JP2001102264A - アルミニウム電解コンデンサ - Google Patents

アルミニウム電解コンデンサ

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JP2001102264A
JP2001102264A JP28043999A JP28043999A JP2001102264A JP 2001102264 A JP2001102264 A JP 2001102264A JP 28043999 A JP28043999 A JP 28043999A JP 28043999 A JP28043999 A JP 28043999A JP 2001102264 A JP2001102264 A JP 2001102264A
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aluminum
electrolytic capacitor
electrode foil
cathode
aluminum electrolytic
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Tatsunori Tsuji
達紀 辻
Tadashi Ozawa
正 小澤
Takayuki Sugiyama
孝之 杉山
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Nippon Chemi Con Corp
Original Assignee
Nippon Chemi Con Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低インピーダンス特性を有し、100V仕様
が可能で、さらに、125℃での高信頼性を有する電解
コンデンサを提供する。 【解決手段】 電解液としてγ−ブチロラクトンとエチ
レングリコールとの混合溶媒に安息香酸の四級化環状ア
ミジニウム塩を溶解し、コロイダルシリカと炭素数が3
〜8のアルキル基を有するアルキルリン酸とアントロ
ン、フェナジン等の縮合多環式化合物を添加してなる電
解液を用いているので、低インピーダンス特性を有し、
100V仕様が可能で、さらに、125℃での耐電圧特
性等の安定性及び、漏液特性の良好な電解コンデンサを
得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は電解コンデンサ、特に
低インピーダンス特性を有し、100V仕様が可能で、
さらに、125℃での高信頼性を有する電解コンデンサ
に関する。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム電解コンデンサは、一般的
には図1、図2に示すような構造からなる。すなわち、
図2に示すように、帯状の高純度のアルミニウム箔に、
化学的あるいは電気化学的にエッチング処理を施して、
アルミニウム箔表面を拡大させるとともに、このアルミ
ニウム箔をホウ酸アンモニウム水溶液等の化成液中にて
化成処理して表面に酸化皮膜層を形成させた陽極電極箔
2と、エッチング処理のみを施した高純度のアルミニウ
ム箔からなる陰極電極箔3とを、マニラ紙等からなるセ
パレータ11を介して巻回してコンデンサ素子1を形成
する。そして、図1に示すように、このコンデンサ素子
1はアルミニウム電解コンデンサ駆動用の電解液を含浸
した後、アルミニウム等からなる有底筒状の外装ケース
10に収納する。外装ケース10の開口部には弾性ゴム
からなる封口体9を装着し、絞り加工により外装ケース
10を密封している。
【0003】陽極電極箔2、陰極電極箔3には、図2に
示すように、それぞれ両極の電極を外部に引き出すため
の電極引出し手段であるリード線4、5がステッチ、超
音波溶接等の手段により接続されている。それぞれの電
極引出し手段であるリード線4、5は、アルミニウムか
らなる丸棒部6と、両極電極箔2、3に当接する接続部
7と、さらに丸棒部6の先端に溶接等の手段で固着され
た半田付け可能な金属からなる外部接続部8とからな
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】近年、車載、交換機の
分野での電解コンデンサの使用要求が高まっている。車
載分野では高温仕様、交換機分野では長寿命仕様であ
り、いずれも125℃での高信頼性が要求され、さら
に、この分野では、低インピーダンス特性、100V仕
様を満たさなければならない。
【0005】従来より、100V、125℃仕様の電解
液として、エチレングリコールを溶媒とし、安息香酸ア
ンモニウムを溶質とした電解液が用いられているが、こ
の種の用途としては、インピーダンスが高く、使用に耐
えない。また、従来の低インピーダンス特性を有する電
解コンデンサ用電解液としては、γ−ブチロラクトンを
溶媒とし、四級化環状アミジニウムのフタル酸塩又はマ
レイン酸塩を溶質とした電解液が用いられているが、耐
電圧が低く、100V仕様を満たすことができない。そ
こで、γ−ブチロラクトンを主溶媒として、安息香酸の
四級化環状アミジニウム塩を溶質として用い、さらに、
耐電圧向上効果が知られている、シリカ粒子やリン酸化
合物を添加することによって、100Vの耐電圧特性を
得ることができる。しかしながら、この電解液は、寿命
試験中での耐電圧の低下や、漏液の発生という問題があ
り、125℃での高信頼性を満たすことができない。特
に、四級化環状アミジニウム塩を用いた電解液におい
て、漏液が発生するという問題があるが、γ−ブチロラ
クトンを溶媒とし、安息香酸の四級化環状アミジニウム
塩を溶質とする電解液では、この漏液特性が悪化する傾
向にある。以上のように、前述の要求を満たすことので
きる電解コンデンサを得るまでには至っていないのが実
状である。
【0006】そこで、本発明はこの欠点を改善するもの
で、低インピーダンス特性を有し、100V仕様が可能
で、さらに、125℃での耐電圧特性等の安定性、良好
な漏液特性などの高信頼性特性を有する、電解コンデン
サを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明は、陽極引出し
手段を備えた陽極電極箔と、陰極引出し手段を備えた、
陰極電極箔とを、セパレータを介して巻回してコンデン
サ素子を形成し、このコンデンサ素子にγ−ブチロラク
トンとエチレングリコールとの混合溶媒に安息香酸の四
級化環状アミジニウム塩を溶解し、コロイダルシリカと
(化1)で示されるアルキルリン酸と式(A)で示され
る縮合多環式化合物又はその誘導体、又は、式(B)で
示される縮合複素環式化合物を添加してなる電解液を含
浸して外装ケースに収納したことを特徴としている。
【化4】
【化5】
【化6】
【0008】式(A)中、Xは炭素原子、酸素原子との
二重結合を有する炭素原子、酸素原子である。又、式
(B)中、Xは窒素原子、酸素原子である。
【0009】ここで、式(A)で示される縮合多環式化
合物として、アントロン、アントラキノン、キサント
ン、その誘導体としてアリザリン、2−メチルアントラ
キノン、式(B)で示される縮合複素環式化合物とし
て、フェナジン、フェノチアジンを用いることができ
る。
【0010】また、陰極電極箔として、アルミニウムよ
り貴なる金属を含有したアルミニウム箔、又は、表面の
一部又は全部に金属窒化物からなる皮膜を形成したアル
ミニウム箔を用いることができる。ここで、アルミニウ
ム箔に含有されるアルミニウムより貴なる金属として、
銅、鉄、マンガンを、アルミニウム箔の表面の一部又は
全部に皮膜として形成する金属窒化物として、窒化チタ
ン、窒化ジルコニウム、窒化タンタル、窒化ニオブを例
示することができる。
【0011】さらに、陰極引出し手段の表面の一部又は
全部に陽極酸化によって形成した酸化アルミニウム層を
形成することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】アルミニウム電解コンデンサの構
造は図1、図2に示すように、従来と同じ構造をとって
いる。コンデンサ素子1は陽極電極箔2と陰極電極箔3
をセパレータ11を介して巻回して形成する。また図2
に示すように陽極電極箔2、陰極電極箔3には陽極引出
し用のリード線4、陰極引出し用のリード線5がそれぞ
れ接続されている。これらのリード線4、5は、電極箔
に当接する接続部7とこの接続部7と一体に形成した丸
棒部6、および丸棒部6の先端に固着した外部接続部8
からなる。また、接続部7および丸棒部6は高純度のア
ルミニウム、外部接続部8ははんだメッキを施した銅メ
ッキ鉄鋼線からなる。このリード線4、5は、接続部7
においてそれぞれステッチや超音波溶接等の手段により
両極電極箔2、3に電気的に接続されている。
【0013】陽極電極箔2は、純度99%以上のアルミ
ニウム箔を酸性溶液中で化学的あるいは電気化学的にエ
ッチングして拡面処理した後、ホウ酸アンモニウム、リ
ン酸アンモニウムあるいはアジピン酸アンモニウム等の
水溶液中で化成処理を行い、その表面に陽極酸化皮膜層
を形成したものを用いる。
【0014】上記のように構成したコンデンサ素子1
に、電解コンデンサの駆動用の電解液を含浸する。電解
液として、γ−ブチロラクトンとエチレングリコールの
混合溶媒を用い、安息香酸の四級化環状アミジニウム塩
を溶解し、コロイダルシリカと(化4)で示されるアル
キルリン酸を添加した電解液を用いる。
【0015】γ−ブチロラクトンを溶媒として用いる低
インピーダンス用電解液としては高圧である100V仕
様を得るために、エチレングリコールを副溶媒として用
い、電解液の化成性を向上させる。混合溶媒中のエチレ
ングリコールの含有率は、5〜30wt%、好ましく
は、10〜20wt%、この範囲未満では電解コンデン
サの漏れ電流特性が低下し、この範囲越えるとインピー
ダンス特性が低下する。
【0016】この混合溶媒に、安息香酸の四級化環状ア
ミジニウム塩を溶質として溶解する。安息香酸の四級化
環状アミジニウム塩の電解液中の含有率は、5〜30w
t%、好ましくは10〜20wt%、この範囲未満では
インピーダンス特性が低下し、この範囲を越えると耐電
圧特性が低下する。
【0017】また、カチオン成分となる四級化環状アミ
ジニウムイオンは、N,N,N’−置換アミジン基をも
つ環状化合物を四級化したカチオンであり、N,N,
N’−置換アミジン基をもつ環状化合物としては、以下
の化合物が挙げられる。イミダゾール単環化合物(1−
メチルイミダゾール、1−フェニルイミダゾール、1,
2−ジメチルイミダゾール、1−エチル−2−メチルイ
ミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1,2,
4−トリメチルイミダゾール、1−エチル−2,3−ジ
メチルイミダゾール、1,2,3,4−テトラメチルイ
ミダゾール等のイミダゾール同族体、、1−メチル−2
−オキシメチルイミダゾール、1−メチル−2−オキシ
エチルイミダゾール等のオキシアルキル誘導体、1−メ
チル−4(5)−ニトロイミダゾール等のニトロ誘導
体、1,2−ジメチル−5(4)−アミノイミダゾール
等のアミノ誘導体等)、ベンゾイミダゾール化合物(1
−メチルベンゾイミダゾール、1−メチル−2−ベンゾ
イミダゾール、1−メチル−5(6)−ニトロベンゾイ
ミダゾール等)、2−イミダゾリン環を有する化合物
(1−メチルイミダゾリン、1,2−ジメチルイミダゾ
リン、1,2,4−トリメチルイミダゾリン、1−メチ
ル−2−フェニルイミダゾリン、1−エチル−2−メチ
ル−イミダゾリン、1,4−ジメチル−2−エチルイミ
ダゾリン、1−メチル−2−エトキシメチルイミダゾリ
ン等)、テトラヒドロピリミジン環を有する化合物(1
−メチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、
1,2−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリ
ミジン、1,5−ジアザビシクロ〔4,3,0〕ノネン
−5等)等である。なかでも、1−エチル−2,3−ジ
メチルイミダゾール、1,2,3,4−テトラメチルイ
ミダゾールの四級化アミジニウムが好ましい。
【0018】そして、コロイダルシリカ及び(化4)で
示されるアルキルリン酸を添加する。以上の構成の電解
液は、電導度が高く、100Vの耐電圧特性を有してい
る。ここで、コロイダルシリカは分散溶媒中で分散さ
せ、コロイド溶液として添加する。そして、(化4)で
示されるアルキルリン酸のアルキル基、R1 、R2 の炭
素数は3〜8である。3未満では高温下ではアルキルリ
ン酸が加水分解して、耐電圧特性が低下し、8を越える
とインピーダンス特性が低下する。したがって、リン酸
ジエチル等、アルキル基の炭素数が3未満のアルキルリ
ン酸では、125℃での高信頼性を得ることはできな
い。
【0019】コロイダルシリカの電解液中の含有率は、
2〜12wt%、好ましくは、4〜8wt%、この範囲
未満では耐電圧が低下し、この範囲を越えるとインピー
ダンス特性が低下する。アルキルリン酸の電解液中の含
有率は、1〜10wt%、好ましくは、2〜6wt%、
この範囲未満では耐電圧が低下し、この範囲を越える
と、インピーダンス特性、耐電圧特性共に低下する。
【0020】そして、前記式(A)に示した縮合多環式
化合物又はその誘導体、又は、前記式(B)に示した縮
合複素環式化合物を添加する。
【0021】式(A)の縮合多環式化合物としては、ア
ントロン、アントラキノン、キサントン、チオキサント
ンが挙げられる。また、その誘導体としては、アントロ
ンの誘導体であるアントラロビン、クリサロビン、オキ
サントロン、アントラキノンの誘導体であるアリザリ
ン、2─メチルアントラキノン、ヒドロキシアントラキ
ノン、クリソファ酸、キサントンの誘導体であるオイキ
サントン、ゲンチシン、チオキサントンの誘導体である
10−オキシドチオキサントンなどを挙げることができ
る。
【0022】これらのうち特に好ましいのは、アントロ
ン、アントラキノン、キサントン、アリザリン、2−メ
チルアントラキノン、である。
【0023】また、式(B)の縮合複素環式化合物とし
ては、フェナジン、フェノキサジン、フェノチアジンが
挙げられる。
【0024】これらのうち特に好ましいのは、フェナジ
ン、フェノチアジンである。
【0025】更に、本発明においては、陰極電極箔3と
して、アルミニウムより貴なる金属である銅、鉄、マン
ガン等を含有したアルミニウム箔を用いることができ
る。このアルミニウム箔は、銅、鉄、マンガン等のアル
ミニウムより貴なる金属を含有していればよく、形態と
しては様々なものが挙げられる。例えば、これらの金属
とアルミニウムの合金箔、メッキや蒸着法等によって表
面にこれらの金属を付着したアルミニウム箔などであ
る。また、この陰極電極箔3として、表面に窒化ジルコ
ニウム、窒化タンタル、窒化ニオブ等の金属窒化物を蒸
着法、メッキ法、塗布など従来より知られている方法に
より被覆することができる。ここで、被覆する部分は陰
極電極箔3の全面に被覆してもよいし、必要に応じて陰
極電極箔3の一部、例えば陰極電極箔3の一面のみに金
属窒化物を被覆してもよい。
【0026】また、リード線4、5の、少なくとも丸棒
部6の表面には、ホウ酸アンモニウム水溶液、リン酸ア
ンモニウム水溶液あるいはアジピン酸アンモニウム水溶
液等による陽極酸化処理によって形成した酸化アルミニ
ウム層が形成されている。
【0027】以上のような電解液を含浸したコンデンサ
素子1を、有底筒状のアルミニウムよりなる外装ケース
10に収納し、外装ケース10の開口部に封口体9を装
着するとともに、外装ケース10の端部に絞り加工を施
して外装ケース10を密封する。封口体9は例えばブチ
ルゴム等の弾性ゴムからなり、リード線4、5をそれぞ
れ導出する貫通孔を備えている。
【0028】以上の本発明の電解コンデンサは、低イン
ピーダンス特性を有し、100V仕様が可能で、125
℃での耐電圧特性等の安定性、漏液特性が良好である。
【0029】ここで、本発明において漏液特性が良好で
ある理由は以下のようであると考えられる。一般に、四
級化環状アミジニウム塩を溶解した電解液が、陰極リー
ド部より漏液するメカニズムについては次のように考え
られる。すなわち、従来の電解コンデンサにおいては、
陰極リード線5の自然浸漬電位の方が陰極電極箔3の自
然浸漬電位よりも貴な電位を示すので、無負荷で放置し
た場合、陰極リード線と陰極電極箔で局部電池が構成さ
れ、陰極リード線にカソード電流が流れることになり、
また、直流負荷状態においては、陰極リード線に陰極電
極箔よりも多くのカソード電流が流れることになる。こ
のように、負荷、無負荷、双方の場合において、陰極リ
ード線にカソード電流が流れることになり、その結果、
陰極リード線側で溶存酸素又は水素イオンの還元反応が
起こり、陰極リード線の丸棒部6と接続部7の電解液界
面部分で水酸イオンが生成する。
【0030】そして、このように水酸イオンが生成する
と、四級化環状アミジニウムは加水分解反応によって、
水酸イオンと結合し、その結果、二級アミンとなる。ま
た、水酸イオンが発生して、pH=7以上の塩基性にな
ると、溶媒であるγ−ブチロラクトンが、加水分解反応
によって、水酸イオンと結合し、γ−ヒドロキシ酪酸と
なる。このことによって、水酸イオンが減少し、塩基性
度が低下する。このように、塩基性度が低下すると、四
級化環状アミジニウムの加水分解反応によって生成され
た二級アミンが、再び四級化環状アミジニウムとなり、
この四級化環状アミジニウムには揮発性はなく、吸湿性
も高いので、陰極リード線の丸棒部と封口体の間に再生
成した四級化環状アミジニウムは、吸湿して、漏液状態
となる。以上のことは、漏液が大部分の水と四級化環状
アミジニウムから成っているという分析結果から推測さ
れる。
【0031】そして、γ−ブチロラクトンと安息香酸の
四級化アミジニウム塩による電解液においても、上述し
たような反応によって、漏液状態となる。さらに、この
電解液においては、電導度を高くするためにはpHを高
めなければならず、したがって、電解液の水酸イオン濃
度が高くなり、全体として再生成される四級化環状アミ
ジニウムの量が多くなって、漏液状態が悪化しているも
のと思われる。
【0032】しかしながら、本発明では、前記式(A)
の縮合多環式化合物又はその誘導体、又は、前記式
(B)の縮合複素環式化合物又はその誘導体を含有して
いるため、陰極電極箔の自然電位を陰極引出し手段の自
然電位より貴にすることができる。したがって、直流負
荷時には最初に陰極電極箔に電流が流れ、陰極電極箔上
で溶存酸素又は水素イオンの還元反応が発生するように
なり、しかも、陰極電極箔はエッチングして拡面処理し
てあるために、活表面積が大きい。従って、カソード電
流のほとんどは、陰極電極箔に流れ、陰極引出し手段に
は電流が流れないか、もしくは、陰極引出し手段に流れ
る電流は従来に比べはるかに小さい。無負荷の場合も同
様に、カソード電流は陰極電極箔に流れるようになる。
【0033】また、通常は陰極電極箔の自然電位は経時
的に卑の方向にシフトし、分極抵抗が上昇して、陰極引
出し手段に流れる電流が大きくなり、漏液特性が悪化す
るという傾向がある。しかしながら、本願発明において
は、陰極電極箔としてアルミニウムより貴なる金属を含
有するアルミニウム箔や、表面に金属窒化物を被覆した
アルミニウム箔を用いることができる。そのことによっ
て、初期状態での陰極電極箔の自然電位を陰極引出し手
段の自然電位よりさらに貴にすることができる。加え
て、本発明に用いる縮合多環式化合物の作用と相まっ
て、経時的な陰極電極箔の自然電位の卑へのシフトと、
分極抵抗の上昇を抑制することができる。そのことによ
って、経時的にも、陰極引出し手段に流れる電流を小さ
く維持することができる。
【0034】さらに、リード線4、5の、少なくとも丸
棒部6の表面に、陽極酸化によって酸化アルミニウム層
を形成することができる。これによって陰極引出し手段
の分極抵抗を大きくすることができ、この分極抵抗は経
時的に小さくなることはないので、経時的にも陰極引出
し手段に流れる電流を小さく保つことに寄与することに
なる。このように、これらの手段によって、経時的にも
陰極引出し手段に流れる電流は小さく維持され、したが
って、長時間にわたって塩基性水酸化物の生成を抑制す
ることができる。
【0035】以上のように、本願発明の構成によると陰
極引出し手段への電流の流れが抑制されるようになり、
陰極引出し手段近傍での水酸イオンが発生が抑制され
る。従って、上述のような反応による陰極引出し手段近
傍での四級化環状アミジニウムの再生成が抑制され、漏
液状態が抑制される。
【0036】さらに、無負荷放置の際に、陽極側の外部
接続部と陰極側の外部接続部が接触した場合に、リード
線4に陰極電極箔よりも貴であるアルミニウム等を用い
ると、陽極側のリード線4と陰極電極箔で局部電池を構
成して、リード線4の近傍で溶存酸素又は水素イオンの
還元反応が発生することになる。その結果、陽極側にお
いて水酸化物イオンが生成され、封口精度の悪化を引き
起こしてしまう。したがって、リード線4は、アルミニ
ウムからなる丸棒部と平板状の接続部とを含むととも
に、少なくとも丸棒部6の表面に陽極酸化によって酸化
アルミニウム層を形成することよって、陰極電極箔より
も卑な状態にすることが好ましい。
【0037】以上のような理由によって、本願発明にお
いては、γ−ブチロラクトンを溶媒とし、安息香酸の四
級化環状アミジニウム塩を溶質として用いた場合にも、
負荷、無負荷ともに、漏液が防止されているものと思わ
れる。
【0038】以上のように、本発明のγ−ブチロラクト
ンとエチレングリコールの混合溶媒に、安息香酸の四級
化環状アミジニウム塩を溶解し、コロイダルシリカとア
ルキル基の炭素数が3〜8のアルキルリン酸を添加した
電解液と、本発明の縮合多環式化合物又はその誘電体と
の相乗作用によって、低インピーダンス特性を有し、1
00V仕様が可能で、さらに、125℃での耐電圧特性
の安定性、漏液特性が良好である電解コンデンサを実現
している。
【0039】
【実施例】次にこの発明について実施例を示して説明す
る。図1に示すように、コンデンサ素子1は陽極電極箔
2と陰極電極箔3をセパレータ11を介して巻回して形
成する。また図2に示すように陽極電極箔2、陰極電極
箔3には陽極引出し用のリード線4、陰極引出し用のリ
ード線5がそれぞれ接続されている。
【0040】これらのリード線4、5は、電極箔に当接
する接続部7とこの接続部7と一体に形成した丸棒部
6、および丸棒部6の先端に固着した外部接続部8から
なる。また、接続部7および丸棒部6は99%のアルミ
ニウム、外部接続部8ははんだメッキを施した銅メッキ
鉄鋼線からなる。このリード線4、5は、接続部7にお
いてそれぞれステッチや超音波溶接等の手段により両極
電極箔2、3に電気的に接続されている。
【0041】陽極電極箔2は、純度99.9%のアルミ
ニウム箔を酸性溶液中で化学的あるいは電気化学的にエ
ッチングして拡面処理した後、アジピン酸アンモニウム
の水溶液中で化成処理を行い、その表面に陽極酸化皮膜
層を形成したものを用いる。また、陰極電極箔3は、純
度99.7%のアルミニウム箔をエッチングしたものを
用いる。
【0042】上記のように構成したコンデンサ素子1
に、電解コンデンサの駆動用の電解液を含浸する。電解
液としてはγ−ブチロラクトン(62wt%)とエチレ
ングリコール(11wt%)の混合溶媒に、溶質として
安息香酸(1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウ
ム)塩(20wt%)を溶解し、コロイダルシリカ(5
wt%)、リン酸ジオクチル(2wt%)を添加したも
のを用いた。
【0043】以上のような電解液を含浸したコンデンサ
素子1を、有底筒状のアルミニウムよりなる外装ケース
10に収納し、外装ケース10の開口部に封口体9を装
着するとともに、外装ケース10の端部に絞り加工を施
して外装ケース10を密封する。封口体9は例えばブチ
ルゴム等の弾性ゴムからなり、リード線4、5をそれぞ
れ導出する貫通孔を備えている。
【0044】(実施例1)実施例1においては、上記の
電解液100部に対して2−メチルアントラキノンを1
部添加した。
【0045】(実施例2)実施例2においては、上記の
電解液100部に対してフェナジンを1部添加した。さ
らに、リード線4、5の、少なくとも丸棒部6の表面に
は、リン酸アンモニウム水溶液による陽極酸化処理によ
り酸化アルミニウム層を形成した。
【0046】(実施例3)実施例3においては、上記の
電解液100部に対して2−メチルアントラキノンを1
部添加した。さらに、陰極電極箔3の表面の全部に窒化
チタンを蒸着法により被覆した。また、リード線4、5
の、少なくとも丸棒部6の表面には、リン酸アンモニウ
ム水溶液による陽極酸化処理により酸化アルミニウム層
を形成した。
【0047】(実施例4)実施例4においては、上記の
電解液100部に対してフェナジンを1部添加した。さ
らに、陰極電極箔3として純度99.7%のアルミニウ
ム箔をエッチングしたもののかわりに、0.3%銅含有
の99.6%アルミニウム合金箔をエッチングしたもの
を用いた。また、リード線4、5の、少なくとも丸棒部
6の表面には、リン酸アンモニウム水溶液による陽極酸
化処理により酸化アルミニウム層を形成した。
【0048】以上のように構成した本発明の実施例の電
解コンデンサと、従来例1、2及び比較例の電解コンデ
ンサについて、初期特性、125℃、1000時間での
負荷、無負荷特性を評価した。ここで、従来例1の電解
液として、エチレングリコール(90wt%)、安息香
酸アンモニウム(10wt%)、従来例2の電解液とし
て、γ−ブチロラクトン(83wt%)、マレイン酸
(10wt%)、トリエチルアミン(7wt%)を用い
た。また、従来例、比較例の陰極電極箔には、アルミニ
ウムが99.9%の純度のアルミニウム箔を用い、リー
ド線には化成処理を施さなかった。そして、電解コンデ
ンサの定格は、100WV−56μFである。これらの
電解コンデンサの仕様と初期特性を(表1)に、125
℃負荷、無負荷試験の結果を(表2)に示す。また、漏
液特性を評価するために、100WV−4.7μF
(6.3φ−11L)の電解コンデンサを用い、漏液評
価試験としては厳しい条件である85℃/85%、30
00時間負荷、無負荷及び5000時間負荷の条件下で
漏液状態を判定した。その結果を(表3)に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】
【0052】(表1)から明らかなように、実施例にお
いては、tanδの低いコンデンサが得られている。ま
た、(表2)から明らかなように、125℃負荷、無負
荷試験後の特性は安定しており、125℃での高信頼性
を得ていることが分かる。これに比べて、従来例1にお
いては、初期のtanδは高く、従来例2においては、
125℃負荷、無負荷試験の双方において、tanδの
上昇が著しい。
【0053】さらに、(表3)から明らかなように、負
荷、無負荷の両方において、実施例においては、漏液は
抑制され、経時的にも、比較例に比べて効果が持続して
いる。さらに、アルミニウムより貴なる陰極電極箔を用
いること、及びリード線に陽極酸化によって酸化アルミ
ニウム層を形成することによって、その効果は向上して
いる。
【0054】
【発明の効果】本発明は、アルミニウム電解コンデンサ
において、電解液として、γ−ブチロラクトンとエチレ
ングリコールとの混合溶媒に安息香酸の四級化環状アミ
ジニウム塩を溶解し、コロイダルシリカと(化4)で示
されるアルキルリン酸と式(A)の縮合多環式化合物又
はその誘導体、又は、式(B)の縮合複素環式化合物を
添加してなる電解液を用いたものである。以上の電解コ
ンデンサは、低インピーダンス特性、100V仕様、さ
らに、125℃における耐電圧特性等の安定性と良好な
漏液特性を実現している。そして、陰極電極箔として、
アルミニウムより貴なる金属を含有するアルミニウム箔
を用いるか、又は、表面の一部又は全部に金属窒化物か
らなる皮膜を形成したアルミニウム箔を用いること、さ
らには、陰極引出し手段の表面の一部又は全部に、陽極
酸化によって形成された酸化アルミニウム層を形成する
ことによって、漏液特性は向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】アルミニウム電解コンデンサの構造を示す内部
断面図である。
【図2】コンデンサ素子の構造を示す分解斜視図であ
る。
【符号の説明】 1 コンデンサ素子 2 陽極電極箔 3 陰極電極箔 4 陽極引出し用のリード線 5 陰極引出し用のリード線 6 丸棒部 7 接続部 8 外部接続部 9 封口体 10 外装ケース 11 セパレータ

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陽極引出し手段を備えた陽極電極箔と、
    陰極引出し手段を備えた陰極電極箔とを、セパレータを
    介して巻回してコンデンサ素子を形成し、このコンデン
    サ素子に電解液を含浸してなるアルミニウム電解コンデ
    ンサにおいて、γ−ブチロラクトンとエチレングリコー
    ルとの混合溶媒に安息香酸の四級化環状アミジニウム塩
    を溶解し、コロイダルシリカと(化1)で示されるアル
    キルリン酸と(化2)で表される縮合多環式化合物又は
    その誘導体を添加した電解液を用いたアルミニウム電解
    コンデンサ。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の縮合多環式化合物が、ア
    ントロン、アントラキノン、キサントンであり、その誘
    導体がアリザリン、2−メチルアントラキノンであるア
    ルミニウム電解コンデンサ。
  3. 【請求項3】 陽極引出し手段を備えた陽極電極箔と、
    陰極引出し手段を備えた陰極電極箔とを、セパレータを
    介して巻回してコンデンサ素子を形成し、このコンデン
    サ素子に電解液を含浸してなるアルミニウム電解コンデ
    ンサにおいて、γ−ブチロラクトンとエチレングリコー
    ルとの混合溶媒に安息香酸の四級化環状アミジニウム塩
    を溶解し、コロイダルシリカと(化1)で示されるアル
    キルリン酸と(化3)で表される縮合多環式化合物又は
    その誘導体を添加した電解液を用いたアルミニウム電解
    コンデンサ。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の縮合複素環式化合物が、
    フェナジン、フェノチアジンであるアルミニウム電解コ
    ンデンサ。
  5. 【請求項5】 請求項1又は請求項3記載の陰極電極箔
    が、アルミニウムより貴なる金属を含有したアルミニウ
    ム箔であるアルミニウム電解コンデンサ。
  6. 【請求項6】 請求項5記載のアルミニウムより貴なる
    金属が、銅、鉄、マンガンであるアルミニウム電解コン
    デンサ。
  7. 【請求項7】 請求項1又は請求項3記載の陰極電極箔
    が、表面の一部又は全部に金属窒化物からなる皮膜を形
    成したアルミニウム箔であるアルミニウム電解コンデン
    サ。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の金属窒化物が、窒化チタ
    ン、窒化ジルコニウム、窒化タンタル、窒化ニオブであ
    るアルミニウム電解コンデンサ。
  9. 【請求項9】 請求項1又は請求項3記載の、陰極引出
    し手段の表面の一部又は全部に、陽極酸化によって形成
    された酸化アルミニウム層を形成したアルミニウム電解
    コンデンサ。 【化1】 【化2】 (式中のXは、炭素原子、酸素原子との二重結合を有す
    る炭素原子、酸素原子、又は硫黄原子である。) 【化3】 (式中のXは、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子であ
    る。)
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100551003B1 (ko) * 2003-08-21 2006-02-13 삼성에스디아이 주식회사 리튬 이차 전지용 전해액 및 이를 포함하는 리튬 이차 전지
CN106654332A (zh) * 2015-11-04 2017-05-10 天津大学 一种有机相电解液及其在液流电池负极中的应用
CN113381070A (zh) * 2021-05-27 2021-09-10 南京大学 一种用于稳定锂金属电池的复合电解液

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