JP2003080835A - 油性インク受容性マーキングメディア - Google Patents

油性インク受容性マーキングメディア

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JP2003080835A JP2001277698A JP2001277698A JP2003080835A JP 2003080835 A JP2003080835 A JP 2003080835A JP 2001277698 A JP2001277698 A JP 2001277698A JP 2001277698 A JP2001277698 A JP 2001277698A JP 2003080835 A JP2003080835 A JP 2003080835A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】油性インクを使用する印刷用メディアであっ
て、印刷性、貼り付け作業性、耐候性に優れかつ使用後
の焼却によって有害物質を発生することのない、屋外看
板や車体貼り付け用のマーキングメディアを提供するこ
と。 【解決手段】溶剤浸透性変成オレフィン系樹脂を含有す
る樹脂層(I)と、該樹脂層(I)によって被覆された
エラストマー成分含有熱可塑性オレフィン系樹脂層(I
I)と、該樹脂層(II)に積層された接着剤層とを有
する油性インク受容性積層シートによって上記課題を解
決した。

Description

【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】本発明は油性インクで印刷し
たり、あるいは油性インクを用いたインクジェットプリ
ンターで記号、表示、写真等を印刷し、被着体に接着し
て、被着体に意匠性を付与する油性インク受容性マーキ
ングメディアに関するものであって、特に屋外や過酷な
使用条件に耐え得る高耐候性マーキングメディアに関す
るものである。
【0001】
【従来の技術】最近、インクジェットプリンターの普及
によって、インクジェットプリンターで記号や表示等を
プリントしたフィルムを各種基材に貼り合わせ、表示
板、広告看板、シャッター、車両等の表示や装飾に使用
することが行われている。
【0002】インクジェットプリンターによるプリント
は、小さなノズルからインクを微小流滴で噴射し、メデ
ィア上に、インクの粒によるドットを付着させて文字や
図柄を形成する方式である。微細なノズルからインクを
噴射しなければならないため、ノズルの詰まりが起こり
にくい水性染料溶液や親水性顔料を水に分散させた水性
インクが用いられることが多く、たとえば、シアン、マ
ジェンタ、イエロー、ブラックの4色の水性インクを重
ねて目的の色を得る方法が一般に行われている。
【0003】このような水性インクを使用する水性イン
クジェットプリンターのメディアとしては、使用場所
(屋内・屋外)、使用方法(貼り替えのあるなし、基材
への貼り合わせ方法)等の用途別に、紙や樹脂フィルム
(ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ア
クリル樹脂等)に親水性受容層を塗布したものから選択
されている。
【0004】ところが、例えば、車両の外観装飾用、屋
外看板用途等高度の耐候性が必要な用途においては、水
性のインクにおける印刷は本来的に親水性の印刷層を形
成するので、過酷な条件(特に雨や湿気等)における使
用により表面の印刷層が劣化したり、流出、変色したり
する不都合が発生した。
【0005】最近では、水性染料からなるインクジェッ
ト用インクを用いて基材上に図柄を印刷し、耐候性・耐
水性を向上するために透明塩化ビニルシートや透明ポリ
エチレンテレフタレートシートをオーバーレイして、表
面光沢を保持することも行われているが、オーバーレイ
フィルムを使用することは、樹脂によっては基材の持つ
柔軟性が損なわれ、屋外看板等に用いると耐候性が劣
り、柔軟性が不十分でフィルムが裂けてしまったり、白
化したりして、長期間使用される場合は耐候性が十分で
はなかった。
【0006】そこで、印刷層の耐候性に優れた油性イン
クをインクジェット用インクとして用いるシステムが開
発されており、例えば NUR社、SCITEX社、V
UTEK社、3M社、武藤工業株式会社等から供給され
ている。このようなシステムに用いられるインクはいず
れも、芳香族系、ケトン系、エーテル系、エステル系等
の混合有機溶剤に合成樹脂を溶解し、顔料を分散させた
ものである。
【0007】このような油性インクジェットシステムは
インクが油性であるため、印刷層のインク自体の耐水性
は水性インクと比較して格段に優れるものの、従来の水
性インクジェット用のメディアにそのまま印刷すると、
メディアの表面が親水性であるため、インクのメディア
への密着性が不十分であり、インクがメディアから剥が
れてしまうという問題が起こった。
【0008】油性インクとの親和性が高い樹脂材料とし
て塩化ビニル等の塩素系樹脂を油性インクジェット用の
メディアとして使用する試みもなされているが、比較的
短期間で最新情報に貼り替えることの多い看板等の用途
においては、使用後のシートを廃棄する頻度も高く、使
用後の廃棄処理が大きな問題となってきた。特に基材に
塩化ビニルシートを用いたメディアは、使用後に廃棄す
る際、焼却すると塩素系ガスが発生するのでそのままで
は焼却することができず、焼却炉の塩素ガス除去用の装
置を設ける必要があり、また、処理に際して、有害塩素
含有有機化合物が副生する可能性があることも社会的な
問題となっている。これは単にインクジェット用のメデ
ィアのみの問題にとどまらず、従来から使用されていた
スクリーン印刷用のメディアについても同様である。
【0009】また基材に塩化ビニルシートを用いたメデ
ィアは油性インクの溶剤に対し侵され易いことも大きな
問題となっている。たとえばインク濃度の高い部分は必
然的に面積当たりの溶剤量は多くなるがそのような部分
では、シートが膨潤、溶解したり、さらには接着層にも
溶剤が浸透し様々な問題が生じることがある。
【0010】シートが膨潤、溶解するとマーキングメデ
ィアとしての物性が損なわれ、セパレーターから剥離す
る際、シートが伸びたり破れたりすることがあり、貼り
付けの際の作業性が著しく悪くなる。さらに貼り付け
後、溶剤の乾燥につれてシートが収縮し、クラックや剥
がれや繋ぎ合わせ部分の目開きの原因となる。
【0011】また溶剤が接着層に浸透すると、接着層の
粘着性(タック)が著しく高くなり貼り付け作業性が損
なわれるほか、接着性そのものが損なわれ自然剥離した
り、接着層と基材層と層間密着性が悪くなり、貼り直し
や使用後の剥離の際、接着層のみが被着体に残留するこ
とがある。
【0012】上記のような問題を低減するため、印刷後
速やかに、バッチ式の熱風オーブン等を用いシート中に
浸透した溶剤を強制的に乾燥することも行われるが、作
業工程が増え生産性が低下する上、別の問題が生ずる原
因ともなっている。その一つは、印刷の濃度の違いによ
り場所毎の収縮の度合いが異なり、印刷画像に歪みが生
じてしまうことである。このため特に大きな画像を分割
して複数のシートに印刷した場合にはシート毎に収縮が
異なるため繋ぎ合わせて貼ることが出来なくなる。さら
にもう一つの問題は、大量に溶剤が浸透した塩ビシート
を強制乾燥するとシートが著しく脆化してしまうことで
ある。このため貼り付け作業性が著しく損なわれ、特に
コルゲート面やリベット打ちされた被着体に貼りつけよ
うとしても裂けてしまい、凹凸面に追随して貼ることが
困難であった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術が
有していた前述の課題を解決しようとするものであり、
油性インクを使用する印刷用メディアであって、印刷
性、貼り付け作業性、耐候性に優れかつ使用後の焼却に
よって有害物質を発生することのない、屋外看板や車体
貼り付け用のマーキングメディアを提供することを課題
とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】前述の課題を解決するた
めに、本発明は、層厚が5〜100μmであって、溶剤
浸透性変成オレフィン系樹脂を含有する樹脂層(I)
と、該樹脂層(I)によって被覆され層厚が20〜20
0μmであるエラストマー成分含有熱可塑性オレフィン
系樹脂層(II)と、該樹脂層(II)に積層され層厚
が10〜100μmの接着剤層とを有することを特徴と
する油性インク受容性マーキングメディアを提供するも
のであり、
【0015】好ましくは、該溶剤浸透性変成オレフィン
系樹脂がスチレン−オレフィン系共重合樹脂、(メタ)
アクリル酸エステル−オレフィン系共重合樹脂のいずれ
かである前記油性インク受容性マーキングメディアを提
供するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】 以下本発明を詳細に説明する。
本発明におけるマーキングメディアは溶剤浸透性変成オ
レフィン系樹脂を含有する樹脂層(I)と、該樹脂層
(I)によって被覆され層厚が20〜200μmである
エラストマー成分含有熱可塑性オレフィン系樹脂層(I
I)と、該樹脂層(II)に積層され層厚が10〜10
0μmの接着剤層とを有する。
【0017】樹脂層(I)は、溶剤浸透性変成オレフィ
ン系樹脂を含有する。溶剤浸透性変成オレフィン系樹脂
とはエチレン、プロピレン等のオレフィンモノマーとス
チレン、アクリル等のオレフィン以外のモノマーを共重
合した樹脂でオレフィン樹脂と相容性を有し、かつ有機
溶剤が浸透するものを指す。
【0018】ここでいう溶剤浸透性とは、芳香族系、ケ
トン系、エーテル系、エステル系等の油性インクに使用
する有機溶剤のうちいずれかが浸透し、膨潤あるいは部
分溶解することを指す。
【0019】より具体的には、平滑にした樹脂表面に例
えば1μlの有機溶剤をマイクロシリンジ等で滴下し実
体顕微鏡等で経時観察すると溶剤が浸透し、樹脂が膨潤
して行く様子が確認できる。 1μlの溶剤の完全な浸
透に要する時間は特に短時間である必要はなく、10分
〜1時間程度かかっても実用上問題は少ない。
【0020】より短時間での浸透乾燥性が特に 必要と
なる場合には湿式シリカ等の充填剤の併用により浸透ス
ピードおよび浸透量を向上させることが出来る。
【0021】また溶剤浸透性の確認は溶剤の飽和蒸気雰
囲気内での接触角の経時変化によっても確認できる。
【0022】樹脂層(I)に油性インクを滴下した場合
の好ましい初期の接触角は10〜50度、より好ましく
は12〜40度、さらに好ましくは15〜35度であ
る。
【0023】ここでいう変成オレフィン系樹脂とは、オ
レフィンとオレフィン以外のモノマーを任意の割合で共
重合した樹脂を指す。
【0024】オレフィン系モノマーとしては、エチレ
ン、プロピレン、ブテン、ブタジエン、イソプレン、ヘ
キセン、ヘプテン、オクテン等が挙げられる。
【0025】共重合するモノマーとしては、スチレン、
アルキルスチレン、(メタ)アクリル酸、(メタ)アク
リル酸エステル、アクリロニトリル、(無水)マレイン
酸、酢酸ビニル、ビニルエーテル、等が挙げられるが、
中でもスチレン、(メタ)アクリル酸エステルが好まし
い。
【0026】スチレン−オレフィン系共重合樹脂には、
スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(S
BS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重
合体(SIS)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチ
レンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレ
ン/プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEP
S)、スチレン−エチレン/プロピレンブロック共重合
体(SEP)、スチレン−エチレン−エチレン/プロピ
レン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)、等の
ブロック共重合体があり、いずれも炭化水素溶媒中にて
主にアルキルリチウム触媒を用いて、リビングアニオン
重合により合成される。スチレンの含量は任意に調整で
きるが、インクの受容性、樹脂層(II)との相容密着
性の観点から10〜80重量%の範囲内であることが好
ましい。
【0027】また耐候性の観点からは主鎖中の2重結合
は水素添加により飽和されている方が望ましく、その意
味でSEBS、SEPS、SEP、SEEPSの中から
選ぶことが好ましい。また他にはスチレン/ブタジエン
ランダム共重合体(SBR)、水素添加型スチレン/ブ
タジエンランダム共重合体(HSBR)等のランダム共
重合体を使用することも出来るが、同様の理由でHSB
Rが好ましい。
【0028】(メタ)アクリル酸エステル−オレフィン
系共重合樹脂としては、エチレン−アクリル酸エチル共
重合体(EEA)、エチレン−メタクリル酸メチル共重
合体(EMMA)、エチレン−メタクリル酸グリシジル
−アクリル酸メチル共重合体(EGMAMA)、エチレ
ン−メタクリル酸グリシジル−酢酸ビニル共重合体(E
GMAVA)、エチレン−メタクリル酸グリシジル共重
合体(EGMA)、エチレン−アクリル酸エチル−無水
マレイン酸共重合体(EEAMAH)等が挙げられ、い
ずれも使用出来るが、溶剤浸透性、基材層との密着性、
受容層表面の粘着性(タック)等のバランスより(メ
タ)アクリル酸エステル含量が10〜50重量%のもの
の中から選定することが好ましい。
【0029】本発明の樹脂層(I)は前記溶剤浸透性変成
オレフィン系樹脂の他に他の樹脂を含有してもよい。該
溶媒浸透性を妨げない範囲で適宜選択されるが、(メ
タ)アクリル酸エステル系樹脂、スチレン系樹脂、ウレ
タン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオキシエチレン
系樹脂、ポリアミド系樹脂、等が挙げられ、前記溶剤浸
透性変成オレフィン樹脂との相容性が良好であり、かつ
基材層との層間密着性を阻害しないものであれば、いず
れも好ましく使用できる。
【0030】上記溶剤浸透性変成オレフィン系樹脂層
(樹脂層(I))は、上記樹脂の他に、紫外線吸収剤、
光安定剤、酸化防止剤等の製造時あるいは使用時の劣化
を防止する為に各種添加剤や印刷の鮮明性や印刷密着
性、あるいは印刷インクの浸透乾燥速度を向上させる為
に充填剤や顔料、その他の各種添加剤を含有することが
できる。
【0031】紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン
系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、ベ
ンゾエート系等の有機系紫外線吸収剤、超微粒子酸化チ
タンや酸化セリウム等の無機系紫外線吸収剤が使用出来
る。また合わせて紫外線遮蔽性のある酸化チタン等の無
機顔料を使用することもできる。
【0032】光安定剤としては、ヒンダードアミン系の
ものが好ましく使用出来る。
【0033】酸化防止剤としては、ヒンダードフェノー
ル系、フォスファイト系、ラクトン系、αトコフェロー
ル系のものが好適に使用できる。
【0034】以上の紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止
剤は相乗効果が得られる場合が多く、個々のグレードに
つき効果の高い組合わせを選定し併用することが出来
る。
【0035】充填剤あるいは顔料としては、無色である
こと以外には特に制限はなく、湿式シリカ、乾式シリ
カ、アルミナ、酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化亜
鉛、硫化亜鉛、ガラスビーズ、ガラスバルーン、アクリ
ルビーズ、スチレンビーズ、シリコーンビーズ、ゼオラ
イト、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化アル
ミニウム等が挙げられ、目的に応じ適宜使用出来る。
【0036】また受容層(樹脂層(I))には蛍光増白
剤を入れることができ、ベンゾオキサゾール系、スチル
ベン系のものが好ましく使用出来る。
【0037】また、上記溶剤浸透性変成オレフィン系樹
脂層は受容層(樹脂層(I))として、その膜厚が5〜
100μm、好ましくは10〜70μm、より好ましくは
20〜50μmである。膜厚が5μm以上であれば溶剤浸
透性が十分であり、特に濃色部分の乾燥が早く、乾燥前
に画像が流れずに鮮明な印刷が得られる。また100μ
m未満であれば、マーキングメディアとしての曲面貼り
適性も良好で好ましい。
【0038】本発明の油性インク受容性マーキングメデ
ィアは、前記の溶剤浸透性変成オレフィン系樹脂を含有
する樹脂層(I)(受容層)によって被覆され層厚が2
0〜200μm、好ましくは30〜150μmであるエ
ラストマー成分含有熱可塑性オレフィン系樹脂を含有す
る樹脂層(II)(基材層)を有する。
【0039】本発明のエラストマー成分含有熱可塑性オ
レフィン系樹脂とは、主成分の熱可塑性オレフィン系樹
脂に他の樹脂を共重合またはブレンドしたり、あるいは
結晶性や立体規則性の制御によって、ゴム弾性を付与し
た樹脂である。
【0040】熱可塑性オレフィン系樹脂としては、ポリ
エチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリメチルペ
ンテン系樹脂等が使用出来るが、耐熱性、加工性、マー
キングメディアとしてのフィルム物性バランスの点より
ポリプロピレン系樹脂をベースとすることが特に好まし
い。
【0041】これらの熱可塑性オレフィン樹脂は重合の
際、主成分とは炭素数の異なる小量のオレフィンモノマ
ーを配合したり、触媒や重合条件を変更することによ
り、様々な物性を有するグレードが得られ、その中から
自由に選定できる。
【0042】例えば、ポリプロピレンについては、重合
の際、立体規則性を制御することにより高分子量のアタ
クチック体を一定量形成させることができる。この高分
子量のアタクチック成分は単一組成のポリプロピレン
に、エラストマーを配合したのと同様の効果をもたら
し、本発明品の基材層 (樹脂層(II))に好適に使
用できる。
【0043】共重合あるいはブレンドする樹脂として
は、エラストマーとしての性質を付与するものであれば
何でも良く、例えばスチレン−イソプレン−スチレンブ
ロック共重合体(SIS)、スチレン−エチレン/ブチ
レン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレ
ン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SB
S)、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレンブロ
ック共重合体(SEPS)、水素添加型スチレン−ブタ
ジエンランダム共重合体(SHBR)等のスチレン含有
エラストマーや1,2−ポリブタジエン系エラストマー
(RB)、トランス1,4−ポリイソプレン系エラスト
マー(TPI)、エチレン−プロピレンゴム(EPM、
EPDM)、ポリイソブチレン、ポリエチレン−ポリブ
チレン、等がある。
【0044】またこれらの共重合あるいはブレンドする
樹脂があらかじめ上記熱可塑性オレフィン樹脂に配合さ
れ製品化されたTPO(ポリオレフィン系熱可塑性エラ
ストマー)と称せられる樹脂をそのまま用いても良い。
TPOには製造形態により、単純ブレンド型TPO
(バンバリーやプラストミル等の分散機で熱可塑性ポリ
オレフィン樹脂とEPDMのようなエラストマー性付与
成分を物理的ブレンドをして、オレフィンマトリクス中
にゴム成分を分散したもの)、インプラント型TPO
(オレフィンを2段階で重合することにより、リアクタ
ー中でハードセグメント部分とソフトセグメント部分と
を順次形成しエラストマー性を付与したもの)、動的
架橋型TPO(バンバリーやプラストミル等の分散機で
物理的混合するとともに、ゴム成分の架橋反応をさせた
もので熱可塑性ポリオレフィンマトリクス中に架橋され
たゴム成分が細かく分散している。)等がありいずれも
好適に使用できる。
【0045】本発明に使用するエラストマー成分含有熱
可塑性オレフィン系樹脂の用途はマーキングメディアの
基材層であり、貼りつけ作業上、適度の弾性が必要であ
る。しかし過度のゴム的性質は不必要であるばかりか、
むしろ有害ですらある。基材層コンパウンドとして好ま
しい引張り弾性率は100〜1000MPa、さらに好
ましくは150〜800MPaの範囲である。
【0046】本発明の樹脂層(II)(基材層)は使用
する油性インクの溶剤に対して侵されないことが好まし
い。 特に濃色印刷部分において大量の溶剤が受容層か
ら移行してきた場合でも基材層自身は溶剤を実質的に浸
透させず、膨潤軟化あるいは溶解することなく、かつ接
着層への溶剤の移行を阻止するものが好ましい。
【0047】本発明の樹脂層(II)(基材層)はまた印
刷表示の視認性、難燃性、フィルム物性等の向上の目的
で無機あるいは有機充填剤を含有してもよい。本発明の
マーキングメディアを内部照明付き表示板に使用する場
合には、光拡散性と適度の隠蔽性を有する必要があり、
また通常の反射光でのみ見る表示を目的とする場合には
隠蔽性があり出来るだけ白色度の高いものにすることが
好ましい。
【0048】特に隠蔽性が必要な場合には接着層を積層
する前に樹脂層(II)(基材層)の表面にアルミニウ
ム等の金属の薄膜を蒸着やスパッタリングにより形成す
ることが出来る。
【0049】使用できる無機あるいは有機充填剤には無
色であること以外には特に制限はなく、酸化チタン、酸
化亜鉛、硫化亜鉛、シリカ、ガラスビーズ、ガラスバル
ーン、アクリルビーズ、スチレンビーズ、シリコーンビ
ーズ、ゼオライト、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水
酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ等が
挙げられ、目的に応じ適宜使用出来る。
【0050】本発明の樹脂層(II)(基材層)は、上
記充填剤の他に、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止
剤、蛍光増白剤、帯電防止剤等の添加剤を含有すること
ができる。
【0051】紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン
系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、ベ
ンゾエート系のものが使用出来る。
【0052】光安定剤としては、ヒンダードアミン系の
ものが使用出来る。
【0053】酸化防止剤としては、ヒンダードフェノー
ル系、フォスファイト系、ラクトン系、αトコフェロー
ル系のものが好適に使用できる。
【0054】蛍光増白剤としてはベンゾオキサゾール
系、スチルベン系のものが好ましい。
【0055】 本発明の油性インク受容性マーキングメ
ディアは、前記のエラストマー成分含有熱可塑性オレフ
ィン系樹脂層(II)に積層され層厚が10〜100μ
m、好ましくは15〜70μm、特に好ましくは20〜
50μmの接着剤層を有する。接着剤層の層厚が10μ
m以上であれば被着体の表面状態によらず密着し易く、
自然に剥離しない。膜厚が100μm以下であれば、端
面にはみ出した接着剤層へ汚れが付着することもなく、
また経済的にも有利になるのでいずれも好ましい。
【0056】使用される接着剤層を形成する樹脂は、特
に制限されるものではないが、前記エラストマー成分含
有熱可塑性オレフィン系樹脂層の全面に積層されて接着
剤の層を形成するものであり、例えば、(メタ)アクリ
ル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウ
レタン系樹脂、ゴム系樹脂、熱可塑性エラストマー系樹
脂、シリコーン系樹脂等が好ましい例として挙げられ
る。これらの中でも、耐候性に優れ、比較的安価で加工
適性の優れている(メタ)アクリル系樹脂あるいは、熱
可塑性エラストマー系樹脂が特に好ましい。
【0057】このような(メタ)アクリル系樹脂として
は、たとえば、エチルアクリレート、n−プロピルアク
リレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリ
レート、n−ペンチルアクリレート、2−メチルブチル
アクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチル
ヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、イ
ソオクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、イ
ソノニルアクリレート等のアクリル酸のC〜C12
ルキルエステルの少なくとも1種(モノマーA)とアク
リル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、N−メチロー
ルアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリレー
ト、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の官能基含
有アクリル系モノマーの少なくとも1種(モノマーB)
とが共重合されることにより得られるものを挙げること
ができる。上記モノマーAとモノマーBの共重合割合は
モノマーA/モノマーBの重量比で99.5/0.1〜
70/30特に99/1〜75/25の範囲内が好適で
ある。
【0058】接着剤を形成する樹脂の中でも特に好適な
アクリル樹脂としては、ブチルアクリレート(BA)と
アクリル酸(AA)とを、BA/AAの重量比が99.
9/0.1〜70/30特に99.5/0.5〜80/
20の範囲内で共重合させる事によって得られる共重合
体を挙げることができる。
【0059】上記アクリル系樹脂の重量平均分子量(M
w)は、好ましくは20万〜100 万、より好ましくは
40万〜80万であり、斯る分子量は、重合開始剤の量
によって、または連鎖移動剤を添加することによって調
整することができる。
【0060】熱可塑性エラストマー系樹脂としては、ス
チレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロックコポリ
マー(SEBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブ
ロックコポリマー(SIS)、スチレン−エチレン/プ
ロピレン−スチレンブロックコポリマー(SEPS)、
スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー
(SBS)、スチレン/ブタジエンのランダムコポリマ
ーの水素添加物(HSBR)等が挙げられ、これらは改
質樹脂としてエチレン−アクリル酸エステル共重合体、
ポリイソブチレン、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、石
油樹脂、クマロン/インデン樹脂、スチレン系樹脂、等
と組み合わせて使用することが出来る。
【0061】本発明の接着層は印刷表示の視認性、難燃
性、耐熱性、接着性、耐候性等の向上の目的で無機、有
機の充填剤や添加剤を含有してもよい。本発明のマーキ
ングメディアを内部照明付き表示板に使用する場合に
は、光拡散性と適度の隠蔽性を有する必要があり、また
通常の反射光でのみ見る表示を目的とする場合には隠蔽
性があり出来るだけ白色度の高いものにすることが好ま
しい。
【0062】これらの光学特性は接着層のみでなく、受
容層および基材層と相俟って実現すべきものである。た
とえば基材層あるいは受容層に酸化チタンを配合した場
合、接着層に有色あるいは黒の顔料、染料、金属フレー
ク等と配合することにより白色度を保ちつつ高度の隠蔽
性を得ることが出来る。
【0063】使用できる無機あるいは有機充填剤には特
に制限はなく、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、シリ
カ、ガラスビーズ、ガラスバルーン、アクリルビーズ、
スチレンビーズ、シリコーンビーズ、ゼオライト、炭酸
カルシウム、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム、水酸
化アルミニウム、アルミナ、アルミフレーク、ステンレ
スフレーク、カーボンブラック、その他の顔料等が挙げ
られ、目的に応じ適宜使用出来る。
【0064】本発明の接着層は、上記充填剤の他に、紫
外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、帯電
防止剤等の添加剤を含有することができる。
【0065】紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン
系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、ベ
ンゾエート系のものが使用出来る。
【0066】光安定剤としては、ヒンダードアミン系の
ものが使用出来る。
【0067】酸化防止剤としては、ヒンダードフェノー
ル系、フォスファイト系、ラクトン系、αトコフェロー
ル系のものが好適に使用できる。
【0068】蛍光増白剤としてはベンゾオキサゾール
系、スチルベン系のものが使用出来る。
【0069】接着剤層を基材層(樹脂層II)に積層す
るため、基材層(樹脂層II)の接着剤層と接触する面
に適当な処理を施してもよい。処理方法としては、グロ
ー放電処理、低圧水銀灯照射処理、エキシマレーザー照
射処理、電子線照射処理(EB処理)、フレームプラズ
マ処理、薬品処理、コロナ処理、バリア放電処理などが
あり、いずれも効果があるが、コロナ放電処理、バリア
放電処理などが容易に実施可能である。
【0070】このような処理をする場合は、該表面のぬ
れ指数が32〜70、好ましくは 35〜65、特に好
ましくは40〜60とするのが良い。
【0071】ぬれ指数が32未満の場合は基材層(樹脂
層II)と接着剤層とのぬれが十分でないために、油性
インク受容性マーキングメディアを貼り直したり、剥が
したりする際、接着剤層のみが被着体に残ってしまうこ
とがある。 またぬれ指数が70を超える場合には基材
層表面の樹脂の主鎖が過度に酸化的に切断されることが
あり、その場合には表面付近に凝集力の乏しい低分子量
成分が多く生成するため、むしろかえって層間密着強度
が落ちることもある。
【0072】本発明の油性インク受容性マーキングメデ
ィアを製造する方法は特に制限されるものではなく、各
層をTダイ押し出し成形、インフレーション成形、溶液
キャスト成形等の公知のフィルム製造方法でそれぞれ成
形し、加熱あるいは常温圧着で重ね合わせれば良い。
【0073】生産性の観点からは、接着剤層を樹脂溶液
もしくは樹脂分散液より形成する場合には、まず受容層
である樹脂層(I)と基材層である樹脂層(II)とを
Tダイ押出し法、またはインフレーション法によって2
層同時成形し、得られたシートに、接着剤層を直接コー
ティングするか、もしくは一旦、剥離処理したシートに
コーティングした接着剤層をラミネートロールを用いて
積層することによって製造する方法が好ましい。
【0074】さらには、接着剤層が常温で固体状の樹脂
から直接加熱形成可能であり、かつ形成した接着剤層の
粘着性が工程上許容できる程度に小さい場合には、生産
性の観点から、樹脂層(I)、樹脂層(II)、および
接着層をTダイ押出し法、またはインフレーション法に
よって3層同時成形する製法が特に好ましい。
【0075】このようにして製造された油性インク受容
性マーキングメディアは屋外や過酷な使用条件に耐え得
る高耐候性マーキングメディアとして、油性インクジェ
ット印刷やスクリーン印刷を施した上、自動車車体の装
飾や、屋外の看板・表示等に有効に使用できる。
【0076】
【発明の実施の形態】以下実施例により、発明を説明す
る。
【0077】受容層コンパウンドAの調製 スチレン含量65%のSEPS樹脂、セプトン2104
(クラレ製)100重量部、ルチル型酸化チタンCR9
0(石原産業製)20重量部、ベンゾトリアゾール系紫
外線吸収剤、チヌビン329FL(チバスペシャリティ
ーケミカル製)1重量部、ヒンダードアミン系光安定
剤、キマソーブ119FL(チバスペシャリティーケミ
カル製)1重量部、αトコフェロール系酸化防止剤、ユ
ビナール2000AO(BASF製)0.3重量部を2
軸押出機、PCM−30(池貝鉄工製)にて混練しペレ
ット化した。熱プレスにより厚さ50μmの受容層コン
パウンドAの単体のシートを作成した。ガラス板の上に
このシートを置き、1μlの油性マジェンタインク P
J−SOINK−MA(武藤工業製)をマイクロシリン
ジにて滴下し30分後にシートを剥がし、観察したとこ
ろインクは浸透乾燥しており、シートが侵されて穴が開
くことも無かった。
【0078】受容層コンパウンドBの調製 MMA含量30%のEMMA樹脂、アクリフトCM50
19(住友化学製)100重量部、吸油量 270ml
/100g、平均粒径4μmの湿式シリカ、ニップジェ
ルAY−401(日本シリカ工業製)30重量部を、2
軸押出し機、TEM−41(東芝機械製) にて混練し
ペレット化した。ガラス板の上にこのシートを置き、1
μlの油性マジェンタインク PJ−SOINK−MA
(武藤工業製)をマイクロシリンジにて滴下し30分後
にシートを剥がし、観察したところインクは浸透乾燥し
ており、シートが侵されて穴が開くことも無かった。
【0079】受容層コンパウンドCの調製 スチレン含量65%のSEPS樹脂、セプトン2104
(クラレ製)60重量部、EA含量35%のEEA樹
脂、NUC6940(日本ユニカー製)40重量部、ベ
ンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、チヌビン329FL
(チバスペシャリティーケミカル製)1重量部、ヒンダ
ードアミン系光安定剤、キマソーブ119FL(チバス
ペシャリティーケミカル製)1重量部、αトコフェロー
ル系酸化防止剤、ユビナール2000AO(BASF
製)0.3重量部、吸油量 250ml/100g、平
均粒径4μmの球状湿式シリカ、サイロスフェアC−1
504(富士シリシア製)20重量部を、2軸押出し
機、TEM−41(東芝機械製)にて混練しペレット化
した。ガラス板の上にこのシートを置き、1μlの油性
マジェンタインク PJ−SOINK−MA(武藤工業
製)をマイクロシリンジにて滴下し30分後にシートを
剥がし、観察したところインクは浸透乾燥しており、シ
ートが侵されて穴が開くことも無かった。
【0080】基材層コンパウンドDの調製 ホモPPとEPMから成るインプラント型TPO樹脂、
ゼラスZT701(三菱化学製)、100重量部、ルチ
ル型酸化チタン、タイペークCR−90(石原産業製)
20重量部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、チヌ
ビン329FL(チバスペシャリティーケミカル製)1
重量部、ヒンダードアミン系光安定剤、キマソーブ11
9FL(チバスペシャリティーケミカル製)1重量部、
αトコフェロール系酸化防止剤、ユビナール2000A
O(BASF製)0.3重量部を、2軸押出し機PCM
−30(池貝鉄工製)にて混練しペレット化した。基材
層コンパウンドDを単層で押し出したシートの引っ張り
弾性率を測定したところ、350MPaであった。
【0081】基材層コンパウンドEの調製 ホモPPとEPMから成るインプラント型TPO樹脂、
ゼラスZT701(三菱化学製)、80重量部、MMA
含量30%のEMMA樹脂、アクリフトCM5019
(住友化学製)20重量部、ルチル型酸化チタン、タイ
ペークCR−90(石原産業製)20重量部、ベンゾト
リアゾール系紫外線吸収剤、チヌビン329FL(チバ
スペシャリティーケミカル製)1重量部、ヒンダードア
ミン系光安定剤、キマソーブ119FL(チバスペシャ
リティーケミカル製)1重量部、αトコフェロール系酸
化防止剤、ユビナール2000AO(BASF製)0.
3重量部を、2軸押出し機PCM−30(池貝鉄工製)
にて混練しペレット化した。基材層コンパウンドEを単
層で押し出したシートの引っ張り弾性率を測定したとこ
ろ、220MPaであった。
【0082】基材層コンパウンドFの調製 高分子アタクティック体を10%内包するポリプロピレ
ンからなるインプラント型TPO樹脂、F3900H
(出光化学製)80重量部、スチレン含量65%のSE
PS樹脂、セプトン2104(クラレ製)20重量部、
ルチル型酸化チタン、タイペークCR−90(石原産業
製)20重量部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、
チヌビン329FL(チバスペシャリティーケミカル
製)1重量部、ヒンダードアミン系光安定剤、キマソー
ブ119FL(チバスペシャリティーケミカル製)1重
量部、αトコフェロール系酸化防止剤、ユビナール20
00AO(BASF製)0.3重量部を、2軸押出し機
PCM−30(池貝鉄工製)にて混練しペレット化し
た。基材層コンパウンドFを単層で押し出したシートの
引っ張り弾性率を測定したところ、620MPaであっ
た。
【0083】受容層コンパウンドAと基材層コンパウン
ドDとを2種2層用のフィードブロックを用いて溶融状
態で積層して単層Tダイ金型に供給し、共押出し成形し
て実施例1の油性インク受容性マーキングメディアの原
反を得た。走査型電子顕微鏡(SEM)による断面観察
の結果、受容層は30μm、基材層は70μmの厚みで
あった。
【0084】接着層Gの形成 シリコーン処理したポリエチレンコート剥離紙、SLK
110W(カイト化学製)にアクリル系粘着剤溶液 P
E−121(日本カーバイド工業製)100重量部と架
橋剤CK−101(日本カーバイド工業製)2重量部、
希釈剤として酢酸エチル30重量部を混合攪拌したもの
をダイレクトコンマコーターにて流延塗工し、熱風オー
ブン乾燥(95℃、3分間)後、先に製膜した原反の基
材層側と貼り合わせて実施例1の油性インク受容性マー
キングメディアを得た。 なお原反の基材層側には貼り
合わせ前に濡れ指数が約45となるようコロナ処理を施
した。同様の手法でそれぞれの原反に粘着剤を積層し
て、表1に示すように実施例2、および比較例1〜2の
メディアをえた。
【0085】接着層コンパウンドHの調製 スチレン含量10%のHSBR樹脂、ダイナロン132
0P(JSR製)100重量部、粘着付与剤、スーパー
エステルE−702(荒川化学工業製)5重量部、ルチ
ル型酸化チタンCR−90(石原産業製)20重量部、
ヒンダードアミン系光安定剤、チヌビン622LD(チ
バスペシャリティーケミカル製)1重量部、αトコフェ
ロール系抗酸化剤、ユビナール2000AO(BASF
製)0.5重量部を、2軸押し出し機PCM−30(池
貝鉄工製)にて混錬しペレット化した。
【0086】接着層コンパウンドIの調製 スチレン含量10%のHSBR樹脂、ダイナロン132
0P(JSR製)100重量部、粘着付与剤、スーパー
エステルE−702(荒川化学工業製)3重量部、ヒン
ダードアミン系光安定剤、チヌビン622LD(チバス
ペシャリティーケミカル製)1重量部、αトコフェロー
ル系抗酸化剤、ユビナール2000AO(BASF製)
0.5重量部を、ヘンシェルミキサーにて十分混合し接
着層コンパウンドIを得た。
【0087】実施例の油性インキ受容性マーキングメ
ディアの作成 受容層コンパウンドC、基材層コンパウンドF、接着層
コンパウンドHを口径300mmの3層丸ダイ付の押出
し機(プラコー製)を用いてブロー比約3にてインフレ
ーション成形した。接着層が外層になるようにし外層が
接するロールはすべてテフロン(登録商標)加工したも
のを使用した。折りたたみ両端をスリット後、それぞれ
の接着層がシリコーン処理面に接するよう剥離紙ととも
に巻取り、実施例の油性インク受容性メディアを得
た。
【0088】実施例、比較例のメディアの作成 受容層コンパウンドA、基材層コンパウンドD、接着層
コンパウンドIを用いて同様の工程で実施例、比較例
のメディアをそれぞれ得た。上記実施例、比較例をま
とめると以下表1、表2のとおりである。
【0089】
【表1】
【0090】
【表2】
【0091】得られた各シートの特性を表3に示す。
【表3】
【0092】なお物性評価は以下に述べる方法で行っ
た。 (1)試験片の調整 油性インクジェットプリンター、ラミレスPJ−130
4NX(武藤工業製)を用いて出力濃度100%設定に
て5cm角のマジェンタ単色ベタ印刷を行い30分室温
にて放置後以下の試験をした。 なお密着性、耐温水
性、耐候性の試験の際には、あらかじめ7cm×15c
mのアルミ板に貼り、室温にて一日放置したものを使用
した.
【0093】(2)曲面貼り適性 12cm角のインクジェットメディアが直径約30cm
の半球状をした料理用ステンレスボウルの凸面にシワ、
浮きなくきれいに貼れるかどうか試験した. ○:シワ、浮きなく容易にきれいに貼れるもの △:注意深く行えばシワ、浮きなくきれいに貼ることが
できるもの ×:シワ、浮きなくきれいに貼ることが困難であるも
の。
【0094】(3)インク受容性 インクのハジキ、濃度むらの有無を目視にて判定した. ○:ハジキ、濃度むらが認められないもの △:ハジキ、濃度むらがわずかに認められるもの ×:ハジキ、濃度むらの著しいもの
【0095】(4)浸透乾燥性 インク層に濾紙を押し当て色の移行の有無を判定した. ○:色の移行が認められないもの △:色の移行が認められるもの ×:一見して浸透乾燥していないことが明らかであるも
【0096】(5)密着性 インク層にセロテープ(登録商標):ニチバン製 を押
し当て急激に剥離してインク層のセロテープ(登録商
標)への転着の有無を判定した. ○:まったくセロテープ(登録商標)への転着が認めら
れないもの △:一部のみセロテープ(登録商標)への転着が認めら
れるもの ×:セロテープ(登録商標)への転着が著しいもの
【0097】(6)耐温水性 40℃の温水に72時間浸漬後、引き上げて表面状態の
異状の有無を観察した。 ○:原片と比較して明らかな変化の認められないもの。 ×:インク層、受容層、基材層のクラック、剥がれ、変
色等の異状が認められるもの。
【0098】(7)耐候性 サンシャインウェザオメーター(ブラックパネル温度6
3℃、降雨18分/180分)に入れ、500時間暴露
した後のインク層、受容層、基材層のクラック、剥が
れ、変色等の異状の発生を目視にて評価した。 ○:原片と比較して明らかな変化の認められないもの。 ×:インク層、受容層、基材層のクラック、剥がれ、変
色の異状が認められるもの。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】層厚が5〜100μmであって、溶剤浸透
    性変成オレフィン系樹脂を含有する樹脂層(I)と、該
    樹脂層(I)によって被覆され層厚が20〜200μm
    であるエラストマー成分含有熱可塑性オレフィン系樹脂
    層(II)と、該樹脂層(II)に積層され層厚が10
    〜100μmの接着剤層とを有することを特徴とする油
    性インク受容性マーキングメディア。
  2. 【請求項2】該溶剤浸透性変成オレフィン系樹脂がスチ
    レン−オレフィン系共重合樹脂、(メタ)アクリル酸エ
    ステル−オレフィン系共重合樹脂のいずれかである請求
    項1記載の油性インク受容性マーキングメディア。
  3. 【請求項3】ハロゲン元素を組成物として実質的に含有
    しないことを特徴とする請求項1〜請求項2いずれかに
    記載の油性インク受容性マーキングメディア。
  4. 【請求項4】樹脂層(I)と樹脂層(II)がTダイ押
    出し法、またはインフレーション法によって2層同時成
    形された請求項1〜請求項3いずれかに記載の油性イン
    ク受容性マーキングメディア。
  5. 【請求項5】樹脂層(I)、樹脂層(II)および接着
    剤層がTダイ押出し法、またはインフレーション法によ
    って3層同時成形された請求項1〜請求項4いずれかに
    記載の油性インク受容性マーキングメディア。
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