JP2001196268A - 電解コンデンサ - Google Patents

電解コンデンサ

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JP2001196268A
JP2001196268A JP2000001152A JP2000001152A JP2001196268A JP 2001196268 A JP2001196268 A JP 2001196268A JP 2000001152 A JP2000001152 A JP 2000001152A JP 2000001152 A JP2000001152 A JP 2000001152A JP 2001196268 A JP2001196268 A JP 2001196268A
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electrolytic
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electrolytic capacitor
capacitor
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JP2000001152A
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Toshitaka Yoshioka
利恭 吉岡
Takahito Ito
隆人 伊藤
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Nippon Chemi Con Corp
Original Assignee
Nippon Chemi Con Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高耐電圧特性を有し、さらに、異常電圧特性
の良好な大型の電解コンデンサを提供する。 【解決手段】 セパレータを介して陽極箔と陰極箔を巻
回し、電解液を含浸させてなるコンデンサ素子を、径が
30mm以上の有底筒状の金属ケースに収納してなり、
前記セパレータとして密度が0.6〜0.9g/cm3
の高密度紙を含む電解紙にポリビニルアルコールを付着
したものを用い、かつ前記電解液がほう酸を含んでいる
ので、耐電圧特性が高く、異常電圧特性も良好であり、
したがって、異常電圧が印加された場合に、ショートの
衝撃や電解液の漏洩によって電解コンデンサが搭載され
た回路基板そのものが使用不能になるということを防止
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電解コンデンサに
関し、特に異常電圧特性に優れた大型の電解コンデンサ
に関する。
【0002】
【従来の技術】電解コンデンサは、小型、大容量、安価
で整流出力の平滑化などに優れた特性を示し、各種電
気、電子機器の重要な構成要素の一つである。
【0003】一般に、電解コンデンサは、アルミニウ
ム、タンタルなどのいわゆる弁金属の酸化皮膜を誘電体
層として形成したものを陽極側電極として使用する。そ
して、この陽極側電極に対向させて陰極側電極を配置
し、陽極側電極と陰極側電極間にセパレータを介在さ
せ、このセパレータに電解液を保持させている。
【0004】陽極側電極となる化成箔は、高純度の弁金
属からなる箔を表面積拡大のためにエッチング処理した
後、化成液中で電圧印加して酸化皮膜を形成することに
よって作成される。この化成処理時の印加電圧によって
誘電体である酸化皮膜の耐電圧が決定される。また、陰
極側電極となる陰極箔は、エッチング処理を施した高純
度の箔からなる。
【0005】そして、セパレータは、陽極箔と陰極箔が
ショートするのを防止し、併せてこの電解液を保持する
ものであり、クラフト紙、マニラ紙等の、薄く、低密度
の紙が用いられている。
【0006】そして、電極引出し手段としてのリードを
接合した陽極箔と陰極箔をセパレータを介して重ね合わ
せ、巻回してコンデンサ素子を作成し、このコンデンサ
素子に電解液を含浸し、金属ケースに入れて封口し、再
化成して、電解コンデンサが形成される。
【0007】電解コンデンサ用電解液は、前述のように
誘電体層に直接に接触し、真の陰極として作用する。即
ち、電解液は電解コンデンサの誘電体と集電陰極との間
に介在して、電解液の抵抗分が電解コンデンサに直列に
挿入されていることになる。したがって、電解液の電導
度は電解コンデンサの誘電損失の大きさに影響する。ま
た、電解液中で電極に用いる金属の箔に電圧を印加した
際にショートする電圧を電解液の火花電圧といい、電解
液の酸化皮膜形成性をあらわす。
【0008】そして、従来では、中高圧用の電解液とし
て、火花電圧が比較的高く得られることから、セバシン
酸、やアゼライン酸等の有機ジカルボン酸が用いられる
こともあるが、高圧用としては、火花電圧が十分ではな
かった。そこで、このような欠点を解決するために、従
来から知られている無機酸、すなわち、ほう酸を使用
し、マンニット等を添加して、高耐圧、高電導度を図っ
た電解液が用いられている。さらに、有機酸では、ブチ
ルオクタン二酸(特公昭60−13296号公報)を溶
質として用いる例や5,6−デカンジカルボン酸(特公
昭63−15738号公報)を溶質として用いた例、さ
らに、最近では、1,7−オクタンジカルボン酸(特開
平2−224217)を用いた例がある。これらの電解
液では、火花電圧および電導度が高く、しかも高温保存
中のエステル化が非常に遅く水の生成が少ないので高温
での安定性を得ることができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年、
スイッチング電源を使用した電子機器が一般家庭で汎用
されるようになり、電解コンデンサの安全性に対する幅
広い要求が、高まってきている。すなわち、スイッチン
グ電源の入力側に使われる電解コンデンサには、供給電
力の不安定さによって異常電圧が印加される場合があ
る。その際に、電解コンデンサの耐電圧が低いために、
漏れ電流が大きくなって、ガスが発生し、安全弁が作動
することがある。さらに、コンデンサ素子の耐電圧の低
い部分がショートし、急激な電流が流れることになり、
その衝撃によって、金属ケースの安全弁が作動したり、
金属ケースそのものが破壊したりすることがある。この
ようなことになると、金属ケースの径が30mm以上の
大型の電解コンデンサにおいては、ショートの衝撃が大
きく、電解液が電解コンデンサを搭載した回路基板に多
量に漏洩する。これらによって、回路基板全体に損傷を
与え、基板そのものが使用不能になるということがあっ
た。そこで、このような事態を防止するために、大型の
電解コンデンサにおいて、高耐電圧特性を有し、さら
に、異常電圧特性の良好な電解コンデンサが望まれてい
た。
【0010】本発明は、高耐電圧特性を有し、さらに、
異常電圧印加によってショートしても電解液が漏洩する
ことのない、異常電圧特性の良好な大型の電解コンデン
サを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の電解コンデンサ
は、セパレータを介して陽極リードが接続された陽極箔
と陰極箔を巻回し、電解液を含浸させてなるコンデンサ
素子を、有底筒状の金属ケースに収納してなり、前記セ
パレータとして密度が0.6〜0.9g/cm 3 の高密
度紙を含む電解紙にポリビニルアルコールを付着したも
のを用い、かつ前記電解液がほう酸を含み、さらに、前
記有底筒状の金属ケースの径が30mm以上であること
を特徴とする。
【0012】また、セパレータを介して陽極リードが接
続された陽極箔と陰極箔を巻回し、電解液を含浸させて
なるコンデンサ素子を、有底筒状の金属ケースに収納し
てなり、前記セパレータとして密度が0.6〜0.9g
/cm3 の高密度紙と密度が0.6g/cm3 未満の低
密度紙からなる電解紙の低密度紙側にポリビニルアルコ
ールを付着したものを用い、かつ前記電解液がほう酸を
含み、さらに、前記有底筒状の金属ケースの径が30m
m以上であることを特徴とする。
【0013】さらに、陽極箔の表面に形成されたピット
の径が0.1μm以上であることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の電解コンデンサに用いる
セパレータには、密度が0.6〜0.9g/cm3 の高
密度紙を含む電解紙にポリビニルアルコール(PVA)
を付着している。密度が0.6〜0.9g/cm3 の高
密度紙を含む電解紙とは、高密度紙単独でも良く、高密
度紙と密度が0.6g/cm3 未満の低密度紙で形成さ
れた電解紙、いわゆる、二重紙でもよい。
【0015】PVAを付着する方法は、PVA溶液を電
解紙に塗布し、乾燥して付着させる方法(塗工)が好適
である。そして、PVA溶液を電解紙に塗布する方法と
しては、コンマリバース方式の塗工機(コーティング
機)等を用いて、電解コンデンサ用電解紙にPVA溶液
を塗布し、乾燥する。PVA溶液は塗布後、電解紙に浸
透し、乾燥後にはPVAが電解紙の繊維に付着したり、
繊維間に存在した状態になる。この他、PVA溶液を散
布する方法等、電解紙の表面にPVAを付着する方法を
用いることができる。そして、このセパレータを介して
電極箔を巻回した時に、PVAを付着した面が陽極箔に
接する状態でもよいし、陰極箔に接する状態でもよい。
【0016】ここで、電極箔のバリによるショート等を
防止するために、電極箔の間隔をある程度とる必要があ
るが、この間隔はセパレータの厚みによって決められる
ことになる。ここで、このセパレータとして高密度紙の
みを用いると、電解コンデンサのtanδの低減を図る
ことが難しい。そこで、高密度紙と低密度紙からなる電
解紙(二重紙)を用いることによって、tanδの低減
を図ることができるので、二重紙の方が好適である。こ
の二重紙は、抄紙工程で高密度紙と低密度紙を貼り合わ
せる方法、抄紙後に両者を貼り合わせたり、重ね合わせ
て用いる方法によって、形成することができる。そし
て、PVAを付着するのは、低密度紙、高密度紙、いず
れの表面にでもよい。ただし、ここで、高密度紙に比べ
て、低密度紙の方がPVA溶液の塗工性が良いので、低
密度紙側にPVA溶液を塗工して、PVAを付着する方
が好適である。
【0017】電解紙には、不織布、マニラ紙、クラフト
紙、セルロース紙等が使用され、また、ガラス、合成高
分子の繊維を用いた電解紙や、これらの混抄紙を使用す
ることもできる。電解紙の厚みは、20〜150μmで
あり、好ましくは20〜80μmである。この範囲未満
では、強度が不十分であり、この範囲を越えると、ta
nδが大きくなる。
【0018】電解紙にPVAを付着させる際に用いるP
VAは、市販のPVAを用いることができ、重合度は、
200〜3500、好ましくは200〜1700のもの
を用いることができる。けん化度については、70mo
l%の部分けん化したものから、99.5mol%以上
の完全けん化したものを用いることができるが、90%
以上のものが好ましい。
【0019】また、陽極箔は以下のように作成したもの
を用いる。電解コンデンサ用の金属箔を酸性溶液中で、
通電処理して、金属箔の表面にピットを生成させ、その
後に、高温の酸性溶液中での化学溶解によってピットの
径を拡大させて表面積を拡大するエッチングを行う。次
いで、このエッチング箔を前処理し、ほう酸、りん酸等
の酸あるいはこれらの塩の水溶液中で、所定の電圧にい
たるまで電圧を印加し、所定の電圧に達してからはこの
電圧を一定時間保持し、その後に減極処理を行い、再度
電圧を印加して、金属箔に誘電体酸化皮膜を形成する。
この際には、エッチングによって拡大された金属箔の表
面に酸化皮膜が形成されるので、ピット内部にも酸化皮
膜が形成される。したがって、酸化皮膜形成後の陽極箔
のピットの径は、エッチング後の金属箔のピットの径よ
りも小さくなる。本発明においては、この陽極箔の酸化
皮膜が形成された後のピットの径が、0.1μm以上の
ものが好ましい。
【0020】本発明に用いる陰極箔は通常の電解コンデ
ンサに使用するアルミニウム等の金属箔であればよい。
【0021】そして、以上のセパレータ、陽極箔、陰極
箔を用い、セパレータを陽極箔、陰極箔の間に挟んで巻
回し、コンデンサ素子を作成する。次いで、このコンデ
ンサ素子に電解液を含浸させ、径が30mm以上の有底
筒状の金属ケースに収納し、、封口体でシールする。
【0022】本発明の電解液はほう酸を含有してなるも
のであるが、溶質、溶媒は、従来のものを用いることが
できる。
【0023】溶媒としては、プロトン性の有機極性溶媒
として、一価アルコール類(エタノール、プロパノー
ル、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロ
ブタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノー
ル、ベンジルアルコール等)、多価アルコール類および
オキシアルコール化合物類(エチレングリコール、プロ
ピレングリコール、グリセリン、メチルセロソルブ、エ
チルセロソルブ、メトキシプロピレングリコール、ジメ
トキシプロパノール等)などが挙げられる。また、非プ
ロトン性の有機極性溶媒としては、アミド系(N−メチ
ルホルムアミド、N,N─ジメチルホルムアミド、N─
エチルホルムアミド、N,N─ジエチルホルムアミド、
N─メチルアセトアミド、N,N─ジメチルアセトアミ
ド、N─エチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセト
アミド、ヘキサメチルホスホリックアミド等)、ラクト
ン類(γ─ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−
バレロラクトン等)、環状アミド系(N─メチル─2─
ピロリドン、エチレンカーボネイト、プロピレンカーボ
ネイト、イソブチレンカーボネイト等)、ニトリル系
(アセトニトリル等)、オキシド系(ジメチルスルホキ
シド等)、2−イミダゾリジノン系〔1,3−ジアルキ
ル−2−イミダゾリジノン(1,3−ジメチル−2−イ
ミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジ
ノン、1,3−ジ(n−プロピル)−2−イミダゾリジ
ノン等)、1,3,4−トリアルキル−2−イミダゾリ
ジノン(1,3,4−トリメチル−2−イミダゾリジノ
ン等)〕などが代表として挙げられる。
【0024】電解液に含まれる溶質としては、通常電解
コンデンサ駆動用電解液に用いられる、酸の共役塩基を
アニオン成分とする、アンモニウム塩、アミン塩、四級
アンモニウム塩および環状アミジン化合物の四級塩が挙
げられる。アミン塩を構成するアミンとしては一級アミ
ン(メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブ
チルアミン、エチレンジアミン等)、二級アミン(ジメ
チルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、メチ
ルエチルアミン、ジフェニルアミン等)、三級アミン
(トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピル
アミン、トリフェニルアミン、1,8─ジアザビシクロ
(5,4,0)─ウンデセン─7等)が挙げられる。第
四級アンモニウム塩を構成する第四級アンモニウムとし
てはテトラアルキルアンモニウム(テトラメチルアンモ
ニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルア
ンモニウム、テトラブチルアンモニウム、メチルトリエ
チルアンモニウム、ジメチルジエチルアンモニウム
等)、ピリジウム(1─メチルピリジウム、1─エチル
ピリジウム、1,3─ジエチルピリジウム等)が挙げら
れる。また、環状アミジン化合物の四級塩を構成するカ
チオンとしては、以下の化合物を四級化したカチオンが
挙げられる。すなわち、イミダゾール単環化合物(1─
メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、
1,4─ジメチル─2─エチルイミダゾール、1─フェ
ニルイミダゾール等のイミダゾール同族体、1−メチル
−2−オキシメチルイミダゾール、1−メチル−2−オ
キシエチルイミダゾール等のオキシアルキル誘導体、1
−メチル−4(5)−ニトロイミダゾール、1,2−ジ
メチル−5(4)−アミノイミダゾール等のニトロおよ
びアミノ誘導体)、ベンゾイミダゾール(1−メチルベ
ンゾイミダゾール、1−メチル−2−ベンジルベンゾイ
ミダゾール等)、2−イミダゾリン環を有する化合物
(1─メチルイミダゾリン、1,2−ジメチルイミダゾ
リン、1,2,4−トリメチルイミダゾリン、1,4−
ジメチル−2−エチルイミダゾリン、1−メチル−2−
フェニルイミダゾリン等)、テトラヒドロピリミジン環
を有する化合物(1−メチル−1,4,5,6−テトラ
ヒドロピリミジン、1,2−ジメチル−1,4,5,6
−テトラヒドロピリミジン、1,8−ジアザビシクロ
〔5.4.0〕ウンデセン−7、1,5−ジアザビシク
ロ〔4.3.0〕ノネン−5等)等である。
【0025】アニオン成分としては、フタル酸、イソフ
タル酸、テレフタル酸、マレイン酸、アジピン酸、安息
香酸、トルイル酸、エナント酸、マロン酸、1,6−デ
カンジカルボン酸、1,7−オクタンジカルボン酸等の
カルボン酸、フェノール類、ほう酸、りん酸、炭酸、け
い酸等の酸の共役塩基が例示される。
【0026】また、本発明の電解コンデンサ用電解液
に、ほう酸と多糖類(マンニット、ソルビットなど)と
の錯化合物、ほう酸と多価アルコール(エチレングリコ
ール、グリセリンなど)との錯化合物等、界面活性剤、
コロイダルシリカ等を添加することによって、さらに、
耐電圧の向上をはかることができる。
【0027】また、漏れ電流の低減や水素ガス吸収等の
目的で種々の添加剤を添加することができる。添加剤と
しては、例えば、芳香族ニトロ化合物、(p−ニトロ安
息香酸、p−ニトロフェノールなど)、リン系化合物
(リン酸、亜リン酸、ポリリン酸、酸性リン酸エステル
化合物)、オキシカルボン酸化合物等を挙げることがで
きる。
【0028】以上のような本発明の大型電解コンデンサ
は、耐電圧特性、異常電圧特性ともに良好である。した
がって、異常電圧が印加された場合に、電解コンデンサ
が搭載された回路基板そのものが損傷するということが
防止できる。
【0029】従来では、経験的に、金属ケースの径が3
0mm以上の大型の電解コンデンサにおいては、異常電
圧が印加された場合、耐電圧が低いので、漏れ電流が増
大し、ガスが発生して、電解コンデンサ内部の内圧が上
昇して、安全弁が開弁し、大量の電解液が漏洩するとい
うようなことがあった。さらに、ショートが発生した場
合、このショートした際の衝撃が大きく、このショート
によって開弁や金属ケースの破壊が生じ、やはり多量の
電解液が漏洩する。このようなショートの衝撃や、漏洩
する多量の電解液によって、電解コンデンサを搭載した
回路基板そのものが損傷して、使用不能になるという事
態を引き起こすことがあった。
【0030】しかしながら、本発明では、陽極箔のピッ
トに含浸した電解液に、電解紙に付着させたPVAが接
触して、PVAと電解液中のエチレングリコールとほう
酸により部分的にゲル化する。そして、PVAが電解液
にゲル状態になって均一に混合することによって、火花
電圧の高い電解質が得られて、電解コンデンサの耐電圧
が向上する。そして、誘電体と密着面積が広く、かつ、
密着性の良好な電解質が形成されるので、損失特性が低
下することがない。ここで、陽極箔の表面のピットの径
が0.1μm以上に形成されていると、ゲルがピット内
部まで進行するのに十分な空隙が存在し、ピットの内部
にまでPVAが浸透して誘電体皮膜との密着性の良いゲ
ルを形成するので好適である。
【0031】この部分的なゲル化の挙動は以下のように
推察される。本発明によるコンデンサ素子を電解液に接
触させることによって、まず、電解液が、陽極箔のピッ
トに含浸する。そして、その後に、含浸した電解液にセ
パレータに付着させたPVAが接触して、電解液中のエ
チレングリコールとほう酸とPVAによるゲル化が進行
し、誘電体皮膜との密着性の良いゲル状電解質が得られ
る。この場合、ピットの径が0.1μm以上の場合に
は、ピット内部により良好なゲルが形成される。このこ
とによって、火花電圧が高く、誘電体との密着性の良い
電解質が得られるので、高耐電圧を有し、低誘電損失を
維持した電解コンデンサを得ることができる。したがっ
て、異常電圧が印加された場合に、耐電圧が高いので、
漏れ電流の増大によってガス発生し、電解コンデンサ内
部の内圧が上昇して、開弁するということが防止でき
る。このことによって、電解液の外部への漏洩を防止す
ることができる。また、高い定格電圧を有する電解コン
デンサを実現することができる。
【0032】さらに、本発明の電解コンデンサは良好な
異常電圧特性を有している。このことは以下のような挙
動によるものであると思われる。電解コンデンサに異常
電圧が印加された場合、コンデンサ素子の耐電圧の低い
部分でショートが発生する。通常、コンデンサ素子の耐
電圧の低い部分は、陽極箔の端面、化成された陽極箔の
切断面にあたる部分である。つまり、化成された陽極箔
は、コンデンサ素子のサイズにあわせて切断される。こ
の切断面には化成皮膜がなく、その後の再化成によっ
て、化成皮膜が形成される。ところが、電解液の火花電
圧は陽極箔の化成電圧より低いので、再化成によって化
成される陽極箔の端面は、陽極箔の表面より耐電圧が低
くなり、したがって、異常電圧が印加された場合には、
この陽極箔の端面でショートが発生することが多くな
る。そして、このショートの衝撃によって、安全弁の作
動や金属ケースの破壊が発生し、電解液が電解コンデン
サを搭載した基板へ漏洩するということになる。
【0033】しかしながら、本発明においては、PVA
塗工紙を用い、ほう酸を含む電解液を用いているので、
PVAが電解液に溶解して、高火花電圧を有する電解質
が得られる。したがって、異常電圧が印加された場合に
は、陽極箔の端面においては、化成反応が進むことにな
るので、この部分でのショートは発生しない。そして、
この場合は、陽極箔の陽極リードの接続部が、リードと
陰極箔との間のストレスが原因であるものと思われる
が、コンデンサ素子の中で耐電圧が最も低い部分となっ
て、ここでのショートが発生することが多くなる。そし
て、この部分はコンデンサ素子の内部に位置しているの
で、ショートの衝撃がコンデンサ素子に吸収される。ま
た、そのことによって、安全弁が作動したり、金属ケー
スが破壊したりする事態を引き起こすことがなく、電解
液の外部への漏洩が防止される。以上のような挙動によ
って、本発明の電解コンデンサは良好な異常電圧特性を
有することができる。
【0034】以上のように、本発明の電解コンデンサの
耐電圧特性及び異常電圧特性は良好であるので、異常電
圧が印加された場合、耐電圧が高いので電解コンデンサ
の開弁による電解液の漏洩が防止でき、さらに、ショー
トが発生してもその衝撃は少なく、電解コンデンサの開
弁ないし破壊による電解液の漏洩を防止することができ
るので、回路基板そのものが使用不能になるということ
がない。このことによって、大型電解コンデンサが使用
される、いわゆる産業用機器の分野において許容されて
いる、ショートした電解コンデンサを取り替えて、回路
基板を再び使用するということも可能となる。
【0035】さらに、セパレータの、電解液に溶解、反
応したPVAの残留分が、主体繊維に付着した状態で、
主体繊維間に存在し、このように主体繊維にPVAが付
着したセパレータに電解液が保持された全体の状態が、
高電導度を維持しているものと思われる。ここで、PV
Aのケン化度が90モル%以上のものを用いた場合、さ
らに耐電圧は高くなる。
【0036】ここで、PVAを添加した電解液を作成
し、この電解液を巻回したコンデンサ素子に含浸し、金
属ケースに封入した後に、加熱して電解液をゲル化させ
ても、寿命試験において液漏れが発生し、過電圧特性も
さほどの向上は見られず、誘電損失も上昇する。これ
は、電解質のゲル化が良好ではなく、さらに、ゲル化し
た電解質が誘電体皮膜へ良好な状態で密着していないこ
とが原因であると思われる。なお、PVAの添加量を増
していくと、電解液の粘度が上昇し、コンデンサ素子に
含浸することができなくなり、電解コンデンサを形成す
ることができない。
【0037】以上のように、本発明のセパレータと電解
液との相乗効果によって、誘電損失特性を損なうことな
く、高耐圧特性、良好な異常電圧特性を有する電解コン
デンサを得ることができる。
【0038】
【実施例】以下に実施例をあげて、本発明を更に具体的
に説明する。
【0039】(実施例1)電解紙(密度0.75g/c
3 の高密度ヘンプ紙と密度0.6g/cm3 以下の低
密度紙を抄紙工程で貼り合わせた二重紙、厚み60μ
m)に、PVA(けん化度98.5mol%、重合度2
00)を10%溶解した水溶液を、コンマリバース方式
の塗工機にて塗布し、加熱乾燥させて、PVAが付着し
たセパレータを得た。PVAの付着量は、5g/m2
あった。このセパレータを陰極箔、表面に形成されたピ
ットの径が0.1μm以上である陽極箔の間に挟み、巻
回して、500V−330μF(35φ×50L)のコ
ンデンサ素子を作成した。また、エチレングリコール9
3wt%、1,6−デカンジカルボン酸アンモニウム1
wt%、ほう酸6wt%の電解液を作成した。そして、
コンデンサ素子にこの電解液を含浸し、アルミニウムの
金属ケースに収納して、封口した。次いで、加熱して、
525V印加し、再化成して、アルミニウム電解コンデ
ンサを作成した。
【0040】(比較例1)実施例1において、電解液と
して、エチレングリコール91wt%、1,6−デカン
ジカルボン酸アンモニウム9wt%の電解液を用いて、
同様にアルミニウム電解コンデンサを作成した。
【0041】(比較例2)比較例1において、セパレー
タとしてヘンプ紙(密度0.68g/cm3 、厚み80
μm)を用いて、同様にアルミ電解コンデンサを作成し
た。
【0042】(比較例3)実施例1において、セパレー
タとしてヘンプ紙(密度0.68g/cm3 、厚み80
μm)を用いて、同様にアルミ電解コンデンサを作成し
た。
【0043】そして、実施例1、比較例1〜3のアルミ
ニウム電解コンデンサに500Vを印加し、105℃で
4000時間の高温負荷試験を行った。その試験結果を
(表1)に示した。試験数は20個として、特性は20
個の電解コンデンサの平均値で示した。
【0044】次いで、実施例2、比較例4として、実施
例1、比較例3と同様にして、450V−470μF
(35φ×50L)の電解コンデンサを作成した。そし
て、常温で5分間、630Vを印加し、異常電圧試験を
行った。その試験結果を(表2)に示した。試験数は2
0個として、故障モードを観察した。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】(表1)から明らかなように、実施例は、
初期特性、高温負荷試験共に、良好な結果を得ており、
定格500Vの高圧用電解コンデンサが実現されてい
る。これに比較して、PVA塗工紙を用い、ほう酸を添
加していない電解液を用いた、比較例1では、PVA塗
工紙を用いず、比較例1と同じ電解液を用いた比較例2
と同様に、再化成中にショートが発生し、耐電圧特性が
向上していないことがわかる。また、実施例1と同じ電
解液を用い、PVA塗工紙を用いていない比較例3にお
いても、寿命試験中にショートが発生し、定格電圧50
0Vを実現することができない。
【0048】また、(表2)から明らかなように、比較
例4では、10/20が開弁にいたっており、耐電圧が
低いことがわかる。また、10/20はショートによる
開弁となっており、異常電圧特性が良好ではないことが
わかる。この場合、双方の開弁によって、電解液が外部
に漏洩し、電解コンデンサを搭載した基板を損傷する。
これに対して、実施例2においては、5/20ショート
は発生しているものの、開弁は発生していない。すなわ
ち、耐電圧が向上しているため、15/20は開弁が発
生していない。また、ショートにいたったものも、開弁
しておらず、異常電圧特性が向上していることがわか
る。以上のように、本発明の電解コンデンサにおいて
は、耐電圧特性、異常電圧特性の双方の向上により、開
弁の発生はなく、したがって、電解液の外部への漏洩を
防止することができる。
【0049】
【発明の効果】本発明の電解コンデンサは、セパレータ
を介して陽極リードが接続された陽極箔と陰極箔を巻回
し、電解液を含浸させてなるコンデンサ素子を、有底筒
状の金属ケースに収納してなり、前記セパレータとして
密度が0.6〜0.9g/cm 3 の高密度紙を含む電解
紙にポリビニルアルコールを付着したものを用い、かつ
前記電解液がほう酸を含み、さらに、前記有底筒状の金
属ケースの径が30mm以上であるので、耐電圧特性、
異常電圧特性ともに向上する。このことによって、異常
電圧が印加された場合に、高い耐電圧特性を有している
ので、漏れ電流の増大によってガスが発生し、開弁にい
たって、電解液が漏洩するということを防止できる。さ
らに、電解コンデンサがショートにいたった場合にも、
その衝撃は少なく、また、ショートによる開弁や金属ケ
ースの破壊による電解液の漏洩を防止できる。このよう
に、ショートの衝撃は少なく、電解液の漏洩も防止でき
るので、電解コンデンサが搭載された回路基板が損傷を
受けて、使用不能になるということを防止できる。ま
た、耐電圧が向上するので、これまでにない高い定格電
圧を有する電解コンデンサを得ることができる。
【0050】さらに、前記電解コンデンサにおいて、セ
パレータとして、密度が0.6〜0.9g/cm3 の高
密度紙と密度が0.6g/cm3 未満の低密度紙からな
る電解紙の低密度紙側にポリビニルアルコールを付着し
たものを用いることによって、tanδを低減すること
ができる。
【0051】また、前記電解コンデンサにおいて、陽極
箔の表面に形成されたピットの径が0.1μm以上であ
ると、耐電圧特性、異常電圧特性はさらに、向上する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) //(C08L 97/02 H01G 9/02 311 29:04) 9/04 337

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セパレータを介して陽極箔と陰極箔を巻
    回し、電解液を含浸させてなるコンデンサ素子を、径が
    30mm以上の有底筒状の金属ケースに収納してなり、
    前記セパレータとして密度が0.6〜0.9g/cm3
    の高密度紙を含む電解紙にポリビニルアルコールを付着
    したものを用い、かつ前記電解液がほう酸を含む電解コ
    ンデンサ。
  2. 【請求項2】 セパレータを介して陽極箔と陰極箔を巻
    回し、電解液を含浸させてなるコンデンサ素子を、径が
    30mm以上の有底筒状の金属ケースに収納してなり、
    前記セパレータとして密度が0.6〜0.9g/cm3
    の高密度紙と密度が0.6g/cm3 未満の低密度紙か
    らなる電解紙の低密度紙側にポリビニルアルコールを付
    着したものを用い、かつ前記電解液がほう酸を含む電解
    コンデンサ。
  3. 【請求項3】 陽極箔の表面に形成されたピットの径が
    0.1μm以上である、請求項1または2に記載の電解
    コンデンサ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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