箔を陰極として、これらの陽極と陰極とをその間にセパレータを介在させて巻回することにより構成されたコンデンサ素子と、このコンデンサ素子に含浸される電解液と、前記コンデンサ素子を収納する有底の外装ケースと、この外装ケースの開口部を封口する封口部材とを備え、前記電解液の電解質を構成する塩基において、塩基または塩基の水酸化物の水溶液中における水素イオン濃度を、塩基または塩基の水酸化物の濃度が1重量%で、かつ測定温度が30℃の時、1.0×10 -13 モル/dm 3 以上とし、かつ前記陰極用のアルミニウム箔の銅含有率を0.03%未満として、前記陰極用のアルミニウム箔の全部または一部をアノードとし、陰極用のアルミニウム箔に接続された引き出しリードの電解液と接触する部分の全部または一部をカソードとした場合の前記電解液中(液温度24〜26℃)における腐食電流を0.01μA以下となるようにしたもので、この構成によれば、アルミ電解コンデンサを構成した際に、電解液中において陰極用のアルミニウム箔(アノードとなる場合が多い)と、この陰極用のアルミニウム箔に電気的に接続された引き出しリード(カソードとなる場合が多い)との間で形成される局所電池が原因となって発生する電流を抑制することができるため、引き出しリードの電解液と接触する部分において生じる電解液の電気化学的変質(カソード反応によるアルカリ化)を抑制できるものである。その結果、高温−高湿環境下での電解液の漏出を特殊なブチルゴム封口部材を用いることなく容易に改善することができるとともに、後述する理由により、陰極用のアルミニウム箔の表面に存在する銅の溶解−再析出による短絡の問題もないものである。
【0015】
陰極用のアルミニウム箔の銅含有率が0.03%以上では、陰極用のアルミニウム箔の表面における銅量が過多になりやすいため、化学溶解もしくはアルミ電解コンデンサに逆電圧が印加される際の電気化学的溶解反応により銅が電解液中にイオン化しやすく、また溶出する銅量が多くなるために再析出しやすく、陽極と陰極との間を短絡させやすい。
【0016】
この問題点を解決する手段として、数多くの提案がなされているが、いずれも陰極用のアルミニウム箔の連続製造プロセスにおいて、酸化性の強い薬品による処理プロセスを追加しなければならず好ましくない。
【0017】
また、陰極用のアルミニウム箔の全部または一部をアノードとし、かつ陰極用のアルミニウム箔に接続された引き出しリードの電解液と接触する部分の全部または一部をカソードとした場合の前記電解液中における腐食電流が0.01μAを越える範囲では、コンデンサを構成した際に、電解液中において陰極用のアルミニウム箔と、この陰極用のアルミニウム箔に電気的に接続された引き出しリードとの間で形成される局所電池の発生電流を低減することができないため、有効な手段とはなり得ない。
【0018】
また、電解液の電解質を構成する塩基において、塩基または塩基の水酸化物の水溶液中における水素イオン濃度を、塩基または塩基の水酸化物の濃度が1重量%で、かつ測定温度が30℃の時、1.0×10-13モル/dm3以上となるようにしたもので、この構成によれば、請求項1に記載の構成と組み合わせることにより、電解液の漏出を特殊なブチルゴム封口材を用いることなく容易に改善することができるものである。水素イオン濃度が1.0×10-13モル/dm3未満の強塩基性の塩基(例えばテトラアルキルアンモニウムやテトラアルキルホスホニウム)の電解質からなる電解液では、本発明の構成をもってしても、過酷な高温−高湿複合環境下での長時間に及ぶ信頼性試験において、耐漏出性を実用十分なものとするためには、加硫方法と充填剤を限定した特殊なブチルゴムを使用してアルミ電解コンデンサを構成しなければならないものであって、電解液の漏出を容易には改善し難いものである。
【0019】
以下、本発明の一実施の形態について図面を用いて説明する。
本発明のアルミ電解コンデンサの基本は、図1に示すように引き出しリード1を接続した表面に誘電体としてのアルミニウム酸化物層を形成したアルミニウム箔を陽極とし、引き出しリード2を接続したアルミニウム箔を陰極として、これらの陽極と陰極とをその間にセパレータを介在させて巻回してコンデンサ素子3とし、このコンデンサ素子3に含浸される電解液と、このコンデンサ素子3を収納する有底の外装ケース4と、この外装ケース4の開口部を封口する封口部材5とからなり、上記陰極用のアルミニウム箔の銅含有率を0.03%未満とし、かつ陰極用のアルミニウム箔の全部または一部をアノードとし、陰極用のアルミニウム箔に接続された引き出しリード2の電解液と接触する部分の全部または一部をカソードとした場合の前記電解液中における腐食電流を0.01μA以下となるようにしたものである。
【0020】
本発明のアルミ電解コンデンサの封口部材5としては、耐薬品性に優れるブチルゴムが望ましい。ブチルゴムの加硫方法としては、ジクミルパーオキサイド等の過酸化物を加硫剤に用いる過酸化物加硫、アルキルフェノールホルマリン等の樹脂を加硫剤に用いる樹脂加硫、キノン化合物を加硫剤に用いるキノイド加硫等が知られており、ブチルゴムに配合する充填剤としては珪酸アルミや炭酸カルシウム等の無機化合物が知られているが、上記したいずれの加硫方法および充填剤を配合したブチルゴムを使用しても効果が認められるものである。但し、硫黄を加硫剤に用いる硫黄加硫ブチルゴムにおいては、高温時の弾性率の低下が著しく大きいため、効果が認められない。
【0021】
本発明のアルミ電解コンデンサの電解液としては、導電率が高く、低温特性の良好なγ−ブチロラクトンを溶媒として含有する電解液が好ましい。必要によりγ−ブチロラクトンに副溶媒として水やエチレングリコール、グリセリン等のアルコール類を混合してもよいもので、この場合、電解液中での腐食電流の値が0.01μA以下の範囲にあれば良い。
【0022】
本発明のアルミ電解コンデンサの電解液に副溶媒として水を含有させる場合は電解液の重量部に基づいて10重量%以下が好ましい。含有させる水の量を調節することによって腐食電流の値を調整することが容易となり、好ましい場合もある。しかしながら、水の量が10重量%を越えると、アルミニウムの腐食によるガス発生が大きくなってアルミ電解コンデンサの特性を著しく劣化させるため、好ましくない。
【0023】
本発明のアルミ電解コンデンサの電解液の電解質を構成する塩基としては、3級アミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルジメチルアミン、ジエチルメチルアミン等)、炭素数1〜11のアルキル基またはアリールアルキル基で4級化されたイミダゾール化合物、ベンゾイミダゾール化合物、脂環式アミジン化合物(ピリミジン化合物、イミダゾリン化合物)が挙げられる。具体的には、導電率が高い1−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7、1−メチル−1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノネン−5、1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム、1,2−ジメチル−3−エチルイミダゾリニウム、1,3−ジメチル−2−エチル−イミダゾリニウム、1,3,4−トリメチル−2−エチルイミダゾリニウム、1,3−ジメチル−2−ヘプチルイミダゾリニウム、1,3−ジメチル−2−(3’ヘプチル)イミダゾリニウム、1,3−ジメチル−2−ドデシルイミダゾリニウム、1,2,3−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジウム、1,3−ジメチルイミダゾリウム、1,3−ジメチルベンゾイミダゾリウムが好ましい。これらの中でも特に好ましいのは、導電率が高く、熱的に安定な1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウムである。
【0024】
また、本発明のアルミ電解コンデンサの電解液には必要により種々の添加剤を混合しても良い。添加剤を加えることによって電解液中での腐食電流の値を調整することができる。添加剤としては、リン系化合物(リン酸、リン酸エステルなど)、ほう素化合物(ほう酸、ほう酸塩[ほう酸アンモニウムなど]、ほう酸と多糖類[マンニット、ソルビットなど]との錯化合物など)、ニトロ化合物(p−ニトロフェノール、m−ニトロフェノール、o−ニトロフェノール、p−ニトロ安息香酸、m−ニトロ安息香酸、o−ニトロ安息香酸、3−ニトロフタル酸、4−ニトロフタル酸など)、有機酸(マレイン酸、o−フタル酸、安息香酸、アジピン酸、レゾルシル酸など)が挙げられる。これらの中でも好ましいのは、カソード反応を変化させやすいニトロ化合物である。
【0025】
(表1)は本発明の実施の形態1〜6および比較例1〜3のアルミ電解コンデンサの構成材料と、電解質の塩基または塩基の水酸化物の水溶液中における水素イオン濃度の尺度であるpH(pHは次式で定義される。pH=−log[水素イオン濃度]。従ってpHが13以下の時、水素イオン濃度は1.0×10−13のモル/dm3以上であることを意味する。)を示したものである。
【0026】
【表1】
【0027】
陰極用のアルミニウム箔のエッチングは、以下の方法により行った。
(エッチングA)10%塩酸水溶液中で、液温30℃、交流周波数25Hz、電流密度0.2A/cm2によりエッチングを行った。単位面積当たりの静電容量は400μF/cm2、エッチングによる重量減量は3mg/cm2であった。
【0028】
(エッチングB)10%塩酸水溶液中で、液温50℃、交流周波数60Hz、電流密度0.6A/cm2によりエッチングを行った。単位面積当たりの静電容量は240μF/cm2、エッチングによる重量減量は2mg/cm2であった。
【0029】
陰極用のアルミニウム箔の銅含有率の測定は、陰極用のアルミニウム箔を36%塩酸−31%過酸化水素水混合液(混合体積比10:1)中に一昼夜−常温で浸漬することにより、アルミニウム箔を完全に溶解して被検液を調整し、そしてこの被検液中の銅量を原子吸光分析装置(装置:島津製作所製AA−9700、測定波長:324.8mm、燃料ガス:アセチレン−空気)により測定したもので、浸漬した陰極用のアルミニウム箔の重量より含有率を換算したものである。
【0030】
腐食電流の測定値は、陰極用のアルミニウム箔(電解液への浸漬部面積:50mm×6.5mm)と、陰極用の引き出しリード2(純度99.9%)の電解液と接触する部分(電解液への浸漬部面積:3mm×1.5mm)とを電気的に接合した後、両者を温度24〜26℃に保持した電解液中に浸漬した際の腐食電流を測定した結果である。この測定値は経時的に僅かながら低下するため、浸漬から3時間後の測定値を示した。
【0031】
(表1)から明らかなように、本発明の実施の形態1〜6のアルミ電解コンデンサにおいては、腐食電流が小さいことがわかる。
【0032】
次に、本発明の実施の形態1〜6および比較例1〜3のアルミ電解コンデンサの構成材料と陽極箔、マニラ繊維からなるセパレータ、アルミニウムからなる外装ケース4を使用して、定格電圧25V−静電容量220μF、サイズ;φ8.0mm×L11.2mmのアルミ電解コンデンサを作成した。そしてこのアルミ電解コンデンサの各々10個に温度85℃−相対湿度85%RHの環境下で、電圧25Vを連続的に印加する5000時間の信頼性試験を実施し、試験終了後のアルミ電解コンデンサの封口ゴム面の状態と銅の析出による短絡の有無を調査した。その結果を(表2)に示す。
【0033】
【表2】
【0034】
(表2)から明らかなように、本発明の実施の形態1〜6のアルミ電解コンデンサの構成材料を用いて作成したアルミ電解コンデンサは、陰極用のアルミニウム箔の全部または一部をアノードとし、かつ陰極用のアルミニウム箔に接続された引き出しリード2の電解液と接触する部分の全部または一部をカソードとした場合の前記電解液中における腐食電流を、0.01μA以下としているため、電解液中において陰極用のアルミニウム箔と、この陰極用のアルミニウム箔に電気的に接続された引き出しリード2との間で形成される局所電池の発生電流を低くすることができ、これにより、引き出しリード2の電解液と接触する部分において生じる電解液の電気化学的変質(カソード反応によるアルカリ化)を抑制できるものである。また、陰極用のアルミニウム箔の銅含有率も0.03%未満と少なくしているため、電圧印加試験中における銅の再析出による短絡も生じないものである。その結果、高温−高湿環境下での電解液の漏出を特殊なブチルゴムの封口部材を用いることなく容易に改善することができるとともに、陰極用のアルミニウム箔の表面に存在する銅の溶解−再析出による短絡をも改善でき、信頼性の高いアルミ電解コンデンサを量産性に適した方法で安価に提供することができるものである。
【0035】
【発明の効果】
以上のように本発明のアルミ電解コンデンサは、引き出しリードを接続するとともに、表面に誘電体としてアルミニウム酸化物層を形成したアルミニウム箔を陽極とし、引き出しリードを接続したアルミニウム箔を陰極として、これらの陽極と陰極とをその間にセパレータを介在させて巻回することにより構成されたコンデンサ素子と、このコンデンサ素子に含浸される電解液と、前記コンデンサ素子を収納する有底の外装ケースと、この外装ケースの開口部を封口する封口部材とを備え、前記電解液の電解質を構成する塩基において、塩基または塩基の水酸化物の水溶液中における水素イオン濃度を、塩基または塩基の水酸化物の濃度が1重量%で、かつ測定温度が30℃の時、1.0×10 -13 モル/dm 3 以上とし、かつ前記陰極用のアルミニウム箔の銅含有率を0.03%未満として、前記陰極用のアルミニウム箔の全部または一部をアノードとし、陰極用のアルミニウム箔に接続された引き出しリードの電解液と接触する部分の全部または一部をカソードとした場合の前記電解液中における腐食電流を0.01μA以下となるようにしたもので、この構成によれば、アルミ電解コンデンサを構成した際に、電解液中において陰極用のアルミニウム箔(アノードとなる場合が多い)と、この陰極用のアルミニウム箔に電気的に接続された引き出しリード(カソードとなる場合が多い)との間で形成される局所電池が原因となって発生する電流を抑制することができるため、引き出しリードの電解液と接触する部分において生じる電解液の電気化学的変質(カソード反応によるアルカリ化)を抑制できるものである。その結果、高温−高湿環境下での電解液の漏出を特殊なブチルゴム封口部材を用いることなく容易に改善することができるとともに、陰極用のアルミニウム箔の表面に存在する銅の溶解−再析出による短絡をも改善することができるため、信頼性の高いアルミ電解コンデンサを量産に適した方法で安価に得ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアルミ電解コンデンサの一実施の形態を示す断面図
【符号の説明】
1,2 引き出しリード
3 コンデンサ素子
4 外装ケース
5 封口部材
Claims (1)
- 引き出しリードを接続するとともに表面に誘電体としてアルミニウム酸化物層を形成したアルミニウム箔を陽極とし、引き出しリードを接続したアルミニウム箔を陰極として、これらの陽極と陰極とをその間にセパレータを介在させて巻回することにより構成されたコンデンサ素子と、このコンデンサ素子に含浸される電解液と、前記コンデンサ素子を収納する有底の外装ケースと、この外装ケースの開口部を封口する封口部材とを備え、前記電解液の電解質を構成する塩基において、塩基または塩基の水酸化物の水溶液中における水素イオン濃度を、塩基または塩基の水酸化物の濃度が1重量%で、かつ測定温度が30℃の時、1.0×10 -13 モル/dm 3 以上とし、かつ前記陰極用のアルミニウム箔の銅含有率を0.03%未満として、前記陰極用のアルミニウム箔の全部または一部をアノードとし、陰極用のアルミニウム箔に接続された引き出しリードの電解液と接触する部分の全部または一部をカソードとした場合の前記電解液中(液温度24〜26℃)における腐食電流を0.01μA以下となるようにしたアルミ電解コンデンサ。
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