JP2001102265A - アルミニウム電解コンデンサ - Google Patents

アルミニウム電解コンデンサ

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JP2001102265A
JP2001102265A JP28044099A JP28044099A JP2001102265A JP 2001102265 A JP2001102265 A JP 2001102265A JP 28044099 A JP28044099 A JP 28044099A JP 28044099 A JP28044099 A JP 28044099A JP 2001102265 A JP2001102265 A JP 2001102265A
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aluminum
cathode
electrode foil
electrolytic capacitor
cathode electrode
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JP28044099A
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Tatsunori Tsuji
達紀 辻
Tadashi Ozawa
正 小澤
Takayuki Sugiyama
孝之 杉山
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Nippon Chemi Con Corp
Original Assignee
Nippon Chemi Con Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低インピーダンス特性を有し、100V仕様
が可能で、さらに、125℃での高信頼性を有する電解
コンデンサを提供する。 【解決手段】 電解液としてγ−ブチロラクトンとエチ
レングリコールとの混合溶媒に安息香酸の四級化環状ア
ミジニウム塩を溶解し、コロイダルシリカと炭素数が3
〜8のアルキル基を有するアルキルリン酸とを添加して
なる電解液を用い、純度99.9%以上のアルミニウム
からなる陰極引出し手段を備え、銅、鉄、マンガン、ス
ズのうち一または二以上を含む純度99.9%未満のア
ルミニウムからなる陰極電極箔を用いているので、低イ
ンピーダンス特性を有し、100V仕様が可能で、さら
に、125℃での耐電圧特性等の安定性を有し、漏液特
性の良好な電解コンデンサを得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
【産業上の利用分野】この発明は電解コンデンサ、特に
低インピーダンス特性を有し、100V仕様が可能で、
さらに、125℃での高信頼性を有する電解コンデンサ
に関する。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム電解コンデンサは、一般的
には図1、図2に示すような構造からなる。すなわち、
図2に示すように、帯状の高純度のアルミニウム箔に、
化学的あるいは電気化学的にエッチング処理を施して、
アルミニウム箔表面を拡大させるとともに、このアルミ
ニウム箔をホウ酸アンモニウム水溶液等の化成液中にて
化成処理して表面に酸化皮膜層を形成させた陽極電極箔
2と、エッチング処理のみを施した高純度のアルミニウ
ム箔からなる陰極電極箔3とを、マニラ紙等からなるセ
パレータ11を介して巻回してコンデンサ素子1を形成
する。
【0003】そして、図1に示すように、このコンデン
サ素子1はアルミニウム電解コンデンサ駆動用の電解液
を含浸した後、アルミニウム等からなる有底筒状の外装
ケース10に収納する。外装ケース10の開口部には弾
性ゴムからなる封口体9を装着し、絞り加工により外装
ケース10を密封している。
【0004】陽極電極箔2、陰極電極箔3には、図2に
示すように、それぞれ両極の電極を外部に引き出すため
の電極引出し手段であるリード線4、5がステッチ、超
音波溶接等の手段により接続されている。それぞれの電
極引出し手段であるリード線4、5は、アルミニウムか
らなる丸棒部6と、両極電極箔2、3に当接する接続部
7と、さらに丸棒部6の先端に溶接等の手段で固着され
た半田付け可能な金属からなる外部接続部8とからな
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】近年、車載、交換機の
分野での電解コンデンサの使用要求が高まっている。車
載分野では高温仕様、交換機分野では長寿命仕様であ
り、いずれも125℃での高信頼性が要求され、さら
に、この分野では、低インピーダンス特性、100V仕
様を満たさなければならない。
【0006】従来より、100V、125℃仕様の電解
液として、エチレングリコールを溶媒とし、安息香酸ア
ンモニウムを溶質とした電解液が用いられているが、こ
の種の用途としては、インピーダンスが高く、使用に耐
えない。また、従来の低インピーダンス特性を有する電
解コンデンサ用電解液としては、γ−ブチロラクトンを
溶媒とし、四級化環状アミジニウムのフタル酸塩又はマ
レイン酸塩を溶質とした電解液が用いられているが、耐
電圧が低く、100V仕様を満たすことができない。そ
こで、γ−ブチロラクトンを主溶媒として、安息香酸の
四級化環状アミジニウム塩を溶質として用い、さらに、
耐電圧向上効果が知られている、シリカ粒子やリン酸化
合物を添加することによって、100Vの耐電圧特性を
得ることができる。しかしながら、この電解液は、寿命
試験中での耐電圧の低下や、漏液の発生という問題があ
り、125℃での高信頼性を満たすことができない。特
に、四級化環状アミジニウム塩を用いた電解液におい
て、漏液が発生するという問題があるが、γ−ブチロラ
クトンを溶媒とし、安息香酸の四級化環状アミジニウム
塩を溶質とする電解液では、この漏液特性が悪化する傾
向にある。以上のように、前述の要求を満たすことので
きる電解コンデンサを得るまでには至っていないのが実
状である。
【0007】そこで、本発明はこの欠点を改善するもの
で、低インピーダンス特性を有し、100V仕様が可能
で、さらに、125℃での安定した耐電圧特性等の特
性、及び良好な漏液特性などの高信頼性特性を有する、
電解コンデンサを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明のアルミ電解コン
デンサは、陽極引出し手段を備えた陽極電極箔と、純度
99.9%以上のアルミニウムからなる丸棒部と陰極電
極箔との接続部とを含む陰極引出し手段を備えた、銅、
鉄、マンガン、スズのうち一または二以上をを含む純度
99.9%未満のアルミニウムからなる陰極電極箔と
を、セパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成
し、このコンデンサ素子にγ−ブチロラクトンとエチレ
ングリコールとの混合溶媒に安息香酸の四級化環状アミ
ジニウム塩を溶解し、コロイダルシリカと(化2)で示
されるアルキルリン酸を添加した電解液を含浸して外装
ケースに収納したことを特徴としている。
【化2】
【0009】また、陰極引出し手段の表面の一部又は全
部に陽極酸化によって形成した酸化アルミニウム層を形
成することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】アルミニウム電解コンデンサの構
造は図1、図2に示すように、従来と同じ構造をとって
いる。コンデンサ素子1は陽極電極箔2と陰極電極箔3
をセパレータ11を介して巻回して形成する。また図2
に示すように陽極電極箔2、陰極電極箔3には陽極引出
し用のリード線4、陰極引出し用のリード線5がそれぞ
れ接続されている。これらの電極引出し手段である、リ
ード線4、5は、電極箔に当接する接続部7とこの接続
部7と一体に形成した丸棒部6、および丸棒部6の先端
に固着した外部接続部8からなる。また、接続部7およ
び丸棒部6はアルミニウム、外部接続部8ははんだメッ
キを施した銅メッキ鉄鋼線からなる。このリード線4、
5は、接続部7においてそれぞれステッチや超音波溶接
等の手段により両極電極箔2、3に電気的に接続されて
いる。
【0011】ここで、本発明においては、陰極電極箔と
して、銅、鉄、マンガン、スズのうち一または二以上を
含む純度99.9%未満のアルミニウムからな電極箔を
用いる。
【0012】また、陰極引出し手段を構成する、前記の
接続部と丸棒部は、純度99.9%以上のアルミニウム
からなる。
【0013】陽極電極箔2は、アルミニウム箔を酸性溶
液中で化学的あるいは電気化学的にエッチングして拡面
処理した後、ホウ酸アンモニウム、リン酸アンモニウム
あるいはアジピン酸アンモニウム等の水溶液中で化成処
理を行い、その表面に陽極酸化皮膜層を形成したものを
用いる。
【0014】上記のように構成したコンデンサ素子1
に、電解コンデンサの駆動用の電解液を含浸する。電解
液として、γ−ブチロラクトンとエチレングリコールの
混合溶媒を用い、安息香酸の四級化環状アミジニウム塩
を溶解し、コロイダルシリカと(化2)で示されるアル
キルリン酸を添加した電解液を用いる。
【0015】γ−ブチロラクトンを溶媒として用いる低
インピーダンス用電解液としては高圧である100V仕
様を得るために、エチレングリコールを副溶媒として用
い、電解液の化成性を向上させる。混合溶媒中のエチレ
ングリコールの含有率は、5〜50wt%、好ましく
は、10〜20wt%、この範囲未満では電解コンデン
サの漏れ電流特性が低下し、この範囲越えるとインピー
ダンス特性が低下する。
【0016】この混合溶媒に、安息香酸の四級化環状ア
ミジニウム塩を溶質として溶解する。安息香酸の四級化
環状アミジニウム塩の電解液中の含有率は、5〜30w
t%、好ましくは10〜20wt%、この範囲未満では
インピーダンス特性が低下し、この範囲を越えると耐電
圧特性が低下する。
【0017】また、カチオン成分となる四級化環状アミ
ジニウムイオンは、N,N,N’−置換アミジン基をも
つ環状化合物を四級化したカチオンであり、N,N,
N’−置換アミジン基をもつ環状化合物としては、以下
の化合物が挙げられる。イミダゾール単環化合物(1−
メチルイミダゾール、1−フェニルイミダゾール、1,
2−ジメチルイミダゾール、1−エチル−2−メチルイ
ミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1,2,
4−トリメチルイミダゾール、1−エチル−2,3−ジ
メチルイミダゾール、1,2,3,4−テトラメチルイ
ミダゾール等のイミダゾール同族体、、1−メチル−2
−オキシメチルイミダゾール、1−メチル−2−オキシ
エチルイミダゾール等のオキシアルキル誘導体、1−メ
チル−4(5)−ニトロイミダゾール等のニトロ誘導
体、1,2−ジメチル−5(4)−アミノイミダゾール
等のアミノ誘導体等)、ベンゾイミダゾール化合物(1
−メチルベンゾイミダゾール、1−メチル−2−ベンゾ
イミダゾール、1−メチル−5(6)−ニトロベンゾイ
ミダゾール等)、2−イミダゾリン環を有する化合物
(1−メチルイミダゾリン、1,2−ジメチルイミダゾ
リン、1,2,4−トリメチルイミダゾリン、1−メチ
ル−2−フェニルイミダゾリン、1−エチル−2−メチ
ル−イミダゾリン、1,4−ジメチル−2−エチルイミ
ダゾリン、1−メチル−2−エトキシメチルイミダゾリ
ン等)、テトラヒドロピリミジン環を有する化合物(1
−メチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、
1,2−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリ
ミジン、1,5−ジアザビシクロ〔4,3,0〕ノネン
−5等)等である。なかでも、1−エチル−2,3−ジ
メチルイミダゾール、1,2,3,4−テトラメチルイ
ミダゾールの四級化アミジニウムが好ましい。
【0018】そして、コロイダルシリカ及び(化2)で
示されるアルキルリン酸を添加する。以上の構成の電解
液は、電導度が高く、100Vの耐電圧特性を有してい
る。ここで、コロイダルシリカは分散溶媒中で分散さ
せ、コロイド溶液として添加する。そして、(化2)で
示されるアルキルリン酸のアルキル基、R1 、R2 の炭
素数は3〜8である。3未満では高温下ではアルキルリ
ン酸が加水分解して、耐電圧特性が低下し、8を越える
とインピーダンス特性が低下する。したがって、リン酸
ジエチル等、アルキル基の炭素数が3未満のアルキルリ
ン酸では、125℃での高信頼性を得ることはできな
い。
【0019】コロイダルシリカの電解液中の含有率は、
2〜12wt%、好ましくは、4〜8wt%、この範囲
未満では耐電圧が低下し、この範囲を越えるとインピー
ダンス特性が低下する。アルキルリン酸の電解液中の含
有率は、1〜10wt%、好ましくは、2〜6wt%、
この範囲未満では耐電圧が低下し、この範囲を越える
と、インピーダンス特性、耐電圧特性共に低下する。
【0020】また、リード線4、5の、少なくとも丸棒
部6の表面には、ホウ酸アンモニウム水溶液、リン酸ア
ンモニウム水溶液あるいはアジピン酸アンモニウム水溶
液等による陽極酸化処理によって形成した酸化アルミニ
ウム層を形成することができる。
【0021】以上のような電解液を含浸したコンデンサ
素子1を、有底筒状のアルミニウムよりなる外装ケース
10に収納し、外装ケース10の開口端部に、リード線
6、7を導出する貫通孔を有するブチルゴム製の封口体
9を挿入し、さらに外装ケース10の端部を加締めるこ
とにより電解コンデンサの封口を行う。
【0022】以上の本発明の電解コンデンサは、低イン
ピーダンス特性を有し、100V仕様が可能で、125
℃での耐電圧特性等の安定性、及び漏液特性が良好であ
る。
【0023】ここで、本発明において漏液特性が良好で
ある理由は以下のようであると考えられる。一般に、四
級化環状アミジニウム塩を溶解した電解液が、陰極リー
ド部より漏液するメカニズムについては次のように考え
られる。すなわち、従来の電解コンデンサにおいては、
陰極リード線5の自然浸漬電位の方が陰極電極箔3の自
然浸漬電位よりも貴な電位を示すので、無負荷で放置し
た場合、陰極リード線と陰極電極箔で局部電池が構成さ
れ、陰極リード線にカソード電流が流れることになり、
また、直流負荷状態においては、陰極リード線に陰極電
極箔よりも多くのカソード電流が流れることになる。こ
のように、負荷、無負荷、双方の場合において、陰極リ
ード線にカソード電流が流れることになり、その結果、
陰極リード線側で溶存酸素又は水素イオンの還元反応が
起こり、陰極リード線の丸棒部6と接続部7の電解液界
面部分で水酸イオンが生成する。
【0024】そして、このように水酸イオンが生成する
と、四級化環状アミジニウムは加水分解反応によって、
水酸イオンと結合し、その結果、二級アミンとなる。ま
た、水酸イオンが発生して、pH=7以上の塩基性にな
ると、溶媒であるγ−ブチロラクトンが、加水分解反応
によって、水酸イオンと結合し、γ−ヒドロキシ酪酸と
なる。このことによって、水酸イオンが減少し、塩基性
度が低下する。このように、塩基性度が低下すると、四
級化環状アミジニウムの加水分解反応によって生成され
た二級アミンが、再び四級化環状アミジニウムとなり、
この四級化環状アミジニウムには揮発性はなく、吸湿性
も高いので、陰極リード線の丸棒部と封口体の間に再生
成した四級化環状アミジニウムは、吸湿して、漏液状態
となる。以上のことは、漏液が大部分の水と四級化環状
アミジニウムから成っているという分析結果から推測さ
れる。
【0025】そして、γ−ブチロラクトンと安息香酸の
四級化アミジニウム塩による電解液においても、上述し
たような反応によって、漏液状態となる。さらに、この
電解液においては、電導度を高くするためにはpHを高
めなければならず、したがって、電解液の水酸イオン濃
度が高くなり、全体として再生成される四級化環状アミ
ジニウムの量が多くなって、漏液状態が悪化しているも
のと思われる。
【0026】しかしながら、本発明では、アルミニウム
より貴である、銅、鉄、マンガン、スズのうち一または
二以上を含む純度99.9%未満のアルミニウムからな
る陰極電極箔を用い、純度99.9%以上のアルミニウ
ムからなる丸棒部と陰極電極箔接続部を含む陰極引出し
手段を用いているため、陰極電極箔の自然電位が陰極引
出し手段の自然電位より貴にすることができる。したが
って、直流負荷時には最初に陰極電極箔に電流が流れ、
陰極電極箔上で溶存酸素又は水素イオンの還元反応が発
生するようになり、しかも、陰極電極箔はエッチングし
て拡面処理してあるために、活表面積が大きい。従っ
て、カソード電流のほとんどは、陰極電極箔に流れ、陰
極引出し手段には電流が流れないか、もしくは、陰極引
出し手段に流れる電流は従来に比べはるかに小さい。無
負荷の場合も同様に、カソード電流は陰極電極箔に流れ
るようになる。
【0027】また、通常は陰極電極箔の自然電位は経時
的に卑の方向にシフトし、分極抵抗が上昇して、陰極引
出し手段に流れる電流が大きくなるという傾向がある。
しかしながら、本願発明の、銅、鉄、マンガン、スズの
うち一または二以上を含む純度99.9%未満のアルミ
ニウムからなる陰極電極箔を用いると、理由は明らかで
はないが、経時的な陰極電極箔の自然電位の卑へのシフ
トと、分極抵抗の上昇を抑制することができることが判
明した。そのことによって、経時的にも、陰極引出し手
段に流れる電流を小さく維持することができる。
【0028】さらに、リード線4、5の、少なくとも丸
棒部6の表面に、陽極酸化によって酸化アルミニウム層
を形成することができる。これによって陰極引出し手段
の分極抵抗を大きくすることができ、この分極抵抗は経
時的に小さくなることはないので、経時的にも陰極引出
し手段に流れる電流を小さく保つことに寄与することに
なる。このように、これらの手段によって、経時的にも
陰極引出し手段に流れる電流は小さく維持され、したが
って、長時間にわたって塩基性水酸化物の生成を抑制す
ることができる。
【0029】以上のように、本願発明の構成によると陰
極引出し手段への電流の流れが抑制されるようになり、
陰極引出し手段近傍での水酸イオンが発生が抑制され
る。従って、上述のような反応による陰極引出し手段近
傍での四級化環状アミジニウムの再生成が抑制され、漏
液状態が抑制される。
【0030】さらに、無負荷放置の際に、陽極側の外部
接続部と陰極側の外部接続部が接触した場合に、リード
線4に陰極電極箔よりも貴であるアルミニウム等を用い
ると、陽極側のリード線4と陰極電極箔で局部電池を構
成して、リード線4の近傍で溶存酸素又は水素イオンの
還元反応が発生することになる。その結果、陽極側にお
いて水酸化物イオンが生成され、封口精度の悪化を引き
起こしてしまう。したがって、リード線4は、アルミニ
ウムからなる丸棒部と平板状の接続部とを含むととも
に、少なくとも丸棒部6の表面に陽極酸化によって酸化
アルミニウム層を形成することよって、陰極電極箔より
も卑な状態にすることが好ましい。
【0031】以上のような理由によって、本願発明にお
いては、γ−ブチロラクトンを溶媒とし、安息香酸の四
級化環状アミジニウム塩を溶質として用いた場合にも、
負荷、無負荷ともに、漏液が防止されているものと思わ
れる。
【0032】以上のように、本発明のγ−ブチロラクト
ンとエチレングリコールの混合溶媒に、安息香酸の四級
化環状アミジニウム塩を溶解し、コロイダルシリカとア
ルキル基の炭素数が3〜8のアルキルリン酸を添加した
電解液と、本発明の陰極電極箔と陰極引出し手段の相乗
作用によって、低インピーダンス特性を有し、100V
仕様が可能で、さらに、125℃での耐電圧特性等の安
定性、及び漏液特性が良好である電解コンデンサを実現
している。
【0033】
【実施例】次にこの発明について実施例を示して説明す
る。図1に示すように、コンデンサ素子1は陽極電極箔
2と陰極電極箔3をセパレータ11を介して巻回して形
成する。また図2に示すように陽極電極箔2、陰極電極
箔3には陽極引出し用のリード線4、陰極引出し用のリ
ード線5がそれぞれ接続されている。
【0034】これらのリード線4、5は、電極箔に当接
する接続部7とこの接続部7と一体に形成した丸棒部
6、および丸棒部6の先端に固着した外部接続部8から
なる。また、接続部7および丸棒部6は純度99.9%
以上のアルミニウム、外部接続部8ははんだメッキを施
した銅メッキ鉄鋼線からなる。このリード線4、5は、
接続部7においてそれぞれステッチや超音波溶接等の手
段により両極電極箔2、3に電気的に接続されている。
【0035】陽極電極箔2は、純度99.9%のアルミ
ニウム箔を酸性溶液中で化学的あるいは電気化学的にエ
ッチングして拡面処理した後、アジピン酸アンモニウム
の水溶液中で化成処理を行い、その表面に陽極酸化皮膜
層を形成したものを用いる。また、陰極電極箔3は、純
度99.7%のアルミニウム箔をエッチングしたものを
用いる。
【0036】(実施例1)実施例1においては、陰極電
極箔3として純度99.7%のアルミニウム箔をエッチ
ングしたもののかわりに、0.3%銅含有の純度99.
6%アルミニウム合金箔をエッチングしたものを用い
た。
【0037】(実施例2)実施例2においては、陰極電
極箔3として純度99.7%のアルミニウム箔をエッチ
ングしたもののかわりに、0.4%鉄含有の純度99.
4%アルミニウム合金箔をエッチングしたものを用い
た。
【0038】(実施例3)実施例3においては、陰極電
極箔3として純度99.7%のアルミニウム箔をエッチ
ングしたもののかわりに、0.3%銅含有の純度99.
6%アルミニウム合金箔をエッチングしたものを用い
た。また、リード線4、5の、少なくとも丸棒部6の表
面には、リン酸アンモニウム水溶液による陽極酸化処理
により酸化アルミニウム層を形成した。
【0039】(従来例)従来例においては、以上のよう
な、手段を講じなかった。
【0040】上記のように構成したコンデンサ素子1
に、電解コンデンサの駆動用の電解液を含浸する。電解
液としてはγ−ブチロラクトン(62wt%)とエチレ
ングリコール(11wt%)の混合溶媒に、溶質として
安息香酸(1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウ
ム)塩(20wt%)を溶解し、コロイダルシリカ(5
wt%)、リン酸ジオクチル(2wt%)を添加したも
のを用いた。
【0041】以上のような電解液を含浸したコンデンサ
素子1を、有底筒状のアルミニウムよりなる外装ケース
10に収納し、外装ケース10の開口部に封口体9を装
着するとともに、外装ケース10の端部に絞り加工を施
して外装ケース10を密封する。封口体9は例えばブチ
ルゴム等の弾性ゴムからなり、リード線4、5をそれぞ
れ導出する貫通孔を備えている。
【0042】以上のように構成した本発明の実施例の電
解コンデンサと、従来例1、2及び比較例1〜4の電解
コンデンサについて、初期特性、125℃、2000時
間での負荷、無負荷特性を評価した。ここで、従来例1
の電解液として、エチレングリコール(90wt%)、
安息香酸アンモニウム(10wt%)、従来例2の電解
液として、γ−ブチロラクトン(83wt%)、マレイ
ン酸(10wt%)、トリエチルアミン(7wt%)を
用いた。また、用いた陰極電極箔の仕様を以下に示す。
そして、電解コンデンサの定格は、100WV−56μ
Fである。これらの電解コンデンサの仕様と初期特性を
(表1)に、125℃、2000時間、負荷、無負荷試
験の結果を(表2)に示す。また、漏液特性を評価する
ために、100WV−4.7μF(6.3φ−11L)
の電解コンデンサ用い、漏液特性には厳しい条件である
85℃/85%、3000時間負荷、無負荷及び500
0時間負荷の条件下で漏液状態を判定した。その結果を
(表3)に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】(表1)から明らかなように、実施例にお
いては、tanδの低いコンデンサが得られている。ま
た、(表2)から明らかなように、125℃負荷、無負
荷試験後の特性は安定し、125℃での高信頼性を得て
おり、漏液も発生していないことが分かる。これに比べ
て、従来例1においては、初期のtanδは高く、従来
例2においては、125℃負荷、無負荷試験の双方にお
いて、tanδの上昇が著しい。
【0047】さらに、(表3)から明らかなように、負
荷、無負荷の両方において、合金箔を用いた実施例にお
いては、漏液は抑制され、経時的にも、従来例、比較例
に比べて効果が持続している。さらに、リード線に陽極
酸化によって酸化アルミニウム層を形成することによっ
て、その効果は向上している。以上のように、本発明に
おける電解液と陰極電極箔と陰極引出し手段の相乗作用
によって、低インピーダンス特性、100V仕様、さら
に、125℃における安定した耐電圧特性等の特性、及
び漏液特性を実現していることが分かる。
【0048】
【発明の効果】本発明は、アルミニウム電解コンデンサ
において、電解液として、γ−ブチロラクトンとエチレ
ングリコールとの混合溶媒に安息香酸の四級化環状アミ
ジニウム塩を溶解し、コロイダルシリカと(化2)で示
されるアルキルリン酸を添加してなる電解液を用い、純
度99.9%以上のアルミニウムの丸棒部と電極箔接続
部を含む陰極引出し手段を用い、陰極電極箔に、銅、
鉄、マンガン、スズのうち一または二以上を含む純度9
9.9%未満のアルミニウムを用いたものである。以上
のような、本発明の電解液と陰極電極箔と陰極引出し手
段の相乗作用によって、低インピーダンス特性、100
V仕様、さらに、125℃における耐電圧特性等の安定
性と良好な漏液特性を有する電解コンデンサを実現する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】アルミニウム電解コンデンサの構造を示す内部
断面図である。
【図2】コンデンサ素子の構造を示す分解斜視図であ
る。
【符号の説明】
1 コンデンサ素子 2 陽極電極箔 3 陰極電極箔 4 陽極引出し用のリード線 5 陰極引出し用のリード線 6 丸棒部 7 接続部 8 外部接続部 9 封口体 10 外装ケース 11 セパレータ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陽極引出し手段を備えた陽極電極箔と、
    純度99.9%以上のアルミニウムからなる丸棒部と陰
    極電極箔との接続部とを含む陰極引出し手段を備えた、
    銅、鉄、マンガン、スズのうち一または二以上をを含む
    純度99.9%未満のアルミニウムからなる陰極電極箔
    とを、セパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形
    成し、このコンデンサ素子にγ−ブチロラクトンとエチ
    レングリコールとの混合溶媒に安息香酸の四級化環状ア
    ミジニウム塩を溶解し、コロイダルシリカと(化1)で
    示されるアルキルリン酸を添加したなる電解液を含浸
    し、外装ケースに収納したアルミニウム電解コンデン
    サ。 【化1】
  2. 【請求項2】 請求項1記載の、陰極引出し手段の表面
    の一部又は全部に、陽極酸化によって形成された酸化ア
    ルミニウム層を形成したアルミニウム電解コンデンサ。
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