JP5779425B2 - 吸水易剥離性フィルム、及びこれを用いた壁紙またはラベル - Google Patents
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Description
また、壁紙及びラベルの貼り替え時に剥がしたフィルムをマテリアルとしてそのままリサイクルすることができなくなるという問題がある。剥がしたフィルムをリサイクルするためには、フィルムと接着剤を分離する、もしくはフィルムと裏打ち材を分離しなければならないが、通常これらは強固に結合しているため実施は困難である。
該結晶性ポリプロピレン樹脂に非相溶性の熱可塑性樹脂は、ポリエチレン樹脂、スチレン系樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、エチレン−環状オレフィン共重合樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネートからなる群より選択される少なくとも1種の樹脂であることが好ましい。
該吸水易剥離層(B)が、更に無機微細粉末の分散剤を、表面処理した無機微細粉末100重量部に対し0.5〜30重量部含むことが好ましく、 該分散剤は、マレイン酸変性ポリオレフィン及びシラノール変性ポリプロピレンの少なくとも一方であることが好ましい。
該吸水易剥離層(B)は、表面を親水化処理していない無機微細粉末および有機微細粉末の少なくとも一方を0.1〜30重量%更に含んでいても良い。
また、該積層樹脂フィルムの該被着体への貼着後において、被着体から積層樹脂フィルムを剥離する際の剥離強度が、50〜180gf/18mmであることが好ましい。被着体から積層樹脂フィルムを剥離する機構は、吸水易剥離層(B)内の凝集破壊により進行する。結果として被着体表面には吸水易剥離層(B)の一部が残留することで、この残留物により、フィルム剥離後の被着体表面も液体を吸収することができる。
また、基層(A)は多層構造であっても良い。
該基層(A)側の表面には種々の印刷手法に対応するため、更にコート層(D)を積層しても良い。
本発明は、上記吸水易剥離性フィルムの吸水易剥離層(B)側に水系接着剤を施すことにより、壁紙やラベルとして用いることができ、これらの様態のものも含む。
基層(A)は熱可塑性樹脂を含み、それ自体の強度が後述の吸水易剥離層(B)の強度よりも高く、(A)層を持って引き剥がしたときに、それ自体内は破断をしない強度を有するものである。基層(A)は透明であっても、半透明であっても、不透明であっても良い。
基層(A)に用いる熱可塑性樹脂の種類は特に制限されない。例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、プロピレン系樹脂、ポリメチル−1−ペンテン、エチレン−環状オレフィン共重合体等のポリオレフィン系樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、マレイン酸変性ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピレン等の官能基含有ポリオレフィン系樹脂、ナイロン−6、ナイロン−6,6等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやその共重合体、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンサクシネート、ポリ乳酸、脂肪族ポリエステル等の熱可塑性ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート、アタクティックポリスチレン、シンジオタクティックポリスチレン等を使用することができる。これらの熱可塑性樹脂の中では、加工性に優れるポリオレフィン系樹脂、官能基含有ポリオレフィン系樹脂を用いることが好ましい。ポリオレフィン系樹脂のより具体的な例としては、エチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、メチル−1−ペンテン、環状オレフィンなどのオレフィン類の単独重合体、及び、これらオレフィン類2種類以上からなる共重合体が挙げられる。
基層(A)は、2層構造、3層以上の多層構造のものであってもよい。基層(A)の多層化により筆記性、印刷適性、耐擦過性、2次加工適性等の様々な機能の付加が可能となる。
この多層構造の延伸軸数は、例えば2層構造の場合は、表面層/(A1)層として、無延伸/1軸、無延伸/2軸、1軸/1軸、1軸/2軸、2軸/1軸、2軸/2軸、を例示できる。
本発明に於ける吸水易剥離層(B)は、液体の吸収が可能であることから特に水系の接着剤を適用可能であり、同接着剤を介して被着体での接着を可能とすると同時に、基層(A)よりも脆性で強度が弱い層であり、同層(B)の破壊により接着剤を含まない様態でフィルムを容易に剥離することができる。また同層(B)は従来公知の吸水層と比べて均一面状に剥離することができることから、被着体表面に同層(B)に由来する粗大な凹凸を残すことはなく、同被着体は再度別のフィルムを貼り付けても外観を損ねることはない。
本発明に於ける吸水易剥離層(B)の液体の吸収は、表面処理剤により表面を親水化処理された無機微細粉末を配合し、同層(B)を延伸した際にこれを核として多数の表面開口や内部空孔が形成されることに因る。
本発明の吸水易剥離層(B)は結晶性ポリプロピレン樹脂及び該結晶性ポリプロピレン樹脂に非相溶性の熱可塑性樹脂のブレンド物を30〜60重量%、好ましくは35〜50重量%、表面処理剤により表面を親水化処理された無機微細粉末40〜70重量%、好ましくは50〜65重量%を含み、該吸水易剥離層(B)が少なくとも1軸方向に延伸されていることを特徴とする。吸水易剥離層(B)中の無機微細粉末の含有量が40重量%未満では、充分な剥離性が得られない。逆に70重量%を越えては成形安定性が損なわれる。
本発明において結晶性ポリプロピレン樹脂における結晶化度は、同樹脂サンプルを105℃に設定したオーブン中で90分間アニール処理を施した後、温度23℃の条件下で、密度勾配管法または水中置換法(両者は換算式により相互に補正可能)により求めた結晶性ポリプロピレン樹脂の密度から、下記式(1)を用いて算出した。
そのため上記の結晶化度を達成するためには、吸水易剥離層(B)に用いる結晶性ポリプロピレン樹脂の密度が0.906g/cm3以上であることが好ましく、0.907g/cm3以上であることがより好ましく、0.908g/cm3以上であることが特に好ましい。
本発明において「非相溶」とは、結晶性ポリプロピレン樹脂と、非相溶性の熱可塑性樹脂のブレンド物を電子顕微鏡で観察した場合、海島構造のモルフォロジーを有しており、その構造の寸法が0.3〜10μmであることを指す。
ここで「表面を親水化処理していない無機微細粉末」とは、上記表面処理剤により意図して親水化処理を施していない無機微細粉末を指し、通常の粉砕、分級、沈降等のプロセスを経て得られた無機微細粉末を指す。例えば親水化処理された炭酸カルシウム微細粉末と、通常の重質炭酸カルシウム微細粉末とを混合すれば吸水易剥離層(B)からの溶出物量を調整することができ、例えば親水化処理された炭酸カルシウム微細粉末と、有機微細粉末とを組み合わせれば吸水性を調整することができる。このように異なる種類の微細粉末を配合する場合であっても、微細粉末の総量が70重量%を超える場合は吸水易剥離性フィルムの延伸成形性が悪化し成形安定性が損なわれるため好ましくない。
無機微細粉末の分散剤として、例えば酸変性ポリオレフィン、シラノール変性ポリオレフィンなどを例示することができる。
本発明においては、特にマレイン酸変性ポリオレフィン及びシラノール変性ポリプロピレンを用いることが好ましい。
該酸変性ポリオレフィンとしては、無水マレイン酸をランダム共重合もしくはグラフト共重合した無水酸基含有ポリオレフィン、あるいはメタクリル酸、アクリル酸などの不飽和カルボン酸をランダム共重合もしくはグラフト共重合したカルボン酸基含有ポリオレフィン、グリシジルメタクリレートをランダム共重合もしくはグラフト共重合したエポキシ基含有ポリオレフィンなどが挙げられる。具体例としては、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性ポリエチレン、アクリル酸変性ポリプロピレン、エチレン・メタクリル酸ランダム共重合体、エチレン・グリシジルメタクリレートランダム共重合体、エチレン・グリシジルメタクリレートグラフト共重合体、グリシジルメタクリレート変性ポリプロピレンなどが挙げられ、なかでも特に好ましくは無水マレイン酸変性ポリプロピレン及び無水マレイン酸変性ポリエチレンである。
酸変性ポリオレフィンの酸変性率は、0.01〜20%が好ましく、0.05〜15%がより好ましい。酸変性率が0.01%以上であれば、表面処理した無機微細粉末の樹脂ブレンド物中への分散効果が十分に得られやすい。酸変性率が20%以下であれば、酸変性ポリオレフィンの軟化点が低くなりすぎることがないため熱可塑性樹脂とのコンパウンドが比較的容易である。
基層(A)及び吸水易剥離層(B)は積層後に少なくとも1軸方向に延伸することが好ましい。本発明の吸水易剥離層(B)は強度が低く、肉厚が薄い為、吸水易剥離層(B)単層での延伸成形は極めて困難である。基層(A)と吸水易剥離層(B)を積層後延伸することにより、吸水易剥離層(B)の延伸が容易となる。従って基層(A)は吸水易剥離層(B)を延伸するための担持体としても有用である。
かかる積層方法についても公知の種々の方法が使用できるが、具体例としては、フィードブロック、マルチマニホールドを使用した多層ダイス方式と、複数のダイスを使用する押出しラミネーション方式等がある。又、多層ダイスと押出しラミネーションを組み合わせて使用することも可能である。
剥離強度が50gf/18mm未満の場合は、被着体に貼り付けた際に外部からの衝撃により剥がれやすく、剥離強度が180gf/18mmを超える場合は、接着剤の種類にもよるが接着剤の強度を上回ってしまう、もしくは被着体に貼り付けた際に被着体の表面強度を上回ってしまい、吸水易剥離層(B)内で凝集破壊が発生しない。本明細書において「剥離強度」とは、吸水易剥離層(B)面に粘着テープ(ニチバン(株)製セロハンテープ、商品名「セロテープ」、銘柄名「CT−18」)を貼着し、長さ100mmに切り取り、引張試験機((株)島津制作所製、商品名「AUTOGRAPH」)を使用し、引張速度300mm/分にて、180゜の角度で基層(A)と粘着テープとの剥離を吸水易剥離層(B)にて発生させ、剥離が安定している時の応力をロードセルにより測定し、横方向と縦方向の平均値から求めた。
本発明の吸水易剥離性フィルムは、壁紙等として用いる際に、下地が透けて見えないように不透明であることが好ましい。吸水易剥離性フィルムを不透明化するために、吸水易剥離性フィルムは隠蔽層(C)を有することが好ましい。
本発明の隠蔽層(C)の具体例としては、吸水易剥離層(B)表面への黒色印刷または灰色印刷などの有色印刷が挙げられる。これらは容易に吸水易剥離性フィルムに適用できるものであるが、後述の接着剤の適用を阻害しない程度に行うことが好ましい。
本発明の吸水易剥離性フィルムは基層(A)の多層化により筆記性、印刷適性、耐擦過性、2次加工適性等の様々な機能の付加が可能となる。特に、本発明品は壁紙や容器のラベルとして使用されるため、特に印刷適性は必要とされる。フィルムへの印刷適性の付与はコート層の積層など従来公知の手法を用いることができる。印刷としてはグラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、電子写真印刷などの手法を用いて、ラベル上に絵柄、バーコード、製造元、販売会社名、キャラクター、商品名、使用方法などの意匠や情報を付与することができる。
本発明の吸水易剥離性フィルムをラベルとして用いる場合は、より高精細な印刷を施せることが好ましく、印刷の様態としてはオフセット印刷などが好ましい。
本発明の吸水易剥離性フィルムにインクジェット印刷などの手法で印刷を施す場合は、印刷面となる基層(A)側の表面に色材を固定化するために、印刷手法に合わせたコート層(D)を設けることが好ましい。
本発明の吸水易剥離性フィルムに好適なコート層(D)は、特に水性インクジェット、溶剤型インクジェット、UVインクジェット、ラテックス型インクジェット等を含むインクジェット印刷に適用できるものであり、具体的に水性インクジェットにはシリカを添加したポリビニルアルコール等、UVインクジェットにはシリカを添加したポリエーテルウレタン等を含むコート層(D)等が好ましい。
被着体である壁面もしくはボトル等には本発明の吸水易剥離性フィルムの接着・剥離のサイクルにより都度、接着剤と吸水易剥離層(B)が残留し蓄積してゆくが、同層(B)は薄く均一面状に剥離するために不均一な凹凸は発生せず、外観悪化は殆ど発生しない。
以下の手順に従って積層樹脂フィルム(実施例1〜19、比較例1〜7)を製造した。表1に使用した材料の詳細を記載した。表中の「MFR」はメルトフローレートを意味する。表2および表3に各積層樹脂フィルムの製造にあたって使用した材料の種類と量(重量%)、延伸条件、全厚と[B]層の厚み、[C]層の有無を記載した。表2および表3に記載される材料の番号は、表1に記載される材料の番号に対応している。
特に実施例9は、実施例2で得た積層樹脂フィルムの[B]層側の表面に、グラビアインキ(商品名:XS−756、DICグラフィックス(株)製)及びグラビア印刷機を用いて灰色印刷を施して、隠蔽層(C)を設けた積層樹脂フィルムを得た。
比較例6において、表3に記載の配合物[A1]と配合物[B]を250℃に設定された2台の押出機でそれぞれ溶融混練してフィードブロック、マルチマニホールドを使用した多層ダイスを介してダイス内で積層し、これをシート状に共押出成形し、冷却装置にて70℃まで冷却して2層構造の無延伸シートを得た。この無延伸シートを145℃に加熱した後、縦方向にロール間で5倍に延伸し、縦一軸延伸フィルムを得た。次いで表3に記載の配合物[A2]を250℃に設定された押出機で溶融混練してダイスを介してシート状に押出し、前記縦一軸延伸フィルムの[A1]側に積層した。積層物を158℃に加熱してテンター延伸機を用いて横方向に9倍延伸し、1軸延伸/2軸延伸/2軸延伸された3層構造の積層樹脂フィルムを得た(図2参照)。
実施例2の積層樹脂フィルムを得る際、押出機の樹脂吐出量を変更しながら、縦一軸延伸フィルムの両面に配合物[A2]および配合物[B]を積層して得た積層物を、比較例7の積層樹脂フィルムとした。
上記実施例2により得た積層樹脂フィルムの[A2]層側の表面に、グラビアコーターを用いて次の組成を有する塗工液を固形分量で約2.0g/m2となるように塗工し、乾燥させて水性インクジェット印刷に好適なコート層(D)を形成した。
《塗工液組成》
合成シリカ粉末 100重量部
(商品名「ミズカシルP−78D」、平均粒径8μm、水澤化学工業(株)製)
ポリビニルアルコール 30重量部
(商品名「クラレポバール PVA−117」、クラレ(株)製)
ポリアミドポリアミンのエピクロルヒドリン付加物 10重量部
(商品名「WS4082」、星光PMC(株)製)
ポリアクリル酸ソーダ 5重量部
(試薬、和光純薬工業(株)製)
水 1600重量部
上記実施例2により得た積層樹脂フィルムの[A2]層側の表面に金属箔を転写蒸着し、同金属箔面上にグラビアコーターを用いてポリアミドポリアミン樹脂を含む塗工液(商品名「トパーズ17液」、東洋インキ製造(株)製)を固形分量で約0.5g/m2となるように塗工し、乾燥させて湿式電子写真方式の印刷機(例えば商品名「Indigo WS4000」、ヒューレット・パッカード社製)による印刷に好適なコート層(D)を形成した。
実施例、比較例において製造した各積層樹脂フィルムについて、印刷特性、不透明度、液体吸収容積、剥離強度、石膏ボードに対する剥離性、ビンに対する接着性・剥離性、隠蔽性、再貼付け施工性、リサイクル適性を評価した。各試験の詳細は以下に示す通りである。
[A2]側表面にグラビア印刷された各積層樹脂フィルムのインキ表面に粘着テープ(ニチバン(株)製、商品名「セロテープ」、銘柄名「CT−18」)を貼り付け、指で十分に押しつけた後、粘着テープの未貼着部分と積層樹脂フィルムとがなす角度を90度に保ちながら未貼着部分を引っ張ることにより約1000mm/secの速度で手で粘着テープを引き剥がし、インキの取られ方を下記の基準により評価し、以下の4段階で評価した。
◎: 全くインキが剥がれない
○: フィルムの材料部分の破壊に伴い一部のインキが剥がれるが、実用上問題ない
△: 剥離するときに抵抗はあるが、インキの殆どが剥がれ、実用上問題がある
X: インキ全量が剥がれ、剥離するときの抵抗もなく、実用上使用できない
JIS−P−8149に準拠し、各積層樹脂フィルム背面([B]側)に黒色及び白色標準板を当てて測定した光の反射率の比(単一シート視感反射率/固有視感反射率)を百分率で示した値として求めた。
JAPAN TAPPI No.51:2000に準拠するブリストー液体吸収性試験により測定した。具体的には、熊谷理機工業(株)製ブリストー試験機II型を使用して無加圧の状態でイオン交換水に赤色の水性インキを20:1に配合した混合物を20μl滴下して、50msにおける液体の転移量を求めた。
各積層樹脂フィルムを、恒温室(温度20℃、相対湿度65%)に12時間保管した後、吸水易剥離層(B)面に粘着テープ(ニチバン(株)製、商品名「セロテープ」、銘柄名「CT−18」)を貼着し、これを長さ100mmに切り取り、(株)島津制作所製の引張試験機(商品名「AUTOGRAPH」)を使用し、引張速度300mm/分にて、180゜の角度で基層(A)と粘着テープとを剥離させ、安定している時の応力をロードセルにより測定した。この測定は、各積層樹脂フィルムの横方向と縦方向についてそれぞれ行い、これらの平均値をもって剥離強度とした。粘着テープは18mm幅のものを使用した。
各積層樹脂フィルムを10cm×10cmの正方形に切り取り、吸水易剥離層(B)側に澱粉を主成分とした水系接着剤(ヤヨイ化学工業(株)製、商品名「ルーアマイルド」とヤヨイ化学工業(株)製、商品名「プラゾール100S」と水をそれぞれ5:1:4で混合したもの)を自動壁紙糊付機(極東産機(株)製)で固形分量が8g/m2となるように塗工し、石膏ボード(吉野石膏(株)製、商品名「タイガーボード」)の上に貼着させた。これを常温にて一週間保管した後、下記の(1)剥離開始性と(2)剥離伝播性を評価した。
各積層樹脂フィルムの4辺の内1辺を爪で剥がすことにより端から1cmだけ石膏ボードから剥がした後、剥がした辺を手で持ち、石膏ボードより引き剥がし、吸水易剥離層(B)の凝集破壊による剥離が開始するまでの状態をその距離から観察し、以下の4段階で評価した。なお、石膏ボードから手で引き剥がす際は、石膏ボード表面と基層(A)の剥離部分のなす角度を約135°に維持しながら、積層樹脂フィルムの剥離部分を引っ張ることにより引き剥がした。
◎: 吸水易剥離層(B)の剥離がすぐに(1mm未満で)開始する
○: 吸水易剥離層(B)の剥離が開始するまでに1〜2mm要する
△: 吸水易剥離層(B)の剥離が開始するまでに3〜9mm要する
×: 吸水易剥離層(B)の剥離が開始するまでに10mm以上要する
各積層樹脂フィルムの4辺の内1辺に粘着テープ(ニチバン(株)製、商品名「セロテープ」、銘柄名「CT−18」)を辺の全長にわたって辺に沿って貼り、手で持ち易い状態にし、石膏ボード表面と基層(A)の剥離部分のなす角度を約135°に維持しながら、基層(A)の剥離部分を引っ張ることにより基層(A)を石膏ボードより引き剥がした。このときの吸水易剥離層(B)の剥離伝播状態と剥離力を、以下の4段階で評価した。
◎: 剥離力が軽く、全面綺麗に剥離が伝播する
○: 剥離力はやや重いが、全面綺麗に剥離が伝播する
△: 剥離力が非常に重いが、全面綺麗に剥離が伝播する
×: 剥離が全面に伝播できずに途中で切れてしまう
各積層樹脂フィルムを5cm×5cmの正方形に切り取り、吸水易剥離層(B)側に市販の水系性接着剤((株)T&K TOKA製、商品名「フジアットAL−8L」)を自動糊付機(TY精機製)で固形分量が8g/m2となるように塗工し、ガラスビンに貼着させた。常温にて一週間保管した後、(1)ビンへの接着性、(2)剥離開始性、(3)剥離伝播性を評価した。
各積層樹脂フィルムの4辺の内1辺を爪で剥がすことにより端から1cmだけビンから剥がした後、剥がした辺を手で持ち、ビンより引き剥がし、吸水易剥離層(B)の剥離が開始するまでの状態を観察し、以下の3段階で評価した。なお、ビンから手で引き剥がす際は、ビン表面と積層樹脂フィルムの剥離部分のなす角度を約135°に維持しながら、積層樹脂フィルムの剥離部分を引っ張ることにより引き剥がした。
○: 剥離する際に基材が易剥離もしくは材破する
△: ラベルの端のみが易剥離もしくは材破する
×: 接着剤が乾燥せずにビンに接着しない
(2)剥離開始性と(3)剥離伝播性については、前述の石膏ボードに対する試験((1)剥離開始性と(2)剥離伝播性)と同様の方法、判断基準で評価した。
官製ハガキに文字サイズ10ポイントのアルファベット26文字を印字して、各積層樹脂フィルムの吸水易剥離層(B)側に澱粉を主成分とした水系接着剤(ヤヨイ化学工業(株)製、商品名「ルーアマイルド」とヤヨイ化学工業(株)製、商品名「プラゾール100S」と水を5:1:4で混合したもの)を固形分量が8g/m2となるように塗工し、ハガキの上に貼り付けた。各積層樹脂フィルムを透して見える文字の隠蔽性を目視にて判断し、以下の4段階で評価した。
◎: 文字があることが全く判らず良好
○: 文字は全く読み取れずやや良好
△: 文字の一部が読み取れやや不良
×: 文字の全てが読み取れ不良
各積層樹脂フィルムの吸水易剥離層(B)側(裏打ち紙のある場合は裏打ち紙面)に澱粉を主成分とした水系接着剤(ヤヨイ化学工業(株)製、商品名「ルーアマイルド」とヤヨイ化学工業(株)製、商品名「プラゾール100S」と水を5:1:4で混合したもの)を自動壁紙糊付機(極東産機(株)社製)で固形分量が8g/m2となるように塗工し、石膏ボード(吉野石膏(株)製、商品名「タイガーボード」)の上に貼着させた。常温にて1週間保管した後に、前記石膏ボードに対する剥離開始性試験と同様の方法で各積層樹脂フィルムを石膏ボードから剥がした。次いで剥がされた各積層樹脂フィルムの剥離面に同じの水系接着剤を自動壁紙糊付機(極東産機(株)社製)で固形分量が8g/m2となるように塗工し、何も貼られていない石膏ボードの上に再貼着させ、その外観を評価した。またこれを常温にて1週間保管した後に各積層樹脂フィルムの4辺の内1辺を再び爪で剥がすことにより端から1cmだけ石膏ボードから剥がした後、剥がした辺を手で持ち、石膏ボードより引き剥がし、吸水易剥離層(B)の剥離面の状態を観察し、以下の3段階で評価した。なお、石膏ボードから手で引き剥がす際は、石膏ボード表面と積層樹脂フィルムの剥離部分のなす角度を約135°に維持しながら、積層樹脂フィルムの剥離部分を引っ張ることにより引き剥がした。
○: 再貼着後の積層樹脂フィルムに凹凸の外観不良は見られず、剥離時はフィル
ムの吸水易剥離層(B)部分から再度均一に剥離する
△: 再貼着後の積層樹脂フィルムに凹凸の外観不良が見られ、且つ再接着面から
の吸水易剥離層(B)の剥離は不均一であり、実用上問題がある
X: 再貼着後の積層樹脂フィルムに凹凸の外観不良が見られ、且つ再接着面から
の剥離はフィルム側と被着体側と両方から起こるため非常に不均一であり、
実用上使用できない
上記[壁紙の接着性]評価にて施工された各壁紙を、前記石膏ボードに対する剥離開始性試験と同様の方法で1ヶ月後に壁面から剥がし、剥がした壁紙を粉砕機にかけてチップ状にした後、これを225℃に設定され、100メッシュのスクリーンパックを装備した2軸押出機にて再溶融混練及び押出しを行った。このときのスクリーンパックの詰まりや発煙、変色などの状態から再溶融押出し(樹脂再生)が可能か否かを判定した。スクリーンパックの詰まりや発煙、変色が無く、再溶融押出し(樹脂再生)が可能である状態を「良好」と判定した。
B 吸水易剥離層
Claims (18)
- 基層(A)と吸水易剥離層(B)の積層樹脂フィルムを含む吸水易剥離性フィルムであって、
該基層(A)が熱可塑性樹脂を含み、
該吸水易剥離層(B)が、結晶性ポリプロピレン樹脂及び該結晶性ポリプロピレン樹脂に非相溶性の熱可塑性樹脂のブレンド物30〜60重量%と、表面処理剤により表面を親水化処理された無機微細粉末40〜70重量%とを含み、
該ブレンド物において、結晶性ポリプロピレン樹脂100重量部に対し該結晶性ポリプロピレン樹脂に非相溶性の熱可塑性樹脂が105〜300重量部の割合でブレンドされており、且つ、
該吸水易剥離層(B)が少なくとも1軸方向に延伸されており、
該積層樹脂フィルムが下記の剥離伝播性試験において全面綺麗に剥離が伝播することを特徴とする吸水易剥離性フィルム。
剥離伝播性試験:
前記積層樹脂フィルムを5cm×5cmの正方形に切り取り、吸水易剥離層(B)側に水系性接着剤を固形分量が8g/m 2 となるように塗工し、ガラスに貼着させる。常温にて一週間保管した後、積層樹脂フィルムの4辺の内1辺に粘着テープを辺の全長にわたって辺に沿って貼り、ガラス表面と基層(A)の剥離部分のなす角度を約135°に維持しながら、基層(A)の剥離部分を引っ張ることにより基層(A)をガラスより引き剥がす。このときの吸水易剥離層(B)の剥離伝播状態を観察する。 - 該結晶性ポリプロピレン樹脂の結晶化度が65%以上であることを特徴とする請求項1に記載の吸水易剥離性フィルム。
- 該結晶性ポリプロピレン樹脂に非相溶性の熱可塑性樹脂が、ポリエチレン樹脂、スチレン系樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、エチレン−環状オレフィン共重合樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、及びポリカーボネートからなる群より選択される少なくとも1種の樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載の吸水易剥離性フィルム。
- 該表面処理剤が、水溶性アニオン系界面活性剤、水溶性カチオン系界面活性剤、及び水溶性非イオン系界面活性剤からなる群より選択される表面処理剤であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の吸水易剥離性フィルム。
- 該吸水易剥離層(B)が、更に無機微細粉末の分散剤を、表面処理した無機微細粉末100重量部に対し0.5〜30重量部含むことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の吸水易剥離性フィルム。
- 該分散剤が、マレイン酸変性ポリオレフィン及びシラノール変性ポリプロピレンの少なくとも一方であることを特徴とする請求項5に記載の吸水易剥離性フィルム。
- 該吸水易剥離層(B)が、表面を親水化処理していない無機微細粉末および有機微細粉末の少なくとも一方を0.1〜30重量%更に含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の吸水易剥離性フィルム。
- 該吸水易剥離層(B)の「Japan TAPPI No.51−2000により測定される液体吸収容積が1〜20ml/m2であることを特徴する請求項1〜7の何れか一項に記載の吸水易剥離性フィルム。
- 該積層樹脂フィルムの吸水易剥離層(B)側に水系接着剤層を有することを特徴する請求項1〜8の何れか一項に記載の吸水易剥離性フィルム。
- 該積層樹脂フィルムの被着体への貼着後において、該被着体から積層樹脂フィルムを剥離する際の剥離強度が、50〜180gf/18mmであることを特徴とする請求項9に記載の吸水易剥離性フィルム。
- 被着体から積層樹脂フィルムを剥離する際に、剥離が吸水易剥離層(B)内の凝集破壊により進行することを特徴とする請求項10に記載の吸水易剥離性フィルム。
- 被着体から積層樹脂フィルムを剥離した後に、被着体表面には吸水易剥離層(B)の一部が残留し、この残留物が液体を吸収することを特徴とする請求項10または11に記載の吸水易剥離性フィルム。
- 該基層(A)が多層構造であることを特徴とする請求項1〜12の何れか一項に記載の吸水易剥離性フィルム。
- 更に隠蔽層(C)を有することを特徴とする請求項1〜13の何れか一項に記載の吸水易剥離性フィルム。
- 該隠蔽層(C)が、吸水易剥離層(B)側表面への黒色印刷または灰色印刷、基層(A)への隠蔽顔料添加、基層(A)間への黒色印刷挿入からなる群より選択される少なくとも一つの手法からなることを特徴とする請求項14に記載の吸水易剥離性フィルム。
- 基層(A)側表面上に更にコート層(D)を有することを特徴とする請求項1〜15の何れか一項に記載の吸水易剥離性フィルム。
- 請求項1〜16の何れか一項に記載の吸水易剥離性フィルムの吸水易剥離層(B)側に水系接着剤を施した壁紙。
- 請求項1〜16の何れか一項に記載の吸水易剥離性フィルムの吸水易剥離層(B)側に水系接着剤を施したラベル。
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